時々、どうしようもなく辛くなることがある。


あの時、他に選択肢があったのではないだろうか。

他にできることがあったのではないだろうか。

私の選択は間違っていなかっただろうか。

 

もしも――していたら。

――もしかしたら。

 

でも、答えは得られない。何故なら、永遠にわからないことだからだ。


「その時」が来るまで。

「その日」が来るまで。


もしも、「その時」が「その日」が前もってわかっていたなら、おそらくもうちょっとやりようがあっただろう。
だけど「その時」も「その日」もある日突然に訪れる。
多少の予想はしていても、だからといってそれは何の役にも立たないのだ。

「その時」も「その日」も、それがいつなのか誰にも絶対にわからない。
だから、実際にそれが来てしまったら後は――悔やむしかない。


もっと何かできたのではないか。

もっと何か言えたのではないか。


できたこと。


しなかったこと。


しなければいけなかったこと。


でもそれは、もう永遠に叶えられないから、ただ後悔するしかなくて。
そんな苦い思いは涙になって流れてゆくのに任せるしかなくて。


最初は、毎日泣いていた。

少し経つと、数日おきになって。

もう少し経つと、月に数度になって。

そうして間隔は少しずつ延びていった。


そして、それと共にどういう時にその想いに囚われるのかわかってきた。星を見てはいけない。と。


いつか、少しずつは大丈夫になってきた。
でも、それでもあの時の想いは時々私を襲う。


そんな時、ジョーはいつも心配そうで、でも私に触れるようなことはしなくてじっと待っていてくれる。
それが私は嬉しかった。
もしも、何か言われても、触れられても、それでもそれは何の慰めにもならないのだから。


だって、ジョーは知らない。経験していない。

 

でも

 

知らなくていい。経験しなくていい。

 

こんな想いは私だけでいい。

 

 

目の前で大切な人が消えてゆくのを見ているだけしかできなかったなんて。