―5―

 

「お願い、やめて!!ジョーが・・・ジョーが死んじゃう!!」

 

 

・・・えっ?

 

 

目を開けると、目の前にフランソワーズの顔があった。
僕を胸に掻き抱いて、顔は涙でぐちゃぐちゃで。

 

――なんだ、何がどうした?

 

どうしてそんなに――泣いている?

 

誰がきみを泣かせた?

 

「・・・フランソワーズ」
「ジョー!!大丈夫・・・?」

涙で光る頬を僕の頬に押し付けて。

「喋っちゃ駄目!」
「だけど」
「黙って!!」

僕は無理矢理黙らせられた。フランソワーズの唇に。
熱くて、甘くて、柔らかい――

・・・フランソワーズ。

「ジョー、お願い、何も言わないで、このままじっとしてて」

だけど、きみは泣いているじゃないか。
きみを――僕の大事なきみを――泣かせたのは誰だ?

こうしている間にも、フランソワーズの胸に腕に抱き締められている僕の体に彼女の涙が降ってくる。
あとからあとから湧いてきて、彼女の瞳から零れ落ちてゆく。

いったい誰のための涙なのか、そんなことはどうでも良かった。
泣き止まないフランソワーズ。その涙を拭うにも僕の体は僕の思うままにならなかった。鉛のように重くて――重くて、指いっぽん動かすことができない。
だから僕は目だけを動かして周囲を探った。彼女を泣かせた人物がどこかにいるはずなのだ。見つけたら絶対にただではおかない。何故なら、フランソワーズは僕の大事な女の子だからだ。
そのフランソワーズが泣いているんだ。

僕の。

大事なフランソワーズが。

泣いている。

 


泣かせたのは、誰だ!?

 

 

僕か?

 

 

それとも

 

 

泣かせたのは――だれ、だ?

 


「・・・離してくれ」
「イヤ!」
「フランソワーズ。・・・頼むから」
「イヤよ」
「・・・フランソワーズ」
「だって、離したらジョーが死んじゃう」
「・・・ばかだなぁ、死なないよ僕は。なんたって最強のサイボーグなんだから」
「そんなの関係ないわ」
「――いいから、離してくれ」
「イヤ!駄目!!動かないで、お願いよジョー!」