・・・あなたは?ジョー。
俗にいう「質問返し」だった。
![]() ![]() ![]()
僕の初恋のひとは誰か、だって? そんなもの。 ・・・そんなの、できれば「金髪碧眼の女の子さ」と言いたい。
・・・でも。
別に馬鹿正直に言う必要なんか、ないんだよな? おそらく、彼女が期待しているのは、
僕の初恋のひとはきみさ。
という言葉だろうから。
・・・・・・。
心のなかで言っただけなのに、あまりにも恥ずかしいセリフに身体が痒くなった。 いずれにせよ、しばらく口をきいてくれないだろう。 そんなことはゴメンだ。 だったら、やっぱり正直に言うべきなのだろうか。 ちらりとスリーを見ると、彼女はじっとこちらを見ていた。 うわわっ。 きらきらした蒼い瞳。 僕の初恋のひとは黒髪に黒い瞳の日本人で間違いないだろう。 初恋のひとの、顔も覚えていない・・・なんてことは、おそらくよくあることだろう。 だけど僕は、初恋のひとだけではなく、中学生の頃の彼女とか、それ以降の彼女たちの顔も忘れてしまっているようだった。 ――記憶喪失か。 どうして記憶喪失になったのかわからないが、これはいいかもしれない。 僕は大きく深呼吸した。 ――ヨシ。 言うぞ。
「そんなの、フランソワーズに会ってから忘れたよ」
・・・あれ?
予定していたセリフと違う。 口が勝手に何か喋った。
スリーは頬を薔薇色に染めて「いやだわ」と言ってうつむいた。
|