「合コン?」
「しっ。セブンたら、声が大きいわ」
「だけどさ・・・」
「前から一度行ってみたかったのよ」
バレエ教室のお友達に合コンに誘われた。
合コン自体に興味は無かったけれど、一度くらい体験してもいいかなという軽い気持ちで承諾した。
私があっさり行く気になったのに驚いて、誘った当の本人たちは慌てた。
何しろみんな、私には決まったひと――ナインのことだ――が居ると思っているから。
・・・違うのに。
事実と全く乖離しているみんなの認識に悲しくなるやら呆れるやら、ごちゃごちゃした気分になって、半分意地で承諾したような気もする。
「だって、アニキが知ったら何て言うかなあ」
セブンの言う「アニキ」とはナインのことだ。
「あら、どうしてそこにナインが出てくるの」
「だってさ」
「・・・そうねえ。絶対、コドモなんだからまだ早いって言うわよね、きっと」
ちょっと考えて。
「――うん。だから内緒にしてね、セブン」
「ええっ。そんなの無理だよ」
「お願い」
「お願い、って・・・」
ブツブツ言っているセブンをリビングに残し、出かける準備をするため自室に戻った。
階段を昇る足取りも軽く。
――ヤダ、私ったら何だか浮かれてる?
だって。
普段ナインが話す「合コン」がどういうものなのかがわかるんだもの。
いつも楽しそうに話すナイン。
彼の話では、同数の初対面の男女が会食するということだった。
年齢が近い者同士が多く、話が弾むらしい。
今夜は初めての合コン。
ナインが言うように楽しかったらいいな。
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