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「・・・というわけなんだ」
フランソワーズを胸に抱き締めながら言ってしまう。
そしてちょっとほっとした。
てっきり笑われるかと思ったのに、フランソワーズはずっと黙って聞いてくれたから。
「それで、ジョーはどうするの?」
僕の顔をじっと見つめる。
「どう、って・・・。だから困ってるんだよ」
すると、そっと手を伸ばし、僕の頬を撫でた。
「・・・私が教えてあげる」
「えっ」
「大丈夫。簡単よ」
「・・・でも」
「恥ずかしい事じゃないわ。・・・一緒にしましょう?」
ね?
・・・僕は。
きっと、子供の頃からこういう優しい瞳と優しい手を求めていたのだと思う。
フランソワーズ。
君に逢えて良かったよ。

・・・その後の事は、あまり思い出したくない。
僕とフランソワーズが庭に出て練習していると、ちょうどやって来たグレートが加わり、ああでもない、こうでもないと講釈を始めた。こうすればもっと舞台で映えるとか、ああしたほうが見栄えがいいとか。
そして、彼の指導の元で苦戦していると、そこにジェットが「面白そうだな、何やってんだ?」と加わり・・・
果てはアルベルトまで一緒になって、気付くと全員でスキップをしながらギルモア邸を一周していた。
スキップ。
それは確かに楽しげな響きである。
する者全てを等しく笑顔にしてしまう魔力がある。
そして、ひとり、またひとりとつられて仲間に入ってしまうのである。
何だか危険な麻薬のような思いに囚われるのは、やっぱり僕だけだろうか。
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