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「はい、セブン。プレゼント」 差し出されたそれに、セブンはびっくりして顔を上げた。 「えっ・・・プレゼントって」 いつもは、チョコチョコチョコちょうだいー!と、大騒ぎするセブンなのに、今回はなぜか暗い顔をしている。 「どうかした?」 ぐいっとチョコレートの箱をつきつけられ、スリーは一歩引いた。 「だ、だってセブン。ナインは今日お仕事でここには来ないもの」 困ったようにべそをかくセブン。 「だって、スリーがアニキにあげないでオイラだけにくれるなんておかしいもの。変だよ、そんなのっ。最近、アニキはちっともここに来ないしさ。仲の悪いふたりなんてやだよ!」 「スリーが僕を避けてるだけ、ってことさ!」 「アニキっ」 いつの間にかリビングのドアが開いており、そこにサングラスをかけたままのナインが立っていた。いつからそこにいたのかはわからない。 「ほらっ、スリー!アニキはちゃんとここに来たじゃないか!だから、チョコレートっ・・・」 セブンがナインに纏わりつくようにして一緒に歩いてくる。 「・・・別に今日は仕事じゃない。前に言ったはずだが」 そのままソファにどっかりと腰を降ろす。 「ねえねえ、ファン感謝祭ってどんなの?」 ちらりとスリーを見つめる。 「ほっぺにちゅーしたり、色々だ」 スリーはセブンに渡したはずのチョコレートを持ったまま立ちつくしていた。さっき「受け取れない」とセブンに返されたままだった。その箱をぎゅっと握りしめると、口元に笑みを浮かべふたりのそばへ近付いた。 「セブン。はい、これ。もう受け取ってもらえるでしょ?」 ちらちらと二人の顔を交互に見ていたセブンも、二人の会話にやっと安心したのかスリーからチョコを受け取ると嬉しそうに走って行ってしまった。 「・・・・・」 気まずい沈黙がおりる。 「――あのさ」 低いナインの声。スリーの肩がびくんと揺れる。 「今日は何の日だか知ってる?」 再び沈黙。 「・・・あの、ジョー?」 憶えてなかった。 「意外と14日当日にすると来られないひとが多いんだ。だから、ここ数年はずっと11日なんだが」 あまりのナインの言葉に喉が詰まる。 「・・・そんなことっ・・・酷いわ」 口元を上げてナインが嗤う。 「酷いのはきみのほうさ。今日、僕がここに来ないと思って安心してたんだろう?」 そうじゃない、と言いたいのに声が出ない。 「あいにくだったね。僕は今日、ここに来た。それも、きみに会うためにだ」
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