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僕の大事なフランソワーズ。 いったい、見知らぬ男の車に乗ってどこへ行くつもりだ? けれども、後ろから窺う限りでは、車内の男女はとても楽しそうで、何も心配するようなことはなさそうだった。 楽しそうに話している。フランソワーズが。 複雑な思いに囚われながら、それでも僕は前をしっかり見て車を走らせた。 その時は堂々と言うだけだ。
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着いた先は、イルミネーションの煌く横浜だった。 どうしてここに彼女は男連れで―― 頭の中にある「答え」を見ないようにして考える。 楽しそうだったから、拉致されたわけではない。 そうだ、もしかしたら、博士の知り合いとかで――横浜を案内してくれと頼まれたのかもしれない。 フランソワーズと見知らぬ男がふたりきり。 その事実が持つ意味を、僕は考えたくなかった。
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