ジョーが姿を消してから三日。 フランソワーズはあてもなく魔界を探し回りましたが、魔界の王子の姿はどこにもありませんでした。
誰もジョーを心配してはいないのです。 一度、フランソワーズが尋ねたら相手は大笑いしただけで何も答えてはくれませんでした。
けれども、ジョーはずっとここにいていいと言ってくれましたから、フランソワーズは彼の言葉だけを頼りに魔界で生きていこうと思いました。 そして、たとえ自分一人でもジョーを捜し続けようと固く心に決めていました。
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「あら、新入りさん。元気がないのね。早くも王子様に捨てられたからかしら?」
しかし。 紫のひとの声に、他の者全員が大笑いしたではありませんか。
フランソワーズが必死の面持ちで言っても、みんな目を逸らします。
うちひしがれた様子のフランソワーズを気の毒に思ったのか、金色の瞳の女性が進み出ました。 「そんなに言うなら、ヒントをあげるわ。――でも・・・あなたにその勇気があるかしら」 金色の瞳が疑わしそうに煌きました。 「――まぁ、いいわ。ねえ、あなた。醜いものに目を向けてみなさい」 その途端、その場にいた女性全員がげんなりとした顔をしました。 「ほんと醜いにもほどがあるわ」
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