「キスだけが知ってる秘密」
〜食べ頃のきみは僕のもの〜 

 

 

――またか。

先程から、左の頬に張り付くような熱い視線を感じる。
もうひとくちコーヒーを飲もうとカップを持ち上げ、それがとうの昔に空になっていることに気付き、心のなかで舌打ちをする。おかわりを頼もうにも、何しろ・・・

F1レーサー、島村ジョー。ニックネームは「ハリケーン・ジョー」もしくは「音速の騎士」。
今季王者になってからはメディアの露出も多く、いっとき「時の人」であった。
が、それも数週間のことであり、今ではすっかり忘れ去られているようだった。そもそもモータースポーツ自体がここ日本では有名ではないのだ。何しろレースでさえ真夜中に放送される。

そんなわけで、仕事柄「見られる」ことには慣れていたが、そろそろ世間が自分を忘れてきたこの頃は、内心ほっとしていたのだった。
だからこうして、素顔でカフェにいても別にどうということもなく――もちろん、携帯をこちらに向ける女子もいたが、パパラッチの姿はなく、ジョーはぼんやりと撮られるに任せていた。
が。
先程から、それらと全く違った熱い視線を感じている。それは店に入った時から始まっており――ここで小一時間過ごしても変わることがなく、むしろますます絡み付いてくるようだった。
ちらり。と視線を飛ばす。と、一瞬その熱い視線は外れる。が、再び意識をこちらに戻すと同時にひたっと見つめてくるのがわかる。

「・・・・」

頭を掻き毟りたい心境。

コーヒーカップを持ち上げかけ空だったことに気付き、仕方なく水の入ったコップに手を伸ばす。目の前に広げた車の雑誌も、既に5回読んだ。いまテストされればどの記事も暗誦できそうな気がする。
ゆっくりと水を飲みながら、まっすぐに向けられる視線のほうを盗み見る。
やっぱり、何度見てもどう考えても――その視線の持ち主は男性だった。

 

***

 

「ジョーって男の人にももてるのね?」

フランソワーズにそう言われた時は呆然とした。
バスルームに湯気とフランソワーズの声が響いて消えてゆく。フランソワーズの髪を洗うジョーの手が止まった。

「えっ、なん・・・」
「だってほら。ずうっと前のミッションの時もそうだったし、この前空港でも」

ね?と蒼い瞳に見つめられ、ジョーは慌てて首を横に振った。

「ち。違うよ、それはっ」
「ふふっ、慌てなくても大丈夫よ?ジョーが男の人に興味があるなんて思ってません」
「・・・当たり前だ」

口元を歪め、嫌そうに答える。

「それとも・・・慌てるってことは、実はそうだったりして」
「コラ。ったく、何を言い出すんだか」
「だって、ジョーはもてるから・・・心配」
「・・・ばかだなぁ」

フランソワーズの髪を洗う手を止め、シャワーでシャンプーを流す。

「俺がきみ以外のひとに目がいくとまだ思ってるわけ?」
「ん・・・」

濡れた髪を除けて、じっと蒼い瞳が褐色の瞳を見つめる。

「・・・ううん。だってジョーは私に夢中なんでしょう?」
「そうだよ」
「だから、何にも心配しなくていいのよね?」
「その通り」

ちゅっと洗い髪にキスをして、ジョーはフランソワーズを抱き締めた。

「・・・フランソワーズ」
「ん、駄目よジョー。またのぼせちゃうでしょう」
「いいよそんなの」
「駄目よ。のぼせたあなたを運ぶのにどれだけ苦労したと思ってるの」
「――きみは力持ちだろう?・・・ホラ、僕を抱えて三段跳び」
「ジョー!」

むにっと頬をつままれる。

「いてて」
「それ以上言ったら、絶交だからね!」

大森林での出来事は――特に、地雷原をジョーを横抱きにして跳んだ武勇伝は禁句なのだった。

 

***

 

――遅いなぁ。

フランソワーズを待つことは苦ではなかったが、いまこの店にいること自体が苦痛になってきていた。
何しろ、来た時から店員と思しき男性にじいっと熱く見つめられているのだから。
しかし、店を出ようにもフランソワーズに電話をすることもメールをすることも出来ずにいた。彼女はいま、目の前のビルにあるバレエ教室でレッスンの真っ最中なのだ。それを待つために、ここカフェ「Audrey」に来ているのだった。

テーブルの上には、フランソワーズおすすめのケーキが手付かずで残っている。

「絶対、これ頼んでね」
「ええっ。甘そうだし、嫌だよ」
「何もジョーに食べてなんて言ってないわ。私が食べるのよ」
「来てから頼めばいいじゃないか」
「遅くなると売れちゃうんだってば!」

――というわけで、彼女のためにキープしているのだ。「キスだけが知ってる秘密」という名を冠したチョコレートケーキ。

・・・オーダーする身になってくれよ。

最初はメニューを指でさしてみせたのだが、先刻から熱い視線をジョーに送っているウエイターは、ちゃんとフルで音読しないと受けられませんとしれっと言ったのだった。

なんなんだよ、キスだけが知ってる秘密、っていうのは。

フランソワーズが面白がってわざとそれを選んだのをジョーは知らない。

 


 

 

「――あの、すみません」

ちょっと手を挙げてウエイターを呼ぶ。
やっぱりコーヒーでも飲んでいないと落ち着かず、ジョーは仕方なくおかわりを頼んだ。
その間にも、そのウエイターがジョーを意識しているのがわかる。
見た目は純朴な青年といった部類で、素直そうな、感じの良い男子である。とてもそういうケがあるようには見えない。が、ひとは見かけによらないというのも良く知っているジョーなのだ。まさか本当に、自分に対してそういう気があるのではないだろうな・・・とちらりと探るように見つめる。
と、その青年はその視線に気付いてかオーダーを受けながら頬を朱に染め、思い詰めたように口を開いた。

「・・・あのっ・・・!島村っちさん、ですよねっ・・・!?」

島村「っち」??

確かに自分は「島村」だったが、「島村っち」と呼ばれたことなど一度もない。

「――え?」

ニ、三度瞬きをして、青年を見上げる。

「それ、僕のことかな」

戸惑ったように低く言うと、目の前の青年はさらに顔を赤くした。

「だっ・・・、似てるしっ・・・その、声っ・・・」

何を言っているのか意味不明である。
ただじっとその青年を見つめていたジョーだったが、奥から風のようにやってきたスタッフと思しき女性店員が思い切りその青年の背中を張ったので目を丸くした。

「大地っ!アンタいったい何言ってるの!このひとは、アンタが知ってる島村っちじゃないの!」
「えっ、でも似てる――」
「似てても違うひとなの!ったく、どうしていつまでも接客業に慣れないかなー。あ、すみません。島村さん。この子、弟なんですけどすっかり人違いしてしまって」

二人の遣り取りに呆然としていたジョーだったが、困ったように笑う女性店員に、気にしてないからとにっこり微笑んだ。

「本当にすみません。ほらっ、アンタも頭下げなさい。――おわびにケーキをご用意いたしますので」
「あ、気にしてませんから」
「それじゃ私の気がすみません。私のためと思って、――そうね。いつも彼女がオーダーしているのをお持ちしますね?」

彼女。

あまりにもすんなり言われた単語。あやうくそのまま聞き流すところだった。

「あの、彼女、って・・・」

何しろ自分がここに来たのは初めてである。
そんな自分に「彼女」がいると知っているはずもなく、従って「いつもオーダーしている」のを用意するなどできるわけがないのだ。
が、そういえば自分は「彼女」がいると公言していたんだったなとも思い出す。
自分の名前を知っていたのだから、彼女がいるというのを知っていても不思議ではない。が、その「彼女」がイコールフランソワーズだというのは知らないはずだった。

「かかかのじょっ!ってやっぱり」
「大地、うるさい」
「だけど、これだけ似てるんだからやっぱり彼女っていうのは――」

姉と弟がひと悶着起こしそうなその時。
ちりりんっと音をたててカフェのドアが開いた。

 

***

 

顔を覗かせたのは亜麻色の髪の、蒼い瞳の・・・

「あ、ふら」
「フランソワーズさんっ!!」

ジョーとウエイターのふたりの声がかぶった。

――え?

そうしてお互いに相手をまじまじと見つめる。

「え・・・、やっぱりあなたは島村っち、じゃ・・・?」
「――フランソワーズ、さん・・・?」

その間にフランソワーズがまっすぐにふたりの前にやってきて、テーブルの上のジョーの手に自分の手をそうっと重ねた。甘えるように。

「どうして見つめあってるの?――萌子さん、こんにちは」

走ってきたのか頬を紅潮させ、瞳がきらきらと輝いている。

「えっと、いつもの――じゃなくて、今日はジョーがいるから・・・」

ジョーの向かいの席にバッグを置き、頬に指をあてて小首を傾げ、

「んー・・・うふっ、「恋の始まりはアップルパイ」にするわ」
「了解。ちょっと待っててね」

彼女が奥へ戻っていくのを見送ってから、改めてにらみ合ったままの男ふたりの方を向く。

「・・・なにしてるの?」
「あ、フランソワーズさん、このひとっ・・・」
「ジョーがどうかしたの?」
「じ、ジョー、って・・・」
「私のカレシ」

さらりと言って、座っているジョーの首筋に腕を巻きつける。

「かかかカレシっ・・・」
「私にカレシがいたら変?」

軽く頬を膨らませ、睨むフリをする。が、ジョーに巻きつけた腕は離さない。

「いいいや、変、ってことは・・・・ないですケド」
そうだよな、島村っちにこんなに似てるんだから、もちろんカノジョはフランソワーズさんみたいに綺麗なひとに決まってて――
口のなかで呟く声は、目の前のふたりには全く聞こえていない。

「ゴメンネ、遅くなって」
「うん。待ちくたびれたよ」
「・・・怒ってる?」
「怒ってないよ」
「ほんと?」
「ホント」

額をつき合わせて小さく交わされる会話。
フランソワーズはいつの間にか――ごくごく自然に――ジョーの腕のなかに居た。膝の上に抱き上げられて。

「・・・どうして大地くんと見つめ合っていたの?」
「大地くん、って・・・この店員さん?」
「そうよ」
「――ふーん」
「ん。ジョー、なんだか変。――そういえば、大地くんも」

身体を捻って傍らの青年を見上げる。
いきなりふたりに見つめられ、青年は更に更に頬を染めた。

「んんんっ・・・やっぱり大地くん、変」
「――え!・・・変じゃないっすよ?」
「いつもと違う」
「違わないっすよ」

違うとすれば、フランソワーズの「カレシ」を初めて見たということだろうか。
それも、彼の知っている「島村っち」にソックリな。何しろ、ジョーが入って来たときから、「島村っち」は何をすかしてるんだろうと不思議に思っていたのだった。が、観察を続けるうちに、どうやら「良く似た別人」のように思え――しかし、あまりに似ているため実は双子ではないかと思い始めていたのだ。

「だって、顔が赤いもの。いつもより」

それはあなたたちふたりのせいなんですけど?――とは言えず、軽く咳払いをしてごまかした。
いつも、「島村っち」たちの熱々ぶりを目の当たりにして慣れているはずだったけれど、見慣れたそれとこれとは違うのだった。

大体、こっちの「島村」はF1のワールドチャンピオンなんだろう?こんなところでイチャイチャしてていいのかよっ・・・?

何しろ、ただでさえ目立つ容貌である。ジョーが入って来たときから、女性客はちらちらと彼のほうばかり見つめ噂し合っていた。そんな有名人である彼に、こんな可愛い恋人がいるだけならともかく、目の前でいちゃつかれてはファンとしては――

そうっと周囲を見回し、そしてやっと違和感に気付いた。

――あれ?

誰もこちらに注意を払っていない。
さっきまで携帯で写メを撮っていた女性客も、時折こちらを見つめるものの穏やかに微笑むだけである。

あれ?
・・・・・有名人じゃ、ないのかよっ

彼は知らなかったのだが、こちらの「島村」たちは既に「公認の仲」なのである。
もちろん、ジョーはフランソワーズの姿をメディアにのせる事は許していなかったが、彼に「大切なひと」がいて「ベタ惚れ」であるということは周知の事実だった。そしてそれが、ファンには好意的に受け容れられているということも。
だから、ふたりが「ふたりの世界」に入ってしまっても、「ああ、彼女があのカノジョなのね」と受け止められるだけなのだ。

「大地くん。あなたもしかして・・・」

フランソワーズは彼を見つめ、そうしてジョーを見つめた。
ジョーはウエイターから目を逸らさない。

「ジョー?」

自分がそばにいるのに、ちらりとも見ないなんて不思議だった。

「大地くん?顔が真っ赤よ?」

ジョーに見つめられているウエイターはトマトのように赤くなっているのだった。心もち瞳を潤ませて。
まるっきり無視されたようなカタチになったフランソワーズは、二人を交互に見つめ「あ」と小さく叫んだ。

「ヤダ、もしかして大地くん、ジョーにひとめぼれ?!」

 

***

 

「――はぁ?」
何言ってるんっすか?という声には耳を貸さず、フランソワーズは軽く唇を噛むとジョーを彼の視界から隠すように身を寄せた。

「駄目よっ。ジョーを好きになったら!」
「――へっ?」
「駄目っ」

挑むようにきらきらした瞳で見つめられる。

「えー・・・と、フランソワーズさん・・・?俺は別に」
島村っちに惚れる理由がありませんけど?

「だって、ジョーを見て赤くなったじゃない!――駄目よ、ジョーはあげないわっ!!」
「あげないわ、って・・・」
いらないです・・・と、がっくり肩を落とす。

「ジョーは私のだもんっ!」

フランソワーズはジョーの肩に腕を伸ばしその首筋に抱きついた。自分のものであると誇示するように。

「もうっ。どうしてジョーは男の人にももてちゃうのかしらっ」

もうイヤと言いながらジョーを更に抱き締める。
が、ジョーは彼女を優しく押し退け、立ち上がった。

「ジョー?」

フランソワーズは抱擁を受けてくれないジョーを訝しそうに見つめ――その表情に驚いた。
たった今気付いたのだ。彼が――ジョーが、物凄く怒っているということに。

「・・・軽々しく名前を呼ぶな」

地を這うような低音が響く。

「へっ?名前、って・・・」
「――フランソワーズって言うな」
「え?あっ、呼び捨てにはしてないですよ?ちゃんと「さん」って――」
「フランソワーズの名前を勝手に呼ぶな」
「え?あ、の・・・?」
「――断りもなくひとの女の名前を呼ぶなと言っているんだ」
「えっ、ひ、・・・・ええっ?」

「ん、もう、ジョーったら!」

青年の前で殺気をみなぎらせているジョーを押し留めるように、その胸に飛び込み、フランソワーズは背伸びして彼の頬にくちづけた。

「そんな怖い顔しないの。・・・いいじゃない、名前くらい呼んだって」
「嫌だ」
「だって、私はただのお客さんよ?彼だって他意はないわ」
「ただの?・・・そうかな」
「そうよ。通い詰めてるから、お互いに名前を知ったっていうだけでそれ以上でも以下でもないわ。・・・ね?大地くん」
「えっ、あ、」
「――そうかな」

再び彼を睨みかけたジョーの頬に手をかけて自分の方を向かせる。

「そうなの。それだけなの。――もう、こんなんじゃ私は誰にも名前を呼んでもらえなくなっちゃうわ」
「ふん。アイツの呼び方が気に入らない」
「そうかしら?普通よ?ちゃんと、フランソワーズ「さん」って――」
「いや・・・違う」

ただ呼んでいるのではなく、その名前を発音する声に、ただの客と店員という思い以上のものがこめられているように思えてならなかった。
何しろ、自分が彼女の名前を呼ぶときと似ているのだから。
彼のフランソワーズを見つめる視線や接する態度は崇拝者のそれだった。

――奴は絶対、フランソワーズを・・・

「フランソワーズ」
「なあに?」
「・・・フランソワーズ」

囁くように名前を呼ぶ。
彼女をこんな風に呼んでいいのは自分だけだと言いたげに、甘い声で。
耳元を掠めるジョーの唇に、フランソワーズはくすぐったそうに身をすくめた。

「・・・もうっ・・・ジョーったら」
「・・・フランソワーズ」

構わず、フランソワーズの腕を掴み引き寄せ、彼女の耳から首筋に唇を寄せる。

「ん・・・もう一回呼んで」
「フランソワーズ」
「もう一回」
「――俺のフランソワーズ」

言葉とともに頬にキスをされ、フランソワーズは頬を染めて身を離した。

「・・・ん。今日は「俺の」なのね?」

ジョーの鼻の頭をつんとつつく。

「御機嫌ナナメなのは待たせちゃったせい?」

ジョーは答えない。ただ、彼女の腰に回した腕に微かに力をこめるだけで。

「レッスンが長引くかも、ってちゃんと言ったじゃない」

小さく言って、腰に回されたジョーの腕はそのままに、ひょいと彼の背後のテーブルを覗き込む。

「あ、良かった。ちゃんととっておいてくれたのね?「キスだけが知ってる秘密」」
「言うの恥ずかしかったんだぞ」
「あら、そうお?」
「・・・フランソワーズ。わざとだな」

いたずらっぽく笑んだフランソワーズの体を自分の方へ引き寄せる。

「・・・許さない」
「だって、ジョーったら帰国してからずーっとそればっかりなんだもの」
「そうするから覚悟して、って言っただろ」
「・・・そうだけど」

軽く唇を尖らせたフランソワーズに苦笑し、唇を近づけたところへ背後から明るい声がかかった。

「はい、二人とも。お土産用にサービスよ。「午後の甘いくちづけ」と「食べ頃のきみは僕のもの」心ゆくまで召し上がれ」

絶妙のタイミングだった。

「あ、こら。お土産用って言ったのに」

 

***

***

 

「だって、ジョーってば帰ってきてからちゅーばっかりするんだもの」

家に帰ってきて早々に「Audrey」のテイクアウトを開けながら、フランソワーズは傍らのジョーをちらりと見つめた。
が、ジョーはその視線に全くひるまず、彼女に回した腕を緩めようとはしなかった。

「――イヤ?」
「イヤじゃ・・・ない、ケド・・・」

語尾が揺れて消える。

「ん、待って。ケーキ。ね、ケーキ食べましょう?」
「ん――」

不満そうに唸りながらフランソワーズの肩ごしに手元の箱を覗きこむ。

「・・・なんかチョコレートばっかりだな」
「ん・・・」

萌子さんったら!

箱の中身は、「キスの甘さを味わうムース」「きみを想う、恋はビター」「キスだけが知ってる秘密」の3種のケーキと「午後の甘いくちづけ」(クッキーセット)、「食べ頃のきみは僕のもの」(5種のマカロンセット)だった。

帰りがけの彼女の顔を思い出す。

「ふたりともそういう顔してたから」

そう言って鮮やかにウインク。きょとんとするフランソワーズに「開けたらわかるわよ」と謎の笑みを浮かべて。

もうっ・・・そういう顔、ってどんな?

 

 

 


next 「三時のおやつ」 

2008/11/10 up , 2010/7/17 down ,2012/8/26 re-up