国語篇(その十五)


国語篇(その十五)

<方言概観(その二。「サ」から「ト」まで)>

(平成21-9-28書込み。25-7-15最終修正)(テキスト約151頁)


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[おことわり]

 この篇は、全国の方言の主要なものの中に残る語源不詳または意味不詳の縄文語の意味を解明しようとするものです。これまで国語篇(その二)で東北方言(庄内語・遠野語)を取り上げ、また地名篇や雑楽篇の各篇などでも随処で方言を取り上げてきましたが、これから全国の方言をくまなく解明しょうとすれば、国語研究所『日本言語地図』 大蔵省印刷局、『日本方言大辞典』小学館、佐藤亮一著『都道府県別全国方言小辞典』三省堂などに拠らなければなりませんが、これらはあまりにも膨大で、これらを対象とすることは時間の余裕から不可能です。
 そこで、数ある方言辞典や方言集のうちから、収録語数が約1,200語と比較的にコンパクトで、最近普及しつつある電子辞書数種(カシオXD-GP6900、シャープPW-M100、ソニーIC-700Sなど)にも搭載されている次の辞典を選び、その中に残る縄文語の意味を解明することとしました。
 江端義夫・加藤正信・本堂寛編『全国方言一覧辞典』学研、1998年

 この辞典の内容は、三部に分かれ、第一部は主要な方言219語の都道府県別の一覧を示し、第二部は都道府県別方言ランキングとしてお国言葉番付表各約20語を載せ、第三部は方言についての概説となっています。
 この辞典は、『日本言語地図』などでは意味の規定が難しいとして調査対象から除外されていた語(挨拶、人間の評価、心情、動作、行為、人生儀礼など)も対象とし、さらに全項目アクセント付きという特徴を有します。
 なお、方言は、地域的差異が顕著で、大まかにみても都道府県ごとにそれぞれ幾つかの地域ごとに異なるのが通例です(例えば岐阜県は東美濃、西美濃、飛騨の各地域ごとにかなりの差異が見られます)が、この辞典では、都道府県ごとに原則として一つの方言(沖縄県のみ那覇方言と首里方言の二つ)しか載せないという物足りなさは残ります。しかし、どちらかといえば普通名詞に偏した従来の方言集と比較すれば、今も生き続ける日本人の言語の実像をより具体的に捉えた辞典として評価できると考えます。

 この篇では、上記の第一部および第二部に載せられた方言の中に残る語源不詳または意味不詳の縄文語の意味を解釈することとします。上記の第一部は「ア」から「コ」までの「その一」、「サ」から「ト」までの「その二」と「ナ」から「ワ」までの「その三」と、第二部は「その四」と分割して掲載します。似た方言で容易に音韻の変化が推測できるものは重複して解釈することを避け、現代語で容易にその意味が理解できるものは除外しました。また、すでに国語篇(その二)や地名篇、雑楽篇の各篇において取り上げたものは、その旨注記しました。

 縄文語のポリネシア語による解釈は、他の諸篇と同様、原則として、その起源となったと推定される原ポリネシア語から変化したマオリ語(すでに失われた語彙でハワイ語に残るものについてはハワイ語とし、その旨を注記しました)とその意味を英語および日本語によって表記しました。主として使用したマオリ語・ハワイ語の辞典は次の通りです。
 (1)H.W.Williams M.A,Dictionary of the Maori Language,seventh edition,1997,GP Publications.
 (2)P.M.Ryan,The Reed Dictionary of Modern Maori,1995,TVNZ.
 (3)Mary Kawena Pukui and Samuel H.Elbert,Hawaiian Dictionary, revised and enlarged edition,1986,University of Hawaii Press.  

目 次 

第一 項目別方言一覧(「サ」から「ト」まで)

「サ」

081ざいさんか(財産家)・カネモチ・オーヤゲ・カネモズ・ダンナシ・フクシー・デージンサマ・ダイジン・デージンドン・オダイジン・オヤケ・ダンナショ・オデサマ・オデァージン・シンショモチ・ブゲーンシャ・ブケンシャ・ゲンシャ・プゲンシャドン・カネモッツァン・チョージャモン・ッエーキンチュ・ウェーキンチュ・モノモチ・オヤガタ・ゴタェァケ

082さけぶ(叫ぶ)・ジナル・サガブ・サガンブ・サナル・サゲブ・ドナル・ワメク・ヨバル・ガーナル・ウナル・ドヤグ・オガル・オーゴエアゲー・オラブ・タケル・イガル・シャケル

083さしみ(刺身)・サスミ・シャシミ・オツクリ・ツクリ・ナマ・サシン

084さつまいも(薩摩芋・甘藷)・サズマエモ・サジマエモ・サズマ・イモ・リーキイモ・ジューキイモ・リューキイモ・ケンジイモ・カライモ・トーイモ・ッンム・ンム

085さといも(里芋)・イモノコ・ジギイモ・エモノゴ・エモコ・ハダイモ・サドエモ・デロエモ・イモ・チボイモ・タイモ・タダイモ・ジイモ・ツチイモ・コイモ・ドロイモ・ズイキイモ・バライモ・アライモ・ナンキンイモ・ケイモ・チンヌク・ハイモ・トノイモ・エグイモ

086さようなら(左様なら)・サイナラ・アバェ・アンバェ・ンダラマズ・サイナ・アバヨ・アバ・ソイジャー・サェーナラ・ゴメンシャー・ゴメンナサイ・コレワ・ソイギー・ゴブレイシマス・ソイナラゴアシタ・マタヤー・アバネ・インデクワ・グブリーサビラ

087さわぐ(騒ぐ)・ホゴル・サシネ・ヤガマシグスル・アタケル・ガーナル・ワメク・ホタエル・ハシャグ・ソーゾスル・イキル・ツバエル・ヒログ・ソードスッ・オゴル・オドクル・ッアマイン・サワジュン・オダル・バエル・アバスレル・トゴエル

「シ」

088しあさって(明明後日)・ヤノアサッテ・ヤナアサッテ・サーサッテ・ヤネアサッテ・シガサッテ・シラアサッテ・ッアサティヌナーチャ・アサティヌナーチャ

089しおからい(塩辛い)・ショッパイ・ショペァ・ショッパエ・カレー・クドイ・カラェー・ドンガライ・ダダガライ・カリャー・ソカライ・シオノキートー・シオンカルカ・ショッパカ・アダガラカ・カラサン・シプカラサン・シオクドイ・カラカ・スージューサン

090しかる(叱る)・オゴル・ゴシャグ・ドヤス・オドス・オコル・ヘカル・ヨマウ・ウザル・オシエル・ヒカル・オコー・クジュークル・オゴク・ヤカマシュユー・ヤクル・ガーッ・ヌライン・ヌラユン・グザル・ヒガル

091した(舌)・ベロ・スタ・シタベロ・ヘラ・シタベラ・ヘタ・シバ

092したく(支度)・マカナイ・マガナウ・モヨイ・スダグ・シコー・ヨーイ・マワシ・コシラエ・ヨーイスル・マワリ・コッシャエ・カマエ・ゾーヒョースッ・シタッ・シコーイ・マーシ

093しつこい・クドイ・シツケ・クデァ・ネッコエ・ネチョフケ・シツコエ・シツックデー・シツッコイ・ネツエ・ヒツコイ・ネツッコイ・ヒッツクドイ・ネチッコイ・ヒツケー・クンドイ・ヒチコイカ・クドラシカ・クドカ・ドケダッカ・ヒチクジー・セワシー・シプタイムン

094しぬ(死ぬ)・メオドス・ナグレル・ウッチヌ・オエル・ノーナル・シヌル・シノー・ナシンナル・ハツル・ケシヌ・シヌン・ナクナル・スグ・ミテル・ケーマガル・マースン

095しばる(縛る)・カラカグ・ユワグ・ユワエル・ユツケル・ユッツゲル・イッチバル・フンジバル・ユワク・ククル・ククス・キビル・カラゲル・シバー・イワエル・イワイツケル・クビル・イワユル・キビッ・ユーイン・クンジュン・タバネル・キビリツクル

096しまった・サーサ・マネ・アリャー・アイヤー・サイ・パグター・ングナッタ・ソグナッタ・アヤマッター・シソコナッチャッタ・シッペーシチャッタ・ハーヤッチャッタ・アッキャー・シモータ・テー・アー・ヤイヤイ・エライコトシタ・ゲンスケヤ・シクジッタ・ヤーシカ・アッシモータ・イケン・チェッ・シャンシモータ・アイタース シモタ・アイターシモター・アイタヨー・アイヤシモタ・ユーシタヒャー・アイター・ホニ・ヨワッタ

097じみ(地味)・トショリクセァ・ズミ・コートイ・コートナ・コート・オトナシー・ンヂミ・コートカ・ジミカ・オーテチートンサッ・ウチゴモイ

098じゃがいも(馬鈴薯)・ゴショイモ・ニドイモ・ヌドエモ・ニドエモ・ナズエモ・カンプライモ・カンプラエモ・ジャガエモ・ジャガタラ・ジャイモ・ゴガツイモ・セーダイモ・ナツイモ・コーボイモ・キンカイモ・ジャガタライモ・ジャガタロ・ジャガイム・ゴドエモ・ニサコイモ

099じゃんけん・ケン・バンキ・エスケン・キューキュ・キッキ・チッカッポ・チッケン・ジーケ・インチャン・ジャイケン・インジャク・ブーサー・チュッケン・チンケン・チョイチョイ・ケンジャン・ケンマ

100じゅくす(熟す)・ウム・ウレル・ジクス・ジュクレル・デキル・ミガイッタ・アカルム・ヨム・ミーイットル・イル・ミガイル・イロム・タナル・ウレー・ウルル・ウルッ・ナル・ッンムン・ンムン・シューレンス

101しょうしんもの(小心者)・オグビョーモノ・ジグナシ・ケチセヒト・オグビョータガリ・スビタレ・ドショナシ・オクビョーッタガリ・キガチッチェーヒト・コドキョ・キガチーサイモノ・オクビョー・イチガイナモン・オッカナガリンボー・キガチーセー・コドキョーナヒト・オクビョータレ・キガチサイヒト・コンジョナシ・オビンタレ・キガホセーヒト・キボソ・ショートギモ・オジクソ・オトッチャマ・キモガチーサイヒト・キノホソイヒト・キモホソ・ヒータレ・セセリノキンタマ・キモガコンメーヒト・ヒビッタレ・ヤッセンボ・チムグームン・チムクーシムン・キノチンサイモン・キモッタマノチーセーヒト・コワガリ・アカンタレ・オソレ・キノコマカ

102じょさんぷ(助産婦)・サンバ・トリダシババ・コナサセバンバ・トリアゲバーサン・オサンバサン・サンバサン・サンバン・トリアゲババ・トリアゲババサン・コーセバーサン・ックワナシミヤー・トリアゲバーサマ

103しり(尻)・ケツ・ドンジ・ゲッチ・ケツッペダ・シリッペタ・オイド・イド・シリコブタ・ツベ・オコシ・シー・ジゴ・チビ

104じんじゃ(神社)・オミヤ・ズンジャ・チンジサマ・オンミャハン・オミヤサン・ミヤサン・ミヤ・テンジンサン・カミサマ・カンサー・ッウタキ・ウカミ・オヤシロ・カミサン・ウガン

105しんるい(親類)・オヤコ・オヤグ・マギ・エドゴ・スンルエ・マゲ・ナガマ・エンナガウジ・シンルイウチ・シンセキ・シンルエ・イッケ・ルイ・シンシェキ・シンリー・ウチワ・エンカ・シンジ・ッエーカ・ウェーカハロージ・イドゴハドゴ・オヤグマキ・ウズナガ・イッチ

「ス」

106すえっこ(末っ子)・バッチ・ヨデ・バッコ・バッツコ・バッツ・バッチッコ・シマイッコ・バッチコ・バッスイ・オトゴ・ネコノシッポ・オトンボ・シリマガリ・スソゴ・スッタレ・ビッタレ・シッタレ・ッウッチラー・ウットゥングワ・ストボ・シリゴ

107すくない(少ない)・チョベット・スグネ・ベアッコ・タエネ・スケナェ・チント・スクナェ・チット・チットンベ・ワーカ・チットバカラ・チョッコシ・チョコット・チーットダ・タシナェー・スケナイ・マメクソ・スクナー・スクニャー・スクナカ・スッネ・ッイキラサン・イキラサン・サットガ・チョンボシ・チョンボ・チョンギリ・チョット・スッナガ

108すっかり・ベロスケ・スッカド・ガラット・コロット・ケロット・マルッキリ・ズデー・アンモカンモ・ンーナ・ナンモカモ・スベット・ジョーブ・キレーニ・スイット・サッパリ・コッキリ・ゴッソリ・ストーント・ヨーネ・ヨーニ・チューニ・マンデ・ゼンブ・リッパニ・スッパイ・ジェーンブ・トント・ボド・スッカイ・ヌーンクウィーン・ムル・デロット・ナンデンカンデン・ユート・ゴロット・スッナカ

109すっぱい(酸っぱい)・スッカイ・シッケ・スッケァ・スカエ・スッパエ・スッペァ・スイ・スイカ・スッパカ・スユカ・シーサン

110すてる(捨てる)・ナゲル・カッポル・ウッチャル・ブチャル・ホル・ホカス・シテー・シテル・フテル・スツル・ウシツッ・ウシツル・フッツル・ウッスッ・ヒティーン

111すねる(拗ねる)・コジケル・エヘル・ムツケル・ネズグレル・キメッコシル・キメッコスル・ネチャネチャスル・ヒネクレル・ヤンチャユー・オチンブリオカク・イジレル・フテクサル・ゴネル・ヘンネシオコス・フクレル・フテクサレー・フテル・ハブテル・ホグレル・ドクレル・ソネム・フクルル・スネクルル・ヒネクルッ・ヒンスン・フィンチスン・ムクレル・イボクル・フテー・ジョーシキスル・ソネクリカヤル・グズル

112すみません(済みません)・スンマセン・ブジョホヘシタ・オモサゲナガンス・ゴメンナー・シカダネァ・ワレガッタナス・ボットナー・イヤーワリーネー・カンベンシトクレ・カンニンシタイヨ・スイマセンデシタ・カンベンナ・カンベンシテクレ・カンニンシトクンネーノ・カンニンシテクリョー・モーシワケネーネー・ワルカッタネ・ワリーッケナー・スマンナー・スンマヘン・ゴメン・スマンヨー・スミマセナンダ・ワルカッタ・スマンコッテシタ・ゴブレーシマシタ・コラエテ・スイマセン・スンモハン・ワッサイビーン・グブリーサビタン

113ずるい(狡い)・ナマズルイ・ズレァ・スビラッコエ・ドブデ・ズルコエ・ズルエ・ゴマダ・コッスェ・タチワルイ・コスイ・チャキー・スコイ・キタナイ・ヘラコイ・コスカ・ズルカ・カシクイ・コシ・リクチクワイムン・ヤナジナムン・コベハエー・ヘラケー・ヘラコスイ・オードカ

114すわる(座る)・ネマル・ヒザマグ・チャガマル・ブチカル・オツクミスル・ツグム・カシコマル・オチョキンスル・オツクベスル・オッチンスル・ヘタル・ネマー・オカッコスル・イザル・イドル・スワッ・イーン・ヒザオル

「セ」

115せき(咳)・シャブキ・シャンブギ・エバキ・シワムキ・セッ・サックイ・シハブキ

116せともの(瀬戸物)・カラツ・カラチモン・カラツモン・カラトゥ・ヤキモン・ヤッモン・ヤチムン

117せまい(狭い)・セマッコイ・ヘンベ・セメァ・セマッコエ・シェマケ・シェマコエ・セマエ・セバイ・シェバイ・シェマイ・セバー・セミャー・シェマカ・セバカ・セマカ・ッイバサン・イバサン・シュメ

「ソ」

118そうしき(葬式)・ソーシギ・ダミ・ソースギ・ザラブ・ジャジャンボ・ジャンポン・ジャーボ・ジャンボン・トモライ・オソーシキ・ソーレー・オトボレー・トボリャー・ソーレン・ソーデ・トムライ・オクリ・トムリャー・ノベオクリ・オクイ・ラビ・ダビ・ガンコ・トロキ・チントンカン

119そうりょ(僧侶)・ボーサン・ボンズ・オショサン・ボーズ・オッサン・オッサマ・ボーサマ・オボーサン・ホージョーサマ・オテラサマ・ゴワハン・ゴボーサマ・オテラサン・オショケサン・ゴインサン・ボンサン・オジュッサン・オボンサン・オジュッツァン・ボンサマ・ボンサー・ボージ・オデラサマ・ノノサマ・ゴンゲハン・バージ・ゴエンゲンサン・ホージョサン・ゴインゲサン・モシサン・コインギョサン

120そば(側)・ガワ・ワギ・キワ・ソンバ・ツカグ・ハタ・ネキ・コバ・ニキ・スバ・キンペン

121ぞんざい・ザツ・アラゲネ・アラッポイ・ズンボラ・ヤジャクチャネァ・エックラカゲン・ズボラ・ゾンザエ・イーカゲン・ランボー・エーカゲン・ダダクサ・ノブトイ・ヨイカゲンナ・アラケナイ・オヨソ・ゾンザイナ・ゴツイ・アラクテー・ザマク・アラツカ・アラマシナ・オーチャクナ・ザツカ・バサラカ・ウーバンギャー・ヅッサラシ・ッアーラッパー・アラチナムン・ソマツ・ブッキラボー・ソーバ

「タ」

122たこ(凧)・タゴ・ハダ・テンバダ・コバダ・エカ・イカ・ヨーズ・ヤッコ・タカバタ・トーバタ・タツ・タク

123たち(質)・タズ・ショーブン・コンジョー・ネ・ドコンジョ・ウマレショー・ショー・シャーレ・トー・ショーネ・コッ・ソーシチ・ンマリ

124たにし(田螺)・ツブ・ツンブコ・ツブラッコ・タノシ・タツボ・ツボ・ツボドン・タネシ・タバイ・タンガイ・ニシ・タニーナ・ビナ・ターンナ

125たぶん(多分)・キットモッテ・キット・オーガダ・オソラグ・マチガイネク・ドーセ・オーカタ・テァーゲァー・タェーガェー・タイガイ・タイテ・ナンデン・ッイヤリン・タシカ・キットカ

126だめ(駄目)・ワガンナイ・マネ・ワガネァ・ワガラネァ・オイネー・アカン・ダチャカン・ササラホーサラ・ダシカン・イケン・オエン・ワヤ・イカン・ツマラン・シミャーナットッ・デケン・ボク・ナラン・ボクジャーノー・スッタリジャーノー・ワッサン・ヤナムン

127だらしない・シドゲネ・ダラシネァ・ダラスネー・ダラシネ・ヤチャクチャナエ・ダラシ・ダラシノナイ・ダラクセー・シダラナイ・ダラシガネー・シミッタレ・ブショッタェー・ラチモナェー・ダラクサイ・ダダ・キタナイ・ダラシガナイ・ダラシガニャー・ダラズ・ホートクナイ・ショータレトル・ショータレゲナ・ンダンダクサナ・ズルタラシー・ダラシナカ・ザマニャー・タエガネー・ダチモネ・ズッサラシ・ララー・ダラー・ショータレナ・オイサンガシモン・シカトムナカ・ビッタリ・ケダラシー

128だるい(怠い・懈い)・カッタルイ・コウェー・ナンギー・ダヤイ・モノイ・テキネー・ケッタリー・カンダリー・ツツナェー・エライ・シンドイ・ダイ・タイギー・シンダイ・ダラシカ・キツカ・ダラシ・ラルサン・ダルサン・キテネー・エラェー・ヒジー・キチー・ズンダレチョッ

「チ」

129ちいさい(小さい)・チッチャイ・ツッチェ・チャッケー・チチャコエ・チンコエ・チッケー・チンチェー・チックイ・チーセァー・チッコイ・コマイ・コミャー・コマカ・チンコメ・コマンカ・グマサン・グナサン・チャンコイ・チンコイ・チャッコイ・チッチャコイ・チッチャケ・チンチェ・チックナエ・チンメー

130ちょっと・チョベット・ワンツカ・ペァッコ・ワンチカ・チェット・チット・チョックラ・チットンベー・チットバカ・チョッコシ・チョッコ・チョボット・チビット・チョビット・チョットコバ・チクト・チョコット・ッウフィ・イットゥチ・チトコ・チント

131ちらかす(散らかす)・ブッチラカス・カチャクチャドシ・ツラガス・フツラガス・シッチャラガス・カッチラガス・ウッチラカス・ヒッチラカス・シッチラカス・ホーリッパナシニスル・ワヤクスル・モタモタニスル・オッチラカス・チラケル・サンコニスル・ヒキチラカス・サバク・ヒックリカエス・ヒコズリサガス・ヒロゲサガス・ワヤニスル・ヒキサンガス・ホイチラカス・ホッチラカス・チラバカス・カチホーラカスン・チラカスン・サンバラマキニスル

「ツ」

132ついに(遂に)・ヤットゴ・ヤット・ツエニ・トードー・ツイトー・ヨーヨー・ヤットコサ・イヨイヨ・ヨーヤット・ヨーヨシ・ヨイナコッ・チーニ・ナア・ヤットコセ・トードトー

133つかれた(疲れた)・コワイ・オタッタ・コウェー・ガオッタ・コワエ・コワグナッタ・クタビレタ・カッタリー・モノイ・ヨワッタ・エライ・デキナイ・エラカッタ・ホッコリシタ・シンドイ・キケタ・クタブレタ・シンダイ・ンダレタ・キャーナュッ・キャーナエタ・ナエタ・ヒンダレタ・ダレタ・ウタタン・カンダリー・シンドナル・「ダッタ

134つくし(土筆)・ツクシンボー・ツグス・ジゲベ・オトーカノチンポ・ツクシンボーシ・ツクツクボーシ・ホーシ・ヒガンボーズ・ホーシコ・ウシノフデ・ヒガンボ・マッバグサンコ・ズクボ

135つぐなう(償う)・マヨウ・ベンショースル・オカエシスル・ナス・マゾウ・ママエル・マラウ・マエル・マンドウ・カヤス・マズウ・モドス・ワンチャメーイン・ハジュン・カリカエス

136つねる(抓る)・ツネクル・スネズル・ヒネル・シンニギル・シニギル・チンミギル・カッチネル・ヒッツネル・ニジル・ツメル・ツマギル・チミクル・チミギル・チメクー・ヒネクル・ヒニシル・ネズム・ヒネキッ・ニジムン・チンチキーン・ツミキリ・トウメクル・ツンクジル

137つむじ(旋毛)・マギメ・マギギリ・マギメッコ・マギマエ・マグメ・ツモジ・マキメ・チジ・ギジギジ・チリ・ギリギリ・ツジンボ・グル・イジ・ツジ・ギリ・マイマイ・ウズマキ・キョーマキ・チョーマキ・チューマキ・ジュジュマキ・サラ・マチ・マキギリ

138つむじかぜ(旋風)・タツマキ・ツムンズカンゼ・ツムジ・マギカジェ・スジマキ・ツモジッカゼ・マイマイカゼ・ツムジカジェ・テングカゼ・ミャーミャーコ・ツズカゼ・チリマキカゼ・ツヅマキ・チジマキ・ウズマッ・カジマチ・マチカジ・マーリカゼ・チリマキカジェ

139つめたい(冷たい)・シャッコイ・ハツケ・シャッコエ・ツッタエ・ヒャッコイ・ヒャッコエ・チミデー・ヒャッケー・チプタイ・チピタイ・ツベテー・ツメテァー・ツベタェー・ヌルイ・ツミター・チベタイ・ツベテャー・ヒヤイ・チミタイ・ツメタカ・ヒヤカ・ヒエー・チュンテ・ヒジュルサン・ツミダエ・チウタイ

140つゆ(梅雨)・ニューバイ・ニューベア・ニューバエ・ツイリ・ナガセ・ナガシェ・ナガシ・スーマンボースー・ナガアミ

141つらい(辛い)・ユルグナイ・ヘズネ・ナンギダ・ウンザネハグ・セズネ・シェズナエ・ツレァー・クルシー・ウイ・ヒドイ・エレー・エレァー・エリャー・エラェー・キビシイ・シンドイ・ズツナイ・センナイ・ズトゥナイ・ツラカ・キツカ・ズツネー・クチサン・ヒデー・シロシカ・ジュツナカ・キチー・ダイー・ヒジ

142つらら(氷柱)・シガ・シガマ・タロヒ・タロンペ・ボンダラ・アメンボー・カネッコリ・カネコロ・タルキ・コーリンボー・ツルサゴーリ・カナゴリ・ホダレ・シンザイ・カナコーリ・トゥララ・マガンコ・タルミ・ビードロ・ヨーラク・カネンクリ・ヒモロ

「テ」

143ていねい(丁寧)・マテ・ネッズイ・キチョーメン・リチギモン・マメ・カタイ・ネンイリ・ネンノイル・ネンノイットッ・シャー・テーネーカ・シッテーナ・ギッパネ・テネン・ヤファッテーン・ネツェ・ネンシャ

144でしゃばり(出しゃばり)・イーフリコギ・ウシチャカシ・オセッカイヤギ・オサッペー・テカヒカ・アガスケ・コシャグ・デスッパギ・オシャマ・ハジケ・チョビカコキ・オセッカイ・サイコ・セワヤキ・チョカ・サーバーモン・デベソ・デボシ・シャービャースッ・デシャンバリ・デシャバイ・メーナイナイサー・ハイシジラー・カラコシャグ・チョビチョビ・サイコヤキ・デタガリ・コーカル・サイマギル・クチノユンニュカ

「ト」

145とうがらし(唐辛子)・ナンバン・ナンバ・トンガラシ・コショー・コッシュー・コーレーグース

146とうもろこし(玉蜀黍)・トーキビ・キミ・トーミギ・トッキビ・モロコシ・トンモロコシ・トーモゴシ・トーマメ・トナワ・トノキビ・コーラェー・ナンバ・ナンバン・キビ・ナンバギン・ナンマンキビ・コラキビ・トキッ・トーナチン

147どじょう(泥鰌)・ドンジョ・ドジョッコ・ドンキ・デジョ・ドジョマ・ドジョッペ・ドンキュー・ドボチン・ドンジョー・ンドンヂョー・ドジョクイ

148どなる(怒鳴る)・ジナル・サガブ・ズナル・ワナル・ガーナル・ドヤス・シコル・ドマカス・ドナー・オラブ・オゴル・オメク・オロッ・ッアビーン・ヤナアビースン・エサル・ガーッ

149どろ(泥)・デロ・ドロンコ・ドロベタ・ドベ・ンドロ・ガタ・ルル・ドゥル

150とんでもない・アンマリゲァダ・オンドゲデネー・オドゲデネァ・トデズモナエ・トッペツモネー・トンデモネーゴッコ・トッピダ・トッピョーシモナイ・ヒデー・トンデモナェー・ラチモナェー・メッソモナイ・ドエライ・ドッショーモナイ・エライ・トンデモナー・エンデモネ・ドヒョーシモニャー・エテンゲモナー・ドヒョーシモナイ・トッケモナイ・ギョーサンナ・メッケモナイ・トンデモナカ・ジョータンジャナカ・トツケムニャー・トボクモネー・エレコツ・ジャナカコッ・ッイチウェークトゥ・アネーアラン・ガイナー・ハイシジトーン

151とんぼ(蜻蛉)・ダンブリ・アゲズ・ゲンザメ・ゲンザンボ・ドンブ・イェンバ・ヘボ・ヘンブ・ヘンボ・ボイ・ッアーケージュー・アーケージュー

<修正経緯>

第一 項目別方言一覧(「サ」から「ト」まで)
 

「サ」

081ざいさんか(財産家)・カネモチ・オーヤゲ・カネモズ・ダンナシ・フクシー・デージンサマ・ダイジン・デージンドン・オダイジン・オヤケ・ダンナショ・オデサマ・オデァージン・シンショモチ・ブゲーンシャ・ブケンシャ・ゲンシャ・プゲンシャドン・カネモッツァン・チョージャモン・ッエーキンチュ・ウェーキンチュ・モノモチ・オヤガタ・ゴタェァケ

 「ざいさんか」(漢語由来の言葉と解します)の方言には、北海道、新潟などの「カネモチ」、青森の「オーヤゲ」、岩手の「カネモジ」(「カネモチ」と同語源)、宮城の「カネモズ」、秋田の「オヤゲ」(「オーヤゲ」と同語源)、山形の「ダンナシ」、福島の「フクシー」、茨城の「デージンサマ」、栃木の「ダイジンサマ」(「デージンサマ」と同語源)、群馬、神奈川の「ダイジン」、埼玉の「デージン」(「ダイジン」と同語源)、千葉の「デージンドン」、東京、山梨の「オダイジン」、石川、奈良の「オヤケ」、福井の「ダンナショ」、長野の「オデサマ」、岐阜の「オデァージン」、愛知の「オーダェージン」(「オデァージン」と同語源)、三重、和歌山の「シンショモチ」、滋賀の「ブゲーンシャ」、鳥取、広島などの「ブゲンシャ」(「ブゲーンシャ」と同語源)、岡山、熊本の「ブケンシャ」、香川の「ゲンシャ」、福岡、鹿児島の「プゲンシャドン」、佐賀の「カネモッツァン」、長崎の「チョージャモン」、沖縄那覇の「ッエーキンチュ」、沖縄首里の「ウェーキンチュ」があります。

 上記のほか、北海道の「モノモチ」、秋田の「オヤガタ」、静岡の「ゴタェァケ」などがあります。

 この「カネモチ」、「オーヤゲ」、「カネモズ」、「ダンナシ」、「フクシー」、「デージンサマ」、「ダイジン」、「デージンドン」、「オダイジン」、「オヤケ」、「ダンナショ」、「オデサマ」、「オデァージン」、「シンショモチ」、「ブゲーンシャ」、「ブケンシャ」、「ゲンシャ」、「プゲンシャドン」、「カネモッツァン」、「チョージャモン」、「ッエーキンチュ」、「ウェーキンチュ」、「モノモチ」、「オヤガタ」、「ゴタェァケ」は、

  「カ・(ン)ゲア・モチ」、KA-NGEA-MOTI(ka=take fire,be lighted,burn;ngea=very numerous,abundant;moti=consumed,surfeited)、「(光り輝くもの)金銀を・たくさん・(嫌というほど)所持する(人。財産家)」(「(ン)ゲア」のNG音がN音に変化し、語尾のA音が脱落して「ネ」となった。また「モチ」が濁音化して「モジ」となった)

  「オ・イア・(ン)ゲア」、O-IA-NGEA(o=the...of;ia=indeed;ngea=very numerous,abundant)、「例の・実に・(財産を)たくさん(持っている。財産家)」(「オ」が「オー」と、「イア」が「ヤ」と、「(ン)ゲア」のNG音がN音に変化し、語尾のA音が脱落して「ネ」となった。また「オ」が長音化しなかった)

  「カ・(ン)ゲア・モツ」、KA-NGEA-MOTI(ka=take fire,be lighted,burn;ngea=very numerous,abundant;motu,whakamotu=remain silent and still)、「(光り輝くもの)金銀を・たくさん・(黙って)所持する(人。財産家)」(「(ン)ゲア」のNG音がN音に変化し、語尾のA音が脱落して「ネ」と、「モツ」が「モズ」となった)

  「タネ・ナ・チヒ」、TANE-NA-TIHI(tane=male,showing manly qualities;na=satisfied,content;tihi=summit,top,lie in a heap)、「最高に・(満足している)何不足のない・立派な男子(財産家)」(「タネ」が「タン」から「ダン」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「フク・チヒ」、HUKU-TIHI(huku=hiku=tail,tip of a leaf,eaves of a house;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(尖った)屋根の(棟の)・突端のような(財産を多く持つことで突出している。財産家)」(「チヒ」のH音が脱落して「シ」から「シー」となった)

  「タイ・チニ・タ・マ」、TAI-TINI-TA-MA(tai=a term of address to males or females,tide,anger,violence;tini=very many;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「たくさん(財産を持っている)・方で・清らかに・座す方(様。相手への敬称)(財産家)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デー」と、「チニ」が「ジン」と、「タ」が「サ」となった。また「タイ」が「ダイ」となった)

  「タイ・チニ」、TAI-TINI(tai=a term of address to males or females,tide,anger,violence;tini=very many)、「たくさん(財産を持っている)・方(財産家)」(「タイ」が「ダイ」と、「チニ」が「ジン」となった。また「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デー」となった)

  「タイ・チニ・トノ」、TAI-TINI-TONO(tai=a term of address to males or females,tide,anger,violence;tini=very many;tono=bid,command,demand)、「たくさん(財産を持っている)・方で・(人に命令する)殿(敬称)(財産家)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デー」と、「チニ」が「ジン」と、「トノ」が「ドン」となった)

  「オ・タイ・チニ」、O-TAI-TINI(o=yje...of;tai=a term of address to males or females,tide,anger,violence;tini=very many)、「例の・たくさん(財産を持っている)・方(財産家)」(「タイ」が「ダイ」と、「チニ」が「ジン」となった)

  「オ・イア・ケ」、O-IA-KE(o=the...of;ia=indeed;ke=different,strange)、「例の・実に・変わった人(財産を貯め込んでいる。財産家)」(「イア」が「ヤ」となった)

  「タネ・ナ・チヒ・アウ」、TANE-NA-TIHI-AU(tane=male,showing manly qualities;na=satisfied,content;tihi=summit,top,lie in a heap;au=firm,intense)、「最高に・充実した・(満足している)何不足のない・立派な男子(財産家)」(「タネ」が「タン」から「ダン」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「シ・オ」が「ショ」なった)

  「オ・タエア・タ・マ」、O-TAEA-TA-MA(o=the...of;tae(a)=arrive,reach,extend to;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「例の・(たくさん財産を持つまでに)成功した(方で)・清らかに・座す方(様。相手への敬称)(財産家)」(「タエア」のAE音がE音に変化して「テア」から「デ」と、「タ」が「サ」となった)

  「オ・タエア・チニ」、O-TAEA-TINI(o=the...of;tae(a)=arrive,reach,extend to;tini=very many)、「例の・たいへんたくさん・(財産を持つまでに)成功した(方)(財産家)」(「タエア」のAE音がE音に変化して「テア」から「デァー」と、「チニ」が「ジンとなった。また「オ」が「オー」と、「タエア」が「ダエー」となった)

  「チニ・チオホ・モチ」、TINI-TIOHO-AU-MOTI(tini=very many,host;tioho=apprehensive;moti=consumed,surfeited)、「(財産を)とてもたくさん(持って)・心配する・(嫌というほど)所持する(人。財産家)」(「チニ」が「シン」と、「チオホ」のH音が脱落し「チオ」から「ショ」となった)

  「プ・(ン)ゲネ・チア」、PU-NGENE-TIA(pu=tribe,bunch,skilled person;ngene=wrinkled,fat;tia=stick in,adorn by sticking in feathers,abdomen,mother,parent)、「(財産を貯めて)肥った・技能者で・(頭に羽根飾りをつけた)長たる者(財産家)」(「プ」が「ブ」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」または「ゲーン」と、「チア」が「シャ」となった)

  「プケ(ン)ガ・チア」、PUKENGA-TIA(pukenga=skilled in,repository;tia=stick in,adorn by sticking in feathers,abdomen,mother,parent)、「(財産を貯めた)蔵を持つ・(頭に羽根飾りをつけた)長たる者(財産家)」(「プケ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「プケナ」から「ブケン」と、「チア」が「シャ」となった)

  「(ン)ゲネ・チア」、NGENE-TIA(ngene=wrinkled,fat;tia=stick in,adorn by sticking in feathers,abdomen,mother,parent)、「(財産を貯めて)肥った者で・(頭に羽根飾りをつけた)長たる者(財産家)」(「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「チア」が「シャ」となった)

  「プ・(ン)ゲネ・チア・トノ」、PU-NGENE-TIA-TONO(pu=tribe,bunch,skilled person;ngene=wrinkled,fat;tia=stick in,adorn by sticking in feathers,abdomen,mother,parent;tono=bid,command,demand)、「(財産を貯めて)肥った・技能者で・(頭に羽根飾りをつけた)長たる者で・(人に命令する)殿(財産家)」(「プ」が「ブ」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」または「ゲーン」と、「チア」が「シャ」と、「トノ」が「ドン」となった)

  「カ・(ン)ゲア・モツ・アナ」、KA-NGEA-MOTU-ANA(ka=take fire,be lighted,burn;ngea=very numerous,abundant;motu,whakamotu=remain silent and still;ana=a particle denoting continuance of action or state)、「(光り輝くもの)金銀を・たくさん・黙って所持し・続ける(人。財産家)」(「(ン)ゲア」のNG音がN音に変化し、語尾のA音が脱落して「ネ」と、「モツ」が「モッ」と、「アナ」が「アン」となった)

  「チオホ・チア・モナ」、TIOHO-TIA-MONA(tioho=apprehensive;tia=stick in,adorn by sticking in feathers,abdomen,mother,parent;mona,momona=fat,rich,fertile)、「(財産のことが)心配でたまらない・裕福な・(頭に羽根飾りをつけた)長たる者(財産家)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「チョー」と、「チア」が「ジャ」と、「モナ」が「モン」となった)

  「ツ・ウエ・キナ・チウ」、TU-UE-KINA-TIU(tu=stand,settle,fight with,energetic;ue=push,shake,affect by an incantation;kina=stomach distended with food;tiu=soar,wander,swift)、「懸命に・頑張って・満腹して(財産をたらふく貯め込んで)・高い地位に上った(人。財産家)」(「ツ」のU音と「ウエ」の語頭のU音が連結して「ッエー」と、「キナ」が「キン」と、「チウ」が「チュ」となった)

  「ウエ・キナ・チウ」、UE-KINA-TIU(ue=push,shake,affect by an incantation;kina=stomach distended with food;tiu=soar,wander,swift)、「頑張って・満腹して(財産をたらふく貯め込んで)・高い地位に上った(人。財産家)」(「ウエ」が「ウエー」と、「キナ」が「キン」と、「チウ」が「チュ」となった)

  「マウ・ナウ・モチ」、MAU-NAU-MOTI(mau=be firm,be fixed;nau=come,go;moti=consumed,surfeited)、「(外から)やってきて・(内に)定着したもの(財産)を・(嫌というほど)所持する(人。財産家)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」となった)

  「オ・イア・(ン)ガタ」、O-IA-NGATA(o=the...of;ia=indeed;ngata=appeased,satisfied,man)、「例の(裕福になつて)・実に・満足している(人。財産家)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」となった)

  「(ン)ガウ・タエ・アケ」、NGAU-TAE-AKE(ngau=bite,hurt,attack;tae=arrive,reach,extend to;ake=from below,upwards)、「頑張って・(貧乏から)這い上がって・(金持ちに)到達した(人。財産家)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「タエ・アケ」が「タェァケ」となった)

の転訛と解します。

082さけぶ(叫ぶ)・ジナル・サガブ・サガンブ・サナル・サゲブ・ドナル・ワメク・ヨバル・ガーナル・ウナル・ドヤグ・オガル・オーゴエアゲー・オラブ・タケル・イガル・シャケル

 「さけぶ」の方言には、北海道、栃木の「ジナル」、青森、岩手などの「サガブ」、宮城の「サガンブ」、山形の「サナル」、福島、茨城の「サゲブ」、群馬、新潟などの「ドナル」、石川、兵庫の「ワメク」、福井の「ヨバル」、山梨、静岡の「ガーナル」、愛知、三重の「ガナル」(「ガーナル」と同語源)、滋賀の「ウナル」、奈良の「ドヤグ」、和歌山の「オガル」、鳥取の「オナル」(「オガル」と同語源)、島根の「オーゴエアゲー」、広島、香川などの「オラブ」、山口の「タケル」、徳島の「イガル」、高知の「シャケル」、熊本の「オメク」、鹿児島の「オロッ」、沖縄那覇の「ッアビーン」、沖縄首里の「アビーン」があります。

 上記のほか、北海道の「ズナル」などがあります。

 この「さけぶ」、「ジナル」、「サガブ」、「サガンブ」、「サナル」、「サゲブ」、「ドナル」、「ワメク」、「ヨバル」、「ガーナル」、「ウナル」、「ドヤグ」、「オガル」、「オーゴエアゲー」、「オラブ」、「タケル」、「イガル」、「シャケル」、「オメク」、「オロッ」、「ッアビーン」、「アビーン」、「ズナル」は、

  「タ・ケ・プ」、TA-KE-PU(ta=dash,beat,lay;ke=different,strange;pu=blow gently(whakapu=make a long continuous wail or sound,howl as a dog))、「激しく・異様な・(犬が)吠えるような声を出す(叫ぶ)」(「タ」が「サ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「チ・(ン)ガル」、TI-NGARU(ti=squeak,make a sharp inarticulate sound;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「甲高い声で・波のような(強弱のある)言葉を浴びせる(叫ぶ)」(「チ」が「ジ」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「タ・(ン)ガプ」、TA-NGAPU(ta=dash,beat,lay;ngapu=oscillate or undulate,stretch forwards)、「激しく・あるいは強くあるいは弱い言葉を浴びせる(叫ぶ)」(「タ」が「サ」と、「(ン)ガプ」のNG音がG音に変化して「ガプ」から「ガブ」となった)

  「タ・(ン)ガナ・アプ」、TA-NGANA-APU(ta=dash,beat,lay;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;apu=bark as a dog)、「激しく・しつこく・(犬が)吠えるような言葉を浴びせる(叫ぶ)」(「タ」が「サ」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」となり、その語尾のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「ガナプ」から「ガンブ」となった)

  「タ・(ン)ガル」、TA-NGARU(ta=dash,beat,lay;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「(言葉を)波のように吐いて・(人を)打ちのめす(叫ぶ)」(「タ」が「サ」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「タ・(ン)ゲ・プ」、TA-NGE-PU(ta=dash,beat,lay;nge=noise,screech;pu=blow gently(whakapu=make a long continuous wail or sound,howl as a dog))、「激しく・(金切声のように)高い・(犬が)吠えるような声を出す(叫ぶ)」(「タ」が「サ」と、「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「ト・(ン)ガル」、TO-NGARU(to=drag(toto=gush forth,spring up);ngaru=wave of the sea,corrugation)、「波のような(強弱のある)言葉を・吐いてたたきつける(叫ぶ)」(「ト」が「ド」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「ワハ・メ・ク」、WAHA-ME-KU(waha=mouth,voice;me=as if,like;ku=make a low inarticulate sound etc.(kuku=grating sound))、「(人に)不快感を与える・ような・言葉を吐く(叫ぶ)」(「ワハ」のH音が脱落して「ワ」となった)

  「イ・オパ・アル」、I-OPA-ARU(i=from,beside,with,belonging to;opa=throw,pelt;aru=follow,pursue)、「しつこく追求する(言葉を)・投げ・掛ける(叫ぶ)」(「イ・オパ」が「ヨバ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ヨバル」となった)
または「イ・オパ・ワル」、I-OPA-WARU(i=from,beside,with,belonging to;opa=throw,pelt;waru=scrape,pare(waruwaru=scrape,grate))、「(人に)不快感を与える(言葉として)・投げ・掛ける(叫ぶ)」(「イ・オパ」が「ヨバ」と、「ワル」のW音が脱落して「アル」となり、「ヨバ」の語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ヨバル」となった)

  「(ン)ガナ・アル」、NGANA-ARU(ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;aru=follow,pursue)、「しつこく・(人を)追求する(叫ぶ)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ガナル」から「ガーナル」となった)

  「ウ(ン)ガ・アル」、UNGA-ARU(unga=act or circumstance of becoming firm,place etc. of arrival;aru=follow,pursue)、「極限まで・(人を)追求する(叫ぶ)」(「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ウナル」となった)

  「ト・イア・(ン)グ」、TO-IA-NGU(to=drag(toto=gush forth,spring up);ia=indeed;ngu=moan,groan)、「実に・うなり声を・吐き出す(叫ぶ)」(「ト」が「ド」と、「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「オ(ン)ガ・アル」、ONGA-ARU(onga=agitate,shake about;aru=follow,pursue)、「激しく・(人を)追求する(叫ぶ)」(「オ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「オガ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「オガル」となった。また「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「オナル」となった)

  「オホ・(ン)ゴエ・ア・(ン)ゲ」、OHO-NGOE-A-NGE(oho=spring up,wake up,arise;ngoe,ngoengoe=scream,screech;a=drive,urge collect;nge=noise,screech)、「甲高い声を・発し・(それがさらに)甲高い叫びを・呼ぶ(叫ぶ)」(「オホ」のH音が脱落して「オー」と、「(ン)ゴエ」のNG音がG音に変化して「ゴエ」と、「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲー」となった)

  「オラ・アプ」、ORA-APU(ora,oraora=shake,wag,rustle,curse;apu=bark as a dog)、「(犬が)吠えるように・(人を)ののしる(叫ぶ)」(「オラ」の語尾のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「オラプ」から「オラブ」となった)

  「タ・ケ・ル」、TA-KE-RU(ta=dash,beat,lay;ke=different,strange;ru=shake,agitate,scatter)、「激しく・異様な・震える声を出す(叫ぶ)」

  「イ・(ン)ガル」、I-NGARU(i=from,beside,with,belonging to;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「波のような(強弱のある)言葉を・吐き・掛ける(叫ぶ)」(「(ン)ガル」のNG音がG音に変化して「ガル」となった)

  「チ・アケ・ル」、TI-AKE-RU(ti=squeak,make a sharp inarticulate sound;ake=forthwith,to intensify,from below;ru=shake,agitate,scatter)、「たいへん・甲高い・震える声を出す(叫ぶ)」(「チ・アケ」が「シャケ」となった)

  「オ・メ・ク」、O-ME-KU(o=the...of;me=as if,like;ku=make a low inarticulate sound etc.(kuku=grating sound))、「例の・(人に)不快感を与える・ような(言葉を吐く。叫ぶ)」

  「オ・ロツ」、O-ROTU(o=the...of;rotu=heavy,oppressive,render the sea calm by a spell)、「例の・(人を)不快にさせる(言葉を吐く。叫ぶ)」(「ロツ」が「ロッ」となった)

  「ツ・アピ・ナ」、TU-API-NA(tu=fight with,energetic;(Hawaii)api=to palpitate,shake,beat;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「激しく・(人を)不快に・してしまう(言葉を吐く。叫ぶ)」(「ツ」が「ッ」と、「アピ」が「アビー」と、「ナ」が「ン」となった)

  「アピ・ナ」、API-NA((Hawaii)api=to palpitate,shake,beat;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「(人を)不快に・してしまう(言葉を吐く。叫ぶ)」(「アピ」が「アビー」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ツ・(ン)ガル」、TU-NGARU(tu=fight with,energetic;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「激しく・波のような(強弱のある)言葉を浴びせる(叫ぶ)」(「ツ」が「ズ」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

の転訛と解します。

083さしみ(刺身)・サスミ・シャシミ・オツクリ・ツクリ・ナマ・サシン

 「さしみ」の方言には、宮城、山形の「サスミ」、栃木の「シャシミ」、愛知、京都などの「オツクリ」、滋賀、奈良などの「ツクリ」、高知、福岡などの「ナマ」、鹿児島の「サシン」があります。

 この「さしみ」、「サスミ」、「シャシミ」、「オツクリ」、「ツクリ」、「ナマ」、「サシン」は、

  「タ・チ・ミイ」、TA-TI-MII(ta=the...of;ti=throw,cast;(Hawaii)mii=attractive,fine-appearing,good-looking)、「例の・素晴らしい(新鮮で美味そうな)外観を・見せつけるもの(刺身)」(「タ」が「サ」と、「チ」が「シ」と、「ミイ」の語尾のI音が脱落して「ミ」となった)

  「タ・ツ・ミイ」、TA-TI-MII(ta=the...of;tu=stand,settle;(Hawaii)mii=attractive,fine-appearing,good-looking)、「例の・素晴らしい(新鮮で美味そうな)外観を・見せているもの(刺身)」(「タ」が「サ」と、「ツ」が「ス」と、「ミイ」の語尾のI音が脱落して「ミ」となった)

  「チア・チ・ミイ」、TIA-TI-MII(tia=etia=as it were,as if;ti=throw,cast;(Hawaii)mii=attractive,fine-appearing,good-looking)、「まるで・素晴らしい(新鮮で美味そうな)外観を・見せつけるようなもの(刺身)」(「チア」が「シャ」と、「チ」が「シ」と、「ミイ」の語尾のI音が脱落して「ミ」となった)

  「オ・ツク(ン)ガ・リ」、O-TUKUNGA-RI(o=the...of;tukunga=place into which one may be received,person to receive gueats;ri=bind)、「例の・お客を迎える席に・不可欠のもの(刺身)」(「ツク(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツク」となった)

  「ツク(ン)ガ・リ」、TUKUNGA-RI(tukunga=place into which one may be received,person to receive gueats;ri=bind)、「お客を迎える席に・不可欠のもの(刺身)」(「ツク(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツク」となった)

  「ナ・マ」、NA-MA(na=by,made by,belonging to;ma=white,clean,freed from tapu)、「(清らかな)新鮮な(魚から)・調理したもの(刺身)」

  「タ・チノ」、TA-TINO(ta=the...of;tino=essenciality,self,reality)、「例の・(お客を迎える席に)絶対不可欠のもの(刺身)」(「タ」が「サ」と、「チノ」が「シン」となった)

の転訛と解します。

084さつまいも(薩摩芋・甘藷)・サズマエモ・サジマエモ・サズマ・イモ・リーキイモ・ジューキイモ・リューキイモ・ケンジイモ・カライモ・トーイモ・ッンム・ンム

 「さつまいも」の方言には、青森、岩手などの「サズマイモ」(「さつまいも」と同語源)、宮城、山形の「サズマエモ」、秋田の「サジマエモ」、茨間、栃木の「サズマ」、群馬、埼玉などの「サツマ」(「サズマ」と同語源)、千葉、山口などの「イモ」、新潟の「サツマエモ」(「サズマエモ」と同語源)、岐阜の「サツメーモ」(「サズマエモ」と同語源)、愛知の「サツマェーモ」(「サズマエモ」と同語源)、島根の「リーキイモ」、広島の「ジューキイモ」、徳島の「リューキイモ」、愛媛の「ケンジイモ」、高知、佐賀などの「カライモ」、福岡、長崎の「トーイモ」、沖縄那覇の「ッンム」、沖縄首里の「ンム」があります。

 この「さつまいも」、「サズマエモ」、「サジマエモ」、「サズマ」、「イモ」、「リーキイモ」、「ジューキイモ」、「リューキイモ」、「ケンジイモ」、「カライモ」、「トーイモ」、「ッンム」、「ンム」は、

  「タ・ツマ・イヒ・マウ」、TA-TUMA-IHI-MAU(ta=the...of,dash,beat,lay;tuma=challenge,abscess;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「なにかにつけて・反抗する部族(隼人)が住む地域(薩摩国)から渡来した・(地上の)蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「タ」が「サ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった。また「ツマ」が「ズマ」となった)

  「タ・ツマ・エ・マウ」、TA-TUMA-E-MAU(ta=the...of,dash,beat,lay;tuma=challenge,abscess;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「なにかにつけて・反抗する部族(隼人)が住む地域(薩摩国)から渡来した・変わった方法で・収穫するもの(さつまいも)」 (「タ」が「サ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった。また「ツマ」が「ズマ」となった。また「ツマ・エ」が「ツマェー」あるいは「ツメ」から「ツメー」となった)

  「タ・チマ・エ・マウ」、TA-TIMA-E-MAU(ta=the...of;tima=a wooden implement for cultivating the soil;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「例の・変わった方法で・耕作して・収穫するもの(さつまいも)」 (「タ」が「サ」と、「チマ」が「ジマ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タ・ツマ」、TA-TUMA(ta=the...of,dash,beat,lay;tuma=challenge,abscess;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「なにかにつけて・反抗する部族(隼人)が住む地域(薩摩国)から渡来したもの(さつまいも)」 (「タ」が「サ」と、「ツマ」が「ズマ」となった)

  「イヒ・マウ」、IHI-MAU(ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(地上の)蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「リキ・イヒ・マウ」、RIKI-IHI-MAU(riki=small,few;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「希少な・(地上の)蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「リキ」が「リーキ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
または「リウ・キフ・イヒ・マウ」、RIU-KIHU-IHI-MAU(riu=pass by(riunga=passage,way);kihu,kihukihu=fringe;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(大陸の)縁の・通路であった地域(琉球)から渡来した・(地上の)蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「リウ」が「リュウ」から「リー」と、「キフ」のH音が脱落して「キウ」から「キュウ」または「キ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チウ・キ・イヒ・マウ」、TIU-KI-IHI-MAU(tiu=soar,wander,swing;ki=full,very;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(地上の蔓が)たいへん・蔓延する・蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「チウ」が「ジュー」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「リウ・キフ・イヒ・マウ」、RIU-KIHU-IHI-MAU(riu=pass by(riunga=passage,way);kihu,kihukihu=fringe;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(大陸の)縁の・通路であった地域(琉球)から渡来した・(地上の)蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「リウ」が「リュウ」から「リュー」と、「キフ」のH音が脱落して「キ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「カイ(ン)ガ・チ・イヒ・マウ」、KAINGA-TI-IHI-MAU(kainga=refuse of a meal;ti=throw,cast;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「粗末な食事・となる・蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「チ」が「ジ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「カラ・イヒ・マウ」、KARA-IHI-MAU(kara=唐。外国の総称;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「外国から渡来した・蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トウ・イヒ・マウ」、TOU-IHI-MAU(tou=唐。外国の総称;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「外国から渡来した・蔓から切り離して・収穫するもの(さつまいも)」 (「トウ」が「トー」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ツヌ・ウム」、TUNU-UMU(tunu=roast,broil;umu=earth oven)、「(地中の)蒸し焼き穴で・焼く(もの。さつまいも)」(「ツヌ」の語尾のU音と「ウム」の語頭のU音が連結して「ツヌム」から「ツンム」となった)

  「ノ・ウム」、NO-UMU(no=of;umu=earth oven)、「(地中の)蒸し焼き穴で・調理する(もの。さつまいも)」(「ノ」のO音と「ウム」の語頭のU音が連結して「ノウム」から「ノム」、「ンム」となった)

の転訛と解します。

085さといも(里芋)・イモノコ・ジギイモ・エモノゴ・エモコ・ハダイモ・サドエモ・デロエモ・イモ・チボイモ・タイモ・タダイモ・ジイモ・ツチイモ・コイモ・ドロイモ・ズイキイモ・バライモ・アライモ・ナンキンイモ・ケイモ・チンヌク・ハイモ・トノイモ・エグイモ

 「さといも」の方言には、北海道、石川などの「イモノコ」、青森の「ジギイモ」、岩手の「イモノゴ」(「イモノコ」と同語源)、宮城、秋田の「エモノゴ」、山形の「エモコ」、福島の「ハダイモ」、茨城の「サドエモ」、栃木の「デロエモ」、群馬、埼玉などの「イモ」、新潟の「サトエモ」(「サドエモ」と同語源)、富山の「チボイモ」、福井、滋賀などの「タイモ」、山梨、三重の「タダイモ」、岐阜の「ジイモ」、愛知の「ツチイモ」、京都、大阪などの「コイモ」、奈良の「ドロイモ」、鳥取の「ズイキイモ」、岡山の「ジーキイモ」(「ズイキイモ」と同語源)、徳島の「バライモ」、福岡の「アライモ」、長崎の「ナンキンイモ」、宮崎の「ケイモ」、沖縄那覇・首里の「チンヌク」があります。

 上記のほか、岩手の「ハイモ」、三重の「トノイモ」、「エグイモ」などがあります。

 この「さといも」、「イモノコ」、「ジギイモ」、「エモノゴ」、「エモコ」、「ハダイモ」、「サドエモ」、「デロエモ」、「イモ」、「チボイモ」、「タイモ」、「タダイモ」、「ジイモ」、「ツチイモ」、「コイモ」、「ドロイモ」、「ズイキイモ」、「バライモ」、「アライモ」、「ナンキンイモ」、「ケイモ」、「チンヌク」、「ハイモ」、「トノイモ」、「エグイモ」は、

  「タタウ・イヒ・マウ」、TATAU-IHI-MAU(tatau=tie with a cord,count;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「細い(紐)根でつながっている・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「タタウ」のAU音がO音に変化して「タト」から「サト」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)(「さといも(里芋)」については、雑楽篇(その二)の564さといも(里芋)の項を参照してください。)

  「イヒ・マウ・ノ・コ」、IHI-MAU-NO-KO(ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry;no=of;ko=descend)、「(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)・の・(子孫の)子(里芋)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった。また「コ」が濁音化して「ゴ」となった)

  「チ(ン)ギア・イヒ・マウ」、TINGIA-IHI-MAU(tingia=ti=throw,cast;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(親芋の周囲に)ばらまかれたように生育する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「チ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「チギ」から「ジギ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「エ・マウ・ノ・コ」、E-MAU-NO-KO(e=calling attention,expressing surprize;mau=bring,carry;no=of;ko=descend)、「変わった方法で・収穫する(食物。里芋)・の・(子孫の)子(里芋)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「コ」が濁音化して「ゴ」となつた)

  「エ・マウ・コ」、E-MAU-KO(e=calling attention,expressing surprize;mau=bring,carry;ko=descend)、「変わった方法で・収穫する(食物。里芋)・(子孫の)子(里芋)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「パタ・イヒ・マウ」、PATA-IHI-MAU(pata=drop of water etc.,seedor grain as of a maize etc.;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「粒々になっている・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」から「ハダ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タタウ・エ・マウ」、TATAU-E-MAU(tatau=tie with a cord,count;e=calling attention,expressing surprize;mau=bring,carry)、「細い(紐)根でつながっている・変わった方法で・収穫する(食物。里芋)」(「タタウ」のAU音がO音に変化して「タト」から「サト」、「サド」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タイロア・エ・マウ」、TAIROA-E-MAU(tairoa=lingering,spending much time over anything;e=calling attention,expressing surprize;mau=bring,carry)、「ずるずるといつまでも収穫できる(収穫期間が長い)・変わった方法で・収穫する(食物。里芋)」(「タイロア」のAI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「テロ」から「デロ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「イヒ・マウ」、IHI-MAU(ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チパオ・イヒ・マウ」、TIPAO-IHI-MAU(tipao=come and go irregularly,wander;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(親芋の周りに子芋が)不規則に成長した・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「チパオ」のAO音がO音に変化して「チポ」から「チボ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タ(ン)ガ・イヒ・マウ」、TANGA-IHI-MAU(tanga=circumstance or place of dashing or striking etc.;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(水稲を)栽培する場所(田)に植え付ける・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タタ・イヒ・マウ」、TATA-IHI-MAU(tata=near of place or time,suddenly;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(住居の)近くで栽培する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「タタ」が「タダ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チ・イヒ・マウ」、TI-IHI-MAU(ti=throw,cast;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「放りっぱなしで(特に手を掛けずに)栽培する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「チ」が「ジ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ツ・チ・イヒ・マウ」、TUI-TI-IHI-MAU(tui=pierce,thread on a string;ti=throw,cast;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(地面に)穴を開けて(子芋を)差し込み・放りっぱなしで(特に手を掛けずに)栽培する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ツ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「コ・イヒ・マウ」、KO-IHI-MAU(ko=descend;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(親芋の子孫の)子の・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トロ・イヒ・マウ」、TORO-IHI-MAU(toro=stretch forth,extend,creep;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(親芋の周りに)伸びて生育する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「トロ」が「ドロ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ツ・イキ・イヒ・マウ」、TU-IKI-IHI-MAU(tu=stand,be erect,be turned up;iki=consume,devour,sweep away,clear off;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(芋の部分に比して)軽視される・皮を剥いた(茎・葉柄。ずいき)が採れる・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「ツ」が「ズ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった。また「ツ・イキ」が「チキ」から「ジーキ」となった)(「ずいき(芋茎)」については、雑楽篇(その二)の564さといも(里芋)の項を参照してください。)

  「パハラ・イヒ・マウ」、PAHARA-IHI-MAU(pahara=incomplete,deficient,scattered;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「不揃いの・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「パハラ」のH音が脱落して「パラ」から「バラ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「アラ・イヒ・マウ」、ARA-IHI-MAU(ara=way,path,means of conveyance;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「(葉を)食物などを載せて運ぶのに利用する・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「チ」が「ジ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ナナ・キニ・イヒ・マウ」、NANA-KINI-IHI-MAU(nana=tend carefully,nurse;kini=nip,pinch,pinch off;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「小さくて・可愛らしい(大きさの)・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「ナナ」が「ナン」と、「キニ」が「キン」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「カイ(ン)ガ・イヒ・マウ」、KAINGA-IHI-MAU(kainga=refuse of a meal;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「粗末な食事となる・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ケ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チノ・ヌク」、TINO-NUKU(tin=essenciality,reality;nuku=move,extend)、「(絶対に)本質的に・移動して栽培する(連作ができない作物。里芋)」(「チノ」が「チン」となった)

  「ワ・イヒ・マウ」、WHA-IHI-MAU(wha=leaf,flake;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「葉(および茎)を食用とする・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「ワ」のWH音がH音に変化して「ハ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ト・ナウ・イヒ・マウ」、TO-NAU-IHI-MAU(to=drag;nau=come,go;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「招き・寄せた(客に供する)・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「エ・(ン)グ・イヒ・マウ」、E-NGU-IHI-MAU(e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;ihi=split,divide,separate;mau=bring,carry)、「思わず・黙りこくる(嫌な味がする)・(子芋を親芋から)分離して・収穫する(食物。里芋)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

の転訛と解します。

086さようなら(左様なら)・サイナラ・アバェ・アンバェ・ンダラマズ・サイナ・アバヨ・アバ・ソイジャー・サェーナラ・ゴメンシャー・ゴメンナサイ・コレワ・ソイギー・ゴブレイシマス・ソイナラゴアシタ・マタヤー・アバネ・インデクワ・グブリーサビラ

 「さようなら」の方言には、北海道、青森などの「サイナラ」、岩手の「アバェ」、宮城、東京などの「サヨナラ」(「さようなら」と同語源)、秋田の「アンバェ」、山形の「ンダラマズ」、茨城の「サイナ」、栃木、群馬などの「サイナー」(「サイナ」と同語源)、千葉の「サヨナラー」(「さようなら」と同語源)、新潟、山梨の「アバヨ」、岐阜の「アバ」、静岡の「ソイジャー」、愛知の「サェーナラ」、和歌山の「サエナラ」(「サェーナラ」と同語源)、岡山の「ゴメンシャー」、広島の「ゴメンナサイ」、福岡の「コレワ」、佐賀の「ソイギー」、熊本の「ゴブレイシマス」、鹿児島の「ソイナラゴアシタ」、沖縄那覇・首里の「マタヤー」があります。

 上記のほか、長野の「アバネ」(子供)、神奈川の「インデクワ」、沖縄首里の「グブリーサビラ」などがあります。

 この「さようなら」、「サイナラ」、「アバェ」、「アンバェ」、「ンダラマズ」、「サイナ」、アバヨ」、「アバ」、「ソイジャー」、「サェーナラ」、「ゴメンシャー」、「ゴメンナサイ」、「コレワ」、「ソイギー」、「ゴブレイシマス」、「ソイナラゴアシタ」、「マタヤー」、「アバネ」、「インデクワ」、「グブリーサビラ」は、

  「タイ・アウ・ナ・アラ」、TAI-AU-NA-ARA(tai=a term of address to males or females;au=firm,intense;na=satisfied,content;ara=way,path)、「貴方が・十分・満足して・道を辿りますように(道中ご無事でありますように。さようなら)」(「タイ」が「サイ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「サイ・オ」が「サヨ」から「サヨウ」、「サヨー」と、「ナ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ナラ」または「ナラー」となった)

  「タイ・ナ・アラ」、TAI-NA-ARA(tai=a term of address to males or females;na=satisfied,content;ara=way,path)、「貴方が・満足して・道を辿りますように(道中ご無事でありますように。さようなら)」(「タイ」が「サイ」と、「ナ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ナラ」となった)

  「アパ・エ」、APA-E(apa=spirit of one dead visiting or inspiring a medium;e=calling attention or expressing surprise,to give emphasis)、「ご先祖の霊が現れ(てお守りください)・ますように(さようなら)」(「アパ」が「アバ」となった)

  「ア(ン)ガ・アパ・エ」、ANGA-APA-E(anga=a=drive,urge,compel;apa=spirit of one dead visiting or inspiring a medium;e=calling attention or expressing surprise,to give emphasis)、「(力を込めて)必ず・ご先祖の霊が現れ(てお守りください)・ますように(さようなら)」(「ア(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「アナ」となり、その語尾のA音と「アパ」の語頭のA音が連結して「アナパ」が「アンバ」となった)

  「(ン)ガタ・ラ・マツ」、NGATA-RA-MATU(ngata=man;ra=then,but;matu=ma atu=go,come)、「貴方様よ・それでは・行きます(さようなら)」(「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」と、「マツ」が「マズ」となった)

  「タイ・ナ」、TAI-NA(tai=a term of address to males or females;na=satisfied,content)、「貴方が・満足しますように(道中ご無事でありますように。さようなら)」(「タイ」が「サイ」となつた。また「ナ」が「ナー」となった)

  「アパ・イオ」、APA-IO(apa=spirit of one dead visiting or inspiring a medium;io=spur,lock of hair,tough)、「ご先祖の霊が現れて・髷(頭)に宿ります(お守りされます)ように(さようなら)」(「アパ」が「アバ」と、「イオ」が「ヨ」となった)

  「アパ」、APA(spirit of one dead visiting or inspiring a medium)、「ご先祖の霊が現れ(てお守りください)ますように(さようなら)」(「アパ」が「アバ」となった)

  「トイ・チア」、TOI-TIA(toi=move quickly,trot,incite;tia=stick in,peg,stick)、「杖を突いて・歩きだす(さようなら)」(「トイ」が「ソイ」と、「チア」が「チャ」から「ジャー」となつた)

  「タイ・エ・ナ・アラ」、TAI-E-NA-ARA(tai=a term of address to males or females;e=calling attention or expressing surprise,to give emphasis;na=satisfied,content;ara=way,path)、「貴方が・きっと・満足して・道を辿りますように(道中ご無事でありますように。さようなら)」(「タイ」が「サイ」となり、「サイ・エ」が「サエ」から「サェー」と、「ナ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ナラ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・チア」、NGO-MENE-TIA(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);tia=stick in,peg,stick)、「歩き出す(際の別れの挨拶を)・叫ぶように・きちんと述べる(さようなら)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「チア」が「シャ」から「シャー」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タイ」、NGO-MENE-NA-TAI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tai=a term of address to males or females)、「相手の名と・その親(または子)の名を呼び・叫ぶように・きちんと(別れの挨拶を)述べる(さようなら)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タイ」が「サイ」となった)(訪問の挨拶と同じです。国語篇(その十四)の077ごめんくださいの項を参照してください。)

  「コレ・ワ」、KORE-WHA(kore=not,following a reason why anything has not taken place or will not take place:wha=be disclosed,get abroad)、「(居住地の)外へ出て・いなくなります(さようなら)」

  「トイ・(ン)ギア」、TOI-TIA(toi=move quickly,trot,incite;ngia=seem,appear to be)、「歩きだそう・とする(かのような。さようなら)」(「トイ」が「ソイ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」から「ギー」となった)

  「(ン)ゴ・プレ・イヒ・チ・マツ」、NGO-PURE-IHI-TI-MATU(ngo=cry,grunt;pure=a ceremony for removing tapu;ihi=power,spell;ti=throw,cast;matu=ma atu=go,come)、「出立に(際して)・(旅の禁忌を除く)無事を祈る・まじないを・する(さようなら)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「プレ」が「ブレ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「チ」が「シ」と、「マツ」が「マス」となった)

  「トイ・ナ・アラ・(ン)ゴ・アチ・タ」、TOI-NA-ARA-NGO-ATI-TA(toi=move quickly,trot,incite;na=satisfied,content;ara=way,path;ngo=cry,grunt;ati=descendant,clan;ta=dash,beat,lay)、「(貴方が)満足して(無事に)・道を・歩くよう・一族に・連なる者達が・(叫ぶ)大きな声で祈ります(さようなら)」(「トイ」が「ソイ」と、「ナ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ナラ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「アチ」が「アシ」となった)

  「マタ・イア」、MATA-IA(mata=spell,charm;ia=indeed)、「(旅の無事の)まじないを・かけますぞ(さようなら)」(「イア」が「ヤ」から「ヤー」となった)

  「アパ・ネイ」、APA-NEI(apa=spirit of one dead visiting or inspiring a medium;nei=to denote proximity to or connection with the speaker)、「ご先祖の霊が現れて(お守り)ください・ね(さようなら)」(「アパ」が「アバ」と、「ネイ」が「ネ」となった)

  「イナ・テ・クワハ」、INA-TE-KUWAHA(ina=to emphasis statement as to quality;te=crack(tete=squeak);kuwaha=mouth)、「口が・裂けよとばかり・(「さようなら」の)声を張り上げる(さようなら)」(「イナ」が「イン」と、「テ」が「デ」と、「クワハ」のH音が脱落して「クワ」となった)

  「(ン)グ・プリ・タピ・ラ」、NGU-PURI-TAPI-RA(ngu=moan,groan;puri=sacred,pertaining to ancient lore;tapi=apply as dressing to a wound;ra,rara=make a continued dull sound,roar)、「(別れを悲しむ)声の・痛みを癒す・昔から伝わる秘伝の(まじないを)・低い声で唱える(さようなら)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「プリ」が「ブリ」から「ブリー」と、「タピ」が「サビ」となった)

の転訛と解します。

087さわぐ(騒ぐ)・ホゴル・サシネ・ヤガマシグスル・アタケル・ガーナル・ワメク・ホタエル・ハシャグ・ソーゾスル・イキル・ツバエル・ヒログ・ソードスッ・オゴル・オドクル・ッアマイン・サワジュン・オダル・バエル・アバスレル・トゴエル

 「さわぐ」の方言には、北海道、山形の「ホゴル」、青森の「サシネ」、岩手の「ヤガマシグスル」、新潟の「アタケル」、山梨の「ガーナル」、愛知の「ワメク」、三重、滋賀などの「ホタエル」、奈良の「ハシャグ」、島根の「ソーゾスル」、広島の「イキル」、山口の「ツバエル」、愛媛の「ヒログ」、福岡の「ソードースル」(「ソーゾスル」と同語源)、佐賀の「ソードスッ」、熊本の「ソドスル」(「ソーゾスル」と同語源)、大分の「オゴル」、宮崎の「オドクル」、鹿児島の「ソドオスーッ」(「ソードスッ」と同語源)、沖縄那覇の「ッアマイン」、沖縄首里の「サワジュン」があります。

 上記のほか、北海道の「オダル」、鳥取の「バエル」、岡山の「アバスレル」、福岡の「トゴエル」などがあります。

 この「さわぐ」、「ホゴル」、「サシネ」、「ヤガマシグスル」、「アタケル」、「ガーナル」、「ワメク」、「ホタエル」、「ハシャグ」、「ソーゾスル」、「イキル」、「ツバエル」、「ヒログ」、「ソードスッ」、「オゴル」、「オドクル」、「ッアマイン」、「サワジュン」、「オダル」、「バエル」、「アバスレル」、「トゴエル」は、

  「タワ・ク」、TAWHA-KU(tawha=burst open,crack;ku=make a low inarticulate sound or coo,etc.)、「爆発するような・(低い)音を立てる(騒ぐ)」(「タワ」が「サワ」と、「ク」が濁音化して「グ」となった)
  または「タワ・(ン)グ」、TAWHA-NGU(tawha=burst open,crack;ngu=moan,groan)、「爆発するような・(低いうめき声)音を立てる(騒ぐ)」(「タワ」が「サワ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ホ・(ン)ゴ・ル」、HO-NGO-RU(ho=put out the lips,droop,shout;ngo=cry,grunt;ru=shake,agitate,scatter)、「激しく・大声で・叫ぶ(騒ぐ)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「タ・チ・イネ」、TA-TI-INE(ta=the...of,dash,beat,lay;ti=throw,cast;ine=ene=flatter,cajole)、「いい気に・なつて・羽目を外す(騒ぐ)」(「タ」が「サ」と、「チ」が「シ」となり、そのI音と「イネ」の語頭のI音が連結して「シネ」となった)

  「イア・カマ・チ・ク・ツ・ル」、IA-KAMA-TI-KU-TU-RU(ia=indeed;kama=eager;ti=throw,cast;ku=make a low inarticulate sound(kuku=grating sound);tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・あるいは高くあるいは低く・実に・熱心に・やかましい声を・立てる(騒ぐ)」(「イア」が「ヤ」と、「カマ」が「ガマ」と、「チ」が「シ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ア・タ・ケ・ル」、A-TA-KE-RU(a=drive,urge,compel;ta=dash,beat,lay;ke=different,strange;ru=shake,agitate,scatter)、「駆り立てられるように・激しく・異様な・震える声を出す(騒ぐ)」

  「(ン)ガナ・アル」、NGANA-ARU(ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;aru=follow,pursue)、「しつこく・(人を)追求する(騒ぐ)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ガナル」から「ガーナル」となった)

  「ワハ・メ・ク」、WAHA-ME-KU(waha=mouth,voice;me=as if,like;ku=make a low inarticulate sound etc.(kuku=grating sound))、「(人に)不快感を与える・ような・言葉を吐く(騒ぐ)」(「ワハ」のH音が脱落して「ワ」となった)

  「ホ・タエ・ル」、HO-TAE-RU(ho=put out the lips,droop,shout;tae=arrive,reach,extend to,proceed to;ru=shake,agitate,scatter)、「あるいは高くあるいは低く・なるまで・大声で叫ぶ(騒ぐ)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「ハ・チア・(ン)グ」、HA-TIA-NGU(ha=breath,sound or tone of voice;tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;ngu=moan,groan)、「(力強く櫂で漕ぐような)テンポが速く活気のある・調子で・(低い)声を上げる(騒ぐ)」(「チア」が「シャ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「トト・ツ・ル」、TOTO-TU-RU(toto=ooze,gush forth,spring up;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・あるいは高くあるいは低く・(大きな声を)噴出する(騒ぐ)」(「トト」が「ソソ」から「ソーゾ」または「ソードー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「イキ・ル」、IKI-RU(iki=consume,devour:ru=shake,agitate,scatter)、「消耗するほど・あるいは高くあるいは低く(大きな声を)立てる(騒ぐ)」

  「ツ・パエ・ル」、TU-PAE-RU(tu=stand,settle;pae=horizen,lte across,be wrecked,be stranded:ru=shake,agitate,scatter)、「(不快感に)打ちひしがれて・立てなくなるほど・(大きな声を)あるいは高くあるいは低く出す(騒ぐ)」(「パエ」が「バエ」となった)

  「ヒ・ロウ・(ン)グ」、HI-ROU-NGU(hi=raise,rise;rou=a long stick,intoxicated;ngu=moan,groan)、「高い・(酒に)酔ったような・声を上げる(騒ぐ)」(「ロウ」が「ロ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)
  「ヒラウ・(ン)グ」、HIRAU-NGU(hirau=entangle,paddle;ngu=moan,groan)、「櫂を漕ぐような調子で・(低い)声を上げる(騒ぐ)」(「」が「シャ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「トト・ツツ」、TOTO-TUTU(toto=ooze,gush forth,spring up;tutu=insubordinate,vigorous)、「活発に・(大きな声を)噴出する(騒ぐ)」(「トト」が「ソソ」から「ソード」または「ソドオ」と、「ツツ」が「スッ」または「スーッ」となった)

  「オ・(ン)ゴ・ル」、O-NGO-RU(o=the...of;ngo=cry,grunt;ru=shake,agitate,scatter)、「例の・あるいは高くあるいは低く・叫ぶ(騒ぐ)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「アウト・クル」、AUTO-KURU(auto=trailing behind,slow,drag out;kuru=strike with the fist,pound,pelt)、「長々と・(大きな声を)浴びせる(騒ぐ)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オド」となった)

  「ツア・マ・イネ」、TUA-MA-INE(tua=influence by means of a spell,spell for various purposes;ma=for by means of,by way of;ine=ene=flatter,cajole)、「魔法にかかった・ためか・いい気になつて(大声を出す。騒ぐ)」(「ツア」が「ッア」と、「イネ」が「イン」となった)

  「タワ・チ・ウ(ン)ガ」、TAWHA-TI-UNGA(tawha=burst open,crack;ti=squeak,make a sharp inarticulate sound,tingle;unga=u=be firm,reach its limit)、「爆発するような・とんでもなく・不快な金切声を立てる(騒ぐ)」(「タワ」が「サワ」と、「チ」が「ジ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」となり、「ジ・ウナ」が「ジュン」となった)

  「アウタ・ル」、AUTA-RU(auta=toss,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「(不快感で)苦悶するほど・(大きな声を)震わせる(騒ぐ)」(「アウタ」のAU音がO音に変化して「オタ」から「オダ」となった)

  「パエ・ル」、PAE-RU(pae=horizen,lte across,be wrecked,be stranded:ru=shake,agitate,scatter)、「(不快感に)打ちひしがれほど・(大きな声を)あるいは高くあるいは低く出す(騒ぐ)」(「パエ」が「バエ」となった)

  「アパ・ツ・ラエ・ル」、APA-TU-RAE-RU(apa=spirit of one dead visiting or inspiring a medium;tu=stand,settle;rae=forehead,temple;ru=shake,agitate,scatter)、「(誰かの)霊が・(額)頭に・宿ったように・震える(無我夢中で叫ぶ。騒ぐ)」(「アパ」が「アバ」と、「ツ」が「ス」と、「ラエ」のAE音がE音に変化して「レ」となった)

  「ト・(ン)ゴエ・ル」、TO-NGOE-RU(to=drag,tingle;ngoe,ngoengoe=scream,screech;ru=shake,agitate,scatter)、「興奮して・金切り声を出して・震える(騒ぐ)」(「(ン)ゴエ」のNG音がG音に変化して「ゴエ」となった)

の転訛と解します。

「シ」

088しあさって(明明後日)・ヤノアサッテ・ヤナアサッテ・サーサッテ・ヤネアサッテ・シガサッテ・シラアサッテ・ッアサティヌナーチャ・アサティヌナーチャ

 「しあさって」の方言には、北海道、岩手などの「ヤノアサッテ」、青森、秋田などの「ヤナサッテ」(「ヤナアサッテ」と同語源)、茨城、栃木の「ヤナアサッテ」、群馬、神奈川の「サーサッテ」、富山の「ヤネアサッテ」、静岡の「シガサッテ」、愛知、三重の「ササッテ」(「サーサッテ」と同語源)、奈良の「シヤサッテ」(「しあさって」と同語源)、島根の「シャーサッテ」(「しあさって」と同語源)、岡山の「シアサッテー」(「しあさって」と同語源)、佐賀の「シラアサッテ」、沖縄那覇の「ッアサティヌナーチャ」、沖縄首里の「アサティヌナーチャ」があります。

 この「しあさって」、「ヤノアサッテ」、「ヤナアサッテ」、「サーサッテ」、「ヤネアサッテ」、「シガサッテ」、「シラアサッテ」、「ッアサティヌナーチャ」、「アサティヌナーチャ」は、

  「チヒ・アタ・ツ・テ」、TIHI-ATA-TU-TE(tihi=top,lie in heap;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「(高い位置にある)さらにその次の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「アタ」が「アサ」となった。また「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となり、「シイ・アサ」が「シヤサ」から「シャーサ」となった。また「ツ・テ」が「ッテ」から「ッテー」となった)
(「あした(明日)」が「アチ・タ」、ATI-TA(ati=descendant;ta=lay)、「(体の子孫である)足(の位置。足元)に・ある(日。すぐ次の日。明日)」(「アチ」が「アシ」となった)と観念され、それよりも遠いものとして「あさって(明後日)」を「若芽」と見立て、「さらにその次の日」を「しあさって」と呼んだものと考えられます。)

  「イ・アノ・アタ・ツ・テ」、I-ANO-ATA-TU-TE(i=past tense,from beside,with,by;ano=up to the time spoken of,again,also;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「さらに・その次の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「イ・アノ」が「ヤノ」と、「アタ」が「アサ」となった)

  「イ・アナ・アタ・ツ・テ」、I-ANA-ATA-TU-TE(i=past tense,from beside,with,by;ana=a particle denoting continuance of action or state;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「さらに・その次の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「イ・アナ」が「ヤナ」と、「アタ」が「アサ」となった。また「ヤナ」の語尾のA音と「アサ」の語頭のA音が連結して「ヤナサ」となった)

  「タハ・アタ・ツ・テ」、TAHA-ATA-TU-TE(taha=side,edge,pass on one side;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「その脇(次)の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」から「サ」となり、そのA音と、「アタ」が「アサ」となったその語頭のA音が連結して「ササ」から「サーサ」となった)

  「イ・アナイアネイ・アタ・ツ・テ」、I-ANAIANEI-ATA-TU-TE(i=past tense,from beside,with,by;anaianei=henceforward;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「さらに・その次の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「アナイアネイ」のほぼ同音の反復語尾が脱落して「アナイ」となり、「イ・アナイ」のAI音がE音に変化して「ヤネ」と、「アタ」が「アサ」となった)

  「チ・(ン)ガエ・アタ・ツ・テ」、TI-NGAE-ATA-TU-TE(ti=throw,cast;ngae,ngaengae=heel;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「その踵に・付いた(その次の)・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「チ」が「シ」と、「(ン)ガエ」のNG音がG音に変化し、語尾のE音が脱落して「ガ」となり、そのA音と「アタ」が「アサ」となったその語頭のA音が連結して「ガサ」となった)

  「チラハ・アタ・ツ・テ」、TIRAHA-ATA-TU-TE(tiraha=slow,face upwards;ata=early morning;tu=stand.settle;te,tete=young shoot etc.)、「その上(次)の・若芽(の位置)に・ある・(朝)日(明明後日)」(「チラハ」のH音が脱落して「チラ」から「シラ」と、「アタ」が「アサ」となった)

  「ツ・アタ・チ・ヌイ(ン)ガ・チア」、TU-ATA-TI-NUINGA-TIA(tu=stand,settle;ata=early morning;ti=a game called also "ti ringaringa"(ringaringa=hand,arm."ti ringaringa"game played by opening and shutting the hands while reciting certain verses);nuinga=majority,larger part;tia=etia-as it were,as if)、「手のゲームで・多数となる・ような数(5回のうち勝ち3回。三日後)の・位置にある・(朝)日(明明後日)」(「ツ」が「ッ」と、「アタ」が「アサ」と、「チ」が「ティ」と、「ヌイ(ン)ガ」のUI音がU音に、NG音がN音に変化して「ヌナ」から「ヌナー」と、「チア」が「チャ」となった)

  「アタ・チ・ヌイ(ン)ガ・チア」、ATA-TI-NUINGA-TIA(tu=stand,settle;ata=early morning;ti=a game called also "ti ringaringa"(ringaringa=hand,arm."ti ringaringa"game played by opening and shutting the hands while reciting certain verses);nuinga=majority,larger part;tia=etia-as it were,as if)、「手のゲームで・多数となる・ような数(5回のうち勝ち3回。三日後)の・(朝)日(明明後日)」(「アタ」が「アサ」と、「チ」が「ティ」と、「ヌイ(ン)ガ」のUI音がU音に、NG音がN音に変化して「ヌナ」から「ヌナー」と、「チア」が「チャ」となった)

の転訛と解します。

089しおからい(塩辛い)・ショッパイ・ショペァ・ショッパエ・カレー・クドイ・カラェー・ドンガライ・ダダガライ・カリャー・ソカライ・シオノキートー・シオンカルカ・ショッパカ・アダガラカ・カラサン・シプカラサン・シオクドイ・カラカ・スージューサン

 「しおからい」の方言には、北海道、東京などの「ショッパイ」、青森の「ショッペ」(「ショッパイ」と同語源)、岩手の「ショペァ」、宮城、福島などの「ショッペー」(「ショッパイ」と同語源)、秋田、新潟の「ショッペァ」(「ショペア」と同語源)、山形の「ショッパエ」、千葉、岐阜などの「カレー」、神奈川、富山などの「ショッカライ」(「しおからい」と同語源)、石川、福井の「クドイ」、静岡の「ショッパェー」(「ショッパエ」と同語源)、愛知の「カラェー」、三重の「ドンガライ」、京都、大阪などの「カライ」(「カレー」と同語源)、奈良の「ダダガライ」、和歌山の「シオガライ」(「しおからい」と同語源)、鳥取、岡山の「カリャー」、島根の「ソカライ」、高知の「シオハイ」(「ショッパイ」」と同語源)、福岡の「シオノキートー」、佐賀の「シオンカルカ」、長崎の「ショッパカ」、熊本の「アダガラカ」、宮崎、鹿児島の「シオカレ」(「しおからい」と同語源)、沖縄那覇の「カラサン」、沖縄首里の「シプカラサン」があります。

 上記のほか、福井の「シオクドイ」、福岡の「カラカ」、沖縄首里の「スージューサン」などがあります。

 この「しおからい」、「ショッパイ」、「ショペァ」、「ショッパエ」、「カレー」、「クドイ」、「カラェー」、「ドンガライ」、「ダダガライ」、「カリャー」、「ソカライ」、「シオノキートー」、「シオンカルカ」、「ショッパカ」、「アダガラカ」、「カラサン」、「シプカラサン」、「シオクドイ」、「カラカ」、「スージューサン」は、

  「チ・ホ・カ・ライ」、TI-HO-KA-RAI(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)があり・(口に)火が付いたようで・口が(皺が寄る)ひん曲がる(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」となった。また「シ・オ」が「ショ」から「ショッ」となった。また「カ」が「ガ」となった。また「カライ」のAI音がE音に変化して「カレ」となった)

  「チ・ホ・パイ」、TI-HO-PAI(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;pai=good,suitable,agreeable,approve)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)が・しっかりと(相当に)する(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」となり、「シ・オ」が「ショ」から「ショッ」となった。また「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」または「ペー」となった。また「パイ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハイ」となった)

  「チ・ホ・パイア」、TI-HO-PAIA(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;paia=pa=block up,prevent,assault)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)が・(強く)襲ってくる(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」となり、「シ・オ」が「ショ」から「ショッ」と、「パイア」のAI音がE音に変化して「ペア」となった)

  「チ・ホ・パエ」、TI-HO-PAE(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;pae=horizen,lie accros,be collected together,be over of numbers)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)が・強く感じる(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」となり、「シ・オ」が「ショ」から「ショッ」となった。また「パエ」が「パエー」となった)

  「カ・ライ」、KA-RAI(ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「(塩気がきつくて口に)火が付いたようで・口が(皺が寄る)ひん曲がる(塩辛い)」(「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」から「レー」となった)

  「ク・トイ」、KU-TOI(ku,kuku=firm,stiff,thickend;toi=tingle,be irritated,tip,summit)、「(塩気が)しつこくて・(人を)いらいらさせる(塩辛い)」(「トイ」が「ドイ」となった)

  「カ・ラエ」、KA-RAE(ka=take fire,be lighted,burn;rae=forehead,headland(whakarae=lie exposed,prominent))、「(塩気がきつくて)頭に・火が付いたようになる(塩辛い)」(「ラエ」が「ラェー」となった)

  「トヌ・カ・ライ」、TONU-KA-RAI(tonu=denoting continuance,still,quite,just;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「全く(どんどん)・(口に)火が付いたようで・口が(皺が寄る)ひん曲がる(塩辛い)」(「トヌ」が「トン」から「ドン」と、「カ」が「ガ」となった)

  「タタ・カ・ライ」、TATA-KA-RAI(tata=dash down,strike repeatedly;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「全く(次から次に)・(口に)火が付いたようで・口が(皺が寄る)ひん曲がる(塩辛い)」(「タタ」が「ダダ」と、「カ」が「ガ」となった)

  「カ・アリア」、KA-ARIA(ka=take fire,be lighted,burn;aria=appear,resemblancefeeling)、「(口に)火が付いたような・感じがする(塩辛い)」(「カ」のA音と「アリア」の語頭のA音が連結して「カリア」から「カリャー」となった)

  「ト・カ・ライ」、TO-KA-RAI(to=tingle;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「ひりひりと・(口に)火が付いたようで・口が(皺が寄る)ひん曲がる(塩辛い)」(「ト」が「ソ」となった)

  「チ・ホ・ノ・キ・トフ」、TI-HO-NO-KI-TOHU(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;no=of;ki=full,very;tohu=mark,sign,show,preserve)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)・の(が)・十分に・現れている(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」と、「キ」が「キー」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」となった)

  「チ・ホ・ノ・カ・ルカ」、TI-HO-NO-KA-RUKA(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;no=of;ka=take fire,be lighted,burn;ruka,rukaruka=utterly)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)・の・完全に・(口に)火が付いたようになる(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」と、「ノ」が「ン」となった)

  「チ・ホ・パカハ」、TI-HO-PAKAHA(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;pakaha=violent,severe,firm)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)が・激烈だ(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」となり、「シ・オ」が「ショ」から「ショッ」と、「パカハ」のH音が脱落して「パカ」となった)

  「アタ・カ・ラカ」、ATA-KA-RAKA(ata=expressive of disgust,true;ka=take fire,be lighted,burn;raka=be entangled,ache from weariness)、「とんでもない・(口に)火が付いたようで・困惑する(塩辛い)」(「アタ」が「アダ」と、「カ」が「ガ」となった)

  「カ・アラ・タ(ン)ガ」、KA-ARA-TANGA(ka=take fire,be lighted,burn;ara=rise,raise;tanga=be assembled,row)、「(口に)火が付いて・次々に・燃え上がるような(塩辛い)」(「カ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「カラ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

  「チプ・カ・アラ・タ(ン)ガ」、TIPU-KA-ARA-TANGA(tipu=tupu=grow,increase,begin,be firmly fixed;ka=take fire,be lighted,burn;ara=rise,raise;tanga=be assembled,row)、「(口に)火が付いて・どんどん・大きく・燃え上がるような(塩辛い)」(「チプ」が「シプ」と、「カ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「カラ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

  「チ・ホ・ク・トイ」、TI-HO-KU-TOI(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;ku,kuku=firm,stiff,thickend;toi=tingle,be irritated,tip,summit)、「(嘗めると)口を・しかめる味(塩気)が・しつこくて・(人を)いらいらさせる(塩辛い)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「カ・ラカ」、KA-RAKA(ka=take fire,be lighted,burn;raka=be entangled,ache from weariness)、「(口に)火が付いたようで・困惑する(塩辛い)」

  「ツツ・チウ・タ(ン)ガ」、TUTU-TIU-TANGA(tutu=set on fire;tiu=soar,wander;tanga=be assembled,row)、「(口に)火が付いて・次々に・燃え上がるような(塩辛い)」(「ツツ」が「スス」から「スー」と、「チウ」が「チュウ」から「ジュー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

の転訛と解します。

090しかる(叱る)・オゴル・ゴシャグ・ドヤス・オドス・オコル・ヘカル・ヨマウ・ウザル・オシエル・ヒカル・オコー・クジュークル・オゴク・ヤカマシュユー・ヤクル・ガーッ・ヌライン・ヌラユン・グザル・ヒガル

 「しかる」の方言には、北海道、岩手などの「オゴル」、秋田、山形の「ゴシャグ」、栃木の「ドヤス」、群馬の「オドス」、埼玉、千葉などの「オコル」、石川の「ヘカル」、山梨の「ヨマウ」、愛知の「ウザル」、滋賀の「オシエル」、京都の「ヒカル」、島根の「オコー」、山口の「クジュークル」、香川の「オゴク」、佐賀の「ヤカマシュユー」、宮崎の「ヤクル」、鹿児島の「ガーッ」、沖縄那覇の「ヌライン」、沖縄首里の「ヌラユン」があります。

 上記のほか、愛知の「グザル」、京都の「ヒガル」があります。

 この「しかる」、「オゴル」、「ゴシャグ」、「ドヤス」、「オドス」、「オコル」、「ヘカル」、「ヨマウ」、「ウザル」、「オシエル」、「ヒカル」、「オコー」、「クジュークル」、「オゴク」、「ヤカマシュユー」、「ヤクル」、「ガーッ」、「ヌライン」、「ヌラユン」、「グザル」、「ヒガル」は、

  「チカ・アル」、TIKA-ARU(tika=shrill;aru=follow,pursue)、「金切り声を上げて・追求する(叱る)」(「チカ」が「シカ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「シカル」となった)

  「オ(ン)ガ・ウル」、ONGA-URU(onga=agitate,shake about;uru=be anxious)、「(相手のことを)心配するあまり・興奮して激論する(叱る)」(「オ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「オガ」となり、その語尾のA音と「ウル」の語頭のU音が連結してO音に変化して「オゴル」となった)

  「(ン)ゴ・チア・(ン)グ」、NGO-TIA-NGU(ngo=cry,grunt;tia=etia=as it were,as if;ngu=moan,groan)、「嘆く・かのように・叫ぶ(叱る)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チア」が「チャ」から「シャ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「トイ・イア・ツ」、TOI-IA-TU(toi=tingle,be galled,be irritated;ia=indeed;tu=fight with,energetic)、「実に・いらいらして・喧嘩腰でやっつける(叱る)」(「トイ」が「ドイ」となり、その語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「ドイア」から「ドヤ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・タウ・ツ」、O-TAU-TU(o=the...of;tau=attack(tatau=quarrel);tu=fight with,energetic)、「例の・激しく・責め立てる(叱る)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・コ・ル」、O-KO-RU(o=the...of;ko=shout;ru=shake,agitate,scatter)、「例の・(身を)震わせて・叫ぶ(叱る)」

  「ヘ・カ・ル」、HE-KA-RU(he=wrong,erring,in trouble or dificulty;ka=screech;ru=shake,agitate,scatter)、「(身を)震わせて・(人を)不安にさせる・金切り声を上げる(叱る)」

  「イオ・マウ」、IO-MAU(io=tough,hard,obstinate;mau=fixed,continuing,entangled)、「しつこく(責めて)・(人を)困惑させる(叱る)」(「イオ」が「ヨ」となった)

  「ウ・タル」、U-TARU(u=bite,gnaw;taru=shake,overcome)、「(人に)噛みついて・圧倒する(叱る)」(「タル」が「ザル」となった)

  「オチ・ヱル」、OTI-WHERU(oti=finished,gone or come for good;wheru=inactive,mope)、「(人を)意気消沈に・追い込む(叱る)」(「オチ」が「オシ」と、「ヱル」のWH音が脱落して「エル」となった)

  「ヒ・カ・ル」、HI-KA-RU(hi=make a hissing noise;ka=screech;ru=shake,agitate,scatter)、「異常に・(身を)震わせて・(人を)非難する・金切り声を上げる(叱る)」

  「オ・コ」、O-KO(o=the...of;ko=shout)、「例の・叫び声をあげる(叱る)」(「コ」が「コー」となった)

  「ク・チウ・ク・ル」、KU-TIU-KU-RU(ku=make a low inarticulate sound(kuku=grate);tiu=soar,wander;ru=shake,agitate,scatter)、「(人を)不快にする声を・あれこれ並べ・(身を)震わせて・(非難の)声を上げる(叱る)」(「チウ」が「ジュウ」から「ジュー」となった)

  「オ・(ン)ゴ・ク」、O-NGO-KU(o=the...of;ngo=cry,grunt;ku=make a low inarticulate sound(kuku=grate))、「例の・(人を)不快にする声を上げ・叫ぶ(叱る)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「イア・カマ・チウ・イ・フ」、IA-KAMA-TIU-I-HU(ia=indeed;kama=eager;tiu=soar,wander;i=be stirred of the feelings,past tense,by,with;hu=resound,make any inarticulste sound,hiss)、「実に・熱心に・ぐだぐだと・(人を)不快にする・声を上げる(叱る)」(「イア」が「ヤ」と、「チウ」が「シュ」と、「フ」のH音が脱落して「ウ」となり、「イ・ウ」が「ユー」となった)

  「イア・ク・ル」、IA-KU-RU(ia=indeed;ku=make a low inarticulate sound(kuku=grate);ru=shake,agitate,scatter)、「実に・(身を)震わせて・(人を)不快にする声を上げる(叱る)」(「イア」が「ヤ」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・ツ」、NGANGA-TU(nganga=breathe heavily,make a harsh noise,screech as a bird;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(人を不快にする)金切り声を上げる(叱る)」(「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ガ」から「ガー」となった)

  「ヌ・ライ(ン)ガ」、NU-RAINGA((Hawaii)nu=to roar as wind,grunting as of pigs,groaning deep sighing;rainga=undulation)、「抑揚を付けて・怒鳴り上げる(叱る)」(「ライ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ライナ」から「ライン」となった)

  「ヌ・ライ・ウ(ン)ガ」、NU-RAI-UNGA((Hawaii)nu=to roar as wind,grunting as of pigs,groaning deep sighing;rai=ribbed,fullowed;unga=act or circumstance of becoming firm)、「抑揚を・付けて・怒鳴り上げる(叱る)」(「ライ」の語尾のI音と「ウ(ン)ガ」の語頭のU音が連結して「ラユ(ン)ガ」となり、さらにNG音がN音に変化して「ラユナ」から「ラユン」となった)

  「(ン)グ・タル」、NGU-TARU(ngu=moan,groan;taru=shake,overcome)、「叫んで・圧倒する(叱る)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「タル」が「ザル」となった)

  「ヒ・(ン)ガル」、HI-NGARU(hi=make a hissing noise;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「抑揚のある・(人を)非難する声を上げる(叱る)」

の転訛と解します。

091した(舌)・ベロ・スタ・シタベロ・ヘラ・シタベラ・ヘタ・シバ

 「した」の方言には、北海道、宮城などの「ベロ」、岩手の「スタ」、埼玉、神奈川などの「シタベロ」、新潟、福井などの「ヘラ」、静岡の「シタベラ」、和歌山の「ヒタ」(「した」と同語源)、熊本の「ベーロ」(「ベロ」と同語源)、大分の「ヘタ」、沖縄那覇・首里の「シバ」があります。

 この「した」、「ベロ」、「スタ」、「シタベロ」、「ヘラ」、「シタベラ」、「ヘタ」、「シバ」は、

  「チ・タハ」、TI-TAHA(ti=throw,cast;taha=side,margin,edge)、「端を・(口の外へ)出すもの(舌)」(「チ」が「シ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった。また「シ」が「ヒ」となった)

  「パエ・ロ」、PAE-RO(pae=horizen,any transverse beam,lie across;ro=roto=inside)、「(食物を)口の中へ・(橋渡しする)運ぶもの(舌)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」または「ベー」となった)
  または「ペロ」、PERO(dog)、「(犬がいつもしているような)口から出すもの(舌)」(「ペロ」が「ベロ」となった)

  「ツ・タハ」、TU-TAHA(tu=fight with,energetic;taha=side,margin,edge)、「端を・忙しく(口から出し入れ)するもの(舌)」(「ツ」が「ス」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「チ・タハ・パエ・ロ」、TI-TAHA-PAE-RO(ti=throw,cast;taha=side,margin,edge;pae=horizen,any transverse beam,lie across;ro=roto=inside)、「端を・(口の外へ)出して・(食物を)口の中へ・(橋渡しする)運ぶもの(舌)」(「チ」が「シ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「パエ・ラ」、PAE-RA(pae=horizen,any transverse beam,lie across;ra=by way of)、「それを用いて・(食物を口の中へ橋渡しする)運ぶもの(舌)」(「パエ」のP音がF音を経てH音に、AE音がE音に変化して「ヘ」となった)

  「チ・タハ・パエ・ラ」、TI-TAHA-PAE-RA(ti=throw,cast;taha=side,margin,edge;pae=horizen,any transverse beam,lie across;ra=by way of)、「端を・(口の外へ)出して・それを用いて・(食物を口の中へ橋渡しする)運ぶもの(舌)」(「チ」が「シ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「パエ・タ」、PAE-TA(pae=horizen,any transverse beam,lie across;ta=dash,beat,lay)、「さっと捉えて・(食物を口の中へ橋渡しする)運ぶもの(舌)」(「パエ」のP音がF音を経てH音に、AE音がE音に変化して「ヘ」となった)

  「チパ」、TIPA(dried up,broad,large,extend)、「(口の中から外へ)伸びるもの(舌)」(「チパ」が「シバ」となった)

の転訛と解します。

092したく(支度)・マカナイ・マガナウ・モヨイ・スダグ・シコー・ヨーイ・マワシ・コシラエ・ヨーイスル・マワリ・コッシャエ・カマエ・ゾーヒョースッ・シタッ・シコーイ・マーシ

 「したく」の方言には、北海道の「マカナイ」、青森の「マガナウ」、岩手の「モヨイ」、宮城、山形の「スダグ」、秋田、福島の「シダグ」(「したく」と同語源)、群馬の「シコー」、石川、福井などの「ヨーイ」、岐阜、愛知の「マワシ」、三重、岡山の「コシラエ」、滋賀の「ヨーイスル」、奈良の「マワリ」、徳島、香川の「コッシャエ」、高知の「カマエ」、佐賀の「ゾーヒョースッ」、熊本の「シコ」(「シコー」と同語源)、鹿児島の「シタッ」、沖縄那覇の「シコーイ」があります。

 上記のほか、岐阜、愛知の「マーシ」などがあります。

 この「したく」、「マカナイ」、「マガナウ」、「モヨイ」、「スダグ」、「シコー」、「ヨーイ」、「マワシ」、「コシラエ」、「ヨーイスル」、「マワリ」、「コッシャエ」、「カマエ」、「ゾーヒョースッ」、「シタッ」、「シコーイ」、「マーシ」は、

  「チ・タハ・アク」、TI-TAHA-AKU(ti=throw,cast;taha=side,margin,edge,pass on one side;aku=delay,take time over anything,scrape out)、「(本来の仕事ではなく)脇の仕事に・時間を・かける(支度)」(「チ」が「シ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となり、そのA音と「アク」の語頭のA音が連結して「タク」となった。また「タク」が「ダグ」となった)

  「マカ・ナイ」、MAKA-NAI(maka=throw,cast,put,stroke;nai=nei,neinei=stretch forward,vacillating,bobbing up and down)、「(本来の仕事に取り掛かる前に)足踏みを・する(支度)」

  「マ(ン)ガ・ナウ」、MANGA-NAU(manga=branch of a tree,branch of a river;nau=come,go)、「(本来の仕事に取り掛かる前に)枝葉(の仕事を)・(するために)行く(支度)」(「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マガ」となった)

  「モイ・オイ」、MOI-OI(moi=a call for a dog;oi=shout)、「(狩猟に出掛ける前にまず)犬を・呼ぶ(支度)」(「モイ・オイ」が「モヨイ」となった)

  「ツ・タハ・アク」、TU-TAHA-AKU(tu=fight with,energetic;taha=side,margin,edge,pass on one side;aku=delay,take time over anything,scrape out)、「(本来の仕事ではなく)脇の仕事に・時間を・懸命にかける(支度)」(「ツ」が「ス」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」となり、そのA音と「アク」の語頭のA音が連結して「ダグ」となった)

  「チ・コフ」、TI-KOHU(ti=throw,cast;kohu=hollow,cook in a earth-oven)、「(出掛ける前に)蒸し焼き穴で料理を・作る(支度)」(「チ」が「シ」と、「コフ」のH音が脱落して「コウ」から「コー」となった。また「コフ」のH音が脱落して「コ」となった)
  または「チヒ・コウ」、TIHI-KOU(tihi=lie in a heap;kou=knob,knot(koukou=dress the hair in a knot on the top of the head))、「(出掛ける前に)頭の髷を・結う(支度)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「コウ」が「コー」となった。また「コウ」が「コ」となった)

  「イ・オイ」、I-OI(i=past tense,from,beside,with,by;oi=shout,shudder,agitate,creep,crawl)、「(出掛ける前に)あたふたと動き・回る(支度)」(「イ・オイ」が「ヨイ」から「ヨーイ」となった)

  「マウ・アチ」、MAU-ATI(mau=fixed,continuing,caught,retain;ati=beginning)、「(これから)始める・(状態を)維持している(支度)」(「マウ・アチ」が「マワチ」から「マワシ」となった)

  「コチラ・エ」、KOTIRA-E(kotira=tilt up,come above ground,sprout;e=to denote action in progress or temporary condition)、「これから・芽を出そうとしている(状態。支度)」(「コチラ」が「コシラ」となった)

  「イ・オイ・ツ・ル」、I-OI-TU-RU(i=past tense,from,beside,with,by;oi=shout,shudder,agitate,creep,crawl;stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(出掛ける前に)あたふたと動き・回り・懸命に・努力する(支度)」(「イ・オイ」が「ヨイ」から「ヨーイ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「マウ・アリ」、MAU-ARI(mau=fixed,continuing,caught,retain;ari=clear,appearance,excuse)、「(もう少し待ってくれという )弁解を・(状態を)維持している(支度)」(「マウ・アリ」が「マワリ」となった)

  「コチ・アエ」、KOTI-AE(koti=spurt out,flow,come into bloom;ae=assenting to an affirmation or affirmative question,yes)、「はい・今(支度が)終わって出て行きます(支度)」(「コチ・アエ」が「コチャエ」から「コッシャエ」となった)

  「カ・マエア」、KA-MAEA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;maea=emerge,be taken out of the ground)、「これから・(支度が終わって)出て行く(支度)」(「マエア」の語尾のA音が脱落して「マエ」となった)

  「ト・ヒオ・ツツ」、TO-HIO-TUTU(to=drag:(Hawaii)hio=to fall sideways,lean,slope;tutu=move with vigour,preserve birds etc. in fat)、「脇道に・入り込んで・活発に動き回っている(支度)」(「ト」が「ソ」から「ゾー」と、「ヒオ」が「ヒョー」と、「ツツ」が「スッ」となった)

  「チ・タハ・アツ」、TI-TAHA-ATU(ti=throw,cast;taha=side,margin,edge,pass on one side;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action)、「(本来の仕事ではなく)脇の仕事に・向かって・従事する(支度)」(「チ」が「シ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となり、そのA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「タツ」から「タッ」となった)

  「チ・コイ」、TI-KOI(ti=throw,cast;koi=whilst,lest)、「ちょっと待って・という(支度)」(「チ」が「シ」と、「コイ」が「コーイ」となった)

  「マハ・アチ」、MAHA-ATI(maha=many,abundance;ati=beginning)、「何回も・(始まる)出て行くという(支度)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となり、そのA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「マチ」から「マーシ」となった)

の転訛と解します。

093しつこい・クドイ・シツケ・クデァ・ネッコエ・ネチョフケ・シツコエ・シツックデー・シツッコイ・ネツエ・ヒツコイ・ネツッコイ・ヒッツクドイ・ネチッコイ・ヒツケー・クンドイ・ヒチコイカ・クドラシカ・クドカ・ドケダッカ・ヒチクジー・セワシー・シプタイムン

 「しつこい」の方言には、北海道、福島などの「クドイ」、青森の「シツケ」、岩手の「クデァ」、宮城、山形の「ネッコエ」、秋田の「ネチョフケ」、茨城の「シツコエ」、栃木の「シツックデー」、埼玉、神奈川などの「シツッコイ」、千葉の「シツケー」(「シツケ」と同語源)、新潟の「ネツエ」、福井、京都などの「ヒツコイ」、山梨の「ネツッコイ」、岐阜の「ヒッツクドイ」、愛知の「ネチッコイ」、岡山の「ヒツケー」、高知の「クンドイ」、福岡の「ヒチコイカ」、佐賀の「クドラシカ」、長崎の「クドカ」、熊本の「ドケダッカ」、大分の「ヒチクジー」、宮崎の「セワシー」、鹿児島の「クデ」(「クデァ」と同語源)、沖縄首里の「シプタイムン」があります。

 この「しつこい」、「クドイ」、「シツケ」、「クデァ」、「ネッコエ」、「ネチョフケ」、「シツコエ」、「シツックデー」、「シツッコイ」、「ネツエ」、「ヒツコイ」、「ネツッコイ」、「ヒッツクドイ」、「ネチッコイ」、「ヒツケー」、「クンドイ」、「ヒチコイカ」、「クドラシカ」、「クドカ」、「ドケダッカ」、「ヒチクジー」、「セワシー」、「シプタイムン」は、

  「チヒ・ツ・コイ」、TIHI-TU-KOI(tihi=summit,top,lie in a heap;tu=fight with,energetic;koi=whilst.lest.not,move about)、「最高に・精力的に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「ク・トイ」、KU-TOI(ku=showery unsettled weather or a personification of the same;toi=tip,summit)、「最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「トイ」が「ドイ」となった)

  「チヒ・ツ・カイ」、TIHI-TU-KAI(tihi=summit,top,lie in a heap;tu=fight with,energetic;kai=fulfil its proper function,have full play)、「最高に・精力的に・全力を傾けた行動をする(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「ク・テア」、KU-TEA(ku=showery unsettled weather or a personification of the same;tea=white,clear(whakatea=show the whites of the eyes,mock))、「軽蔑される・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「テア」が「デァ」となった。また「テア」が「デ」となった)

  「ネイ・ツ・コヘ」、NEI-TU-KOHE(nei,neinei=stretched forward,reaching out,vacillating:tu=fight with,energetic;kohe=talk nonsense,jabber,meddler)、「延々と・精力的に・意味のないことをしゃべり続ける(しつこい)」(「ネイ」が「ネ」と、「コヘ」のH音が脱落して「コエ」となった)

  「ネイ・チオフ・カイ」、NEI-TIOHU-KAI(nei,neinei=stretched forward,reaching out,vacillating:tiohu=stoop;kai=fulfil its proper function,have full play)、「延々と・身を乗り出して・全力を傾けた行動をする(しつこい)」(「ネイ」が「ネ」と、「チオフ」が「チョフ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「チヒ・ツ・コヘ」、TIHI-TU-KOHE(tihi=summit,top,lie in a heap;tu=fight with,energetic;kohe=talk nonsense,jabber,meddler)、「最高に・精力的に・意味のないことをしゃべり続ける(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「コヘ」のH音が脱落して「コエ」となった)

  「チヒ・ツツ・ク・テイ」、TIHI-TUTU-KU-TEI(tihi=summit,top,lie in a heap;tutu=move with vigour,preserve birds etc. in fat;ku=showery unsettled weather or a personification of the same;tei=high,summit,top)、「最高に・活発に・最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「ツ」が「ツッ」と、「テイ」が「デー」となった)

  「チヒ・ツツ・コイ」、TIHI-TUTU-KOI(tihi=summit,top,lie in a heap;tutu=move with vigour,preserve birds etc. in fat;koi=whilst.lest.not,move about)、「最高に・活発に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「ツ」が「ツッ」となった)

  「ネイ・ツ・ヘ」、NEI-TU-HE(nei,neinei=stretched forward,reaching out,vacillating:tu=fight with,energetic;he=wrong,erring,in trouble oe difficulty,troublous)、「延々と・精力的に・迷惑を撒き散らす(しつこい)」(「ネイ」が「ネ」と、「ヘ」のH音が脱落して「エ」となった)

  「ヒ・ツ・コイ」、HI-TU-KOI(hi=raise,rise,make a hissing noise;tu=fight with,energetic;koi=whilst.lest.not,move about)、「たいへん・精力的に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」

  「ネイ・ツツ・コイ」、NEI-TUTU-KOI(nei,neinei=stretched forward,reaching out,vacillating;tutu=move with vigour,preserve birds etc. in fat;koi=whilst.lest.not,move about)、「延々と・活発に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」(「ネイ」が「ネ」と、「ツツ」が「ツッ」となった)

  「ヒ・ツ・ク・トイ」、HI-TU-KU-TOI(hi=raise,rise,make a hissing noise;tu=fight with,energetic;ku=showery unsettled weather or a personification of the same;toi=tip,summit)、「たいへん・精力的に・最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「ヒ」が「ヒッ」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「ネイ・チヒ・ツ・コイ」、NEI-TIHI-TU-KOI(nei,neinei=stretched forward,reaching out,vacillating;tihi=summit,top,lie in a heap;tu=fight with,energetic;koi=whilst.lest.not,move about)、「延々と・最高に・精力的に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」(「ネイ」が「ネ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「ヒ・ツ・カイ」、TIHI-TU-KAI(hi=raise,rise,make a hissing noise;tu=fight with,energetic;kai=fulfil its proper function,have full play)、「たいへん・精力的に・全力を傾けた行動をする(しつこい)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「ク(ン)ガ・トイ」、KUNGA-TOI(kunga=ku=showery unsettled weather or a personification of the same;toi=tip,summit)、「最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「ク(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「クナ」から「クン」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「ヒ・チ・コイ・カ」、HI-TI-KOI-KA(hi=raise,rise,make a hissing noise;ti=throw,cast;koi=whilst.lest.not,move about;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「たいへん・精力的に・(あることを)心配して行動する(しつこい)」

  「ク・トラ・チヒ・カ」、KU-TORA-TIHI-KA(ku=showery unsettled weather or a personification of the same;tora=be erect;tihi=summit,top;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(心の中から)湧き上がる・最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動(しつこい)」(「トラ」が「ドラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「ク・ト・カ」、KU-TO-KA(ku=showery unsettled weather or a personification of the same;to=drag;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動を・ずっと続ける(しつこい)」(「トラ」が「ドラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「ト・ク・アイタ(ン)ガ・ツカハ」、TO-KU-AITANGA-TUKAHA(to=drag;ku=showery unsettled weather or a personification of the same;aitanga=progeny,descendants;tukaha=vigorous,passionate)、「活発な・本来身につけている(遺伝的性格の)・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動を・ずっと続ける(しつこい)」(「ト」が「ド」と、「アイタ(ン)ガ」のAI音がE音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「エタ」となり、「ク・エタ」が「ケダ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「ッカ」となった)

  「ヒ・チ・ク・チヒ」、HI-TI-KU-TIHI(hi=raise,rise,make a hissing noise;ti=throw,cast;ku=showery unsettled weather or a personification of the same;tihi=summit,top)、「最高に・強い雨が何時止むとも知れず降り続くような、あることにこだわって何時終わるかも分からないままに延々と文句をいうような性格または行動を・甲高い声で・投げ付ける(しつこい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「ジー」となった)

  「テワ・チヒ」、TEWHA-TIHI(tewha=gurrulous;tihi=summit,top)、「最高に・饒舌な(しつこい)」(「テワ」が「セワ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「チプ・タイ・ムナ」、TIPU-TAI-MUNA(tipu=tupu=grow,increase,be firmly fixed;tai=tide,anger,rage,violence;muna=tell or speak of privately,gossip,secret,beloved)、「噂になる・止めどのない・暴言(しつこい)」(「チプ」が「シプ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

の転訛と解します。

094しぬ(死ぬ)・メオドス・ナグレル・ウッチヌ・オエル・ノーナル・シヌル・シノー・ナシンナル・ハツル・ケシヌ・シヌン・ナクナル・スグ・ミテル・ケーマガル・マースン

 「しぬ」の方言には、北海道、岩手などの「メオドス」、山形の「メーオドス」(「メオドス」と同語源)、福島、茨城などの「シグ」(「しぬ」と同語源)、栃木の「ナグレル」、群馬の「ウッチヌ」、山梨の「ウッチグ」(「ウッチヌ」と同語源)、長野の「オエル」、愛知、和歌山の「ノーナル」、鳥取、岡山などの「シヌル」、島根の「シノー」、香川の「ナシンナル」、佐賀の「シン」(「しぬ」と同語源)、熊本の「ハツル」、宮崎の「ケシヌ」、鹿児島の「ケシン」(「ケシヌ」と同語源)、沖縄那覇・首里の「シヌン」があります。

 上記のほか、北海道の「ナクナル」、宮城の「スグ」、高知の「ミテル」、大分の「ケーマガル」、沖縄那覇の「マースン」などがあります。

 この「しぬ」、「メオドス」、「ナグレル」、「ウッチヌ」、「オエル」、「ノーナル」、「シヌル」、「シノー」、「ナシンナル」、「ハツル」、「ケシヌ」、「シヌン」、「ナクナル」、「スグ」、「ミテル」、「ケーマガル」、「マースン」は、

  「チ・(ン)グ」、TI-NGU(ti=throw,cast;ngu=groan,moan)、「悲嘆のうなり声を・上げる(死ぬ)」(「チ」が「シ」と、「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」となった。また「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた。また「ヌ」が「ン」となった)

  「メイ・アウト・ツ」、MEI-AUTO-TU(mei=according to,judging by;auto=trailing behind;tu=stand,settle)、「(眼が視線の)跡を追うのが・定まった(動かなくなった)・ことにより判断する(死ぬ)」(「メイ」が「メ」または「メー」と、「アウト」のAU音がO音に変化して「オド」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ナ・(ン)グレ・ル」、NA-NGURE-RU(na=by,belonging to;ngure,ngurengure=an insect pest that attcks sweet potatos;ru=shake,agitate,scatter)、「病気で・体が腐敗する・ようになる(死ぬ)」(「(ン)グレ」のNG音がG音に変化して「グレ」となった)

  「ウツ・チ・(ン)グ」、UTU-TI-NGU(utu=return for anything,make response;ti=throw,cast;ngu=groan,moan)、「悲嘆のうなり声を・上げると・(その結果として)こうなる(死ぬ)」(「ウツ」が「ウッ」と、「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」となつた。また「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「アウエ・ル」、AUE-RU(aue=groan,make lamentation,cry;ru=shake,agitate,scatter)、「身を震わせて・悲嘆のうなり声を上げる(死ぬ)」(「アウエ」のAU音がO音に変化して「オエ」となった)

  「(ン)ゴ・(ン)ガル」、NGO-NGARU(ngo=cry,grunt;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「(波のように)あるいは高くあるいは低く・悲嘆のうなり声を上げる(死ぬ)」(「(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「ノ」から「ノー」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「チ・(ン)グ・ル」、TI-NGU-RU(ti=throw,cast;ngu=groan,moan;ru=shake,agitate,scatter)、「身を震わせて・悲嘆のうなり声を・上げる(死ぬ)」(「チ」が「シ」と、「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」となった)

  「チ・(ン)ゴ」、TI-NGO(ti=throw,cast;ngo=cry,grunt)、「悲嘆のうなり声を・投げかける(死ぬ)」(「チ」が「シ」と、「(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「ノ」から「ノー」となった)

  「ナ・チ・(ン)グ・(ン)ガル」、NA-TI-NGU-NGARU(na=by,belonging to;ti=throw,cast;ngu=groan,moan;ru=shake,agitate,scatter;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「どちらかといえば・(波のように)あるいは高くあるいは低く・悲嘆のうなり声を・上げる(死ぬ)」(「チ」が「シ」と、「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」から「ン」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「パツ・ル」、PATU-RU(patu=strike,ill treat in any way,kill;ru=shake,agitate,scatter)、「身を震わせて・殺される(死ぬ)」(「パツ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハツ」となった)

  「カイ・チ・(ン)グ」、KAI-TI-NGU(kai=fulfil its proper function,have full play;ti=throw,cast;ngu=groan,moan)、「全身全霊で・悲嘆のうなり声を・上げる(死ぬ)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「チ」が「シ」と、「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」となつた。また「ヌ」が「ン」となった)

  「チ・(ン)グ(ン)グ」、TI-NGUNGU(ti=throw,cast;ngungu=ngu=groan,moan)、「悲嘆のうなり声を・上げる(死ぬ)」(「チ」が「シ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌヌ」から「ヌン」となった)

  「ナ・アク・(ン)ガル」、NA-AKU-NGARU(na=by,belonging to;aku=delay,scrape,cleanse;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「波が・(なにもかも)消し去る・ように人が消える(死ぬ)」(「ナ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「ナク」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「ツ・(ン)グ」、TU-NGU(tu=fight with,energetic;ngu=groan,moan)、「心の底から・悲嘆のうなり声を上げる(死ぬ)」(「ツ」が「ス」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ミヒ・テイ・ル」、MIHI-TEI-RU(mihi=sigh for,lament,greet;tei=high,summit,top;ru=shake,agitate,scatter)、「身を震わせて・最高に・嘆き悲しむ(死ぬ)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「テイ」が「テ」となった)

  「カイ・マ・(ン)ガル」、KAI-MA-NGARU(kai=fulfil its proper function,have full play;ma=white,clean,pale,faded;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「波が・全力で・(なにもかも)消し去る(ように人が消える。死ぬ)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」と、「(ン)ガル」のNG音がG音に変化して「ガル」となった)

  「マ・ツ(ン)ガ」、MA-TUNGA(ma=white,clean,pale,faded;tunga=decayed of a tooth,worm-eaten or rotten of timber)、「(木が腐るように)体が腐って・消えて行く(死ぬ)」(「マ」が「マー」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

の転訛と解します。

095しばる(縛る)・カラカグ・ユワグ・ユワエル・ユツケル・ユッツゲル・イッチバル・フンジバル・ユワク・ククル・ククス・キビル・カラゲル・シバー・イワエル・イワイツケル・クビル・イワユル・キビッ・ユーイン・クンジュン・タバネル・キビリツクル

 「しばる」の方言には、北海道、秋田の「カラカグ」、青森、山形の「ユワグ」、岩手、広島の「ユワエル」、宮城の「ユツケル」、福島、茨城の「ユッツゲル」、栃木の「イッチバル」、千葉の「フンジバル」、神奈川の「ユワク」、石川、福井などの「ククル」、山梨の「ククス」、愛知、山口の「キビル」、三重の「カラゲル」、島根の「シバー」、岡山の「イワエル」、香川の「イワイツケル」、福岡、佐賀などの「クビル」、大分の「イワユル」、鹿児島の「キビッ」、沖縄那覇の「ユーイン」、沖縄首里の「クンジュン」があります。

 上記のほか、愛知の「タバネル」、大分の「キビリツクル」などがあります。

 この「しばる」、「カラカグ」、「ユワグ」、「ユワエル」、「ユツケル」、「ユッツゲル」、「イッチバル」、「フンジバル」、「ユワク」、「ククル」、「ククス」、「キビル」、「カラゲル」、「シバー」、「イワエル」、「イワイツケル」、「クビル」、「イワユル」、「キビッ」、「ユーイン」、「クンジュン」、「タバネル」、「キビリツクル」は、

  「チ・パル」、TI-PARU(ti=throw,cast;paru=leaves of bulrush used as thatch and tied in bundles as the outer coating for the walls and roof of a house)、「蒲などの葉を(屋根に葺き、または壁材にするため)束ねて・放り出す(縛る)」(「チ」が「シ」と、「パル」が「バル」となった)

  「カラカ・(ン)グ」、KARAKA-NGU(karaka=a tree and fruit of same;ngu=moan,groan(Karaka maoa(ripe)=a person who cannot swim))、「(食用の)カラカの実が・(刈り取られ、縛られて)嘆く(縛る)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「イ・ウワ・(ン)グ」、I-UWHA-NGU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;uwha=female,woman;ngu=moan,groan)、「女性が・嘆いて・いる(縛る)」(「イ・ウワ」が「ユワ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「イ・ウワ・ヱル」、I-UWHA-WHERU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;uwha=female,woman;wheru=inactive,oppressed)、「女性を・身動きができないように・する(縛る)」(「イ・ウワ」が「ユワ」と、「ヱル」のWH音が脱落して「エル」となった)

  「イ・ウツ・カイ・ル」、I-UTU-KAI-RU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;utu=be stunched,cease running;kai=fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「全力を尽くして・身を震わせても・動きが止まって・いる(縛る)」(「イ・ウツ」が「ユツ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「イ・ウツ・(ン)ゲル」、I-UTU-NGERU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;utu=be stunched,cease running;ngeru,ngerungeru=smooth,soft)、「動きが止まって・いて・不自由だ(縛る)」(「イ・ウツ」が「ユッツ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「イ・チ・パル」、I-TI-PARU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;ti=throw,cast;paru=leaves of bulrush used as thatch and tied in bundles as the outer coating for the walls and roof of a house)、「蒲などの葉を(屋根に葺き、または壁材にするため)束ねて・脇に・放り出す(縛る)」(「イ」が「イッ」と、「パル」が「バル」となった)

  「フ(ン)ガ・チ・パル」、HUNGA-TI-PARU(hunga=company of persons,people;ti=throw,cast;paru=leaves of bulrush used as thatch and tied in bundles as the outer coating for the walls and roof of a house)、「(何人かの)人を・蒲などの葉を(屋根に葺き、または壁材にするため)束ねるように束ねて・放り出す(縛る)」(「フ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「フナ」から「フン」と、「チ」が「ジ」と、「パル」が「バル」となった)

  「イ・ウワ・ク」、I-UWHA-KU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;uwha=female,woman;ku=silent,wearied)、「女性を・静かに・させる(縛る)」(「イ・ウワ」が「ユワ」となった)

  「クク・ル」、KUKU-RU(kuku=nip,draw together,close up;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(密着させる)縛り上げる(縛る)」

  「クク・ツ」、KUKU-RU(kuku=nip,draw together,close up;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(密着させる)縛り上げる(縛る)」(「ツ」が「ス」となった)

  「クク・ル」、KUKU-RU(kuku=nip,draw together,close up;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(密着させる)縛り上げる(縛る)」

  「キ・ピ・ロイ」、KI-PI-ROI(ki=full,very,to,on,at;pi=slight,take no notice of:roi=secured,tied,knot,bond(roiroi=tie up))、「しっかりと・乱暴に・縄で結ぶ(縛る)」(「ピ」が「ビ」と、「ロイ」のOI音がU音に変化して「ル」となった)

  「カ・ラ・(ン)ゲル」、KA-RA-NGERU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ra,rara=twig,small branch;ngeru,ngerungeru=smooth,soft,sleek)、「(ごつごつした)粗朶を・滑らかにするために・まとめて縛る(縛る)」(「カ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「カラ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「チ・パハ」、TI-PAHA(ti=throw,cast;paha=arrive suddenly,attack)、「(攻撃する)束ねて・放り出す(縛る)」(「チ」が「シ」と、「パハ」のH音が脱落して「バー」となった)

  「イ・ワ・ヱル」、I-WHA-WHERU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;wha=leaf,flake,feather;wheru=inactive,oppressed)、「葉つばなどを・身動きができないように・する(縛る)」(「ヱル」のWH音が脱落して「エル」となった)

  「イ・ワイ・ツ・ケイ・ル」、I-WHAI-TU-KEI-RU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;whai=possessing,equipped with;tu=stand,settle;kei=at,on,in,with;ru=shake,agitate,scatter)、「(何かをあるものから離れないように)装着・し・そこに・在るように・する(縛る)」(「ケイ」が「ケ」となった)

  「ク・ピ・ロイ」、KU-PI-ROI(ku=silent,wearied;pi=slight,take no notice of:roi=secured,tied,knot,bond(roiroi=tie up))、「黙って・乱暴に・縄で結ぶ(縛る)」(「ピ」が「ビ」と、「ロイ」のOI音がU音に変化して「ル」となった)

  「イ・ワイ・ウル」、I-WHAI-URU(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;whai=possessing,equipped with;uru=enter,possess,associate oneself with,arrive)、「(何かをあるものから離れないように)装着・し・一体のものとする(縛る)」(「ワイ・ウル」が「ワユル」となった)

  「キ・ピトイ」、KI-PITOI(ki=full,very,to,on,at;pitoi=tie in a bunch)、「しっかりと・ひとかたまりに縄で結ぶ(縛る)」(「ピトイ」のOI音がU音に変化して「ビツ」から「ビッ」となった)

  「イ・ウヰ・ナ」、I-UWHI-NA(i=past tense,from,beside,by,in the act of,etc.;uwhi=cover,forming a cover or envelope;na=used after words and clauses to indicate position near or connection with the person addressed)、「包みを作り・上げる(縛る)」(「イ・ウヰ」が「ユヰ」から「ユーイ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ク・ナチ・ウ(ン)ガ」、KU-NATI-UNGA(ku=silent,wearied;nati=pinch or contract,fasten paupo thatch on the roof of a house;unga=act or circumstance etc. of becoming firm)、「静かに・(圧縮して)まとめ・上げる(縛る)」(「ナチ」が「ンチ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、「ンチ・ウン」が「ンチュン」から「ンヂュン」となった)

  「タ・パネ・ル」、TA-PANE-RU(ta=dash,beat,lay;pane,panepane=close,compact;ru=shake,agitate,scatter)、「手をかけて・コンパクトな(包みを)・作る(縛る)」(「パネ」が「バネ」となった)

  「キ・ピ・リ・ツク・ル 」、KI-PI-RI-TUKU-RU(ki=full,very,to,on,at;pi=slight,take no notice of:ri=bind;tuku=;ru=shake,agitate,scatter)、「しっかりと・乱暴に・縄で結ぶ(縛る)」(「ピ」が「ビ」となった)

の転訛と解します。

096しまった・サーサ・マネ・アリャー・アイヤー・サイ・パグター・ングナッタ・ソグナッタ・アヤマッター・シソコナッチャッタ・シッペーシチャッタ・ハーヤッチャッタ・アッキャー・シモータ・テー・アー・ヤイヤイ・エライコトシタ・ゲンスケヤ・シクジッタ・ヤーシカ・アッシモータ・イケン・チェッ・シャンシモータ・アイタース シモタ・アイターシモター・アイタヨー・アイヤシモタ・ユーシタヒャー・アイター・ホニ・ヨワッタ

 「しまった」の方言には、北海道の「サーサ」、青森の「マネ」、岩手、栃木などの「アリャー」、宮城の「アイヤー」、秋田の「サイ」、山形の「パグター」、福島の「ングナッタ」、福島の「ソグナッタ」、茨城の「アヤマッター」、群馬の「シソコナッチャッタ」、埼玉の「シッペーシチャッタ」、千葉の「ハーヤッチャッタ」、新潟の「アッキャー」、富山の「シモータ」、石川、滋賀の「シモター」(「シモータ」と同語源)、福井、京都などの「シモタ」(「シモータ」と同語源)、山梨の「テー」、長野、和歌山の「アー」、静岡の「ヤイヤイ」、三重の「エライコトシタ」、奈良の「ゲンスケヤ」、鳥取の「シクジッタ」、島根の「ヤーシカ」、岡山の「アッシモータ」、山口の「イケン」、愛媛の「チェッ」、高知の「シャンシモータ」、福岡の「アイタース シモタ」、佐賀の「アイターシモター」、熊本の「アイタシモタ」(「アイターシモター」と同語源)、大分の「アイタヨー」、鹿児島の「アイヤシモタ」、沖縄那覇の「ユーシタヒャー」、沖縄首里の「アイター」があります。

 上記のほか、山形の「ホニ」、新潟の「アキャ」(「アッキャー」と同語源)、富山の「ヨワッタ」などがあります。

 この「しまった」、「サーサ」、「マネ」、「アリャー」、「アイヤー」、「サイ」、「パグター」、「ングナッタ」、「ソグナッタ」、「アヤマッター」、「シソコナッチャッタ」、「シッペーシチャッタ」、「ハーヤッチャッタ」、「アッキャー」、「シモータ」、「テー」、「アー」、「ヤイヤイ」、「エライコトシタ」、「ゲンスケヤ」、「シクジッタ」、「ヤーシカ」、「アッシモータ」、「イケン」、「チェッ」、「シャンシモータ」、「アイタース シモタ」、「アイターシモター」、「アイタヨー」、「アイヤシモタ」、「ユーシタヒャー」、「アイター」、「ホニ」、「ヨワッタ」は、

  「チ・マツ・タ」、TI-MATU-TA(ti=throw,cast;matu=ma atu=go,come;ta=dash,beat,lay)、「(何かの)行為をしたことが・(思わしくない)結果となって・(襲った)起こった(しまった)」(「マツ」が「マッ」となった)

  「タタ」、TATA(near of place or time,suddenly)、「たった今(事件が起こった)(しまった)」(「タタ」が「サーサ」となった)

  「マネイ」、MANEI(waver,hesitate,vacillate)、「(あの時にああすればよかったのではと)心が揺れ動く(しまった)」(「マネイ」が「マネ」となった)

  「アリア」、ARIA(appear,idea,imaginary presence connected with anything which one may have touched etc.)、「(あの時にああすればよかったのではという)想像が駆けめぐる(しまった)」(「アリア」が「アリャ」から「アリャー」となった)

  「アイ・イア」、AI-IA(ai=expressing surprise;ia=indeed)、「何と・全く(しまった)」(「イア」が「ヤ」から「ヤー」となった)

  「タイ」、TAI(the other side)、「違う方(を選択すべき)だった(しまった)」(「タイ」が「サイ」となった)

  「パク・タ」、PAKU-TA(paku=make a sudden sound or report,resound;ta=dash,beat,lay)、「急に音が(思わしくないことが)・起こった(しまった)」(「パク」が「バグ」と、「タ」が「ター」となった)

  「(ン)グ(ン)グ・ナツ・タ」、NGUNGU-NATU-TA(ngungu=glance off,turn aside;natu=scratch,stir up,show ill feeling;ta=dash,beat,lay)、「悪い感じが・一瞬頭を・よぎる(しまった)」(「(ン)グ(ン)グ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ヌグ」から「ング」と、「ナツ」が「ナッ」となった)

  「ト・(ン)グ(ン)グ・ナツ・タ」、TO-NGUNGU-NATU-TA(to=drag;ngungu=glance off,turn aside;natu=scratch,stir up,show ill feeling;ta=dash,beat,lay)、「悪い感じが・一瞬頭を・かすめて・よぎる(しまった)」(「ト」が「ソ」と、「(ン)グ(ン)グ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「グ」と、「ナツ」が「ナッ」となった)

  「アハ・イア・マツ・タ」、AHA-IA-MATU-TA(aha=what?,of what sort?;ia=indeed;matu=ma atu=go,come;ta=dash,beat,lay)、「何と・実に・(思わしくない)結果が・(襲った)起こった(しまった)」(「アハ」のH音が脱落して「ア」と、「イア」が「ヤ」と、「マツ」が「マッ」と、「タ」が「ター」となった)

  「チ・トコ・ナツ・チ・アツ・タ」、TI-TOKO-NATU-TI-ATU-TA(ti=throw,cast;toko=pole,propel with a pole;natu=scratch,stir up,show ill feeling;atu=to indicate a direction or motion towards,to indicate reciprocated action;ta=dash,beat,lay)、「(ある)行為を・推進して・悪い感じが・出て・しまっ・た(しまった)」(「チ」が「シ」と、「トコ」が「ソコ」と、「ナツ」が「ナッ」と、「チ・アツ」が「チャッ」となった)

  「チ・ツパ・エ・チチ・アツ・タ」、TI-TUPA-E-TITI-ATU-TA(ti=throw,cast;tupa=dried up,unfruitful,barren;e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;titi=squeak,tingle;atu=to indicate a direction or motion towards,to indicate reciprocated action;ta=dash,beat,lay)、「(ある)行為が・不毛に・終わって(失敗して)・心の痛みを・感じて・きた(しまった)」(「チ」が「シ」と、「ツパ・エ」が「ッペー」と、「チチ・アツ」が「シチャッ」となった)

  「ハ・イア・ツ・チ・アツ・タ」、HA-IA-TU-TI-ATU-TA(ha=what!;ia=indeed;tu=stand,settle,fight with,energetic;ti=throw,cast;atu=to indicate a direction or motion towards,to indicate reciprocated action;ta=dash,beat,lay)、「何と・実に・(ある行為を)懸命に行って・(その結果が)出て・しまっ・た(しまった)」(「ハ」が「ハー」と、「イア・ツ」が「ヤッ」と、「チ・アツ」が「チャッ」となった)

  「ア・キア」、A-KIA(a=aha=what!;kia=to introduce a proposition,to denote wish or purpose or effect,in exclamation of surprise)、「何と・どうしてこんな結果になったのか(しまった)」(「ア」が「アッ」と、「キア」が「キャ」から「キャー」となった)

  「チ・マウ・タ」、TI-MAU-TA(ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;ta=dash,beat,lay)、「(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がO音に、またはAU音がOU音に変化して「モ」または「モウ」から「モー」となった。また「タ」が「ター」となった)

  「テ」、TE(there!)、「何でそんなことになるのか(しまった)」(「テ」が「テー」となった)

  「ア」、A(=aha=what!)、「何と(何でこんな結果になったのか)(しまった)」(「ア」が「アー」となった)

  「イ・アイ・イ・アイ」、I-AI-I-AI(i=past tense;ai=expressing surprise)、「いったい・何が起こったのか(しまった)」(「イ・アイ」が「ヤイ」となった)

  「エ・ラヒ・コト・チ・タ」、E-RAHI-KOTO-TI-TA(e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;rahi=great,abundant,multitude;koto=loathing,averse;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「非常に・たいへん・忌まわしい行為を・行ったことが・(悪い結果となって)襲ってきた(しまった)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」と、「チ」が「シ」となった)

  「(ン)ゲ(ン)ゲ・ツ・カイ・イア」、NGENGE-TU-KAI-IA(ngenge=weary,tired,weariness,exhaustion;tu=fight with,energetic;kai=fulfil its proper function,have full play;ia=indeed)、「実に・懸命に・全力を振るったが・(徒労に終わって)疲れ果てた(しまった)」(「(ン)ゲ(ン)ゲ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「ツ」が「ス」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「チ・ク・チ・タ」、TI-KU-TI-TA(ti=throw,cast;ku=silent,wearied,exhausted;ta=dash,beat,lay)、「(ある行為の結果が)疲れが・来て・(悪い結果が)襲って・きた(しまった)」(最初の「チ」が「シ」と、次の「チ」が「ジッ」となった)

  「イア・チカ」、IA-TIKA(ia=indeed;tika=shrill)、「実に・(侮蔑する)ばかなことをしたものだ(しまった)」(「イア」が「ヤー」と、「チカ」が「シカ」となった)

  「ア・チ・マウ・タ」、A-TI-MAU-TA(a=aha=what!;ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;ta=dash,beat,lay)、「何と・(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(「ア」が「アッ」と、「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がOU音に変化して「モウ」から「モー」となった)

  「イ・ケノ」、I-KENO(i=past tense;keno=kengo=night,become dark,set the sun)、「(目の前が)暗く・なった(しまった)」(「ケノ」が「ケン」となった)

  「チエチエ・ツ」、TIETIE-TU(tietie=break up firewood;tu=stand,srttle)、「(崩壊が・ある)なにもかも・崩れた(しまった)」(「チエチエ」の反復語尾が脱落して「チェ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「チア(ン)ゴ・チ・マウ・タ」、TIANGO-TI-MAU-TA(tiango=shrunk,contracted;ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;ta=dash,beat,lay)、「(気持ちが)萎縮した・(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「シャン」と、「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がOU音に変化して「モウ」から「モー」となった)

  「アイ・タ・ツ・チ・マウ・タ」、AI-TA-TU-TI-MAU-TA(ai=expressing surprise;ta=dash,beat,lay;tu=stand,settle;ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught)、「びっくり(の気持ちが)・やって・きた・(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(最初の「タ」が「ター」と、「ツ」が「ス」と、「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「アイ・タ・チ・マウ・タ」、AI-TA-TU-TI-MAU-TA(ai=expressing surprise;ta=dash,beat,lay;ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught)、「びっくり(の気持ちが)・きた・(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(「タ」が「ター」と、「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「アイ・タ・イオ」、AI-TA-IO(ai=expressing surprise;ta=dash,beat,lay;io=tough,hard,obstinate)、「びっくり(の気持ちが)・強く・きた(しまった)」(「イオ」が「ヨー」となった)

  「アイ・イア・チ・マウ・タ」、AI-IA-TU-TI-MAU-TA(ai=expressing surprise;ia=indeed;ti=throw,cast;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;ta=dash,beat,lay)、「実に・びっくりした・(ある行為を)行ったことが・(悪い結果を)運んで・きた(しまった)」(「イア」が「ヤ」と、「チ」が「シ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「イ・ウ・チ・タ・ヒア」、I-U-TI-TA-HIA(i=past tense;u=be firm,be fixed,reach its limit;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay;hia=used to express surprise and admiration)、「最大限の・努力を・した(結果)・驚く(ことと)・なった(しまった)」(「イ・ウ」が「ユー」と、「チ」が「シ」と、「ヒア」が「ヒャー」となった)

  「アイ・タ」、AI-TA(ai=expressing surprise;ta=dash,beat,lay)、「びっくり(の気持ちが)・した(しまった)」(「タ」が「ター」となった)

  「ホ(ン)ギ」、HONGI(smell,sniff)、「(感動のあまり)鼻をつまらせて泣きじゃくる(しまった)」(NG音がN音に変化して「ホニ」となった)

  「イオ・ワツ・タ」、IO-WHATU-TA(io=lock of hair:whatu=stone,kernel,eye;ta=dash,beat,lay)、「髷(頭)に・石を・投げられたよう(しまった)」(「イオ」が「ヨ」と、「ワツ」が「ワッ」となった)

の転訛と解します。

097じみ(地味)・トショリクセァ・ズミ・コートイ・コートナ・コート・オトナシー・ンヂミ・コートカ・ジミカ・オーテチートンサッ・ウチゴモイ

 「じみ」の方言には、岩手の「トショリクセァ」、宮城、山形の「ズミ」、岐阜、愛知の「コートイ」、滋賀の「コートナ」、京都、兵庫などの「コート」、愛媛の「オトナシー」、高知の「ンヂミ」、福岡の「コートカ」、佐賀、長崎の「ジミカ」、熊本の「コートーカ」(「コートカ」と同語源)があります。

 上記のほか、佐賀の「オーテチートンサッ」、鹿児島の「ウチゴモイ」(性格)などがあります。

 この「じみ」、「トショリクセァ」、「ズミ」、「コートイ」、「コートナ」、「コート」、「オトナシー」、「ンヂミ」、「コートカ」、「ジミカ」、「オーテチートンサッ」、「ウチゴモイ」は、

  「チ・ミヒ」、TI-MIHI(ti=throw,cast;mihi=greet,show itself,be expressed of affection etc.)、「(落ち着いたものを)好む性格を・表している(地味)」(「チ」が「ジ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「タウ・チ・イ・オリ・クタイタイ・ア」、TAU-TI-IO-RI-KUTATTAI-A(tau=season,year;ti=throw,cast;i=past tense,ori=cause to wave to and fro,sway,move about;kutaitai=of a disagreeable taste;a=yes,well)、「年を・経て・紆余曲折を・経験した者(年寄り)の・なんとも・不愉快な嗜好(地味)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「イ・オリ」が「ヨリ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落し、AI音がE音に変化して「クテ」から「クセ」となった)

  「ツ・ミヒ」、TU-MIHI(tu=stand,settle;mihi=greet,show itself,be expressed of affection etc.)、「(落ち着いたものを)好む性格に・安住している(地味)」(「ツ」が「ズ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「コ・トイ」、KO-TOI(ko=to give emphasis;toi=tingle,be galled,be irritated)、「たいへん・いらいらさせられる(嗜好。地味)」(「コ」が「コー」となった)

  「コト・ナ」、KOTO-NA(koto=loathing,averse;na=by,belonging to)、「嫌われる・ような(嗜好。地味)」(「コト」が「コート」となった)

  「コト」、KOTO(loathing,averse)、「嫌われる(嗜好。地味)」(「コト」が「コート」となった)

  「アウト・ナ・チヒ」、AUTO-NA-TIHI(auto=trailing behind,slow;na=by,belonging to;tihi=summit,top)、「徹底して・(同年配の人の嗜好に)追従する・ような(地味)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となった)

  「(ン)ガ・チ・ミヒ」、NGA-TI-MIHI(nga=satisfied,content;ti=throw,cast;mihi=greet,show itself,be expressed of affection etc.)、「(落ち着いたものを)好む性格を・表すことに・満足している(地味)」(「(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナ」から「ン」と、「チ」が「ジ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「コト・カ」、KOTO-KA(koto=loathing,averse;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「嫌われる・よ(嗜好。地味)」(「コト」が「コート」または「コートー」となった)

  「チ・ミヒ・カ」、TI-MIHI-KA(ti=throw,cast;mihi=greet,show itself,be expressed of affection etc.;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(落ち着いたものを)好む性格を・表している・よ(地味)」(「チ」が「ジ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「アウタイア・チト(ン)ガ・タツ」、AUTAIA-TITONGA-TATU(autaia=extraordinary,strange;titonga=numb,chilled,callous;tatu=reach the bottom,be content)、「異様な・無神経の・(嗜好に)満足している(地味)」(「アウタイア」のAU音がO音に、AI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「オテ」から「オーテ」と、「チト(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チトナ」から「チートン」と、「タツ」が「サッ」となった)

  「ウチ・(ン)ガウ・マウイ」、UTI-NGAU-MAUI(uti=bite(utiuti=annoy,worry);ngau=bite,hurt,act upon,attack;maui=witchcraft)、「魔法が・働いているように・(人を)悩ませる(嗜好。地味)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「マウイ」のAU音がO音に変化して「モイ」となった)

の転訛と解します。

098じゃがいも(馬鈴薯)・ゴショイモ・ニドイモ・ヌドエモ・ニドエモ・ナズエモ・カンプライモ・カンプラエモ・ジャガエモ・ジャガタラ・ジャイモ・ゴガツイモ・セーダイモ・ナツイモ・コーボイモ・キンカイモ・ジャガタライモ・ジャガタロ・ジャガイム・ゴドエモ・ニサコイモ

 「じゃがいも」の方言には、北海道、青森の「ゴショイモ」、岩手、奈良などの「ニドイモ」、宮城の「ヌドエモ」、秋田、新潟の「ニドエモ」、山形の「ナズエモ」、福島の「カンプライモ」、茨城の「カンプラエモ」、栃木の「ジャガエモ」、埼玉、静岡などの「ジャガタラ」、石川の「ジャイモ」、福井の「ゴガツイモ」、山梨の「セーダイモ」、長野の「ナツイモ」、愛知、福岡の「バレーショ」(「馬鈴薯」の漢語由来と解します。)、鳥取、島根の「コーボイモ」、岡山の「キンカイモ」、長崎の「ジャガタライモ」、鹿児島の「ジャガタロ」、沖縄那覇の「ジャガイム」があります。

 上記のほか、秋田の「ゴドエモ」、福井の「ニサコイモ」などがあります。

 この「じゃがいも」、「ゴショイモ」、「ニドイモ」、「ヌドエモ」、「ニドエモ」、「ナズエモ」、「カンプライモ」、「カンプラエモ」、「ジャガエモ」、「ジャガタラ」、「ジャイモ」、「セーダイモ」、「ナツイモ」、「コーボイモ」、「キンカイモ」、「ジャガタライモ」、「ジャガタロ」、「ジャガイム」、「ゴドエモ」、「ニサコイモ」は、

  「チア(ン)ガ・イヒ・マウ」、TIANGA-IHI-MAU(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「掘り棒で(開けた穴に)植える・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)(この「じゃが」は渡来元の「ジャガタラ」(ジャカトラ=現在の「ジャカルタ」)の約とする説が有力ですが、上記のように縄文語と解することも可能です。)

  「(ン)ガウ・チオ・イヒ・マウ」、NGAU-TIO-IHI-MAU(ngau=bite,hurt,act upon,attack;tio=sharp or piercing of cold,pinched with cold;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「酷寒に・挑戦する(酷寒の地でも栽培できる)・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「チオ」が「ショ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ニヒ・タウ・イヒ・マウ」、NIHI-TAU-IHI-MAU(nihi=steep;tau=come to rest,be suitable,be able;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(険しい)急傾斜地で・(栽培)可能な・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ヌイ・タウ・エ・マウ」、NUI-TAU-E-MAU(nui=large,great,many;tau=come to rest,be suitable,be able;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「多量の(収穫が)・可能な・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「ヌイ」の語尾のI音が脱落して「ヌ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ニヒ・タウ・エ・マウ」、NIHI-TAU-E-MAU(nihi=steep;tau=come to rest,be suitable,be able;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「(険しい)急傾斜地で・(栽培)可能な・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ナハ・ツ・エ・マウ」、NAHA-TU-E-MAU(naha,nahanaha=well arranged,in good order;tu=fight with,energetic;e=calling attention,expressing surprize;mau=bring,carry))、「(動植物が)生き生きと・活動する(季節。夏に収穫する(または植え付ける))・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「ナハ」のH音が脱落して「ナ」と、「ツ」が「ズ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「カ(ン)ガ・プラ・イヒ・モウ」、KANGA-PURA-IHI-MAU(kanga=curse,execrate;pura=blind;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「魔法をかけられたように・種子を作らない・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「カ(ン)ガ・プラ・エ・モウ」、KANGA-PURA-E-MAU(kanga=curse,execrate;pura=blind;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「魔法をかけられたように・種子を作らない・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チア(ン)ガ・エ・マウ」、TIANGA-E-MAU(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「掘り棒で(開けた穴に)植える・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チア(ン)ガ・タラ」、TIANGA-TARA(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;tara=loosen,separate)、「掘り棒で(開けた穴に)・(種芋を一つずつ)離して植える(芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」となった)

  「チア・イヒ・マウ」、TIA-IHI-MAU(tia=stick in,drive in pegs etc.;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「掘り棒で(開けた穴に)植える・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「(ン)ガウ・(ン)ガツ・イヒ・マウ」、NGAU-NGATU-IHI-MAU(ngau=bite,hurt,attack;ngatu=crushed,mashed;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(種芋の腐敗を防止する手だてを施さないとしばしば)やられて・腐ってしまう・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「テイ・タ・イヒ・マウ」、TEI-TA-IHI-MAU(tei,teitei=high;ta=dash,beat,lay;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「高地で・栽培される・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「テイ」が「セー」と、「タ」が「ダ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ナハ・ツ・イヒ・マウ」、NAHA-TU-IHI-MAU(naha,nahanaha=well arranged,in good order;tu=fight with,energetic;ihi=split,separate;mau=bring,carry))、「(動植物が)生き生きと・活動する(季節。夏に収穫する(または植え付ける))・葉茎から切り離して・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「ナハ」のH音が脱落して「ナ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「コウ・パウ・イヒ・マウ」、KOU-PAU-IHI-MAU(kou=knob,protuberance,knot;pau=a variety of potato;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(根の)瘤状の・芋の一種で・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「コウ」が「コー」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「キナ・カイ・イヒ・マウ」、KINA-KAI-IHI-MAU(kina=sea-urchin,sea-egg,a globular calabash;kai=eat,food;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「(海胆、球状のひょうたんなどに似た)塊状の・食物で・栽培される・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「キナ」が「キン」と、「カイ」の語尾のI音と「イヒ」の語頭のI音が連結して「カイヒ」となり、そのH音が脱落して「カイ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チア(ン)ガ・タラ・イヒ・マウ」、TIANGA-TARA-IHI-MAU(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;tara=loosen,separate;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「掘り棒で(開けた穴に)・(種芋を一つずつ)離して植える・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チア(ン)ガ・タロ」、TIANGA-TARO(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;taro=Colocasia antiquorum(里芋の一種。「セレベス」種など))、「掘り棒で(開けた穴に)植える・(里)芋の一種(芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」となった)

  「チア(ン)ガ・イム」、TIANGA-IMU(tianga=tia=stick in,drive in pegs etc.;imu=umu=earth-oven)、「掘り棒で・蒸し焼き穴のように地面に開けた穴(に植える芋。馬鈴薯)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「ジャガ」となった)

  「(ン)ゴト・エ・マウ」、NGOTO-E-MAU(ngoto=head,be deep,penetrate;e=calling attention,expressing surprize;mau=carry,take up)、「(掘り棒で開けた穴に)差し込んで植える・変わった・収穫をする(芋。馬鈴薯)」(「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」から「ゴド」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ニヒ・タココ・イヒ・マウ」、NIHI-TAKOKO-IHI-MAU(nihi,ninihi=steep,move stealthly;takoko=shovel,an implement for digging;ihi=split,separate;mau=carry,take up)、「険しい(高山の畑で)・山鍬を用いて栽培する・葉茎から切り離して・収穫する(芋。馬鈴薯)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「タココ」の反復語尾が脱落して「タコ」から「サコ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

の転訛と解します。

099じゃんけん・ケン・バンキ・エスケン・キューキュ・キッキ・チッカッポ・チッケン・ジーケ・インチャン・ジャイケン・インジャク・ブーサー・チュッケン・チンケン・チョイチョイ・ケンジャン・ケンマ

 「じゃんけん」の方言には、青森、新潟の「ケン」、岩手の「バンキ」、宮城の「エスケン」、秋田の「キューキュ」、山形の「キッキ」、群馬の「チッカッポ」、埼玉の「チッケン」、山梨の「ジーケ」、愛知の「インチャン」、兵庫の「ジャイケン」、奈良の「インジャク」、沖縄那覇・首里の「ブーサー」があります。

 上記のほか、埼玉の「チュッケン」、静岡の「チンケン」、「チョイチョイ」、京都の「ケンジャン」、香川の「ケンマ」があります。

 この「じゃんけん」、「ケン」、「バンキ」、「エスケン」、「キューキュ」、「キッキ」、「チッカッポ」、「チッケン」、「ジーケ」、「インチャン」、「ジャイケン」、「インジャク」、「ブーサー」、「チュッケン」、「チンケン」、「チョイチョイ」、「ケンジャン」、「ケンマ」は、

  「チア(ン)ゴ・カイ(ン)ガ」、TIANGO-KAINGA(tiango=shrunk,contracted;kainga=field of operation,scope of work)、「握りしめた(拳を)・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「ジャン」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「カイ(ン)ガ」、KAINGA(field of operation,scope of work)、「(相手の拳を)視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(AI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「パ(ン)ガ・キ」、PANGA-KI(panga=throw,lay,aim a blow at;ki=full,very)、「拳を・何回も出す(遊び。じゃんけん)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」となった)

  「エ・ツ・カイ(ン)ガ」、E-TU-KAINGA(e=to denote action in progress or temporary condition;to give emphasis;tu=fight with,energetic;kaing=field of operation,scope of work)、「とても・真剣になって行う・(相手の拳を)視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「ツ」が「ス」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「キウ・キウ」、KIU-KIU((Hawaii)kiu=spy,scout,to spy,observe secretly)、「しっかりと・観察に観察を重ねる(じゃんけん)」(「キウ・キウ」が「キューキュ」となつた)

  「キキ」、KIKI(crowded,confined,strait)、「(難渋)苦境(に陥ることがある遊び。じゃんけん)」(「キキ」が「キッキ」となった)

  「チ・カポ」、TI-KAPO(ti=throw,cast;kapo=snatch(kapokapo=open and close the hand as a sihnal))、「(拳を)開いたり閉じたりして・見せる(遊び。じゃんけん)」(「チ」が「チッ」と、「カポ」が「カッポ」となった)

  「チ・カイ(ン)ガ」、TI-KAINGA(ti=throw,cast;kainga=field of operation,scope of work)、「(拳を)出すのを・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「チ」が「チッ」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「チカイ」、TIKAI(presumption)、「(相手の行動を)推測する(遊び。じゃんけん)」(AI音がE音に変化して「チケ」から「ジーケ」となった)

  「イネ・チア(ン)ゴ」、INE-TIANGO(ine=compare,measure;tiango=shrunk,contracted)、「握りしめた(拳をどうするかを)・比較する(遊び。じゃんけん)」(「イネ」が「イン」と、「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「チャン」となった)

  「チ・アイ・カイ(ン)ガ」、TI-AI-KAINGA(ti=throw,cast;ai=procreate,beget;kainga=field of operation,scope of work)、「差し出した(拳から)・(何が)生まれるかを・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「チ・アイ」が「チャイ」から「ジャイ」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「イナチ・アク」、INATI-AKU(inati=extraordinary,trouble,prodigy;aku=delay,take time over anything)、「(拳を)遅れて出すと・騒ぎになる(遊び。じゃんけん)」(「イナチ」が「インチ」となり、「インチ・アク」が「インチャク」から「インジャク」となった)

  「プタ」、PUTA(move from one place to another,pass through)、「勝った者が次々と進んで行く(遊び。じゃんけん)」(「プタ」が「ブーサー」となった)

  「チウ・カイ(ン)ガ」、TIU-KAINGA(tiu=wander,swing,swift;kainga=field of operation,scope of work)、「(拳が)次々に変わるのを・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「チウ」が「チュ」から「チュッ」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「チニ・カイ(ン)ガ」、TINI-KAINGA(tini=very many;kainga=field of operation,scope of work)、「たくさんの(変化する拳を)・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「チニ」が「チン」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「チオイ・チオイ」、TIOI-TIOI(tioi=shake,sway from side to side)、「(拳が)どんどん・変わる(遊び。じゃんけん)」(「チオイ」が「チョイ」となった)

  「カイ(ン)ガ・チア(ン)ゴ」、TIANGO-KAINGA(tiango=shrunk,contracted;kainga=field of operation,scope of work)、「握りしめた(拳を)・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「ジャン」となった)

  「カイ(ン)ガ・マ」、KAINGA-MA(kainga=field of operation,scope of work;ma=a particle used after names of persons or pronouns)、「(相手の拳を)視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う遊び。じゃんけん)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

の転訛と解します。

100じゅくす(熟す)・ウム・ウレル・ジクス・ジュクレル・デキル・ミガイッタ・アカルム・ヨム・ミーイットル・イル・ミガイル・イロム・タナル・ウレー・ウルル・ウルッ・ナル・ッンムン・ンムン・シューレンス

 「じゅくす」の方言には、北海道、青森などの「ウム」、岩手、三重などの「ウレル」、茨城の「ジクス」、栃木の「ジュクレル」、群馬の「デキル」、埼玉の「ミガイッタ」、千葉の「アカルム」、新潟の「ヨム」、富山の「ミーイットル」、福井の「イル」、山梨、静岡の「ミガイル」、岐阜の「イロム」、和歌山の「タナル」、島根の「ウレー」、福岡、熊本などの「ウルル」、佐賀、鹿児島の「ウルッ」、長崎の「ナル」、沖縄那覇の「ッンムン」、沖縄首里の「ンムン」があります。

 上記のほか、佐賀の「シューレンス」などがあります。

 この「じゅくす」、「ウム」、「ウレル」、「ジクス」、「ジュクレル」、「デキル」、「ミガイッタ」、「アカルム」、「ヨム」、「ミーイットル」、「イル」、「ミガイル」、「イロム」、「タナル」、「ウレー」、「ウルル」、「ウルッ」、「ナル」、「ッンムン」、「ンムン」、「シューレンス」は、

  「チ・ウ・クフ・ウツ」、TI-U-KUHU-UTU(ti=throw,cast;u=be firm,be fixed,reach its limit;kuhu=insert,conceal;utu=return for anything,make response)、「ひそかに・(時の経過の)代償を・極限まで・得ている(成長のし過ぎ。熟す)」(「チ・ウ」が「チュ」から「ジュ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ウツ」が「ウス」となった)

  「ウ・ムフ」、U-MUHU(u=be firm,be fixed,reach its limit;muhu=overgrown with vegetation)、「(植物の)成長し過ぎが・極限に達する(熟す)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

  「ウ・ライ・ル」、U-RAI-RU(u=be firm,be fixed,reach its limit;rai=ribbed,followed;ru=shake,agitate,scatter)、「(植物の成長が)極限に達して・(表面に)皺が・出ている(熟す)」(「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」となった)

  「チ・クフ・ウツ」、TI-KUHU-UTU(ti=throw,cast;kuhu=insert,conceal;utu=return for anything,make response)、「ひそかに・(時の経過の)代償を・得ている(成長のし過ぎ。熟す)」(「チ」が「ジ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ウツ」が「ウス」となった)

  「チ・ウ・クフ・ライ・ル」、TI-U-KUHU-RAI-RU(ti=throw,cast;u=be firm,be fixed,reach its limit;kuhu=insert,conceal;rai=ribbed,followed;ru=shake,agitate,scatter)、「ひそかに・(時の経過の)代償を・極限まで・得て・(表面に)皺が・出ている(熟す)」(「チ・ウ」が「チュ」から「ジュ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」となった)

  「テイ・イキ・ル」、TEI-IKI-RU(tei,teitei=high,summit;iki=consume,denour,devastate;ru=shake,agitate,scatter)、「(植物の活力の)消耗が・最高に・達する(熟す)」(「テイ」のI音と「イキ」の語頭のI音が連結して「テイキ」から「テキ」、「デキ」となった)

  「ミヒ・(ン)ガ・イ・ツ・タ」、MIHI-NGA-I-TU-TA(mihi=greet,show itself;nga=satisfied,take breath;i=ferment,be stirred of the feelings;tu=fight with,energetic;ta=dash,beat,lay)、「十分に・(植物の内部で)勢いよく・盛んに・(活力が)沸騰しているような・外観を呈する(熟す)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「アカ・ル・ム」、AKA-RU-MU(aka=yearning,affection;ru=shake,agitate,scatter;mu=silent)、「静かに・(植物の内部で活力が)奮い立ち・たがっている(熟す)」

  「イ・オ・ム」、I-O-MU(i=ferment,be stirred of the feelings;o=find room,be capable of being contained or enclosed,get in;mu=silent)、「静かに・(植物の内部で活力が)奮い・立っている(熟す)」(「イ・オ」が「ヨ」となった)

  「ミヒ・イ・ツ・ト・ル」、MIHI-NGA-I-TU-TO-RU(mihi=greet,show itself;i=ferment,be stirred of the feelings;tu=fight with,energetic;to=drag;ru=shake,agitate,scatter)、「(植物の内部で)勢いよく・奮い立つ・までに・(活力が)沸騰しているような・外観を呈する(熟す)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」から「ミー」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「イ・ル」、I-RU(i=ferment,be stirred of the feelings;ru=shake,agitate,scatter)、「(植物の内部で活力が)奮い立って・沸騰している(熟す)」

  「ミヒ・(ン)ガ・イ・ル」、MIHI-NGA-I-RU(mihi=greet,show itself;nga=satisfied,take breath;i=ferment,be stirred of the feelings;ru=shake,agitate,scatter)、「十分に・(植物の内部で活力が)奮い立って・沸騰しているような・外観を呈する(熟す)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となった)

  「イ・ロ・オ・ム」、I-RO-O-MU(i=ferment,be stirred of the feelings;ro=roto=inside;o=find room,be capable of being contained or enclosed,get in;mu=silent)、「静かに・植物の内部で・(活力が)奮い・立っている(熟す)」(「ロ」のO音と「オ」のO音が連結して「ロ」となった)

  「タ(ン)ガ・ル」、TANGA-RU(tanga=be assembled;ru=shake,agitate,scatter)、「(植物の内部で)たくさん(の活力が)・奮い立っている(熟す)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」となった)

  「ウ・ライ」、U-RAI(u=be firm,be fixed,reach its limit;rai=ribbed,followed)、「(植物の成長が)極限に達して・(表面に)皺が出ている(熟す)」(「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」から「レー」となった)

  「ウ・ルル」、U-RURU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ruru=brandish,wave about)、「(植物の成長が)極限に達したことを・誇示する(熟す)」

  「ウ・ル・ツ」、U-RU-TU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ru=shake,agitate,scatter;tu=stand,settle)、「(植物の成長が)極限に達して・(植物の内部で活力が)奮い立って・いる(熟す)」(「ツ」が「ッ」となった)

  「ナ・ル」、NA-RU(na=satisfied,content;ru=shake,agitate,scatter)、「十分に・(植物の内部で活力が)奮い立っている(熟す)」

  「ツ(ン)ガ・ムナ」、TUNGA-MUNA(tunga=decayed wood,decayed tooth,rotten of timber;muna=gossip,secret,beloved,datling)、「愛らしい(程度に)・腐敗した(熟す)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ッン」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「ナナム・ナ」、NANAMU-NA(nanamu=smart,tingle,sting,irritate;na=by,belonging to)、「刺すような(腐敗臭に似た)刺激が・ある(熟す)」(「ナナム」の反復語頭が脱落して「ナム」から「ンム」と、「ナ」が「ン」となった)

  「チウ・ライ(ン)ガ・ツ」、TIU-RAINGA-TU(tiu=wander,swing,swift;rainga=undulation;tu=stand,settle)、「あちこちに・皺が・出来ている(熟す)」(「チウ」が「チュ」から「シュー」と、「ライ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「レナ」から「レン」と、「ツ」が「ス」となった)

の転訛と解します。

101しょうしんもの(小心者)・オグビョーモノ・ジグナシ・ケチセヒト・オグビョータガリ・スビタレ・ドショナシ・オクビョーッタガリ・キガチッチェーヒト・コドキョ・キガチーサイモノ・オクビョー・イチガイナモン・オッカナガリンボー・キガチーセー・コドキョーナヒト・オクビョータレ・キガチサイヒト・コンジョナシ・オビンタレ・キガホセーヒト・キボソ・ショートギモ・オジクソ・オトッチャマ・キモガチーサイヒト・キノホソイヒト・キモホソ・ヒータレ・セセリノキンタマ・キモガコンメーヒト・ヒビッタレ・ヤッセンボ・チムグームン・チムクーシムン・キノチンサイモン・キモッタマノチーセーヒト・コワガリ・アカンタレ・オソレ・キノコマカ

 「しょうしんもの」の方言には、北海道の「オグビョーモノ」、青森、秋田の「ジグナシ」、岩手の「ケチセヒト」、宮城の「オグビョータガリ」、山形の「スビタレ」、福島の「ドショナシ」、茨城の「ショーシンモノ(「しょうしんもの」と同語源)」、栃木の「オクビョーッタガリ」、群馬の「キガチッチェーヒト」、埼玉の「コドキョ」、千葉、新潟などの「オクビョーモン」(「オグビョーモノ」と同語源)、東京の「キガチーサイモノ」、神奈川の「オクビョーモノ」(「オグビョーモノ」と同語源)、石川の「オクビョー」、福井の「イチガイナモン」、山梨の「オッカナガリンボー」、岐阜の「キガチーセー」、静岡の「コドキョーナヒト」、三重の「オクビョータレ」、滋賀の「キガチサイヒト」、京都、和歌山の「ショーシンモン」(「しょうしんもの」と同語源)、大阪、奈良の「コンジョナシ」、兵庫の「オビンタレ」、鳥取の「キガホセーヒト」、島根の「キボソ」、岡山、広島の「ショートギモ」、徳島の「オジクソ」、香川の「オトッチャマ」、愛媛の「キモガチーサイヒト」、高知の「キノホソイヒト」、福岡の「キモホソ」、佐賀の「ヒータレ」、熊本の「セセリノキンタマ」、大分の「キモガコンメーヒト」、宮崎の「ヒビッタレ」、鹿児島の「ヤッセンボ」、沖縄那覇の「チムグームン」、沖縄首里の「チムクーシムン」があります。

 上記のほか、石川の「キノチンサイモン」、静岡の「キモッタマノチーセーヒト」、京都の「コワガリ」、大阪の「アカンタレ」、広島の「オソレ」、佐賀の「キノコマカ」などがあります。

 この「しょうしんもの」、「オグビョーモノ」、「ジグナシ」、「ケチセヒト」、「オグビョータガリ」、「スビタレ」、「ドショナシ」、「オクビョーッタガリ」、「キガチッチェーヒト」、「コドキョ」、「キガチーサイモノ」、「オクビョー」、「イチガイナモン」、「オッカナガリンボー」、「キガチーセー」、「コドキョーナヒト」、「オクビョータレ」、「キガチサイヒト」、「コンジョナシ」、「オビンタレ」、「キガホセーヒト」、「キボソ」、「ショートギモ」、「オジクソ」、「オトッチャマ」、「キモガチーサイヒト」、「キノホソイヒト」、「キモホソ」、「ヒータレ」、「セセリノキンタマ」、「キモガコンメーヒト」、「ヒビッタレ」、「ヤッセンボ」、「チムグームン」、「チムクーシムン」、「キノチンサイモン」、「キモッタマノチーセーヒト」、「コワガリ」、「アカンタレ」、「オソレ」、「キノコマカ」は、

  「チオホ・チノ・モノア」、TIOHO-TINO-MONOA(tioho=apprehensive;tino=essentiality,self,reality;monoa=admire,desire)、「心配が・本来の性格である・(崇拝すべき=敬称)者(小心者)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショウ」または「ショー」と、「チノ」が「チン」から「シン」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」から「モン」となった)

  「オク・ピオ・モノア」、OKU-PIO-MONOA((Hawaii)oku=to stand erect,protrude,thunderstruck,horrified;pio=be extinguished,go out;monoa=admire,desire)、「恐れる心が強く・(情熱を)失っている・(崇拝すべき=敬称)者(小心者)」(「オク」が「オグ」と、「ピオ」が「ピョ」から「ビョー」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」となった。また「モノ」が「モン」となった)

  「チ・(ン)グ・ナチ」、TI-NGU-NATI(ti=throw,cast;ngu=groan,moan;nati=pinch or contact)、「(いつも)嘆き声を・発する・(弱気が)身に付いている(性分の。小心者)」(「チ」が「ジ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「ナチ」が「ナシ」となった)

  「ケ・エチ・テ・ピト」、KE-ETI-TE-PITO(ke=different,strange;eti=shrink,recoil(etieti=disgusting);te=to make an emphatic statement;pito=end,extremity)、「異常に・(行動に)尻込みして・動かない・(四肢のある)人(小心者)」(「ケ」のE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ケチ」と、「テ」が「セ」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「オク・ピオ・タ・(ン)ガリ」、OKU-PIO-TA-NGARI((Hawaii)oku=to stand erect,protrude,thunderstruck,horrified;pio=be extinguished,go out;ta=dash,beat,lay;ngari=annoyance,disturbance)、「恐れる心が強く・(情熱を)失っている・(行動に)不安を感じて・いる(怖がっている。小心者)」(「オク」が「オグ」と、「ピオ」が「ピョ」から「ビョー」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)

  「ツ・ピ・タレ」、TU-PI-TARE(tu=stand,settle;pi=young of the birds;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「子供の(未成熟の)・ままでいる・(その心で)行動しようとする(小心者)」(「ツ」が「ス」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「ト・チオホ・ナチ」、TO-TIOHO-NATI(to=drag;tioho=apprehensive;nati=pinch or contact)、「すぐに・心配してしまう・(性格が)身に付いている(性分の。小心者)」(「ト」が「ド」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショ」と、「ナチ」が「ナシ」となった)

  「オク・ピオ・ツ・タ・(ン)ガリ」、OKU-PIO-TU-TA-NGARI((Hawaii)oku=to stand erect,protrude,thunderstruck,horrified;pio=be extinguished,go out;tu=fight with,energetic;ta=dash,beat,lay;ngari=annoyance,disturbance)、「恐れる心が強く・熱心に行動しようとする・(情熱を)失っている・(行動に)不安を感じて・いる(怖がっている。小心者)」(「オク」が「オグ」と、「ピオ」が「ピョ」から「ビョー」と、「ツ」が「ッ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)

  「キ・(ン)ガ・チチ・エヘ・ピト」、KI-NGA-TITI-EHE-PITO(ki=full,very;nga=satisfied,content;titi=aqueak,make a sharp inarticulate sound,tingle;ehe=expressing surprise;pito=end,extremity)、「十分に・満足してしまい・(何かあっても)金切り声を立て・驚く(だけで行動しない)・(四肢のあるだけの)人(小心者)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「エヘ」のH音が脱落して「エエ」となり、「チチ・エエ」が「チッチェー」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「コト・キオ」、KOTO-KIO(koto=sob,make a low sound,loathing,averse;(Hawaii)kio=mock warfare)、「声が小さくて・軽蔑の的となる(小心者)」(「コト」が「コド」と、「キオ」が「キョ」となった)

  「キ・(ン)ガ・チヒ・イタ・アイ・モノア」、KI-NGA-TIHI-ITA-AI-MONOA(ki=full,very;nga=satisfied,content;tihi=summit,top;ita=compact,tight,fast;ai=substantive;monoa=admire,desire)、「十分に・満足している・(気が)実に・最高に・(細かい)小さい・(崇拝すべき=敬称)者(小心者)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」となり、その語尾のI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「チイタ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チイタイ」から「チーサイ」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」となった)

  「オク・ピオ」、OKU-PIO((Hawaii)oku=to stand erect,protrude,thunderstruck,horrified;pio=be extinguished,go out)、「恐れる心が強く・(情熱を)失っている(者。小心者)」(「ピオ」が「ピョ」から「ビョー」となった)

  「イチ・(ン)ガイ・ナ・モノア」、ITI-NGAI-NA-MONOA(iti=small;ngai=tribe or clan;na=by,belonging to;monoa=admire,desire)、「(気が)小さい・部類に・属する・(崇拝すべき=敬称)者(小心者)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」から「モン」となった)

  「オ・ツ・カナ・(ン)ガリ・ナ・ポウ」、O-TU-KANA-NGARI-NA-POU(o=the...of;tu=stand,settle;kana=stare wildly,be witch;ngari=annoyance,disturbance;na=by,belonging to;pou=pole,support,teacher,expert,fix knowledge etc. in mind of a pupil by means of charm)、「例の・(いつのまにか)魔法を・かけられ(て望まぬ行動をさせられ)るのを・不安に感ずる(怖がる)・(性格に)属する・(先生と呼ばれる)者(小心者)」(「ツ」が「ッ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」と、「ナ」が「ン」と、「ポウ」が「ボー」となった)

  「キ・(ン)ガ・チヒ・イタ・アイ」、KI-NGA-TIHI-ITA-AI(ki=full,very;nga=satisfied,content;tihi=summit,top;ita=compact,tight,fast;ai=substantive)、「十分に・満足している・(気が)実に・最高に・(細かい)小さい(者。小心者)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」となり、その語尾のI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「チイタ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チイタイ」となり、その語尾のAI音がE音に変化して「チーセ」から「チーセー」となった)

  「コト・キオ・ナ・ピト」、KOTO-KIO-NA-PITO(koto=sob,make a low sound,loathing,averse;(Hawaii)kio=mock warfare;na=by,belonging to;pito=end,extremity)、「声が小さくて・軽蔑の的となる・部類の・(四肢のある)人(小心者)」(「コト」が「コド」と、「キオ」が「キョー」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「オク・ピオ・タレ」、OKU-PIO-TARE((Hawaii)oku=to stand erect,protrude,thunderstruck,horrified;pio=be extinguished,go out;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「恐れる心が強く・(情熱を)失っている・(その心で)行動しようとする(小心者)」(「ピオ」が「ピョ」から「ビョー」となった)

  「キ・(ン)ガ・チヒ・イタ・アイ・ピト」、KI-NGA-TIHI-ITA-AI-PITO(ki=full,very;nga=satisfied,content;tihi=summit,top;ita=compact,tight,fast;ai=substantive;pito=end,extremity)、「十分に・満足している・(気が)実に・最高に・(細かい)小さい・(四肢のある)人(小心者)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」となり、その語尾のI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「チタ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チタイ」から「チサイ」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「コニ・チオホ・ナチ」、KONI-TIOHO-NATI((Hawaii)koni=to throb,pulsate,flutter;tioho=apprehensive;nati=pinch or contact)、「(心臓が)ドキドキして・心配が絶えない・(性格が)身に付いている(性分の。小心者)」(「コニ」が「コン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショ」、「ジョ」と、「ナチ」が「ナシ」となった)

  「オ・ピ(ン)ガ(ン)ガ・タレ」、O-PINGANGA-TARE(o=the...of;pinganga=lean,shrunk;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「例の・(恐怖で)縮み上がっている・(その心で)行動しようとする(小心者)」(「ピ(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ピナ」から「ビン」となった)

  「キ・(ン)ガ・ハウ・タイヒ・ピト」、KI-NGA-HAU-TAIHI-PITO(ki=full,very;nga=satisfied,content;hau=wind,breath,dew;taihi=be split;pito=end,extremity)、「十分に・満足している・息が・(分割されて)細い・(四肢のある)人(小心者)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「タイヒ」のAI音がE音に変化し、H音が脱落して「テイ」から「セイ」、「セー」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「キ・ハウ・トイヒ」、KI-HAU-TOIHI(ki=full,very;hau=wind,breath,dew;toihi=be split)、「十分に・息が・(分割されて)細い(人。小心者)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」から「ボ」と、「トイヒ」のH音が脱落して「トイ」から「ト」、「ソ」となった)

  「チオホ・ト(ン)ギ・マウ」、TIOHO-TONGI-MAU(tioho=apprehensive;tongi=peck as a bird,nibble at bait;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught)、「鳥につつかれるように・間断なく心配が・続く(人。小心者)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショウ」または「ショー」と、「ト(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「トギ」」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「オ・チ・ク・タウ」、O-TI-KU-TAU(o=the...of;ti=throw,cast;ku=silent;tau=turn away,look another direction)、「例の・(難局に直面すると)黙って・退却して・しまう(人。小心者)」(「チ」が「ジ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「オ・ト・ツ・チア・マ」、O-TO-TU-TIA-MA(o=the...of;to=drag;tu=stand,be turned up of the nose indicating disdain;tia=stick in,drive in pegs etc.,take a vigorous stroke in paddling;ma=to indicate the inclusion of others whom it is not necessary to specify)、「例の・勢いよく船を漕ぐような・ことを・軽蔑して・しまっている(全く努力しようとしない)(人。小心者)」(「ツ」が「ッ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「キ・マウ(ン)ガ・チヒ・イタ・アイ・ピト」、KI-MAUNGA-TIHI-ITA-AI-PITO(ki=full,very;maunga=mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;tihi=summit,top;ita=compact,tight,fast;ai=substantive;pito=end,extremity)、「十分に・定まっている・(気が)実に・最高に・(細かい)小さい・(四肢のある)人(小心者)」(「マウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がG音に変化して「モガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」となり、その語尾のI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「チイタ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チイタイ」から「チイサイ」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「キナウ・ハウ・トイヒ・ピト」、KINAU-HAU-TOIHI-PITO(kinau=blemish,defect;hau=wind,breath,dew;toihi=be split,stride;pito=end,extremity)、「息が・(分割されて)細いのが・欠点の・(四肢のある)人(小心者)」(「キナウ」のAU音がO音に変化して「キノ」と、「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「トイヒ」のH音が脱落して「トイ」から「ソイ」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「キ・マウ・ハウ・ト」、KI-MAU-HAU-TO(ki=full,very;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;hau=wind,breath,dew;to=calm,tranquil)、「十分に・定まっている・息が・(静か)細い(人。小心者)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「ト」が「ソ」となった)

  「ヒヒ・タレ」、HIHI-TARE(hihi=feelers of crayfish,shy;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「引っ込み思案の・(心で)行動しようとする(小心者)」(「ヒヒ」が「ヒー」となった)

  「テイ・テリ・ノ・キノ・タハ・マ」、TEI-TERI-NO-KINO-TAHA-MA(tei=high,summit;teri,teriteri=shake,jolt;no=of;kino=bad,ugly;taha=side,edge,spasmodic twitching of the muscles,portion;ma=white,clean,to indicate the inclusion of others whom it is not necessry to specify)、「醜い・(体の下に)ぶら下がって・いるもの(きんたま)・が・震えて・(上に)上っている(ちぢこまっている人。小心者)」(「テイ」が「テ」から「セ」と、「テリ」が「セリ」と、「キノ」が「キン」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「キ・マウ(ン)ガ・コネコネ・マイ・ピト」、KI-MAUNGA-KONEKONE-MAI-PITO(ki=full,very;maunga=mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;konekone=shy,bashful;mai=to indicate direction or motion towards;pito=end,extremity)、「十分に・定まっている・引っ込み思案の・癖がある・(四肢のある)人(小心者)」(「マウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がG音に変化して「モガ」と、「コネコネ」の反復語尾が脱落して「コネ」から「コン」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メー」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「ピピ・タレ」、PIPI-TARE(pipi=half-grown,not matured,yielding;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「未成熟な(弱い)・(心で)行動しようとする(小心者)」(「ピピ」の最初のP音がF音を経てH音に変化して「ヒピ」から「ヒビッ」となった)

  「イア・ツ・テナ・ポウ」、IA-TU-TENA-POU(ia=indeed;tu=stand,be turned up of the nose indicating disdain;tena=encourage,urge forward;pou=pole,support,teacher,expert,fix knowledge etc. in mind of a pupil by means of charm)、「実に・人を奮い立たせることを・軽蔑している・(先生と呼ばれる)人(小心者)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「テナ」が「セン」と、「ポウ」が「ボ」となった)

  「チム・(ン)グ・ムナ」、TIMU-NGU-MUNA(timu=ebb,ebbing;ngu=moan,groan;muna=tell or speak of privately,gossip,secret,beloved)、「引っ込み思案で・軽蔑されると・噂される(人。小心者)」(「ムナ」が「ムン」となった)

  「チム・クチ・ムナ」、TIMU-KUTI-MUNA(timu=ebb,ebbing;kuti=draw tightly together,contract;muna=tell or speak of privately,gossip,secret,beloved)、「引っ込み思案で・小さくなっていると・噂される(人。小心者)」(「ムナ」が「ムン」となった)

  「キナウ・チ(ン)ゴ(ン)ゴ・タヒ・モノア」、KINAU-TINGONGO-TAI-MONOA(kinau=blemish,defect;tingongo=cause to shrink,shrivelled;tahi=single,unique,together;monoa=admire,desire)、「総てが・小さくちぢこまっているのが・欠点の・(崇拝すべき=敬称)者(小心者)」(「キナウ」のAU音がO音に変化して「キノ」と、「チ(ン)ゴ(ン)ゴ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「チノ」から「チン」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「サイ」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」から「モン」となった)

  「キ・マウ・ツ・タマ・ノ・チヒ・イタ・アイ・ピト」、KI-MAU-TU-TAMA-NO-TIHI-ITA-AI-PITO(ki=full,very;mau=carry,bring,fixed,continuing,caught;tu=fight with,energetic;tama=emotion,desire,strong feeling;no=of;tihi=summit,top;ita=compact,tight,fast;ai=substantive;pito=end,extremity)、「十分に・定まっている・奮って行動する・強い精神・の・実に・最高に・(細かい)小さい・(四肢のある)人(小心者)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ツ」が「ッ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」となり、その語尾のI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「チイタ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チイタイ」となり、AI音がE音に変化して「チイセ」から「チーセー」と、「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)

  「カウ・ワ・(ン)ガリ」、KAU-WHA-NGARI(kau=alone,only,swim,wade;wha=be disclosed,get abroad;ngari=annoyance,disturbance)、「ただの・外出にも・不安を感ずる(怖がる人。小心者)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)

  「ア・カヌ・タレ」、A-KANU-TARE(a=the...of;kanu=ragged,torn;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「例の・(心が)ぼろぼろになった・(その心で)行動しようとする(小心者)」(「カヌ」が「カン」となった)

  「オ・タウレレ」、O-TAURERE(o=the...of;taurere=lament,mourn)、「例の・(何かにつけて)呪文を唱える(人。小心者)」(「タウレレ」のAU音がO音に変化し、反復語尾が脱落して「トレ」から「ソレ」となった)

  「キナウ・コマカ」、KINAU-KOMAKA((Hawaii)kinau=blemish,defect;komaka=sort out)、「(物事を)よく整理する(性格が)・欠点(の人。小心者)」(「キナウ」のAU音がO音に変化して「キノ」となった)

の転訛と解します。

102じょさんぷ(助産婦)・サンバ・トリダシババ・コナサセバンバ・トリアゲバーサン・オサンバサン・サンバサン・サンバン・トリアゲババ・トリアゲババサン・コーセバーサン・ックワナシミヤー・トリアゲバーサマ

 「じょさんぷ」(漢語由来の言葉と解します。)の方言には、北海道、宮城などの「サンバ」、青森の「トリダシババ」、秋田の「コナサセバンバ」、茨城、栃木などの「トリアゲバーサン」、群馬、福井などの「オサンバサン」、埼玉、千葉などの「サンバサン」、富山の「サンバン」、三重の「トリアゲババ」、兵庫の「サンバハン」(「サンバサン」と同語源)、山口の「サンバーサン」(「サンバサン」と同語源)、福岡の「トリアゲババサン」、熊本の「コーセバーサン」、沖縄那覇の「ックワナシミヤー」があります。

 上記のほか、山形の「トリアゲバーサマ」などがあります。

 この「サンバ」、「トリダシババ」、「コナサセバンバ」、「トリアゲバーサン」、「オサンバサン」、「サンバサン」、「サンバン」、「トリアゲババ」、「トリアゲババサン」、「コーセバーサン」、「ックワナシミヤー」、「トリアゲバーサマ」は、

  「タ(ン)ゴ・パ」、TANGO-PA(tango=take up,take in the hand;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on)、「(赤子を)取り上げる・仕事をする(女性。助産婦)」(「タ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「タノ」から「タン」、「サン」と、「パ」が「バ」となった)
  または「タ(ン)ガエ(ン)ガエ・パ」、TANGAENGAE-PA(tangaengae=umbilical cord,prostration,an incantation to confer vigour;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on)、「(赤子の)へその緒を・切る(女性。産婆)」または「(産婦を)元気づける呪術を・行う(女性。助産婦)」(「タ(ン)ガエ(ン)ガエ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、AE音がE音に変化して「タネ」から「タン」、「サン」と、「パ」が「バ」となった)

  「トリ・タハ・チ・パパ」、TORI-TAHA-TI-PAPA(tori=cut;taha=side,edge,spasmodic twitching of the muscles,portion;ti=throw,cast;papa=the name of the earth(wife of Rangi),whakapapa=make secret suggestions)、「(赤子のへその緒を)切り・産声を・上げさせる・大地の母の役を果たす女性(または産婦に秘密の助言をする女性)(助産婦)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」と、「チ」が「シ」と、「パパ」が「ババ」となった)
  「コナ・タタイ・パ(ン)ガ・パ」、KONA-TATAI-PANGA-PA(kona=to difuse,spread about;tatai=measure,arrange,set in order;panga=throw,lay,place;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on)、「(赤子が)生まれ出る・段取りをして・取り上げる・仕事をする(女性。助産婦)」(「タタイ」のAI音がE音に変化して「タテ」から「サセ」と、「「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「パ」が「バ」となった)

  「トリ・ア(ン)ガ・アイ・パ・タナ」、TORI-ANGA-AI-PA-TANA(tori=cut;anga=a=driving force,thing driven etc.;ai=procreate,beget;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on;tana=his,her)、「(赤子のへその緒を)切り・出産を・促進する・仕事をする・女性(助産婦)」(「ア(ン)ガ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ア(ン)ガイ」となり、そのNG音がG音に、AI音がE音に変化して「アゲ」と、「パ」が「バー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「オ・タ(ン)ゴ・パ・タナ」、O-TANGO-PA-TANA(o=the...of;tango=take up,take in the hand;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on;tana=his,hers)、「例の・(赤子を)取り上げる・仕事をする・女性(助産婦)」(「タ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「タノ」から「タン」、「サン」と、「パ」が「バ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「タ(ン)ゴ・パ・タナ」、TANGO-PA-TANA(tango=take up,take in the hand;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on;tana=his,hers)、「(赤子を)取り上げる・仕事をする・女性(助産婦)」(「タ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「タノ」から「タン」、「サン」と、「パ」が「バ」または「バー」と、「タナ」が「サン」となった。また「タナ」の原語の「サナ」のS音がH音に変化して「ハン」となった)

  「タ(ン)ゴ・パ(ン)ガ」、TANGO-PANGA(tango=take up,take in the hand;panga=pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on)、「(赤子を)取り上げる・仕事をする(女性。助産婦)」(「タ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「タノ」から「タン」、「サン」と、「「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」となった)

  「トリ・ア(ン)ガ・アイ・パパ」、TORI-ANGA-AI-PAPA(tori=cut;anga=a=driving force,thing driven etc.;ai=procreate,beget;papa=the name of the earth(wife of Rangi),whakapapa=make secret suggestions)、「(赤子のへその緒を)切り・出産を・促進する・仕事をする・大地の母の役を果たす女性(または産婦に秘密の助言をする女性)(助産婦)」(「ア(ン)ガ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ア(ン)ガイ」となり、そのNG音がG音に、AI音がE音に変化して「アゲ」と、「パパ」が「ババ」となった)

  「トリ・ア(ン)ガ・アイ・パパ・タナ」、TORI-ANGA-AI-PAPA-TANA(tori=cut;anga=a=driving force,thing driven etc.;ai=procreate,beget;papa=the name of the earth(wife of Rangi),whakapapa=make secret suggestions;tana=his,hers)、「(赤子のへその緒を)切り・出産を・促進する・仕事をする・大地の母の役を果たす(または産婦に秘密の助言をする)・女性(助産婦)」(「ア(ン)ガ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ア(ン)ガイ」となり、そのNG音がG音に、AI音がE音に変化して「アゲ」と、「パパ」が「ババ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「コテ・パ・タナ」、KOTE-PA-TANA(kote=squeeze out;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on;tana=his,hers)、「(赤子を)引き出す・仕事をする・女性(助産婦)」(「コテ」が「コーセ」と、「パ」が「バー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ツク・ワナ・チム・イア」、TUKU-WHANA-TIMU-IA(tuku=let go,leave,send;whana=travel,come,go,be on the point of;timu,timutimu=Pudenda muliebria;ia=indeed)、「実に・(赤子を)女陰から・外へ・引き出す(女性。助産婦)」(「ツク」が「ック」と、「チム・イア」が「チミア」から「シミャー」となった)

  「トリ・ア(ン)ガ・アイ・パ・タ・マ」、TORI-ANGA-AI-PA-TA-MA(tori=cut;anga=a=driving force,thing driven etc.;ai=procreate,beget;pa=touch,hold personal communication with,accost,operate on;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(赤子のへその緒を)切り・出産を・促進する・仕事をする・清らかに・座す方(様=敬称)(助産婦)」(「ア(ン)ガ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ア(ン)ガイ」となり、そのNG音がG音に、AI音がE音に変化して「アゲ」と、「パ」が「バー」と、「タ」が「サ」となった)

の転訛と解します。

103しり(尻)・ケツ・ドンジ・ゲッチ・ケツッペダ・シリッペタ・オイド・イド・シリコブタ・ツベ・オコシ・シー・ジゴ・チビ

 「しり」の方言には、北海道、群馬などの「ケツ」、青森の「ドンジ」、岩手、宮城などの「ケッツ」(「ケツ」と同語源)、秋田の「ゲッチ」、福島の「ケズ」(「ケツ」と同語源)、栃木の「ケツッペダ」、埼玉、神奈川の「シリッペタ」、千葉の「ケツベタ」(「ケツッペダ」と同語源)、愛知、大阪などの「オイド」、三重の「ゲッツ」(「ケツ」と同語源)、滋賀、長崎の「シリベタ」(「シリッペタ」と同語源)、広島の「イド」、徳島の「シリコブタ」、香川の「ツベ」、高知の「オコシ」、佐賀、鹿児島の「シー」、熊本の「ジゴ」、沖縄那覇・首里の「チビ」があります。

 この「しり」、「ケツ」、「ドンジ」、「ゲッチ」、「ケツッペダ」、「シリッペタ」、「オイド」、「イド」、「シリコブタ」、「ツベ」、「オコシ」、「シー」、「ジゴ」、「チビ」は、

  「チ・イリ」、TI-IRI(ti=throw,cast;iri=be elevated on something,rest upon)、「(それを)投げ出して・休息するもの(尻)」(「チ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「チリ」から「シリ」となった)

  「ケ・ツア」、KE-TUA(ke=different,strange,produce a sharp abrupt sound;tua=back,on the farther side)、「突然音を出す(屁を出す)・体の後部(尻)」(「ツア」の語尾のA音が脱落して「ツ」または「ズ」となった。また「ケ」が「ケッ」または「ゲッ」となった)

  「ト(ン)ガ・チ」、TONGA-TI(tonga=blemish,wart,etc.;ti=throw,cast,overcome)、「(体重で)押し潰されている・瘤のような(尻)」(「ト(ン)ガ」ののNG音がN音に変化して「トナ」から「ドン」と、「チ」が「ジ」となった)

  「(ン)ゲ・チ」、NGE-TI(nge=noise,screech;ti=throw,cast)、「異様な音(屁の音)を・放つもの(尻)」(「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲ」から「ゲッ」となった)

  「ケ・ツア・ペタ」、KE-TUA-PETA(ke=different,strange,produce a sharp abrupt sound;tua=back,on the farther side;peta,petapeta=all at once)、「一度に(まとめて)・突然音を出す(屁を出す)・体の後部(尻)」(「ツア」の語尾のA音が脱落して「ツ」から「ツッ」と、「ペタ」が「ペダ」または「ベタ」となった)

  「チ・イリ・ペタ」、TI-IRI-PETA(ti=throw,cast;iri=be elevated on something,rest upon;peta,petapeta=all at once,worn out,rags)、「ボロ切れのように・(それを)投げ出して・休息するもの(尻)」(「チ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「チリ」から「シリ」、「シリッ」と、「ペタ」が「ベタ」となった)

  「オイ・トア」、OI-TOA(oi=shout;toa=brave,bravery)、「豪快に・叫び声(屁の音)を出すもの(尻)」(「トア」の語尾のA音が脱落して「ト」から「ド」となった)
  または「オ・イト」、O-ITO(o=the...of;ito=object of revenge,enemy)、「例の・(相手から加えられた侮辱に対する)復讐をするもの(屁を出すもの。尻)」(「イト」が「イド」となった)

  「イト」、ITO(object of revenge,enemy)、「(相手から加えられた侮辱に対する)復讐をするもの(屁を出すもの。尻)」(「イト」が「イド」となった)

  「チ・イリ・コプタ」、TI-IRI-KOPUTA(ti=throw,cast;iri=be elevated on something,rest upon;koputa=blistered)、「(それを)投げ出して・休息する・膨らんでいるもの(尻)」(「チ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「チリ」から「シリ」と、「コプタ」が「コブタ」となった)

  「ツペ」、TUPE(whakatupe=frighten by shouting at)、「突然叫び声(屁の音)を浴びせて(人を)驚かすもの(尻)」(「ツペ」が「ツベ」となった)

  「オコ・チ」、OKO-TI(oko=hear;ti=throw,cast)、「(突然)音を浴びせるもの(人を驚かすもの。尻)」(「チ」が「シ」となった)

  「チ」、TI(squeak,make a sharp inarticulate sound)、「(突然)甲高い音を浴びせるもの(人を驚かすもの。尻)」(「チ」が「シー」となった)

  「チ・(ン)ゴ」、TI-NGO(ti=throw,cast;ngo=cry.grunt,make any articulate sound)、「(突然)甲高い音を・浴びせるもの(人を驚かすもの。尻)」(「チ」が「ジ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「チ・ピ」、TI-PI(ti=throw,cast;pi,pipi=chirp,squeak)、「(突然)甲高い音を・浴びせるもの(人を驚かすもの。尻)」(「ピ」が「ビ」となった)

の転訛と解します。

104じんじゃ(神社)・オミヤ・ズンジャ・チンジサマ・オンミャハン・オミヤサン・ミヤサン・ミヤ・テンジンサン・カミサマ・カンサー・ッウタキ・ウカミ・オヤシロ・カミサン・ウガン

 「じんじゃ」の方言には、岩手、秋田などの「オミヤ」、宮城、山形の「ズンジャ」、茨城の「チンジサマ」、富山の「オンミャハン」、石川、福井などの「オミヤサン」、三重、滋賀などの「ミヤサン」、京都の「ジンシャ」(「じんじゃ」と同語源)、兵庫の「ミヤハン」(「ミヤサン」と同語源)、島根の「ミヤ」、徳島の「テンジンサン」、香川の「オンミャサン」(「オンミャハン」と同語源)、高知、大分の「カミサマ」、鹿児島の「カンサー」、沖縄那覇の「ッウタキ」、沖縄首里の「ウカミ」があります。

 上記のほか、岩手、新潟の「オヤシロ」、京都の「カミサン」、沖縄首里の「ウガン」などがあります。

 この「じんじゃ」、「オミヤ」、「ズンジャ」、「チンジサマ」、「オンミャハン」、「オミヤサン」、「ミヤサン」、「ミヤ」、「テンジンサン」、「カミサマ」、「カンサー」、「ッウタキ」、「ウカミ」、「オヤシロ」、「カミサン」、「ウガン」は、

  「チノ・チア」、TINO-TIA(tino=essentiality,self,reality;tia=stick in etc.,adorn by sticking in feathers)、「本質(神が降臨する巨石・巨木など)を・垣で囲った場所(神社)」(「チノ」が「チン」から「ジン」と、「チア」が「チャ」から「シャ」、「ジャ」となった)

  「オ・ミヒ・イア」、O-MIHI-IA(o=the...of;mihi=sigh for,lament,greet,admire;ia=indeed)、「例の・実に・崇拝すべきもの(神が降臨する巨石・巨木等を祀る場所。神社)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「ツヌ・チア」、TUNU-TIA(tunu=inspire with fear;tia=stick in etc.,adorn by sticking in feathers)、「(神に対する)畏れによって霊感が与えられる・垣で(神が降臨する巨石・巨木などを)囲った場所(神社)」(「ツヌ」が「ツン」から「ズン」と、「チア」が「チャ」から「ジャ」となった)

  「チノ・チ・タ・マ」、TINO-TI-TA-MA(tino=essentiality,self,reality;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「本質(神が降臨する巨石・巨木など)が・そこに(放り出されて)在って・清らかに・坐す場所(神社)」(「チノ」が「チン」と、「チ」が「ジ」と、「タ」が「サ」となった)

  「オ(ン)ガ・ミヒ・イア・タナ」、ONGA-MIHI-IA-TANA(onga=agitate,shake about;mihi=sigh for,lament,greet,admire;ia=indeed;tana=his,her,its)、「身震いがする・実に・崇拝すべき・彼のもの(神が降臨する巨石・巨木等を祀る場所。神社)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ミ・イア」が「ミャ」と、「タナ」のT音の原語のS音がH音に変化して「ハナ」から「ハン」となった)

  「オ・ミヒ・イア・タナ」、O-MIHI-IA-TANA(o=the...of;mihi=sigh for,lament,greet,admire;ia=indeed;tana=his,her,its)、「例の・実に・崇拝すべき・彼のもの(神が降臨する巨石・巨木等を祀る場所。神社)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「タナ」が「タン」から「サン」となった)

  「ミヒ・イア・タナ」、MIHI-IA-TANA(mihi=sigh for,lament,greet,admire;ia=indeed;tana=his,her,its)、「実に・崇拝すべき・彼のもの(神が降臨する巨石・巨木等を祀る場所。神社)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「タナ」が「タン」から「サン」となった。また「タナ」のT音の原語のS音がH音に変化して「ハナ」から「ハン」となった)

  「ミヒ・イア」、MIHI-IA(mihi=sigh for,lament,greet,admire;ia=indeed)、「実に・崇拝すべきもの(神が降臨する巨石・巨木等を祀る場所。神社)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「テナ・チノ・タナ」、TENA-TINO-TANA(tena=that,this;tino=essentiality,self,reality;tana=his,her,its)、「あの(菅原道真公などの)・本質(神が降臨する依代)がある・彼の場所(神社)」(「テナ」が「テン」と、「チノ」が「チン」から「ジン」と、「タナ」が「タン」から「サン」となった)
  または「テネ・チノ・タナ」、TENE-TINO-TANA(tene=invented,be importunate;tino=essentiality,self,reality;tana=his,her,its)、「執念深い神(菅原道真公)の・本質(神が降臨する依代)がある・彼の場所(神社)」(「テネ」が「テン」と、「チノ」が「チン」と、「タナ」が「サン」となった)

  「カミ・タ・マ」、KAMI-TA-MA(kami=eat;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(すべてを征服する)神が・降臨する・清らかな場所(神社)」(「タ」が「サ」となった)

  「カム・タ」、KAMU-TA(kamu=eat;ta=dash,beat,lay)、「(すべてを征服する)神が・降臨する場所(神社)」(「カム」が「カン」と、「タ」が「サー」となった)

  「ツ・ウ・タキ」、TU-U-TAKI(tu=stand,settle;u=be fixed,reach its limit;taki=take out of the way,track,bring along,recite)、「至高の・呪文を唱える(神を祀る)場所(聖地)に・あるもの(神社)」

  「ウ・カミ」、U-KAMI(u=be fixed,reach its limit;kami=eat)、「(すべてを征服する)神が・降臨する場所(神社)」

  「オ・イア・チロ」、O-IA-TIRO(o=the...of;ia=indeed;tiro=look,survey,examine)、「例の・実に・神を実感する場所(神社)」(「イア」が「ヤ」と、「チロ」が「シロ」となった)

  「カミ・タナ」、KAMI-TANA(kami=eat;tana=his,her,its)、「(すべてを征服する)神の・彼の(降臨する)場所(神社)」(「タナ」が「サン」となった)

  「ウ・(ン)ガナ」、U-NGANA(u=be fixed,reach its limit;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong,rage)、「自己の意思を貫徹する(神)が・降臨する場所(神社)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)

の転訛と解します。

105しんるい(親類)・オヤコ・オヤグ・マギ・エドゴ・スンルエ・マゲ・ナガマ・エンナガウジ・シンルイウチ・シンセキ・シンルエ・イッケ・ルイ・シンシェキ・シンリー・ウチワ・エンカ・シンジ・ッエーカ・ウェーカハロージ・イドゴハドゴ・オヤグマキ・ウズナガ・イッチ

 「しんるい」の方言には、北海道、埼玉の「オヤコ」、青森、秋田の「オヤグ」、岩手の「マギ」、宮城の「エドゴ」、山形の「スンルエ」、福島の「マゲ」、茨城の「ナガマ」、栃木の「エンナガウジ」、群馬の「シンルイウチ」、千葉、東京などの「シンセキ」、新潟の「シンルエ」、富山、三重などの「イッケ」、山梨の「マキ」(「マギ」と同語源)、鳥取、高知の「ルイ」、島根、佐賀などの「シンシェキ」、岡山の「シンリー」、徳島の「ウチワ」、熊本の「エンカ」、大分の「イッケイ」(「イッケ」と同語源)、宮崎、鹿児島の「シンジ」、沖縄那覇の「ッエーカ」、沖縄首里の「ウェーカハロージ」があります。

 上記のほか、岩手の「イドゴハドゴ」、秋田の「オヤグマキ」、宮城の「ウズナガ」、石川の「イッチ」などがあります。

 この「しんるい」、「オヤコ」、「オヤグ」、「マギ」、「エドゴ」、「スンルエ」、「マゲ」、「ナガマ」、「エンナガウジ」、「シンルイウチ」、「シンセキ」、「シンルエ」、「イッケ」、「ルイ」、「シンシェキ」、「シンリー」、「ウチワ」、「エンカ」、「シンジ」、「ッエーカ」、「ウェーカハロージ」、「イドゴハドゴ」、「オヤグマキ」、「ウズナガ」、「イッチ」は、

  「チノ・ルイ」、TINO-RUI(tino=essentiality,self,reality;rui=shake,scatter,cast away)、「必要不可欠な・散在する(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」となった)

  「オイ・アコ」、OI-AKO(oi=shout,shudder,agitate;ako=split,learn,teach)、「離れると・(必死で)呼び合う(血族。親類)」(「オイ・アコ」が「オヤコ」となった)

  「オ・イア・(ン)グ」、O-IA-NGU(o=provision for a journey;ia=indeed;ngu=moan,groan)、「旅行の旅立ちには・ほんとに・悲嘆の涙を流す(血族。親類)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「マ・アキ」、MA-AKI(ma=go,come;aki=dash,beat,abut on)、「近くに居て・行き来する(血族。親類)」(「マ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「マキ」から「マギ」となった )

  「エト・(ン)ゴ」、ETO-NGO(eto=lean,atenuated;ngo=cry)、「(苦境に陥つたときに)悲鳴を上げて・頼る(血族。親類)」(「エト」が「エド」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「チノ・ルイ」、TINO-RUI(tino=essentiality,self,reality;rui=shake,scatter,cast away)、「必要不可欠な・散在する(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」となった)

  「ツ(ン)ガ・ルエ」、TUNGA-RUE(tunga=wound,circumstance of being wounded;rue,whakaruerue=tremble,shake)、「苦境に陥つたときに・(親身になって)心配してくれる(血族。親類)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「マ・アケアケ」、MA-AKEAKE(ma=go,come;akeake=poor land)、「貧乏になっても・行き来する(血族。親類)」(「マ」のA音と「アケアケ」の語頭のA音が連結し、反復語尾が脱落して「マケ」から「マゲ」となった )

  「(ン)ガ(ン)ガ・アマ」、NGANGA-AMA(nganga=breathe heavily or with difficulty,screech;ama=amo=carry on the shoulder,carry on a litter)、「呼吸が困難な(虫の息の)人を・背負って運ぶ(血族。親類)」(「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ナガ」となり、その語尾のA音と「アマ」の語頭のA音が連結して「ナガマ」となった)

  「エ(ン)ガ・(ン)ガ(ン)ガ・ウチ」、ENGA-NGANGA-UTI(enga=anxiety;nganga=breathe heavily or with difficulty,screech;uti=bite(utiuti=annoy,worry,fuss,ado))、「呼吸が困難に・なっている(虫の息の)人を・心配する(血族。親類)」(「エ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「エナ」から「エン」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ナガ」と、「ウチ」が「ウジ」となった)

  「チノ・ルイ・ウチ」、TINO-RUI-UTI(tino=essentiality,self,reality;rui=shake,scatter,cast away;uti,utiuti=annoy,worry,fuss,ado)、「必要不可欠な・散在する・(お互いに身の上を)心配する(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」となった)

  「チノ・テキ」、TINO-TEKI(tino=essentiality,self,reality;teki=outer fence of a fortified place)、「必要不可欠な・(外郭の柵の中に)離れて住む(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」と、「テキ」が「セキ」となった)

  「チノ・ルエ」、TINO-RUE(tino=essentiality,self,reality;rue,whakaruerue=tremble,shake)、「必要不可欠な・(親身になって)心配してくれる(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」となった)

  「イツ・カイ」、ITU-KAI(itu=side;kai=eat,food)、「寄り集まって・会食する(血族。親類)」(「イツ」が「イッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった。また「カイ」のAI音がEI音に変化して「ケイ」となった)

  「ルイ」、RUI(shake,scatter,cast away)、「散在する(血族。親類)」

  「チノ・チエ・キヒ」、TINO-TIE-KIHI(tino=essentiality,self,reality;tie=abundance,plenty;kihi=cut off,strip of branches etc.)、「必要不可欠な・(一つの家族から)分離した・多数の(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」と、「チエ」が「チェ」から「シェ」と、「キヒ」のH音が脱落して「キ」となった)

  「チノ・リ」、TINO-RI(tino=essentiality,self,reality;ri=screen,protect,bind)、「必要不可欠な・(堅い絆で)結びつけられた(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」と、「リ」が「リー」となった)

  「ウチ・ワ」、UTI-WA(uti,utiuti=annoy,worry,fuss,ado;wa=definite space,area,be far advanced)、「(親身になって)心配してくれる・一定の範囲の(血族。親類)」

  「エ(ン)ガ・カハ」、ENGA-KAHA(enga=anxiety;kaha=rope,boundary line of land etc.,line of ancestry)、「(親身になって)心配してくれる・血族(親類)」(「エ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「エナ」から「エン」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「チノ・チ」、TINO-TI(tino=essentiality,self,reality;ti=throw,cast)、「必要不可欠な・散在する(血族。親類)」(「チノ」が「チン」から「シン」と、「チ」が「ジ」となった)

  「ツ・ウエ・カハ」、TU-UE-KAHA(tu=fight with,energetic;ue=push,shove,shake;kaha=rope,boundary line of land etc.,line of ancestry)、「懸命に・援助してくれる・血族(親類)」(「ツ」のU音と「ウエ」の語頭のU音が連結して「ツエ」から「ッエー」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「ウエ・カハ・ロ・ウチ」、UE-KAHA-RO-UTI(ue=push,shove,shake;kaha=rope,boundary line of land etc.,line of ancestry;ro=roto=inside;uti,utiuti=annoy,worry,fuss,ado)、「内部で・心配して・援助してくれる・血族(親類)」(「ウエ」が「ウエー」と、「ロ・ウチ」が「ロージ」となった)

  「イ・トコ・パ・トコ」、I-TOKO-PA-TOKO(i=past tense;toko=begin to move,swell;pa=touch,reach,operate on)、「(人数が)膨れ・て・膨れ・放しになった(血族。親類)」(「トコ」が「ドゴ」と、「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となった)

  「オ・イア・(ン)グ・マ・キ」、O-IA-NGU-MA-KI(o=provision for a journey;ia=indeed;ngu=moan,groan;ma=go,come;ki=full,very)、「旅行の旅立ちには・多数が・集まって・ほんとに・悲嘆の涙を流す(血族。親類)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ウツ・(ン)ガ(ン)ガ」、UTU-NGANGA(utu=return for anything,make response;nganga=breathe heavily or with difficulty,screech)、「呼吸が困難な(虫の息の)人に・(適切な)処置をする(血族。親類)」(「ウツ」が「ウズ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ナガ」となった)

  「イツ・チ」、ITU-TI(itu=side;ti=throw.cast)、「近くに・散在する(血族。親類)」(「イツ」が「イッ」となった)

の転訛と解します。

「ス」

106すえっこ(末っ子)・バッチ・ヨデ・バッコ・バッツコ・バッツ・バッチッコ・シマイッコ・バッチコ・バッスイ・オトゴ・ネコノシッポ・オトンボ・シリマガリ・スソゴ・スッタレ・ビッタレ・シッタレ・ッウッチラー・ウットゥングワ・ストボ・シリゴ

 「すえっこ」の方言には、北海道、秋田などの「バッチ」、青森の「ヨデ」、岩手の「バッコ」、宮城の「バッツコ」、山形の「バッツ」、栃木の「バッチッコ」、群馬の「シマイッコ」、埼玉、山梨の「シメーッコ」(「シマイッコ」と同語源)、千葉の「シメッコ」(「シマイッコ」と同語源)、新潟の「バッチコ」、富山の「バッシ」(「バッチ」と同語源)、石川の「バッスイ」、福井、愛知などの「オトゴ」、長野の「ネコノシッポ」、大阪、奈良などの「オトンボ」、兵庫、和歌山などの「オトンボー」(「オトンボ」と同語源)、鳥取の「シリマガリ」、高知の「オトンゴ」(「オトゴ」と同語源)、福岡、佐賀の「スソゴ」、熊本の「スッタレ」、宮崎の「ビッタレ」、鹿児島の「シッタレ」、沖縄那覇の「ッウッチラー」、沖縄首里の「ウットゥングワ」があります。

 上記のほか、佐賀の「ストボ」、大分の「シリゴ」などがあります。

 この「すえっこ」、「バッチ」、「ヨデ」、「バッコ」、「バッツコ」、「バッツ」、「バッチッコ」、「シマイッコ」、「バッチコ」、「バッスイ」、「オトゴ」、「ネコノシッポ」、「オトンボ」、「シリマガリ」、「スソゴ」、「スッタレ」、「ビッタレ」、「シッタレ」、「ッウッチラー」、「ウットゥングワ」、「ストボ」、「シリゴ」は、

  「ツ・ウエ・コ」、TU-UE-KO(tu=fight with,energetic;ue=push,shove,shake;ko=used in addressing girl and males)、「思いっきり元気よく・はね回る・子供(末っ子)」(「ツ」のU音と「ウエ」の語頭のU音が連結して「ツエ」から「スエッ」となった)

  「パチ」、PATI(try to obtain by coaxing,flattery,etc.)、「猫可愛がりするもの(末っ子)」(「パチ」が「バッチ」または「バッシ」となった)

  「イホ・テイ」、IHO-TEI(iho=heart,inside,object of reliance;tei=high,summit)、「(両親が)一番・頼りにする子(末っ子)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「テイ」が「デ」となった)

  「パツツ・コ」、PATUTU-KO(patutu=shelter from the weather;ko=used in addressing girl and males)、「(風雨に当てないように育てられた)乳母日傘で育った・子(末っ子)」(「パツツ」が「バッツ」となった)

  「パツツ」、PATUTU(shelter from the weather)、「(風雨に当てないように育てられた)乳母日傘で育った(子。末っ子)」(「パツツ」が「バッツ」となった)

  「パチ・ツ・コ」、PATI-TU-KO(pati=try to obtain by coaxing,flattery,etc.;tu=energetic;ko=used in addressing girl and males)、「(甘やかされて育ったため)懸命に・おだてないと何かをしょうとしない・子(末っ子)」(「パチ」が「バッチ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「チ・マヒ・ツ・コ」、TI-MAHI-TU-KO(ti=throw,cast;mahi=work,make,perform;tu=stand,settle;ko=used in addressing girl and males)、「(子供作りが)完成に・至った・(最後の)位置にある・子(末っ子)」(「チ」が「シ」と、「マヒ」のH音が脱落して「マイ」と、「ツ」が「ッ」となった。また「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メー」となった)

  「パチ・コ」、PATI-KO(pati=try to obtain by coaxing,flattery,etc.;ko=used in addressing girl and males)、「(甘やかされて育ったため)おだてないと何かをしょうとしない・子(末っ子)」(「パチ」が「バッチ」となった)

  「パツツ・イ」、PATUTU-KO(patutu=shelter from the weather;i=past tense,beside,with,by,by means of)、「(風雨に当てないように育てられた)乳母日傘で・育った子(末っ子)」(「パツツ」が「バッス」となった)

  「アウト・(ン)ゴ」、AUTO-NGO(auto=trailing behind;ngo=cry,grunt)、「(親の)後を追って・泣きわめく子(末っ子)」(「アウト」のAU音がO音に化して「オト」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった。また「(ン)ゴ」が「ンゴ」となった)

「ネイ・カウ・ノ・チ・ツポ」、NEI-KAU-NO-TI-TUPO(nei=to denote proximity,to indicate continuancr of action;kau=alone,swim,wade;no=of;ti=throw,cast;tupo=ill omen,dank,gruesome)、「いつもふらふらと・出歩いている(動物=猫)・(の)に・恐怖を・与えるもの(猫の尻尾を掴んで振り回す癖がある子。末っ子)」(「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「チ」が「シ」と、「ツポ」が「ッポ」となった)(この「しっぽ(恐怖)」は、「しっぽ(尻尾)」「チ・ツポウ」、TI-TUPOU(ti=throw,cast;tupou=bow the head,stoop down,fall or throw oneself headlong)、「(頭を下げる)ぶらぶら・させるもの(動物の尻尾)」(「チ」が「シ」と、「ツポウ」が「ッポ」となった)に掛けてある言葉と解します。)

  「アウト・(ン)ゴ・パウ」、AUTO-NGO-PAU(auto=trailing behind;ngo=cry;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「(親の)後を追って・泣きわめき・疲れ果てる子(末っ子)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「ノ」から「ン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」、「ボー」となった)

  「チ・イリ・マ(ン)ガリ」、TI-IRI-MANGARI(ti=throw,cast;iri=be elevated on something,rest upon;mangari=luck,fortune)、「(それを)投げ出して・休息するもの(尻=最後の)・幸運(として得た。末っ子)」(「チ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「チリ」から「シリ」と、「マ(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「マガリ」となった)

  「ツ・トウ・(ン)ゴ」、TU-TOU-NGO(tu=stand,settle;tou=anus,posterior,lower part of anything;ngo=cry,grunt)、「後ろに・いる・泣きわめく子(末っ子)」(「ツ」が「ス」と、「トウ」の語尾のU音が脱落して「ト」から「ソ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「ツツ・タレ」、TUTU-TARE(tutu=be promonent,violent,vigourous;tare=hang,grasp for breath,be intent upon)、「元気いっぱいを・見せつける子(末っ子)」(「ツツ」が「スッ」となった)

  「ピ・ツ・タレ」、PI-TU-TARE(pi=young of birds etc.;tu=fight with,energetic;tare=hang,grasp for breath,be intent upon)、「元気いっぱいに・幼さを・見せつける子(末っ子)」(「ピ」が「ビ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「チ・ツ・タレ」、TI-TU-TARE(ti=squeak,make a sharp inarticulate sound;tu=fight with,energetic;tare=hang,grasp for breath,be intent upon)、「元気いっぱいに・甲高い声を上げることを・見せつける子(末っ子)」(「チ」が「シ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「ツ・ウツ・チラ」、TU-UTU-TIRA(tu=fight with,energetic;utu=return for anything,make response;tira=file of men,row,choir)、「(何かあると)精一杯・反応して・(甲高い声で)合唱する(末っ子)」(「ツ」が「ッ」と、「チラ」が「チラー」となった)

  「ウツ・トウ・(ン)グ(ン)グ・ワ」、UTU-TOU-NGUNGU-WHA(utu=return for anything,make response;tou=tonu=continually,just,immediately;ngungu=lead astray;wha=be disclosed,get abroad)、「(何かあるとへそを曲げて)すぐに・反応して・(家を)離れて・放浪する(末っ子)」(「ウツ」が「ウッ」と、「トウ」が「トゥ」と、「(ン)グ(ン)グ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ヌグ」から「ング」となった)

  「ツ・トウ・パウ」、TU-TOU-PAU(tu=stand,settle;tou=anus,posterior,lower part of anything;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「後ろに・いる・(泣いて)疲れ果てる子(末っ子)」(「ツ」が「ス」と、「トウ」の語尾のU音が脱落して「ト」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「チ・イリ・(ン)ゴ」、TI-IRI-NGO(ti=throw,cast;iri=be elevated on something,rest upon;ngo=cry,grunt)、「(それを)投げ出して・休息するもの(尻=最後の)・泣きわめく子(末っ子)」(「チ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「チリ」から「シリ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

の転訛と解します。

107すくない(少ない)・チョベット・スグネ・ベアッコ・タエネ・スケナェ・チント・スクナェ・チット・チットンベ・ワーカ・チットバカラ・チョッコシ・チョコット・チーットダ・タシナェー・スケナイ・マメクソ・スクナー・スクニャー・スクナカ・スッネ・ッイキラサン・イキラサン・サットガ・チョンボシ・チョンボ・チョンギリ・チョット・スッナガ

 「すくない」の方言には、北海道の「チョベット」、青森の「スグネ」、岩手の「ベアッコ」、宮城の「スグネー」(「スグネ」と同語源)、秋田の「タエネ」、山形の「スケナェ」、福島の「チント」、茨城の「スクナェ」、栃木の「チット」、群馬の「チーット」(「チット」と同語源)、埼玉の「チットンベ」、千葉の「ワーカ」、新潟の「チットバカラ」、富山の「チョッコシ」、山梨、大分の「スクネー」(「スクナェ」と同語源)、岐阜の「チョコット」、静岡の「チーットダ」、愛知の「タシナェー」、三重、大阪などの「スケナイ」、滋賀の「マメクソ」、鳥取、広島の「スクナー」、島根、宮崎の「スクネ」(「スクナェ」と同語源)、岡山の「スクニャー」、福岡、佐賀などの「スクナカ」、鹿児島の「スッネ」、沖縄那覇の「ッイキラサン」、沖縄首里の「イキラサン」があります。

 上記のほか、秋田の「サットガ」、島根の「チョンボシ」、「チョンボ」、「チョンギリ」、大分の「チョット」、鹿児島の「スッナガ」などがあります。

 この「すくない」、「チョベット」、「スグネ」、「ベアッコ」、「タエネ」、「スケナェ」、「チント」、「スクナェ」、「チット」、「チットンベ」、「ワーカ」、「チットバカラ」、「チョッコシ」、「チョコット」、「チーットダ」、「タシナェー」、「スケナイ」、「マメクソ」、「スクナー」、「スクニャー」、「スクナカ」、「スッネ」、「ッイキラサン」、「イキラサン」、「サットガ」、「チョンボシ」、「チョンボ」、「チョンギリ」、「チョット」、「スッナガ」は、

  「ツ・クフ・ナイ」、TU-KUHU-NAI(tu=fight with,energetic;kuhu=insert,conceal;nai=nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「懸命に・隠して・しまっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「チオホ・ペト」、TIOHO-PETO(tioho=apprehensive;peto=be consumed)、「(消耗している)数が減少しているのが・心配な(少ない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」と、「ペト」が「ペット」となった)

  「ツ・(ン)グ・ネイ」、TU-NGU-NEI(tu=fight with,energetic;ngu=silent,greedy,moan;nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「懸命に・がつがつと食べて・しまっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「ネイ」が「ネ」または「ネー」となった)

  「ペア・ツコフ」、PEA-TUKOHU(pea=perhaps,indeed,of course;tukohu=cook game in a vessel in a earth-oven so as to save the fat)、「恐らく・(蒸し焼き竈の料理で脂肪が落ちるように)数量が減っている(少ない)」(「ツコフ」のH音が脱落して「ッコ」となった)

  「タ・エネ」、TA-ENE(ta=the...of,dash,beat,lay;ene,eneene=endeavour to obtain by flattery or coaxing,incite,utterly consumed,wasted)、「激しく・徹底的に消費する(少ない)」

  「ツ・カイ・ナエ」、TU-KAI-NAE(tu=fight with,energetic;kai=eat,food;(Hawaii)nae=shortness of breath)、「懸命に・食べて・少なくなっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「ナエ」が「ナェ」となった)

  「チナ・ト」、TINA-TO(tina=fixed,firm,exhausted,overcome;to=drag,set the sun)、「消耗して・(落ち込んで)しまっている(少ない)」(「チナ」が「チン」となった)

  「ツ・クフ・ナエ」、TU-KUHU-NAE(tu=fight with,energetic;kuhu=insert,conceal;(Hawaii)nae=shortness of breath)、「懸命に・隠して・少なくなっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「クフ」「ク」と、「ナエ」が「ナェ」となった。また「ナエ」のAE音がE音に変化して「ネ」または「ネー」となった)

  「チ・ト」、TI-TO(ti=throw,cast,overcome;to=drag,set the sun)、「(圧倒される)消耗して・(落ち込んで)しまっている(少ない)」(「チ」が「チッ」または「チーッ」となった)

  「チ・ト・ナペ」、TI-TO-NAPE(ti=throw,cast,overcome;to=drag,set the sun;nape=weave,tangled)、「(圧倒される)消耗して・落ち込んで・(織り上げられて)しまっている(少ない)」(「チ」が「チッ」と、「ナペ」が「ンベ」となった)

  「ワ・アカ」、WA-AKA(wa=so and so;aka=clean off,scrape away)、「何が・掻き落とされている(少ない)」(「ワ・アカ」が「ワーカ」となった)

  「チ・ト・パカラ」、TI-TO-PAKARA(ti=throw,cast,overcome;to=drag,set the sun;pakara=unsuitable,smack the lips)、「(不適切な)うまくないことに・(圧倒される)消耗して・(落ち込んで)しまっている(少ない)」(「チ」が「チッ」または「チーッ」と、「パカラ」が「バカラ」となった)

  「チオホ・コチ」、TIOHO-KOTI(tioho=apprehensive;koti=divide,cut off)、「(切り落とす)減少しているのが・心配な(少ない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」、「チョッ」と、「コチ」が「コシ」となった)

  「チオホ・コト」、TIOHO-KOTO(tioho=apprehensive;koto=loathing(kotokoto=small,of no account))、「(小さくて)価値がないと嫌われるのが・心配な(少ない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」と、「コト」が「コット」となった)

  「チ・ト・タ」、TI-TO-TA(ti=throw,cast,overcome;to=drag,set the sun;ta=dash,beat,lay)、「(圧倒される)消耗して・落ち込んで・しまっている(少ない)」(「チ」が「チーッ」と、「タ」が「ダ」となった)

  「タ・チ・ナエ」、TA-TI-NAE(ta=dash,beat,lay;ti=throw,cast,overcome;(Hawaii)nae=shortness of breath)、「打たれて・(圧倒される)消耗して・少なくなっている(少ない)」(「チ」が「シ」と、「ナエ」が「ナェー」となった)

  「ツ・カイ・ナイ」、TU-KAI-NAE(tu=fight with,energetic;kai=eat,food;nai=nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「懸命に・食べて・少なくなっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「ママエ・クフ・ト」、MAMAE-KUHU-TO(mamae=pain,feel pain or distress of body or mind;kuhu=insert,conceal;to=drag,set the sun)、「(心が痛む)申し訳ないことに・(隠して)無くなって・(落ち込んで)しまっている(少ない)」(「ママエ」のAE音がE音に変化して「マメ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ト」が「ソ」となった)

  「ツ・クフ・ナ」、TU-KUHU-NA(tu=fight with,energetic;kuhu=insert,conceal;na=by,belonging to)、「懸命に・隠して・いるような(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「ツ・クフ・ニアニア」、TU-KUHU-NIANIA(tu=fight with,energetic;kuhu=insert,conceal;niania=anything small)、「懸命に・隠して・(小さい)少なくなっている(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ニアニア」の反復語尾が脱落して「ニャー」となった)

  「ツ・クフ・ナ・カ」、TU-KUHU-NA-KA(tu=fight with,energetic;kuhu=insert,conceal;na=by,belonging to;ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「懸命に・隠して・いるよう・だ(少ない)」(「ツ」が「ス」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「ツツ・ナエ」、TUTU-NAE(tutu=summon,assemble;(Hawaii)nae=shortness of breath)、「集めたものが・少なくなっている(少ない)」(「ツツ」が「スッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「ナエ」のAE音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ツ・イキ・ラタ・ナ」、TU-IKI-RATA-NA(tu=fight with,energetic;iki=consume,devour,clear off;rata=tame,quiet,friendly;na=by,belonging to)、「懸命に・静かに・(消費)消耗して・しまったような(少ない)」(「ツ」が「ッ」と、「ラタ」が「ラサ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「イキ・ラタ・ナ」、IKI-RATA-NA(iki=consume,devour,clear off;rata=tame,quiet,friendly;na=by,belonging to)、「静かに・(消費)消耗して・しまったような(少ない)」(「ツ」が「ッ」と、「ラタ」が「ラサ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「タ・ト(ン)ガ」、TA-TONGA(ta=dash,beat,lay;tonga=to=drag,set the sun)、「打たれて・落ち込んでしまっている(少ない)」(「タ」が「サッ」と、「ト(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「トガ」となった)

  「チオホ・ペト」、TIOHO-PETO(tioho=apprehensive;peto=be consumed)、「(消耗している)数が減少しているのが・心配な(少ない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」と、「ペト」が「ペット」となった)

  「チ・オニ・パウ・チヒ」、TI-ONI-PAU-TIHI(ti=throw,cast,overcome;oni=move,wriggle;pau=consumed,exhausted;tihi=summit,top)、「ただ・徒労して・最高に・(消耗して)減少してしまった(少ない)」(「チ・オニ」が「チョン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「チ・オニ・パウ」、TI-ONI-PAU(ti=throw,cast,overcome;oni=move,wriggle;pau=consumed,exhausted)、「ただ・徒労して・(消耗して)減少してしまった(少ない)」(「チ・オニ」が「チョン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「チ・オニ・キキリ」、TI-ONI-KIKIRI(ti=throw,cast,overcome;oni=move,wriggle;kikiri=begin to grow as a child in the womb)、「ただ・徒労して・(胎児となる=最も小さいものとなる)減少してしまった(少ない)」(「チ・オニ」が「チョン」と、「キキリ」の反復語頭が脱落して「キリ」から「ギリ」となった)

  「チオホ・ト」、TIOHO-TO(tioho=apprehensive;to=drag,set the sun)、「(落ち込んで)減少しているのが・心配な(少ない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョッ」となった)

  「ツツ・(ン)ガ(ン)ガ」、TUTU-NGANGA(tutu=summon,assemble;nganga=breathe heavily or with difficulty)、「集めたものが・(息も絶え絶えに消耗して)少なくなっている(少ない)」(「ツツ」が「スッ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ナガ」となった)

の転訛と解します。

108すっかり・ベロスケ・スッカド・ガラット・コロット・ケロット・マルッキリ・ズデー・アンモカンモ・ンーナ・ナンモカモ・スベット・ジョーブ・キレーニ・スイット・サッパリ・コッキリ・ゴッソリ・ストーント・ヨーネ・ヨーニ・チューニ・マンデ・ゼンブ・リッパニ・スッパイ・ジェーンブ・トント・ボド・スッカイ・ヌーンクウィーン・ムル・デロット・ナンデンカンデン・ユート・ゴロット・スッナカ

 「すっかり」の方言には、北海道の「ベロスケ」、青森の「スッカド」、岩手、宮城などの「ガラット」、山形、熊本の「コロット」、福島の「ケロット」、栃木、山口の「マルッキリ」、群馬の「ズデー」、千葉の「アンモカンモ」、新潟の「ンーナ」、富山、和歌山の「ナンモカモ」、福井の「スベット」、山梨の「ジョーブ」、静岡の「キレーニ」、滋賀の「スイット」、大阪の「サッパリ」、兵庫の「コッキリ」、奈良の「ゴッソリ」、鳥取の「ストーント」、島根の「ヨーネ」、岡山の「ヨーニ」、広島の「チューニ」、徳島の「マンデ」、愛媛の「ゼンブ」、福岡の「リッパニ」、佐賀の「スッパイ」、長崎の「ジェーンブ」、大分の「トント」、宮崎の「ボド」、鹿児島の「スッカイ」、沖縄那覇の「ヌーンクウィーン」、沖縄首里の「ムル」があります。

 上記のほか、秋田の「デロット」、佐賀の「ナンデンカンデン」、熊本の「ユート」、大分の「ゴロット」、鹿児島の「スッナカ」などがあります。

 この「すっかり」、「ベロスケ」、「スッカド」、「ガラット」、「コロット」、「ケロット」、「マルッキリ」、「ズデー」、「アンモカンモ」、「ンーナ」、「ナンモカモ」、「スベット」、「ジョーブ」、「キレーニ」、「スイット」、「サッパリ」、「コッキリ」、「ゴッソリ」、「ストーント」、「ヨーネ」、「ヨーニ」、「チューニ」、「マンデ」、「ゼンブ」、「リッパニ」、「スッパイ」、「ジェーンブ」、「トント」、「ボド」、「スッカイ」、「ヌーンクウィーン」、「ムル」、「デロット」、「ナンデンカンデン」、「ユート」、「ゴロット」、「スッナカ」は、

  「ツツ・カリ」、TUTU-KARI(tutu=stand erect,be prominent,violent,vigorous,summon,assemble;kari=dig,cleave,rush along violently)、「際だって・勢いよく行動する(すっかり)」(「ツツ」が「スッ」となった)

  「ペロ・ツケ」、PERO-TUKE(pero=dog;tuke=elbow,nudge,jerk,twitch)、「犬が・(飼い主に)じゃれかかるように思い切ってするさま(すっかり)」(「ペロ」が「ベロ」と、「ツケ」が「スケ」となった)

  「ツツ・カト」、TUTU-KATO(tutu=stand erect,be prominent,violent,vigorous,summon,assemble;kato=flowing,flood of the tide)、「際だって・潮が流れるように勢いよく行動する(すっかり)」(「ツツ」が「スッ」と、「カト」が「カド」となった)

  「(ン)ガラ・ツ・ト」、NGARA-TU-TO(ngara=snarl;tu=fight with,energetic;to=drag)、「懸命に・怒鳴り・上げるような(すっかり)」(「(ン)ガラ」のNG音がG音に変化して「ガラ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「コロ・ト」、KOLO-TO((Hawaii)kolo=to creep,crawl,move along as a gentle breeze or shower;to=drag)、「微風が吹き・抜けるような(すっかり)」(「コロ」が「コロッ」となった)

  「ケロ・ト」、KELO-TO((Hawaii)kelo=slimy,slippery;to=drag)、「つるつると滑り・流れるような(すっかり)」(「ケロ」が「ケロッ」となった)

  「マル・キリ」、MARU-KIRI(maru=gentle,easy,calm;(Hawaii)kiri=raindrops,to go or move in a light sprightly manner)、「穏やかに・活発に流れるような(すっかり)」(「マル」が「マルッ」となった)

  「ツ・タイ」、TU-TAI(tu=fight with,energetic;tai=tide,wave,anger,violence)、「勢いよく・潮が流れるように(すっかり)」(「ツ」が「ズ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デー」となった)

  「ア(ン)ガ・マウ・カ(ン)ガ・マウ」、ANGA-MAU-KANGA-MAU(anga=driving force,thing driven etc.;mau=carry,bring,take up,fixed,continuing;kanga=curse,abuse)、「強く突き動かす力が・働き・(また)眼に見えない力が・働いているように(勢いよく動くさま。すっかり)」(「ア(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「アナ」から「アン」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」となった)

  「ナナ」、NANA(raging,in a passion)、「激情に駆られているような(勢いよく動くさま。すっかり)」(「ナナ」が「ンーナ」となった)

  「ナナ・マウ・カハ・マウ」、NANA-MAU-KAHA-MAU(nana=raging,in a passion;mau=carry,bring,take up,fixed,continuing;kaha=strong,strength)、「激情に・駆られ・(また)強い力が・働いているように(勢いよく動くさま。すっかり)」(「ナナ」が「ナン」と、「マウ」」のAU音がO音に変化して「モ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「ツ・ペト」、TU-PETO(tu=fight with,energetic;peto=be consumed)、「懸命に・(消耗して)穏やかに動く(すっかり)」(「ツ」が「ス」と、「ペト」が「ベット」となった)

  「チオホ・プ」、TIOHO-PU(tioho=apprehensive;pu=blow gently)、「(心配なように)ゆっくりと・穏やかに風が吹き抜けるような(すっかり)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ジョー」と、「プ」が「ブ」となった)

  「キ・レイ・ニヒ」、KI-REI-NIHI(ki=full,very;rei=leap,rush,run;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「全く・静かに・動く(すっかり)」(「レイ」が「レー」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「ツイ・ト」、TUI-TO(tui=pierce,thread on a string,sew;to=drag)、「(布を縫う)針を滑らせて・行くように(滑らかに動くさま。すっかり)」(「ツイ」が「スイッ」となった)

  「タ・パリ」、TA-PARI(ta=dash,beat,lay;pari=flowing of the tide)、「潮が・押し寄せるように(勢いよく流れるさま。すっかり)」(「タ」が「サッ」となった)

  「コ・キリ」、KO-KIRI(ko=sing,shout,wind;(Hawaii)kiri=raindrops,to go or move in a light sprightly manner)、「穏やかに・風が吹きぬけるような(すっかり)」(「マル」が「マルッ」となった)

  「(ン)ゴト・オリ」、NGOTO-ORI(ngoto=be deep,be intense,firmly;ori=cause to wave to and fro,sway,move,quiver)、「力強く・動く(すっかり)」(「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」から「ゴッソ」となり、その語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ゴッソリ」となった)

  「ツ・トノ・ト」、TU-TONO-TO(tu=fight with,energetic;tono=bid to go,send,drive away by means od a charm;to=set as the sun,dive)、「勢いよく・(魔法を掛けられたように)動かされて・(水に)飛び込むように(すっかり)」(「ツ」が「ス」と、「トノ」が「トン」から「トーン」となった)

  「イオ・ネイ」、IO-NEI(io=twitch;nei,neinei=stretch forward,reaching out)、「(力強く)ぐいっと・引っ張り込むような(すっかり)」(「イオ」が「ヨ」から「ヨー」と、「ネイ」が「ネ」となった)

  「イオ・ニヒ」、IO-NIHI(io=twitch;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「(力強く)ぐいっと・静かに引っ張り込むような(すっかり)」(「イオ」が「ヨ」から「ヨー」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「チウ・ニヒ」、TIU-NIHI(tiu=soar,swing,sway;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「振り回すように・静かに動かすような(すっかり)」(「チウ」が「チュ」から「チュー」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「マナ・タイ」、MANA-TAI(mana=authority,power,psychic force,be effected;tai=tide,wave,anger,violence)、「霊力を持った・潮が流れるように(力強く動くさま。すっかり)」(「マナ」が「マン」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デ」となった)

  「テナ・プ」、TENA-PU(tena=encourage,urge forward;pu=blow gently)、「力強く・穏やかに風が吹き抜けるような(すっかり)」(「テナ」が「テン」から「ゼン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「リパ・ニヒ」、RIPA-NIHI(ripa=ridge,boundary,ward off,divert evil by means of incantations;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「(災いを防いで)恙なく・静かに動く(すっかり)」(「リパ」が「リッパ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「ツツ・パイ」、TUTU-PAI(tutu=stand erect,be prominent,violent,vigorous,summon,assemble;pai=good,excellent,suitable)、「程よく・勢いよく行動する(すっかり)」(「ツツ」が「スッ」となった)

  「チエ(ン)ギ・プ」、TIENGI-PU(tiengi=tihengi=unsettled;pu=blow gently)、「(定まらない)吹いたり止んだりする・風が穏やかに吹き抜けるような(すっかり)」(「チエ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「チエナ」から「チェン」、「ジェーン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「トノ・ト」、TONO-TO(tono=bid to go,send,drive away by means od a charm;to=set as the sun,dive)、「(魔法を掛けられたように)動かされて・(水に)飛び込むように(すっかり)」(「トノ」が「トン」となった)

  「ポ・ト」、PO-TO(po,popo=pat with the hand,sooth,hush,knead;to=drag)、「滑らかに・引き寄せる(すっかり)」(「ポ」が「ボ」と、「ト」が「ド」となった)

  「ツツ・カイ」、TUTU-KAI(tutu=stand erect,be prominent,violent,vigorous,summon,assemble;kai=consume,eat,drink,fulfil its proper function,have full play)、「勢いよく・(水を)飲むように(すっかり)」(「ツツ」が「スッ」となった)

  「ヌイ(ン)ガ・クイ(ン)ガ」、NUINGA-KUINGA(nuinga=majority,party;kuinga=streamlet,source of a stream)、「小川の・(流れの本体の)滑らかに淀みなく流れるように(すっかり)」(「ヌイ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヌイナ」から「ヌーン」と、「クイ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「クイナ」から「クィーン」となった)

  「ムル」、MURU(wipe,rub off,smear)、「(滑らかに)拭い去るように(すっかり)」

  「テロ・ト」、TERO-TO(tero=rectum;to=drag)、「(勢いよく)真っ直ぐに・引っ張るような(すっかり)」(「テロ」が「デロッ」となった)

  「ナナ・テナ・カ(ン)ガ・テナ」、NANA-TENA-KANGA-TENA(nana=raging,in a passion;tena=encourage,urge forward;kanga=curse,abuse)、「激情に駆られて・力強く・(また)眼に見えない力に駆られて・力強く動く(すっかり)」(「ナナ」が「ナン」と、「テナ」が「テン」から「デン」と、「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」となった)

  「イ・ウト」、I-UTO(i=past tense,beside,with,by,at;uto=revenge,object of one's revenge)、「敵に・復讐するように(荒々しく力を込めて。すっかり)」(「イ・ウト」が「ユト」から「ユート」となった)

  「(ン)ゴロ・ト」、NGORO-TO(ngoro,ngongoro=snore,utter exclamation of surprise or admiration;to=drag)、「鼾を・かくような(すっかり)」(「(ン)ゴロ」のNG音がG音に変化して「ゴロッ」となった)

  「ツツ・ナカ」、TUTU-NAKA(tutu=stand erect,be prominent,violent,vigorous,summon,assemble;naka=move in a certain direction)、「勢いよく・(ある方向に向かって)動く(すっかり)」(「ツツ」が「スッ」となった)

の転訛と解します。

109すっぱい(酸っぱい)・スッカイ・シッケ・スッケァ・スカエ・スッパエ・スッペァ・スイ・スイカ・スッパカ・スユカ・シーサン

 「すっぱい」の方言には、北海道、秋田などの「スッカイ」、青森の「シッケ」、岩手の「スッケァ」、宮城、福島の「スッケー」(「スッカイ」と同語源)、山形の「スカエ」、茨城の「スッパエ」、群馬、埼玉などの「スッペー」(「すっぱい」と同語源)、千葉の「スッペ」(「すっぱい」と同語源)、新潟の「スッペァ」、富山、石川などの「スイ」、兵庫、鳥取などの「スイー」(「スイ」と同語源)、福岡、熊本の「スイカ」、佐賀の「シーカ」(「スイカ」と同語源)、長崎の「スッパカ」、鹿児島の「スユカ」、沖縄那覇・首里の「シーサン」があります。

 この「すっぱい」、「スッカイ」、「シッケ」、「スッケァ」、「スカエ」、「スッパエ」、「スッペァ」、「スイ」、「スイカ」、「スッパカ」、「スユカ」、「シーサン」は、

  「ツ・ツイ・パイ」、TU-TUI-PAI(tu=stand,settle;tui=pierce,thread on a string;pai=good,excellent,suitable,agreeable)、「程よい・(人の舌を)突き刺すような(味が)・ある(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」となった。また「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」または「ペー」となった)

  「ツ・ツイ・カイ」、TU-TUI-KAI(tu=stand,settle;tui=pierce,thread on a string;kai=eat,food,fulfil proper function,have full play)、「十分に・(人の舌を)突き刺すような(味が)・ある(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」となった。また「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「チ・ツイ・カイ」、TI-TUI-KAI(ti=throw,cast;tui=pierce,thread on a string;kai=eat,food,fulfil proper function,have full play)、「十分に・(人の舌を)突き刺すような(味を)・呈する(酸っぱい)」(「チ」が「シ」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「ツ・ツイ・カイ・イア」、TU-TUI-KAI-IA(tu=stand,settle;tui=pierce,thread on a string;kai=eat,food,fulfil proper function,have full play;ia=indeed)、「実に・十分に・(人の舌を)突き刺すような(味が)・ある(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」と、「カイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「カイア」となり、そのAI音がE音に変化して「ケア」となった)

  「ツイ・カヘ」、TUI-KAHE(tui=pierce,thread on a string;kahe.kahekahe=pant)、「(人の舌を)突き刺すような(味に)・荒い息をする(酸っぱい)」(「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ツ」から「ス」と、「カヘ」のH音が脱落して「カエ」となった)

  「ツ・ツイ・パエ」、TU-TUI-PAE(tu=stand,settle,fight with,energetic;tui=pierce,thread on a string;pae=horizen,lie across,be laid to the charge of anyone)、「勢いよく・(人の舌を)突き刺すような(味を)・呈する(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」となった)

  「ツ・ツイ・パイ・イア」、TU-TUI-PAI(tu=stand,settle;tui=pierce,thread on a string;pai=good,excellent,suitable,agreeable)、「実に・程よい・(人の舌を)突き刺すような(味が)・ある(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」と、「パイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「パイア」となり、そのAI音がE音に変化して「ペア」となった)

  「ツイ」、TUI(pierce,thread on a string)、「(人の舌を)突き刺すような(味がある。酸っぱい)」(「ツイ」が「スイ」または「スイー」となった)

  「ツイ・カ」、TUI-KA(tui=pierce,thread on a string;ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「(人の舌を)突き刺すような(味が)・あるよ(酸っぱい)」(「ツイ」が「スイ」となった。また「スイ」が「シイ」から「シー」となった)

  「ツ・ツイ・パハ・カ」、TU-TUI-PAHA-KA(tu=stand,settle,fight with,energetic;tui=pierce,thread on a string;paha=arrive suddenly,attack;ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「勢いよく・(人の舌を)突き刺すような(味が)・襲ってくる・よ(酸っぱい)」(「ツ」が「ス」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ッ」と、「パハ」のH音が脱落して「パ」となった)

  「ツイ・ウ・カ」、TUI-U-KA(tui=pierce,thread on a string;u=be firm,be fixed,reach its limit;ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「(人の舌を)突き刺すような(味が)・やってくる・よ(酸っぱい)」(「ツイ」が「スイ」となり、「スイ・ウ」が「スユ」となった)

  「ツイ・タ(ン)ガ」、TUI-TANGA(tui=pierce,thread on a string;tanga=circumstance or place of dashing or striking etc.)、「(人の舌を)突き刺すような(味が)・襲ってくる(酸っぱい)」(「ツイ」が「スイ」から「シイ」、「シー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

の転訛と解します。

110すてる(捨てる)・ナゲル・カッポル・ウッチャル・ブチャル・ホル・ホカス・シテー・シテル・フテル・スツル・ウシツッ・ウシツル・フッツル・ウッスッ・ヒティーン

 「すてる」の方言には、北海道、青森などの「ナゲル」、茨城の「カッポル」、栃木、埼玉などの「ウッチャル」、群馬、新潟などの「ブチャル」、石川、三重の「ホル」、福井、鳥取などの「ホール」(「ホル」と同語源)、滋賀、京都などの「ホカス」、和歌山の「ホガス」(「ホカス」と同語源)、島根の「シテー」、御山、山口の「シテル」、高知の「フテル」、福岡、長崎の「スツル」、佐賀の「ウシツッ」、熊本の「ウシツル」、大分の「フッツル」、宮崎の「ウッスル」(「フッツル」と同語源)、鹿児島の「ウッスッ」、沖縄那覇・首里の「ヒティーン」があります。

 この「すてる」、「ナゲル」、「カッポル」、「ウッチャル」、「ブチャル」、「ホル」、「ホカス」、「シテー」、「シテル」、「フテル」、「スツル」、「ウシツッ」、「ウシツル」、「フッツル」、「ウッスッ」、「ヒティーン」は、

  「ツ・テ・ル」、TU-TE-RU(tu=stand,settle,fight with,energetic;te,whakate=squeeze fluid out of anything;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(不用品を)絞り出して・放り出す(捨てる)」(「ツ」が「ス」となった)

  「ナ・(ン)ガヘ・ル」、NA-NGAHE-RU(na=by,belonging to;ngahe,ngahengahe=wasted,weak;ru=shake,agitate,scatter)、「不用品に・属するものを・放り出す(捨てる)」(「(ン)ガヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ガエ」となり、さらにそのAE音がE音に変化して「ゲ」となった)

  「カ・アポ・ル」、KA-APO-RU(ka=to denote the commencement od a new action or condition;apo=dregs of shark oil;ru=shake,agitate,scatter)、「(鮫の油かすなど)不用品を・放り・出す(捨てる)」(「カ」のA音と「アポ」の語頭のA音が連結して「カポ」から「カッポ」となった)

  「ウツ・チア・ル」、UTU-TIA-RU(utu=dip up water,etc,dip into for the purpose of filling;tia=stick in,drive in pegs,etc.,take a vigorous stroke in puddling;ru=shake,agitate,scatter)、「(不用品を)力強く・(水の中へ)放り・出す(捨てる)」(「ウツ」が「ウッ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「プ・チア・ル」、PU-TIA-RU(pu=bunch,heap,make into a bundle or ball,lie in a heap;tia=stick in,drive in pegs,etc.,take a vigorous stroke in puddling;ru=shake,agitate,scatter)、「(不用品を)ひとまとめにして・力強く・放り出す(捨てる)」(「プ」が「ブ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「ハウ・ル」、HAU-RU(hau=property,spoils;ru=shake,agitate,scatter)、「廃物を・放り出す(捨てる)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」または「ホー」となった)

  「ホカ・ツ」、HOKA-TU(hoka=soar,fly,run out;tu=fight with,enwegetic)、「懸命に・飛ばす(捨てる)」(「ツ」が「ス」となった。また「ホカ」が濁音化して「ホガ」となった)

  「チ・テ」、TI-TE(ti=throw,cast;te,whakate=squeeze fluid out of anything)、「(何かを)絞り出して・放り出す(捨てる)」(「チ」が「シ」と、「テ」が「テー」となった)

  「チ・テ・ル」、TI-TE-RU(ti=throw,cast;te,whakate=squeeze fluid out of anything;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(何かを)絞り出して・放り出す(捨てる)」(「チ」が「シ」となった)

  「プ・テ・ル」、PU-TE-RU(pu=bunch,heap,make into a bundle or ball,lie in a heap;te,whakate=squeeze fluid out of anything;ru=shake,agitate,scatter)、「絞り出した・(不用品を)ひとまとめにして・放り出す(捨てる)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」となった)

  「ツ・ツ・ル」、TU-TU-RU(tu=fight with,energetic;tu=be hit,be wounded;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・壊されたもの(不用品)を・放り出す(捨てる)」(最初の「ツ」が「ス」となった)

  「フチ・ツ・ツ」、HUTI-TU-TU(huti=hoist,pull up of the ground,pluck feathers or hair;tu=stand,settle,fight with,energetic;tu=be hit,be wounded)、「懸命に・壊されたものの・毛をむしる(不用品を放り出す)(捨てる)」(「フチ」のH音が脱落して「ウチ」から「ウシ」と、「ツ・ツ」が「ツッ」となった)

  「ウチ・ツ・ル」、UTI-TU-RU(uti=bite;tu=stand,settle,fight with,energetic;tu=be hit,be wounded;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(かじられた)壊されたもの(不用品)を・放り出す(捨てる)」(「ウチ」が「ウシ」となった)

  「プ・ツ・ツ・ル」、PU-TU-TU-RU(pu=bunch,heap,make into a bundle or ball,lie in a heap;tu=fight with,energetic;tu=be hit,be wounded;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・壊されたもの(不用品)を・ひとまとめにして・放り出す(捨てる)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」と、「ツ・ツ」が「ッツ」となった。また「プ」が変化した「フ」のH音が脱落して「ウ」と、「ツ・ツ」が「ッス」となった)

  「ウツ・ツ・ツ」、UTU-TU-TU(utu=dip up water,etc,dip into for the purpose of filling;tu=fight with,energetic;tu=be hit,be wounded)、「懸命に・壊されたもの(不用品)を・(水の中へ)放り出す(捨てる)」(「ウツ」が「ウッ」と、「ツ・ツ」が「スッ」となった)

  「ヒ・テ・イナ」、HI-TE-INA(hi=raise,rise,be affected with diarrhoea;te,whakate=squeeze fluid out of anything;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis statement as to quality )、「(不用品を)絞り出して・正に・下痢のように一挙に放り出す(捨てる)」(「イナ」が「ィーン」となった)

の転訛と解します。

111すねる(拗ねる)・コジケル・エヘル・ムツケル・ネズグレル・キメッコシル・キメッコスル・ネチャネチャスル・ヒネクレル・ヤンチャユー・オチンブリオカク・イジレル・フテクサル・ゴネル・ヘンネシオコス・フクレル・フテクサレー・フテル・ハブテル・ホグレル・ドクレル・ソネム・フクルル・スネクルル・ヒネクルッ・ヒンスン・フィンチスン・ムクレル・イボクル・フテー・ジョーシキスル・ソネクリカヤル・グズル

 「すねる」の方言には、北海道、秋田の「コジケル」、青森の「エヘル」、岩手、宮城の「ムツケル」、山形の「ネズグレル」、福島の「キメッコシル」、茨城の「キメッコスル」、栃木の「ネチャネチャスル」、千葉の「ヒネクレル」、新潟の「ムズケル」(「ムツケル」と同語源)、福井の「ヤンチャユー」、山梨の「オチンブリオカク」、長野の「イジレル」、静岡の「フテクサル」、愛知の「ゴネル」、滋賀の「ヘンネシオコス」、鳥取の「フクレル」、島根の「フテクサレー」、岡山の「フテル」、広島の「ハブテル」、山口の「ホグレル」、徳島、香川の「ドクレル」、熊本の「ソネム」、大分の「フクルル」、宮崎の「スネクルル」、鹿児島の「ヒネクルッ」、沖縄那覇の「ヒンスン」、沖縄首里の「フィンチスン」があります。

 上記のほか、北海道の「ムクレル」、群馬の「イボクル」、島根の「フテー」、福岡の「ジョーシキスル」、熊本の「ソネクリカヤル」、大分の「グズル」などがあります。

 この「すねる」、「コジケル」、「エヘル」、「ムツケル」、「ネズグレル」、「キメッコシル」、「キメッコスル」、「ネチャネチャスル」、「ヒネクレル」、「ヤンチャユー」、「オチンブリオカク」、「イジレル」、「フテクサル」、「ゴネル」、「ヘンネシオコス」、「フクレル」、「フテクサレー」、「フテル」、「ハブテル」、「ホグレル」、「ドクレル」、「ソネム」、「フクルル」、「スネクルル」、「ヒネクルッ」、「ヒンスン」、「フィンチスン」、「ムクレル」、「イボクル」、「フテー」、「ジョーシキスル」、「ソネクリカヤル」、「グズル」は、

  「ツ・ネヘ・ル」、TU-NEHE-RU(tu=fight with,energetic;nehe,whakanehenehe=quarrel;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(反抗して)口論をして・身を震わせる(拗ねる)」(「ツ」が「ス」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となった)

  「コチ・カイ・ル」、KOTI-KAI-RU(koti=divide,interrupt,cut off;kai=fulfil proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「(普通に)全力を出して行動することが・妨げられて・しまう(拗ねる)」(「コチ」が「コジ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「エ・ハエ・ル」、E-HAE-RU(e=to denote future action or condition,by,calling attention or expressing surprise;hae=slit,cherish envy or jealousy or ill feeling,cause pain;ru=shake,agitate,scatter)、「ねたみに・発する・行動をとる(拗ねる)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」となった)

  「ムツ・カイ・ル」、MUTU-KAI-RU(mutu=brought to an end,having the end cut off,mutilated;kai=fulfil proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「(普通に)全力を出して行動することが・できずに重要な部分が抜けて・しまう(拗ねる)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった。また「ムツ」が「ムズ」となつた)

  「ネヘ・ツ・(ン)グレ・ル」、NEHE-TU-NGURE-RU(nehe,whakanehenehe=quarrel;tu=fight with,energetic;ngure,ngurengure=an insect pest that attacks;ru=shake,agitate,scatter)、「厄介を引き起こす虫けらのような人が・躍起になって・口論をし・かける(拗ねる)」(「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」と、「ツ」が「ズ」と、「(ン)グレ」のNG音がG音に変化て「グレ」となった)

  「キ・メコ・チ・ル」、KI-MEKO-TI-RU(ki=full,very;meko=withhold,refuse to give;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「(人の行動に)なにかと・難癖を・つけて・激高する(拗ねる)」(「メコ」が「メッコ」ト、「チ」が「シ」となった)

  「キ・メコ・ツ・ル」、KI-MEKO-TU-RU(ki=full,very;meko=withhold,refuse to give;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(人の行動に)なにかと・難癖を・つけて・暴れる(拗ねる)」(「メコ」が「メッコ」ト、「ツ」が「ス」となった)

  「ネヘ・チア・ネヘ・チア・ツ・ル」、NEHE-TIA-NEHE-TIA-TU-RU(nehe,whakanehenehe=quarrel;tia=stick in,drive in pegs,etc.,take a vigorous stroke in puddling;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「盛んに・口論をし・続け・躍起になって・身を震わせる(拗ねる)」(「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」と、「チア」が「チャ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒ・ネヘ・クレ・ル」、HI-NEHE-KURE-RU(hi=make a hissing noise,be affected with diarrhoea:nehe,whakanehenehe=quarrel;kure=cry as a seagull;ru=shake,agitate,scatter)、「(非難・痛罵・威嚇の)甲高い声で・口論をし・鴎のような声を出して・身を震わせる(拗ねる)」(「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となった)

  「イア・ア(ン)ガ・チア・イ・フ」、IA-ANGA-TIA-I-HU(ia=indeed;anga=driving force,thing driven,etc.;tia=stick in,drive in pegs,etc.,take a vigorous stroke in puddling;i=past tense,beside,with,by,at;hu=resound,hiss,bubble up)、「実に・何かに追い立てられるように・盛んに・甲高い声を・出す(拗ねる)」(「イア」のA音と「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結して「イア(ンガ」となり、そのNG音がN音に変化して「ヤナ」から「ヤン」と、「チア」が「チャ」と、「フ」のH音が脱落して「ウ」となり、「イ・ウ」が「ユー」となった)

  「オ・チノ・プリ・ワウ・カク」、O-TINO-PURI-WAU-KAKU(o=the...of;tino=essentiality,self,reality;puri=keep in memory,pertaining to ancient lore;wau=quarrel,wrangle,make a noise;kaku=make a harsh grating sound,scrape up,bruise,shred)、「例によって・自分自身の・記憶を・総ざらいして・人を説得にかかる(拗ねる)」(「チノ」が「チン」と、「プリ」が「ブリ」と、「ワウ」のAU音がO音に変化して「ヲ」となった)

  「イチ・レイ・ル」、ITI-REI-RU(iti=small,unimportant,for the little while;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「さして重要で無いことに・拘って・身を震わせる(拗ねる)」(「イチ」が「イジ」と、「レイ」の語尾のI音が脱落して「レ」となった)

  「プテテ・ク・タ・ル」、PUTETE-KU-TA-RU(putete=tie or knot,stunted;ku=silent;ta=dash,beat,lay;ru=shake,agitate,scatter)、「動かずに・無言で・強く・身を震わせる(拗ねる)」(「プテテ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フテ」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ガウ・ネヘ・ル」、NGAU-NEHE-RU(ngau=bite,hurt,act upon,attack;nehe,whakanehenehe=quarrel;ru=shake,agitate,scatter)、「くってかかって・口論をして・身を奮わせる(拗ねる)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となった)

  「ヘ(ン)ガ・ネヘ・チ・ワウ・カウ・ツ」、HENGA-NEHE-TI-WAU-KAU-TU(henga=circumstance etc. of erring;nehe,whakanehenehe=quarrel;ti=throw,cast;wau=quarrel,wrangle,make a noise;kau=alone,only;tu=fight with,energetic)、「間違った・口論を・しかけ・躍起になって・ただただ・雑音を出す(拗ねる)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」と、「チ」が「シ」と、「ワウ」のAU音がO音に変化して「ヲ」から「オ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「プク・レイ・ル」、PUKU-REI-RU(puku=swelling,affections,swell;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「(頬を膨らませて)不満の感情を・迸ぱしらせて・身を震わせる(拗ねる)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」と、「レイ」の語尾のI音が脱落して「レ」となった)

  「プテテ・ク・タ・レイ」、PUTETE-KU-TA-REI(putete=tie or knot,stunted;ku=silent;ta=dash,beat,lay;rei=leap,rush,run)、「動かずに・無言で・強く・(不満の感情を)迸ばしらせる(拗ねる)」(「プテテ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フテ」と、「タ」が「サ」と、「レイ」が「レー」となった)

  「プテテ・ル」、PUTETE-RU(putete=tie or knot,stunted;ru=shake,agitate,scatter)、「動かずに・身を震わせる(拗ねる)」(「プテテ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フテ」となった)

  「ハプ・タイ・ル」、HAPU-TAI-RU(hapu=be pregnant;tai=anger,rage violent;ru=shake,agitate,scatter)、「怒りを・(心の中に)抱いて・身を震わせる(拗ねる)」(「ハプ」が「ハブ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)

  「ホ(ン)ゴイ・レイ・ル」、HONGOI-REI-RU(hongoi=brace,stay;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「直立不動になって・(不満の感情を)迸ぱしらせて・身を震わせる(拗ねる)」(「ホ(ン)ゴイ」のNG音がG音に、OI音がU音に変化して「ホグ」と、「レイ」の語尾のI音が脱落して「レ」となった)

  「タウ・ク・レイ・ル」、TAU-KU-REI-RU(tau=turn away,look in another direction;ku=silent;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「そっぽを向き・無言で・(不満の感情を)迸ぱしらせて・身を震わせる(拗ねる)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ド」と、「レイ」の語尾のI音が脱落して「レ」となった)

  「タウ・ネイ・ム」、TAU-NEI-MU((tau=turn away,look in another direction;nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action;mu=murmur at,show discontent with)、「そっぽを向いた・ままで・不満の感情を表す(拗ねる)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」となった)

  「プク・ルル」、PUKU-RURU(puku=swelling,affections,swell;ruru=brandish,wave about)、「(頬を膨らませて)不満の感情を・これ見よがしに示す(拗ねる)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」となった)

  「ツ・ネヘ・クル・ル」、TU-NEHE-KURU-RU(tu=fight with,energetic;nehe,whakanehenehe=quarrel;kuru=strike with the fist,throw;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・拳骨でなぐるような・口論をし・身を震わせる(拗ねる)」(「ツ」が「ス」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となった)

  「ヒ・ネヘ・クル・ツ」、HI-NEHE-KURU-TU(hi=make a hissing noise,be affected with diarrhoea:nehe,whakanehenehe=quarrel;kuru=strike with the fist,throw;tu=fight with,energetic)、「(非難・痛罵・威嚇の)甲高い声で・懸命に・拳骨で殴るような・口論をする(拗ねる)」(「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「ヒ(ン)ガ・ツ(ン)ガ」、HINGA-TUNGA(hinga=fall from an erect position,be outdone in a contest;tunga=wound,circumstance etc. of being wounded)、「争いに負けて・傷ついている(拗ねる)」(「ヒ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヒナ」から「ヒン」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「フ・イナ・チ・ツ(ン)ガ」、HU-INA-TI-TUNGA(hu=resound,hiss,bubble up;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis statement as to quality;ti=throw,cast,overcome;tunga=wound,circumstance etc. of being wounded)、「(争いで)受けた傷を・正に・克服して・(非難・痛罵・威嚇の)甲高い声を出している(拗ねる)」(「イナ」が「ィン」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「ム・ク・レイ・ル」、MU-KU-REI-RU(mu=mu=murmur at,show discontent with;ku=silent;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「無言で・不満の感情を表し・(その感情を)迸ぱしらせて・身を震わせる(拗ねる)」(「レイ」の語尾のI音が脱落して「レ」となった)

  「イポ・クル」、IPO-KURU(ipo=beloved one,pet,darling;kuru=strike with the fist,throw)、「(日頃)可愛がっているものに・(殴りかかる)当たり散らす(拗ねる)」(「イポ」が「イボ」となった)

  「プテテ」、PUTETE(tie or knot,stunted)、「動かずに(固まって)いる(拗ねる)」(「プテテ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フテ」から「フテー」となった)

  「チオ・チキ・ツ・ル」、TIO-TIKI-TU-RU(tio=cry,call;tiki=fetch,proceed to do anything,go for a purpose;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・叫び声を・上げ続け・身を震わせる(拗ねる)」(「チオ」が「チョ」から「ジョー」と、「チキ」が「シキ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「タウ・ネイ・ク・リカ・イア・ル」、TAU-NEI-KU-RIKA-IA-RU(tau=turn away,look in another direction;nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action;ku=silent;rika=writhe,eager,provoking;ia=indeed;ru=shake,agitate,scatter)、「そっぽを向いた・ままで・無言で・(不快の感情に)身をよじり・実に・身を震わせる(拗ねる)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「(ン)グツ・ル」、NGUTU-RU(ngutu=lip,mouth,talk,gossip,angry dispute;ru=shake,agitate,scatter)、「身を震わせて・論争する(拗ねる)」(「(ン)グツ」のNG音がG音に変化して「グツ」から「グズ」となった)

の転訛と解します。

112すみません(済みません)・スンマセン・ブジョホヘシタ・オモサゲナガンス・ゴメンナー・シカダネァ・ワレガッタナス・ボットナー・イヤーワリーネー・カンベンシトクレ・カンニンシタイヨ・スイマセンデシタ・カンベンナ・カンベンシテクレ・カンニンシトクンネーノ・カンニンシテクリョー・モーシワケネーネー・ワルカッタネ・ワリーッケナー・スマンナー・スンマヘン・ゴメン・スマンヨー・スミマセナンダ・ワルカッタ・スマンコッテシタ・ゴブレーシマシタ・コラエテ・スイマセン・スンモハン・ワッサイビーン・グブリーサビタン

 「すみません」の方言には、北海道、茨城などの「スンマセン」、青森の「ブジョホヘシタ」、岩手の「オモサゲナガンス」、宮城、大分の「ゴメンナー」、秋田の「シカダネァ」、山形の「ワレガッタナス」、福島の「ボットナー」、栃木の「イヤーワリーネー」、群馬の「カンベンシトクレ」、千葉の「カンニンシタイヨ」、神奈川の「スイマセンデシタ」、新潟の「カンベンナ」、石川の「カンベンシテクレ」、福井の「カンニンシトクンネーノ」、山梨の「カンニンシテクリョー」、長野の「モーシワケネーネー」、岐阜の「ワルカッタネ」、静岡の「ワリーッケナー」、愛知の「ワルカッタネー」(「ワルカッタネ」と同語源)、三重、滋賀などの「スマンナー」、京都、大阪などの「スンマヘン」、奈良、島根の「ゴメン」、和歌山の「スマンヨー」、鳥取の「スミマセナンダ」、岡山の「ワルカッタ」、広島の「スマンコッテシタ」、山口の「ゴブレーシマシタ」、愛媛の「コラエテ」、高知、宮崎の「スイマセン」、福岡の「スンマッシェン」(「スンマセン」と同語源)、佐賀の「スマンジャッタ」、長崎の「スンマシェン」(「スンマセン」と同語源)、熊本の「スンマッセン」(「スンマセン」と同語源)、鹿児島の「スンモハン」、沖縄那覇の「ワッサイビーン」、沖縄首里の「グブリーサビタン」があります。

 この「すみません」、「スンマセン」、「ブジョホヘシタ」、「オモサゲナガンス」、「ゴメンナー」、「シカダネァ」、「ワレガッタナス」、「ボットナー」、「イヤーワリーネー」、「カンベンシトクレ」、「カンニンシタイヨ」、「スイマセンデシタ」、「カンベンナ」、「カンベンシテクレ」、「カンニンシトクンネーノ」、「カンニンシテクリョー」、「モーシワケネーネー」、「ワルカッタネ」、「ワリーッケナー」、「スマンナー」、「スンマヘン」、「ゴメン」、「スマンヨー」、「スミマセナンダ」、「ワルカッタ」、「スマンコッテシタ」、「ゴブレーシマシタ」、「コラエテ」、「スイマセン」、「スンモハン」、「ワッサイビーン」、「グブリーサビタン」は、

  「ツ・ミヒ・マテ(ン)ガテ(ン)ガ」、TU-MIHI-MATENGATENGA(tu=stand,settle;mihi=sigh for,greet,acknowledge an obligation,express discomfort,be expressed of affection;matengatenga=benumbed,aching,disgusted,causing pain)、「(貴方に)苦痛を与えたことに・悲しみを・感じている(済みません)」(「ツ」が「ス」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「マテ(ン)ガテ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「マテナ」から「マセン」となった)

  「ツ(ン)ガ・マテ(ン)ガテ(ン)ガ」、TUNGA-MATENGATENGA(tunga=wound,circumstance etc. of being wounded;matengatenga=benumbed,aching,disgusted,causing pain)、「(貴方に)苦痛を与えたことに・(私も)傷ついている(済みません)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」と、「マテ(ン)ガテ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「マテナ」から「マセン」となった。また「マセン」が「マッセン」、「マシェン」、「マッシェン」となった)

  「プチオチオ・ホヘ・チ・タ」、PUTIOTIO-HOHE-TI-TA(putiotio=prickly;hohe=active,strong;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「(貴方に)強い・痛みを・与えて・しまった(済みません)」(「プチオチオ」の反復語尾が脱落して「プチョ」から「ブジョ」と、「チ」が「シ」となった)

  「オモオモ・タ(ン)ガエ(ン)ガエ・ナ・(ン)ガ(ン)ガ・ツ」、OMOOMO-TANGAENGAE-NA-NGANGA-TU(omo,omoomo,whakaomoomo=tend a child or invalid,use sparingly;tangaengae=prostration,an incantation to confer vigour;na=by,belonging to;nganga=breathe heavily or with difficulty,make a harsh noise;tu=stand,settle)、「苦痛を受けた人(貴方)に・元気になるまじないを唱えようと・どちらかといえば・途切れ途切れに・言う(済みません)」(「オモオモ」の反復語尾が脱落して「オモ」と、「タ(ン)ガエ(ン)ガエ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に、AE音がE音に変化して「タゲ」から「サゲ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ」、NGO-MENE-NA(ngo=cry,grunt;mene=show wrinkled,comtort the face;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「顔をしかめて・嘆声を上げるよ・なあ(済みません)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「チカ・タネア」、TIKA-TANEA(tika=straight,direct,right,correct;tanea=be choked)、「正しいことが・(窒息させられた)行われなかった(済みません)」(「チカ」が「シカ」と、「タネア」が「ダネァ」となった)

  「ワレ・(ン)ガツ・タ・ナツ」、WARE-NGATU-TA-NATU(ware=ignorant,careless,thoughtless,mean;ngatu=crashed,mashed;ta=dash,beat,lay;natu=scratch,stirr up,tear out,show ill feeling,angry)、「(私の)不注意で・めちゃくちゃにして・怒りを・招いた(済みません)」(「(ン)ガツ」のNG音がG音に変化して「ガッ」と、「ナツ」が「ナス」となった)

  「ポト・ナ」、POTO-NA(poto=short,denoting the exhaustive character of an action etc.,showing that all the things spoken of have been dealt with,fry,young of fish;na=by,belonging to,to indicate position near or connection with the person addressed)、「未熟だったよ・なあ(済みません)」または「やるべきことはやったよ・なあ(済みません)」(「ポト」が「ボット」となった)

  「イ・イア・ワ・リ・ネイ」、I-IA-WHA-RI-NEI(i=past tense;ia=indeed;wha=be disclosed,get abroad;ri=screen,protect,bind;nei=to denote proximity to or connection with the speaker)、「実に・障害に邪魔されたことが・明らかになって・しまった・よ(済みません)」(「イア」が「ヤー」と、「リ」が「リー」と、「「ネイ」が「ネー」となった)

  「カナ・ペナ・チ・タウ・クレ」、KANA-PENA-TI-TAU-KURE(kana=stare wildly,bewitch;pena=take care of,tend,preserve knowledge;ti=throw,cast;tau=come to rest,be suitable,befit;kure=cry like a seagull)、「魔法にかけられたように・(人を)大事にして・安楽に・させようよと・(鴎の鳴き声のような)悲しげな声を出す(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ペナ」が「ベン」と、「チ」が「シ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「カナ・ヌイ(ン)ガ・チ・タイ・イオ」、KANA-NUINGA-TI-TAI-IO(kana=stare wildly,bewitch;nuinga=majority,party,people;ti=throw,cast;tai,taitai=dash,knock,perform certain ceremonies to remove tapu;io=tough,hard,obstinate)、「魔法にかけられたように・人々に・災難から逃れるまじないを・しっかりと・して・あげようよ(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ヌイ(ン)ガ」のUI音がI音に、NG音がN音に変化して「ニナ」から「ニン」と、「チ」が「シ」となった)

  「ツイ・マテ(ン)ガテ(ン)ガ・テ・チ・タ」、TUI-MATENGATENGA-TE-TI-TA(tui=pierce,thread on a string,sew,hurt;matengatenga=benumbed,aching,disgusted,causing pain;te=to make an emphatic statement;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「(貴方を)傷つけ・苦痛を与えて・しまっ・た・ね(済みません)」(「ツイ」が「スイ」と、「マテ(ン)ガテ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「マテナ」から「マセン」と、「テ」が「デ」と、「チ」が「シ」となった)

  「カナ・ペナ・ナ」、KANA-PENA-NA(kana=stare wildly,bewitch;pena=take care of,tend,preserve knowledge;na=by,belonging to,to indicate position near or connection with the person addressed)、「魔法にかけられたように・(人を)大事にしてよ・なあ(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ペナ」が「ベン」となった)

  「カナ・ペナ・チ・テ・クレ」、KANA-PENA-TI-TE-KURE(kana=stare wildly,bewitch;pena=take care of,tend,preserve knowledge;ti=throw,cast;te=to make an emphatic statement;kure=cry like a seagull)、「魔法にかけられたように・(人を)大事にして・あげよう・よと・(鴎の鳴き声のような)悲しげな声を出す(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ペナ」が「ベン」と、「チ」が「シ」となった)

  「カナ・ヌイ(ン)ガ・チ・タウ・クネネ・ノア」、KANA-NUINGA-TI-TAU-KUNENE-NOA(kana=stare wildly,bewitch;nuinga=majority,party,people;ti=throw,cast;tau=come to rest,be suitable,befit;kunene=beg;noa=free from tapu or any other restriction,ordinary)、「魔法にかけられたように・人々に・安楽を・させ・災難から逃れるまじないを・お願いする(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ヌイ(ン)ガ」のUI音がI音に、NG音がN音に変化して「ニナ」から「ニン」と、「チ」が「シ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「クネネ」が「クンネー」と、「ノア」のA音が脱落して「ノ」となった)

  「カナ・ヌイ(ン)ガ・チ・テ・クリオオ」、KANA-NUINGA-TI-TE-KULIOO(kana=stare wildly,bewitch;nuinga=majority,party,people;ti=throw,cast,overcome;te=to make an emphatic statement;(Hawaii)kulioo=stingy,penurious)、「魔法にかけられたように・人々に・罰を与えるのは・ほんの・少しにしてほしい(済みません)」(「カナ」が「カン」と、「ヌイ(ン)ガ」のUI音がI音に、NG音がN音に変化して「ニナ」から「ニン」と、「チ」が「シ」と、「クリオオ」が「クリョー」となった)

  「モチ・ワケワケ・ネイネイ」、MOTI-WAKEWAKE-NEINEI(moti=consumed,scarce,surfeited;wakewake=hury,hasten;neinei=stretch forward,reaching out)、「急ぎ・過ぎて・消耗(失敗)してしまった(済みません)」(「モチ」が「モーシ」と、「ワケワケ」の反復語尾が脱落して「ワケ」と、「ネイネイ」が「ネーネー」となった)

  「ワ・ルカ・タネア」、WHA-RUKA-TANEA(wha=be disclosed,get abroad;ruka=utterly;tanea=be choked)、「完全に・(窒息した)失敗したことが・明らかとなった(済みません)」(「ルカ」が「ルカッ」と、「タネア」の語尾のA音が脱落して「タネ」から「タネー」となった)

  「ワリツア・ケナ」、WHARITUA-KENA(wharitua=be separated ,be removed to a distance;kena=a dried white pine,past fruiting)、「(その場所から)離れていたために・(果実の)収穫の時期を失した(済みません)」(「ワリツア」の語尾のA音が脱落して「ワリーッ」と、「ケナ」が「ケナー」となった)

  「ツマ・(ン)ガ(ン)ガ」、TUMA-NGANGA(tuma=challenge;nganga=breathe heavily or with difficulty,make a harsh noise)、「挑戦が・(苦しい息になった)失敗した(済みません)」(「ツマ」が「スマ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナナ」から「ンナ」となった)

  「ツ(ン)ガ・マハ・ヘ(ン)ガ」、TUNGA-MAHA-HENGA(tunga=wound,circumstance etc. of being wounded;maha=many,abundant;henga=circumstance etc. of erring)、「失敗して・たいへん・傷ついた(済みません)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」となった)

  「(ン)ゴ・メネ」、NGO-MENE(ngo=cry,grunt;mene=show wrinkled,comtort the face)、「顔をしかめて・嘆声を上げる(済みません)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」となった)

  「ツマ(ン)ガイ・アウ」、TUMANGAI-AU(tumangai=a kind of incantation;au=firm,intense)、「(人の失敗を寛恕する)まじないを・しっかりと唱える(済みません)」(「ツマ(ン)ガイ」のNG音がN音に変化して「ツマナイ」から「スマナイ」となり、「アウ」のAU音がO音に変化した「オ」と連結して「スマナヨ」から「スマンヨー」となった)

  「ツ・ミヒ・マテ(ン)ガテ(ン)ガ・(ン)ギタ」、TU-MIHI-MATENGATENGA-NGITA(tu=stand,settle;mihi=sigh for,greet,acknowledge an obligation,express discomfort,be expressed of affection;matengatenga=benumbed,aching,disgusted,causing pain;ngita=carry,bring)、「(貴方に)苦痛を・もたらしたことに・悲しみを・感じている(済みません)」(「ツ」が「ス」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「マテ(ン)ガテ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「マテナ」から「マセナ」と、「(ン)ギタ」のNG音がN音に変化して「ニタ」から「ンダ」となった)

  「ワ・ルカ・タ」、WHA-RUKA-TA(wha=be disclosed,get abroad;ruka=utterly;ta=dash,beat,lay)、「完全に・打ちのめされたことが・明らかとなった(済みません)」(「ルカ」が「ルカッ」となった)

  「ツマ・(ン)ガ(ン)ガ・コテ・チ・タ」、TUMA-NGANGA(tuma=challenge;nganga=breathe heavily or with difficulty,make a harsh noise;kote=squeeze out,crush,mash;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「挑戦が・(苦しい息になった)失敗して・ぼろぼろに・なっ・た(済みません)」(「ツマ」が「スマ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ナ」から「ン」と、「コテ」が「コッテ」と、「チ」が「シ」となった)

  「(ン)ゴ・プレ・イヒ・チ・マチ・タ」、NGO-PURE-IHI-TI-MATI-TA(ngo=cry,grunt;pure=a ceremony for removing tapu;ihi=power,spell;ti=throw,cast;mati=surfeited;ta=dash,beat,lay)、「(行動の禁忌を除く)元気の回復を祈る・まじないを・十分に・行お・うと・嘆声を上げる(済みません)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「プレ」が「ブレ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イ」と、「チ」が「シ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「コラエ・テ」、KORAE-TE(korae=anoint with red ochre and oil;te=to make an emphatic statement)、「(赤い顔料(ベンガラ)と油を混ぜたものを身体(通常は額)に塗る)魔除けのまじないを・きちんとしよう(済みません)」
(「RED OCHRE」は、マオリ族の主として男、子供の額に塗って魔除けとしたといいます。(A.W.Reed,An illustrated encyclopedia of Maori Life,1963,A.H.&A.W.Reed)同様の風習は世界各地にみられます。)

  「ツイ・マテ(ン)ガテ(ン)ガ」、TUI-MATENGATENGA(tui=pierce,thread on a string,sew,hurt;matengatenga=benumbed,aching,disgusted,causing pain)、「(貴方を)傷つけ・苦痛を与えた(済みません)」(「ツイ」が「スイ」と、「マテ(ン)ガテ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「マテナ」から「マセン」となった)

  「ツマ・(ン)ガ(ン)ガ・チ・アツ・タ」、TUMA-NGANGA-TI-ATU-TA(tuma=challenge;nganga=breathe heavily or with difficulty,make a harsh noise;ti=throw,cast;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;ta=dash,beat,lay)、「挑戦が・(失敗して)息苦しさを・与え・続け・た(済みません)」(「ツマ」が「スマ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ナ」から「ン」と、「チ・アツ」が「チャツ」から「ジャッ」となった)

  「ツ(ン)ガ・モハニ」、TUNGA-MOHANI(tunga=wound,circumstance etc. of being wounded;mohani=scrape,abrade)、「(貴方を)傷つけ・すり減らしてしまった(済みません)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」と、「モハニ」が「モハン」となった)

  「ワタイ・ピ(ン)が(ン)ガ」、WHATAI-PINGANGA(whatai=stretch out the neck,gaze intently;pinganga=lean,shrunk)、「(恐縮のあまり)身体を縮めて・(相手を)見つめる(済みません)」(「ワタイ」が「ワッサイ」と、「ピ(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ピナ」から「ビーン」となった)

  「(ン)グ・プリ・タピ・タナ」、NGU-PURI-TAPI-TANA(ngu=moan,groan;puri=sacred,pertaing to ancient lore,one instructed in esoteric lore;tapi=apply as dressings to a wound,patch,mend;tana=his,her)、「秘密のまじないで・彼(彼女)の・傷を癒そうと・嘆声を上げる(済みません)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「プリ」が「ブリー」と、「タピ」が「サビ」と、「「タナ」が「タン」となった)

の転訛と解します。

113ずるい(狡い)・ナマズルイ・ズレァ・スビラッコエ・ドブデ・ズルコエ・ズルエ・ゴマダ・コッスェ・タチワルイ・コスイ・チャキー・スコイ・キタナイ・ヘラコイ・コスカ・ズルカ・カシクイ・コシ・リクチクワイムン・ヤナジナムン・コベハエー・ヘラケー・ヘラコスイ・オードカ

 「ずるい」の方言には、北海道の「ナマズルイ」、岩手の「ズレァ」、宮城の「スビラッコエ」、秋田の「ドブデ」、山形の「ズルコエ」、茨城の「ズルエ」、群馬の「ゴマダ」、埼玉の「ズレー」(「ズレァ」と同語源)、千葉、岡山の「ズリー」(「ずるい」と同語源)、新潟の「コッスェ」、富山の「タチワルイ」、石川、福井などの「コスイ」、山梨の「チャキー」、愛知の「コッスイ」(「コスイ」と同語源)、滋賀、京都などの「スコイ」、和歌山の「キタナイ」、徳島、香川の「ヘラコイ」、福岡、佐賀などの「コスカ」、長崎、鹿児島の「ズルカ」、大分の「カシクイ」、宮崎の「コシ」、沖縄那覇の「リクチクワイムン」、沖縄首里の「ヤナジナムン」があります。

 上記のほか、秋田の「コベハエー」、岡山の「ヘラケー」、高知の「ヘラコスイ」、長崎の「オードカ」、大分の「コシー」(「コシ」と同語源)などがあります。

 この「ずるい」、「ナマズルイ」、「ズレァ」、「スビラッコエ」、「ドブデ」、「ズルコエ」、「ズルエ」、「ゴマダ」、「コッスェ」、「タチワルイ」、「コスイ」、「チャキー」、「スコイ」、「キタナイ」、「ヘラコイ」、「コスカ」、「ズルカ」、「カシクイ」、「コシ」、「リクチクワイムン」、「ヤナジナムン」、「コベハエー」、「ヘラケー」、「ヘラコスイ」、「オードカ」は、

  「ツフ(ン)ガ・ルイ」、TUHUNGA-RUI(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:rui=shake,brandish,shake down as fruit from a tree,cause to fall in drops)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・(果実を木から振るい落とすように)鳥をはたき落とす行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」となった。また「ルイ」のUI音がI音に変化して「リー」となった)

  「ナマ・ツフ(ン)ガ・ルイ」、NAMA-TUHUNGA-RUI(nama=debt;tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:rui=shake,brandish,shake down as fruit from a tree,cause to fall in drops)、「道徳的には罪にあたる・鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・(果実を木から振るい落とすように)鳥をはたき落とす行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」となった)

  「ツフ(ン)ガ・レア」、TUHUNGA-REA(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:rea=spring up,grow)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・鳥が急に飛び立とうとしてもがく(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」と、「レア」が「レァ」または「レー」となった)

  「ツフ(ン)ガ・ピラコイ」、TUHUNGA-PILAKOI(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:(Hawaii)pilakoi=requisition)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・鳥を調達する行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」と、「ピラコイ」の語尾のI音がE音に変化して「ビラッコエ」となった)

  「ト・プテ」、TO-PUTE(to=drag;pute=bag or basket of fine woven flax for clothes etc.)、「(鳥を)細い糸で作った罠(輪縄)に・誘導して捕る行為(狡い)」(「ト」が「ド」と、「プテ」が「ブデ」となった)

  「ツフ(ン)ガ・ルカフ・エ」、TUHUNGA-RUKAHU-E(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:rukahu=blustering,false,untrue;e=to give emphasis)、「偽の・鳥の止まり木(に仕掛けた罠で鳥を捕る)・という行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」と、「ルカフ」のH音が脱落した後のAU音がO音に変化して「ルコ」となった)

  「ツフ(ン)ガ・ルエ」、TUHUNGA-RUE(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:rue,whakaruerue=tremble,shake)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・(振動を起こして)鳥を捕る行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」となった)

  「(ン)ゴ・マタ」、NGO-MATA(ngo=cry,grunt;mata=deep swamp)、「(水鳥の集まる)沼に・(罠にかかった鳥の)声が響き渡る(罠で鳥を捕る行為。狡い)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「マタ」が「マダ」となつた)

  「コ・ツフ(ン)ガ・ウエ」、KO-TUHUNGA-UE(ko=to give emphasis,to denote the predocate;tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:ue=push,shake)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・(振動を起こして)鳥を捕る・という行為(狡い)」(「コ」が「コッ」と、「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」となり、その語尾のU音と「ウエ」の語頭のU音が連結して「スエ」となった)

  「タ・チワ・ルイ」、TA-TIWHA-RUI(ta=the...of,dash,beat,lay;tiwha=patch,spot,conspicuous,adorn with rings of shell inserted in carved work etc.:rui=shake,brandish,shake down as fruit from a tree,cause to fall in drops)、「例の・細い糸で作った輪縄を仕掛けた罠から・(果実を木から振るい落とすように)鳥をはたき落とす行為(狡い)」

  「コ・ツフ(ン)ガ・ウイ」、KO-TUHUNGA-UI(ko=to give emphasis,to denote the predocate;tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:ui=relax or loosen a noose)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・輪縄にかかった鳥を取り出す・という行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「スイ」となった。また「コ」が「コッ」となった)

  「チア・キ」、TIA-KI(tia=catch and kill vermin;ki=very,full)、「たくさん・(有害な)鳥獣を捕らえて殺す行為(狡い)」(「チア」が「チャ」と、「キ」が「キー」となった)

  「ツフ(ン)ガ・コイ」、TUHUNGA-KOI(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:koi=move about)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)で・鳥が(急に飛び立とうとして)もがき回る(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」となった)

  「キタ・ナイ」、KITA-NAI(kita=tightly,intensely,tightly clenched;nai=nei,neinei=stretched forward,wagging,vacillating,bobbing up and down)、「(鳥が輪縄に)堅く締め付けられて・もがき回る(捕獲行為。狡い)」

  「ヘ・エラ・コイ」、HE-ERA-KOI(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;era=those yonder;koi=move about)、「彼方の・(道徳的に)誤った・(鳥が)もがき回る(捕獲行為。狡い)」(「ヘ」のE音と「エラ」の語頭のE音が連結して「ヘラ」となった)

  「コ・ツフ(ン)ガ・カ」、KO-TUHUNGA-KA(ko=to give emphasis,to denote the predocate;tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「あの・鳥の止まり木(に仕掛けた罠で鳥を捕る)・という行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」となった)

  「ツフ(ン)ガ・ル・カ」、TUHUNGA-RU-KA(tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:ru=shake,agitate,scatter;ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・(振動を起こして)鳥を捕る・という行為(狡い)」(「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ズ」となった)

  「カチ・クイ」、KATI-KUI(kati=bite,nip;kui=weak,cowardly,stunted)、「(鳥が止まり木の輪縄に)締め付けられて・動けなくなる(捕獲行為)」(「カチ」が「カシ」となった)

  「コチ」、KOTI(divide,interrupt(kokoti=ambuscade))、「待ち伏せ(の罠による捕獲行為)(狡い)」(「コチ」が「コシ」となった)

  「リ・クチ・クワイ・ムナ」、RI-KUTI-KUWAI-MUNA(ri=screen,protect,bind;kuti=draw tightly together,contract,pinch;kuwai=wet,watery;muna=tell or speak of privately,gossip,secretly)、「水際で・(鳥が輪縄に)かかって・締め付けられる・と(悪い)噂のある(捕獲行為。狡い)」(「ムナ」が「ムン」となった)

  「イア・ナチ・ナハ・ムナ」、IA-NATI-NAHA-MUNA(ia=indeed;nati=pinch or contract;naha=noose for snaring ducks;muna=tell or speak of privately,gossip,secretly)、「実に・輪縄で・締め付ける・と(悪い)噂のある(捕獲行為。狡い)」(「イア」が「ヤ」と、「ナチ」が「ナジ」と、「ナハ」のH音が脱落して「ナ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「コパエ・ハエ」、KOPAE-HAE(kopae=lying sideways,having the entrance at the side,circular,birds nest;hae=slit,cherish or jealousy or ill feeling,cause pain)、「嫌気を催す・(水際の)鳥の巣(を用いた捕獲行為。狡い)」(「コパエ」のAE音がE音に変化して「コベ」と、「ハエ」が「ハエー」となった)

  「ヘ・エラ・ケア」、HE-ERA-KEA(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;era=those yonder;kea=false)、「彼方の・(道徳的に)誤った・偽り(の止まり木による捕獲行為。狡い)」(「ヘ」のE音と「エラ」の語頭のE音が連結して「ヘラ」と、「ケア」が「ケー」となった)

  「ヘ・エラ・コ・ツフ(ン)ガ・ウイ」、HE-ERA-KO-TUHUNGA-UI(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;era=those yonder;ko=to give emphasis,to denote the predocate;tuhunga=perch for birds to light on,placed in a convenient position for killing them:ui=relax or loosen a noose)、「彼方の・(道徳的に)誤った・鳥の止まり木(に仕掛けた罠)から・輪縄にかかった鳥を取り出す・という行為(狡い)」(「ヘ」のE音と「エラ」の語頭のE音が連結して「ヘラ」と、「ツフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツウ」から「ス」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「スイ」となった)

  「オフ・ト・カ」、OHU-TO-KA(ohu=stop,surround;to=drag:ka=to denote the commencement od a new action or condition)、「(鳥が)身をかがめて(または密集して)・(罠に)導かれる・捕獲行為(狡い)」(「オフ」のH音が脱落して「オウ」から「オー」と、「ト」が「ド」となった)

の転訛と解します。

114すわる(座る)・ネマル・ヒザマグ・チャガマル・ブチカル・オツクミスル・ツグム・カシコマル・オチョキンスル・オツクベスル・オッチンスル・ヘタル・ネマー・オカッコスル・イザル・イドル・スワッ・イーン・ヒザオル

 「すわる」の方言には、北海道、青森などの「ネマル」、山形の「ヒザマグ」、福島の「チャガマル」、茨城、栃木の「ブチカル」、群馬の「オツクミスル」、埼玉の「ツグム」、神奈川の「カシコマル」、福井の「オチョキンスル」、長野の「オツクベスル」、滋賀の「オッチンスル」、兵庫の「ヘタル」、島根の「ネマー」、香川の「オカッコスル」、高知の「イザル」、福岡の「イドル」、佐賀、鹿児島の「スワッ」、沖縄那覇・首里の「イーン」があります。

 上記のほか、北海道の「ヒザオル」、福島の「シャガマル」(「チャガマル」と同語源)、徳島の「オチンスル」(「オッチンスル」と同語源)などがあります。

 この「すわる」、「ネマル」、「ヒザマグ」、「チャガマル」、「ブチカル」、「オツクミスル」、「ツグム」、「カシコマル」、「オチョキンスル」、「オツクベスル」、「オッチンスル」、「ヘタル」、「ネマー」、「オカッコスル」、「イザル」、「イドル」、「スワッ」、「イーン」、「ヒザオル」は、

  「ツ・ワル」、TU-WARU(tu=stand,settle;waru=scrape,pare,shave)、「(地面を)平らにして・腰を下ろす(座る)」(「ツ」が「ス」となった)

  「ネイ・マル」、NEI-MARU(nei=to indicate continuance of action;maru=gentle,easy,calm,shaded,sheltered)、「楽な姿勢を・続けている(座る)」(「ネイ」が「ネ」となつた)

  「ヒ・タ・マ(ン)グ(ン)グ」、HI-TA-MANGUNGU(hi=raise,rise;ta=dash,beat,lay;mangungu=closely knitted or woren,broken)、「(伸ばすと身体を)持ち・上げるもの(膝)を・ぴったりとくっつける(正座する。座る)」(「タ」が「ザ」と、「マ(ン)グ(ン)グ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「マグ」となった)

  「チア(ン)ガ・マル」、TIANGA-MARU(tianga=mat to lie on;maru=gentle,easy,calm,shaded,sheltered)、「敷物の上で・楽にしている(座る)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「チャガ」または「シャガ」となつた)

  「プ・チカ・ル」、PU-TIKA-RU(pu=lie in a heap;tika=straight,just,correct;ru=shake,agitate,scatter)、「その辺に・放り出されているもの(石、材木など)の・上に腰を下ろす(座る)」(「プ」が「ブ」となった)

  「オ・ツ・ウク・ミ・ツ・ル」、O-TU-UKU-MI-TU-RU(o=find room,be capable of being contained or enclosed;tu=stand,settle;uku=wash;mi=urine,water,stream;ru=shake,agitate,scatter)、「水で・洗われ(たようにきれいな)・場所がある・場所を見付けて・腰を下ろ・す(座る)」(最初の「ツ」のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ツク」と、次の「ツ」が「ス」となった)

  「ツ(ン)グ・ム」、TUNGU-MU(tungu=kindle;mu=silent(=mutu=place and apparatus for snaring birds))、「無言で(または鳥を捕獲するための罠を仕掛け終わって)・灯りを灯す(座る)」(「ツ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ツグ」となった)

  「カチ・コマ・ル」、KATI-KOMA-RU(kati=bite,nip(kakati=grip,tie in bundle,be clenched);koma=pale,whitish;ru=shake,agitate,scatter)、「(身体が締め付けられたように)緊張し・顔が青ざめ・身体を震わせる(座る)」(「カチ」が「カシ」となった)

  「オ・チオホ・キノ・ツ・ル」、O-TIOHO-KINO-TU-RU(o=find room,be capable of being contained or enclosed;tioho=apprehensive;kino=evil,bad;tu=stand,settle;ru=shake,agitate,scatter)、「(狩猟の待ち伏せ場所などとして)見出した場所が・悪い場所ではないかと・心配しながら・腰を下ろして・身を震わせる(座る)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」と、「キニ」が「キン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・ツ・ウク・パイ・ツ・ル」、O-TU-UKU-PAI-TU-RU(o=find room,be capable of being contained or enclosed;tu=stand,settle;uku=wash;pai=good,excellent,suitable;ru=shake,agitate,scatter)、「きれいに・洗われたような・場所がある・場所を見付けて・腰を下ろ・す(座る)」(最初の「ツ」のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ツク」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、次の「ツ」が「ス」となった)

  「オ・ツ・チノ・ツ・ル」、O-TU-TINA-TU-RU(o=find room,be capable of being contained or enclosed;tu=stand,settle;uku=wash;tina=fixed,firm,satisfied;ru=shake,agitate,scatter)、「満足できる・場所がある・場所を見付けて・腰を下ろ・す(座る)」(最初の「ツ」が「ッ」と、「チノ」が「チン」と、次の「ツ」が「ス」となった)

  「ハエ・タ・ル」、HAE-TA-RU(hae=slit,cherish envy or ill feeling,vause pain;ta=dash,beat,lay;ru=shake,agitate,scatter)、「痛み(または不快)に・襲われて・身体を投げ出す(倒れ込む。座る)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」となった)

  「ネイ・ママ」、NEI-MAMA(nei=to indicate continuance of action;mama=light,not heavy,unencumbered,so quick)、「楽な姿勢を・続けている(座る)」(「ネイ」が「ネ」と、「ママ」が「マー」となつた)

  「オカ・ツコ・ツ・ル」、OKA-TUKO-TU-RU(oka=prick,stub;tuko=a digging implement;tu=stand,settle;ru=shake,agitate,scatter)、「鍬で・(土地を)突っついて(障害物を取り除いて)・腰を下ろ・す(座る)」(「ツ」が「ス」となった)

  「イタ・ル」、ITA-RU(ita=tight,fast;ru=shake,agitate,scatter)、「(身体を)縮めて・投げ出す(座る)」(「イタ」が「イザ」となった)(

  「ツ・ワル」、TU-WARU(tu=stand,settle;waru=scrape,pare,shave)、「(地面を)平らにして・腰を下ろす(座る)」(「ツ」が「ス」となった)
 (なお、「いざる(膝行する)」は、「ピヒ・イタ・ル」、PIHI-ITA-RU(pihi=spring up,begin to grow;ita=tight,fast;ru=shake,agitate,scatter)、「伸ばしたり・縮めたりするもの(膝)を・震わせて進む(膝行する)」(「ピヒ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」から「ヒ」となり、そのI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「ヒタ」から「ヒザ」となり、さらにそのH音が脱落して「イザ」となった)

  「イ・タウ・ル」、I-TAU-RU(i=from,beside,with,by,upon;tau=come to rest,settle down;ru=shake,agitate,scatter)、「(その場所の)上に・(身体を)置いて・投げ出す(座る)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)

  「ツ・ワツ」、TU-WHATU(tu=stand,settle;whatu=stone)、「石(の上)に・腰を下ろす(座る)」(「ツ」が「ス」と、「ワツ」が「ワッ」となった)

  「イナ」、INA(bask,warm oneself)、「日向ぼっこをする(座る)」(「イナ」が「イーン」となった)

  「ピヒ・イタ・アウル」、PIHI-ITA-AURU(pihi=spring up,begin to grow;ita=tight,fast;auru=break off,pluck off,throw away,carry off)、「伸ばしたり・縮めたりするもの(膝)を・折る(座る)」(「ピヒ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」から「ヒ」となり、そのI音と「イタ」の語頭のI音が連結して「ヒタ」から「ヒザ」と、「アウル」のAU音がO音に変化して「オル」となった)

の転訛と解します。

「セ」

115せき(咳)・シャブキ・シャンブギ・エバキ・シワムキ・セッ・サックイ・シハブキ

 「せき」の方言には、北海道の「シャブキ」、青森、岩手などの「セギ」(「せき」と同語源)、宮城、秋田の「シャンブギ」、山形の「シェギ」(「せき」と同語源)、石川、福井などの「シェキ」(「せき」と同語源)、佐賀の「エバキ」、長崎の「シワムキ」、鹿児島の「セッ」、沖縄那覇の「サックイ」、沖縄首里の「サックィー」(「サックイ」と同語源)があります。

 上記のほか、「シハブキ」(古語)があります。

 この「せき」、「シャブキ」、「シャンブギ」、「エバキ」、「シワムキ」、「セッ」、「サックイ」、「シハブキ」は、

  「チヘ・キ」、TIHE-KI(tihe=sneeze;ki=full,very)、「何回も・くしゃみをする(咳)」(「チヘ」のH音が脱落し、IE音がE音に変化して「テ」から「セ」となった。また「キ」が濁音化して「ギ」となった。また「チヘ」のH音が脱落して「チエ」から「シェ」となった)

  「チ・アプ・キ」、TI-APU-KI(ti=throw,cast;apu=bark as a dog;ki=full,very)、「犬が吠えるような息を・何回も・出す(咳)」(「チ・アプ」が「チャプ」から「シャブ」となった)

  「チ・アナ・アプ・キ」、TI-ANA-APU-KI(ti=throw,cast;ana=denoting continuance of action or state,denotes a temporary condition etc.;apu=bark as a dog;ki=full,very)、「犬が吠えるような息を・何回も・一時的に・出す(咳)」(「チ・アナ」が「チャナ」となり、その語尾のA音が「アプ」の語頭のA音と連結して「チャナプ」から「シャンブ」と、「キ」が「ギ」となった)

  「エパ・キ」、EPA-KI(epa=throw,thundervolt;ki=full,very)、「雷が落ちるような息を・何回も出す(咳)」(「エパ」が「エバ」となった)

  「チワ・アム・キ」、TIWHA-AMU-KI(tiwha=patch,conspicuous;amu=grumble,complain;ki=full,very)、「顕著な・ごろごろいうような息を・何回も出す(咳)」(「チワ」の語尾のA音と「アム」の語頭のA音が連結して「チワム」から「シワム」となつた)

  「タツ・クイ」、TATU-KUI(tatu=reach the bottom,strike one foot against the other,stumble;kui=part of the cry of the shining cuckoo,call the cry)、「立て続けに・カッコーの鋭い鳴き声のような息をする(咳)」(「タツ」か「サッ」となった。また「クイ」が「クィー」となった)

  「チヘ・ツ」、TIHE-TU(tihe=sneeze;tu=fight with,energetic)、「懸命に・くしゃみをする(咳)」(「チヘ」のH音が脱落し、IE音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「チワ・アム・キ」、TIWHA-APU-KI(tiwha=patch,conspicuous;apu=bark as a dog;ki=full,very)、「顕著な・犬が吠えるような息を・何回も出す(咳)」(「チワ」のWH音がH音に変化して「チハ」となり、その語尾のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「チハプ」から「シハブ」となつた)

の転訛と解します。

116せともの(瀬戸物)・カラツ・カラチモン・カラツモン・カラトゥ・ヤキモン・ヤッモン・ヤチムン

 「せともの」の方言には、青森、岩手などの「セドモノ」(「せともの」と同語源)、山形の「シェドモノ」(「せともの」と同語源)、茨城、栃木などの「セドモン」(「せともの」と同語源)、群馬、千葉などの「セトモン」(「せともの」と同語源)、富山、石川などの「カラツ」、福井の「シェトモン」(「せともの」と同語源)、島根の「カラチモン」、徳島、香川などの「カラツモン」、高知の「カラトゥ」、福岡、佐賀などの「ヤキモン」、鹿児島の「ヤッモン」、沖縄那覇・首里の「ヤチムン」があります。

 この「せともの」、「カラツ」、「カラチモン」、「カラツモン」、「カラトゥ」、「ヤキモン」、「ヤッモン」、「ヤチムン」は、

  「タイ・タウ・モヌ」、TAI-TAU-MONU(tai=the coast,tide,wave;tau=ridge of a hill,come to rest,float;monu=be drawn from belt or sheath etc.,come out)、「波のようにうねっている・丘陵(がある。瀬戸の地域)・からやってきた(品物。その地域産の陶磁器。瀬戸物)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」または「シェ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」または「ド」と、「モヌ」が「モノ」または「モン」となった)

  「カラ・ツ」、KARA-TU(kara=basaltic stone;tu=stand,settle)、「(石器や墓石用の)玄武岩が・ある(地域。唐津。その地域産の陶磁器)」(「ツ」が「ッ」となった)(東松浦半島を占める上場台地は、玄武岩質の溶岩台地です。)

  「カラ・チ・モヌ」、KARA-TI-MONU(kara=basaltic stone;ti=throw,cast;monu=be drawn from belt or sheath etc.,come out)、「(石器や墓石用の)玄武岩が・分布している(地域。唐津)・からやってきた(品物。その地域産の陶磁器)」(「モヌ」が「モン」となった)

  「カラ・ツ・モヌ」、KARA-TU-MONU(kara=basaltic stone;tu=stand,settle;monu=be drawn from belt or sheath etc.,come out)、「(石器や墓石用の)玄武岩が・ある(地域。唐津)・からやってきた(品物。その地域産の陶磁器)」(「モヌ」が「モン」となった)

  「カラ・トフ」、KARA-TOHU(kara=basaltic stone;tohu=mark,sign,proof.point out,show)、「(石器や墓石用の)玄武岩がある(地域。唐津)・(その地域)からやってきたことを示す(証明する品物。唐津産の陶磁器)」(「トフ」のH音が脱落して「トゥ」となった)

  「イア・キ・モヌ」、IA-KI-MONU(ia=indeed;ki=say,tell,charm,incantation;monu=be drawn from belt or sheath etc.,come out)、「実に・魔法をかけた(ように軟らかい土が硬い器に変化した)・産物(瀬戸物)」(「イア」が「ヤ」と、「モヌ」が「モン」となった)

  「イア・ツ・モヌ」、IA-TU-MONU(ia=indeed;tu=fight with,be ignited,energetic(tutu=set on fire);monu=be drawn from belt or sheath etc.,come out)、「実に・火にかけた(加熱した結果軟らかい土が硬い器に変化した)・産物(瀬戸物)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「モヌ」が「モン」となった)

  「イア・チ・ム(ン)ガ」、IA-TI-MUNGA(ia=indeed;ti=throw,cast;munga,mungamunga=mina,minamina=desire,feel incantation for,affected by)、「実に・魔法をかけた・結果(軟らかい土が硬い器に変化した)の産物(瀬戸物)」(「イア」が「ヤ」と、「ム(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ムナ」から「ムン」となった)

の転訛と解します。

117せまい(狭い)・セマッコイ・ヘンベ・セメァ・セマッコエ・シェマケ・シェマコエ・セマエ・セバイ・シェバイ・シェマイ・セバー・セミャー・シェマカ・セバカ・セマカ・ッイバサン・イバサン・シュメ

 「せまい」の方言には、北海道、栃木の「セマッコイ」、青森の「ヘンベ」、岩手の「セメァ」、宮城の「セマッコエ」、秋田の「シェマケ」、山形の「シェマコエ」、茨城の「セマエ」、群馬、埼玉などの「セメー」(「せまい」と同語源)、新潟の「セーメァ」(「セメァ」と同語源)、石川、山梨などの「セバイ」、福井、島根の「シェバイ」、静岡の「セメァー」(「セメァ」と同語源)、愛知の「セマェー」(「セマエ」と同語源)、滋賀、徳島の「シェマイ」、鳥取、広島の「セバー」、岡山の「セミャー」、福岡、佐賀の「シェマカ」、長崎の「セバカ」、熊本の「セマカ」、宮崎の「シェベ」(「シェバイ」と同語源)、鹿児島の「セベ」(「セバイ」と同語源)、沖縄那覇の「ッイバサン」、沖縄首里の「イバサン」があります。

 上記のほか、島根の「シュメ」があります。

 この「せまい」、「セマッコイ」、「ヘンベ」、「セメァ」、「セマッコエ」、「シェマケ」、「シェマコエ」、「セマエ」、「セバイ」、「シェバイ」、「シェマイ」、「セバー」、「セミャー」、「シェマカ」、「セバカ」、「セマカ」、「ッイバサン」、「イバサン」、「シュメ」は、

  「タイ・マイ」、TAI-MAI(tai,taitai=dash,strike,knock;mai=to indicate direction or motion towards,indicating extension of time or space towards the speaker)、「(すぐ)ぶつかる・間隔にある(狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった。また「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メー」となった)

  「タイ・マコイ」、TAI-MAKOI(tai,taitai=dash,strike,knock;makoi=deal deceitfully with)、「ぶつかることが・本気ではできない(間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「マコイ」が「マッコイ」となった)

  「ハエ・ナペ」、HAE-NAPE(hae=slit,cherish envy or ill feeling,cause pain;nape=weave,jerk,make a false stroke with the paddle)、「肘でちょっと突かれても・不愉快になる(狭い)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ナペ」が「ンベ」となった)

  「タイ・マイ・イア」、TAI-MAI-IA(tai,taitai=dash,strike,knock;mai=to indicate direction or motion towards,indicating extension of time or space towards the speaker;ia=indeed)、「実に・(すぐ)ぶつかる・間隔にある(狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「マイ」のI音が「イア」のI音と連結して「マイア」となり、そのAI音がE音に変化して「メァ」または「メァー」となった)

  「タイ・マコイ・エ」、TAI-MAKOI-E(tai,taitai=dash,strike,knock;makoi=deal deceitfully with;e=to denote action in progress or temporary condition)、「どんと・ぶつかることが・本気ではできない(間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「マコイ」が「マッコイ」となり、その語尾のI音が「エ」のE音と連結してE音に変化して「マッコエ」となった)

  「チ・ハエ・マケ」、 TI-HAE-MAKE(ti=throw,cast;hae=slit,cherish envy or ill feeling,cause pain;(Hawaii)make=to die,beaten,to faint)、「(ぶつかると)一時気分が悪くなる程度の・苦痛が・出る(狭い)」(「チ」が「シ」と、「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」となった)

  「チエ・マコイ・エ」、TIE-MAKOI-E(tie=abundance,plenty;makoi=deal deceitfully with;e=to denote action in progress or temporary condition)、「何をする・にも・本気ではできない(間隔にある。狭い)」(「チエ」が「シェ」と、「マコイの語尾のI音が「エ」のE音と連結してE音に変化して「マコエ」となった)

  「タイ・マイ・エ」、TAI-MAI-E(tai,taitai=dash,strike,knock;mai=to indicate direction or motion towards,indicating extension of time or space towards the speaker;e=to denote action in progress or temporary condition)、「(すぐ)ぶつかって・しまう・間隔にある(狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「マイ・エ」のIE音がE音に変化して「マエ」または「マェー」となった)

  「タイ・パイ」、TAI-PAI(tai,taitai=dash,strike,knock;pai=good,suitable,agreeable)、「何とか我慢できる程度に・ぶつかる(間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「パイ」が「バイ」となった。また「パイ」のAI音がE音に変化して「ベ」となった)

  「チ・ハエ・パイ」、TI-HAE-PAI(ti=throw,cast;hae=slit,cherish envy or ill feeling,cause pain;pai=good,suitable,agreeable)、「(ぶつかると)何とか我慢できる程度の・痛みが・出る(間隔にある。狭い)」(「チ」が「シ」と、「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」から「ェ」と、「パイ」が「バイ」となった。また「パイ」のAI音がE音に変化して「ベ」となった)

  「チ・ハエ・マイ」、TI-HAE-MAI(ti=throw,cast;hae=slit,cherish envy or ill feeling,cause pain;mai=to indicate direction or motion towards,indicating extension of time or space towards the speaker)、「(ぶつかると)痛みが・出る・間隔にある(狭い)」(「チ」が「シ」と、「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」から「ェ」となった)

  「タイ・パ」、TAI-PA(tai,taitai=dash,strike,knock;pa=touch,reach,strike)、「ぶつかったり・触ったりする(間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「パ」が「バー」となった)

  「タイ・ミヒ・イア」、TAI-MIHI-IA(tai,taitai=dash,strike,knock;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ia=indeed)、「(すぐ)ぶつかって・実に・不愉快になる(狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」から「ャー」となった)

  「チ・ハエ・マハ・カ」、TI-HAE-MAHA-KA(ti=throw,cast;hae=slit,cherish envy or ill feeling,cause pain;maha=many,abundance;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(ぶつかると)たいへん・痛みが・出る・よ(その間隔にある。狭い)」(「チ」が「シ」と、「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」から「ェ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「タイ・パカ」、TAI-PAKA(tai,taitai=dash,strike,knock;paka=quarrel)、「ぶつかると・喧嘩になる(間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「パカ」が「バカ」となった)

  「タイ・マハ・カ」、TAI-MAHA-KA(tai,taitai=dash,strike,knock;maha=many,abundance;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「頻繁に・ぶつかる・よ(その間隔にある。狭い)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「ツ・イ・パタ(ン)ガ」、TU-I-PATANGA(tu=stand,settle;i=beside,from,with,by;patanga=cause,occasion,fruit)、「(肩が触れて喧嘩になるなど)事が起こる・すぐそばの所に・居る(狭い)」(「ツ」が「ッ」と、「パタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パタナ」から「バサン」となった)

  「イ・パタ(ン)ガ」、I-PATANGA(i=beside,from,with,by;patanga=cause,occasion,fruit)、「(肩が触れて喧嘩になるなど)事が起こる・すぐそばの所(に居る。狭い)」(「パタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パタナ」から「バサン」となった)

  「チ・ウメ」、TI-UME(ti=throw,cast;ume=to draw,pull,attract,entice)、「放り出されて・引き寄せあつている(肩が触れあう。狭い)」(「チ」が「シ」と、「ウメ」が「ゥメ」となった)

の転訛と解します。

「ソ」

118そうしき(葬式)・ソーシギ・ダミ・ソースギ・ザラブ・ジャジャンボ・ジャンポン・ジャーボ・ジャンボン・トモライ・オソーシキ・ソーレー・オトボレー・トボリャー・ソーレン・ソーデ・トムライ・オクリ・トムリャー・ノベオクリ・オクイ・ラビ・ダビ・ガンコ・トロキ・チントンカン

 「そうしき」の方言には、北海道、岩手の「ソーシギ」、青森、秋田の「ダミ」、宮城の「ソースギ」、山形の「ザラブ」、福島の「ジャジャンボ」、茨城の「ジャンポン」、栃木の「ジャーボ」、群馬の「ジャンボン」、埼玉の「トモライ」、千葉の「オソーシキ」、新潟の「ソーレー」、山梨の「オトボレー」、静岡の「トボリャー」、愛知、滋賀などの「ソーレン」、三重の「ソーレ」(「ソーレー」と同語源)、和歌山の「ソーデ」、鳥取の「トムライ」、岡山の「オクリ」、佐賀の「トムリャー」、熊本の「ノベオクリ」、宮崎の「ソシキ」(「そうしき」と同語源)、鹿児島の「オクイ」、沖縄那覇の「ラビ」、沖縄首里の「ダビ」があります。

 上記のほか、北海道の「ガンコ」、鳥取の「トロキ」、大分の「チントンカン」(幼児語)などがあります。

 この「そうしき」、「ソーシギ」、「ダミ」、「ソースギ」、「ザラブ」、「ジャジャンボ」、「ジャンポン」、「ジャーボ」、「ジャンボン」、「トモライ」、「オソーシキ」、「ソーレー」、「オトボレー」、「トボリャー」、「ソーレン」、「ソーデ」、「トムライ」、「オクリ」、「トムリャー」、「ノベオクリ」、「オクイ」、「ラビ」、「ダビ」、「ガンコ」、「トロキ」、「チントンカン」は、

  「トウ・チキ」、TOU-TIKI(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;tiki=proceed to do anything,go for a purpose)、「(人生の)最後の・儀式(葬式)」(「トウ」が「ソウ」と、「チキ」が「シキ」となった。また「ソウ」が「ソ」となった)

  「トウ・チ(ン)ギア」、TOU-TINGIA(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;tingia=ti=throw,cast)、「(人生の)最後に・(墓場へ)放り投げられる(儀式。葬式)」(「トウ」が「ソー」と、「チ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「チギ」から「シギ」となった)

  「タミ」、TAMI(press down,completed in weaving)、「(人生の)完了(の儀式。葬式)」(「タミ」が「ダミ」となった)

  「トウ・ツ(ン)ギ」、TOU-TUNGI(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;tungi=set a light to,kindle,burn)、「(人生の)最後に・(死体を)焼く(儀式。葬式)」(「トウ」が「ソー」と、「ツ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「ツギ」から「スギ」となった)

  「タラ・プ」、TARA-PU(tara=loosen,separate;pu=tribe)、「(死者が属する)氏族との・別れ(の儀式。葬式)」(「タラ」が「ザラ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「チアチア・ナポ」、TIATIA-NAPO(tia,tiatia=stick in etc.,adorn by sticking in feathers;napo=last night)、「(人生の)最後の夜に・(鉢巻に鳥毛を挿す=酋長のように飾り立てる)死化粧をする(儀式。葬式)」(「チアチア」が「ジャジャ」と、「ナポ」が「ンボ」となった)

  「チア・ナポ・ナ」、TIA-NAPO-na(tia,tiatia=stick in etc.,adorn by sticking in feathers;napo=last night;na=used after words and clauses to indicate position near or connection with the person addressed)、「(人生の)最後の夜に・(鉢巻に鳥毛を挿す=酋長のように飾り立てる)死化粧を・してあげる(儀式。葬式)」(「チアチア」が「ジャジャ」と、「ナポ」が「ンポ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「タウ・マウ・ラヒ」、TAU-MAU-RAHI(tau=come to rest,settle down,be suitable;mau=fixed,continuing,established;rahi=great,abundant)、「ずっと・長い・休息に入る(儀式。葬式)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「オ・トウ・チキ」、O-TOU-TIKI(o=the...of;tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;tiki=proceed to do anything,go for a purpose)、「例の・(人生の)最後の・儀式(葬式)」(「トウ」が「ソウ」と、「チキ」が「シキ」となった)

  「トウ・ラエ」、TOU-RAE(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;rae=eorehead,temple,headland)、「(人生の)最後の・額を合わせる(別れの挨拶をする儀式。葬式)」(「トウ」が「ソー」と、「ラエ」のAE音がE音に変化して「レ」または「レー」となった)

  「アウト・ポラエ」、AUTO-PORAE(auto=trailing behind,slow,dilatory;porae=anoint)、「(親族が)順々に・死に水を含ませる(儀式。葬式)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「ポラエ」のAE音がE音に変化して「ボレ」から「ボレー」となつた)

  「ト・ポリ・イア」、TO-PORI-IA(to=moisten,wet,anoint;pori=people,tribe)、「実に・親族が・死に水を含ませる(儀式。葬式)」(「ポリ」が「ボリ」と、「イア」が「ヤ」から「ャー」となつた)

  「トウ・ラエ・ナ」、TOU-RAE-NA(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;rae=eorehead,temple,headland;na=used after words and clauses to indicate position near or connection with the person addressed)、「(人生の)最後の・親しく・額を合わせる(別れの挨拶をする儀式。葬式)」(「トウ」が「ソー」と、「ラエ」のAE音がE音に変化して「レ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「トウ・テ」、TOU-TE(tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird;te=crack,emit a sharp explosive sound)、「(人生の)最後の・別れ(の挨拶をする儀式。葬式)」(「トウ」が「ソー」と、「テ」が「デ」となった)

  「タウ・ム・ラヒ」、TAU-MU-RAHI(tau=come to rest,settle down,be suitable;mu=murmur at,show discontent with,silent;rahi=great,abundant)、「ずっと・無言の・休息に入る(儀式。葬式)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「オ・ク・ウリ」、O-KU-URI(o=the...of,provision for a journey;ku=silent,wearied;uri=dark,deep in colour)、「(死後の)暗い・静寂な(世界への)・旅立ちの準備(の儀式。葬式)」(「ク」のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「クリ」となった)

  「タウ・ム・リ・イア」、TAU-MU-RI-IA(tau=come to rest,settle down,be suitable;mu=murmur at,show discontent with,silent;ri=screen,protect,shut out with a screen;ia=indeed)、「実に・この世と別け隔てられた(死後の世界へ入って)・無言の・休息に入る(儀式。葬式)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「ノペ・オ・ク・ウリ」、NOPE-O-KU-URI(nope=constricted(nonope=oppress);o=the...of,provision for a journey;ku=silent,wearied;uri=dark,deep in colour)、「(人の)心を締め付ける・(死後の)暗い・静寂な(世界への)・旅立ちの準備(の儀式。葬式)」(「ク」のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「クリ」となった)

  「オ・ク・ウイ」、O-KU-UI(o=the...of,belonging to,provision for a journey;ku=silent,wearied;ui=disentangle.disengage,relax or loosen a noose)、「(死後の)静寂な・何にも拘束されない(世界への)・旅立ちの準備(の儀式。葬式)」(「ク」のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「クイ」となった)

  「ラ・ハピ」、RA-HAPI(ra=there,yonder;hapi=native oven or cooking pit)、「あの(離れた)場所の・(土に掘った穴で)火葬にする(儀式。葬式)」(「ハピ」のH音が脱落して「ビ」となった)

  「タピ」、TAPI(earth oven)、「(土に掘った穴で)火葬にする(儀式。葬式)」(「タピ」が「ダビ」となった)

  「(ン)ガ・ナコ」、NGA-NAKO(nga=satisfied,content;nako=have much in the thoughts,so (a)desire earnestly,(b)apprehensive of(nakonako=recollection,anxious thought))、「(故人の)思い出を語り合って・満足する(儀式。葬式)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カ」と、「ナコ」が「ンコ」となった)

  「タウ・ロキ」、TAU-ROKI(tau=come to rest,settle down,be suitable;roki=make calm,calm)、「静寂な・休息に入る(儀式。葬式)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チノ・トナ・カナ」、TINO-TONA-KANA(tino=essenciality,reality;tona=used with an adjective in animated coversation to express a superative;kana=stare wildly,bewitch)、「ほんとに・怖い魔物が・魔法をかける(子供はじっと静かにしていなければいけない儀式。葬式)」(「チノ」が「チン」と、「トナ」が「トン」と、「カナ」が「カン」となった)

の転訛と解します。

119そうりょ(僧侶)・ボーサン・ボンズ・オショサン・ボーズ・オッサン・オッサマ・ボーサマ・オボーサン・ホージョーサマ・オテラサマ・ゴワハン・ゴボーサマ・オテラサン・オショケサン・ゴインサン・ボンサン・オジュッサン・オボンサン・オジュッツァン・ボンサマ・ボンサー・ボージ・オデラサマ・ノノサマ・ゴンゲハン・バージ・ゴエンゲンサン・ホージョサン・ゴインゲサン・モシサン・コインギョサン

 「そうりょ」(漢語由来の言葉と解します)の方言には、北海道、茨城などの「ボーサン」、青森の「ボンズ」、岩手の「オショサン」、宮城、群馬の「ボーズ」、秋田、静岡などの「オッサン」、山形、愛知の「オッサマ」、福島、栃木の「ボーサマ」、千葉、岐阜などの「オボーサン」、神奈川の「ホージョーサマ」、新潟の「オテラサマ」、富山の「ゴワハン」、石川の「ゴボーサマ」、福井、広島などの「オテラサン」、山梨の「オショケサン」、長野の「ゴボサマ」(「ゴボーサマ」と同語源)、三重の「ゴインサン」、滋賀、京都などの「ボンサン」、徳島、香川の「オジュッサン」、福岡の「オボンサン」、熊本の「オジュッツァン」、宮崎の「ボンサマ」、鹿児島の「ボンサー」、沖縄那覇・首里の「ボージ」があります。

 上記のほか、青森の「オデラサマ」、秋田の「ノノサマ」、富山の「ゴンゲハン」、島根の「バージ」、「ゴエンゲンサン」、「ホージョサン」、福岡の「ゴインゲサン」(浄土真宗)、「ホージョーサン」(禅宗)(「ホージョサン」と同語源)、大分の「モシサン」、「コインギョサン」などがあります。

 この「ボーサン」、「ボンズ」、「オショサン」、「ボーズ」、「オッサン」、「オッサマ」、「ボーサマ」、「オボーサン」、「ホージョーサマ」、「オテラサマ」、「ゴワハン」、「ゴボーサマ」、「オテラサン」、「オショケサン」、「ゴインサン」、「ボンサン」、「オジュッサン」、「オボンサン」、「オジュッツァン」、「ボンサマ」、「ボンサー」、「ボージ」、「オデラサマ」、「ノノサマ」、「ゴンゲハン」、「バージ」、「ゴエンゲンサン」、「ホージョサン」、「ゴインゲサン」、「モシサン」、「コインギョサン」は、

  「ポウ・タナ」、POU-TANA(pou=pole,support,teacher,expert;tana=his,her,its)、「かの・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ポノ・ツ」、PONO-TU(pono=true,hospitable,bountiful;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「真理を・懸命に追求する(修行する人。僧侶)」(「ポノ」が「ボン」と、「ツ」が「ズ」となつた)

  「オ・チオホ・タナ」、O-TIOHO-TANA(o=the...of;tioho=apprehensive;tana=his,her,its)、「例の・(聡明な)学識が豊かな・彼の人(僧侶)」(「チオホ」のH音が脱落して「チョオ」から「ショ」または「ショー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ポウ・ツ」、POU-TU(pou=pole,support,teacher,expert;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「懸命に修行をする・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボー」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「オ・ツ・タナ」、O-TU-TANA(o=the...of;tu=stand,settle,fight with,energetic;tana=his,her,its)、「例の・懸命に修行をする・人(僧侶)」(「ツ」が「ッ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「オ・ツ・タ・マ」、O-TU-TA-MA(o=the...of;tu=stand,settle,fight with,energetic;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「例の・懸命に修行をする・清らかに・座す(人。僧侶)」(「ツ」が「ッ」と、「タ」が「サ」となった)

  「ポウ・タ・マ」、POU-TA-MA(pou=pole,support,teacher,expert;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「清らかに・座す・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボー」と、「タ」が「サ」となった)

  「オ・ポウ・タナ」、O-POU-TANA(o=the...of;pou=pole,support,teacher,expert;tana=his,her,its)、「例の・かの・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ホウ・チオホ・タ・マ」、HOU-TIOHO-TA-MA(hou=dedicate or initiate a person etc.,establish by rites as above;tioho=apprehensive;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(人に)戒律を授ける・聡明な・清らかに・座す人(僧侶)」(「ホウ」が「ホー」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョオ」から「ジョー」と、「タ」が「サ」となった)

  「アウテ・エラ(ン)ギ・タ・マ」、AUTE-ERANGI-TA-MA(aute=paper mulberry,cloth made from the bark of this tree;erangi=engari=it is better,but,onthe contrary;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(一般の人が着る)桑の木の皮の繊維を織った衣服・よりも上等の衣服を着ている・清らかに・座す人(僧侶)」(「アウテ」のAU音がO音に変化して「オテ」と、「エラ(ン)ギ」のNGI音が脱落して「エラ」と、「オテ」の語尾のE音と「ウラ」の語頭のE音が連結して「オテラ」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ゴ・ワハ(ン)ガ」、NGO-WAHANGA(ngo=cry,grunt;wahanga=waha=mouth,voice,raise up)、「声を張り上げて・説教をする(人。僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ワハ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ワハナ」から「ワハン」となった)

  「(ン)ゴ・ポウ・タ・マ」、NGO-POU-TA-MA(ngo=cry,grunt;pou=pole,support,teacher,expert;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「清らかに・座す・声を張り上げて説教する・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ポウ」が「ボー」または「ボ」と、「タ」が「サ」となった)

  「アウテ・エラ(ン)ギ・タナ」、AUTE-ERANGI-TANA(aute=paper mulberry,cloth made from the bark of this tree;erangi=engari=it is better,but,onthe contrary;tana=his,her,its)、「(一般の人が着る)桑の木の皮の繊維を織った衣服・よりも上等の衣服を着ている・彼の人(僧侶)」(「アウテ」のAU音がO音に変化して「オテ」と、「エラ(ン)ギ」のNGI音が脱落して「エラ」と、「オテ」の語尾のE音と「ウラ」の語頭のE音が連結して「オテラ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「オ・チオ・カイ・タナ」、O-TIO-KAI-TANA(o=the...of;tio=cry,call;kai=fulfil its proper function,have full play;tana=his,her,its)、「例の・声を張り上げて・きちんと説教をする・彼の人(僧侶)」(「チオ」が「チョ」から「ショ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「(ン)ゴ・イネ・タナ」、NGO-INE-TANA(ngo=cry,grunt;ine=ene=flatter,cajole;tana=his,her,its)、「声を張り上げて説教して・人を喜ばせる・彼の人(僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「イネ」が「イン」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ポノ・タナ」、PONO-TANA(pono=true,hospitable,bountiful;tana=his,her,its)、「真理(を追求する)・彼の人(僧侶)」(「ポノ」が「ボン」と、「タナ」が「サン」となつた)

  「オ・チウ・ツ・タナ」、O-TIU-TU-TANA(o=the...of;tiu=soar,wander,swing;tu=stand,settle,fight with,energetic;tana=his,her,its)、「例の・懸命に・流浪しながら修行する・彼の人(僧侶)」(「チウ」が「チュ」から「ジュ」と、「ツ」が「ッ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「オ・ポノ・タナ」、O-PONO-TANA(o=the...of;pono=true,hospitable,bountiful;tana=his,her,its)、「例の・真理(を追求する)・彼の人(僧侶)」(「ポノ」が「ボン」と、「タナ」が「サン」となつた)

  「オ・チウ・ツツ・アナ」、O-TIU-TUTU-ANA(o=the...of;tiu=soar,wander,swing;tutu=move with vigour;ana=his,her)、「例の・懸命に・流浪しながら修行する・彼の人(僧侶)」(「チウ」が「チュ」から「ジュ」と、「ツツ」が「ッツ」と、「アナ」が「アン」となった)

  「ポノ・タ・マ」、PONO-TANA(pono=true,hospitable,bountiful;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「真理(を追求する)・清らかに・座す人(僧侶)」(「ポノ」が「ボン」と、「タ」が「サ」となつた)

  「ポノ・タ」、PONO-TA(pono=true,hospitable,bountiful;ta=dash,beat,lay)、「真理を・追求する(人。僧侶)」(「ポノ」が「ボン」と、「タ」が「サー」となつた)

  「ポウ・チ」、POU-TI(pou=pole,support,teacher,expert;ti=throw,cast)、「放り出されている・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボー」と、「チ」が「ジ」となった)

  「アウテ・エラ(ン)ギ・タ・マ」、AUTE-ERANGI-TA-MA(aute=paper mulberry,cloth made from the bark of this tree;erangi=engari=it is better,but,onthe contrary;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(一般の人が着る)桑の木の皮の繊維を織った衣服・よりも上等の衣服を着ている・清らかに・座す人(僧侶)」(「アウテ」のAU音がO音に変化して「オテ」から「オデ」と、「エラ(ン)ギ」のNGI音が脱落して「エラ」と、「オデ」の語尾のE音と「ウラ」の語頭のE音が連結して「オデラ」と、「タ」が「サ」となった)

  「ノノホ・タ・マ」、NONOHO-TA-MA(noho,nonoho=sit,ssttle,remain;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「取り残されたように(座禅に励む)・清らかに・座す(僧侶)」(「ノノホ」のH音が脱落して「ノノ」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ゴ・(ン)ゲ(ン)ゲ・ハナ」、NGO-NGENGE-HANGA(ngo=cry,grunt;ngenge=fat,weary,tired;hana=shine,glow,flame)、「艶のある・声を張り上げて・輝く(ような説教をする人。僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「(ン)ゲ(ン)ゲ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ネゲ」から「ンゲ」と、「ハナ」が「ハン」となった)

  「パハ・チ」、PAHA-TI(paha=arrive suddenly,attack(whakapaha=exclaim in astonishment,sigh,express regret);ti=throw,cast)、「(死者に対し)哀悼の言葉を・捧げる人(僧侶)」(「パハ」のH音が脱落して「バー」と、「チ」が「ジ」となった)

  「(ン)ゴ・エ・(ン)ゲ(ン)ゲ・タナ」、NGO-E-NGENGE-HANGA(ngo=cry,grunt;e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;ngenge=fat,weary,tired;tana=his,her,its)、「たいへん・艶のある・声を張り上げ(て説教をす)る・彼の人(僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「(ン)ゲ(ン)ゲ」の二番目のNG音がN音に変化して「ンゲネ」から「ンゲン」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ホウ・チオホ・タナ」、HOU-TIOHO-TANA(hou=dedicate or initiate a person etc.,establish by rites as above;tioho=apprehensive;tana=his,her,its)、「(人に)戒律を授ける・(聡明な)学識が豊かな・彼の人(僧侶)」(「ホウ」が「ホー」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョオ」から「ジョ」または「ジョー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「(ン)ゴ・イネ・(ン)ガイ・タナ」、NGO-INE-NGAI-TANA(ngo=cry,grunt;ine=ene=flatter,cajole;ngai=tribe or clan;tana=his,her,its)、「声を張り上げて説教して・人を喜ばせる・種類の・彼の人(僧侶)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「イネ」が「イン」と、「(ン)ガイ」のAI音がE音に変化して「ゲ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「マウ・チヒ・タナ」、MAU-TIHI-TANA(mau=fixed,continuing,comprehended,understood,expressing feelings of horror or admiration;tihi=summit,top;tana=his,her,its)、「学識・最高の・彼の人(僧侶)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「コ・イネ・(ン)ギオ・タナ」、KO-INE-NGIO-TANA(ko=adressing to girls or males;ine=ene=flatter,cajole;ngio=extinguished,faded(ngingio=withered,shrivelled,laugh);tana=his,her,its)、「信者を・喜ばせ・笑わせる・彼の人(僧侶)」(「イネ」が「イン」と、「(ン)ギオ」のNG音がG音に変化して「ギオ」から「ギョ」と、「タナ」が「サン」となった)

の転訛と解します。

120そば(側)・ガワ・ワギ・キワ・ソンバ・ツカグ・ハタ・ネキ・コバ・ニキ・スバ・キンペン

 この「そば」の方言には、北海道、愛媛の「ガワ」、青森、栃木の「ワギ」、岩手、徳島の「キワ」、宮城の「ソンバ」、山形の「ツカグ」、群馬の「ワキ」(「ワギ」と同語源)、埼玉、三重の「ハタ」、福井、岐阜などの「ネキ」、静岡の「コバ」、福岡、佐賀などの「ニキ」、沖縄那覇・首里の「スバ」があります。

 上記のほか、秋田の「ハダ」(「ハタ」と同語源)、熊本の「キンペン」などがあります。

 この「そば」、「ガワ」、「ワギ」、「キワ」、「ソンバ」、「ツカグ」、「ハタ」、「ネキ」、「コバ」、「ニキ」、「スバ」、「キンペン」は、

  「タウパ」、TAUPA(obstruct,prevent,a charm used by a man dying or leaving his wife to withhold her from other men)、「(死に瀕した者がその妻に居てほしいと望む場所)そば(側)」(「タウパ」のAU音がO音に変化して「トパ」から「ソバ」となった)

  「(ン)ガ・ワ」、NGA-WA(nga=satisfied,content;wa=definite space,area)、「(その妻がそこに居ることによって死に瀕した者が)満足する・場所(側)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となった)

  「ワ・アキ」、WA-AKI(wa=definite space,area;aki=dash,abut on)、「(一定の)場所に・隣接する場所(側)」(「ワ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「ワキ」となり、濁音化して「ワギ」となった)

  「キ・ワ」、KI-WA(ki=to(of place),on to,upon,at;wa=definite space,area)、「(一定の)場所に・接する場所(側)」

  「タウ(ン)ガ・ウパ」、TAUNGA-UPA(taunga=resting place,anchorage for canoes;upa=fixed,at rest,satisfied)、「(その妻がそこに居ることによって死に瀕した者が)満足する・休息場所(側)(「タウ(ン)ガ」と「ウパ」が連結し、、二つのAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トノパ」から「ソンバ」となった)

  「ツ・カハ・ハ(ン)グ」、TU-KAHA-HANGU(tu=stand,settle;kaha=rope,boundary line of land etc.,edge;hangu=scrape strips of flax with a shell to make it softer)、「(繊維の表皮を除去したように薄い)狭い(近い)・縁(へり)に・居る(側)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ハ(ン)グ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ハ・タ」、HA-TA(ha=breath,sound;ta=dash,beat,lay)、「(人の)息が・掛かる(場所。側)」(また「タ」が「ダ」となった)

  「ネキ」、NEKI(=nei=to denote proximity to or connection with the speaker)、「接近した(場所。側)」

  「コパ」、KOPA(space in front of a house)、「家の前の場所(側)」(「コパ」が「コバ」となった)

  「ニヒ・キ」、NIHI-KI(nihi,ninihi=steep,move stealthly,come stealthly upon;ki=full,very)、「十分に・(忍び寄った)接近した(場所。側)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となつた)

  「ツパ」、TUPA(start,turn sharply aside,escape)、「(脇に寄った)脇の(場所。側)」(「ツパ」が「スバ」となった)

  「キニ・ペナ」、KINI-PENA(kini=nip,pinch;pena=like that which is near or has some reference to the person addressed,treat,do,take care of,tend)、「密着して・世話を焼く(場所。側)」(「キニ」が「キン」と、「ペナ」が「ペン」となった)

の転訛と解します。

121ぞんざい・ザツ・アラゲネ・アラッポイ・ズンボラ・ヤジャクチャネァ・エックラカゲン・ズボラ・ゾンザエ・イーカゲン・ランボー・エーカゲン・ダダクサ・ノブトイ・ヨイカゲンナ・アラケナイ・オヨソ・ゾンザイナ・ゴツイ・アラクテー・ザマク・アラツカ・アラマシナ・オーチャクナ・ザツカ・バサラカ・ウーバンギャー・ヅッサラシ・ッアーラッパー・アラチナムン・ソマツ・ブッキラボー・ソーバ

 「ぞんざい」の方言には、北海道、群馬の「ザツ」、青森の「アラゲネ」、岩手、福井などの「アラッポイ」、宮城の「ズンボラ」、秋田の「ヤジャクチャネァ」、山形の「エックラカゲン」、福島の「ズボラ」、茨城、栃木の「ゾンザエ」、埼玉、長野の「ゾンゼー」(「ぞんざい」と同語源)、千葉、石川などの「イーカゲン」、神奈川、新潟の「ランボー」、山梨、長崎の「エーカゲン」、岐阜、愛知の「ダダクサ」、三重の「ノブトイ」、滋賀の「ヨイカゲンナ」、京都の「アラケナイ」、大阪の「オヨソ」、奈良の「ゾンザイナ」、和歌山の「ゴツイ」、鳥取の「アラクテー」、島根の「ザマク」、岡山の「アラツカ」、広島の「アラマシナ」、山口の「オーチャクナ」、徳島の「アラクタイ」(「アラクテー」と同語源)、香川の「イカゲン」(「イーカゲン」と同語源)、福岡の「ザツカ」、佐賀の「バサラカ」、熊本の「ウーバンギャー」、宮崎、鹿児島の「ヅッサラシ」、沖縄那覇の「ッアーラッパー」、沖縄首里の「アラチナムン」があります。

 上記のほか、北海道の「ソマツ」、大分の「ブッキラボー」、「ソーバ」などがあります。

 この「ぞんざい」、「ザツ」、「アラゲネ」、「アラッポイ」、「ズンボラ」、「ヤジャクチャネァ」、「エックラカゲン」、「ズボラ」、「ゾンザエ」、「イーカゲン」、「ランボー」、「エーカゲン」、「ダダクサ」、「ノブトイ」、「ヨイカゲンナ」、「アラケナイ」、「オヨソ」、「ゾンザイナ」、「ゴツイ」、「アラクテー」、「ザマク」、「アラツカ」、「アラマシナ」、「オーチャクナ」、「ザツカ」、「バサラカ」、「ウーバンギャー」、「ヅッサラシ」、「ッアーラッパー」、「アラチナムン」、「ソマツ」、「ブッキラボー」、「ソーバ」は、

  「トノ・タイ」、TONO-TAI(tono=bid,command,demand;tai=wave,anger,rage,violence)、「荒々しく・命令するように(ぞんざい)」(「トノ」が「トン」から「ゾン」と、「タイ」が「ザイ」となった。また「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「ゼー」となった)

  「タ・ツ」、TA-TU(ta=dash,beat,lay;tu=fight with,energetic)、「喧嘩腰で・食ってかかるように(ぞんざい)」(「タ」が「ザ」となった)

  「アラヒ・(ン)ゲネ」、ARAHI-NGENE(arahi=lead,escort,carry off as captives;ngene=wrinkle,fold,fat)、「捕虜を引っ立てるような(扱いを)・重ねるように(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」となった)

  「アラヒ・ポイ」、ARAHI-POI(arahi=lead,escort,carry off as captives;poi=swarm,cluster)、「捕虜を引っ立てるような(扱いを)・集めたように(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」から「アラッ」となった)

  「ツ(ン)ガ・ポラ」、TUNGA-PORA(tunga=circumstance or time etc. of standing;pora=large sea-going canoe)、「大きな外洋を航行する船を・(苦労して)繋留するように(ぞんざい)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ズン」と、「ポラ」が「ボラ」となった)

  「イア・チア・ク・チア・ネイ・イア」、IA-TIA-KU-TIA-NEI-IA(ia=that,the said,indeed;tia=slave,servant;ku=silent,wearied;nei,nenei=waggle)、「あの・奴隷や・くたびれた・奴隷が・ただ・動き回っているような(ぞんざい)」(「イア」が「ヤ」と、最初の「チア」が「ジャ」と、次の「チア」が「チャ」と、「ネイ・イア」が「ネァ」となった)

  「エ・クラ・カ(ン)ガ・イナ」、E-KURA-KANGA-INA(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;kura=remove lice from the hair;kanga=curse,abuse,execrate;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis)、「なんと・頭髪のしらみを取るのに・呪文の・力を借りる(ぞんざい)」(「エ」が「エッ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「カガ」の語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音に変化して「カゲナ」から「カゲン」となった)

  「ツ・ポラ」、TU-PORA(tu=stand,settle,fight with,energetic;pora=large sea-going canoe)、「大きな外洋を航行する船を・(苦労して)繋留するように(ぞんざい)」(「ツ」が「ズ」と、「ポラ」が「ボラ」となった)

  「トノ・タエ」、TONO-TAE(tono=bid,command,demand;tae=arrive,extend to,equal)、「全く・命令するように(ぞんざい)」(「トノ」が「トン」から「ゾン」と、「タエ」が「ザエ」となった)

  「イヒ・カ(ン)ガ・イナ」、IHI-KANGA-INA(ihi=shudder,quiver,coward;kanga=curse,abuse,execrate;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis)、「臆病なことに(何をするにも)・呪文の・力を借りる(ぞんざい)」(「イヒ」のH音が脱落して「イー」または「イ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「カガ」の語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音に変化して「カゲナ」から「カゲン」となった)

  「ラ(ン)ゴ・ポウ」、RANGO-POU(rango=roller upon which a heavy body is dragged;pou=post,pole)、「材木を・引っ張って転がすような(ぞんざい)」(「ラ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「ラノ」から「ラン」と、「ポウ」が「ボー」となった)

  「エ・カ(ン)ガ・イナ」、E-KANGA-INA(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;kanga=curse,abuse,execrate;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis)、「なんと(何をするにも)・呪文の・力を借りる(ぞんざい)」(「エ」が「エー」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「カガ」の語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音に変化して「カゲナ」から「カゲン」となった)

  「タタ・クタ」、TATA-KUTA(tata=dash down,strike repeatedly,wag,nod;kuta=encumbrance or clog as old and infirm people on a march)、「足手まといの人が・仕事をするような(ぞんざい)」(「タタ」が「ダダ」と、「クタ」が「クサ」となった)

  「ナウ・プトイ」、NAU-PUTOI(nau,naunau=refuse,angry,take up;putoi=tie in a bunch,adorn with a bunch of anything)、「嫌々・飾りものを作るような(ぞんざい)」(「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」と、「プトイ」が「ブトイ」となった)

?  「イ・オイ・カ(ン)ガ・イナ・ナ」、I-OI-KANGA-INA-NA(i=from,beside,with,by,at;oi=shudder,move continuously,agitate;kanga=curse,abuse,execrate;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis;na=by,belonging to)、「何を・するにも・呪文の・力を借りる・よ(ぞんざい)」(「イ・オイ」が「ヨイ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「カガ」の語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音に変化して「カゲナ」から「カゲン」となった)

  「アラヒ・カイ(ン)ガ・アイ」、ARAHI-KAINGA-AI(arahi=lead,escort,carry off as captives;kainga=refuse of a meal;ai=procreate,beget)、「捕虜を引っ立てるように(荒々しく)・残飯を・作り出すように(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」と、「ケナ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ケナイ」となった)

  「オ・イオ・ト」、O-IHO-TAU(o=the...of;io=tough,hard,obstinate;to=drag,haul)、「例の・乱暴に・(力を入れて)引っ張るような(ぞんざい)」(「イオ」が「ヨ」と、「ト」が「ソ」となった)

  「トノ・タイ・ナ」、TONO-TAI-NA(tono=bid,command,demand;tai=wave,anger,rage,violence;na=by,belonging to)、「荒々しく・命令する・ように(ぞんざい)」(「トノ」が「トン」から「ゾン」と、「タイ」が「ザイ」となった)

  「(ン)ガウ・ツイ」、NGAU-TUI(ngau=bite,hurt,attack;tui=pierce,thread on a string,sew)、「(何で)無理矢理に・縫い合わせてしまうような(ぞんざい)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となつた)

  「アラヒ・クタイタイ」、ARAHI-KUTAITAI(arahi=lead,escort,carry off as captives;kutaitai=of a disagreeable taste)、「嫌なにおいがする・捕虜を引っ立てるように(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」となり、またAI音がE音に変化して「クテ」から「クセー」となった)

  「タ・マク」、TA-MAKU(ta=dash,beat,lay;maku,mamaku=dress timber in a particular waywith the adze)、「(手斧でなく)斧で材木を荒削り・するように(ぞんざい)」(「タ」が「ザ」となった)

  「アラヒ・ツカハ」、ARAHI-TUKAHA(arahi=lead,escort,carry off as captives;tukaha=strenuous,vigorous,hasty)、「捕虜を引っ立てるような(扱いを)・荒々しく(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」となった)

  「アラヒ・マチ・ナ」、ARAHI-MATI-NA(arahi=lead,escort,carry off as captives;mati=surfeited;na=by,belonging to)、「捕虜を引っ立てるような(扱いを)・存分に・するような(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「オ・チア・ク・ナ」、O-TIA-KU-NA(o=the...of;tia=slave,servant;ku=silent,wearied;na=by,belonging to)、「例の・疲れ果てた・奴隷・のような(ぞんざい)」(「オ」が「オー」と、「チア」が「チャ」となった)

  「タ・ツ・カ」、TA-TU-KA(ta=dash,beat,lay;tu=fight with,energetic;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「まあ・喧嘩腰で・食ってかかるように(ぞんざい)」(「タ」が「ザ」となった)

  「パ・タラ・カ」、PA-TARA-KA(pa=touch,reach,strike,prevent,assault;tara=disturb,rough;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「まあ・荒々しく・打って掛かるように(ぞんざい)」(「パ」が「バ」と、「タラ」が「サラ」となった)

  「ウパ・ナ・(ン)ギア」、UPA-NA-NGIA(upa=fixed,settled,at rest,satisfied;na=by,belonging to;ngia=seem,appear to be)、「まるで・休んでいる・ように(ぞんざい)」(「ウパ」が「ウーバ」と、「ナ」が「ン」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギャー」となった)

  「ツツ・タラチ」、TUTU-TARATI(tutu=move with vigour;tarati=spurt,splash)、「噴出するように・勢いよく動く(ぞんざい)」(「ツツ」が「ヅッ」と、「タラチ」が「サラシ」となった)

  「ツ・アラヒ・ツパ」、TU-ARAHI-TUPA(tu=fight with,energetic;arahi=lead,escort,carry off as captives;tupa=rough,hard,barren)、「懸命に・捕虜を引っ立てるような(扱いを)・荒々しく(ぞんざい)」(「ツ」が「ッ」と、「アラヒ」のH音が脱落して「アーラ」と、「ツパ」が「ッパー」となった)

  「アラヒ・チナ・ムナ」、ARAHI-TINA-MUNA(arahi=lead,escort,carry off as captives;tina=fixed,fast,hard,steady;muna=mina=desire,feel incantation for)、「捕虜を引っ立てるような(扱いを)・まじないをされたかのように・荒々しく(ぞんざい)」(「アラヒ」のH音が脱落して「アラ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「タウ・マツ」、TAU-MATU(tau=turn away,look in another direction;matu=fat)、「よそ見・ばかりしている(ぞんざい)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「プツ・キラ・ポウ」、PUTU-KIRA-POU(putu=lie in a heap,lie one upon another;kira=rough,with sharp points;pou=post,pole)、「材木を・乱暴に・積み重ねるような(ぞんざい)」(「プツ」が「ブッ」と、「ポウ」が「ボー」となった)

  「タウ・パ」、TAU-PA(tau=turn away,look in another direction;pa=touch,reach,strike,prevent,assault)、「よそ見しながら・(仕事を)している(ぞんざい)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソー」と、「パ」が「バ」となった)

の転訛と解します。

「タ」

122たこ(凧)・タゴ・ハダ・テンバダ・コバダ・エカ・イカ・ヨーズ・ヤッコ・タカバタ・トーバタ・タツ・タク

 「たこ」の方言には、青森、秋田などの「タゴ」、岩手の「ハダ」、宮城の「テンバダ」、山形の「コバダ」、新潟の「エカ」、石川、福井などの「イカ」、広島、山口の「ヨーズ」、徳島の「ヤッコ」、福岡の「タカバタ」、佐賀の「トーバタ」、長崎の「ハタ」(「ハダ」と同語源)、熊本の「タツ」、沖縄那覇・首里の「タク」があります。

 この「たこ」、「タゴ」、「ハダ」、「テンバダ」、「コバダ」、「エカ」、「イカ」、「ヨーズ」、「ヤッコ」、「タカバタ」、「トーバタ」、「タツ」、「タク」は、

  「タ・カウ」、TA-KAU(ta=the...of,dash,beat,lay;kau=swim,wade)、「例の・(空中を)泳ぐもの(凧)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「パ・アタ」、PA-ATA(pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかな・風に吹かれて(空中に浮かぶもの。凧)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ハタ」から「ハダ」となった)

  「タ・(ン)ガウ」、TA-NGAU(ta=the...of,dash,beat,lay;ngau=wander,go about)、「例の・(空中を)さすらうもの(凧)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「テナ・パ・アタ」、TENA-PA-ATA(tena=encourage,urge forward;pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかな・風に吹かれて・元気に動くもの(凧)」(「テナ」が「テン」と、「パ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「バダ」となった)

  「カウ・パ・アタ」、KAU-PA-ATA(kau=swim,wade;pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかな・風に吹かれて・(空中を)泳ぐもの(凧)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「パ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「バダ」となった)

  「エカ」、EKA((Hawaii)name of a wind at leeward)、「風下へ向かって(風を受けて揚げるもの。凧)」
  「エ・カハ」、E-KAHA(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;kaha=rope)、「縄を・引いて揚げるもの(凧)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「ヒ・カハ」、HI-KAHA(hi=raise,rise;kaha=rope)、「縄(を引いて)・揚げるもの(凧)」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「イホ・ツ」、IHO-TU(iho=up above,from above;tu=fight with,energetic)、「上に向かって・懸命に(飛び上がるもの。凧)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨー」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「イア・ツ・カウ」、IA-TU-KAU(ia=indeed;tu=fight with,energetic;kau=swim,wade)、「実に・懸命に・(空中を)泳ぐもの(凧)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「タカ・パ・アタ」、TAKA-PA-ATA(taka=heap,heap up;pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかな・風に吹かれて・(空中に)高く揚がるもの(凧)」(「パ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「バタ」となった)

  「タウ・パ・アタ」、TAU-PA-ATA(tau=come to rest,float;pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかな・風に吹かれて・(空中に)浮かぶもの(凧)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「トー」と、「パ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「バタ」となった)

  「タハ・ツ」、TAHA-TU(taha=side,pass on one side,go by;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(空中を)左右に動くもの(凧)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「タハ・ク」、TAHa-KU(taha=side,pass on one side,go by;ku=silent,wearied)、「静かに・(空中を)左右に動くもの(凧)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

の転訛と解します。

123たち(質)・タズ・ショーブン・コンジョー・ネ・ドコンジョ・ウマレショー・ショー・シャーレ・トー・ショーネ・コッ・ソーシチ・ンマリ

 「たち」の方言には、青森、岩手などの「タジ」(「たち」と同語源)、宮城、山形の「タズ」、福島、長野の「ショーブン」、新潟の「タツ」(「タズ」と同語源)、石川の「コンジョー」、山梨の「ネ」、岐阜の「ドコンジョ」、兵庫の「ウマレショー」、奈良の「ショー」、鳥取の「シャーレ」、岡山の「トー」、熊本、大分の「ショーネ」、宮崎の「コンジョ」(「コンジョー」と同語源)、鹿児島の「コッ」、沖縄那覇の「ソーシチ」、沖縄首里の「ンマリ」があります。

 この「たち」、「タズ」、「ショーブン」、「コンジョー」、「ネ」、「ドコンジョ」、「ウマレショー」、「ショー」、「シャーレ」、「トー」、「ショーネ」、「コッ」、「ソーシチ」、「ンマリ」は、

  「タ・アチ」、TA-ATI(ta=the...of;ati=offspring,descendant,clan)、「例の(人間の)・性質(質)」(「タ」のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「タチ」または「タジ」となつた)

  「タ・ツ」、TA-TU(ta=the...of;tu=manner,sort)、「例の(人間の)・性質(質)」(「ツ」が「ズ」となつた)

  「チオフ・プ(ン)ガ」、TIOHO-PUNGA(tioho=apprehensive;punga=reason,cause,origin)、「(物事を)心配する・血統(性格。質)」(「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショー」と、「プ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「プナ」から「ブン」となった)

  「コナ・チオフ」、KONA-TIOHU(kona,konakona=to defuse,spread about,affection;tioho=apprehensive)、「(物事を)心配する・強い感情(性格。質)」(「コナ」が「コン」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョー」となった)

  「ネヘ」、NEHE(ancient times,old age)、「(古くから伝えられた)性質(質)」(「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となつた)

  「ト・コナ・チオフ」、TO-KONA-TIOHU(to=be pregnant,be conceived in the womb;kona,konakona=to defuse,spread about,affection;tioho=apprehensive)、「心の中に抱いている・(物事を)心配する・強い感情(性格。質)」(「ト」が「ド」と、「コナ」が「コン」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョー」または「ジョ」となった)

  「ウマ(ン)ガ・レヘ・チオフ」、UMANGA-REHE-TIOHU(umanga=pursuit,business,accustomed,habituated;rehe=intensive;tioho=apprehensive)、「(物事を)心配する・強い・習慣となった性格(質)」(「ウマ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウマ」と、「レヘ」のH音が脱落して「レ」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショー」となった)

  「チオフ」、TIOHU(apprehensive)、「(物事を)心配する(性格。質)」(「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショー」となった)

  「チ・アレ」、TI-ARE(ti=throw,cast,overcome;are,areare=open,clear of obstruction)、「(人の本質を)覆い隠すものを・剥ぎ取る(残った本質、性格。質)」(「チ・アレ」が「チャレ」から「シャーレ」となった)

  「ト」、TO(be pregnant,be conceived in the womb)、「心の中に抱いている(性格。質)」(「ト」が「トー」となった)

  「チオフ・ネヘ」、TIOHU-NEHE(tioho=apprehensive;nehe=ancient times,old age)、「(物事を)心配する・古くからの(感情、性格。質)」(「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショー」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となった)

  「コ・ツ」、KO-TU(ko=descend,cause to descend;tu=stand,settle)、「(先祖から)遺伝した(もの。性質)が・ある(質)」(「ツ」が「ッ」となった)

  「ト・チチ」、TO-TITI(to=be pregnant,be conceived in the womb;titi=peg,stick in pegs etc.)、「(身体に)結びつけられた・(心の中に)抱いている(性質。質)」(「ト」が「ソー」と、「チチ」が「シチ」となった)

  「ヌマ(ン)ガ・アリ」、NUMANGA-ARI(numanga=disappearance;ari=clear,visible,appearance,guise)、「(人間の)外観からは・見えないもの(性質。質)」(「ヌマ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ヌマ」となり、その語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ヌマリ」から「ンマリ」となった)

の転訛と解します。

124たにし(田螺)・ツブ・ツンブコ・ツブラッコ・タノシ・タツボ・ツボ・ツボドン・タネシ・タバイ・タンガイ・ニシ・タニーナ・ビナ・ターンナ

 「たにし」の方言には、岩手、秋田などの「ツブ」、宮城の「ツンブコ」、栃木の「ツブラッコ」、埼玉、和歌山などの「タノシ」、千葉、三重の「タツボ」、山梨の「ツボ」、愛知の「ツボドン」、兵庫、奈良などの「タネシ」、徳島の「タバイ」、高知の「タンガイ」、熊本の「ニシ」、大分の「タニーナ」、鹿児島の「ビナ」、沖縄那覇・首里の「ターンナ」があります。

 この「たにし」、「ツブ」、「ツンブコ」、「ツブラッコ」、「タノシ」、「タツボ」、「ツボ」、「ツボドン」、「タネシ」、「タバイ」、「タンガイ」、「ニシ」、「タニーナ」、「ビナ」、「ターンナ」は、

  「タ(ン)ガ・ニヒ・イチ」、TANGA-NIHI-ITI(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;nihi=steep,move stealthly;iti=small)、「田(や沼など)に棲む・(巻き貝の先が)細く・小さい(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となり、そのI音と「イチ」の語頭のI音が連結して「ニチ」から「ニシ」となった)

  「ツ(ン)ガ・プ」、TUNGA-PU(tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;pu=tribe,bunch,bundle)、「田(や沼など)に棲む・群集しているもの(貝。田螺)」(「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「ツ(ン)ガ・プ・コ」、TUNGA-PU-KO(tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;pu=tribe,bunch,bundle;ko=addressing girls and males)、「田(や沼など)に棲む・群集している・奴(貝。田螺)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「ツ(ン)ガ・プ・ラコ」、TUNGA-PU-RAKO(tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;pu=tribe,bunch,bundle;rako=New Zealand dotterel)、「田(や沼など)に棲む・群集している・(コバシチドリのように)容易に捕まえられる奴(貝。田螺)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツン」と、「プ」が「ブ」と、「ラコ」が「ラッコ」となった)

  「タ(ン)ガ・ノチ」、TANGA-NOTI(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;noti=pinch,contract)、「田(や沼など)に棲む・群集しているもの(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「ノチ」が「ノシ」となった)

  「タ(ン)ガ・ツ(ン)ガ・ポ」、TANGA-TUNGA-PO(tanga=circumstance or place of dashing or laying eyc.;tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;po,popo=crowded round,throng)、「田(や沼など)に棲む・群集して・いるもの(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」と、「ポ」が「ボ」となった)

  「ツ(ン)ガ・ポ」、TUNGA-PO(tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;po,popo=crowded round,throng)、「田(や沼など)に棲む群集して・いるもの(貝。田螺)」(「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」と、「ポ」が「ボ」となった)

  「ツ(ン)ガ・ポ・トヌ」、TUNGA-PO-TONU(tunga=circumstance or time etc. of standing,site,foundation;po,popo=crowded round,throng;tonu=denoting continuance,quite,just)、「全く・田(や沼など)に棲む・群集しているもの(貝。田螺)」(「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」と、「ポ」が「ボ」と、「トヌ」が「ドン」となった)

  「タ(ン)ガ・ネヘ・エチ」、TANGA-NEHE-ETI(tanga=circumstance or time etc. of standing;nehe=small fresh-water fish?;eti=shrink,recoil)、「田(や沼など)に棲む・(淡)水(に棲む)の・ちぢこまっているもの(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「ネヘ」のH音が脱落して「ネ」となり、そのE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ネチ」から「ネシ」となった)

  「タ(ン)ガ・パイ」、TANGA-PAI(tanga=circumstance or place of dashing od laying etc.;pai=good,excellent)、「田(や沼など)に棲む・(バイ貝のように)味の良いもの(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「パイ」が「バイ」となった)

  「タ(ン)ガ・(ン)ガイ、TANGA-NGAI(tanga=circumstance or place of dashing od laying etc.;ngai,ngaingai=cockle shell)、「田(や沼など)に棲む・(鳥貝のような)貝(田螺)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」となった)

  「ニヒ・イチ」、NIHI-ITI(nihi=steep,move stealthly;iti=small)、「(巻き貝の先が)細く・小さい(貝。田螺)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となり、そのI音と「イチ」の語頭のI音が連結して「ニチ」から「ニシ」となった)

  「タ(ン)ガ・ニヒ・ナ」、TANGA-NIHI-NA(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;nihi=steep,move stealthly;na=by,belonging to)、「田(や沼など)に棲む・(巻き貝の先が)細い・方に属する(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニー」となった)

  「ピ(ン)ガ(ン)ガ」、PINGANGA(lean,shrunk)、「()()」(「ピ(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ピナ」から「ビナ」となった)

  「タ(ン)ガ・ナ」、TANGA-NA(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;na=by,belonging to)、「田(や沼など)に棲む・種類の(貝。田螺)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ターン」となった)

の転訛と解します。

125たぶん(多分)・キットモッテ・キット・オーガダ・オソラグ・マチガイネク・ドーセ・オーカタ・テァーゲァー・タェーガェー・タイガイ・タイテ・ナンデン・ッイヤリン・タシカ・キットカ

 「たぶん」の方言には、北海道の「キットモッテ」、岩手、埼玉の「キット」、宮城の「タンブン」(「たぶん」と同語源)、山形の「オーガダ」、福島の「オソラグ」、栃木の「マチガイネク」、群馬の「ドーセ」、石川、福井などの「オーカタ」、岐阜の「テァーゲァー」、愛知の「タェーガェー」、奈良、広島などの「タイガイ」、高知の「タイテ」、宮崎の「テゲ」(「タイガイ」と同語源)、鹿児島の「ナンデン」、沖縄那覇の「ッイヤリン」、沖縄首里の「テーゲー」(「タイガイ」と同語源)があります。

 上記のほか、岩手の「タシカ」、新潟の「キットカ」があります。

 この「たぶん」、「キットモッテ」、「キット」、「オーガダ」、「オソラグ」、「マチガイネク」、「ドーセ」、「オーカタ」、「テァーゲァー」、「タェーガェー」、「タイガイ」、「タイテ」、「ナンデン」、「ッイヤリン」、「タシカ」、「キットカ」は、

  「タ(ン)ガ・プヌイ」、TANGA-PUNUI(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;punui=close together,near)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)近い・ところにある(多分)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「プヌイ」のI音が脱落して「プン」となった。また「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「キ・イ・ト・モテ」、KI-I-TO-MOTE(ki=full,very;i=beside;to=drag,haul;mote=suck,draw in the breath audibly indicating pain or fear)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)たいへん・近いところへ・来ていて・息の音が聞こえるところに近づいている(多分)」(「キ」のI音と「イ」のI音が連結して「キッ」と、「モテ」が「モッテ」となった)

  「キ・イ・ト」、KI-I-TO(ki=full,very;i=beside;to=drag,haul)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)たいへん・近いところへ・来ている(多分)」(「キ」のI音と「イ」のI音が連結して「キッ」となった)

  「アウ・(ン)ガタ」、AU-NGATA(au=firm,intense;ngata=appeased,satisfied)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)近くて・満足できる(内容。多分)」(「アウ」のAU音がOU音に変化して「オー」と、「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」から「ガダ」となった)

  「アウト・ラク」、AUTO-RAKU(auto=trailing behind,protract;raku=scratch,scrape)、「(不確かであるが推測するとそれは事実の)後ろをそのまま・なぞっている(内容。多分)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オソ」と、「ラク」が「ラグ」となった)

  「マ・チ(ン)ガ・アイ・ネク」、MA-TINGA-AI-NEKU(ma=for,to be acted on by,to emphasis the subject of a verb in the future;tinga=likely;ai=substantive;neku,nekuneku=decline as the sun)、「(不確かであるが推測するとそれは)本当に・事実・らしい・(今天にある)太陽がやがて沈むのと同じように(多分)」(「チ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チガ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チガイ」となった)

  「トフ・タイ」、TOHU-TAI(tohu=mark,proof,point out,show;tai=the other side)、「(不確かであるが推測するとそれは)もう一方の側である(よく似ている)ことが・明らかになる(多分)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ドー」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「アウ・カハ・タ」、AU-KAHA-TA(au=firm,intense;kaha=boundary line of land etc.,edge;ta=dash,beat,lay)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)近い・縁(へり)に・いる(多分)」(「アウ」のAU音がOU音に変化して「オー」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「タイア・(ン)ゲア」、TAIA-NGEA(taia=neap of the tide;ngea=very numerous,abundant)、「(不確かであるが推測するとそれは事実と)(たくさん)たいへん・(干満差が最小の小潮のように)差が少ない(多分)」(「タイア」のAI音がE音に変化して「テア」から「テァー」と、「(ン)ゲア」のNG音がG音に変化して「ゲア」から「ゲァー」となった)

  「タエ・(ン)ガエ」、TAE-NGAE(tae=arrive,reach,equal;ngae=heel,umbilical cord)、「(不確かであるが推測するとそれは事実の)後ろについて行くような・それと同等のもの(多分)」(「タエ」が「タェー」と、「(ン)ガエ」のNG音がG音に変化して「ガエ」から「ガェー」となった)

  「タイ・(ン)ガイ」、TAI-NGAI(tai=the other side;ngai=tribe or clan)、「(不確かであるが推測するとそれは事実の)もう一方の側である(よく似ている)・部類に属する(多分)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」となった。また「タイ」」のAI音がE音に変化して「テ」または「テー」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」または「ゲー」となった)

  「タイ・テ」、TAI-TE(tai=the other side;te=to make an emphatic statement)、「(不確かであるが推測するとそれは事実の)実に・もう一方の側である(よく似ている)(多分)」

  「ナナ・タイ(ン)ガ」、NANA-TAINGA(nana=by or velonging to him or her;tainga=tai=the other side)、「(不確かであるが推測するとそれは事実の)もう一方の側である(よく似ている)・(部類に)属する(多分)」(「ナナ」が「ナン」と、「タイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「テナ」から「テン」、「デン」となった)

  「ツイ・イア・リノ」、TUI-IA-RINO(tui=pierce,lace,sew;ia=indeed;rino=twisted cord of two or more strands)、「(不確かであるが推測するとそれは事実と)(紐を作る)二本の糸で・それぞれ・縫った(縫い目の)ように(よく似ている)(多分)」(「ツイ」が「ッイ」と、「イア」が「ヤ」と、「リノ」が「リン」となった)

  「タ(ン)ガ・チカ」、TANGA-TIKA(tanga=circumstance or place of dashing or laying etc.;tika=straight,direct)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)最短の・ところにある(多分)」(「タ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「タ」と、「チカ」が「シカ」となった)

  「キ・イ・ト・カ」、KI-I-TO-KA(ki=full,very;i=beside;to=drag,haul;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(不確かであるが推測するとそれは事実に)たいへん・近いところへ・来ている・ね(多分)」(「キ」のI音と「イ」のI音が連結して「キッ」となった)

の転訛と解します。

126だめ(駄目)・ワガンナイ・マネ・ワガネァ・ワガラネァ・オイネー・アカン・ダチャカン・ササラホーサラ・ダシカン・イケン・オエン・ワヤ・イカン・ツマラン・シミャーナットッ・デケン・ボク・ナラン・ボクジャーノー・スッタリジャーノー・ワッサン・ヤナムン

 「だめ」の方言には、北海道の「ワガンナイ」、青森の「マネ」、岩手の「ワガネァ」、宮城の「ワガンネー」(「ワガンナイ」と同語源)、秋田の「ワガラネァ」、山形、福島の「ワガンネ」(「ワガンナイ」と同語源)、千葉の「オイネー」、富山、三重などの「アカン」、石川の「ダチャカン」、山梨の「ササラホーサラ」、岐阜の「ダシカン」、愛知の「ダチカン」(「ダシカン」と同語源)、鳥取、島根などの「イケン」、岡山の「オエン」、広島、高知の「ワヤ」、香川、愛媛の「イカン」、福岡の「ツマラン」、佐賀の「シミャーナットッ」、長崎の「デケン」、熊本の「ボク」、沖縄那覇・首里の「ナラン」があります。

 上記のほか、和歌山の「アカナ」(「アカン」と同語源)、大分の「ボクジャーノー」、「スッタリジャーノー」、沖縄首里の「ワッサン」、「ヤナムン」などがあります。

 この「だめ」、「ワガンナイ」、「マネ」、「ワガネァ」、「ワガラネァ」、「オイネー」、「アカン」、「ダチャカン」、「ササラホーサラ」、「ダシカン」、「イケン」、「オエン」、「ワヤ」、「イカン」、「ツマラン」、「シミャーナットッ」、「デケン」、「ボク」、「ナラン」、「ボクジャーノー」、「スッタリジャーノー」、「ワッサン」、「ヤナムン」は、

  「タ・マイ」、TA-MAI(ta=the ...of,dash,beat,lay;mai=become quiet)、「例の(気に入らない気持ちを表す)・黙りこくる(駄目)」(「タ」が濁音化して「ダ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「ワカナ・ナイ」、WHAKANA-NAI(whakana=make grimaces;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「(気に入らない気持ちを表す)手を広げて・しかめっつらをする(駄目)」(「ワカナ」が濁音化して「ワガナ」から「ワガン」となった。また「ナイ」のAI音がE音に変化して「ネ」または「ネー」となった)

  「マネヘネヘ」、MANEHENEHE(querulous,peevish)、「不平たらたらの(駄目)」(反復語尾の「ネヘ」が脱落し、さらにH音が脱落して「マネ」となった)

  「ワカナ・イア」、WHAKANA-IA(whakana=make grimaces;ia=indeed)、「(気に入らない気持ちを表す)手を広げて・しかめっつらをする(駄目)」(「ワカナ」が濁音化して「ワガナ」となり、その語尾のA音と「イア」の語頭のI音が連結してE音に変化して「ワガネア」から「ワガネァ」となった)

  「ワ・(ン)ガラ・ナイ・イア」、WHA-NGARA-NAI-IA(wha=be disclosed,get abroad;ngara=snarl;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out;ia=indeed)、「(気に入らない)気持ちを表して・怒鳴って・実に・手を広げる(駄目)」(「(ン)ガラ」のNG音がG音に変化して「ガラ」と、「ナイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「ネア」から「ネァ」となった)

  「オイ・ネイ」、OI-NEI(oi=shout;nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「(気に入らない気持ちを表す)手を広げて・叫び声を上げる(駄目)」(「ネイ」が「ネー」となった)

  「ア・カナ」、A-KANA(a=the...of,drive,urge,compel;kana=stare wildly,bewitch)、「(気に入らない気持ちを表す)強く・睨み据える(駄目)」(「カナ」が「カン」となった)

  「タ・チ・イア・カナ」、TA-TI-IA-KANA(ta=the...of,dash,beat,lay;ti=throw,cast;ia=indeed;kana=stare wildly,bewitch)、「例の・(気に入らない気持ちを)実に・投げ掛けて・睨み据える(駄目)」(「タ」が「ダ」と、「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チア」から「チャ」と、「カナ」が「カン」となった)

  「タタラ・ホウ・タラ」、TATARA-HOU-TARA(tara,tatara=peak,disturb,affect by incantations,gossip;hou=bind,lash together)、「障害が・障害を・呼び込んでいる(うまくいかない状態だ)」(「タタラ」が「ササラ」と、「ホウ」が「ホー」と、「タラ」が「サラ」となった)

  「タ・チ・カナ」、TA-TI-KANA(ta=the...of,dash,beat,lay;ti=throw,cast;kana=stare wildly,bewitch)、「例の・(気に入らない気持ちを)投げ掛けて・睨み据える(駄目)」(「タ」が「ダ」と、「チ」が「チ」または「シ」と、「カナ」が「カン」となった)

  「イ・カイ(ン)ガ」、I-KAINGA(i=from,in comparison with,be reason of;kainga=refuse of a meal as a cockle shells etc.)、「(気に入らない気持ちを表して)とても・食えたものじゃない(駄目)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「アウエ・ナ」、AUE-NA(aue=expressing astonishment or distress,groan;na=by,belonging to)、「(気に入らない気持ちを表して)とても・悲しい(駄目)」(「アウエ」のAU音がO音に変化して「オエ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ワイア」、WAIA(wet,watery,watered)、「(湿ってはいけないものが)湿ってしまった(駄目)」(「ワイア」が「ワヤ」となった)

  「イ・カナ」、I-KANA(i=from,in comparison with,be reason of;kana=stare wildly,bewitch)、「(気に入らない気持ちを表す)じっと・睨み据える(駄目)」(「カナ」が「カン」となった)

  「ツマツマ・ラ(ン)ガ」、TUMATUMA-RANGA(tumatuma=quarrelsome;ranga=raise,cast up)、「気に入らない気持ちが)口論を・引き起こす(駄目)」(「ツマツマ」の反復語尾が脱落して「ツマ」と、「ラ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ラナ」から「ラン」となった)

  「チ・ミア(ン)ガ・ナツ・タウツヒ」、TI-MIANGA-NATU-TAUTUHI(ti=throw,cast;mianga=urinal;natu=scratch,show ill feeling,angry;tautuhi=indicate,define)、「おしっこを・して(または振りまいて)・怒っていることを・示す(駄目)」(「チ」が「シ」と、「ミア(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ミア」から「ミャー」と、「ナツ」が「ナッ」と、「タウツヒ」のAU音がO音に変化し、H音が脱落して「トッ」となった)

  「テ・カイ(ン)ガ」、TE-KAINGA(te=to make an emphatic statement;kainga=refuse of a meal as a cockle shells etc.)、「(気に入らない気持ちを表して)とても・食えたものじゃない(駄目)」(「テ」が「デ」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「パウク」、PAUKU(a thick closely woven cloak of flax which when dipped in water served as a protection from spear thrusts)、「(槍を防ぐ上着のように気に入らないものを)決して受け付けない(駄目)」(「パウク」のAU音がO音に変化して「ボク」となつた)

  「(ン)ガラ・ナ」、NGARA-NA(ngara=snarl;na=by,belonging to)、「(気に入らない気持ちを表して)怒鳴って・いるような(駄目)」(「(ン)ガラ」のNG音がN音に変化して「ナラ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「パウク・チア(ン)ゴ」、PAUKU-TIANGO(pauku=a thick closely woven cloak of flax which when dipped in water served as a protection from spear thrusts;tiango=shrunk,contracted)、「(槍を防ぐ)防護衣を・身にぴったりと付けている(気に入らないものは決して受け付けない)(駄目)」(「パウク」のAU音がO音に変化して「ボク」と、「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「ジャーノー」となつた)

  「ツツ・タリ・チア(ン)ゴ」、TUTU-TARI-TIANGO(tutu=move with vigour,set on fire,violent,vigorous;tari=urge,incite;tiango=shrunk,contracted)、「荒々しく・激発する感情を・身にぴったりと付けている(気に入らないものに対してすぐに反発する)(駄目)」(「ツツ」が「スッ」と、「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「ジャーノー」となつた)

  「ワ・ツタ(ン)ガ」、WHA-TUTANGA(wha=be disclosed,get abroad;tutanga=portion,division)、「細かい部分を・明らかにする(重箱の隅をつつく)(駄目)」(「ツタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツタナ」から「ッサン」となった)

  「イア・ナム・ナ」、IA-NAMU-NA(ia=indeed;namu.nanamu=smart,tingle,sting,irritate;na=by,belonging to)、「実に・ちくちくと刺す・ような(気に入らない気持ちを表す)(駄目)」(「イア」が「ヤ」と、「ナ」が「ン」となった)

の転訛と解します。

127だらしない・シドゲネ・ダラシネァ・ダラスネー・ダラシネ・ヤチャクチャナエ・ダラシ・ダラシノナイ・ダラクセー・シダラナイ・ダラシガネー・シミッタレ・ブショッタェー・ラチモナェー・ダラクサイ・ダダ・キタナイ・ダラシガナイ・ダラシガニャー・ダラズ・ホートクナイ・ショータレトル・ショータレゲナ・ンダンダクサナ・ズルタラシー・ダラシナカ・ザマニャー・タエガネー・ダチモネ・ズッサラシ・ララー・ダラー・ショータレナ・オイサンガシモン・シカトムナカ・ビッタリ・ケダラシー

 「だらしない」の方言には、青森の「シドゲネ」、岩手の「ダラシネァ」、宮城の「ダラスネー」、秋田、福島などの「ダラシネ」、山形の「ヤチャクチャナエ」、栃木、群馬などの「ダラシ」、神奈川の「ダラシノナイ」、新潟の「ダラシネァー」(「ダラシネァ」と同語源)、福井の「ダラクセー」、山梨の「シダラナイ」、長野の「ダラシガネー」、岐阜の「シミッタレ」、静岡の「ブショッタェー」、愛知の「ラチモナェー」、兵庫の「ダラクサイ」、奈良の「ダダ」、和歌山の「キタナイ」、島根の「ダラシガナイ」、岡山の「ダラシガニャー」、広島の「ダラズ」、山口の「ホートクナイ」、徳島の「ショータレトル」、香川の「ショータレゲナ」、高知の「ンダンダクサナ」、福岡の「ズルタラシー」、佐賀、長崎の「ダラシナカ」、熊本の「ザマニャー」、大分の「タエガネー」、宮崎の「ダチモネ」、鹿児島の「ズッサラシ」、沖縄那覇の「ララー」、沖縄首里の「ダラー」があります。

 上記のほか、福井の「ショータレナ」(着物の着方が)、高知の「オイサンガシモン」(整理が)、福岡の「シカトムナカ」、「ビッタリ」(女性に対して使う)、大分の「ダラシー」(「ダラシ」と同語源)、「ケダラシー」などがあります。

 この「だらしない」、「シドゲネ」、「ダラシネァ」、「ダラスネー」、「ダラシネ」、「ヤチャクチャナエ」、「ダラシ」、「ダラシノナイ」、「ダラクセー」、「シダラナイ」、「ダラシガネー」、「シミッタレ」、「ブショッタェー」、「ラチモナェー」、「ダラクサイ」、「ダダ」、「キタナイ」、「ダラシガナイ」、「ダラシガニャー」、「ダラズ」、「ホートクナイ」、「ショータレトル」、「ショータレゲナ」、「ンダンダクサナ」、「ズルタラシー」、「ダラシナカ」、「ザマニャー」、「タエガネー」、「ダチモネ」、「ズッサラシ」、「ララー」、「ダラー」、「ショータレナ」、「オイサンガシモン」、「シカトムナカ」、「ビッタリ」、「ケダラシー」は、

  「タラ・チ・ナイ」、TARA-TI-NAI(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「締まりがなく・投げやりの・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「チ・タウケ・ネイ」、TI-TAUKE-NEI(ti=throw,cast;tauke=apart,separate;nei=stretched forward,reaching out)、「投げやりで・バラバラの(締まりがない)・ままである(だらしない)」(「チ」が「シ」と、「タウケ」のAU音がO音に変化して「トケ」から「ドケ」と、「ネイ」が「ネ」となった)

  「タラ・チ・ナイ・イア」、TARA-TI-NAI-IA(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast;nai=nei=stretched forward,reaching out;ia=indeed)、「実に・締まりがなく・投げやりの・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」となり、「ナイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結し、そのAI音がE音に変化して「ネア」から「ネァ」または「ネァー」となった)

  「タラ・ツ・ネイ」、TARA-TU-NEI(tara=loosen,separate,brisk;tu=stand,settle,fight with,energetic;nei=stretched forward,reaching out)、「締まりがない・ことに精を出した・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「ツ」が「ス」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「タラ・チ・ネイ」、TARA-TI-NEI(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast;nei=stretched forward,reaching out)、「締まりがなく・投げやりの・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」と、「ネイ」が「ネ」となった)

  「イア・チ・イア・クチア・ナエ」、IA-TI-IA-KUTIA-NAE(ia=indeed;ti=throw,cast;kutia=kuti=draw tightly together,contract,pinch;nae,naenae=failing of breath)、「実に・放り投げてあったり・実に・積み上げてあったりして・息を飲む(声が出ない)(だらしない)」(「イア」が「ヤ」と、「チ・イア」が「チャ」と、「クチア」が「クチャ」となった)

  「タラ・チ」、TARA-TI(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast)、「締まりがなく・投げやりな(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」または「シー」となった)

  「タラ・チノ・ナイ」、TARA-TINO-NAI(tara=loosen,separate,brisk;tino=essenciality,self,reality;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「実に・締まりがない・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チノ」が「シノ」となった)

  「タラ・クテ」、TARA-KUTE(tara=loosen,separate,brisk;kute,kutekute=lazy,confused)、「締まりがなく・不精(怠惰)である(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「クテ」が「クセー」となった)

  「チ・タラ・ナイ」、TI-TARA-NAI(ti=throw,cast;tara=loosen,separate,brisk;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「投げやりで・締まりがない・ままである(だらしない)」(「チ」が「シ」と、「タラ」が「ダラ」となった)

  「タラ・チ(ン)ガ・ネイ」、TARA-TINGA-NEI(tara=loosen,separate,brisk;tinga=likely;nei=stretched forward,reaching out)、「締まりがない・ように思われる・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チガ」から「シガ」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「チ・ミチ・タレ」、TI-MITI-TARE(ti=throw,cast;miti=a heavy stone from which weapons were made;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon)、「(武器を作る)硬い石を・(加工することなく)そのまま・放っておく(だらしない)」(「チ」が「シ」と、「ミチ」が「ミッ」となった)

  「プチオ・タエ」、PUTIO-TAE(putio=prickly;tae=arrive,reach,extend to of space or time)、「厄介なことを・いたずらに放置する(だらしない)」(「プチオ」が「ブショ」から「ブショッ」と、「タエ」が「タェー」となった)

  「ラ・チモフ・ナエ」、RA-TIMOHU-NAE(ra=by way of;timohu=asthma,wheezing;nae,naenae=failing of breath)、「喘息の・発作で・息ができない(声が出ない)(だらしない)」(「チモフ」のH音が脱落して「チモ」と、「ナエ」が「ナェー」となった)

  「タラ・クタイタイ」、TARA-KUTAITAI(tara=loosen,separate,brisk;kutaitai=of a disagreeable taste)、「締まりがなく・不愉快な感じを与える(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった)

  「タタ」、TATA(dash down,break in pieces by dashing on the ground)、「散らかしている(だらしない)」(「タタ」が「ダダ」となった)

  「キ・タ・ナイ」、KI-TA-NAI(ki=full,very;ta=dash,beat,lay;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「たくさんの・壊れたものが・広げられている(だらしない)」

  「タラ・チ(ン)ガ・ナイ」、TARA-TINGA-NAI(tara=loosen,separate,brisk;tinga=likely;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「締まりがない・ように思われる・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チガ」から「シガ」となった)

  「タラ・チ(ン)ガ・ニア」、TARA-TINGA-NIA(tara=loosen,separate,brisk;tinga=likely;(Hawaii)nia=malicious gossip or accusation,slanderous)、「締まりがない・ように思われる・という意地悪な噂(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チガ」から「シガ」と、「ニア」が「ニャー」となった)

  「タラ・ツ」、TARA-TU(tara=loosen,separate,brisk;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「締まりがない・ことに精を出している(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「ホウト・ク・ナイ」、HOU-TOKU-NAI(houto=the ripe fruit of poporo;ku=silent,wearied,exhausted;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「熟した果物を・腐らせる・ままにする(だらしない)」(「ホウト」が「ホート」となった)

  「チオホ・タレ・トル」、TIOHO-TARE-TORU(tioho=apprehensive;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon;toru=toro=extend,creep,stretch forth)、「心配事を・たなざらしのまま・放っておく(だらしない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショー」となった)

  「チオホ・タレ・(ン)ゲネ」、TIOHO-TARE-NGENE(tioho=apprehensive;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon;ngene=fat)、「心配事を・たなざらしにして・(肥らせる)大きくする(だらしない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショー」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲナ」となった)

  「(ン)ガタ・(ン)ガタ・クタ・ナ」、NGATA-NGATA-KUTA-NA(ngata=appeased,satisfied;kuta=encumbrance or clog as old and infirm people on a march;na=by,belonging to)、「満足して・苦労無しの・厄介者・の部類に属する(だらしない)」(「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」と、「クタ」が「クサ」となった)

  「ツル・タラ・チ」、TURU-TARA-TI(turu,tuturu=fixed,permanent;tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast)、「ずっと・締まりがなく・投げやりである(だらしない)」(「ツル」が「ズル」と、「チ」が「シー」となった)

  「タラ・チ・ナカ」、TARA-TI-NAKA(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast;naka=move in a certain direction)、「締まりがなく・投げやりの・ままである(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「タ・マニア」、TA-MANIA(ta=the...of;mania=slippery,sliding readly over another object)、「例の・ぬらりくらりとしてしっかりしていない(だらしない)」(「タ」が「ザ」と、「マニア」が「マニャー」となった)

  「タエ・(ン)ガネヘネヘ」、TAE-NGANEHENEHE(tae=arrive,reach,extend to of space or time;nganehenehe=querulous,peevish)、「いくら怒られても(不平を言われても)・いたずらに放置する(だらしない)」(「(ン)ガネヘネヘ」の反復語尾とH音が脱落し、NG音がG音に変化して「ガネー」となった)

  「タ・チモフ・ナエ」、TA-TIMOHU-NAE(ta=the...of;timohu=asthma,wheezing;nae,naenae=failing of breath)、「例の・喘息(の発作)で・息ができない(声が出ない)(だらしない)」(「タ」が「ダ」と、「チモフ」のH音が脱落して「チモ」と、「ナエ」のAE音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ツツ・タラ・チ」、TUTU-TARA-TI(tutu=insubordinate,violent,summon,assemble;tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast)、「締まりがなく・投げやりなところが・集まっている(だらしない)」(「ツツ」が「ズッ」と、「タラ」が「サラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ララ」、RARA(be scattered,rush in disorder,stampede)、「(家畜の群れが列を乱して逃げまどうように)しっかりしていない(だらしない)」(「ララ」が「ララー」となった)

  「タラ」、TARA(loosen,separate,brisk)、「締まりがない(だらしない)」(「タラ」が「ダラー」となった)

  「チオホ・タレ・ナ」、TIOHO-TARE-NA(tioho=apprehensive;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon;na=by,belonging to)、「心配事を・たなざらしのままにしておく・部類に属する(だらしない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショー」となった)

  「オ・イタ・(ン)ガチ・モノ」、O-ITA-NGATI-MONO(o=the...of;ita=tight,fast;ngati=tribe or clan;mono=caulk,disable by means of incantations)、「例の・人の力を奪う呪文を掛けられて・(身体の)力が抜けてしまった人々と同じ部類の・小さくなっている人(だらしない)」(「イタ」が「イサ」と、「(ン)ガチ」が「ンガチ」から「ンガシ」と、「モノ」が「モン」となった)

  「チ・カト・ムナ・カ」、TI-KATO-MUNA-KA(ti=throw,cast;kato=flowing,flood;muna=tell pr speak of privately,gossip,secret;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「潮流に・放り出されたように(ただ漂っているだけのようだ)・と噂されている・ね(だらしない)」(「チ」が「シ」となった)

  「ピ・ツ・タリ」、PI-TU-TARI(pi=young of birds or chick;tu=stand,settle,fight with,energetic;tari=urge,incite)、「幼鳥が・必死に・行動しようとあがいているような(だらしない)」(「ピ」が「ビ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「ケ・タラ・チ」、KE-TARA-TI(ke=different,strange;tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast)、「奇妙に・締まりがなく・投げやりな(だらしない)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シー」となった)

の転訛と解します。

128だるい(怠い・懈い)・カッタルイ・コウェー・ナンギー・ダヤイ・モノイ・テキネー・ケッタリー・カンダリー・ツツナェー・エライ・シンドイ・ダイ・タイギー・シンダイ・ダラシカ・キツカ・ダラシ・ラルサン・ダルサン・キテネー・エラェー・ヒジー・キチー・ズンダレチョッ

 「だるい」の方言には、北海道の「カッタルイ」、岩手の「ダル」(「だるい」と同語源)、宮城の「コウェー」、秋田、鹿児島の「ダリ」(「だるい」と同語源)、山形の「コワエ」(「コウェー」と同語源)、茨城、栃木などの「カッタリー」(「カッタルイ」と同語源)、新潟の「ナンギー」、富山の「ダヤイ」、石川の「モノイ」、福井の「テキネー」、山梨の「ケッタリー」、岐阜の「ケダルイ」(「ケッタリー」と同語源)、静岡の「カンダリー」、愛知の「ツツナェー」、三重、滋賀などの「エライ」、京都、大阪などの「シンドイ」、島根、香川の「ダイ」、岡山の「ダリー」(「だるい」と同語源)、広島の「タイギー」、徳島の「シンダイ」、福岡、熊本の「ダラシカ」、佐賀、長崎の「キツカ」、大分の「ダイー」(「ダイ」と同語源)、宮崎の「ダラシ」、沖縄那覇の「ラルサン」、沖縄首里の「ダルサン」があります。

 上記のほか、福井の「キテネー」(度合が大きい)、愛知の「エラェー」、大分の「ヒジー」、「キチー」、鹿児島の「ズンダレチョッ」(服装や態度が)などがあります。

 この「だるい」、「カッタルイ」、「コウェー」、「ナンギー」、「ダヤイ」、「モノイ」、「テキネー」、「ケッタリー」、「カンダリー」、「ツツナェー」、「エライ」、「シンドイ」、「ダイ」、「タイギー」、「シンダイ」、「ダラシカ」、「キツカ」、「ダラシ」、「ラルサン」、「ダルサン」、「キテネー」、「エラェー」、「ヒジー」、「キチー」、「ズンダレチョッ」は、

  「タ・ルヒ」、TA-RUHI(ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)けだるさに・襲われる(だるい)」(「タ」が「ダ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」または「ル」となった。また「ルイ」のUI音がI音に変化して「リ」または「リー」となった)

  「カ・タ・ルヒ」、KA-TA-RUHI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)どうも・けだるさに・襲われる(だるい)」(「カ」が「カッ」と、「タ」が「ダ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」となった。また「ルイ」のUI音がI音に変化して「リー」となった)

  「カウワエ」、KAUWAE(chin,a term of contempt for a lazy fellow)、「(ぐうたらな怠け者のように)だるそうな(だるい)」(「カウワエ」のAU音がO音に変化して「コワエ」となり、さらにAE音がE音に変化して「コウェー」(「コヱー」)となった)

  「(ン)ガ(ン)ギ」、NGANGI(cry of distress,noise)、「(ああ疲れ果てた)身体が動かない(だるい)」(「(ン)ガ(ン)ギ」の最初のNG音がN音に変化して「ナンギ」から「ナンギー」となった)

  「タ・イア・ウイ」、TA-IA-UI(ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ia=indeed;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「(身体が)実に・打撃を受けて・力が抜けてしまった(だるい)」(「タ」が「ダ」と、「イア」が「ヤ」と、「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」となつた)

  「モノ・ウイ」、MONO-UI(mono=caulk,disable by means of incantations;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「人の力を奪う呪文を掛けられたように・(身体の)力が抜けてしまった(だるい)」(「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」となつた)

  「テキ・ネイ」、TEKI-NEI(teki=scrape lightly,drift with the anchor down but not touching the bottom;nei=stretched forward,reaching out)、「(下ろした碇が海底に届いていない船が漂流するように)ふらふらと・動き回る(だるい)」(「ネイ」が「ネー」となった)

  「ケ・タ・ルヒ」、KE-TA-RUHI(ke=different,strange;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)奇妙に・けだるさに・襲われる(だるい)」(「ケ」が「ケッ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」となり、そのUI音がI音に変化して「リー」となった。また「タ」が「ダ」と、「ルヒ」が「ルイ」となった)

  「カナ・タ・ルヒ」、KANA-TA-RUHI(kana=stare wildly,bewitch;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)魔法に掛けられたように・けだるさに・襲われる(だるい)」(「カナ」が「カン」と、「タ」が「ダ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」となり、そのUI音がI音に変化して「リー」となった)

  「ツツ・ナエ」、TUTU-NAE(tutu=insubordinate,violent,summon,assemble;nae,naenae=failing of breath)、「続けて・息ができない(身体が動かせない)(だるい)」(「ナエ」が「ナェー」となった)

  「エ・ライ」、E-RAI(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;rai=ribbed,furrowed)、「(顔に)深い・皺を寄せている(だるい)」

  「チナ・トイ」、TINA-TOI(tina=fixed,satisfied,exhausted,overcome;toi=tip,summit,finger,toe)、「手足が(または最高に)・疲れ果てた(だるい)」(「チナ」が「シナ」から「シン」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「タ・ウイ」、TA-UI(ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「(身体が)打撃を受けて・力が抜けてしまった(だるい)」(「タ」が「ダ」と、「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」または「イー」となつた)

  「タ・ウイ・(ン)ギア」、TA-UI-NGIA(ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose;ngia=seem,appear to be)、「(身体が)打撃を受けて・力が抜けてしまった・ように思われる(だるい)」(「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギー」となつた)

  「チナ・タ・ウイ」、TINA-TA-UI(tina=fixed,satisfied,exhausted,overcome;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「(身体が)打撃を受けて・力が抜けて・疲れ果ててしまった(だるい)」(「チナ」が「シナ」から「シン」と、「タ」が「ダ」と、「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」となつた)

  「タラ・チ・カ」、TARA-TI-KA(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast,overcome;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(身体の)力が抜けて・ぐったりしている・ね(だるい)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「キヒ・ツ・カ」、KIHI-TU-KA(kihi=cut off,destroy completely;tu=fight with,energetic;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「徹底的に・殺されるほどに痛めつけられたような(身体が自由に動かない)(だるい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」となった)
  または「キ・ツヒ・カ」、KI-TUHI-KA(ki=full,very;tuhi=conjure,invoke with proper ceremonies;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「何回も・呪文を唱えて助けを求めるような(身体が自由に動かない)(だるい)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツ」となった)

  「タラ・チ」、TARA-TI(tara=loosen,separate,brisk;ti=throw,cast,overcome)、「(身体の)力が抜けて・ぐったりしている(だるい)」(「タラ」が「ダラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ラ・ルヒ・タナ」、RA-RUHI-TANA(ra=by way of;ruhi=weak,languid,exhausted;tana=his,her,its)、「彼の・(身体が)消耗した・ことによって(だるく)なった(だるい)」(「ルヒ」のH音が脱落して「ル」と、「タナ」が「サン」となった)

  「タ・ルヒ・タナ」、TA-RUHI-TANA(ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted;tana=his,her,its)、「彼の・(身体が)けだるさに・襲われる(だるい)」(「タ」が「ダ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ル」と、「タナ」が「サン」となった)

  「キヒ・テネ」、KIHI-TENE(kihi=cut off,destroy completely;tene=be importunate)、「しつこく・殺されるほどに痛めつけられたような(身体が自由に動かない)(だるい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「テネ」が「テネー」となった)

  「エ・ラエ」、E-RAE(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;rae=forehead,temple(whakarae-look anyone in the face,lie exposed))、「(身体が)ぐったりとして・(地面に)横たわっている(だるい)」(「ラエ」が「ラェー」となった)

  「ヒ・チ」、HI-TI(hi=make a hissing noise;ti=throw,cast)、「(あまりの疲れに)悲鳴を・上げる(だるい)」(「チ」が「ジー」となった)

  「キヒ・チヒ」、KIHI-TIHI(kihi=cut off,destroy completely;tihi=summit,top)、「最高に・殺されるほどに痛めつけられたような(身体が自由に動かない)(だるい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チー」となった)

  「ツ(ン)ガ・タレ・チオホ」、TUNGA-TARE-TIOHO(tunga=circumstance or time etc. of standing,foundation;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon;tioho=apprehensive)、「(疲れのあまり)立ち方が・ふらふらとして・心配な状態である(だるい)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ズン」と、「タレ」が「ダレ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョ」から「チョッ」となった

の転訛と解します。

「チ」

129ちいさい(小さい)・チッチャイ・ツッチェ・チャッケー・チチャコエ・チンコエ・チッケー・チンチェー・チックイ・チーセァー・チッコイ・コマイ・コミャー・コマカ・チンコメ・コマンカ・グマサン・グナサン・チャンコイ・チンコイ・チャッコイ・チッチャコイ・チッチャケ・チンチェ・チックナエ・チンメー

 「ちいさい」の方言には、北海道、神奈川などの「チッチャイ」、青森、秋田などの「チッチェ」(「チッチャイ」と同語源)、岩手の「ツッチェ」、宮城、千葉の「チャッケー」、山形の「チチャコエ」、茨城、新潟の「チンコエ」、栃木の「チッケー」、群馬、埼玉の「チッチェー」(「チッチャイ」と同語源)、東京、京都の「チーサイ」(「ちいさい」と同語源)、石川の「チンチェー」、福井の「ッチェー」(「ツッチェ」と同語源)、山梨の「チックイ」、長野、静岡の「チーセー」(「ちいさい」と同語源)、岐阜、愛知の「チーセァー」、大阪、奈良の「チッコイ」、兵庫、鳥取などの「コマイ」、和歌山の「チチャイ」(「チッチャイ」と同語源)、岡山の「コミャー」、香川の「コンマイ」(「コマイ」と同語源)、福岡、長崎などの「コマカ」、佐賀の「コーマカ」(「コマカ」と同語源)、大分の「コンメー」(「コマイ」と同語源)、宮崎の「チンコメ」、鹿児島の「コマンカ」、沖縄那覇の「グマサン」、沖縄首里の「グナサン」があります。

 上記のほか、北海道の「チャンコイ」、「チンコイ」、「チャッコイ」、「チッチャコイ」、秋田の「チッチャケ」、福島の「チンチェ」、静岡の「チックナエ」、大分の「チンメー」などがあります。

 この「ちいさい」、「チッチャイ」、「ツッチェ」、「チャッケー」、「チチャコエ」、「チンコエ」、「チッケー」、「チンチェー」、「チックイ」、「チーセァー」、「チッコイ」、「コマイ」、「コミャー」、「コマカ」、「チンコメ」、「コマンカ」、「グマサン」、「グナサン」、「チャンコイ」、「チンコイ」、「チャッコイ」、「チッチャコイ」、「チッチャケ」、「チンチェ」、「チックナエ」、「チンメー」は、

  「チヒ・イタ・アイ」、TIHI-ITA-AI(tihi=summit,top;ita=tight,fast;ai=denoting an action or state consequent upon some previous action)、「最高に・縮こまって・いる(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「チ・イタ」が「チイサ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「チイサイ」または「チーサイ」となった。また「チーサイ」の語尾のAI音がE音に変化して「チーセー」となった)

  「チヒ・チ・アイ」、TIHI-TI-AI(tihi=summit,top;ti=throw,cast,overcome;ai=denoting an action or state consequent upon some previous action)、「最高に・いる(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」または「チッ」と、「チ・アイ」が「チャイ」となった。また「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」から「ェ」または「ェー」となった)

  「ツ・チ・アイ」、TU-TI-AI(tu=fight with,energetic;ti=throw,cast,overcome;ai=denoting an action or state consequent upon some previous action)、「懸命に・(圧倒された)圧縮されて・いる(小さい)」(「ツ」が「ツッ」と、「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」から「ェ」または「ェー」となった)

  「チヒ・イア・カイ」、TIHI-IA-KAI(tihi=summit,top;ia=indeed;kai=consume,eat,food)、「最高に・実に・(食べ尽くす)減耗した(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「チヒ・チ・イア・コエ」、TIHI-TI-IA-KOE(tihi=summit,top;ti=throw,cast,overcome;ia=indeed;(Hawaii)koe=worm of any kind)、「実に・最高に・(圧倒された)圧縮されている・(小さい)虫のような(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「チ・イア」が「チャ」となった)

  「チ(ン)ガ・コエ」、TINGA-KOE(tinga=likely;(Hawaii)koe=worm of any kind)、「(小さい)虫・のような(小さい)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」となった)

  「チヒ・カイ」、TIHI-KAI(tihi=summit,top;kai=consume,eat,food)、「最高に・(食べ尽くす)減耗した(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「チ(ン)ガ・チ・アイ」、TINGA-TI-AI(tinga=likely;ti=throw,cast,overcome;ai=denoting an action or state consequent upon some previous action)、「(圧倒された)圧縮されて・いる・ような(小さい)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」と、「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」から「ェー」となった)

  「チヒ・クイ」、TIHI-KUI(tihi=summit,top;kui=short of food,weak,stunted)、「最高に・(食べ尽くした)減耗した(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」となった)

  「チヒ・イタ・エア」、TIHI-ITA-EA(tihi=summit,top;ita=tight,fast;ea=rise,be brought to land,appear above the surface)、「最高に・縮こまって・(出現して)いる(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「チ・イタ」が「チイサ」となり、その語尾のA音と「エア」の語頭のE音が連結してE音に変化して「チイセア」から「チーセァー」となった)

  「チヒ・コイ」、TIHI-KOI(tihi=summit,top;(Hawaii)koi=a small tree(Coprosma kauensis))、「最高に・小さな(アカネ科の常緑)低木のような(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」となった)

  「コマエ」、KOMAE(shrunk,withered)、「縮こまっている(小さい)」(「コマエ」の語尾のE音がI音に変化して「コマイ」となった。また「コマイ」が強調されて「コンマイ」となった。また「コマエ」のAE音がE音に変化して「コメ」から「コンメー」となった)

  「コマエ・イア」、KOMAE-IA(komae=shrunk,withered;ia=indeed)、「実に・縮こまっている(小さい)」(「コマエ」の語尾のAE音がE音からI音に変化して「コミ」と、「イア」が「ヤ」から「ャー」となった)

  「コマエ・カ」、KOMAE-KA(komae=shrunk,withered;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「縮こまっている・ね(小さい)」(「コマエ」の語尾のE音が脱落して「コマ」または「コーマ」となった)

  「チ(ン)ガ・コマエ」、TINGA-KOMAE(tinga=likely;komae=shrunk,withered)、「縮こまっている・ような(小さい)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」と、「コマエ」のAE音がE音に変化して「コメ」となった)

  「コママ・カ」、KOMAMA-KA(komama=soft,light in weight;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「軽い・ね(小さい)」(「コママ」の語尾のA音が脱落し、M音がN音に変化して「コマン」となった)

  「(ン)グ(ン)グ・マ・タナ」、NGUNGU-MA-TANA(ngungu=eat greedily;ma=white,clean;tana=his,her,its)、「彼の・(清らかに)ただ・(食べ尽くした)減耗した(小さい)」(「(ン)グ(ン)グ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「グ」と、「タナ」が「サン」となつた)

  「(ン)グ(ン)グ・ナ・タナ」、NGUNGU-NA-TANA(ngungu=eat greedily;na=by,belonging to;tana=his,her,its)、「彼の・(食べ尽くした)減耗した・部類に属する(小さい)」(「(ン)グ(ン)グ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「グ」と、「タナ」が「サン」となつた)

  「チヒ・アノ・コイ」、TIHI-ANO-KOI(tihi=summit,top;ano=denoting continuance of action or state;(Hawaii)koi=a small tree(Coprosma kauensis))、「最高に・全く・小さな(アカネ科の常緑)低木のような(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」となり、「チ・アノ」が「チャン」となった)

  「チ(ン)ガ・コイ」、TINGA-KOI(tinga=likely;(Hawaii)koi=a small tree(Coprosma kauensis))、「小さな(アカネ科の常緑)低木・のような(小さい)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」となった)

  「チヒ・イア・コイ」、TIHI-IA-KOI(tihi=summit,top;ia=indeed;(Hawaii)koi=a small tree(Coprosma kauensis))、「最高に・実に・小さな(アカネ科の常緑)低木のような(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「イア」が「ヤ」から「ャッ」となった)

  「チヒ・チ・イア・コイ」、TIHI-TI-IA-KOI(tihi=summit,top;ti=throw,cast,overcome;ia=indeed;(Hawaii)koi=a small tree(Coprosma kauensis))、「最高に・(圧倒された)圧縮されて・実に・小さな(アカネ科の常緑)低木のような(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」と、「チ・イア」が「チャ」となった)

  「チヒ・チ・イア・ケ」、TIHI-TI-IA-KE(tihi=summit,top;ti=throw,cast,overcome;ia=indeed;ke=different,strange)、「最高に・(圧倒された)圧縮されている・実に・奇妙な(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」と、「チ・イア」が「チャ」となった)

  「チ(ン)ガ・チ・アイ」、TINGA-TI-AI(tinga=likely;ti=throw,cast,overcome;ai=denoting an action or state consequent upon some previous action)、「(圧倒された)圧縮されて・いる・ような(小さい)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」と、「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」から「ェ」となった)

  「チヒ・クイ・ナヘ」、TIHI-KUI-NAHE(tihi=summit,top;kui=short of food,weak,stunted;nahe=alone,only)、「最高に・ただ・(食べ尽くした)減耗した(小さい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「チッ」と、「クイ」の語尾のI音が脱落して「ク」と、「ナヘ」のH音が脱落して「ナエ」となった)

  「チナ・マイ」、TINA-MAI(tina=fixed,exhausted,overcome;mai=to indicate direction or motion towards)、「(消耗)減耗・した(小さい)」(「チナ」が「チン」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メー」となった)

の転訛と解します。

130ちょっと・チョベット・ワンツカ・ペァッコ・ワンチカ・チェット・チット・チョックラ・チットンベー・チットバカ・チョッコシ・チョッコ・チョボット・チビット・チョビット・チョットコバ・チクト・チョコット・ッウフィ・イットゥチ・チトコ・チント

 「ちょっと」の方言には、北海道、宮城の「チョベット」、青森の「ワンツカ」、岩手の「ペァッコ」、秋田の「ワンチカ」、山形の「チェット」、福島、茨城などの「チット」、栃木の「チョックラ」、栃木、群馬などの「チットンベー」、新潟の「チットバカ」、富山、島根の「チョッコシ」、福井の「チョッコ」、岐阜、兵庫などの「チート」(「チット」と同語源)、静岡、熊本の「チーット」(「チット」と同語源)、愛知、滋賀の「チョボット」、大阪、和歌山の「チビット」、奈良の「チイト」(「チット」と同語源)、広島、徳島などの「チョビット」、香川の「チョットコバ」、高知の「チクト」、福岡の「チョコット」、大分の「チットー」(「チット」と同語源)、沖縄那覇の「ッウフィ」、沖縄首里の「イットゥチ」があります。

 上記のほか、秋田の「チトコ」、福島の「チント」などがあります。

 この「ちょっと」、「チョベット」、「ワンツカ」、「ペァッコ」、「ワンチカ」、「チェット」、「チット」、「チョックラ」、「チットンベー」、「チットバカ」、「チョッコシ」、「チョッコ」、「チョボット」、「チビット」、「チョビット」、「チョットコバ」、「チクト」、「チョコット」、「ッウフィ」、「イットゥチ」、「チトコ」、「チント」は、

  「チ・アウ・タウ」、TI-AU-TAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;tau=come to rest,come to anchor)、「(圧縮した)短い・休息を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となり、「チ・オ・ト」が「チョト」から「チョット」となった)

  「チ・アウ・ペ・タウ」、TI-AU-PE-TAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;pe=crashed,soft,like;tau=come to rest,come to anchor)、「(圧縮した)短い・休息に・似た時間を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」と、「ペ」が「ベッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「ワニ・ツカハ」、WANI-TUKAHA(wani=scrape,graze;tukaha=vigorous,hasty,passionate)、「急いで・(軽く触れるように)掻き取る(ほんのすこし(御飯を椀に盛るなど))」(「ワニ」が「ワン」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」となった)

  「ペ・アツ・カウ」、PE-ATU-KAU(pe=crashed,soft,like;atu=to indicate a direction or motion onwards;kau=swim,wade)、「ほんの・一(ひと)・泳ぎする(間)(ちょっと)」(「ペ」が「ベ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ワナ・チカ」、WHANA-TIKA(whana=travel,be on the point of;tika=straight,direct)、「(二地点の間を)最短で・旅行する(その間)(ちょっと)」(「ワナ」が「ワン」となった)

  「チ・エ・タウ」、TI-E-TAU(ti=throw,cast;e=to denote action inprogress or temporary condition;tau=come to rest,come to anchor)、「一時的な・休息を・とる(ちょっと)」(「チ・エ」が「チェッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チ・トト」、TI-TOTO(ti=throw,cast;toto=ooze,trickle)、「一滴づつ・注ぐ(ような。ちょっと)」(「チ」が「チッ」または「チー」、「チイ」、「チーッ」と、「トト」の反復語尾が脱落して「ト」となった)

  「チ・アウ・クラ」、TI-AU-KURA(ti=throw,cast;au=firm,intent;kura=remove lice from the hair(kurakura=excrement))、「(圧縮した)短い・用を・足す(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「チ・オ」が「チョ」から「チョッ」となった)

  「チ・タウ・ナペ」、TI-TAU-NAPE(ti=throw,cast;tau=come to rest,come to anchor;nape=say falteringly,missay)、「ためらいながら・休息を・とる(ちょっと)」(「チ」が「チッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ナペ」が「ンベー」となった)

  「チ・タウ・パカ」、TI-TAU-PAKA(ti=throw,cast;tau=come to rest,come to anchor;paka=quarrel)、「口論を・中断して休息を・とる(ちょっと)」(「チ」が「チッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「パカ」が「バカ」となった)

  「チ・アウ・コチ」、TI-AU-KOTI(ti=throw,cast;au=firm,intent;koti=devide,interrupt)、「(圧縮した)短い(時間・距離の)・中座を・する(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」から「チョッ」と、「コチ」が「コシ」となった)

  「チ・アウ・カウ」、TI-AU-KAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;kau=swim,wade)、「(圧縮した)短い(時間・距離の)・一泳ぎ・する(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」から「チョッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「チ・アウ・ポ・タウ」、TI-AU-PO-TAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;po,popo=pat with the hand;tau=come to rest,come to anchor)、「手を軽く打つほどの・(圧縮した)短い・休息を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」と、「ポ」が「ボッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チピ・タウ」、TIPI-TAU(tipi=slice,glide,go quickly or smoothly;tau=come to rest,come to anchor)、「(速やかに終わる)短い・休息(ちょっと)」(「チピ」が「チビッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チ・アウ・ピ・タウ」、TI-AU-PI-TAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;pi,pipi=ooze,soak in;tau=come to rest,come to anchor)、「(圧縮した)短い・水が滴るほどの・休息を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」と、「ピ」が「ビッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チ・アウ・タウ・コパ」、TI-AU-TAU-KOPA(ti=throw,cast;au=firm,intent;tau=come to rest,come to anchor;kopa=pass by,disappear,fly away)、「(圧縮した)短い・すぐに終わる・休息を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」から「チョッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」、「コパ」が「コバ」ととなった)

  「チ・クイ・タウ」、TI-KUI-TAU(ti=throw,cast;kui=short of food,weak,stunted;tau=come to rest,come to anchor)、「(食べ尽くした)減耗した・休息を・とる(ちょっと)」(「クイ」の語尾のI音が脱落して「ク」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「チ・アウ・カウ・タウ」、TI-AU-KAU-TAU(ti=throw,cast;au=firm,intent;kau=swim,wade;tau=come to rest,come to anchor)、「(圧縮した)短い・一泳ぎするほどの・休息を・とる(ちょっと)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「チョ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」から「コッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「ツ・ウ・フイ」、TU-U-HUI(tu=manner,sort;u=be firm,be fixed,reach its limit;hui=be affected with cramp,twitch)、「こむらがえり(など一時的なけいれん、しびれなど)が・治まる・までの作法(しばらく痛みを我慢してじっと待機する)(ちょっと)」(「ツ」が「ッ」と、「フイ」が「フィ」となった)

  「イ・タウ・チ」、I-TAU-TI(i=simply transitive,with,by,at;tau=come to rest,come to anchor;ti=throw,cast)、「休息を・与え・る(ちょっと)」(「イ」が「イッ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「トゥ」となった)

  「チ・タウ・カウ」、TI-TAU-KAU(ti=throw,cast;tau=come to rest,come to anchor;kau=swim,wade)、「一泳ぎするほどの・休息を・とる(ちょっと)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「チ(ン)ガ・タウ」、TINGA-TAU(tinga=likely;tau=come to rest,come to anchor)、「休息・のような(ちょっと)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

の転訛と解します。

131ちらかす(散らかす)・ブッチラカス・カチャクチャドシ・ツラガス・フツラガス・シッチャラガス・カッチラガス・ウッチラカス・ヒッチラカス・シッチラカス・ホーリッパナシニスル・ワヤクスル・モタモタニスル・オッチラカス・チラケル・サンコニスル・ヒキチラカス・サバク・ヒックリカエス・ヒコズリサガス・ヒロゲサガス・ワヤニスル・ヒキサンガス・ホイチラカス・ホッチラカス・チラバカス・カチホーラカスン・チラカスン・サンバラマキニスル

 「ちらかす」の方言には、北海道、千葉の「ブッチラカス」、青森の「カチャクチャドシ」、岩手、宮城の「ツラガス」、秋田の「チラガス」(「ちらかす」と同語源)、山形の「フツラガス」、福島の「シッチャラガス」、茨城の「カッチラガス」、栃木、福岡の「ウッチラカス」、群馬、静岡の「ヒッチラカス」、埼玉の「シッチラカス」、神奈川の「ホーリッパナシニスル」、富山の「ワヤクスル」、石川の「モタモタニスル」、山梨の「オッチラカス」、岐阜、三重などの「チラケル」、兵庫の「サンコニスル」、和歌山の「ヒキチラカス」、広島の「サバク」、山口の「ヒックリカエス」、徳島の「ヒコズリサガス」、香川の「ヒロゲサガス」、愛媛の「ワヤニスル」、高知の「ヒキサンガス」、佐賀の「ホイチラカス」、熊本の「ホッチラカス」、大分の「ヒキサガス」(「ヒキサンガス」と同語源)、宮崎の「チラバカス」、沖縄那覇の「カチホーラカスン」、沖縄首里の「チラカスン」があります。

 上記のほか、愛知の「サンバラマキニスル」などがあります。

 この「ちらかす」、「ブッチラカス」、「カチャクチャドシ」、「ツラガス」、「フツラガス」、「シッチャラガス」、「カッチラガス」、「ウッチラカス」、「ヒッチラカス」、「シッチラカス」、「ホーリッパナシニスル」、「ワヤクスル」、「モタモタニスル」、「オッチラカス」、「チラケル」、「サンコニスル」、「ヒキチラカス」、「サバク」、「ヒックリカエス」、「ヒコズリサガス」、「ヒロゲサガス」、「ワヤニスル」、「ヒキサンガス」、「ホイチラカス」、「ホッチラカス」、「チラバカス」、「カチホーラカスン」、「チラカスン」、「サンバラマキニスル」は、

  「チ・ラカ・ツ」、TI-RAKA-TU(ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「放り投げ・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ツ」が「ス」となった。また「ラカ」が濁音化して「ラガ」となった)

  「プ・チ・ラカ・ツ」、PU-TI-RAKA-TU(pu=tribe,bunch,heap;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「塊を・放り投げ・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ツ」が「ス」となった)

  「カチ・イア・クチア・トチ」、KATI-IA-KUTIA-TOTI(kati=leave off,cease,be left in statu quo;kutia=kuti=draw tightly together,contract,pinch;toti=limp,halt)、「実に・それがあったままに放り出してあったり・積み上げてあったりして・(足が止まる)足の踏み場もない(散らかす)」(「カチ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「カチア」から「カチャ」と、「クチア」が「クチャ」と、「トチ」が「ドシ」となった)

  「ツ・ラカ・ツ」、TU-RAKA-TU(tu=fight with,energetic,stand,settle;raka=be entangled,spread around)、「せっせと・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ラカ」が濁音化して「ラガ」と、最後の「ツ」が「ス」となった)

  「フ・ツ・ラカ・ツ」、HU-TU-RAKA-TU(hu=hill,promontory;tu=fight with,energetic,stand,settle;raka=be entangled,spread around)、「山のように・せっせと積み上げて・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ラカ」が濁音化して「ラガ」と、最後の「ツ」が「ス」となった)

  「チチ・イア・ラカ・ツ」、TITI-IA-RAKA-TU(titi=stick in pegs,steep,go astray;ia=indeed;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「実に・道に迷ったように・ばらまいて・置く(散らかす)」(「チチ」が「シッチ」と、「イア」が「ヤ」から「ャ」と、「ラカ」が濁音化して「ラガ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カチ・ラカ・ツ」、KATI-RAKA-TU(kati=leave off,cease,be left in statu quo;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「それがあったそのままに放って・ばらまいて・置く(散らかす)」(「カチ」が「カッチ」と、「ラカ」が濁音化して「ラガ」と、最後の「ツ」が「ス」となった)

  「ウ・チ・ラカ・ツ」、U-TI-RAKA-TU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「極端に・放り投げ・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ウ」が「ウッ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒ・チ・ラカ・ツ」、HI-TI-RAKA-TU(hi=raise,rise;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「高く積み上げ・放り投げて・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ヒ」が「ヒッ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チチ・ラカ・ツ」、TITI-RAKA-TU(titi=stick in pegs,steep,go astray;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「道に迷ったように・ばらまいて・置く(散らかす)」(「チチ」が「シッチ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ホリ・パナ・チ・ニヒ・ツ・ル」、HORI-PANA-TI-NIHI-TU-RU(hori=cut,slit,be gone by;pana=thrust or drive away,expel,cause to come or go forth in any way;ti=throw,cast;(Hawaii)nihi=stealthily,quietly,carefully;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「切れ切れに・押しやり・放り出して・そっと・放って・置く(散らかす)」(「ホリ」が「ホーリッ」と、「チ」が「シ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ワイア・クフ・ツ・ル」、WAIA-KUHU-TU-RU(waia=accustomed,practised,familiarised;kuhu=thrust in,conceal;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「習慣として・(隠す)なんでも放り込む(状態を)・放って・置く(散らかす)」(「ワイア」が「ワヤ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ツ」が「ス」となった)

  「モタハ・モタハ・ニヒ・ツ・ル」、MOTAHA-MOTAHA-NIHI-TU-RU(motaha=be left on one side;;(Hawaii)nihi=stealthily,quietly,carefully;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「一方に(偏って)放り出し・又放り出して・そっと・放って・置く(散らかす)」(「モタハ」のH音が脱落して「モタ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・チ・ラカ・ツ」、O-TI-RAKA-TU(o=idiot,madman;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「狂人が・放り投げたように・ばらまいて・置く(散らかす)」(「オ」が「オッ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チ・ラケ・ル」、TI-RAKE-RU(ti=throw,cast;rake=bald,bare,barren,make bare,barren land;ru=shake agitate,scatter)、「放り投げ・ばらまき・散らす(散らかす)」

  「タ(ン)ガ・カウ・ニヒ・ツ・ル」、TANGA-KAU-NIHI-TU-RU(tanga=be assembled;kau=swim,wade;nihi=steep,move stealthly;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「(足の踏み場がないので)繰り返し・やっと・そっと歩く(状態を)・放って・置く(散らかす)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒキ・チ・ラカ・ツ」、HIKI-TI-RAKA-TU(hiki=raise,lift up;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「高く積み上げ・放り投げて・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ツ」が「ス」となった)

  「タパ・ク」、TAPA-KU(tapa=pulverise soil,chapped)、「(ぼろぼろになる土壌の表面が)ひびわれしているような(土塊がばらまかれている)(散らかす)」(「タパ」が「サバ」となった)

  「ヒク・リカ・エ・ツ」、HIKU-RIKA-E-TU(hiku=tail of a fish or reptile,tip of a leaf etc.;rika=writhe,toss oneself about,nudge;e=to denote action in progress or temporary condition;tu=stand,settle)、「(干物を作るために魚の)尻尾を・(掴んで)よじって・(別の)面を返して・置く(散らかす)」(「ヒク」が「ヒック」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒコ・ツリ・タ(ン)ガ・ツ」、HIKO-TURI-TANGA-TU(hiko=move at random or irregularly,snatch;turi=knee,kneel;tanga=be assembled;tu=stand,settle)、「不規則に歩き・膝をつく・ことが重なる(状態を)・放置する(散らかす)」(「ツリ」が「ズリ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」から「サガ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒロウ・(ン)ゲア・タ(ン)ガ・ツ」、HIROU-NGEA-TANGA-TU(hirou=rake,net for dredging shellfish;ngea=very numerous,abundant;tanga=be assembled;tu=stand,settle)、「たくさんの・貝を熊手て掻き・集めて・置く(散らかす)」(「ヒロウ」が「ヒロ」と、「(ン)ゲア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ゲ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」から「サガ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ワイア・ニヒ・ツ・ル」、WAIA-NIHI-TU-RU(waia=accustomed,practised,familiarised;nihi=steep,move stealthly;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「習慣として・(足の踏み場がないので)そっと歩く(状態を)・放って・置く(散らかす)」(「ワイア」が「ワヤ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒキ・タ(ン)ガ・ツ」、HIKI-TANGA-TU(hiki=raise,lift up;tanga=be assembled;tu=stand,settle)、「高く積み上げて・集めて・置く(散らかす)」(「タ(ン)ガ」が「サンガ」と、「ツ」が「ス」となった。また「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」から「サガ」となった)

  「ホイ・チ・ラカ・ツ」、HOI-TI-RAKA-TU(hoi=far off,distant;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=fight with,energetic,stand,settle)、「遠くに・放り投げて・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ツ」が「ス」となった)

  「ホツ・チ・ラカ・ツ」、HOTU-TI-RAKA-TU(hotu=desire eagerly,heave as the swell of the sea;ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle)、「(海の波の高まりのように)高く積み上げ・放り投げて・ばらまいて・置く(散らかす)」(「ホツ」が「ホッ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チ・ラパ・カ・ツ」、TI-RAPA-KA-TU(ti=throw,cast;rapa=anythingbroad and flat,spread out;ka=to denote the commencement of a new action or condition;tu=stand,settle)、「放り投げ・広くばらまき・散じて・置く(散らかす)」(「ラパ」が「ラバ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カチ・ホウ・ラカ・ツ・ナ」、KATI-HOU-RAKA-TU-NA(kati=leave off,cease,be left in statu quo;hou=distant;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle;na=by,belonging to)、「それがあったそのままに放って・遠くに・ばらまいて・置く・部類に属する(散らかす)」(「ホウ」が「ホー」と、「ツ」が「ス」と、「ナ」が「ン」となった)

  「チ・ラカ・ツ・ナ」、TI-RAKA-TU-NA(ti=throw,cast;raka=be entangled,spread around;tu=stand,settle;na=by,belonging to)、「放り投げ・ばらまいて・置く・部類に属する(散らかす)」(「ツ」が「ス」と、「ナ」が「ン」となった)

  「タ(ン)ガ・パラ・マキキ・ニヒ・ツ・ル」、TANGA-PARA-MAKI-NIHI-TU-RU(tanga=be assembled;para=frost-fish,a flake of stone;makiki=stiff,standing straight out;(Hawaii)nihi=stealthily,quietly,carefully;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=ahake,agitate,scatter)、「小魚の・(干して)硬くなったものを・集めて・そっと・放って・置く(散らかす)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」と、「パラ」が「バラ」と、「マキキ」の反復語尾が脱落して「マキ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ツ」が「ス」となった)

の転訛と解します。

「ツ」

132ついに(遂に)・ヤットゴ・ヤット・ツエニ・トードー・ツイトー・ヨーヨー・ヤットコサ・イヨイヨ・ヨーヤット・ヨーヨシ・ヨイナコッ・チーニ・ナア・ヤットコセ・トードトー

 「ついに」の方言には、北海道の「ヤットゴ」、岩手、千葉などの「ヤット」、宮城、茨城の「ツエニ」、秋田、栃木の「トードー」、山形の「トード」(「トードー」と同語源)、群馬の「ツイトー」、埼玉、東京などの「トートー」(「トードー」と同語源)、大阪、徳島などの「ヨーヨー」、奈良、山口の「ヤットコサ」、鳥取の「イヨイヨ」、島根の「トート」(「トードー」と同語源)、広島の「ヨーヤット」、香川の「トード」(「トードー」と同語源)、高知の「ヨーヨ」(「ヨーヨー」と同語源)、熊本の「ヨーヨシ」、鹿児島の「ヨイナコッ」、沖縄那覇の「チーニ」(「ついに」と同語源)、沖縄首里の「ナア」があります。

 上記のほか、大阪の「ヤットコセ」、香川の「トードトー」などがあります。

 この「ついに」、「ヤットゴ」、「ヤット」、「ツエニ」、「トードー」、「ツイトー」、「ヨーヨー」、「ヤットコサ」、「イヨイヨ」、「ヨーヤット」、「ヨーヨシ」、「ヨイナコッ」、「チーニ」、「ナア」、「ヤットコセ」、「トードトー」は、

  「ツ・イ・ニヒ」、TU-I-NIHI(tu=stand,settle;i=at,in,by,in the time of,at the time of,whilist,during;nihi=move stealthily)、「そっと・ずっと・(同じ状態を)続けた(ついに)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった。また「ツ・イ」のU-I音がI音に変化して「チ」から「チー」となった)
  または「ツヒ・ニヒ」、TUHI-NIHI(tuhi=conjure,invoke with proper ceremonies;nihi=move stealthily)、「(最後の手段として)秘密裡に・魔法を行った(ついに)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「イア・タウ・(ン)ガウ」、IA-TAU-NGAU(ia=indeed;tau=alight,come to rest;ngau=bite,hurt,act upon,attack)、「実に・働いた(結果)・休息に辿り着いた(ついに)」(「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「イア・タウ」、IA-TAU(ia=indeed;tau=alight,come to rest)、「実に・(働いた結果)休息に辿り着いた(ついに)」(「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「ツ・アエ・ニヒ」、TU-AE-NIHI(tu=stand,settle;ae=calm;nihi=move stealthily)、「そっと・(静かに)そのままに・していた(ついに)」(「アエ」のAE音がE音に変化して「エ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「ト・タウ」、TO-TAU(to=drag,haul;tau=alight,come to rest)、「(働いた結果)休息に・辿り着いた(ついに)」(「ト」が「トー」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」または「トー」から「ド」または「ドー」となった)

  「ツ・イ・タウ」、TU-I-TAU(tu=stand,settle;i=at,in,by,in the time of,at the time of,whilist,during;tau=alight,come to rest)、「ずっと・(同じ状態を)続けた(結果)・休息に辿り着いた(ついに)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トー」となった)
  または「ツヒ・タウ」、TUHI-TAU(tuhi=conjure,invoke with proper ceremonies;tau=alight,come to rest)、「(最後の手段として)魔法を行った(結果)・休息に辿り着いた(ついに)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トー」となった)

  「イ・オフ・イ・オフ」、I-OHU-I-OHU(i=past tense,from,with,by;ohu=do by aid of a company of vulunteer workers,beset in great numbers)、「他人の助けを・借りに・借りて(仕事ができた)(ついに)」(「オフ」のH音が脱落して「オウ」となり、「イ・オウ」が「ヨウ」から「ヨー」となった)

  「イア・タウ・カウ・タ」、IA-TAU-KAU-TA(ia=indeed;tau=alight,come to rest;kau=swim,wade;ta=dash,beat,lay)、「実に・懸命に・泳いで・休息に辿り着いた(ついに)」(「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「タ」が「サ」となった)

  「イ・イオ・イ・イオ」、I-IO-I-IO(i=past tense,from,with,by;io=tough,hard,obstinate)、「苦しい・仕事を・重ねに・重ねて(仕事ができた)(ついに)」(「イオ」が「ヨ」となった)

  「イ・オフ・イア・タウ」、I-OHU-IA-TAU(i=past tense,from,with,by;ohu=do by aid of a company of vulunteer workers,beset in great numbers;ia=indeed;tau=alight,come to rest)、「他人の助けを・借りて・実に・休息に辿り着いた(ついに)」(「オフ」のH音が脱落して「オウ」となり、「イ・オウ」が「ヨウ」から「ヨー」と、「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「イ・オフ・イ・オチ」、I-OHU-I-OTI(i=past tense,from,with,by;ohu=do by aid of a company of vulunteer workers,beset in great numbers;oti=finished,gone or come for good)、「他人の助けを・借りて・仕事が・片付いた(ついに)」(「オフ」のH音が脱落して「オウ」となり、「イ・オウ」が「ヨウ」から「ヨー」と、「オチ」が「オシ」と、「イ・オシ」が「ヨシ」となった)

  「イオ・イナ・カウ・ツ」、IO-INA-KAU-TU(io=tough,hard,obstinate;ina=adducing a fact as proof of anything;kau=swim,wade;tu=fight with,energetic)、「実に・苦労して・精力的に・泳ぎ切った(ついに)」(「イオ」が「ヨ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「ナ・ア」、NA-A(na=satisfied,content;a=of,belonging to)、「(仕事を片付けて)満足した・ような(ついに)」

  「イア・タウ・カウ・タイ」、IA-TAU-KAU-TAI(ia=indeed;tau=alight,come to rest;kau=swim,wade;tai=wave,anger,violence)、「実に・荒々しく・泳いで・休息に辿り着いた(ついに)」(「イア」が「ヤ」から「ヤッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「トト・タウ」、TOTO-TAU(toto=drag a number of objects,chip or knock off;tau=alight,come to rest)、「努力を重ねて・休息に辿り着いた(ついに)」(「トト」が「トード」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」または「トー」となった)

の転訛と解します。

133つかれた(疲れた)・コワイ・オタッタ・コウェー・ガオッタ・コワエ・コワグナッタ・クタビレタ・カッタリー・モノイ・ヨワッタ・エライ・デキナイ・エラカッタ・ホッコリシタ・シンドイ・キケタ・クタブレタ・シンダイ・ンダレタ・キャーナュッ・キャーナエタ・ナエタ・ヒンダレタ・ダレタ・ウタタン・カンダリー・シンドナル・「ダッタ

 「つかれた」の方言には、北海道の「コワイ」、青森の「オタッタ」、岩手の「コウェー」、宮城の「ガオッタ」、秋田の「コウェ」(「コウェー」と同語源)、山形、茨城の「コワエ」、福島の「コエー」(「コワイ」と同語源)、栃木の「コワグナッタ」、群馬、千葉などの「クタビレタ」、埼玉の「カッタリー」、新潟の「コウェァ」(「コワェ」と同語源)、石川の「モノイ」、福井の「ヨワッタ」、山梨、大阪などの「エライ」、長野の「デキナイ」、岐阜の「エラカッタ」、滋賀の「ホッコリシタ」、兵庫の「シンドイ」、奈良の「キケタ」、広島、香川の「クタブレタ」、徳島の「シンダイ」、高知の「ンダレタ」、佐賀の「キャーナュッ」、長崎の「キャーナエタ」、熊本、大分の「ナエタ」、宮崎の「ヒンダレタ」、鹿児島の「ダレタ」、沖縄那覇・首里の「ウタタン」があります。

 上記のほか、静岡の「カンダリー」、愛媛の「シンドナル」、大分の「ダッタ」などがあります。

 この「つかれた」、「コワイ」、「オタッタ」、「コウェー」、「ガオッタ」、「コワエ」、「コワグナッタ」、「クタビレタ」、「カッタリー」、「モノイ」、「ヨワッタ」、「エライ」、「デキナイ」、「エラカッタ」、「ホッコリシタ」、「シンドイ」、「キケタ」、「クタブレタ」、「シンダイ」、「ンダレタ」、「キャーナュッ」、「キャーナエタ」、「ナエタ」、「ヒンダレタ」、「ダレタ」、「ウタタン」、「カンダリー」、「シンドナル」、「ダッタ」は、

  「ツカハ・アレ・タ」、TUKAHA-ARE-TA(tukaha=strenuous,vigorous,passionate;are=open,excavated,cavernous;ta=dash,beat,lay)、「元気が・(空洞化した)失われて・いる(疲れた)」(「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」となり、その語尾のA音と「アレ」の語頭のA音が連結して「ツカレ」となった)

  「カウ・ワイ」、KAU-WHAI(kau=alone,bare,empty,only;whai=follow,look for,aim at,practise)、「やる気が・(空洞化した)失われている(疲れた)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった。また「ワイ」のAI音がE音に変化して「ヱ」または「エ」、「エー」となった)

  「オ・タタ」、O-TATA(o=the...of;tata=dash down,beat down,strike repeatedly)、「例の・元気が挫かれた(疲れた)」(「タタ」が「タッタ」となった)
  または「オタ・タ」、OTA-TA(ota=unripe,uncooked,refuse,dregs;ta=dash,beat,lay)、「(元気が燃え尽きて)滓が・残った(疲れた)」(「オタ」が「オタッ」となった)

  「カウ・ウエ」、KAU-UE(kau=alone,bare,empty,only;ue=push,shove,shake,affect by an incantation)、「やる気が・(空洞化した)失われている(疲れた)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ウエ」が「ウェ」または「ウェー」となった)

  「(ン)ガ・オタ」、NGA-OTA(nga=satisfied,breath,take breath;ota=unripe,uncooked,refuse,dregs)、「(元気が燃え尽きた)滓のような・呼吸をする(疲れた)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「オタ」が「オッタ」となった)

  「カウ・ワエア」、KAU-WAEA(kau=alone,bare,empty,only;waea=weary)、「ただ・疲れた(疲れた)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ワエア」の語尾のA音が脱落して「ワエ」となった。また「ワエア」のAE音がE音に変化して「ウェァ」となった)

  「カウ・ワク・ナツ・タ」、KAU-WAKU-NATU-TA(kau=alone,bare,empty,only;waku=rub,scrape,abrade;natu=scratch,tear out,show ill feeling,be vexed;ta=dash,beat,lay)、「ただ・(神経を)すり減らして・気分が悪く・なった(疲れた)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ワク」が「ワグ」と、「ナツ」が「ナッ」となった)

  「ク・タピ・レヘ・タ」、KU-TAPI-REHE-TA(ku=silent,wearied;tapi=apply as dressings to a wound;rehe=intensive used with certain adjectives;ta=dash,beat,lay)、「(人の)世話をすることに・たいへん・疲れが・きた(疲れた)」(「タピ」が「タビ」と、「レヘ」のH音が脱落して「レ」となった)

  「カ・タ・ルヒ」、KA-TA-RUHI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)どうも・けだるさに・襲われる(疲れた)」(「カ」が「カッ」と、「ルヒ」のH音が脱落した後のUI音がI音に変化して「リ」から「リー」となった)

  「モノ・ウイ」、MONO-UI(mono=caulk,disable by means of incantations;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「人の力を奪う呪文を掛けられたように・(身体の)力が抜けてしまった(疲れた)」(「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」となつた)

  「イオ・ワタ」、IO-WHATA(io=sinew,muscle,twich;whata=elevate,hang,be suspend,be laid,rest)、「筋肉が・動かなくなった(疲れた)」(「イオ」が「ヨ」と、「ワタ」が「ワッタ」となった)

  「エ・ライ」、E-RAI(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;rai=ribbed,furrowed)、「(顔に)深い・皺を寄せている(疲れた)」

  「テキ・ナイ」、TEKI-NAI(teki=scrape lightly,drift with the anchor down but not touching the bottom;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「(下ろした碇が海底に届いていない船が漂流するように)ふらふらと・動き回る(疲れた)」(「テキ」が「デキ」となった)

  「エ・ラカ・アタ」、E-RAKA-ATA(e=to denote action in progress or temporary condition,calling attention or expressing surprise;raka=entangled;ata=expressive of disgust)、「ほんとに・困惑して・うんざりする(疲れた)」(「ラカ」の語尾のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ラカタ」から「ラカッタ」となった)

  「ホ・コリ・チ・タ」、HO-KORI-TI-TA(ho=put out the lips(a mark of derision),droop;kori=move,wriggle,bestir oneself;ti=throw,cast;ta=dash,beat)、「弱々しい・動きを・して・いる(疲れた)」(「ホ」が「ホッ」と、「チ」が「シ」となった)

  「チナ・トイ」、TINA-TOI(tina=fixed,satisfied,exhausted,overcome;toi=tip,summit,finger,toe)、「手足が(または最高に)・疲れ果てた(疲れた)」(「チナ」が「シナ」から「シン」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「キ・カイ・タ」、KI-KAI-TA(ki=full,very;kai=consume,eat;ta=dash,beat,lay)、「たいへん・消耗して・いる(疲れた)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「ク・タプヒ・レヘ・タ」、KU-TAPUHI-REHE-TA(ku=silent,wearied;tapuhi=nurse,tend in sickness or distress;rehe=intensive used with certain adjectives;ta=dash,beat,lay)、「(病人の)世話をすることに・たいへん・疲れが・きた(疲れた)」(「タプヒ」のH音が脱落して「タブ」と、「レヘ」のH音が脱落して「レ」となった)

  「チナ・タ・ウイ」、TINA-TA-UI(tina=fixed,satisfied,exhausted,overcome;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose)、「(身体が)打撃を受けて・力が抜けて・疲れ果ててしまった(疲れた)」(「チナ」が「シナ」から「シン」と、「タ」が「ダ」と、「ウイ」のUI音がI音に変化して「イ」となつた)

  「ナ・タレ・タ」、NA-TARE-TA(na=by,belonging to;tare=hang,gasp for breath;ta=dash,beat,lay)、「(息が切れて・いる・ような(疲れた)」(「ナ」が「ン」と、「タレ」が「ダレ」となった)

  「キア・ナ・アイ・ウフ」、KIA-NA-AI-UHU(kia=to introduce a proposition,when the word with which it is used is followed by ai it denotes an ulterior purpose;na=by,belonging to;ai=beget,procreate;uhu=cramp,benumbed)、「(身体に)しびれが・来た・ような症状が・出ている(疲れた)」(「キア」が「キャー」と、「ナ」のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ナイ」と、「ウフ」のH音が脱落して「ウ」と、「ナイ・ウ」が「ナユ」から「ナュッ」となった)

  「キア・ナ・アイ・タ」、KIA-NA-AI-TA(kia=to introduce a proposition,when the word with which it is used is followed by ai it denotes an ulterior purpose;na=by,belonging to;ai=beget,procreate;ta=dash,beat,lay)、「(身体に)打撃が・来た・ような症状が・出ている(疲れた)」(「キア」が「キャー」と、「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」となった)

  「ナ・アイ・タ」、NA-AI-TA(na=by,belonging to;ai=beget,procreate;ta=dash,beat,lay)、「(身体に)打撃が・来て・いる(疲れた)」(「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」となった)

  「ヒ(ン)ガ・タレ・タ」、HINGA-TARE-TA(hinga=fall from an erect position,lean,be overcome with astonishment or fear;tare=hang,gasp for breath;ta=dash,beat,lay)、「たいへん・(息が切れて・いる(疲れた)」(「ヒ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヒナ」から「ヒン」と、「タレ」が「ダレ」となった)

  「タレ・タ」、TARE-TA(tare=hang,gasp for breath;ta=dash,beat,lay)、「(息が切れて・いる(疲れた)」(「タレ」が「ダレ」となった)

  「ウ・タタ(ン)ガ」、U-TATANGA(u=be firm,be fixed,reach its limit;tatanga=tata=dash down,beat down,strike reoeatedly)、「極限まで・元気が挫かれた(疲れた)」(「タタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タタナ」から「タタン」となった)

  「カナ・タ・ルヒ」、KANA-TA-RUHI(kana=stare wildly,bewitch;ta=dash,strike,beat,overcome,lay;ruhi=weak,languid,exhausted)、「(身体が)魔法に掛けられたように・けだるさに・襲われる(疲れた)」(「カナ」が「カン」と、「タ」が「ダ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」となり、そのUI音がI音に変化して「リー」となった)

  「チナ・タウ(ン)ガ・アル」、TINA-TAUNGA-ARU(tina=fixed,satisfied,exhausted,overcome;taunga=resting place;aru=follow,pursue)、「疲れ果てて・休息の場所を・探し求める(疲れた)」(「チナ」が「シナ」から「シン」と、「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「ドナ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ドナル」となった)

  「タタ」、TATA(dash down,beat down,strike repeatedly)、「元気が挫かれた(疲れた)」(「タタ」が「ダッタ」となった)

の転訛と解します。

134つくし(土筆)・ツクシンボー・ツグス・ジゲベ・オトーカノチンポ・ツクシンボーシ・ツクツクボーシ・ホーシ・ヒガンボーズ・ホーシコ・ウシノフデ・ヒガンボ・マッバグサンコ・ズクボ

 「つくし」の方言には、北海道、栃木などの「ツクシンボー」、岩手の「ツグシ」(「つくし」と同語源)、宮城の「ツグス」、秋田の「ジゲベ」、山形の「ツグシンボ」(「ツクシンボー」と同語源)、福島、茨城などの「ツクシンボ」(「ツクシンボー」と同語源)、群馬の「オトーカノチンポ」、滋賀の「ツクシンボーシ」、和歌山の「ツクツクボーシ」、鳥取の「ホーシ」、島根の「チクシンボ」(「ツクシンボー」と同語源)、広島の「ヒガンボーズ」、香川、愛媛の「ホーシコ」、高知の「ヒンガンボーズ」(「ヒガンボーズ」と同語源)、熊本の「ウシノフデ」、宮崎の「ヒガンボ」、鹿児島の「マッバグサンコ」があります。

 上記のほか、福岡の「ズクボ」があります。

 この「つくし」、「ツクシンボー」、「ツグス」、「ジゲベ」、「オトーカノチンポ」、「ツクシンボーシ」、「ツクツクボーシ」、「ホーシ」、「ヒガンボーズ」、「ホーシコ」、「ウシノフデ」、「ヒガンボ」、「マッバグサンコ」、「ズクボ」は、

  「ツク・チ」、TUKU-TI(tuku=let go,leave,put off;ti=throw,cast,overcome)、「(早春に大地から)一斉に伸び出て・(やがて)枯れるもの(植物。土筆)」(「チ」が「シ」となった。また「ツク」が濁音化して「ツグ」となった)

  「ツク・チ(ン)ガ・ポウ」、TUKU-TINGA-POU(tuku=let go,leave,put off;tinga=likely;pou=post,pole,stake)、「(早春に大地から)一斉に伸び出る・棒の・ようなもの(植物。土筆)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「シン」と、「ポウ」が「ボ」または「ボー」となった。また「ツク」が濁音化して「ツグ」となった。また「ツク」が「チク」となった)

  「ツク・ツ」、TUKU-TU(tuku=let go,leave,put off;tu=fight with,energetic)、「(早春に大地から)元気よく・一斉に伸び出るもの(植物。土筆)」(「ツク」が濁音化して「ツグ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チ(ン)ゲイ・ペ」、TINGEI-PE(tingei=unsettled,ready to move;pe=crushed,mashed)、「(伸びてきて)すぐに・枯れるもの(植物。土筆)」(「チ(ン)ゲイ」のNG音がG音に変化して「チゲイ」から「ジゲ」と、「ペ」が「ベ」となった)

  「アウト・カノ・チナ・ポウ」、AUTO-KANO-TINA-POU(auto=trailing behind,slow,protract;kano=colour,sort.kind,seed;tina=fixed,firm,satisfied;pou=post,pole,stake)、「(胞子茎である土筆が枯れた)後を追って・硬い・種類の・棒(栄養茎であるスギナが生えてくるもの。土筆)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オトー」と、「チナ」が「チン」と、「ポウ」が「ポ」となつた)

  「ツクツク・ポウチヒチヒ」、TUKUTUKU-POUTIHITIHI(tukutuku=let go,apply a person's name to an article of common use by way of insult;poutihitihi=unkempt,dishevelled of hair)、「(早春に大地から)一斉に伸び出る・乱れた髪(のような植物。土筆)」(「ポウチヒチヒ」の反復語尾が脱落し、H音が脱落して「ポウチ」から「ボーシ」となった)

  「ポウチヒチヒ」、POUTIHITIHI(unkempt,dishevelled of hair)、「(早春に大地から伸び出る)乱れた髪(のような植物。土筆)」(「ポウチヒチヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落し、H音が脱落して「ホウチ」から「ホーシ」となった)

  「ヒ(ン)ガ・ナ・ポウ・ツ」、HINGA-NA-POU-TU(hinga=fall from an erect position,be killed;na=by,belonging to;pou=post,pole,stake;tu=stand,settle)、「(やがて)枯れてしまう・部類に属する・棒が・群生するもの(植物。土筆)」(「ヒ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ヒガ」と、「ナ」が「ン」と、「ポウ」が「ボー」と、「ツ」が「ズ」となった。また「ヒ(ン)ガ」が「ヒンガ」となった)

  「ポウチヒチヒ・カウ」、POUTIHITIHI-KAU(poutihitihi=unkempt,dishevelled of hair;kau=stalk)、「(早春に大地から伸び出る)乱れた髪のような・茎(植物。土筆)」(「ポウチヒチヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落し、H音が脱落して「ホウチ」から「ホーシ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
  または「ポウ・チコ」、POU-TIKO(pou=post,pole,stake;tiko=settled upon,as by frost)、「(大地の)表面を覆う(ように群生する)・棒(のような植物。土筆)」(「ポウ」のP音がF音を経てH音に変化して「ホー」と、「チコ」が「シコ」となった)

  「ウ・チ(ン)ゴ(ン)ゴ・フ・テ」、U-TINGONGO-HU-TE(u=be firm,be fixed,reach its limit;tingongo=cause to shrink,shrivel;hu=silent,quietly,secretly;te,tete=young shoot,frond of a plant)、「(やがて)いつのまにか・萎んで(枯れて)・しまう・(草の)若芽(土筆)」(「チ(ン)ゴ(ン)ゴ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「チノ」から「シノ」と、「テ」が「デ」となった)

  「ヒ(ン)ガ・ナ・ポウ」、HINGA-NA-POU(hinga=fall from an erect position,be killed;na=by,belonging to;pou=post,pole,stake)、「(やがて)枯れてしまう・部類に属する・棒(のような植物。土筆)」(「ヒ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ヒガ」と、「ナ」が「ン」と、「ポウ」が「ボ」となった)

  「マ・パ(ン)グ・タ(ン)ガ・カウ」、MA-PANGU-TANGA-KAU(ma=to emphasis,for by means of,by way of;pangu=surfeited,wearied of,tired of;tanga=be assembled;kau=stalk)、「全く・(その)茎を・(刈り)集めるのに・疲れ果てるもの(植物。土筆)」(「マ」が「マッ」と・「パ(ン)グ」」のNG音がG音に変化して「パグ」から「バグ」と、「タ(ン)ガ」」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ツク・ポウ」、TUKU-POU(tuku=let go,leave,put off;pou=post,pole,stake)、「(早春に大地から)一斉に伸び出る・棒(のような植物。土筆)」(「ツク」が濁音化して「ズグ」と、「ポウ」が「ボ」となった)

の転訛と解します。

135つぐなう(償う)・マヨウ・ベンショースル・オカエシスル・ナス・マゾウ・ママエル・マラウ・マエル・マンドウ・カヤス・マズウ・モドス・ワンチャメーイン・ハジュン・カリカエス

 「つぐなう」の方言には、岩手、秋田などの「マヨウ」、宮城の「マヤウ」(「マヨウ」と同語源)、栃木、群馬などの「ベンショースル」、千葉の「オカエシスル」、新潟、石川などの「ナス」、岐阜の「マゾウ」、愛知の「ママエル」、三重の「ベンショスル」(「ベンショースル」と同語源)、滋賀の「マラウ」、京都、大阪などの「マドウ」(「マゾウ」と同語源)、和歌山の「マエル」、高知の「マンドウ」、佐賀の「カヤス」、大分の「マズウ」、宮崎の「モドス」、鹿児島の「ツグノ」(「つぐなう」と同語源)、沖縄那覇の「ワンチャメーイン」、沖縄首里の「ハジュン」があります。

 上記のほか、北海道の「カリカエス」などがあります。

 この「つぐなう」、「マヨウ」、「ベンショースル」、「オカエシスル」、「ナス」、「マゾウ」、「ママエル」、「マラウ」、「マエル」、「マンドウ」、「カヤス」、「マズウ」、「モドス」、「ワンチャメーイン」、「ハジュン」、「カリカエス」は、

  「ツ(ン)グ・(ン)ガウ」、TUNGU-NGAU(tungu=kindle;ngau=bite,hurt,act upon,attack)、「懸命に・(相手に与えた)打撃に・(灯をともして明るくする)回復させる(償う)」(「ツ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ツグ」と、「(ン)ガウ」のNG音がN音に変化して「ナウ」またはさらに「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」となった)

  「マイア・ウ」、MAIA-U(maia=brave,bold,capable,applied to any unusual course of conduct;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「精一杯・(勇気)元気づける(償う)」(「マイア」に「ウ」が連結したAU音がOU音に変化して「マイオウ」から「マヨウ」となった。また「マイア」が「マヤ」となった)

  「ペナ・チオホ・ツ・ル」、PENA-TIOHO-TU-RU(pena=take care of,tend;tioho=apprehensive;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「心配ごとを・なくすように・奮って・努める(償う)」(「ペナ」が「ヘン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・カ(ン)ガ・エチ・ツ・ル」、O-KANGA-ETI-TU-RU(o=the...of;kanga=curse,abuse,execrate;eti=shrink,recoil;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「例の・(人を)呪う気持ちを・萎えさせるように・奮って・努める(償う)」(「カ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カ」と、「エチ」が「エシ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ナ・ツ」、NA-TU(na=satisfied,content;tu=fight with,energetic)、「(人を)満足させるように・懸命に努める(償う)」(「ツ」が「ス」となった)

  「マ・タウ」、MA-TAU(ma=to emphasis,for by means of,by way of;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit)、「実に・満足(させる)(償う)」(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ゾウ」または「ドウ」となった)

  「マ・マエ・ル」、MA-MAE-RU(ma=to emphasis,for by means of,by way of;mae=languid,withered;ru=shake,agitate,scatter)、「実に・(人を恨む気持ちを)萎えさせ・(散らばせる)無くさせる(償う)」

  「マラ(ン)ガ・ウ」、MARANGA-U(maranga=rise up from a recumbent position,pulled up;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「(失意で)横たわっていた人を起き上がらせ・(すっかり元気にし)た(償う)」(「マラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「マラ」となった)

  「マエ・ル」、MAE-RU(mae=languid,withered;ru=shake,agitate,scatter)、「(人を恨む気持ちを)萎えさせ・(散らばせる)無くさせる(償う)」

  「マナ・タウ」、MANA-TAU(mana=power,psychic force,effectual,take effect;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit)、「人を内心から・満足させる(償う)」(「マナ」が「マン」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ドウ」となった)

  「カイアツア」、KAIATUA(form of makutu(=bewitch,incantation))、「(人を)魔法に掛ける(満足させる)(償う)」(語尾のA音が脱落して「カヤス」となった)

  「マツ・ウ」、MATU-U(matu=fat,richness of food;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「豪華な食事を・摂らせる(償う)」(「マツ」が「マズ」となった)

  「モホア・ト・ツ」、MOHOA-TO-TU(mohoa=to the present time;to=drag,haul;tu=stand,settle)、「(以前の状態を)現在の時点まで・引き戻して・置く(償う)」(「モホア」のH音および語尾のA音が脱落して「モ」と、「ト」が「ド」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ワナ・チア・マイ・イナ」、WANA-TIA-MAI-INA(wana=division of a heap of food at a gift or a feast;tia=abdomwn;mai=hither,to indicate direction or motion towards;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis statements as to quallify)、「お祭りのご馳走の一山を・しっかりと・胃の腑に・供する(償う)」(「ワナ」が「ワン」と、「チア」が「チャ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「イナ」が「イーン」となった)

  「パチ・ウ(ン)ガ」、PATI-UNGA(pati=try to obtain by coaxing,flattery,etc.;unga=act or circumstance etc. of becoming firm)、「なだめすかして・落ち着かせる(償う)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハジ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」、「ゥン」となった)

  「カリア・カヱ・ツ」、KARIA-KAWE-TU(karia=by and by:kawe=carry,bring,induce;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「近いうち(将来)に・せっせと・(償うものを)持参する(償う)」(「カリア」の語尾のA音が脱落して「カリ」と、「ツ」が「ス」となった)

の転訛と解します。

136つねる(抓る)・ツネクル・スネズル・ヒネル・シンニギル・シニギル・チンミギル・カッチネル・ヒッツネル・ニジル・ツメル・ツマギル・チミクル・チミギル・チメクー・ヒネクル・ヒニシル・ネズム・ヒネキッ・ニジムン・チンチキーン・ツミキリ・トウメクル・ツンクジル

 「つねる」の方言には、北海道、埼玉などの「ツネクル」、青森の「スネズル」、岩手、大阪などの「ヒネル」、秋田の「シンニギル」、山形の「シニギル」、福島の「チンミギル」、茨城、栃木の「カッチネル」、群馬の「ヒッツネル」、千葉の「ニジル」、富山、石川などの「ツメル」、山梨の「ツマギル」、静岡の「チミクル」、三重の「チミギル」、和歌山の「ヒニキル」(「ヒネル」と同語源)、島根の「チメクー」、山口の「ヒネキル」(「ヒネル」と同語源)、徳島、高知の「ヒネクル」、香川の「ヒニシル」、福岡、佐賀なとの「ネズム」、鹿児島の「ヒネキッ」、沖縄那覇の「ニジムン」、沖縄首里の「チンチキーン」があります。

 上記のほか、徳島の「ツミキリ」(爪ではさむ)、香川の「チミキル」(爪を使わない)(「チミギル」と同語源)、高知の「トウメクル」(爪を立てる)、大分の「ツンクジル」(強くつねる)などがあります。

 この「つねる」、「ツネクル」、「スネズル」、「ヒネル」、「シンニギル」、「シニギル」、「チンミギル」、「カッチネル」、「ヒッツネル」、「ニジル」、「ツメル」、「ツマギル」、「チミクル」、「チミギル」、「チメクー」、「ヒネクル」、「ヒニシル」、「ネズム」、「ヒネキッ」、「ニジムン」、「チンチキーン」、「ツミキリ」、「トウメクル」、「ツンクジル」は、

  「ツ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TU-NGEUNGEU-RU(tu=fight with,energetic;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ツ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・クル」、TU-NGEUNGEU-KURU(tu=fight with,energetic;ngeungeu=move,wriggle,writhe;kuru=strike with the fist,pelt,throw)、「懸命に・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ツ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ツル」、TU-NGEUNGEU-TURU(tu=fight with,energetic;ngeungeu=move,wriggle,writhe;turu=last a short time)、「懸命に・ちょっと(の時間)・(身体を)ねじる(抓る)」(「ツ」が「ス」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」と、「ツル」が「ズル」となった)

  「ヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、HI-NGEUNGEU-RU(hi=raise,rise;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体を)ねじり・上げる(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった。また「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に、EU音がI音に変化して「ニギ」となり、さらに清音化して「ニキ」となった。また「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、EU音がE音に、次のNG音がG音に、EU音がI音に変化して「ネギ」となり、さらに清音化して「ネキ」となった)

  「チナ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TINA-NGEUNGEU-RU(tina=fixed,fast,firm;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「しっかりと・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「チナ」が「チン」から「シン」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に、EU音がI音に変化して「ニギ」となった)

  「チ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TI-NGEUNGEU-RU(ti=throw,cast;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「チ」が「シ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に、EU音がI音に変化して「ニギ」となった)

  「チナ・ミヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TINA-MIHI-NGEUNGEU-RU(tina=fixed,fast,firm;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「しっかりと・不快感を表して・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「チナ」が「チン」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に、EU音がI音に変化して「ギ」となった)

  「カチ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、KATI-NGEUNGEU-RU(kati=bite,nip;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(身体を)つまんで・ねじる(抓る)」(「カチ」が「カッチ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ヒ・ツ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TU-NGEUNGEU-RU(tu=fight with,energetic;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体を)ねじり・上げて・放る(抓る)」(「ヒ」が「ヒッ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった)

  「(ン)ゲウ(ン)ゲウ・チ・ル」、NGEUNGEU-TI-RU(ngeungeu=move,wriggle,writhe;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がI音に変化して「ニ」と、「チ」が「ジ」となった)

  「ツ・マイ・ル」、TU-MAI-RU(tu=fight with,energetic;(Hawaii)mai=sickness,illness,disease,patient;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体に)痛みを与えて・放る(抓る)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「ツマ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TUMA-NGEUNGEU-RU(tuma=challenge;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「果敢に・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に、EU音がI音に変化して「ギ」となった)

  「チ・ミヒ・クル」、TI-MIHI-KURU(ti=throw,cast;mihi=sigh for,greet,express discomfort;kuru=strike with the fist,pelt,throw)、「不快感を・露わにして・(身体に打撃を加える)ねじる(抓る)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「チ・ミヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ル」、TI-MIHI-NGEUNGEU-RU(ti=throw,cast;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ru=shake,agitate,scatter)、「不快感を・露わにして・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に、EU音がI音に変化して「ギ」となった。また「ギ」が清音化して「キ」となった)

  「チ・マイ・クル」、TI-MAI-KURU(ti=throw,cast;(Hawaii)mai=sickness,illness,disease,patient;kuru=strike with the fist,pelt,throw)、「(身体に打撃を)ねじりを・加えて・放る(抓る)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「クル」の語尾の「ル」が脱落して「クー」となった)

  「ヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・クル」、HI-NGEUNGEU-KURU(hi=raise,rise;ngeungeu=move,wriggle,writhe;kuru=strike with the fist,pelt,throw)、「懸命に・(身体を)ねじり・上げる(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」となった)

  「ヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・チ・ル」、HI-NGEUNGEU-TI-RU(hi=raise,rise;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体を)ねじり・上げて・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がI音に変化して「ニ」と、「チ」が「シ」となった)

  「(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ツム」、NGEUNGEU-TUMU(ngeungeu=move,wriggle,writhe;tumu=halt suddenly,twitch)、「一瞬・(身体を)ねじる(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がE音に変化して「ネ」と、「ツム」が「ズム」となった)

  「ヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・ツ」、HI-NGEUNGEU-TU(hi=raise,rise;ngeungeu=move,wriggle,writhe;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(身体を)ねじり・上げる(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、EU音がE音に、次のNG音がG音に、EU音がI音に変化して「ネギ」となり、さらに清音化して「ネキ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「(ン)ゲウ(ン)ゲウ・チ・ムナ」、NGEUNGEU-TI-MUNA(ngeungeu=move,wriggle,writhe;ti=throw,cast;muna=gossip,secret)、「そっと(分からないように)・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に、EU音がI音に変化して「ニ」と、「チ」が「ジ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「チナ・チ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ」、TINA-TI-NGEUNGEU(tina=fixed,fast,firm;ti=throw,cast;ngeungeu=move,wriggle,writhe)、「しっかりと・(身体を)ねじって・放る(抓る)」(「チナ」が「チン」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に、EU音がI音に変化して「ギニ」となり、清音化して「キニ」から「キーン」となった)

  「ツ・ミヒ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・イリ」、TI-MIHI-NGEUNGEU-RU(tu=fight with,energetic;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ngeungeu=move,wriggle,writhe;iri=be elevated on something,rest upon,hang)、「懸命に・不快感を露わにして・(身体を)ねじり・上げる・放る(抓る)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に、EU音がI音に変化して「ギ」から清音化して「キ」となり、その語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「キリ」となった)

  「タウ・マイ・クル」、TAU-MAI-KURU(tau=come to rest,be suitable,be comely;(Hawaii)mai=sickness,illness,disease,patient;kuru=strike with the fist,pelt,throw)、「ほどほどに・(身体に打撃を)ねじりを加えて・放る(抓る)」(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「ツ・(ン)ゲウ(ン)ゲウ・チ・ル」、TU-NGEUNGEU-TI-RU(tu=fight with,energetic;ngeungeu=move,wriggle,writhe;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(身体を)ねじりを・与えて・放る(抓る)」(「(ン)ゲウ(ン)ゲウ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に、EU音がU音に変化して「ヌグ」から「ング」となり、さらに清音化して「ンク」と、「チ」が「ジ」となった)

の転訛と解します。

137つむじ(旋毛)・マギメ・マギギリ・マギメッコ・マギマエ・マグメ・ツモジ・マキメ・チジ・ギジギジ・チリ・ギリギリ・ツジンボ・グル・イジ・ツジ・ギリ・マイマイ・ウズマキ・キョーマキ・チョーマキ・チューマキ・ジュジュマキ・サラ・マチ・マキギリ

 「つむじ」の方言には、北海道、宮城などの「マギメ」、青森の「マギギリ」、岩手の「マギメッコ」、山形の「マギマエ」、福島の「マグメ」、茨城、埼玉などの「ツモジ」、群馬の「マキメ」、新潟の「チジ」、富山の「ギジギジ」、石川の「チリ」、福井、大阪などの「ギリギリ」、岐阜の「ツジンボ」、愛知の「グル」、三重、京都の「イジ」、滋賀の「ツジ」、奈良、和歌山などの「ギリ」、山口、徳島などの「マイマイ」、愛媛の「ウズマキ」、佐賀、長崎の「キョーマキ」、長崎の「チョーマキ」、熊本の「チューマキ」、宮崎の「ジュジュマキ」、鹿児島の「サラ」、沖縄那覇・首里の「マチ」があります。

 上記のほか、北海道の「マキギリ」などがあります。

 この「つむじ」、「マギメ」、「マギギリ」、「マギメッコ」、「マギマエ」、「マグメ」、「ツモジ」、「マキメ」、「チジ」、「ギジギジ」、「チリ」、「ギリギリ」、「ツジンボ」、「グル」、「イジ」、「ツジ」、「ギリ」、「マイマイ」、「ウズマキ」、「キョーマキ」、「チョーマキ」、「チューマキ」、「ジュジュマキ」、「サラ」、「マチ」、「マキギリ」は、

  「ツム・チ」、TUMU-TI(tumu=promontory,headland;ti=throw,cast)、「(頭の)先端に・置かれているもの(旋毛)」(「チ」が「ジ」となった)

  「マ(ン)ギ・メア」、MANGI-MEA(mangi=floating,drifting,unnerved;mea=thing,reason,fact)、「(流れ)渦を巻いている・もの(旋毛)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」と、「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となつた)

  「マ(ン)ギ・(ン)ギア・イリ」、MANGI-NGIA-IRI(mangi=floating,drifting,unnerved;ngia=seem,appear to be;iri=be elevated on something,rest upon,hang)、「(頭の)上にあって・(流れ)渦を巻いている・ように見えるもの(旋毛)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となり、その語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「ギリ」となった)

  「マ(ン)ギ・メコ」、MANGI-MEKO(mangi=floating,drifting,unnerved;meko=withhold,refuse to give)、「(流れ)渦を巻いている・目立たないもの(旋毛)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」と、「メコ」が「メッコ」となつた)

  「マ(ン)ギ・マエア」、MANGI-MAEA(mangi=floating,drifting,unnerved;maea=emerge,be gathered in)、「(流れ)渦を巻くものが・現れている(旋毛)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」と、「マエア」の語尾のA音が脱落して「マエ」となつた)

  「マ(ン)ギ・フメ」、MANGI-HUME(mangi=floating,drifting,unnerved;hume=bring to a point,gather up)、「(流れ)渦を巻いて・中心に集まっているもの(旋毛)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」と、「フメ」のH音が脱落して「ウメ」となり、「マギ・ウメ」から「マグメ」となつた)

  「ツム・アウ・チ」、TUMU-AU-TI(tumu=promontory,headland;au=firm,intense;ti=throw,cast)、「(頭の)先端に・集中して・置かれているもの(旋毛)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「ツム・オ」が「ツモ」と、「チ」が「ジ」となった)

  「マキ・メア」、MAKI-MEA((Hawaii)maki=to roll,fold;mea=thing,reason,fact)、「(渦を)巻いている・もの(旋毛)」(「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)

  「チヒ・チ」、TIHI-TI(tihi=summit,top;ti=throw,cast)、「(頭の)てっぺんに・置かれているもの(旋毛)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「チ」が「ジ」となった)

  「(ン)ギア・チヒ・(ン)ギア・チ」、NGIA-TIHI-NGIA-TI(ngia=seem,appear to be;tihi=summit,top;ti=throw,cast)、「(頭の)てっぺんと・覚しきところに・置かれている・ように見えるもの(旋毛)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」と、「チ」が「ジ」となった)

  「チヒ・リ」、TIHI-RI(tihi=summit,top;ri=screen,protect,bind)、「(頭の)てっぺんに・くっついているもの(旋毛)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」となった)

  「(ン)ギア・イリ・(ン)ギア・リ」、NGIA-IRI-NGIA-RI(ngia=seem,appear to be;iri=be elevated on something,rest upon,hang;ri=screen,protect,bind)、「(頭の)上に置かれている・ように見え・結び付けられている・ように見えるもの(旋毛)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となり、その最初の「ギ」の語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「ギリ」となった)

  「ツ・チナ・ポウ」、TU-TINA-POU(tu=stand,settle;tina=fixed,firm,satisfied;pou=pole,fix,render immovable by occult means)、「(魂が逃げないように)封じ込めて・固定する(場所に)・あるもの(旋毛)」(「チナ」が「チン」から「ジン」と、「ポウ」が「ボ」となった)

  「(ン)グル」、NGURU(grunt,murmur,rumble,an incantation in connection with marriage)、「結婚の縁結び(の呪文)に関係するもの(旋毛)」(「(ン)グル」のNG音がG音に変化して「グル」となった)(この言葉は、旋毛に結婚を予感する直感が作用するという俗信があった(現在でも「頭にビビッと来た」などと表現されます)ことによるものと考えられます。)

  「イ・チヒ」、I-TIHI(i=be stirred of the feelings;tihi=summit,top)、「感情が湧き上がる・(頭の)てっぺん(にあるもの)(旋毛)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」となった)

  「ツ・チヒ」、TU-TIHI(tu=stand,settle;tihi=summit,top)、「(頭の)てっぺんに・置かれているもの(旋毛)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」となった)

  「(ン)ギア・イリ」、NGIA-IRI(ngia=seem,appear to be;iri=be elevated on something,rest upon,hang)、「(頭の)上に置かれている・ように見えるもの(旋毛)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となり、その語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「ギリ」となった)

  「マイマイ」、MAIMAI(a dance or haka to welcome guest,token or expression of affection,song of affection for the dead)、「感情が湧き上がる(場所にあるもの)(旋毛)」

  「ウツ・マキ」、UTU-MAKI(utu=spur of a hill;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「頭のてっぺんで・(渦を)巻いているもの(旋毛)」(「ウツ」が「ウズ」となった)

  「キオ・マキ」、KIO-MAKI((Hawaii)kio=projection,protuberance,to protrude;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「(突出部)頭のてっぺんで・(渦を)巻いているもの(旋毛)」(「キオ」が「キョー」となった)

  「チオホ・マキ」、TIOHO-MAKI(tioho=apprehensive;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「心配(の感情)が湧き上がる・(渦を)巻いているもの(旋毛)」(「チオホ」のH音が脱落して「チョー」となった)

  「チウ・マキ」、TIU-MAKI(tiu=soar,prompt,restless;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「感情が湧き上がる(場所にある)・(渦を)巻いているもの(旋毛)」(「チウ」が「チュー」となった)

  「チウ・チウ・マキ」、TIU-MAKI(tiu=soar,prompt;restless;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「感情が・次から次に湧き上がる(場所にある)・(渦を)巻いているもの(旋毛)」(「チウ」が「ジュ」となった)

  「タラ」、TARA(point,peak of a mountain)、「頭のてっぺん(にあるもの。旋毛)」(「タラ」が「サラ」となった)

  「マチ」、MATI(=mate=overcome with any emotion,the emotion being expressed,deep affection)、「深い感情を司る(場所にあるもの。旋毛)」

  「マキ・(ン)ギア・イリ」、MAKI-NGIA-IRI((Hawaii)maki=to roll,fold;ngia=seem,appear to be;iri=be elevated on something,rest upon,hang)、「(渦を)巻いている・(頭の)上に置かれている・ように見えるもの(旋毛)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となり、その語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「ギリ」となった)

の転訛と解します。

138つむじかぜ(旋風)・タツマキ・ツムンズカンゼ・ツムジ・マギカジェ・スジマキ・ツモジッカゼ・マイマイカゼ・ツムジカジェ・テングカゼ・ミャーミャーコ・ツズカゼ・チリマキカゼ・ツヅマキ・チジマキ・ウズマッ・カジマチ・マチカジ・マーリカゼ・チリマキカジェ

 「つむじかぜ」の方言には、北海道、富山などの「タツマキ」、岩手の「タズマギ」(「タツマキ」と同語源)、宮城の「ツムンズカンゼ」、秋田、群馬の「ツムジ」、山形の「マギカジェ」、茨城の「ツムチカゼ」(「つむじかぜ」と同語源)、神奈川の「スジマキ」、静岡の「ツモジッカゼ」、三重、兵庫などの「マイマイカゼ」、滋賀、島根の「ツムジカジェ」、大阪の「テングカゼ」、岡山の「ミャーミャーコ」、徳島の「マイカゼ」(「マイマイカゼ」と同語源)、香川の「ツズカゼ」、高知の「トゥムジカゼ」(「つむじかぜ」と同語源)、福岡の「チリマキカゼ」、佐賀の「ツヅマキ」、熊本の「チジマキ」、鹿児島の「ウズマッ」、沖縄那覇の「カジマチ」、沖縄首里の「マチカジ」があります。

 上記のほか、福島の「マーリカゼ」、福岡の「チリマキカジェ」などがあります。

 この「つむじかぜ」、「タツマキ」、「ツムンズカンゼ」、「ツムジ」、「マギカジェ」、「スジマキ」、「ツモジッカゼ」、「マイマイカゼ」、「ツムジカジェ」、「テングカゼ」、「ミャーミャーコ」、「ツズカゼ」、「チリマキカゼ」、「ツヅマキ」、「チジマキ」、「ウズマッ」、「カジマチ」、「マチカジ」、「マーリカゼ」、「チリマキカジェ」は、

  「ツム・チ・カハ・テ」、TUMU-TI-KAHA-TE(tumu=promontory,headland;ti=throw,cast;kaha=strong,persistency:te=crack)、「(頭の)先端に・置かれているもの(旋毛)のように渦を巻く・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「チ」が「ジ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった。また「ツム」が「トゥム」となった)

  「タ・ツ・マキ」、TA-TU-MAKI(ta=dash,beat,lay;tu=fight with,energetic;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「猛烈な勢いで・襲いかかる・渦を巻く(暴風。竜巻)」(また「ツ」が「ズ」と、「マキ」が濁音化して「マギ」となった)

  「ツム(ン)ガ・ツ・カナ・テ」、TUMUNGA-TU-KANA-TE(tumunga=tumu=promontory,headland;tu=stand,settle;kana=stare wildly,bewitch:te=crack)、「(頭の)先端に・あるもの(旋毛)のように渦を巻く・魔法を掛けたように・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「ツム(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツムナ」から「ツムン」と、「ツ」が「ズ」と、「カナ」が「カン」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「ツム・チ」、TUMU-TI(tumu=promontory,headland;ti=throw,cast)、「(頭の)先端に・置かれているもの(旋毛)のように渦を巻いて吹き荒れるもの(つむじ風)」(「チ」が「ジ」となった)

  「マキ・カハ・チエ」、MAKI-KAHA-TIE((Hawaii)maki=to roll,fold;kaha=strong,persistency:tie=abundance,plenty)、「渦を巻く・極めて・力強く(吹き荒れるもの。つむじ風)」(「マキ」が濁音化して「マギ」と「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「チエ」が「ジェ」となった)

  「ツ・チ・マキ」、TU-TI-MAKI(tu=fight with,energetic;ti=throw,cast,overcome;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「猛烈な勢いで・圧倒する・渦を巻く(暴風。竜巻)」(「ツ」が「ス」と、「チ」が「ジ」となった)

  「ツム・アウ・チ・カハ・テ」、TUMU-AU-TI-KAHA-TE(tumu=promontory,headland;au=firm,intense;ti=throw,cast;kaha=strong,persistency:te=crack)、「(頭の)先端に・しっかりと・置かれているもの(旋毛)のように渦を巻く・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「ツム・オ」が「ツモ」と、「チ」が「ジッ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「マイマイ・カハ・テ」、MAIMAI-KAHA-TE(maimai=a dance or haka to welcome guest,token or expression of affection,song of affection for the dead;kaha=strong,persistency:te=crack)、「感情が湧き上がる(場所にある旋毛のように渦を巻く)・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった。また「マイマイ」の反復語尾が脱落して「マイ」となった)

  「ツム・チ・カハ・チエ」、TUMU-TI-KAHA-TIE(tumu=promontory,headland;ti=throw,cast;kaha=strong,persistency:tie=abundance,plenty)、「(頭の)先端に・置かれているもの(旋毛)のように渦を巻く・極めて・力強く(吹き荒れるもの。つむじ風)」(「チ」が「ジ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「チエ」が「ジェ」となった)

  「タイ・(ン)グ(ン)グ・カハ・テ」、TAI-NGUNGU-TI-KAHA-TE(tai=wave,anger,rage,violent;ngungu=ghost,greedy,lead astray;kaha=strong,persistency:te=crack)、「猛威を振るう・(道に迷ったように)渦を巻く)・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」と、「(ン)グ(ン)グ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ヌグ」から「ング」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「ミア・ミア・カウ」、MIA-MIA-KAU(mia=mi ia=stream,rushing stream;kau=swim,wade)、「激しく・流れる流れの・中を歩くように(渦を巻く風。つむじ風)」(「ミア」が「ミャー」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ツツ・カハ・テ」、TUTU-KAHA-TE(tutu=move with vigour,violent;kaha=strong,persistency:te=crack)、「荒々しい・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「ツツ」が「ツヅ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「チリ・マキ・カハ・テ」、TIRI-MAKI-KAHA-TE(tiri=throw or place one by one,scatter;(Hawaii)maki=to roll,fold;kaha=strong,persistency:te=crack)、「渦を巻いて・吹き寄せる・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「ツツ・マキ」、TUTU-MAKI(tutu=move with vigour,violent;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「荒々しい・渦を巻いて吹く(つむじ風)」(「ツツ」が「ツヅ」となった)

  「チチ・マキ」、TITI-MAKI(titi=squeek,make a sharp inarticulate sound,go astray;(Hawaii)maki=to roll,fold)、「金切り声を上げ・渦を巻いて吹く(つむじ風)」(「チチ」が「チジ」となった)

  「ウ・ツマ」、U-TUMA(u=be firm,be fixed,reach its limit;tuma=challenge)、「力の限りを尽くして・吹き荒れる(つむじ風)」(「ツマ」が「ズマッ」となった)

  「カチ・マチ」、KATI-MATI(kati=block up,prevent,bite,nip;mati=surfeited)、「(人の動きを)たっぷりと・遮断する(つむじ風)」(「カチ」が「カジ」となった)

  「マチ・カチ」、MATI-KATI(mati=surfeited;kati=block up,prevent,bite,nip)、「(人の動きを)たっぷりと・遮断する(つむじ風)」(「カチ」が「カジ」となった)

  「マ・ハリ・カハ・テ」、MA-HARI-KAHA-TE(ma=go,come;hari=dance;kaha=strong,persistency:te=crack)、「踊りを・踊りながら(渦を巻いて)・力強く・(草木を)吹き分けるもの(つむじ風)」(「ハリ」のH音が脱落して「アリ」となり、「マ・アリ」が「マーリ」と、「テ」が「ゼ」となった)

  「チリ・マキ・カハ・チエ」、TIRI-MAKI-KAHA-TIE(tiri=throw or place one by one,scatter;(Hawaii)maki=to roll,fold;kaha=strong,persistency:tie=abundance,plenty)、「渦を巻いて・吹き寄せる・極めて・力強く(吹き荒れるもの。つむじ風)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「チエ」が「ジェ」となった)

の転訛と解します。

139つめたい(冷たい)・シャッコイ・ハツケ・シャッコエ・ツッタエ・ヒャッコイ・ヒャッコエ・チミデー・ヒャッケー・チプタイ・チピタイ・ツベテー・ツメテァー・ツベタェー・ヌルイ・ツミター・チベタイ・ツベテャー・ヒヤイ・チミタイ・ツメタカ・ヒヤカ・ヒエー・チュンテ・ヒジュルサン・ツミダエ・チウタイ

 「つめたい」の方言には、北海道、青森などの「シャッコイ」、岩手の「ハツケ」、宮城、新潟の「シャッコエ」、山形の「ツッタエ」、福島、埼玉などの「ヒャッコイ」、茨城の「ヒャッコエ」、栃木の「チミデー」、群馬の「ヒャッケー」、千葉の「ヒャッケ」(「ヒャッケー」と同語源)、富山の「チプタイ」、石川の「チピタイ」、福井、鹿児島の「ツメテー」(「つめたい」と同語源)、山梨、長野の「ツベテー」、岐阜の「ツメテァー」、愛知の「ツベタェー」、三重の「ヒヤカイ」(「ヒャッケー」と同語源)、滋賀の「ヌルイ」、大阪、奈良などの「ヒヤコイ」(「ヒャッコイ」と同語源)、鳥取の「ツミター」、島根の「チベタイ」、岡山の「ツベテャー」、広島、山口などの「ヒヤイ」、香川の「チミタイ」、福岡、長崎などの「ツメタカ」、佐賀の「ヒヤカ」、大分の「ヒエー」、宮崎の「チュンテ」、沖縄那覇・首里の「ヒジュルサン」があります。

 上記のほか、山形の「ツミダエ」、富山の「チウタイ」などがあります。

 この「つめたい」、「シャッコイ」、「ハツケ」、「シャッコエ」、「ツッタエ」、「ヒャッコイ」、「ヒャッコエ」、「チミデー」、「ヒャッケー」、「チプタイ」、「チピタイ」、「ツベテー」、「ツメテァー」、「ツベタェー」、「ヌルイ」、「ツミター」、「チベタイ」、「ツベテャー」、「ヒヤイ」、「チミタイ」、「ツメタカ」、「ヒヤカ」、「ヒエー」、「チュンテ」、「ヒジュルサン」、「ツミダエ」、「チウタイ」は、

  「ツイ・マイタイ」、TUI-MAITAI(tui=pierce,sew,hurt;maitai=good,beautiful,agreeable)、「刺すような刺激が・ちょうど良い(冷たい)」(「ツイ」のI音が脱落して「ツ」と、「マイタイ」の最初のAI音がE音に変化して「メタイ」となった。また「マイタイ」の二つのAI音がE音に変化して「メテ」から「メテー」となった)

  「チア・コイ」、TIA-KOI(tia=stick in or drive in pegs etc.;koi=good,suitable)、「刺すような刺激が・ちょうど良い(冷たい)」(「チア」が「チャ」から「シャッ」となった)

  「ハ・カイ」、HA-KAI(ha=what!;kai=koi=good,suitable)、「何と・ちょうど良い(感じ。冷たい)」(「ハ」が「ハッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「チア・コエ」、TIA-KOE(tia=stick in or drive in pegs etc.;koe=like a,as a)、「まあまあ(ほど良い)・刺すような刺激がある(冷たい)」(「チア」が「チャ」から「シャッ」となった)

  「ツツ・タエ」、TUTU-TAE(tutu=be raised as dust or disturbance etc.,violent,steep in water;tae=arrive,reach,touch of feeling,equal)、「(手を流)水に浸したような・感じがする(冷たい)」(「ツツ」が「ツッ」となった)

  「ヒア・コイ」、HIA-KOI(hia=to express surprise and admiration;koi=good,suitable)、「何と・ちょうど良い(冷たい)」(「ヒア」が「ヒャ」から「ヒャッ」となった)

  「ヒア・コエ」、HIA-KOE(hia=to express surprise and admiration;koe=like a,as a)、「何と・まあまあ(ほど良い)(冷たい)」(「ヒア」が「ヒャ」から「ヒャッ」となった)

  「チ・ミ・テ」、TI-MI-TE(ti=throw,cast;mi=mimi=stream;te,tete=exert oneself,gnash the teeth)、「流れに・放り込まれて・(冷たくて)歯をガチガチと鳴らす(冷たい)」(「テ」が「デー」となった)

  「ヒア・カイ」、HIA-KAI(hia=to express surprise and admiration;kai=koi=good,suitable)、「何と・ちょうど良い(感じ。冷たい)」(「ヒア」が「ヒャ」から「ヒャッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケー」となった)

  「チ・プタイ」、TI-PUTAI(ti=throw,cast,overcome;putai=spray,misty driveing rain)、「霧のような激しい雨に・打たれる(冷たい)」(「プタイ」が「ブタイ」となった)

  「チ・ピ・タイ」、TI-PI-TAI(ti=throw,cast,overcome;pi=flow of tide,source of a stream;tai=tide,wave,rage,violence)、「激しい・源流に・放り込まれる(冷たい)」(「ピ」が「ビ」となった)

  「ツ・ペ・タイ」、TU-PE-TAI(tu=stand,settle,fight with,energetic;pe=crushed,mashed,like;tai=tide,wave,rage,violence)、「流れに・激しく・打たれる(冷たい)」(「ペ」が「ベ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「テー」となった)

  「ツイ・マイタイ・ア」、TUI-MAITAI-A(tui=pierce,sew,hurt;maitai=good,beautiful,agreeable;a=well,well then,sometimes simply to attract attention)、「刺すような刺激が・ちょうど良い・ね(冷たい)」(「ツイ」のI音が脱落して「ツ」と、「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「ツ・ペ・タエ」、TU-PE-TAE(tu=stand,settle,fight with,energetic;pe=crushed,mashed,like;tae=arrive,reach,touch of feeling,equal)、「激しく・刺激を受けた・感じがする(冷たい)」(「ペ」が「ベ」と、「タエ」が「タェー」となった)

  「ヌル・イ」、NULU-I((Hawaii)nulu=to rise up as smoke or steam;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(冬季に川面から)湯気が・立つ((水温が)冷たい)」または「湯気が・立つ((水温が)温かい。ぬるい)」

  「ツ・ミ・タ」、TU-MI-TA(tu=fight with,energetic;mi=mimi=stream;ta=dash,beat,lay)、「流れが・はげしく・刺激する(冷たい)」(「タ」が「ター」となった)

  「チ・ペ・タイ」、TI-PE-TAI(ti=throw,cast,overcome;pe=crushed,mashed,like;tai=tide,wave,rage,violence)、「流れに・激しく・圧倒される(冷たい)」(「ペ」が「ベ」となった)

  「ツ・ペ・タイ・イア」、TU-PE-TAI-IA(tu=stand,settle,fight with,energetic;pe=crushed,mashed,like;tai=tide,wave,rage,violence;ia=indeed)、「流れに・実に・激しく・打たれる(冷たい)」(「ペ」が「ベ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」と、「イア」が「ヤー」となった)

  「ヒア・イ」、HIA-I(hia=to express surprise and admiration;i=ferment,be stirred of the feelings)、「何という・感じだ(冷たい)」(「ヒア」が「ヒヤ」となった)

  「チ・ミ・タイ」、TI-MI-TAI(ti=throw,cast,overcome;mi=mimi=stream;tai=tide,wave,rage,violence)、「激しい・源流に・放り込まれる(冷たい)」

  「ツイ・マイタイ・カ」、TUI-MAITAI-KA(tui=pierce,sew,hurt;maitai=good,beautiful,agreeable;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「刺すような刺激が・ちょうど良い・ね(冷たい)」(「ツイ」のI音が脱落して「ツ」と、「マイタイ」の最初のAI音がE音に変化し、語尾のI音が脱落して「メタ」となった)

  「ヒア・カ」、HIA-KA(hia=to express surprise and admiration;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「何という・感じだ(冷たい)」(「ヒア」が「ヒヤ」となった)

  「ヒア・エ」、HIA-E(hia=to express surprise and admiration;e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise)、「何という・感じだ(冷たい)」(「ヒア」の語尾のA音と「エ」のE音が連結してE音に変化して「ヒエー」となった)

  「チ・ウ(ン)ガ・タイ」、TI-UNGA-TAI(ti=throw,cast,overcome;unga=circumstance etc. of becoming firm,place etc. of arrival,send,expel;tai=tide,wave,rage,violence)、「流れの・中に・放り込まれる(冷たい)」(「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、「チ・ウン」が「チュン」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)

  「ヒ・チウ・ルタ・ナ」、HI-TIU-RUTA-NA(hi=make a hissing noise;tiu=soar,north wind;ruta=rage,bluster;na=by,belonging to)、「ヒューヒューと音を立てて・北風が・吹きすさぶ・ような(冷たい)」(「チウ」が「ジュ」と、「ルタ」が「ルサ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ツ・ミ・タエ」、TU-MI-TAE(tu=stand,settle,fight with,energetic;mi=mimi=stream;tae=arrive,reach,touch of feeling,equal)、「流れに・浸かった・感じがする(冷たい)」(「タエ」が「ダエ」となった)

  「チ・ウ・タイ」、TI-U-TAI(ti=throw,cast,overcome;u=be firm,be fixed;tai=tide,wave,rage,violence)、「流れの・中に・放り込まれる(冷たい)」

の転訛と解します。

140つゆ(梅雨)・ニューバイ・ニューベア・ニューバエ・ツイリ・ナガセ・ナガシェ・ナガシ・スーマンボースー・ナガアミ

 「つゆ」の方言には、北海道、秋田の「ニューバイ」、岩手の「ニューベア」、山形の「ニューバエ」、茨城の「ニーバエ」(「ニューバエ」」と同語源)、岐阜の「ニューヘァー」(「ニューベア」」と同語源)、愛知の「ニューバェー」(「ニューバエ」」と同語源)、三重の「ツイリ」、徳島、香川の「ナガセ」、高知の「ナンガセ」(「ナガセ」と同語源)、佐賀の「ナガシェ」、長崎、熊本などの「ナガシ」、沖縄那覇の「スーマンボースー」、沖縄首里の「ナガアミ」があります。

 この「つゆ」、「ニューバイ」、「ニューベア」、「ニューバエ」、「ツイリ」、「ナガセ」、「ナガシェ」、「ナガシ」、「スーマンボースー」、「ナガアミ」は、

  「ツ・ウイウ」、TU-WHIU(tu=stand,settle,fight with,energetic;whiu=throw,place,be gathered together)、「精力的に(ひっきりなしに)・(集めた)降り続く(梅雨)」(「ウイウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」となった)

  「ニウ・パヒ」、NIU-PAHI(niu=dress timber smooth with a adze,move along,glide;pahi=ooze,flow,leak,gloomy,disquieted)、「しとしとと降る(季節に)・移行する(梅雨)」(「ニウ」が「ニュー」と、「パヒ」のH音が脱落して「バイ」となった)

  「ニウ・パヒ・ア」、NIU-PAHI-A(niu=dress timber smooth with a adze,move along,glide;pahi=ooze,flow,leak,gloomy,disquieted;a=well,well then,sometimes simply to attract attention)、「しとしとと降る(季節に)・移行する・ね(梅雨)」(「ニウ」が「ニュー」と、「パヒ」のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「ベ」となった。また「パヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、次のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「ヘ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「ニウ・パヒ・エ」、NIU-PAHI-E(niu=dress timber smooth with a adze,move along,glide;pahi=ooze,flow,leak,gloomy,disquieted;e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise)、「しとしとと雨が降る(季節に)・移行する・ね(梅雨)」(「ニウ」が「ニュー」と、「パヒ」のH音が脱落して「バ」となった。また「ニウ」が「ニー」となった。また「エ」が「ェー」となった)

  「ツ・ウイリ」、TU-WIRI(tu=stand,settle,fight with,energetic;wiri=flock,shoal of eels etc.)、「精力的に(ひっきりなしに)・(群れている)降り続く(梅雨)」(「ウイリ」のW音が脱落して「イリ」となった)

  「ナ・ア(ン)ガ・テ」、NA-ANGA-TE(na=by,belonging to;anga=driving force,thing driven,etc.;te,whakate=squeeze fluid out of anything)、「(天が絞られて)降る雨(の季節)が・長引いて・いるような(梅雨)」(「ナ」のA音と「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「ナガ」と、「テ」が「セ」となった。また「ア(ン)ガ」が「アンガ」となった)

  「ナ・ア(ン)ガ・チエ」、NA-ANGA-TIE(na=by,belonging to;anga=driving force,thing driven,etc.;tie=abundance,plenty)、「膨大な(降る雨の季節が)・長引いて・いるような(梅雨)」(「ナ」のA音と「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「ナガ」と、「チエ」が「シェ」となった)

  「ナ・ア(ン)ガ・チ」、NA-ANGA-TI(na=by,belonging to;anga=driving force,thing driven,etc.;ti=throw,cast)、「降る(雨の季節が)・長引いて・いるような(梅雨)」(「ナ」のA音と「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「ナガ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ツ・マナ・ポウ・ツ」、TU-MANA-POU-TU(tu=fight with,energetic,stand,settle;mana=influence,power,psychic force;pou=pour out;tu=manner,sort,to signify a moderate degree of the quality expressed)、「霊力が・懸命に作用しているように・穏やかに・雨を降らし続ける(梅雨)」(「ツ」が「スー」と、「マナ」が「マン」と、「ポウ」が「ボー」となった)

  「ナ・ア(ン)ガ・アミ」、NA-ANGA-AMI(na=by,belonging to;anga=driving force,thing driven,etc.;ami=gather,collect)、「(雨が)集中する(季節が)・長引いて・いるような(梅雨)」(「ナ」のA音と「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「ナガ」となった)

の転訛と解します。

141つらい(辛い)・ユルグナイ・ヘズネ・ナンギダ・ウンザネハグ・セズネ・シェズナエ・ツレァー・クルシー・ウイ・ヒドイ・エレー・エレァー・エリャー・エラェー・キビシイ・シンドイ・ズツナイ・センナイ・ズトゥナイ・ツラカ・キツカ・ズツネー・クチサン・ヒデー・シロシカ・ジュツナカ・キチー・ダイー・ヒジ

 「つらい」の方言には、北海道の「ユルグナイ」、青森の「ヘズネ」、岩手の「ナンギダ」、宮城の「ウンザネハグ」、秋田の「セズネ」、山形の「シェズナエ」、福島、栃木の「セズネー」(「セズネ」と同語源)、茨城の「ツレァー」、群馬、埼玉などの「ツレー」(「つらい」と同語源)、新潟の「クルシー」、富山の「ウイ」、石川の「ヒドイ」、福井の「エレー」、山梨の「セツネー」(「セズネ」と同語源)、岐阜の「エレァー」、静岡、岡山の「エリャー」、愛知の「エラェー」、滋賀の「キビシイ」、兵庫、広島の「シンドイ」、奈良の「ズツナイ」、鳥取、島根の「エライ」(「エレー」と同語源)、山口の「センナイ」、高知の「ズトゥナイ」、福岡、長崎の「ツラカ」、佐賀、熊本の「キツカ」、大分の「ズツネー」、宮崎、鹿児島の「ツレ」(「つらい」と同語源)、沖縄那覇・首里の「クチサン」があります。

 上記のほか、岩手の「ヒデー」、福岡の「シロシカ」、熊本の「ジュツナカ」、大分の「キチー」、「ダイー」、「ヒジ」(体)などがあります。

 この「つらい」、「ユルグナイ」、「ヘズネ」、「ナンギダ」、「ウンザネハグ」、「セズネ」、「シェズナエ」、「ツレァー」、「クルシー」、「ウイ」、「ヒドイ」、「エレー」、「エレァー」、「エリャー」、「エラェー」、「キビシイ」、「シンドイ」、「ズツナイ」、「センナイ」、「ズトゥナイ」、「ツラカ」、「キツカ」、「ズツネー」、「クチサン」、「ヒデー」、「シロシカ」、「ジュツナカ」、「キチー」、「ダイー」、「ヒジ」は、

  「ツ・ラヒ」、TU-RAHI(tu=stand,settle,fight with,energetic:rahi=great,abundant,slave)、「奴隷のように・懸命にこき使われる(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった。また「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」または「レー」となった)

  「イ・ウル・(ン)グ・ナイ」、I-URU-NGU-NAI(i=past tense,be stirred of the feelings,from,beside,with,by;uru=enter,possess,associate oneself with;ngu=moan,groan;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「苦しい気持ちが・湧いて・来て・(続く)消えない(辛い)」(「イ・ウル」が「ユル」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ハエ・ツ・ネイ」、HAE-TU-NEI(hae=tear,cherish envy or jealousy or ill feeling,cause pain;tu=stand,settle,fight with,energetic:nei=stretched forward,reaching out)、「苦痛が・ずっと・(続く)消えない(辛い)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「(ン)ガ(ン)ギ・タ」、NGANGI-TA(ngangi=cry of distress,noise;ta=dash,beat,lay)、「苦痛の悲鳴を・上げる(辛い)」(「(ン)ガ(ン)ギ」の最初のNG音がN音に変化して「ナンギ」と、「タ」が「ダ」となった)

  「ウ(ン)ガ・タネア・ハ(ン)グ」、UNGA-TANEA-HANGU(unga=act or circumstance of becoming firm;tanea=be choked;hangu=dumb,quiet,not talkative)、「息が苦しくて・しゃべれない・状態(辛い)」(「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」と、「タネア」の語尾のA音が脱落して「ザネ」と、「ハ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ハグ」となった)

  「テ(ン)ガ・ツ(ン)ゲヘ」、TENGA-TUNGEHE(tenga=Adam's apple,goitre;tungehe=quail,be alarmed)、「喉が・(おじける)衰弱している(息苦しい。辛い)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」と、「ツ(ン)ゲヘ」のNG音がN音に変化し、H音が脱落して「ツネ」から「ズネ」、「ツネー」となった)

  「チエ・ツ(ン)ガ(ン)ガ・エ」、TIE-TUNGANGA-E(tie=abundance,plenty;tunganga=be out of breath;e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise)、「実に・たいへん・息苦しい(辛い)」(「チエ」が「シェ」と、「ツ(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ツナ」から「ズナ」となった)

  「ツ・ラヒ・ア」、TU-RAHI-A(tu=stand,settle,fight with,energetic:rahi=great,abundant,slave;a=well,well then,sometimes simply to attract attention)、「奴隷のように・懸命にこき使われる・よ(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「レ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「クル・チヒ」、KURU-TIHI(kuru=strike with the fist,pound,pelt;tihi=summit,top,lie in a heap)、「最高に・打撃を受けている(辛い)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「ウイ」、WI(wiwi=flinch,make a rippling sound)、「(苦痛にひるむ)苦しい(辛い)」

  「ヒ・トイ」、HI-TOI(hi=make a hissing noise,raise,rise;toi=tingle,be galled,be irritated)、「(あまりの)苦痛に・悲鳴を上げる(辛い)」(「トイ」が「ドイ」となった)

  「エ・ラヒ」、E-RAHI(e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise:rahi=great,abundant,slave)、「奴隷のように・働く(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった。また「ライ」のAI音がE音に変化して「レー」となった)

  「エ・ラヒ・ア」、E-RAHI-A(e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise:rahi=great,abundant,slave;a=well,well then,sometimes simply to attract attention)、「奴隷のように・働く・よ(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「レ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「エ・リハ」、E-RIHA(e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise:riha=small,bad(whakarihariha=disgusted,annoyed))、「気分が・悪い(辛い)」(「リハ」のH音が脱落して「リア」から「リャー」となった)

  「エ・ラヒ・エ」、E-RAHI-E(e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise:rahi=great,abundant,slave)、「全く・奴隷のように・働く(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となり、その語尾のI音と「エ」のE音が連結してE音に変化して「ラェー」となった)

  「キピ・チヒ」、KIPI-TIHI(kipi=rebellion,to dig with a sharp tool;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(耕作に適しない)へなへなの道具で・とことん耕やす(辛い)」(「キピ」が「キビ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となった)

  「チニ・トイ」、TINA-TOI(tini=very many,caulk;toi=tingle,be galled,be irritated)、「ひどく・苦しい(辛い)」(「チニ」が「シニ」から「シン」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「ツツ・ナイ」、TUTU-NAI(tutu=move with vigour,violent,vigorous;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「烈しく・働き続ける(辛い)」(「ツツ」が「ズツ」となった)

  「テ(ン)ガ・ナイ」、TENGA-NAI(tenga=Adam's apple,goitre;nai=nei,nenei=waggle)、「喉が・(ふらふらする)苦しい(辛い)」(「テ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「テナ」から「セン」となった)

  「ツトフ・ナイ」、TUTOHU-NAI(tutohu=receive a proposal favourably,point out,indicate;nai=nei,nenei=waggle)、「(身体が)ふらふらしている・ことを示す(辛い)」(「ツトフ」のH音が脱落して「ズトゥ」となった)

  「ツ・ラヒ・カ」、TU-RAHI-KA(tu=stand,settle,fight with,energetic:rahi=great,abundant,slave;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「奴隷のように・懸命にこき使われる・な(辛い)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ラ」となった)

  「キヒ・ツカハ」、KIHI-TUKAHA(kihi=cut off,destroy compleyely;tukaha=strenuous,vigorous)、「烈しくて・殺されそうに苦しい(辛い)」(「キヒ・ツカハ」のH音が脱落して「キ・ツカ」となった)

  「ツツ・ネイ」、TUTU-NEI(tutu=move with vigour,violent,vigorous;nei=stretched forward,reaching out)、「烈しく・働き続ける(辛い)」(「ツツ」が「ズツ」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「クチ・タネア」、KUTI-TANEA(kuti=draw tightly together,contract,pinch;tanea=be choked)、「口が(閉じて)・(窒息する)息苦しい(辛い)」(「タネア」の語尾のA音が脱落して「タネ」から「サン」となつた)

  「ヒ・テイ」、HI-TEI(hi=make a hissing noise,raise,rise;tei=high,summit,top)、「高く・悲鳴を上げる(辛い)」(「テイ」が「デー」となった)

  「チロ・チ・カ」、TIRO-TI-KA(tiro=look,suevey,examine;ti=throw,cast,overcome;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(苦痛に)圧倒されていると・見える・ね(辛い)」(「チロ」が「シロ」と、「チ」が「シ」となった)

  「チ・ウツ・ナカ」、TI-UTU-NAKA(ti=throw,cast,overcome;utu=dip up water,dip into for the purpose og filling;naka=move in a certain direction)、「水中に・沈められた・ような(苦しい。辛い)」(「チ・ウツ」が「チュツ」から「ジュツ」となった)

  「キヒ・チヒ」、KIHI-TIHI(kihi=cut off,destroy compleyely;tihi=summit,top,lie in a heap)、「最高に・殺されそうに苦しい(辛い)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チー」となった)

  「タ・イヒ」、TA-IHI(ta=dash,beat,lay;ihi=shudder,quiver,make a hissing or rushing noise)、「(苦痛の)悲鳴を・吐き出す(辛い)」(「タ」が「ダ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イイ」から「イー」となった)

  「ヒ・チ」、HI-TI(hi=make a hissing noise,raise,rise;ti=throw,cast)、「(苦痛の)悲鳴を・上げる(辛い)」(「チ」が「ジ」となった)

の転訛と解します。

142つらら(氷柱)・シガ・シガマ・タロヒ・タロンペ・ボンダラ・アメンボー・カネッコリ・カネコロ・タルキ・コーリンボー・ツルサゴーリ・カナゴリ・ホダレ・シンザイ・カナコーリ・トゥララ・マガンコ・タルミ・ビードロ・ヨーラク・カネンクリ・ヒモロ

 「つらら」の方言には、北海道、福島の「シガ」、青森の「シガマ」、岩手の「タロヒ」、秋田の「タロンペ」、山形の「ボンダラ」、茨城、栃木などの「アメンボー」、新潟の「カネッコリ」、富山の「カネコロ」、石川、福井の「タルキ」、山梨の「コーリンボー」、静岡の「ツルサゴーリ」、三重の「カナゴリ」、滋賀の「ホダレ」、島根の「シンザイ」、岡山の「カナコーリ」、高知の「トゥララ」、福岡、熊本の「マガンコ」、佐賀の「タルミ」、長崎の「ビードロ」、大分の「ヨーラク」、宮崎の「カネンクリ」、鹿児島の「ヒモロ」があります。

 この「つらら」、「シガ」、「シガマ」、「タロヒ」、「タロンペ」、「ボンダラ」、「アメンボー」、「カネッコリ」、「カネコロ」、「タルキ」、「コーリンボー」、「ツルサゴーリ」、「カナゴリ」、「ホダレ」、「シンザイ」、「カナコーリ」、「トゥララ」、「マガンコ」、「タルミ」、「ビードロ」、「ヨーラク」、「カネンクリ」、「ヒモロ」は、

  「ツララ」、TURARA(spread out)、「長く延びた(氷。氷柱)」

  「チ・ヒ(ン)ガ」、TI-HINGA(ti=throw,cast;hinga=fall from an erect position)、「下に・落ちてきた(氷。氷柱)」(「チ」が「シ」と、「ヒ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「ガ」となつた)

  「チ・ヒ(ン)ガ・マ」、TI-HINGA-MA(ti=throw,cast;hinga=fall from an erect position;ma=white,clean)、「下に・落ちてきた・清らかな(氷。氷柱)」(「チ」が「シ」と、「ヒ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「ガ」となつた)

  「タロ・ヒ」、TARO-HI(taro=a plant cultivated for food;hi=raise,draw up,rise)、「タロ芋のような・(水に浮く)氷(氷柱)」

  「タロ・ノペ」、TARO-NOPE(taro=a plant cultivated for food;nope=constricted)、「収縮した・タロ芋のような(氷柱)」(「ノペ」が「ンベ」となった)

  「ポナ・タラ」、PONA-TARA(pona=knot,cord,anything tied up into a compact parcel;tara=side wall of a house)、「家の横壁を・縛り上げるように垂れ下がるもの(氷柱)」(「ポナ」が「ボン」と、「タラ」が「ダラ」となった)

  「ア・メネ・ポウ」、A-MENE-POU(a=by,belonging to;mene=show wrinkles,contort the face;pou=post,pole,stake)、「(横に)皺が寄って・いる・棒(氷柱)」(「メネ」が「メン」と、「ポウ」が「ボー」となった)

  「カネ・コリ」、KANE-KORI(kane=head;kori=move,bestirr oneself)、「(頭)先端が・成長するもの(氷柱)」(「カネ」が「カネッ」となった)

  「カネ・コロコロ」、KANE-KOROKORO(kane=head;korokoro=lamprey)、「(頭)先端が・八ッ目ウナギのような(氷柱)」(「コロコロ」の反復語尾が脱落して「コロ」となった)

  「タ・アル・キ」、TA-ARU-KI(ta=the...of,dash,beat,lay;aru=follow,chase;ki=full,very)、「例の・しっかり・競争する(長くなる)もの(氷柱)」(「タ」のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「タル」となった)

  「カウ・ハウ・リ・ノ・ポウ」、KAU-HAU-RI-NO-POU(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;ri=screen,protect,bind;no=of;pou=post,pole,stake)、「次第に姿を見せる・冷たい・板のような氷・の・棒(氷柱)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」と、「コ・オ」が「コー」と、「ノ」が「ン」と、「ポウ」が「ボー」なった)

  「ツル・タ・カウ・ハウ・リ」、TURU-TA-KAU-HAU-RI(turu=post,pole,upright;ta=dash,beat,lay;kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;ri=screen,protect,bind)、「棒(の形)に・なっている・次第に姿を見せる・冷たい・板のような氷(氷柱)」(「タ」が「サ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」と、「コ・オ」が「コー」から「ゴー」となった)

  「カナ・コリ」、KANA-KORI(kana=stare wildly,bewitch;kori=move,bestirr oneself)、「魔法にかかったように・成長するもの(氷柱)」(「コリ」が「ゴリ」となった)
  または「カナ・(ン)ゴリ(ン)ゴリ」、KANA-NGORINGORI(kana=stare wildly,bewitch;ngori,ngoringori=a small black eel)、「魔法にかかったような(成長する)・ウナギ(氷柱)」(「(ン)ゴリ(ン)ゴリ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「ゴリ」となった)

  「ハウ・タレ」、HAU-TARE((Hawaii)hau=cool,ice,frost;tare=hang,be drawn towards)、「垂れている・氷(氷柱)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」となった)

  「チ・(ン)ガタヒ」、TI-NGATAHI(ti=throw,cast;ngatahi=together)、「一斉に・垂れ下がるもの(氷柱)」(「チ」が「シ」と、「(ン)ガタヒ」のNG音がN音に変化し、H音が脱落して「ナタイ」から「ンザイ」となつた)

  「カナ・カウ・ハウ・リ」、KANA-KAU-HAU-RI(kana=stare wildly,bewitch;kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;ri=screen,protect,bind)、「魔法にかかったような(成長する)・次第に姿を見せる・冷たい・板のような氷(氷柱)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」と、「コ・オ」が「コー」となった)

  「トフ・ララ」、TOHU-RARA(tohu=mark,point out,show,look;rara=twig,small branch)、「小枝のように・見えるもの(氷柱)」(「トフ」のH音が脱落して「トゥ」となった)

  「マ(ン)ガ・ナ・カウ」、MANGA-NA-KAU(manga=branch of a tree,brook;na=by,belonging to;kau=stalk)、「杖・のような・枝(氷柱)」(「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マガ」と、「ナ」が「ン」と「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「タ・アル・ミ」、TA-ARU-MI(ta=the...of,dash,beat,lay;aru=follow,chase;mi,mimi=stream)、「例の・(融けた)水が・競争する(流れ落ちる)もの(氷柱)」(「タ」のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「タル」となった)

  「ピヒ・トロ」、PIHI-TORO(pihi=some ornament for the person;toro=stretch forth,thrust or impel endways,smooth timber with an adze)、「(縦に)長い・装飾品または典礼品のような(氷柱)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ビー」と、「トロ」が「ドロ」となった)

  「イオ・ラク」、IO-RAKU(io=lock of hair;raku=scratch,scrape)、「垂れ髪を・梳いたような(氷柱)」(「イオ」が「ヨー」となった)

  「カネ・ネク・ウリ」、KANE-NEKU-URI(kane=head;neku,nekuneku=decline as the sun;uri=descendant,relative)、「沈む太陽の・親戚のような・頭(先端が大地に向かって進むもの)(氷柱)」(「ネク」が「ンク」となり、その語尾のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「ンクリ」となった)

  「ヒ・マウ・ラウ」、HI-MAU-RAU(hi=raise,draw up,rise;mau=carry,bring,fixed,continuing;rau=project,extend,root)、「伸びる・根のような・(水に浮く)氷(氷柱)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

の転訛と解します。

「テ」

143ていねい(丁寧)・マテ・ネッズイ・キチョーメン・リチギモン・マメ・カタイ・ネンイリ・ネンノイル・ネンノイットッ・シャー・テーネーカ・シッテーナ・ギッパネ・テネン・ヤファッテーン・ネツェ・ネンシャ

 「ていねい」の方言には、北海道の「マテ」、青森、岩手の「マデ」(「マテ」と同語源)、宮城、秋田などの「マデー」(「マテ」と同語源)、山形の「ネッズイ」、茨城、栃木などの「テーネー」(「ていねい」と同語源)、埼玉、和歌山の「テーネ」(「ていねい」と同語源)、千葉の「キチョーメン」、神奈川の「リチギモン」、新潟の「マメ」、福井の「カタイ」、山梨、山口の「ネツイ」(「ネッズイ」と同語源)、長野の「マテー」(「マテ」と同語源)、島根の「ネンイリ」、愛媛の「テーネイ」(「ていねい」と同語源)、福岡の「ネンノイル」、佐賀の「ネンノイットッ」、長崎の「シャー」、熊本の「テーネーカ」、大分の「シッテーナ」、宮崎の「ギッパネ」、鹿児島の「テネン」、沖縄那覇の「ティーニー」(「ていねい」と同語源)、沖縄首里の「ヤファッテーン」があります。

 上記のほか、新潟の「ネツェ」、岡山の「ネンシャ」などがあります。

 この「ていねい」、「マテ」、「ネッズイ」、「キチョーメン」、「リチギモン」、「マメ」、「カタイ」、「ネンイリ」、「ネンノイル」、「ネンノイットッ」、「シャー」、「テーネーカ」、「シッテーナ」、「ギッパネ」、「テネン」、「ヤファッテーン」、「ネツェ」、「ネンシャ」は、

  「テイ・ネイ」、TEI-NEI(tei,teitei=high,tall,summit,top;nei=stretched forward,reaching out)、「最高に・引き延ばす(話す。丁寧)」(「テイ」が「ティー」または「テー」と、「ネイ」が「ネ」または「ネー」となった。また「ネイ」のEI音がI音に変化して「ニー」となった)

  「マテ」、MATE(dead,extinguished,moving slowly,slack)、「ゆっくりと行動する(丁寧)」)(「マテ」が「マデ」または「マテー」、「マデー」となった)

  「ネイ・ツイ」、NEI-TUI(nei=stretched forward,reaching out;tui=pierce,lace,sew)、「丹念に・縫う(丁寧)」(「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」から「ネッ」と、「ツイ」が「ズイ」となった)

  「キ・チオホ・メネ」、KI-TIOHO-MENE(ki=full,very;tioho=apprehensive;mene=show wrinkles,contort the face)、「しょっちゅう・心配して・顔を顰める(丁寧)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「チョー」と、「メネ」が「メン」となった)

  「リ・チ(ン)ギア・モナ」、RI-TINGI-MONA(ri=screen,protect,bind;tingia=ti=throw,cast;mona,momona=fat,rich,having desire or appetite)、「熱心な・性格を発揮して・検閲する(丁寧)」(「チ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「チギ」と、「モナ」が「モン」となった)

  「マハ・メ」、MAHA-ME(maha=many,abundance;me=with,denoting concomittance or concurrence in time)、「何回も・その都度同意を与える(丁寧)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「カハ・タヒ」、KAHA-TAHI(kaha=strong,persistency;tahi=one,repeated,one...and the other)、「一つ一つ・永続して(仕事をこなす。丁寧)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となった)

  「ネネ・イリ」、NENE-IRI(nene=fat;iri=be elevate on something,hang,a spell to influence or attract)、「丹念に・(仕事を)積み重ねる(丁寧)」または「丹念に・(成就の)呪文を唱える(丁寧)」(「ネネ」が「ネン」となった)

  「ネネ・ノイ・ル」、NENE-NOI-RU(nene=fat;noi=elevated,on high;ru=shake agitate,scatter)、「丹念に・奮って・(仕事を)積み重ねる(丁寧)」(「ネネ」が「ネン」となった)

  「ネネ・ノイ・ツ・ト」、NENE-NOI-TU-TO(nene=fat;noi=elevated,on high;tu=fight with,energetic;to=drag)、「丹念に・懸命に・努力して・(仕事を)積み重ねる(丁寧)」(「ネネ」が「ネン」と、「ツ」が「ッ」と、「ト」が「トッ」となった)

  「チア」、TIA(stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency)、「力強く舟を漕ぐ(丁寧)」(「チア」が「シャー」となった)

  「テイ・ネイ・カ」、TEI-NEI-KA(tei,teitei=high,tall,summit,top;nei=stretched forward,reaching out;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「最高に・引き延ばす・ね(話す。丁寧)」(「テイ」が「テー」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「チ・テイ・ナ」、TI-TEI-NA(ti=throw,cast;tei,teitei=high,tall,summit,top;na=satisfied,content)、「最高に・満足を・与える(丁寧)」(「チ」が「シッ」と、「テイ」が「テー」となった)

  「(ン)ギタ・パ・ネイ」、NGITA-PA-NEI(ngita=fast,firm,secure;pa=touch,reach,hold personal communicationwith;nei=stretched forward,reaching out)、「緊密な・意思の伝達関係を・長く保持する(丁寧)」(「(ン)ギタ」のNG音がG音に変化して「ギタ」から「ギッ」と、「ネイ」が「ネ」となつた)

  「テイ・ネイ・ナ」、TEI-NEI-NA(tei,teitei=high,tall,summit,top;nei=stretched forward,reaching out;na=satisfied,content)、「満足するほど・最高に・引き延ばす(話す。丁寧)」(「テイ」が「テ」と、「ネイ」が「ネ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「イア・フア・テイ・ナ」、IA-HUA-TEI-NA(ia=indeed;hua=fruit,product,abundance;tei,teitei=high,tall,summit,top;na=satisfied,content)、「実に・最高に・満足する・結果を得る(丁寧)」(「イア」が「ヤ」と、「フア」が「ファッ」と、「テイ」が「テー」と、゜ナ」が「ン」となった)

  「ネイ・ツイ・エ」、NEI-TUI-E(nei=stretched forward,reaching out;tui=pierce,lace,sew;e=to denote action in progress or temporary condition,callijng attention or expressing surprise)、「丹念に・縫う・ね(丁寧)」(「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」と、「ツイ」の語尾のI音が脱落して「ツ」と、「エ」が「ェ」となった)

  「ネネ・チア」、NENE-TIA(nene=fat;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency)、「丹念に・力強く舟を漕ぐ(丁寧)」(「ネネ」が「ネン」と、「チア」が「シャ」となった)

の転訛と解します。

144でしゃばり(出しゃばり)・イーフリコギ・ウシチャカシ・オセッカイヤギ・オサッペー・テカヒカ・アガスケ・コシャグ・デスッパギ・オシャマ・ハジケ・チョビカコキ・オセッカイ・サイコ・セワヤキ・チョカ・サーバーモン・デベソ・デボシ・シャービャースッ・デシャンバリ・デシャバイ・メーナイナイサー・ハイシジラー・カラコシャグ・チョビチョビ・サイコヤキ・デタガリ・コーカル・サイマギル・クチノユンニュカ

 「でしゃばり」の方言には、北海道の「イーフリコギ」、青森の「ウシチャカシ」、岩手の「オセッカイヤギ」、宮城の「オサッペー」、秋田の「テカヒカ」、山形の「アガスケ」、福島の「コシャグ」、茨城、栃木などの「デスッパギ」、千葉の「オシャマ」、新潟の「ハジケ」、山梨の「チョビカコキ」、静岡、徳島の「オセッカイ」、三重の「サイコ」、滋賀、広島の「セワヤキ」、和歌山の「チョカ」、鳥取の「サーバーモン」、島根、熊本の「デベソ」、岡山の「デボシ」、佐賀の「シャービャースッ」、宮崎の「デシャンバリ」、鹿児島の「デシャバイ」、沖縄那覇の「メーナイナイサー」、沖縄首里の「ハイシジラー」があります。

 上記のほか、岩手の「カラコシャグ」、山梨の「チョビチョビ」、三重の「サイコヤキ」、大阪の「デタガリ」、福岡の「コーカル」、「サイマギル」、佐賀の「クチノユンニュカ」(口出し)などがあります。

 この「でしゃばり」、「イーフリコギ」、「ウシチャカシ」、「オセッカイヤギ」、「オサッペー」、「テカヒカ」、「アガスケ」、「コシャグ」、「デスッパギ」、「オシャマ」、「ハジケ」、「チョビカコキ」、「オセッカイ」、「サイコ」、「セワヤキ」、「チョカ」、「サーバーモン」、「デベソ」、「デボシ」、「シャービャースッ」、「デシャンバリ」、「デシャバイ」、「メーナイナイサー」、「ハイシジラー」、「カラコシャグ」、「チョビチョビ」、「サイコヤキ」、「デタガリ」、「コーカル」、「サイマギル」、「クチノユンニュカ」は、

  「テイ・チア・パリ」、TEI-TIA-PARI(tei,teitei=high,tall,summit,top;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;pari=cliff,upstanding,flow over of the tide,bark as a dog,abundance)、「最高に・勢い良く・(堤を越えて水が流れるように)どこへでも出て行く人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「チア」が「シャ」と、「パリ」が「バリ」となった)

  「イヒ・フリ・コキ」、IHI-HURI-KOKI(ihi=power,rank,spell,shudder;huri=turn round,overflow;koki=move ahead,sing in early morning)、「毅然として・堤を越えて水が流れるように・先頭を切って出て行く人(出しゃばり)」(「イヒ」のH音が脱落して「イー」と、「コキ」が濁音化して「コギ」となった)

  「ウ・チチ・アカ・チ」、U-TITI-AKA-TI(u=be firm,be fixed,reach its limit;titi=squeak,make a sharp inarticulate sound;aka=yearning,affection;ti=throw,cast)、「極限まで・甲高い声を張り上げて・意思を・通そうとする人(出しゃばり)」(「チチ」が「シチ」と、「シチ・アカ」が「シチャカ」と、「チ」が「シ」となった)

  「オ・テカ・イ・イア・(ン)ギア」、O-TEKA-I-IA-NGIA(o=the...of;teka=drive forward,attch cross pieces to a pole for the purpose of making a sort of ladder;i=past tense,from,beside,with,by;ia=indeed;ngia=seem,appear to be)、「例の・実に・棒に(刻み目を付ければ足りるのに)わざわざ横木を付けて梯子を作るような・ことをしている・ように見える人(出しゃばり)」(「テカ」が「セッカ」と、「イア」が「ヤ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)

  「オ・タ・ツペ」、O-TA-TUPE(o=the...of;ta=dash,beat,lay;tupe,whakatupe=frighten by shouting at)、「例の・人に大声で叫びかけて・驚かす人(出しゃばり)」(「タ」が「サ」と、「ツペ」が「ッペー」となった)

  「テカ・ヒカ」、TEKA-HIKA(teka=drive forward,attch cross pieces to a pole for the purpose of making a sort of ladder;hika=rub violently,perform certain rites with incantations)、「棒に(刻み目を付ければ足りるのに)わざわざ横木を付けて梯子を作るようなことを・習慣としている人(出しゃばり)」

  「ア(ン)ガ・ツ・ケ」、ANGA-TU-KE(anga=driving forth,thing driven,etc.;tu=fight with,energetic;ke=different,strange)、「異常に・情熱的に・(主張を)押し通そうとする人(出しゃばり)」(「ア(ン)ガ」」のNG音がG音に変化して「アガ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カウ・チア・(ン)グ」、KAU-TIA-NGU(kau=alone,only;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;ngu=greedy)、「ただただ・貪欲に・元気よく行動する人(出しゃばり)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「チア」が「シャ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「テ・ツツ・パ(ン)ギア」、TE-TUTU-PANGIA(te=the...of;tutu=move with vigour,violent;pangia=pa=touch,reach,hold personal communication with)、「例の・高圧的に・人に話しかける人(出しゃばり)」(「テ」が「デ」と、「ツツ」が「スッ」と、「パ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「パギ」となった)

  「オ・チ・イア・マ」、O-TI-IA-MA(o=the...of;ti=squeak,tingle;ia=indeed;ma=clean,white,for,by,light)、「例の・実に・早口で・声高に話しをする人(出しゃばり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」となつた)

  「パチ・ケ」、PATI-KE(pati=ooze,spurt,splash;ke=different,strange)、「異常に・(興奮して)奮闘する人(出しゃばり)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハジ」となった)

  「チ・オビ・カ・コキ」、TI-OPI-KA-KOKI(ti=throw,cast;opi=terrified;ka=to denote the commencement of a new action or condition;koki=move ahead,sing in early morning)、「恐怖を・(捨てた)感じない・ように・先頭を切って出て行く人(出しゃばり)」(「チ・オピ」が「チョビ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「オ・テカ・イ」、O-TEKA-I(o=the...of;teka=drive forward,attch cross pieces to a pole for the purpose of making a sort of ladder;i=past tense,from,beside,with,by)、「例の・棒に(刻み目を付ければ足りるのに)わざわざ横木を付けて梯子を作る・ような人(出しゃばり)」(「テカ」が「セッカ」となった)

  「タイ・カウ」、TAI-KAU(tai=anger,rage violent;kau=alone,only)、「ただただ・荒っぽい人(出しゃばり)」(「タイ」が「サイ」と、「カイ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「テワ・イア・キ」、TEWHA-IA-KI(tewha=garrulous;ia=indeed;ki=full,very)、「些細なことに・実に・口うるさい人(出しゃばり)」(「テワ」が「セワ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「チオカ」、TIOKA(pierce)、「(刺すように)口うるさく干渉する人(出しゃばり)」(「チオカ」が「チョカ」となった)

  「タハ・パハ・モナ」、TAHA-PAHA-MONA(taha=side,spasmodic twitching of the muscles,go by;paha=arrive suddenly,attack:mona,momona=fat,rich,fertile)、「急に・痙攣が来る(ように激高する)・ことが多い人(出しゃばり)」(「タハ」のH音が脱落して「サー」と、「パハ」のH音が脱落して「バー」と、「モナ」が「モン」となった)

  「テイ・ペイ・タウ」、TEI-PEI-TAU(tei=high,summit,top;pei=drive out,banish;tau=come to rest,float,be suitable)、「最高に・休息を・放逐する(全く休みを取らないで活動する)人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「ペイ」が「ベ」と、「タウ」ののAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「テイ・パウ・チ」、TEI-PAU-TI(tei=high,summit,top;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive chracter of any action)、「最高に・(相手を)疲れ・させる人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ボ」と、「チ」が「シ」となった)

  「チア・ピア・ツツ」、TIA-PIA-TUTU(tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;pia,piapia=glairy,viscid;tutu=move with vigour,violent)、「精力的に・ねばっこく・はつらつと行動する人(出しゃばり)」(「チア」が「シャー」と、「ピア」が「ビャー」と、「ツツ」が「スッ」となった)

  「テイ・チア・ナ・パリ」、TEI-TIA-NA-PARI(tei,teitei=high,tall,summit,top;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;na=by,belonging topari=cliff,upstanding,flow over of the tide,bark as a dog,abundance)、「最高に・勢い良く・(堤を越えて水が流れるように)どこへでも出て行く・部類に属する人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「チア」が「シャ」と、「ナ」が「ン」と、「パリ」が「バリ」となった)

  「テイ・チア・パイ」、TEI-TIA-PAI(tei,teitei=high,tall,summit,top;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;pai=good,excellent,suitable)、「最高に・勢い良く・適当に行動する人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「チア」が「シャ」と、「パイ」が「バイ」となった)

  「メイ・ナイナイ・タハ」、MEI-NAINAI-TAHA(mei=according to,judging by;nainai=neinei=stretched forward,reaching out,wagging,vacillating,bobbing up and dawn;taha=side,spasmodic twitching of the muscles,go by)、「痙攣が来る(ように激高して)・地団駄を踏む・ような人(出しゃばり)」(「メイ」が「メー」と、「タハ」のH音が脱落して「サー」となった)

  「ハイ・チチ・ラハ」、HAI-TITI-RAHA(hai=hei=go towards,be requited;titi=squeak,make a sharp inarticulate sound;raha=open,extended)、「甲高い声を・大勢の前で・上げ続ける人(出しゃばり)」(「チチ」が「シジ」と、「ラハ」のH音が脱落して「ラー」となった)

  「カラ・カウ・チア・(ン)グ」、KALA-KAU-TIA-NGU((Hawaii)kala=to loosen,free,let go;kau=alone,only;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling,persistency;ngu=greedy)、「自由に(無責任に)・ただただ・貪欲に・元気よく行動する人(出しゃばり)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「チア」が「シャ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「チ・オビ・チ・オピ」、TI-OPI-KA-KOKI(ti=throw,cast;opi=terrified;ka=to denote the commencement of a new action or condition;koki=move ahead,sing in early morning)、「全く・恐怖を・(捨てた)感じない(怖いもの知らずで行動する)人(出しゃばり)」(「チ・オピ」が「チョビ」となった)

  「タイ・カウ・イア・キ」、TAI-KAU-IA-KI(tai=anger,rage violent;kau=alone,only;ia=indeed:ki=full,very)、「全く・実に・ただただ・荒っぽい人(出しゃばり)」(「タイ」が「サイ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「テイ・タハ・(ン)ガリ」、TEI-TAHA-NGARI(tei,teitei=high,tall,summit,top;taha=side,spasmodic twitching of the muscles,go by;ngari=annoyance,disturbance,power)、「最高に・痙攣が来る(ように激高して)・はた迷惑になる人(出しゃばり)」(「テイ」が「デ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)

  「カウ・カハ・ル」、KAU-KAHA-RU(kau=alone,only;kaha=strong,persistency;ru=shake,agitate,scatter)、「ただただ・力強く・興奮して行動する人(出しゃばり)」(「カウ」のAU音がOU音に変化して「コー」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「タイ・マ(ン)ギ・ル」、TAI-MANGI-RU(tai=anger,rage violent;mangi=floating,drifting,unnerved,distressed by grief,quick;ru=shake,agitate,scatter)、「悲嘆から・暴れ回り・興奮して行動するような人(出しゃばり)」(「タイ」が「サイ」と、「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」となった)

  「クチ・ノイ・ウ(ン)ガ・ニウ・カ」、KUTI-NO-I-UNGA-NIU-KA(kuti=draw tightly together,contract,pinch;noi=elevated,on high;unga=act or circumstance of becoming firm;niu=move along,glide;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(きっぱりと結ぶ)口が・高い水準で・滑らかに・動き回る(流暢に話す)こと・だね(出しゃばり)」(「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、「ノイ・ウン」が「ノユン」と、「ニウ」が「ニュ」となつた)

の転訛と解します。

「ト」

145とうがらし(唐辛子)・ナンバン・ナンバ・トンガラシ・コショー・コッシュー・コーレーグース

 「とうがらし」の方言には、北海道、岩手などの「ナンバン」、青森、秋田などの「ナンバ」、栃木、群馬などの「トンガラシ」、東京、神奈川などの「トーガラシ」(「とうがらし」と同語源)、長野、福岡の「コショー」、佐賀の「コッシュー」、長崎、宮崎の「コシュー」(「コッシュー」と同語源)、熊本の「コーシュー」(「コッシュー」と同語源)、鹿児島の「コシュ」(「コッシュー」と同語源)、沖縄那覇の「コーレーグース」、沖縄首里の「コーレーグス」(「コーレーグース」と同語源)があります。

 この「とうがらし」、「ナンバン」、「ナンバ」、「トンガラシ」、「コショー」、「コッシュー」、「コーレーグース」は、

  「トフ・カ・ラハ・チ」、TOHU-KA-RAHA-TI(tohu=mark,point out,show;ka=take fire,be lighted,burn;raha=open,extended;ti=throw,cast)、「(それを摂ると口に)火が付いたようになり・(口を)開けて・吐き出す・特徴があるもの(唐辛子)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」または「トー」と、「ラハ」のH音が脱落して「ラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ナナ・パナ」、NANA-PANA(nana=by or belonging to him or her;pana=thrust or drive away,throb)、「彼の(人が)・(それを摂ると心臓が)ドキドキするもの(唐辛子)」(「ナナ」が「ナン」と、「パナ」が「バン」となった。また「パナ」の語尾のNA音が脱落して「バ」となった)

  「ナナ・パ」、NANA-PA(nana=by or belonging to him or her;pa=clump,group,flock,etc.)、「(莢が)多数集合した・部類に属するもの(唐辛子)」(「ナナ」が「ナン」と、「パ」が「バ」となった)

  「トヌ・カ・ラハ・チ」、TONU-KA-RAHA-TI(tonu=denoting continuance,just,immediately;ka=take fire,be lighted,burn;raha=open,extended;ti=throw,cast)、「(摂ると)すぐに・(口に)火が付いたようで・(口を)開けて・吐き出すもの(唐辛子)」(「トヌ」が「トン」と、「ラハ」のH音が脱落して「ラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「カウ・チオ」、KAU-TIO(kau=alone,only;tio=cry,call)、「(それを摂ると)ただただ・悲鳴を上げるもの(唐辛子)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「チオ」が「チョ」から「ショー」となった)

  「カウ・チウ」、KAU-TIU(kau=alone,only;tiu=soar,wander,swift)、「(それを摂ると)ただただ・うろうろと歩き回るもの(唐辛子)」(「カウ」のAU音がO音またはOU音に変化して「コ」または「コッ」、「コー」と、「チウ」が「チュ」から「シュ」、「シュー」となった)

  「カウ・レイ・(ン)グツ」、KAU-REI-NGUTU(kau=alone,only;rei=leap,rush,run;ngutu=lip,beak,mouth(ngutungutu=flame,burn))、「(口に)火が付いたようになって・ただただ・あたりを走り回るもの(唐辛子)」(「カウ」のAU音がOU音に変化して「コー」と、「レイ」が「レー」と、「(ン)グツ」のNG音がN音に変化して「グツ」から「グス」または「グース」となった)

の転訛と解します。

146とうもろこし(玉蜀黍)・トーキビ・キミ・トーミギ・トッキビ・モロコシ・トンモロコシ・トーモゴシ・トーマメ・トナワ・トノキビ・コーラェー・ナンバ・ナンバン・キビ・ナンバギン・ナンマンキビ・コラキビ・トキッ・トーナチン

 「とうもろこし」の方言には、北海道、石川などの「トーキビ」、青森、岩手などの「キミ」、宮城、福島などの「トーミギ」、山形の「トッキビ」、群馬、山梨などの「モロコシ」、埼玉、静岡の「トンモロコシ」、千葉の「トーモゴシ」、東京、神奈川などの「トーモロコシ」(「とうもろこし」と同語源)、新潟の「トーマメ」、富山の「トナワ」、岐阜の「トノキビ」、愛知の「コーラェー」、三重、京都などの「ナンバ」、滋賀の「ナンバン」、兵庫、高知の「キビ」、島根の「ナンバギン」、山口の「ナンマンキビ」、香川の「コラキビ」、宮崎の「トキビ」(「トーキビ」と同語源)、鹿児島の「トキッ」、沖縄首里の「トーナチン」があります。

 この「とうもろこし」、「トーキビ」、「キミ」、「トーミギ」、「トッキビ」、「モロコシ」、「トンモロコシ」、「トーモゴシ」、「トーマメ」、「トナワ」、「トノキビ」、「コーラェー」、「ナンバ」、「ナンバン」、「キビ」、「ナンバギン」、「ナンマンキビ」、「コラキビ」、「トキッ」、「トーナチン」は、

  「トフ・モロヘ・コチ」、TOHU-MOROHE-KOTI(tohu=mark,point out,show;morohe=fragment,very small pierce;koti=divide,cut off)、「たくさんの粒が・分離する・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「モロヘ」のH音が脱落して「モロ」と、「コチ」が「コシ」となった)

  「トフ・キ・ピ」、TOHU-KI-PI(tohu=mark,point out,show;ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「小さな粒が・たくさんある・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「ト」または「トー」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「トフ・キ・イミ」、TOHU-KI-IMI(tohu=mark,point out,show;ki=full,very;(Hawaii)imi=to look,hunt,search)、「(探し回らなければ見付からない)小さな粒が・たくさんある・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トー」と、「キ」のI音と「イミ」の語頭のI音が連結して「キミ」となった)

  「トフ・ミ(ン)ギ」、TOHU-MINGI(tohu=mark,point out,show;mingi=curly or twisted of grain in timber or hair etc.)、「波を打つ毛がある・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トー」と、「ミ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「ミギ」となった)

  「ト・ツ・キ・ピ」、TO-TU-KI-PI(to=stem of maize etc,;tu=stand,settle,fight with,energetic;ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「小さな粒が・たくさん・茎に・がんばって付いているもの(玉蜀黍)」(「ツ」が「ッ」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「モロヘ・コチ」、MOROHE-KOTI(morohe=fragment,very small pierce;koti=divide,cut off)、「たくさんの粒が・分離するもの(玉蜀黍)」(「モロヘ」のH音が脱落して「モロ」と、「コチ」が「コシ」となった)

  「トノ・モロヘ・コチ」、TONO-MOROHE-KOTI(tono=command,demmand;morohe=fragment,very small pierce;koti=divide,cut off)、「たくさんの粒を・分離・しなければならないもの(玉蜀黍)」(「トノ」が「トン」と、「モロヘ」のH音が脱落して「モロ」と、「コチ」が「コシ」となった)

  「トフ・モ・(ン)ガウ・チ」、TOHU-MO-NGAU-TI(tohu=mark,point out,show;mo=for,for the use of,against;ngau=bite,hurt,act upon,attack;ti=throw,cast,overcome)、「茎から(対して)・(噛み付く)粒を分離するための作業を・加える・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トー」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「チ」が「シ」となった)

  「トフ・マハ・メハ」、TOHU-MAHA-MEHA(tohu=mark,point out,show;maha=many,abundant;meha=apart,separate)、「(茎から)たくさんの粒を・分離する・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トー」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「メハ」のH音が脱落して「メ」となった)

  「ト・ナワ」、TO-NAWA(to=stem of maize etc,;nawa=distant)、「遠くからやってきた・茎状のもの(玉蜀黍)」
  または「トナ・ワ」、TONA-WHA(tona=excrescence,wart,corn,etc.;wha=be disclosed,get abroad)、「海外からやってきた・(茎の途中から)突出するもの(玉蜀黍)」

  「トノ・キ・ピ」、TONO-KI-PI(tono=command,demmand;ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「たくさんの・小さな粒を・(茎から分離する)作業が必要なもの(玉蜀黍)」(「ピ」が「ビ」となった)

  「コフラ・エ」、KOHURA-E(kohura=appear above ground,sprout up;e=to denote action in progress or temporary condition)、「(茎の途中から)若枝のように出て・伸びるもの(玉蜀黍)」(「コフラ」ののH音が脱落して「コーラ」と、「エ」が「ェー」となった)

  「ナナ・パ」、NANA-PA(nana=by or belonging to him or her;pa=clump,group,flock,etc.)、「房・状のもの(玉蜀黍)」(「ナナ」が「ナン」と、「パ」が「バ」となった)

  「ナナ・パナ」、NANA-PANA(nana=by or belonging to him or her;pana=throw,lay,aim a blow at)、「(粒を分離するために)打撃の目標となる・部類に属するもの(玉蜀黍)」(「ナナ」が「ナン」と、「パナ」が「バン」となった)

  「キ・ピ」、KI-PI(ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「小さな粒が・たくさん付いているもの(玉蜀黍)」(「ピ」が「ビ」となった)

  「ナナ・パ・(ン)ギ(ン)ギオ」、NANA-PA-NGINGIO(nana=by or belonging to him or her;pa=clump,group,flock,etc.;ngingio=withered,shrivelled,wrinkled)、「房・状で・(粒を分離するために)さんざんに叩かれるもの(玉蜀黍)」(「ナナ」が「ナン」と、「パ」が「バ」と、「(ン)ギ(ン)ギオ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化し、語尾のO音が脱落して「ギニ」から「ギン」となった)

  「ナナ・マ(ン)ガ・キ・ピ」、NANA-MANGA-KI-PI(nana=by or belonging to him or her;manga=branch of a tree;ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「枝(に付く房)・状で・小さな粒が・たくさん付いているもの(玉蜀黍)」(「ナナ」が「ナン」と、「マ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「マナ」から「マン」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「コフラ・キ・ピ」、KOHURA-KI-PI(kohura=appear above ground,sprout up;ki=full,very;pi=slight,take no notice of)、「(茎の途中から出る)若枝のようで・小さな粒が・たくさん付いているもの(玉蜀黍)」(「コフラ」ののH音が脱落して「コラ」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「トフ・キ・ツ」、TOHU-KI-TU(tohu=mark,point out,show;ki=full,very;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「(小さな粒が)たくさん・がんばって付いている・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「ト」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「トフ・ナチ・イナ」、TOHU-NATI-INA(tohu=mark,point out,show;nati=pinch or contract;ina=to emphasis statement)、「(小さな粒が房に)びっしりと・密集して付いている・特徴があるもの(玉蜀黍)」(「トフ」のH音が脱落して「トー」と、「ナチ」の語尾のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「ナチナ」から「ナチン」となった)

の転訛と解します。

147どじょう(泥鰌)・ドンジョ・ドジョッコ・ドンキ・デジョ・ドジョマ・ドジョッペ・ドンキュー・ドボチン・ドンジョー・ンドンヂョー・ドジョクイ

 「どじょう」の方言には、北海道、青森などの「ドンジョ」、宮城の「ドジョッコ」、福島の「ドンキ」、茨城、栃木などの「ドジョー」(「どじょう」と同語源)、埼玉、千葉などの「ドジョ」(「どじょう」と同語源)、新潟の「デジョ」、富山の「ドジョマ」、岐阜の「ドジョッペ」、静岡の「ドンキュー」、奈良の「ドボチン」、鳥取の「ドンジョー」、香川の「ドンジョ」(「ドンジョー」と同語源)、高知の「ンドンヂョー」、鹿児島の「ドジョクイ」があります。

 この「どじょう」、「ドンジョ」、「ドジョッコ」、「ドンキ」、「デジョ」、「ドジョマ」、「ドジョッペ」、「ドンキュー」、「ドボチン」、「ドンジョー」、「ンドンヂョー」、「ドジョクイ」は、

  「ト・チホウ」、TO-TIHOU(to=drag,open or shut a door or window;tihou=an implement used for cultivating)、「鍬を・引く(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョウ」または「ジョ」、「ジョー」となった)

  「ト・チホウ・カウ」、TO-TIHOU-KAU(to=drag,open or shut a door or window;tihou=an implement used for cultivating;kau=swim,wade)、「鍬を・引いて・あちこちと泳ぐ(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョ」から「ジョッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」ととなった)

  「ト・ナキ」、TO-NAKI(to=drag,open or shut a door or window;naki=glide,move with an even motion)、「(鍬を)引き・滑るように動く(ひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「ナキ」が「ンキ」となった)

  「テ・チホウ」、TE-TIHOU(te=the;tihou=an implement used for cultivating)、「例の・鍬を使う(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「テ」が「デ」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョ」となった)

  「ト・チホウ・マ」、TO-TIHOU-MA(to=drag,open or shut a door or window;tihou=an implement used for cultivating;ma=go,come)、「鍬を・引いて・行ったり来たりする(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョ」となった)

  「ト・チホウ・パエ」、TO-TIHOU-PAE(to=drag,open or shut a door or window;tihou=an implement used for cultivating:pae=horrizen,lie across)、「鍬を・引いて・横たわっている(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョ」、「ジョッ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」となった)

  「ト・ナキ・ウ」、TO-NAKI-U(to=drag,open or shut a door or window;naki=glide,move with an even motion;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「(極限まで)徹底的に・(鍬を)引き・滑るように動く(ひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「ナキ」が「ンキ」と、「ンキ・ウ」が「ンキュー」となった)

  「ト・ポチニ」、TO-POTINI(to=drag,open or shut a door or window;potini,potinitini=idle scandal,irritating gossip)、「(鍬を)引くことを・怠けていると悪評がある(ひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「ポチニ」が「ボチン」となった)

  「ナ・トネ・チホウ」、NA-TONE-TIHOU(na=by,belonging to;tone=projectin,knob;tihou=an implement used for cultivating)、「突出したもの・に類するもの(ひげ)を・鍬として使う(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ナ」が「ン」と、「トネ」が「ドン」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョウ」または「ヂョー」となった)

  「ト・チホウ・クヒ」、TO-TIHOU-KUHI(to=drag,open or shut a door or window;tihou=an implement used for cultivating;kuhi=insert,gush forth)、「鍬を・引いて・(泥の)中へ入れる(土を耕すようにひげで泥の中を探って餌を捕らえて食べる魚。泥鰌)」(「ト」が「ド」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」から「ジョウ」または「ジョ」と、「クヒ」のH音が脱落して「クイ」となった)

の転訛と解します。

148どなる(怒鳴る)・ジナル・サガブ・ズナル・ワナル・ガーナル・ドヤス・シコル・ドマカス・ドナー・オラブ・オゴル・オメク・オロッ・ッアビーン・ヤナアビースン・エサル・ガーッ

 「どなる」の方言には、北海道、栃木の「ジナル」、青森、岩手などの「サガブ」、山形の「ズナル」、石川の「ワナル」、山梨、静岡の「ガーナル」、愛知の「ガナル」(「ガーナル」と同語源)、大阪、奈良の「ドヤス」、和歌山の「シコル」、鳥取の「ドマカス」、島根の「ドナー」、広島、香川などの「オラブ」、佐賀、熊本の「オゴル」、長崎の「オメク」、鹿児島の「オロッ」、沖縄那覇の「ッアビーン」、沖縄首里の「ヤナアビースン」があります。

 上記のほか、石川の「エサル」、鹿児島の「ガーッ」などがあります。

 この「どなる」、「ジナル」、「サガブ」、「ズナル」、「ワナル」、「ガーナル」、「ドヤス」、「シコル」、「ドマカス」、「ドナー」、「オラブ」、「オゴル」、「オメク」、「オロッ」、「ッアビーン」、「ヤナアビースン」、「エサル」、「ガーッ」は、

  「トフ・(ン)ガル」、TOHU-NGARU(tohu=mark,proof,point out,show;ngaru=wave of the sea)、「(波の音のような)大きな声を・出す(怒鳴る)」(「トフ」のH音が脱落して「ド」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「チ・(ン)ガル」、TI-NGARU(ti=throw,cast,overcome;ngaru=wave of the sea)、「(相手を)圧倒する・(波の音のような)大きな声を出す(怒鳴る)」(「チ」が「ジ」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「タ・(ン)ガプ」、TA-NGAPU(ta=dash,beat,lay;ngapu=oscillate or undulate as swampy ground,stretch forwards)、「振動する(強弱がある)声を・投げ付けて(相手を)挫く(怒鳴る)」(「タ」が「サ」と、「(ン)ガプ」のNG音がG音に変化して「ガプ」から「ガブ」となった)

  「ツ・(ン)ガル」、TU-NGARU(tu=fight with,energetic;ngaru=wave of the sea)、「懸命に・(波の音のような)大きな声を出す(怒鳴る)」(「ツ」が「ズ」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「ワ・(ン)ガル」、WA-NGARU(wa,wawa=make a loud rumbling or roaring or other indistinct noise;ngaru=wave of the sea)、「重々しい・(波の音のような)大きな声を出す(怒鳴る)」(「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「(ン)ガ・(ン)ガル」、NGA-NGARU(nga,nganga=make a noise;ngaru=wave of the sea)、「雑音のような・(波の音のような)大きな声を出す(怒鳴る)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」または「ガー」と、「(ン)ガル」のNG音がN音に変化して「ナル」となった)

  「トフ・イア・ツ」、TOHU-IA-TU(tohu=mark,proof,point out,show;ia=indeed;tu=fight with,energetic)、「実に・懸命になっていることを・証明する(ように大きな声を出す。怒鳴る)」(「トフ」のH音が脱落して「ド」と、「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チコ・ル」、TIKO-RU(tiko=stand out,protrude;ru=shake,agitate,scatter)、「目立って・興奮する(大きな声を出す。怒鳴る)」(「チコ」が「シコ」となった)

  「トフ・マカ・ツ」、TOHU-MAKA-TU(tohu=mark,proof,point out,show;maka=wild,active,vigorous;tu=fight with,energetic)、「力強く・懸命になっていることを・証明する(ように大きな声を出す。怒鳴る)」(「トフ」のH音が脱落して「ド」と、「ツ」が「ス」となった)

  「トフ・(ン)ガ(ン)ガ」、TOHU-NGANGA(tohu=mark,proof,point out,show;nganga=breathe heavily or difficulty,make a hoarse or harsh noise)、「荒々しい声を出すことを・示す(怒鳴る)」(「トフ」のH音が脱落して「ド」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ナ」から「ナー」となった)

  「オラ・アプ」、ORA-APU(ora=alive,well in health;apu=bark as a dog)、「元気に・犬のように吠える(怒鳴る)」(「オラ」の語尾のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「オラプ」から「オラブ」となった)

  「オ・(ン)ゴ・ル」、O-NGO-RU(o=the...of;ngo=cry,grunt,make any articulate sound;ru=shake,agitate,scatter)、「例の・興奮して・叫ぶ(怒鳴る)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「オ・メク」、O-MEKU(o=the...of;(Hawaii)meku=to scold,speak offensively,rude)、「例の・叱りつける(怒鳴る)」

  「オロ・ツ」、ORO-TU(oro=rumble,sound;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「懸命に・重々しい声を出す(怒鳴る)」(「ツ」が「ス」となった)

  「ツ・アピ・ナ」、TU-API-NA(tu=stand,settle,fight with,energetic;(Hawaii)api=soft spot in the temples;na=by,belonging to)、「(怒りがこめかみに)頭に・来た・ような(怒鳴る)」(「ツ」が「ッ」と、「アピ」が「アビー」と、「ナ」が「ン」となった)

  「イア・ナ・アピ・ツ(ン)ガ」、IA-NA-API-TUNGA(ia=indeed;na=by,belonging to;(Hawaii)api=soft spot in the temples;tunga=tu=stand,settle,fight with,energetic)、「全く・(怒りがこめかみに)頭に・来た・ような(怒鳴る)」(「イア」が「ヤ」と、「アピ」が「アビー」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「エ・タル」、E-TARU(e=to denote action in progress or temporary condition;taru=shake,overcome)、「たいへん・興奮している(怒鳴る)」(「タル」が「サル」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・ツ」、NGANGA-TU(nganga=breathe heavily or difficulty,make a hoarse or harsh noise;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「懸命に・荒々しい声を出す(怒鳴る)」(「(ン)ガ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「ガー」と、「ツ」が「ッ」となった)

の転訛と解します。

149どろ(泥)・デロ・ドロンコ・ドロベタ・ドベ・ンドロ・ガタ・ルル・ドゥル

 「どろ」の方言には、宮城、福島などの「デロ」、静岡の「ドロンコ」、愛知の「ドロベタ」、島根、岡山などの「ドベ」、高知の「ンドロ」、熊本の「ガタ」、沖縄那覇の「ルル」、沖縄首里の「ドゥル」があります。

 この「どろ」、「デロ」、「ドロンコ」、「ドロベタ」、「ドベ」、「ンドロ」、「ガタ」、「ルル」、「ドゥル」は、

  「トイ・ロウ」、TOI-ROU(toi=moist,exude;rou=reach or procure,spread out,reach out)、「湿っている・(大地に)広がっているもの(泥)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ロウ」の語尾のU音が脱落して「ロ」となった)

  「テ・ロウ」、TE-ROU(te,whakate=squeeze fluid out of anything;rou=reach or procure,spread out,reach out)、「(それから水を絞り出す)湿っている・(大地に)広がっているもの(泥)」(「テ」が「デ」と、「ロウ」の語尾のU音が脱落して「ロ」となった)

  「トイ・ロウ・ナ・カウ」、TOI-ROU-NA-KAU(toi=moist,exude;rou=reach or procure,spread out,reach out;na=by,belonging to;kau=alone,only)、「ただ・の・湿っている・(大地に)広がっているもの(泥)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ロウ」の語尾のU音が脱落して「ロ」と、「ナ」が「ン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「トイ・ロウ・ペイ・タ」、TOI-ROU-PEI-TA(toi=moist,exude;rou=reach or procure,spread out,reach out;pei=drive out,banish;ta=dash,beat,lay)、「(人や物に)べったりと・くっつく・湿っている・(大地に)広がっているもの(泥)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ロウ」の語尾のU音が脱落して「ロ」と、「ペイ」の語尾のI音が脱落して「ベ」となった)

  「トイ・ペイ」、TOI-PEI(toi=moist,exude;pei=drive out,banish)、「(人や物に)べったりとする(くっつく)・湿っているもの(泥)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ペイ」の語尾のI音が脱落して「ベ」となった)

  「ナ・トイ・ロウ」、NA-TOI-ROU(na=by,belonging to;toi=moist,exude;rou=reach or procure,spread out,reach out)、「湿っている・(大地に)広がっているもの・に属するもの(泥)」(「ナ」が「ン」と、「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ロウ」の語尾のU音が脱落して「ロ」となった)

  「(ン)ガタ」、NGATA(snail,slug,leech)、「(かたつむりやなめくじが這い回る)湿った場所や物(泥)」(「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」となった)

  「ルル」、RURU(brandish,wave about(ru=shake,agitate,scatter))、「(手や物に着いたら)振り落とすもの(泥)」

  「トイ・ウ・ル」、TOI-U-RU(toi=moist,exude;u=be firm,be fixed,reach its limit;ru=shake,agitate,scatter)、「(手や物に着いたら)懸命に・振り落とす・湿っているもの(泥)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ド」と、「ウ」が「ゥ」となった)

の転訛と解します。

150とんでもない・アンマリゲァダ・オンドゲデネー・オドゲデネァ・トデズモナエ・トッペツモネー・トンデモネーゴッコ・トッピダ・トッピョーシモナイ・ヒデー・トンデモナェー・ラチモナェー・メッソモナイ・ドエライ・ドッショーモナイ・エライ・トンデモナー・エンデモネ・ドヒョーシモニャー・エテンゲモナー・ドヒョーシモナイ・トッケモナイ・ギョーサンナ・メッケモナイ・トンデモナカ・ジョータンジャナカ・トツケムニャー・トボクモネー・エレコツ・ジャナカコッ・ッイチウェークトゥ・アネーアラン・ガイナー・ハイシジトーン

 「とんでもない」の方言には、青森の「トンデモネ」(「とんでもない」と同語源)、岩手の「アンマリゲァダ」、宮城の「オンドゲデネー」、秋田の「オドゲデネァ」、山形の「トデズモナエ」、福島、群馬などの「トンデモネー」(「とんでもない」と同語源)、茨城の「トッペツモネー」、栃木の「トンデモネーゴッコ」、新潟の「トッピダ」、石川の「トッピョーシモナイ」、福井の「ヒデー」、静岡の「トンデモナェー」、愛知の「ラチモナェー」、三重の「メッソモナイ」、大阪、兵庫の「ドエライ」、奈良の「ドッショーモナイ」、和歌山の「エライ」、鳥取の「トンデモナー」、島根の「エンデモネ」、岡山の「ドヒョーシモニャー」、広島の「エテンゲモナー」、山口の「ドヒョーシモナイ」、徳島、高知の「メッソーモナイ」(「メッソモナイ」と同語源)、香川の「トッケモナイ」、愛媛の「ギョーサンナ」、福岡の「メッケモナイ」、佐賀の「トンデモナカ」、長崎の「ジョータンジャナカ」、熊本の「トツケムニャー」、大分の「トボクモネー」、宮崎の「エレコツ」、鹿児島の「ジャナカコッ」、沖縄那覇の「ッイチウェークトゥ」、沖縄首里の「アネーアラン」があります。

 上記のほか、愛媛の「ガイナー」、沖縄首里の「ハイシジトーン」などがあります。

 この「とんでもない」、「アンマリゲァダ」、「オンドゲデネー」、「オドゲデネァ」、「トデズモナエ」、「トッペツモネー」、「トンデモネーゴッコ」、「トッピダ」、「トッピョーシモナイ」、「ヒデー」、「トンデモナェー」、「ラチモナェー」、「メッソモナイ」、「ドエライ」、「ドッショーモナイ」、「エライ」、「トンデモナー」、「エンデモネ」、「ドヒョーシモニャー」、「エテンゲモナー」、「ドヒョーシモナイ」、「トッケモナイ」、「ギョーサンナ」、「メッケモナイ」、「トンデモナカ」、「ジョータンジャナカ」、「トツケムニャー」、「トボクモネー」、「エレコツ」、「ジャナカコッ」、「ッイチウェークトゥ」、「アネーアラン」、「ガイナー」、「ハイシジトーン」は、

  「トノ・テ・マウ・ナイ」、TONO-TE-MAU-NAI(tono=bid,command,demand;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「命令(したこと)と・違うことが・決まって・進められて行く(とんでもない)」(「トノ」が「トン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった。また「ナイ」のAI音がE音に変化して「ネ」または「ネー」となった)

  「アナ・マリ・(ン)ゲア・タ」、ANA-MARI-NGEA-TA(ana=denoting continuance of action or state,animated narration of a rapid succession of action;mari=fortunate,lucky,of good omen;ngea=very numerous,abundant;ta=dash,beat,lay)、「急に・幸運が・たくさん・飛び込んできた(とんでもない)」(「アナ」が「アン」と、「(ン)ゲア」のNG音がG音に変化して「ゲア」と、「タ」が「ダ」となった)

  「オ・ナ・タウ・(ン)ゲヘ・テ・ネイ」、O-NA-TAU-NGEHE-TE-NEI(o=the...of;na=by,belonging to;tau=come to rest,float,be suitable;ngehe=soft,lazy,peaceful,calm;te=not;nei=stretched forward,reaching out)、「例の・静かに・休んでいる・ような状態で・なくなって・しまう(とんでもない)」(「ナ」が「ン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ド」と、「(ン)ゲヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゲ」と、「テ」が「デ」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「オ・タウ・(ン)ゲヘ・テ・ネイ・ア」、O-TAU-NGEHE-TE-NEI-A(o=the...of;tau=come to rest,float,be suitable;ngehe=soft,lazy,peaceful,calm;te=not;nei=stretched forward,reaching out;a=well,simply to attract attention)、「例の・静かに・休んでいる状態で・なくなって・しまう・ぞ(とんでもない)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ド」と、「(ン)ゲヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゲ」と、「テ」が「デ」と、「ネイ」が「ネ」と、「ア」が「ァ」となった)

  「ト・テイ・ツ・マウ・ナエ」、TO-TEI-TU-MAU-NAE(to=drag,haul;tei=high,summit,top;tu=stand,settle;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nae,naenae=failing of breath)、「高いところのてっぺんに・連れて・行かれて・息ができなく・なる(とんでもない)」(「テイ」が「デ」と、「ツ」が「ズ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「タウペツペツ・マウ・ネイ」、TAUPETUPETU-MAU-NEI(taupetupetu=uncertain,doubtful;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nei=stretched forward,reaching out)、「極めて疑わしいことが・決まって・進められて行く(とんでもない)」(「タウペツペツ」の反復語尾が脱落し、AU音がO音に変化して「トペツ」から「トッペツと、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「トノ・テ・マウ・ネイ・(ン)ゴコ」、TONO-TE-MAU-NEI-NGOKO(tono=bid,command,demand;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out;ngoko=itch,tickle)、「命令(したこと)と・違うことが・決まって・進められて行くことに・いらいらする(とんでもない)」(「トノ」が「トン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ネイ」が「ネー」と、「(ン)ゴコ」のNG音がG音に変化して「ゴコ」から「ゴッコ」となった)

  「トピ・タ」、TOPI-TA(topi=small native earth oven,cook in a small oven;ta=dash,beat,lay)、「すこぶる小さな(土地の凹みの)蒸し焼き穴で料理を・する(とんでもない)」(「トピ」が「トッピ」と、「タ」が「ダ」となった)

  「トピ・イ・オチ・マウ・ナイ」、TOPI-I-OTI-MAU-NAI(topi=small native earth oven,cook in a small oven;i=past tense,from,beside,with,by;oti=finished;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「すこぶる小さな(土地の凹みの)蒸し焼き穴で料理を・済ま・せることが・決まって・進められて行く(とんでもない)」(「トピ」が「トッピ」と、「イ・オチ」が「ヨチ」から「ョーシ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ヒ・テイ」、HI-TEI(hi=raise,rise;tei=high,summit,top)、「(高所恐怖症の人を)高いところのてっぺんに・引きずり上げる(とんでもない)」(「テイ」が「デー」となった)

  「トノ・テ・マウ・ナエ」、TONO-TE-MAU-NAE(tono=bid,command,demand;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nae,naenae=failing of breath)、「命令(したこと)と・違うことが・決まって・息が止まる(とんでもない)」(「トノ」が「トン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ナエ」が「ナェー」となった)

  「ラ・チ・マウ・ナエ」、RA-TI-MAU-NAE(ra=sun,day,sail;ti=throw,cast,overcome;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nae,naenae=failing of breath)、「(舟を動かすのに)帆を・棄てることが・決まって・息が止まる(とんでもない)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ナエ」が「ナェー」となった)

  「メト・マウ・ナイ」、METO-MAU-NAI(meto=putrid,be extinguished,extinction;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「腐敗が・そのまま・進行する(とんでもない)」(「メト」が「メッソ」または「メッソー」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トエ・ラヒ」、TOE-RAHI(toe=crepitate;rahi=great,abundant,loud)、「ガラガラ蛇が(敵に飛びかかる前に)尾をガラガラと・大きな音を立てる(とんでもない)」(「トエ」が「ドエ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「ト・チオホ・マウ・ナイ」、TO-TIOHO-MAU-NAI(to=drag,haul;tioho=apprehensive;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「心配事を・引きずって・そのまま・進行する(とんでもない)」(「ト」が「ドッ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョー」から「ショー」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「へ・ラヒ」、HE-RAHI(he=wrong,mistaken,in trouble or difficulty;rahi=great,abundant,loud)、「大きな・誤りだ(とんでもない)」(「ヘ」のH音が脱落して「エ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「トノ・テ・マウ・ナ」、TONO-TE-MAU-NA(tono=bid,command,demand;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;na=by,belonging to)、「命令(したこと)と・違うことが・決まって・部類に属する(とんでもない)」(「トノ」が「トン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「エネ・テ・マウ・ネイ」、ENE-TE-MAU-NEI(ene=flatter,cajole;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「(最初に)喜ばすようなことを言っていたのと・違うことが・決まって・進められて行く(とんでもない)」(「エネ」が「エン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ネイ」が「ネ」となった)

  「トピ・イ・オチ・マウ・ニア」、TOPI-I-OTI-MAU-NIA(topi=small native earth oven,cook in a small oven;i=past tense,from,beside,with,by;oti=finished;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;(Hawaii)nia=malicious gossip or accusation,slanderous.to accuse falsely or by trapping,malign)、「すこぶる小さな(土地の凹みの)蒸し焼き穴で料理を・済ま・せることが・決まった・という非難されること(とんでもない)」(「トピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ドヒ」と、「イ・オチ」が「ヨチ」から「ョーシ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ニア」が「ニャー」となった)

  「エ・テナ・(ン)ゲ・マウ・ナ」、E-TENA-NGE-MAU-NA(e=to denote action in progress or temporary condition;tena=encourage,urge forward;nge=noise,screech;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;na=by,belonging to)、「(人を)元気づけようと・するときに・(雑音を)茶々を入れて・台無しにする・ような(とんでもない)」(「テナ」が「テン」と、「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「トピ・イ・オチ・マウ・ナイ」、TOPI-I-OTI-MAU-NAI(topi=small native earth oven,cook in a small oven;i=past tense,from,beside,with,by;oti=finished;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「すこぶる小さな(土地の凹みの)蒸し焼き穴で料理を・済ま・せることが・決まって・進められて行く(とんでもない)」(「トピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ドヒ」と、「イ・オチ」が「ヨチ」から「ョーシ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トケ・マウ・ナイ」、TOKE-MAU-NAI(toke=be out of sight,be gone away;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「何も無くて・そのまま・進行する(とんでもない)」(「トケ」が「トッケ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)(この「トッケ」は、しばしば「ソッケ」(味も”素っ気”もない)となっています。)

  「(ン)ギア・ウタ(ン)ガ・ナ」、NGIA-UTANGA-NA(ngia=seem,appear to be;utanga=burden,freight;na=by,belonging to)、「まるで・(大きな)荷物を背負っている・ようだ(とんでもない)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」と、「ウタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウタナ」から「ウサン」となり、「ギア・ウサン」のAU音がO音に変化して「ギョーサン」となった)

  「メケ・マウ・ナイ」、MEKE-MAU-NAI(meke=strike with the fist,blow with the fist;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nai=nei=stretched forward,reaching out)、「(理由も無く)殴られて・困惑したまま・になる(とんでもない)」(「メケ」が「メッケ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トノ・テ・マウ・ナ・カ」、TONO-TE-MAU-NA-KA(tono=bid,command,demand;te=not;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;na=by,belonging to;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「命令(したこと)と・違うことが・決まった・ようだ・ね(とんでもない)」(「トノ」が「トン」と、「テ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チオホ・タ(ン)ガ・チア・ナ・カ」、TIOHO-TANGA-TIA-NA-KA(tioho=apprehensive;tanga=be assembled;tia=stick in pegs etc.;na=by,belonging to;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「心配事を・たくさん背負って・杖を突いて歩く・よう・だね(とんでもない)」(「チオホ」のH音が脱落して「チョオ」から「ジョー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ダン」と、「チア」が「ジャ」となった)

  「トケ・ム・ニア」、TOKE-MU-NIA(toke=be out of sight,be gone away;mu=silent;(Hawaii)nia=malicious gossip or accusation,slanderous.to accuse falsely or by trapping,malign)、「何も無くて・挨拶が無い・という非難されること(とんでもない)」(「トケ」が「トッケ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ニア」が「ニャー」となった)

  「ト・ポク・マウ・ネイ」、TO-POKU-MAU-NEI(to=drag,haul;(Hawaii)poku=to cry out in the night,as to create disturbance;mau=fixed,continuing,caught,entangled,constrained,expressing feelings of horror or admiration;nei=stretched forward,reaching out)、「ずっと・夜を叫び明かして・そのまま・進行する(とんでもない)」(「ポク」が「ボク」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ネイ」が「ネー」となった)

  「エ・ライ・コツア」、E-RAI-KOTUA(e=to denote action in progress or temporary condition;rai=ribbed,fullowed;kotua=with the back towards one,ill omen due to a house facing south or a man turning his back on another,ill luck)、「たいへん・(顔に)皺を寄せる・悪い予感がする(とんでもない)」(「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」と、「コツア」の語尾のA音が脱落して「コツ」となった)

  「チア・ナカ・コツア」、TIA-NAKA-KOTU(tia=etia=as if,as it were;naka=denoting position near or connection with the person spoken to,move in a certain direction;kotua=with the back towards one,ill omen due to a house facing south or a man turning his back on another,ill luck)、「悪い予感が・近づいている・ようだ(とんでもない)」(「チア」が「ジャ」と、「コツア」の語尾のA音が脱落して「コッ」となった)

  「ツ・イチ・ウエ・ク・ウト」、TU-ITI-UE-KU-UTO(tu=fight with,energetic;iti=small;ue=push,shake,affect by an incantation;ku=silent;uto=revenge)、「懸命に・小さな(子供が)・奮い立って・静かに・仇を討つ(とんでもない)」(「ツ」が「ッ」と、「ウエ」が「ウェー」となり、「ク」のU音と「ウト」の語頭のU音が連結して「クト」から「クトゥ」となった)

  「アネフ・アラ(ン)ガ」、ANEHU-ARANGA(anehu=misty;aranga=rise to the surface,appear)、「霧が・出てきた(とんでもない)」(「アネフ」のH音が脱落して「アネー」と、「アラ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「アラナ」から「アラン」となった)

  「(ン)ガ・イナ」、NGA-INA(nga=satisfied,content;ina=bask,warm oneself)、「(皆忙しく働いているのに)気持ちよさそうに・日向ぼっこをしている(とんでもない)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「イナ」が「イナー」となった)
  「(ン)ガ・イナホ」、NGA-INAHO(nga=satisfied,content;inaho=scurf,dandruff)、「雲脂がいっぱいなのに・平気でいる(とんでもない)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「イナホ」のH音が脱落して「イナー」となった)

  「ハイ・チチ・トノ」、HAI-TITI-TONO(hai=the name of the principal stone in the game of ruru;titi=squeak,tingle;tono=demand,command,drive away by means of a charm)、「(将棋の)王将が・いつのまにか・追いつめられて王手をかけられた(とんでもない)」(「チチ」が「シジ」と、「トノ」が「トーン」となった)

の転訛と解します。

151とんぼ(蜻蛉)・ダンブリ・アゲズ・ゲンザメ・ゲンザンボ・ドンブ・イェンバ・ヘボ・ヘンブ・ヘンボ・ボイ・ッアーケージュー・アーケージュー

 「とんぼ」の方言(雑楽篇(その二)の801とんぼ(蜻蛉)の項を参照して下さい。)には、青森、秋田の「ダンブリ」、岩手、宮城などの「アゲズ」、茨城の「ゲンザメ」、栃木の「ゲンザンボ」、埼玉の「ドンブ」、福岡の「イェンバ」、佐賀の「ヘボ」、長崎の「ヘンブ」、熊本の「ヘンボ」、鹿児島の「ボイ」、沖縄那覇の「ッアーケージュー」、沖縄首里の「アーケージュー」があります。

 この「とんぼ」、「ダンブリ」、「アゲズ」、「ゲンザメ」、「ゲンザンボ」、「ドンブ」、「イェンバ」、「ヘボ」、「ヘンブ」、「ヘンボ」、「ボイ」、「ッアーケージュー」、「アーケージュー」は、

  「トノ・ポウ」、TONO-POU(tono=bid,command,bid to go;pou=pole,post)、「竿(の先)に・止まりたがる(虫)」(「トノ」の語尾のO音が脱落して「トン」と、「ポウ」が「ボ」となった)

  「タ(ン)ガ・プリ」、TANGA-PURI(tanga=be assembled;puri=sacred,pertaining to ancient lore)、「(祖霊が蜻蛉となって集団で訪れるなど)古くからの伝承がある・集団で飛来する(虫。蜻蛉)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ダン」と、「プリ」が「ブリ」となった)

  「アケ・ツ」、AKE-TU(ake=indicating immediate continuation in time;tu=stand,settle)、「(草木の先などに)ほんの僅かな時間・止まってはすぐ飛び立つ(習性をもつ虫)」(「アケ」が「アゲ」と、「ツ」が「ズ」となった)
  または「ア・(ン)ガエ・ツ」、A-NGAE-TU(a=the...of,belonging to;ngae=swamp;tu=stand,settle)、「湿地に・好んで・生息する(虫。蜻蛉)」(「(ン)ガエ」のNG音がG音に、AE音がE音に変化して「ゲ」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「(ン)ゲニ・タハ・メ」、NGENI-TAHA-ME(ngeni=something small,particle;taha=side,pass on one side,go by;me=as if,as it were)、「(空を)行き来して・いるような・小さな虫(蜻蛉)」(「(ン)ゲニ」のNG音がG音に変化して「ゲニ」から「ゲン」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ザ」となった)

  「(ン)ゲニ・タ(ン)ガ・ポウ」、NGENI-TANGA-POU(ngeni=something small,particle;tanga=be assembled;pou=pole,post)、「竿(の先)に・止まる・小さな虫(蜻蛉)」(「(ン)ゲニ」のNG音がG音に変化して「ゲニ」から「ゲン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ザン」と、「ポウ」が「ボ」となった)

  「トノ・プ」、TONO-PU(tono=bid,command,bid to go;pu=heap,lie in a heap)、「(高いところ)竿の先に・止まりたがる(虫。蜻蛉)」(「トノ」の語尾のO音が脱落して「トン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「イ・エ(ン)ガ・パ」、I-ENGA-PA(i=past tense,from,beside,with,by;enga=anxiety;pa=touch,reach,accost)、「人に近づくことを・恐れて・いる(虫。蜻蛉)」(「エ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「エナ」から「ェン」と、「パ」が「バ」となった)

  「ヘ・ポ」、HE-PO(he=troublous,difficulty;po,popo=pat with the hand,soothe,hush)、「(手で叩く)捕まえるのが・なかなか難しい(虫。蜻蛉)」(「ポ」が「ボ」となった)

  「ヘ・ナ・アプ」、HE-NA-APU(he=troublous,difficulty;na=by,belonging to;apu=move or be in a flock or crowd)、「集団で(一糸乱れずに)行動するのが・なかなか難しい・部類に属する(虫。蜻蛉)」(「ナ」のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「ナプ」から「ンブ」となった)

  「ヘ・ナ・ポ」、HE-NA-PO(he=troublous,difficulty;na=by,belonging to;po,popo=pat with the hand,soothe,hush)、「(手で叩く)捕まえるのが・なかなか難しい・部類に属する(虫。蜻蛉)」(「ナ」が「ン」と、「ポ」が「ボ」となった)

  「ポイ」、POI(swing,toss(poipoi=wave about,wander about))、「(盛んに)飛び回る(虫。蜻蛉)」(「ポイ」が「ボイ」となった)

  「ツ・アケ・チウ」、TU-AKE-TIU(tu=fight with,emergetic;ake=indicating immediate continuation in time;tiu=soar,wander)、「熱心に・(草木の先などに)ほんの僅かな時間止まっては・空を遊弋する(習性をもつ虫。蜻蛉)」(「ツ」が「ッ」と、「アケ」が「アーケー」と、「チウ」が「ジュー」となった)

  「アケ・チウ」、AKE-TIU(ake=indicating immediate continuation in time;tiu=soar,wander)、「(草木の先などに)ほんの僅かな時間止まっては・空を遊弋する(習性をもつ虫。蜻蛉)」(「アケ」が「アーケー」と、「チウ」が「ジュー」となった)

の転訛と解します。

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<修正経緯>

1 平成21年12月6日

 110すてるの項中「ホカス」の解釈を修正しました。

2 平成22年4月1日

 151とんぼの項中「フゲズ」を「アゲズ」に改め、「ドンブ」の解釈を追加しました。

3 平成22年5月20日

 106すえっこの項中「バッチ」、111すねるの項中「ハブテル」ならびに130ちょっとの項中「ワンツカ」および「チット」の解釈を修正しました。

4 平成25年7月15日

 132ついにの項中「ついに」、「ツエニ」および「ツイトー」の解釈を修正しました。

国語篇(その十五)終り


U R L:  http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル:  夢間草廬(むけんのこや)
       ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
作  者:  井上政行(夢間)
Eメール:  muken@iris.dti.ne.jp
ご 注 意:  本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記してください。
(記載例  出典:ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など)
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