その手に握られていたのは、白いリボンのかけられた淡いブルーの小さな箱。
「いったいどこにっ、なんできみがっ」 昨日、ギルモア邸にコーヒーを飲みに行ったのは、確かにこのプレゼントを購入した後のことだった。 「一日早いプレゼントなのかしら、って思ったけど」 ナインが手を伸ばすけれども、スリーはうまくすり抜ける。 「でも・・・もしかしたら、私へのプレゼントなんかじゃなくて、誰か他のひとへの大事な贈り物かもしれないでしょう?――今も取り返そうって必死だし」 スリーは笑いを引っ込めて、至極真面目な顔でナインを見た。 「・・・駄目でしょう?落としたりして。時期が時期だけに誤解しちゃうわよ?」 誤解しちゃうわよ、という声が少し震えているような、スリーの瞳が潤んでいたような、そんな気がしてナインは咄嗟にスリーを抱き締めていた。 「・・・ジョー?」 そもそもポケットから落としたことにも気付かなかったナインに非があるのではないかと思いながら、けれどもスリーはそこを指摘するのはやめておいた。 「・・・私、ジョーをいじめてた?」 そうして甘えるように頬をすりよせるナイン。その頭を撫でながら、スリーは微笑んでいた。 ――私、ジョーをいじめて勝ったのって初めてかもしれない。
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