旧ゼロ「嫌い!」

 

 

 

「嫌い!」

 

言った瞬間に後悔していた。
身動きしない身体に表情の消えた顔。

「――今日は4月1日じゃないよな」

あの、ごめ…

「てことは、本気で言ってる――」

ちが…


「――わけないか」

ん?


途端、呪縛が解けたかのように数歩で彼我の距離を詰められ

「泣くくらいなら言わないこと」

と優しく言われ頬にキスされた。

「だって、呪いが」
「呪い?」

言っている間に二人を包み込む謎の紫色の煙。

「試されているの。早く、俺も嫌いって言って」
「えー、やだよ」
「ジョー、蛙になってもいいの?」
「それもやだな…ふむ。試されているのは何だ?」
「それは、」

ああもう時間がない……っ

瞬間、引き寄せられナインの唇が唇に触れ強引に舌が侵入してくる。

「ん、ジョ」

しかしそれはあっさりと離れ、何だか置いてきぼりにされたような妙な寂寥感が残った。


「ほら、やっぱりな」

見ると煙は消えていた。

「真実の愛のキスっていうの?それなら確か呪いを無効にさせるはず…って、フランソワーズ聞いてる?」


知らない。
何だか色々中途半端っ。

 


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