―6―
私は腕の中で体を起こそうとするジョーを押さえるのに全力を尽くさなければならなかった。 それは。 009だけを狙った精神攻撃。 彼の脳波に同調し、彼の精神波のパターンを解析し、彼に――まるで現実のような悪夢を体験させる。そして、最強のサイボーグである009を戦わずして廃人同様の状態へ追い込む。 009は――ジョーは強いひとだから、大丈夫。 誰もがそう思っていた。だから、そんな兵器には負けないだろうと――勝手に思い込んでいた。 でも、私たちは間違っていた。 確かに009には弱点はない。 ふだんは見えない。彼は巧みにそれらを隠す。 誰も知らないジョーの弱点。
そしてジョーは、あっけなく――本当に意外なほどあっけなく罠にかかり、そして倒れた。 あんなジョーの顔は見た事がなかった。 全てを諦めたような。 そして――壊れた。
ジョーの心が、009の心が、壊れてしまった。
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