フランソワーズが泊まり、試写会への憂いをどこかへやった次の日。
まさにコーヒーを飲もうとしていた不意をつかれたジョーは、 「まあ、ジョー!」 茶色に染まったパジャマを呆れて見下ろしながら、フランソワーズは溜め息をついた。 「熱くないの?」 そのわりに平気な顔をしている。 「分かったわ。明日からは、朝ご飯が済んでから着替えでいいわ」 きょとんとするジョーに、全く朝は特にボンヤリしているんだからと唇を尖らせた。 ――あるいは。 「まさか、ね」 まさか記憶がアヤシイとか…?(いや、それは映画の役柄の話だ) 「まさかねって何が」 君って誰だっけと言いつつ絡みついてくるジョーを、映画パロディはやめなさいと振り払いながら 「でも、まあ・・・」
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