「やっぱりヤバイ翌日」
「おかえり、スリー。あれっ、アニキも一緒かい」 みんなもう慣れているといっても、外泊した翌日はやっぱりちょっと照れてしまう。 「コーヒー、いれるわね」 マフラーを外しコートを脱いだ私をセブンがじっと見つめている。 「な、なあに、セブン」 セブンはにやりと笑うとひとりでうなずいた。 「昨日、出かける時はなかったよね、それ」 セブンの視線が私の首のあたりを漂う。 「えっ、な、なにが?」 いやだ、セブン。何の話をしているの! 私は顔が熱くなって、何て言い返せばいいのかわからなくなってしまった。困ってナインの顔を見る。 「いってー、何すんだよアニキ」 何言ってるの! 私はナインの腕を引いた。 だってだって、こんな・・・あっさり何を言ってるのよ! 「うん?」 ナインの目がこちらを向く。 「何か困ることでも?」 だって。 「うん。よく似合うよ、そのネックレス」 ネックレス? 私はセブンの声に顔をあげた。思わずネックレスに指で触れる。 「昨日はしてなかった・・・って事はアニキからのプレゼントだろう?」 ナインの目がこちらを向く。 「誰かさんは勘違いしてたみたいだけどね」 ナインのばか。意地悪っ。 「僕に勝とうなんて百万年早いよ」 昨日、いじめたのを根に持ってる。 「い、いいもん、百万年ずうっと一緒に生きてるから!」 ナインは大笑いした。
「よお」
「ただいま、セブン」
いくらナインが一緒にいてくれても、それこそが「昨日はずっと一緒にいました」という証明みたいで。
一日中、ずっと一緒にいた。朝から晩まで。・・・ううん、次の朝まで。
「・・・ふうん」
「何よ」
「えっ!?」
「それ、アニキからだろ」
「えっ、そ、」
「フーン。アニキもやるねぇ」
ナインは私の視線に顎を引くと、ソファから立ち上がってこちらにやってきた。やってきて・・・手にしていた新聞紙を丸めて筒状にして、セブンの頭を叩いた。
「スリーをからかうな」
「だってさ、昨日はなかったんだもの」
「そうだな」
「アニキだろ?」
「ああ」
「ジョー?」
「だっ・・・」
昨夜、首のところに痕をつけたのは他でもないナインで・・・
「当たり前だ。・・・まあ、もっとも」
その頬がうっすらと染まっているのが目に焼き付いた。