以前の私たちに戻っただけ。
出会った頃の。
ふとすれば涙が滲んできそうで、003はぎゅっと目を瞑った。
「003、大丈夫か」
008が優しく問う。
「えぇ、大丈夫。・・・ありがとう」
身体を起こすと、008は優しく笑み、003の背中をぽんぽん、と2回叩いた。
まるで子供をあやすようなその仕草に思わずうつむく。
泣いてるの、見られた?
「・・・009も無事だ」
彼の声に頭を上げる。
涙で滲んだ先には、009の姿があった。
・・・良かった。無事ね。
彼はいま、ひとりで敵に挑んでいる。
私のことなんて、きっと考えていない。
闘っている時はいつもそうだから。
彼は、私を探さない。
彼は、私を見ない。
無事を確かめてくれるのが、あなたじゃなくても。
守ってくれるのが、あなたじゃなくても。
私は大丈夫。
私は、ひとりでも闘ってゆける。
私は003として、ここに居るのだから。
009なんて・・・9人の中の一人、じゃない。
そう、思った。
思うことに、した。