「写真」
それは一枚の写真から始まった。
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「これ、誰だ?」 リビングでジェットが頓狂な声を上げた。 「どうした?」 アルベルトが近付いて、ジェットの手からその紙片をもぎ取る。 「――フランソワーズじゃないか」 二人で顔を見合わせる。 「どうしてこんなカッコをしているんだ?」
それはポラロイド写真だった。 「アイツ…結婚でもするのかな」 ポツリと言ったジェットにアルベルトが反応する。 「誰と」 そこへジョーが通りかかった。 「おい、ジョー」 通り過ぎようとしたジョーが一歩後退し、リビングのドア口に姿を見せる。 「なに?」 「オマエ、結婚するのか?」 きょとんとして聞き返す。 「…しないけど」 ブツブツ言い合っている二人を訝しそうに見つめる。 「何かあったのかい?」 ジェットが両手をひらひらさせる。 「呼び止めて悪かったな」 アルベルトの持つ紙片に目を留める。 「ん?ポラ写真さ。ただの」 ひらり、と屈託なく写真を差し出すアルベルトにジェットが慌てた。 「オイ!ジョーに見せたらマズイんじゃねーか?」 言い合う二人を横目に、ジョーはアルベルトから写真を受け取り見入っている。 「キレイだね。フランソワーズ」 それだけか? あまりにも反応が「普通」のジョーに拍子抜けする。 ウエディングドレス姿だぞ? けれどもジョーの表情は穏やかで、ただニコニコとしているだけだった。
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