どこへ何しに行くのか――買い物だけど――教えてもらえない僕は、ただむかむかと胸が悪くなるだけだった。気分が悪い。最悪だ。 どうして僕が行ったらダメなんだ。 しばらくして、スリーがちょこっと顔を出し「行ってきます」と笑顔で言った。 「――帰る」 途端に困った顔をするスリー。 「何?僕が一緒に出ると何か困るのか」 ちらりと僕の顔を見る。 「――ついて来ないでね」 その瞬間、頭に血が昇った。 「何だよその言い方。僕がいると何か困ることでもあるのか」 そんな事ないわ、という言葉を期待していたのだけど。 「――そうね。困るわ。ええ、ジョーが一緒だと凄く困るのよ」 頭がくらくらした。 「・・・何でだ」 もうっ、だからついて来ないでね、と言い残し背を向けるスリー。 「いたっ。何、ジョー?痛いじゃない」 スリーは僕の手が緩まないと悟ると、きっと僕を睨みつけた。 「いい、ジョー。あなたが心配するような事は何もないわ。本当よ?」 僕はスリーの持っていたバッグで殴られた。 「もうっ!一体、何を言ってるの!?ジョーがそんなにやきもちやきだなんて知らなかったわ!」 ばかばかと更にバッグで連打してくる。 「いてて、スリー、いい加減に・・・」 バッグの角は意外と痛いんだぞ。 ――まったく、とんだ乱暴者だ。 彼女の両手を掴んだまま、僕は顔を覗き込んだ。そして、次の瞬間、驚いて手を離していた。 顔を真っ赤にして。 目は潤んでいて。 ――泣いている? 何故? ――どうして?
「・・・あの、フランソワーズ」 掴んでいた手が痛かったのかもしれない。そういえば手加減してなかった・・・と思い出した。 「知らない。ジョーのばか」 いや、それはそうなんだけど。 「だけど」 「・・・え?」 「なのに、ジョーが一緒に来たら台無しじゃない」 絶対――なんだというのだろう? 「いや、そう言ってくれていれば無理について行こうなんてしないよ」 参ったな、と頭を掻く僕にフランソワーズは頬を赤くしたまま続けて言う。 「そんなの、わからないもの。――もう。だから今日は顔を合わせないうちに出かけるつもりだったのに」 ・・・だから、来た時迷惑そうだったのか。 「隣に座らなかったのだって、だって・・・隣に座ったらジョーは絶対」 だから、絶対なんだというのだろう? 「――私、今日はもうお出掛けの格好してるから、だから・・・」 更に頬が染まるスリーに、何だか僕の体温も上昇してきたような気分になる。 「いや、だから・・・そう言ってくれれば僕は別に」 君が隣に座ったから、って抱き締めたりなんかしないで我慢したのに。 「だって、服がシワになっちゃうもの。――いつもの自分の行動、憶えてないの?」 憶えてる・・・けど。 だってさ。 「だから、今日はひとりで出かけたいの。それだけなのに」 だけど。 僕の誕生日プレゼントなんて、そんなの――
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