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「スリー・・・フランソワーズ!何をしてるんだ!」 いつものようにやって来たナインは、庭にいる私とセブンを見つけたと同時に大慌てで割って入った。 「セブン!何やってるんだ!」 チラチラとこちらを見つつも、泣きそうな顔でナインに訴えるセブン。 「ずうっと射撃練習に付き合わされてるんだ。しかも、オイラに自分を狙って撃てって言って」 ナインは舌打ちをすると、私を睨みつけた。 「フランソワーズ!やめるんだ!」 ナインはやって来ると私の腕を掴んだ。 「やめるんだ!」 有無を言わせず、私の腕を捻り上げレイガンをもぎ取った。 「君は女の子なんだ。こんなこと、しなくていい!」 ナインは一瞬黙り、そして・・・掴んでいた私の腕から手を離してポツリと呟いた。 「君は何にもわかってないよ、フランソワーズ」 わかってるわよ。十分すぎるくらい。 「・・・君は全然、わかってない」 もう一度繰り返すナイン。 「僕は君を足手まといだなんて思った事は一度もない」 息が詰まった。瞬時に動悸がし――頭に血が昇った。 「私の身体だって、半分は機械よ!?知ってるでしょう!?」 必死の思いで頭を左右に振る。 「・・・そうじゃないよ、フランソワーズ」 「フランソワーズ。君は戦わなくてもいいんだ。僕のように――戦う機械ではないのだから」 戦う機械。 あの時敵が言い放った言葉の矢は、間違いなくナインをも貫いていた。 「――僕は半分以上が機械で、生身の部分なんて僅かしか残っていない。戦わなければ、ただの鉄クズに成り下がるだけだ。でも、君は違う。君は鉄クズなんかにならない・・・させない。」
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