「やっぱりヤバイ翌日」

 

 

「おかえり、スリー。あれっ、アニキも一緒かい」
「よお」
「ただいま、セブン」

みんなもう慣れているといっても、外泊した翌日はやっぱりちょっと照れてしまう。
いくらナインが一緒にいてくれても、それこそが「昨日はずっと一緒にいました」という証明みたいで。
一日中、ずっと一緒にいた。朝から晩まで。・・・ううん、次の朝まで。

「コーヒー、いれるわね」

マフラーを外しコートを脱いだ私をセブンがじっと見つめている。

「な、なあに、セブン」
「・・・ふうん」
「何よ」

セブンはにやりと笑うとひとりでうなずいた。

「昨日、出かける時はなかったよね、それ」
「えっ!?」

セブンの視線が私の首のあたりを漂う。

「えっ、な、なにが?」
「それ、アニキからだろ」
「えっ、そ、」
「フーン。アニキもやるねぇ」

いやだ、セブン。何の話をしているの!

私は顔が熱くなって、何て言い返せばいいのかわからなくなってしまった。困ってナインの顔を見る。
ナインは私の視線に顎を引くと、ソファから立ち上がってこちらにやってきた。やってきて・・・手にしていた新聞紙を丸めて筒状にして、セブンの頭を叩いた。

「いってー、何すんだよアニキ」
「スリーをからかうな」
「だってさ、昨日はなかったんだもの」
「そうだな」
「アニキだろ?」
「ああ」
「ジョー?」

何言ってるの!

私はナインの腕を引いた。

だってだって、こんな・・・あっさり何を言ってるのよ!

「うん?」

ナインの目がこちらを向く。

「何か困ることでも?」
「だっ・・・」

だって。
昨夜、首のところに痕をつけたのは他でもないナインで・・・

「うん。よく似合うよ、そのネックレス」

ネックレス?

私はセブンの声に顔をあげた。思わずネックレスに指で触れる。

「昨日はしてなかった・・・って事はアニキからのプレゼントだろう?」
「当たり前だ。・・・まあ、もっとも」

ナインの目がこちらを向く。

「誰かさんは勘違いしてたみたいだけどね」

ナインのばか。意地悪っ。

「僕に勝とうなんて百万年早いよ」

昨日、いじめたのを根に持ってる。

「い、いいもん、百万年ずうっと一緒に生きてるから!」

ナインは大笑いした。
その頬がうっすらと染まっているのが目に焼き付いた。