第28話「サイボーグ帝国をたたけ!」

 

辛くなかった・・・といえば、嘘になる。

信じていた・・・というのも、嘘。

嘘。

嘘、嘘。

きれい事で固めた私の心。

彼に、嫉妬にゆがむ自分の顔を見せたくなかった。
彼を疑う自分なんて、許せなかった。

だから、そんなこと全然思ってなかったわ・・・って顔をして。

ちょっとだけ妬いちゃったけど、私は平気よ。って、言ってみたりもして。

嘘つき。

 

そして、私の嘘だらけの心にも全然気付いていない、あなた。

私があなたのことを想って、じっと待っていたと思っている。
いつでもあなたのことを許し、迎えてくれると信じ込んでいる。

どうして不安にならないの?
どうして、私があなたを待っていると信じているの?

私があなたを見限ったら、どうするつもりだったの?
あなたのことを嫌いになったら、どうするつもりだったの?

触れ合えば許してもらえる。許しあえる。なんて、思っているの?
私ってそんなに簡単な女に見えるの?あなたには。

 

「・・・きらい」

声に出して言ってみる。
そうしたら、あなたのことが嫌いになれるかもしれない。

「ジョーなんか嫌い」

でも。

「009なんか嫌い」

言うたび毎に、心が冷えて重くなってゆく。

 

だけど、あなたは全く気付かず・・・その寝顔もいつもと同じままだった。