「何を、考えているの・・・?」
闘いが終わっても、なかなか船内に戻って来ないジョーを探し、デッキに出ると
ひとり佇む姿を見つけた。
気付いたら、声をかけていた。
彼の後ろ姿が寂しそうで。
暗い海に溶けてしまいそうだったから。
でも、振り返ったジョーの瞳は明るかった。
「・・・うん。僕は、いろんなものを守るために闘っているんだなぁって」
久しぶりにあなたの顔を見た。
変わらない、優しい笑顔。
ずっと遠くに感じていたのに、今はとても近い。
そっと彼の腕に寄り添った。
そのまま二人、空を見上げた。
闇の中に瞬く星々。
「・・・ねぇ、フランソワーズ」
「なぁに、ジョー?」
「僕は時々、サイボーグであることを忘れたいと思う時がある。闘うことも、全て」
「・・・うん」
「だけど、そう思うことは逃げている事になるのかな。自分から」
「そういう時があってもいいと思うわ」
え、と驚いて、こちらを見る褐色の瞳。
その目を見つめ返して。
「ずっと闘うことばかり考えていたら疲れちゃうもの。
時々は忘れても・・・それは、逃げることにはならないわ。・・・大事な、ことなのよ」