「ある夏の日」
夏のある日。 そんな中、フランソワーズはひとり元気で、やれ水撒きだ掃除だと忙しく動いていた。笑顔をふりまきながら。 無理するなよ。休んでいればいいのに。 僕が何度言ってもきかない。 無理なんてしてないわ。だってこんなに良いお天気なのだもの、何かしていないともったいなくて。 そんなフランソワーズだったから、僕たちは一計を案じた。 そして、では誰が彼女を連れ出すか・・・ということになって。 その途端、僕を除く全員が用事を思い出し、しばらく外出など出来ないと訴えた。 ・・・みんな大事なことを忘れていよ。僕が誘っても、フランソワーズが一緒に出かけてくれるとは限らない。 バカだな、行くに決まっているだろうと口々に言うのを片手を上げて止める。 だって僕たちは、別にそんなんじゃないのだから。 僕たちは別に・・・そんなんじゃない。
戦いを終えて、みんな何となく日々を過ごしていた。
特にすることもなく、陽が昇り沈んでゆく毎日に身を任せて。
何も考えずに。
そのくらい、今回のミッションは過酷だった。
そう頬を上気させて答えるだけで。
みんなが手伝いを申し出ても、休んでいてと言ってきかない。
僕も何か手伝おうとキッチンに行ったら、あなたは邪魔しかしないでしょうと包丁を向けられ早々に退散した。
それは「フランソワーズを邸から連れ出すこと」。
ずっとここにいるから、彼女は何かしらすることを見つけてしまう。だったら、外出させればいいんじゃないか、と。
ピュンマの案に全員が同意した。
毎日だらだら過ごしていたくせに、そんなの絶対嘘だ。
僕がそう主張しても受け容れられず、結局――僕がその大役を担うことになってしまった。
そう――僕たちは、ただの仲間でしかない。
またお前はそういうことを言ってと言われたけれど、でも僕はちゃんとわかっている。
彼らから見れば、僕たちはまとめて1セットのようだろう。
でもそれは、単純に年齢が近くて話が合うからであって、僕たちが一緒にいる理由はそれ以外のなにものでもない。僕たちは、みんなが思っているような、そんな関係ではないのだ。