「あなたは、怪我はしていない?」

優しい声がふわりと僕を包む。
小さく頷くと「・・・良かった」と、ため息とともに言われた。
緩やかに、空気が温かくなった・・・ような、気がした。

どうして君は。
いつもいつも、他人の事ばかり心配して、優先して、自分の事は後回しなんだ?

「・・・してないよ」
怪我なんてしていない。
君が守ってくれたから。

思わず唇を噛む。
やっぱり駄目だ。
このままでは・・・

「・・・フランソワーズ」
君は僕を愛してはいけない。
駄目だ。

そう言おうとしたのに。
振り返って彼女の蒼い瞳を見てしまったら。

ごめん。
フランソワーズ、ごめん。

だけど僕は。