背中合わせで目が覚めた。
昨日と違って今は敵もいないし、何より闘いの最中ではない。
平和な夜を過ごしたはずなのに、お互いに触れ合っているのは背中だけ。
顔も見えないから、ジョーが眠っているのか実は目を覚ましているのかもわからない。
確かめようにも、動くと眠っているかもしれないジョーを起こしてしまいそうで、できない。
うーん。
どうしてこういう体勢になってしまったのか。
眠りに落ちる前は、確かにジョーの腕のなかにいたはずなのに。
ケンカしたわけじゃないし。
もちろん嫌いになったわけでもない。
……なんでだろう。
ま、でもたまにはいいかも。
――なんて思ってもう一眠りしようと目を閉じたら。
「……フランソワーズ。どうしてそっぽ向いてるんだ」
愚図るような声とともに抱き寄せられた。
鼻を首筋に押し付け甘えるように唸っている。
――ああもう。
最初はちょっと寂しかったけれど、いつもの体勢になったらさっきの背中合わせが懐かしく思えた。