「腕枕」

 

 

腕まくら、って腕が痺れないのかしら?


スリーは少し頭の位置を変えてみた。
ほんの少し。
1センチくらい。
けれども体勢は殆んど変わらず、依然としてナインの腕まくらはそのままだった。


・・・やっぱり痺れないわけないわよね。


小さく諦めの溜め息をつく。
どうしたって、彼の腕から逃れることはできないのだ。
大体、気になるポイントは腕まくらだけではなく、他にもたくさんある。


体に回された腕とか。


脚の上にあるナインの脚とか。


ともかく、とっても窮屈だった。


・・・眠れない。


いったんは眠ったのに目が覚めてしまった。が、まだ外は暗い。
隣のナインの顔を見ていようかと思ったけれど、いまスリーが動ける範囲では彼の顎のラインしか見えなかった。

だから、できることは・・・

 


***

 


「ねえ、ジョー。腕は痺れないの?」
「うん。平気」
「・・・眠りにくいとか、そういうのは?」
「無いよ。・・・もしかして窮屈だった?」
「あ。ううん。大丈夫よ」

一度目が覚めたものの、そのあとまた眠ったのだから。

ナインの鼓動を子守唄にして。


・・・と発表するのは恥ずかしかったから、代わりに


「・・・温かかったから」


と言った。
答えになってないし、もしかしたらある意味大胆な答えだったかもしれないと気付いたのは、嬉しそうに笑うナインを見たときだった。

 


たぶん私はジョーの腕まくらが好きになる。


でもそれは、今はまだ内緒。

 

 

 

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