「やきもちですか?」
「ナック?」 ナインは耳を疑った。 ナインのひきつった笑みに全く気付かないのか、スリーがコロコロと笑う。 「遊びに来るのよ」 まったくもって意味がわからない上に不愉快甚だしい。 「何しに来るんだ」 すると、スリーはナインをちらりと見つめ小さく首を傾げた。 「あなたに決まってるでしょう?」 ナインは険しい目付きでスリーを眺め、全体重を預けるようにソファに座った。 「仲良しなんでしょう?」 してないわ、という声がナインの胸に遮られ消えた。
「なんだろう。世界で最も聞きたくない名前を聞いたような気がするけど気のせいかな」
「あら、気のせいじゃないわ」
「ハァ?」
「だから、遊びに」
「誰と」
「なんだそれ」
「やめてくれ。いったいどこからそんな話が出てくるんだ」
「・・・仲良しじゃないの?」
「全然」
「・・・ふうん」
「なんだよ、ふうんって」
「ミッチも遊びに来るのよ」
「へぇ。そうなんだ」
「嬉しい?」
「別に」
「好きなんでしょう?」
「え?」
「ベッドまでわざわざ食事を運んであげるくらい」
「具合いが悪かったんだから、当たり前だろ」
「セブンが持っていく予定だったって聞いたわ」
「そ・・・」
「私がいないと積極的なのね、ジョーは」
ナインはスリーをじっと見つめた。
スリーはナインに背を向け、リビングの窓から庭に目を向けた。
「ナックって、本当は優しいのよね。薔薇も直してくれたし」
「フランソワーズ。君をさらった男だぞ」
「・・・でも優しいひとだわ」
「フランソワーズ。もしかして、妬いてる?」
くるりと振り返ると目の前にナインが立っていた。
「妬いたりなんか」