「可愛いひと・2」
−1−
「何してるんだ!寝てなくちゃ駄目だろう!」 ドアを開けた途端に怒鳴られ、そのまま2階へ運ばれてしまった。 私をベッドに寝かしつけてから、 「――全く、油断も隙もない。こうして毎日、見張りに来ないといけない僕の身にもなってみろ」 大威張りで言い放つ。 「別に頼んだわけじゃないわ」 上掛けの中で言ったのに、耳聡いナインは聞き逃さなかった。 「またそういう可愛くない事を言う。――可愛くしてろと何度言ったらわかるんだ」 言いつつ、こわごわと私の頬に手を伸ばし、患部にちょんと触れた。 「――痛むだろう?まだ」 ここで「平気よ」なんて言おうもんなら、ますますナインのお説教が続きそうだったので仕方なく嘘をついた。 私が口ごもっていると、ナインは慣れたようにベッドサイドに椅子を置いてどかりと座った。 「何か要るものがあったら言ってくれ。ここにいるから」
|