「輝る瞳」
私は自分の目が嫌い。 元々あまり好きじゃなかったのに、改造されてもっと好きじゃなくなった。 遠くまで見通すことができる千里眼。 それが嫌で、それが恥ずかしくて誰にも見られたくなかった。 特に、好きなひとには。 *** 「えっ?何で?」 「・・・嫌いなのかい?自分の目」 私は無言で頷いた。 「ふむ。そうか」 ナインは険しい顔になって、顎に手をあてて考え込んでしまった。 私はなんだかいたたまれなくなって口を開いた。 「あの、ジョー」 「よし、わかった」 同時だった。 「えっ?」 わかった、って、何が? ナインは歩み寄ると私の顎に手をかけて彼のほうを向かせた。 「あの・・・ジョー?」 そうしてナインは手を離した。 「その目は僕のだ。たまたまきみに貸しているだけだ」 ナインの頬が朱に染まった。 ・・・もう。ジョーのばか。 私は何て答えたらいいのかわからなくて、ただ彼の上着の裾を握り締めた。
よりによって、どうして目を改造したのだろうと思う。
もっと他にもいろいろあるはずなのに。
闇夜も見える目。
でも、夜にその力を使うと金色になってしまう。
獣のように。
・・・ジョーには。
ナインがきょとんとして言う。
・・・そんなに深刻にならなくてもいいのに。
じっと見つめる黒い瞳。
真剣な顔。ちょっと怖い。
「今日から、・・・いや、たった今からこの目は僕がもらう」
「えっ?」
「だから、この目を嫌いだなんて言うことは許さない」
「あの、」
「何故なら、僕はこの目が凄く好きだからだ。だから、悪く言うヤツは許さない」
「でも」
「例えきみでも許さないよ、フランソワーズ。覚えておくんだな」