「減るもんじゃない」
キスをしたって減るもんじゃない。
スリーは呪文のように唱えていた。
――ジョーが言っていたもの。大丈夫だよ、って。
だから、キスくらいどうってことない。
***
「うえー。ぺっぺっ」
しかし、影は洗面所の戸口に立ったまま動こうとしない。 「フランソワーズ?」 その瞳が潤んでいるのを見つけ、ナインは数歩でスリーの目の前にやって来ていた。 「なんだ、どうした一体」 消え入るような声。 「バカだなぁ。大丈夫だよ」 スリーはぱっと顔を上げた。 「でも!やっぱりイヤだったんだもの」 ナインはううんと唸るとスリーをそうっと抱き寄せた。 「本当に大丈夫だから」
***
今回のミッションでハニートラップを仕掛けようと提案したのはナインだった。 「平気だよ。キスしたって減るもんじゃないだろう?」 トラップを仕掛ける相手は男だったから、スリーは自分がやるのだと覚悟を決めた。 しかし、彼が平気だというからには平気――なのだろう。 そう思った。
そして、スリーのふりをして―― ナインとしてはあまり思い出したくない瞬間だった。
***
いっこうに泣き止まないスリーの頭を撫でながら、ナインは小さく言った。 「僕が他のひととキスするのは許せない?」 そう言った瞬間、スリーはぎゅうっと抱き締められていた。 「奇遇だね。僕もイヤだ」
そう言ったのは自分だったけれど、望まぬキスは何かを失くしたような気もしていた。
|
↓
むき操様宅でキリバンを踏みまして、リクエストいたしました♪
ノリノリなナインっ!
個人的には胸盛りすぎだろう…と思うのですが、スリーの感想が気になるトコロです。
当サイトバージョンの二人ではこんな感じになります・・・
3「ジョー、あの…その胸は嬉しいけど、あのその」(私、そんなにないわ)
9「え?そうかな」(僕にはこう見えるんだけど?)
3「……」(じっと自分の胸を見る)
9「……」(じっと自分の胸を見る)
なにやってんだ、あんたたち!もう好きにしてクダサイ・・・
むき操様、ナインの新たな黒歴史を受けてくださりありがとうございました♪
むき操様の素敵サイトはこちら