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「なんか・・・思っていたよりつまんない、かも」

DVDを5本ほど観た後、早くもフランソワーズは退屈していた。
最初の方こそ、わくわくどきどきして観ていたものの、段々とそのワンパターンさが目につき、更には、観ていて面白いとは思えなくなってきていた。
何しろ、同じ事の繰り返しなのである。アングルも似たようなものだし。
大体、延々とシャワーを浴びているのを観て何が楽しいのだろう?

フランソワーズは大画面に映し出される男女の姿をそのままに、手元のダンボール箱の中を漁った。
何か目新しいのはないかと思ったけれど、どうやらジョーの趣味は一貫しているようだった。

「SMとかは・・・ないんだ」

ちょっとほっとする。彼女自身、痛いのとか傷つけるのとか、そういう方向はできれば避けたかった。

「コスプレとか・・・は、」

それも無かった。

「・・・セーラー服もの、・・・熟女・・・」

それも無い。

ジョーの趣味にはほっとしたものの、観るぶんには同じようなものばかりで退屈この上ない。

「もー。ジョーったら、何か面白いもの持ってないのかしら」

頬を膨らませながら箱の中を漁るけれども、どれも似たようなタイトルのものばかり。

「・・・あ。これ、・・・何かしら?」

一枚だけ、DVDケースに入ってないものがあった。不織布に包まれている。

「・・・観ちゃおうっと」

 

 

 

 

数分後。

大画面に映し出されたのは、今まで観たものとは全く異なるものだった。
それが何かを知って、一瞬腰が引けたものの、フランソワーズは果敢に立ち向かった。
そして今、目の前で展開されているものをじっと静かに見つめている。

が、しかし。

「・・・つまんなーいっ」

大きく伸びをして、ソファの背もたれによりかかった。
大画面には相変わらず頑張る男女の姿があった。

「無修正ってこんなんなの?・・・どこが面白いんだろう?」

むしろ「からだのひみつ」を観るかのような思いに捕らわれ、色っぽい気分には程遠いフランソワーズであった。

 

実は今日、ジョーのマンションへ来たのはアダルトなDVDを観るためであった。
特に深い意味はない。
ただ、一度くらい観てもいいんじゃないか・・・という好奇心と、更には、もしかしたらジョーも何かこう・・・希望とかあるんじゃないかという思い。それらが微妙な具合に入り混じって――おそらく好奇心が勝って――アダルトDVD鑑賞会をひとりで開催する運びとなったのであった。

けれども、思っていたより楽しめず、だんだん眠くなってきたところだった。
大きく欠伸をしながら画面を見つめる・・・けれども、段々と瞼が下がってきてしまう。

「んん、これじゃダメだわっ。何かひとつくらい収穫がないと今日という日が無駄になってしまうわ!」

箱から適当にDVDを取り出し、セットする。

「・・・あ。これっ・・・」

大画面に写しだされた映像を見つめ、フランソワーズは拳を握っていた。
探していたのは、たぶんこれだわ!!こういうのを観たかったのよっ!!