−５−

後日。

無事にＣＭ撮影も終わり、僕とフランソワーズはリビングで一緒にテレビを見ていた。
平和な昼下がり。
のんびりとソファに寛いで。
そしてＣＭが始まった。

手をつないだ男女（つまり僕と相手役の女優さん）が楽しげにスキップをしている。
買い物帰りという設定だった。

・・・これで、本当に洗剤の宣伝になっているのだろうか？

そう悩んでいると。

「・・・いいなぁ」

隣でフランソワーズがポツリと呟いた。

「私もジョーとこういうふうにお買い物したいなぁ・・・」

え。
外で手をつないで・・・スキップするの？
冗談じゃない。嫌だよ。

「・・・誰のおかげでスキップができるようになったんだったかしら？」

う。
・・・フランソワーズ。
君って、そういう事、言う人だったっけ？

「だって、ジョーと手をつないでお買い物したいんだもん」

・・・そういう訳で。

時々（いいかい、「時々」だ。間違っても「いつも」じゃないぞ）、フランソワーズと手をつないで買い物に行っているという事は僕らだけの秘密だ。
その時、たまにスキップもしているという事も。

ちなみに、洗剤の売り上げは好調で、売り切れ店が続出ということだった。
何が受けるのかわからない世の中である。

その後、僕はキッチンでその洗剤を１０本みつけ、とても驚いたのを覚えている。
何でも、それについているシールを１０枚集めて送ると、もれなく僕のカード（・・・僕のカード？聞いてないぞ）が
もらえるらしい。

・・・って
フランソワーズ。
君も持っているのかい？？