後片付けを終えて、セブンと博士を寝かしつけたところに電話が鳴った。 「――やぁ、フランソワーズ」 「ジョー!?どうしたの!?」 何か事件でも? 「別にどうもしない。――これからそっちに行ってもいいかな」 「もうセブンも博士も寝ちゃってるわよ?」 受話器を置いた途端にインターホンが鳴った。 「――ジョー!?」 だって、たった今、電話をしたばかりで・・・ 「ゴメン。コレで電話してたんだ」 「いったいどこから電話してたの?」 呆然とする私を置いて、勝手知ったる他人の家、ズカズカとリビングに入ってゆく。 「やっぱり一日の最後は、スリーの淹れたコーヒーを飲まなくちゃね」 調子いいんだから。 ひとしきり笑ったあと、コーヒーを淹れるためにキッチンへ向かおうとした私の背にナインが何か言った。 「えっ?何か言った?」 振り返ると、ジョーが見ていたのは昨日彼からもらったチューリップだった。 「まだ咲いてるね」 間。 「・・・ねぇ、ジョー?」 ジョーはチューリップから目を離さない。 「――ねぇ、フランソワーズ」 考えたこともなかった。 そう言って、今度は私をじっと見つめる。 「花言葉って知ってる?」 ジョーからそんなセリフが出てくるのが意外で、まじまじと見つめ返す。 「知ってるけど・・・それが?」 えっ? 『美しい瞳』って・・・ 頬が赤くなったのを見られないように、彼に背を向け再びキッチンへ向かう。 「ゼロゼロスリーの目には、随分助けられているからね。 ・・・なんだ。 「あ。コーヒーはブラックでいいから」
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