第28話「サイボーグ帝国をたたけ!」SS「涙」の続編
『素直に言ってごらん』

 

ジェロニモに突き飛ばされて、ジョーの胸に抱きとめられたフランソワーズ。
突き飛ばされたフランソワーズをしっかり胸に抱き締めたジョー。

(ジェロニモさん、グッジョブなのです♪)
(ちなみに、ジェロニモさんは「とんっ」とフランソワーズの背中を軽く押しただけだったのですが・・・。すっかり気を抜いて、というか廊下の先を歩いているジョーの後頭部をじぃぃっと切なく見つめていたので、不意をつかれてしまったのです。でもって、ジョーは何しろ背後にフランソワーズがいるのは十分に気付いて意識してましたから、おかしな気配に振り向き、振り向きざま、フランソワーズを抱きとめたのでした。さすがなのです。そこはやっぱり009なのです。・・・まあ、ジェロニモさんは、ジョーが受け止めやすいようにジョーの方に向かって突き飛ばしたのですけれども)

ジェロニモがのっしのっしと去っても、お互いの腕はしっかりとお互いを抱き締めて離さなかった。
ジョーの肩に顔を埋めて泣いてしまうフランソワーズ。
フランソワーズの髪に顔を埋めて泣くジョー。
どちらも、お互いの体温に安心して、ほっとして。

「ごめんなさい。ジョー」
涙で掠れた声で言うフランソワーズ。
「ごめん、フランソワーズ」
嗚咽を堪えながら小さく言うジョー。
しばらく鼻をすすって。無言で抱き締めあって。

「・・・ジョー。ごめんね。平気だったなんて、全部嘘なの。ほんとは嫌だったの。あなたが、王女さまの所に行くの、嫌で嫌でしょうがなかったの」
ぽろぽろ涙がこぼれてゆきます。
「ごめんね。平気なんて言って。全然、平気じゃなかったの」
そんなフランソワーズをぎゅうっと抱き締めて、ジョーも涙声で言うのだった。
「ごめん、ごめんね。フランソワーズ。全部僕が悪かった。・・・ごめん」
こちらもぽろぽろ涙がこぼれてゆきます。もう、号泣です。

(〜しばらくお待ちください〜)
(二人とも、ひっくひっくしゃくりあげてて、喋ることができませんのです・・・。)

数十分後。
「・・・まだ王女さまのこと、好き?」
「好きじゃないよ」
「ほんとに?」
「ホントだよ。・・・僕のほうこそ、フランソワーズに嫌われたと思ってた・・・!」
再び、その時の気持ちを思い出して涙がこみ上げてくるジョー。
「・・・嫌いになるわけないじゃない」
つられて再び涙ぐむフランソワーズ。
「うん。そうだよね」
泣いているんだけれども、にこ、っと笑むジョー。
「ばかね。ジョーってば」
「うん。ごめん。ばかで」
「いいわよ。そういうジョーが好きなんだもの」
「じゃあ、もう僕のこと嫌いって言わない?」
「言ってないわよ?」
「この前言ってた」
フランソワーズの瞳が丸くなりました。
「・・・聞いてたの?」
「うん」
「あのとき、起きてたの?」
「うん」
まぁ。びっくりした。
あの時、ぐっすり眠っててぴくりともしてないように見えたのに。
しかも、嫌いを連発しても、睫毛ひとすじも動かさなかったのに。