「ところで、ジョー?これはいったいどういうこと?」
「フランソワーズ!その部屋はっ」 スリーは瓦礫の山を前に呆然としていた。 「・・・何か探してたの?」 言えない。 問うようにじっと見つめられ、ナインの全身の毛穴から汗がふきだした。 失くしたとかどこにしまったのか忘れたとか、いつもならすぐに彼女の助力を請うところである。だからスリーも無邪気に尋ねているのだけれど、ナインとしては絶対に言うわけにはいかなかった。 「――そう・・・」 スリーはちょっと考えるように黙り込んだ。 「でも、今日は私のお誕生日だもの。一日、私の好きなように過ごしていいって言ってくれたわよね?」 だからナインの部屋に遊びに来ているのである。ナインの部屋でナインにご馳走したいの、いいでしょう?とおねだりされて、ナインに否と言えるわけがなかった。 「だから探し物のお手伝いをします」 一歩も引かないスリーにナインが本格的に困り始めた時。スリーがナインの顔を見て笑い出した。 「・・・もうっ。ジョーったら」 ナインには何故笑われているのかわからない。 「え、なんだい急に。何がおかしい?」 そうして身を翻すとキッチンに戻ってしまった。ナインは話の展開上、後を追ってキッチンに続く。 「フランソワーズ。いったいきみは」 バッグをごそごそやっていたスリーは、「じゃーん」という効果音をつけてバッグから手を引き抜いた。 「ジョーの探し物ってこれじゃない?」
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