先に目が覚めるのはいつものことだったけれど、今回はあまりに早すぎる目覚めだった。
なにしろまだ未明だ。夜明け前。
一緒にベッドに入った時に消灯したままだったから、部屋の中は真っ暗だった。
でも、怖くない。
見慣れた部屋。見慣れた天井。全ては見慣れた景色だから。

私はそうっと身を起こそうとしてみたのだけど、すぐに彼の胸に押し付けられ断念した。

ジョーったら。
これで熟睡してるなんて信じられない。
本当は起きているんじゃないの・・・なんて、顔を見上げてみるけれど、やっぱり眠っている。
ぴったり閉じられた瞼。
少し開いている唇。
あまりにも無防備な009。そのくせ、抱き締めた腕を緩めることはない。

そんなに大事なのかしら?
・・・私のことが。

そう思うと、胸のなかに温かいものが広がる。

ジョー。

私もあなたのことが大事よ。

耳に響く鼓動。
一定のリズムを刻むそれは、やっと落ち着いて聞けるようになった。

最近は、こうして一緒に眠る事が多くなった。
もちろん、毎日ではないけれど、それでも以前と比べたら私の外泊率は上がっているだろう。
でも、博士もセブンも何も言わない。
だって翌朝、ジョーがきちんと送り届けてくれるから。
だから私は安心していていいのだけれど、でも――それが少し名残惜しく思うのは何故なのかしら。

ねぇ、ジョー。

私ね、最近、目が覚めて独りの朝は寂しくなるの。

・・・って言ったら、笑う?

 

最初は戸惑いながら。


次は少し幸せで。


その次は愛しくて。

 

ジョーの「アイシテルヨ」を夢うつつで聞くのが好き。
ふだんは聞いたことがないから、もしかしたら彼は無意識に言っているのかもしれない。

私は・・・未だにこの気持ちを伝えることができていない。
状況が状況なので余裕がなくて、言うことができずにいた。

でも。

私もいつか、ちゃんとそう伝えたい。
大好きな気持ち。
愛しい気持ち。
一緒にいるのが嬉しくて切なくて、幸せに思う気持ち。

ねぇ、ジョー。

その時は照れずに聞いてね。

本当はとても照れ屋さんなの、知ってるから。