国語篇(その十四)


国語篇(その十四)

<方言概観(その一)>
第一 項目別方言一覧(「ア」から「コ」まで)

(平成21-6-10書込み。25-2-1最終修正)(テキスト約163頁)


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[おことわり]

 この篇は、全国の方言の主要なものの中に残る語源不詳または意味不詳の縄文語の意味を解明しようとするものです。これまで国語篇(その二)で東北方言(庄内語・遠野語)を取り上げ、また地名篇や雑楽篇の各篇などでも随処で方言を取り上げてきましたが、これから全国の方言をくまなく解明しょうとすれば、国語研究所『日本言語地図』 大蔵省印刷局、『日本方言大辞典』小学館、佐藤亮一著『都道府県別全国方言小辞典』三省堂などに拠らなければなりませんが、これらはあまりにも膨大で、これらを対象とすることは時間の余裕から不可能です。
 そこで、数ある方言辞典や方言集のうちから、収録語数が約1,200語と比較的にコンパクトで、最近普及しつつある電子辞書数種(カシオXD-GP6900、シャープPW-M100、ソニーIC-700Sなど)にも搭載されている次の辞典を選び、その中に残る縄文語の意味を解明することとしました。
 江端義夫・加藤正信・本堂寛編『全国方言一覧辞典』学研、1998年

 この辞典の内容は、三部に分かれ、第一部は主要な方言219語の都道府県別の一覧を示し、第二部は都道府県別方言ランキングとしてお国言葉番付表各約20語を載せ、第三部は方言についての概説となっています。
 この辞典は、『日本言語地図』などでは意味の規定が難しいとして調査対象から除外されていた語(挨拶、人間の評価、心情、動作、行為、人生儀礼など)も対象とし、さらに全項目アクセント付きという特徴を有します。
 なお、方言は、地域的差異が顕著で、大まかにみても都道府県ごとにそれぞれ幾つかの地域ごとに異なるのが通例です(例えば岐阜県は東美濃、西美濃、飛騨の各地域ごとにかなりの差異が見られます)が、この辞典では、都道府県ごとに原則として一つの方言(沖縄県のみ那覇方言と首里方言の二つ)しか載せないという物足りなさは残ります。しかし、どちらかといえば普通名詞に偏した従来の方言集と比較すれば、今も生き続ける日本人の言語の実像をより具体的に捉えた辞典として評価できると考えます。

 この篇では、上記の第一部および第二部に載せられた方言の中に残る語源不詳または意味不詳の縄文語の意味を解釈することとします。上記の第一部は「ア」から「コ」までの「その一」、「サ」から「ト」までの「その二」と「ナ」から「ン」までの「その三」と、第二部は「その四」と分割して掲載します。似た方言で容易に音韻の変化が推測できるものは重複して解釈することを避け、現代語で容易にその意味が理解できるものは除外しました。また、すでに国語篇(その二)や地名篇、雑楽篇の各篇において取り上げたものは、その旨注記しました。

 縄文語のポリネシア語による解釈は、他の諸篇と同様、原則として、その起源となったと推定される原ポリネシア語から変化したマオリ語(すでに失われた語彙でハワイ語に残るものについてはハワイ語とし、その旨を注記しました)とその意味を英語および日本語によって表記しました。主として使用したマオリ語・ハワイ語の辞典は次の通りです。
 (1)H.W.Williams M.A,Dictionary of the Maori Language,seventh edition,1997,GP Publications.
 (2)P.M.Ryan,The Reed Dictionary of Modern Maori,1995,TVNZ.
 (3)Mary Kawena Pukui and Samuel H.Elbert,Hawaiian Dictionary, revised and enlarged edition,1986,University of Hawaii Press.  

目 次

第一 項目別方言一覧(「ア」から「コ」まで) 

「ア」

001あいこ(相子)・アエコ・ドッペン・ホーラ・アイコッパ・アーポイ・グヮイ・ユヌムン・じゃんけん

002あかるい(明るい)・マンドーロ・アガル・アガルエ・アガリ・アカリー・アカロェー・アカイ・アキャー・アケ・アカー・アカカ・アカルカ・アッカ・アケー・ッアカルサン・アカサン

003あかんぼう(赤ん坊)・アカゴ・ビッキ・オボッコ・オボコ・オボゴ・オド・オドメ・アガンボ・アカッコ・ボ・ネネ・ネンネ・ボコ・アカ・ヤヤコ・ヤヤ・アカボ・アカチャン・ッアカングヮ・アカングヮ

004あご(顎)・オドゲ・アギタ・オドゲー・オトゲ・アグ・アゴタ・オトガイ・オトンゲ・アギ・アギト・アゲト・アンギ・アゴタン・ッウトゥゲ・ウトゥゲー

005あたらしい(新しい)・アダラスエ・アダラシエ・ハッツオ・サラ・ニーシー・アラ・マッサラ・サライ・アタラシカ・ニケ

006あつい(暑い)・ヌグイ・ヌグ・アツエ・アッチェ・ヌクイ・アトゥイ・アツカ・ヌッカ・ッアチサン・アチサン

007あべこべ・サカサマ・カッチャ・カッパ・ケッチャ・チンコ・ヒックリゲッチョ・サカシマ・アッチャコッチャ・ヒックリケーサ・リャンコー・アッチーコッチー・サカシ・ヘコサカ・サカ・ヒッチャラコッチャラ・ヘッチコッチ・イッポンピラ・ギャヒ

008あやす・ダマス・チョース・ハヤス・ダマカス・アイソシル・ヘース・ジョーラカス・チョーラカス・タラス・チャヤガス・キゲントー・キゲントル・テンガウ・エスラウ・スカス・ヨドル・モゾガル・シカスン

009ありがとう(有り難う)・アリガドーゴシ・アリガドガンス・カンボ・アリガドサマ・アリガトナ・ヨシクイタ・キノドクナ・アンヤトー・アリガトーゴイス・ヨーシテクンサッタナー・ワリーッケネー・オーキニ・ダンダン・ゴネンニイリマシテ・アリガトーアンシタ・アリンガトー・オーキニアイガトゴザンシタ・チョージョー・アリガトモシアゲモシタ・ニフェーレービル・ニフェーデービル

010あわてる(慌てる)・アワクー・ウルダグ・ドマヅク・アパカパスル・キーモム・アワクッチャウ・セク・シェク・セケル・イチヤツク・チチギレル・アセル・オロタエル・モダユル・アワツル・セシカウ・セシコ・ッアワティーン・アワティーン・トチメンボーフル・ウロタユル

「イ」

011いきぐるしい(息苦しい)・エギグルスエ・セジネ・シェスセナェ・セズネ・ウイ・ムナグルシー・エレー・ツカエル・ズツナェー・エライ・イキドシー・シンドイ・ツマル・セツイ・セコイ・イキグルシカ・イキンツカレン・キツカ・ジュツナカ・セチ・イッグルシー・クチサン・イチヂラサン・ナンギ・テキナイ

012いくら(幾ら)・ナンボ・ドンケー・ドンダケ・ドシコ・チャッサ

013いじめる(苛める)・カモウ・イジメニシル・オコンジョスル・エタメル・ヤンチャシル・イジクサル・イタメル・シゴスル・イビル・コナス・イジムッ・イジムル・ヒチキーン・イジミーン・モダク・ヤシャメル・セメル・コラス

014いたずら(悪戯)・インダズラ・ワッシャ・ワッチラ・エダズラ・ワスラ・ワルサ・ワエサ・ヤンチャ・ワヤク・テンゴ・ワルソー・ヤンチャイ・ワリコト・ショーワル・ワリコツ・ガンマリ・ワチャク・シゴ・イケズ・ワヤクースル

015いなご(稲子・蝗)・バッタ・トランボ・ハッタギ・ナゴ・ハネコ・エナゴ・イナンド・ガタギ・ギス・ハタットー・ジット・ギメ・ッンナグラージェー・カマジェー

「ウ」

016うそつき(嘘つき)・ウソシ・ホラフギ・チグツキ・チクラッペ・ソラッペ・チョコシンボ・ウソタレ・ウソツキタレ・トッパーケ・ウソチキ・ウソコキ・オゲッタ・ウソイー・スラゴツイ・ウッサゴトイー・スカタン・ユクサー・ソラゴドシ・テーホーカダリ・バシコギ

017うらやましい(羨ましい)・コノマシ・ジャミル・ウラヤマスエ・コノマスエ・ケンナルエ・ケナリー・ケナルイ・アチコイ・ウレーマシー・ウラヤマシカ・ッウレーマサン・ウラマサン・ショノム

018うるさい(煩い・五月蠅い)・ヤガマシー・サシネ・スンズネー・ウルサエ・ウッツァシ・ウッサエ・ソーゾーシー・ウルセァー・ジャカマシー・シロシー・シェカラシカ・セセカマシー・セカラシー・ヤゾロシ・カシマサン・シャーシカ

019うろこ(鱗)・コケ・コケラ・オロコ・ウルコ・イラ・ッイリチ・イリチ

020うろつく(彷徨く)・ウロチョロスル・バヤメグ・ウロメガス・ノソツグ・ウロウロスル・マイマイスル・ウロトゥク・ソーツク・サルク・ウロウロスッ・アティヌネーンアッチュン・マチャメグ・サラク・ホッツク・ホッツキアルク

「エ」

021えぐい・ヘラカライ・エガエガズ・エガラッポエ・エガラッポイ・エガラエ・エゴイ・エグタエ・エゴラッペー・ヨゴイ・イゴイ・エガッポイ・エガレァ・アクツヨイ・ハシカイ・イグイ・エグ・エギー・エグイー・シブイ・イェグカ・ィエッカ・ニガカ・イガリ・イーバチカーサン・アクヌチューサン・イガライ

「オ」

022おおきい(大きい)・デッカイ・デッタラ・オッキ・デッキャ・オッケー・ズナエー・エガエ・デッコエ・デッケァー・イカェー・イカイ・ゴッツイ・オーケナ・オキョイ・フトイ・フトカ・フチ・フテ・マギサン

023おおみそか(大晦日)・トシトリ・オドシコシ・トストリ・オートシ・オモッセー・オトシトリ・オーツゴモリ・オートゥンゴモリ・トシノバン・トシノヨ・トシノヨサ・トイノバン・トゥシヌユールー・トシトリバン

024おおよそ(凡そ)・タイガイ・ダイタイ・ホトンド・アラマス・オーカタ・ナカラ・メッソ・タイテー・タイギャー・アラガタ・メゲントー

025おかず(お数・お菜)・オサイ・カデクサ・オガズ・オマガネ・シャコ・オサエ・アセ・サイ・ゴサイ・シャー・シャ・セ・ショーケ・カティムン・サイコ・メシンシャー

026おこる(怒る)・ゴシャグ・ゴセヤグ・ハラータテル・エサル・イキル・ハラカク・ハリカク・ヤクル・ハラカッ・ワジーン・ゾーバタノ(ニエクリカエル)

027おこわ(お強)・アズギママ・オフカス・コワイ・フカス・フカシ・コワメシ・アカママ・オコワェー・アズキゴ(ハン)・アツッノメシ・ッアカメー・カシチー

>028おしめ(襁褓)・シメシ・オスメ・スメス・オシミ・オムツ・ムツキ・モチキ・シメジ・モズキ・カコー・カコービ

029おしゃべり(お喋り)・チャッペ・クチャベリ・ヘラズグ・サベチョ・ヘラリ・ヘラグリ・オシャマ・シャベッチョ・チャベ・オチャベ・シャベリバチ・オシャンベラ・ドシャベ・オシャンベリ・ソーマシーシト・シャベリ・ヨーシャベー・ビチャ・カバチタレ・ヨーモトルヒト・ゴジャリ・シャベクリ・アゴタンノキク・アゴタタキ・クチガサカシー・シャベゴロ・ユンタクー・ムヌユマー・チャベコキ・オクチ・カバチ

030おそろしい(恐ろしい)・オッカナイ・オッコネ・コワイ・オソガェー・オゾイ・キョーテー・イビセー・イェズカ・エスカ・オトロシカ・オジー・ッウトゥルサン・キョートイ・エジー

031おたまじゃくし(蝌蚪)・モッケノマイコ・ギャラゴ・ギャールゴ・ガエランゴ・オダマコ・ケァールコンボ・ババスコ・オタマゲーロ・ジョンゴロ・ビク・アマッコ・タマグツ・カエルゴ・オタマ・カイルゴ・ギャイルゴー・ギャリコ・ビツゴンタン・ゲーノコ・ッアタビーングヮ・アタビーングヮ

032おてだま(お手玉)・アヤコ・ダマ・ザンメス・ダマコ・ダンマ・タンメン・オヒトツ・オタマ・ナッコ・ナーヨ・ナンゴ・オジャミ・オジャメ・オシト・コンメ・オイッコ・ナナコ・コブ・コボイシ・イシナンゴ・オンジャミ・イナゴ・ッウトゥダマ・チャック

033おてんば(お転婆)・オドゴメッケ・ジャッパ・オドゴアッパ・オドゴマチコ・ハネピン・キカンボ・ハネッカエリ・テンバノコ・オジャッカ・ハッサイ・オキャン・ハチメロ・オトコマシャ・テンバゴ・オトコマサリ・テンバ・オチャッピー・オトコマツ・ハチキン・オナテン・ハテメロ・ジャジャモン・ッアバサー・イキガヌクトール・サンパジ・オトコメロ・オトコネショ・オトコバッチョ・ヤンチャメロ

034おととい(一昨日)・オドデナ・オドドイナ・オドドェナ・オドデ・オドドェ・オトツイ・オッテー・オトチー・キノーオトトイ・ウッティー

035おばけ(お化け)・モッコ・モンコ・オンバゲ・バゲモノ・モンモ・モモンガー・オジャモ・アモジョ・コーレー・マジムン・モンジャ・ボイボイ・オジョモ

036おはよう(お早う)・オハヨーゴシ・オハヨガンス・ハヤエナッス・ハエーナー・オハヨサン・オハヨーゴイス・オハヨーゴザンス・イアンバイデス・ハヤイナモ・ハヤイナー・ハヤイノー・オハヨーゴァンス・オハヨーガース・オハヨーゴザス・オハヨーゴザンシタ・オハヨーゴザルマス・コンチャラゴワス・ッウキミソーチー・ウキミソーチー

037おべっか・ベンコ・モジワラ・オヘズレマゲ・ケーハグ・ベンチャラ・オベンチャラ・オテンタラ・ジョーズ・ゴマスリ・アイソ・オジョーズ・オチューバイ・ウマイコトイー・キゲントリ・オツイコー・オヘツ・オトゥイショ・ミャーストッ・ミャース・メショトッ・メーシ・イージラ・ベンタレ・ベンコモ・ムイタリベ・マイストル・オメストル・メントスル

038おめでとう(お目出度う)・オメデドーゴシ・オメデドガンス・オメデトゴジェンス・オメシトーゴイス・オメデトーゴザンス・オメデトーゴザイマス・オメデトーサン・オメレトー・オメデトーアリマス・オメデトーガース・オメデトゴザンシタ・メデタカ・オメットーゴザルマス・ヨカッタノ・オメデトナー・イーソーグヮチレールル・イーソーグヮチ・エガッタエナ・ヨカッタネー

「カ」

039かえる(蛙)・ビッキ・モッケ・ケァールメ・ケールメ・ゲーロ・ゲァール・ギャワズ・ギャル・ゲァーロ・キャーロ・カイル・キャール・ギャーコ・ヒキ・オンビキ・ビキタン・ドンク・タンギャク・ドンコビッ・ッアタビー・アタビー・ドックー・バク・バクトン・カマバタ

040かかと(踵)・アグド・アクツ・キビス・アコイ・キリブサ・キビショ・キビサ・アド・ッアル

041かがむ(屈む)・かがむ・コゴム・シャガム・ココマル・チャガマル・カッチャガム・ツクナウ・ツクボル・ツズクバル・カゴム・ツクナム・チョックボル・ツクモル・カガムン・ヒィサマンチュン・カガマル・ズム

042かぐ(嗅ぐ)・カム・キグ・カマル・クサグ・カザカス・ニオグ・カジン・カザム・ニオウ・カク・カズン・カジャスン・カザカグ

043かそうば(火葬場)・ヤギバ・カソージョー・オンボヤ・サンマイ・ヒヤ・ノベ・クヮソーバ

044かぞえる(数える)・カンジョースル・カンジョシル・カンジェル・ヨム・カズエル・カンネル・カゾユッ・カンヌル・カズユル・カンズッ・コムン

045かたあしとび(片足跳び)・ケンケン・カダハネ・ケッケラゴ・ステデンコ・シコナギ・アシケンケン・センギョ・ヒッコンコン・キンキンカタカタ・シッケンコンコン・チンギリコッコ・チンガラ・チンチン・スッケンギョ・スンケン・ヒチンボ・ケンケントッ・ギーター・ステテン・テンコマッコ

046かたぐるま(肩車)・クビノリ・クンビコノリ・オデングルマ・クビコノリ・チャンコロマエ・クビコンマ・テングルマ・カタンマ・サルコボンボ・カタウマ・カタグマ・カタコンマ・テングーマ・ビンブク・カタクンボ・カタニノスッ・ズッキャンキャン・オッピヒョロ・サルガリー・ビビンチャンゴ・ビビンコ・ブートゥルカーン・マータカダーカー・ウマノリ・チョンノクビ

047かたづける(片付ける)・トロケル・トノゲル・カタジケル・スマウ・シマウ・カタス・マタイスル・シマツシル・ナオス・トロク・カタチケー・トラゲル・ノケル・ツマエル・シノベル・クルメル・スジミーン・カタジキーン・カダシ

048かたつむり(蝸牛)・デンデンムシ・デンデンムス・カダツンブリ・カダツブリ・メーメーツブロ・ツノンデロ・メメンジョ・デンデンゴー・ンデンデンムシ・マイマイ・ツーマメクジ・ツーナメクジ・ジェンジェンムシ・チンナン・ナント・カサツンブル・カサツムイ

049かつぐ(担ぐ)・カンツグ・ショウ・ヒッカツグ・カタグ・セオウ・ニナウ・カタゲル・セタラウ・カタグッ・カラウ・カタグル・カル・カタミーン・セタラク・カク・クジュー・カルウ

050かっぱ(河童)・カーパメ・ガタロ・カワコ・エンコ・エンコー・カワソー・グァッパ・ガワッパ・ガワロ・ガラッパ・アカガンター・コッパ・セコンボ

051かど(角)・カンド・カドッコ・カンドッコ・ムズリカド・カドッポ・マガリッカド・マガーカド・カドスミ・カル・ガッキ・コバ・カロ・トッパナ

>052かぶる(被る)・カンブル・ヒッカブル・カムル・キル・カベー・カツグ・カズク・カブク・カブッ・カムッ・カンジュン

053かぼちゃ(南瓜)・トナシ・カンボジャ・ドフラ・カブチャ・カプチャ・トーナス・ナンカン・ナンキン・ボーフラ・ブナ・ナンバン・チンクヮー・オチョーセン・ボンタン

054かまきり(蟷螂・螳螂)・エンボムス・エボボッチ・カマキリムス・イボムシ・カマギッチョ・カマゲッチョ・カマキリムシ・トカゲ・オガミ・カマカケ・カマキー・カマキッチョ・オガミタロー・オガマニャトーサン・オンガメ・ッイサトゥー・イサトゥー・デンガボ・タバゴムス・ファェトリ

055かみなり(雷)・ナリガミサマ・レサマ・オレサマ・カミナリサマ・ゴロッツァマ・カンナリサマ・ライサマ・オカンナリサン・オカンダチ・ユーダチ・カミナリサン・ヨーダチ・ゴロゴロサン・ドンドロケ・カンナー・ドンドロ・カンナリサン・オナリ・ナラカミサン・カミナレ・カンナイ

056からい(辛い)・カレァ・カラエ・ドカレェー・カリャー・カラカ・カラサン・ナンバガライ

057からかう・チョス・シンジガル・アラガウ・スッカゲル・コバガエスル・コバガニシル・ヒヤカス・サワガス・カマウ・チョガス・オチャラカス・カカリユー・チョッカイカケル・オチョクル・ナブル・テガウ・カマー・ヨゾーカス・チョークラカス・ガマル・モドカス・オチョクッ・ガンマリスン・ワチャクユン・チョカス・ヒョートクル・ヘナブル・イラバカス・ゼビラカス・キョクル

058かわいい(可愛い)・メンコイ・メゴイ・メンケー・メンコエ・メンゴエ・カワエー・モジッコイ・エトシゲ・カワラシー・イチャキナ・カワイラシー・カイラシー・カワェラシ・カワイゲナ・アイラシカ・ヤーラシカ・エズカ・ムゾカ・モゾラシ・ムゼ・ッウジラーサン・ウジラーサン・カワェァーゲラ・ミゾーカ・コヤラシカ・ムゾラシー

059かわいそう(可哀相)・ムゴイ・カワイソンダ・ムジェー・モンゾコエ・ムゾセ・ムツコエ・モゴイ・カワエソンダ・フビンダ・オヤゲネー・カウェーソーダ・カワイソーダ・カワエソゲラ・カワイサゲニ・エトシー・カワイソナ・モーラシー・キノドクダ・キノドクヤ・イトシゲナイ・カワイソーヤ・カワーサェー・エラシジ・カワイーコトー・イトオシー・カワイソージャ・キノドクナ・カーイソーンヂャ・カワイソカ・ムゾーカ・グーラシカ・ムゾナゲ・グラシー・チムグリサン・ンドッラシ・イトシナゲナ・カワイソイ・ムゾゲニャ・ムジョゲ・ムゲネー・キノドクイ

060がんこ(頑固)・ジョッパリ・カダッパリ・エビズ・ゴージョッパリ・エッコク・イッコク・グワンコ・イチガイ・イップーリュー・ゴージョー・ゴリガン・カタイジ・ヘンクツ・イチギャー・キコナ・コージクナ・イチガイモン・ヘンクー・ヘンコツ・カタックワ・インゴッソー・ガンコカ・イッテツ・モッコス・イッコッ・グワンク・カダクラ・シブトイ・イシアタマ・イヒュー

061かんしょく(間食)・かんじき・オヤツ・アイダグイ・コビリ・タンバゴ・コンビル・タバゴ・コジハン・シノギ・ヤスミ・オチャ・コビル・イップク・ナンカ・オナケーリ・オコヒル・ヨージャ・ナンド・ホーセキ・アェーダグイ・ハシマ・アェーダグチ・アイマグイ・オセツ・アインダングイ・ハザグイ・マナッチャ・ニータムン・マドゥヌムン・コージョーハン・ママグイ・アンマ・オヨーダケ・ビルジャ・ユージャ・ケンズイ・ダンチャ・チャノコ・ヨビル

062かんたん(簡単)・アッパクサイ・ヤシ・ゾサネァ・ゾーサネー・ジョサネァ・ジョサネ・ワギャーネ・ヤサシー・カリヤスイ・チャラスイ・サクイ・アヤスイ・ヤスイ・ミヤシ・ミヤスイ・ヤスカ・スパーットシトッ・ゾーサナカ・モヤシ・ルーヤシー・ドゥーヤシー・アサメシマエ・チョロイ・ワゲネァ・ヤスコエ・カナ・キヤスカ

063がんばる(頑張る)・ケッパル・キバル・ギンバル・ベンキョースル・リキム・セーダス・ギバム・シンボースル・ムクル・キバッ・ガマダス・チバイン・チバユン・ッガンバル・ハリコム

「キ」

064きどる(気取る)・アヤツケル・キンドル・エーフリスル・エーフリコグ・タイシタキーシル・シコーバル・モッテブル・テーセァコグ・シャレケァール・エーカッコスル・テーサイカマウ・カッコツケル・モッタイブー・キナル・ヨーススル・スマス・ブル・ツヤツケトー・シコル・エラソブル・シデル・ヨカブッ・キドゥルン・イーチムナユン・エバル

065きなくさい(焦臭い)・ヒナクサイ・ヒナクセァ・ヒナンクサエ・キナクッセァ・コゲクサイ・ケナクサイ・ケガラックセー・カコックサイ・カンコクサイ・カッコークシャー・ボロクサイ・ヒノミクサイ・ケブラングサイ・ヤケクサカ・スボイクサカ・コゲクサカ・キンメクサカ・カコービカジャ・カコービカジャスン

066きのこ(茸)・コケ・タケ・クサビラ・ナバ・ハッタケ

「ク」

067くるぶし(踝)・クロボシ・クロゴボシ・クロコンブス・クロブス・キビス・キビショ・クルミ・イシナンゴ・クロップシ・グリグリ・ンメボシ・トリコノフシ・クルゴシ・アシノコブ・チンチンコブ・モモザネ・ヌスルグーフ・クンダブニ・クロコブシ・コブシ・クルボシ・ツノボシ・トリコブシ

068くわのみ(桑の実)・カゴ・クワゴ・クワグミ・ドドメ・クワエチゴ・ツバメ・カミズ・クワズミ・クワイチゴ・クワノミイチゴ・イチゴ・ナンレーシー・クワーギヌミー・クホボロ・フナミ

「ケ」

069けち(吝嗇)・シミッタレ・ケチクセァ・スワビリ・シビタガレ・ネツビリ・コスタガリ・ケチクソ・ケチンボ・ヨクンボ・シワンボー・シブチン・シブキチ・ヨクスットー・ニギリ・コスッポ・コスカ・コスタクロ・イミシンゴロ・ニギー・コーパー・チムグーサルムン

070けっこんする(結婚する)・カマドモツ・シューゲンアゲル・シューギアゲル・ヒトズエナル・ゴシエギスル・ゴシューギスル・ヒトニナル・イッショニナル・ヨメトリシル・ミョートニナル・ショタイウォモツ・ヨメリスル・ヨメイリスル・ヨメドリ・ムコトリ・シーゲンシー・ミトイナッ・ニービチスン・ヨメトル・ムガサル・ヨメサンモラウ

071けっして(決して)・ゼッタイ・ナンボシテモ・ナエタテ・ナンデカンデ・ナンタッテ・ケシテ・ケーム・ゼッタエニ・ゼッタエー・ドーシテモ・チョットモ・ナンガアラト・ゼッテャー・ドガーシテン・ドーガコーデモ・ドナンナコトガアッテモ・ドーシタチ・ドゲンシタッチャ・ヨノイチゴー・ドゲンコトガアッタッチャ・イッカナ・イッジャイ・チャーシン・チシティ

072けわしい(険しい)・キューダ・ガンキダ・ケワスエ・キツイ・キビシー・キューラ・キュー・キューナ・サガシー・キューヤ・エライ・アラケナェー・キューイ・キブイ・キトゥイ・サカシカ・ケワシカ・キューカ・ガガシー・ハジ・ソーダチソーン

「コ」

073こおり(氷)・シガ・シガマ・スガ・コゴリ・カンコーリ・コーイ・シモグリ・シモガネ・クーリ・スガマ・タッペ

074こおる(凍る)・シバレル・シミル・スミル・エデル・イテル・コゴル・コオー・クル・コーッ・クファイン・カタマユン・スガハル

075ごちそうさま(ご馳走様)・ゴッツォーサン・ゴッツォサマデス・ゴッツォサマ・ゴッソサマ・ゴチソーサマ・ゴッツォハン・オゴッソーサンデシタ・イタダキマシタ・ゴチソーサン・ゴットーサン・ゴッツォーサンデシタ・ゴッソーデガンシタ・ゴッソーデアンシタ・クワッチーサビタン

076こまる(困る)・コタエル・シシャマス・ガオル・シシャマススル・ショーガネー・ガメル・ヨワル・オージョースル・マイル・ナンジュー・コマー・アズル・アクシャウツ・コマッ・クマイン・シワスン

077ごめんください(ご免下さい)・ゴメンナサイ・ゴメンケヘ・ゴメンクナンシェ・エダガー・エダシカ・イダガー・ゴメンナサェ・ゴメンナンショー・コンチワー・マイドハヤ・コンニチワ・イナルカ・ゴメンナッテ・ゴメンナサンシ・イタカー・ゴメンヤス・ゴメンナシテ・ヘーゴメン・ゴメンナンセー・ゴメンクダシャー・オリンサルノー・オイラシナハンセ・ゴメンナサンセ・ンゴメンクンダサイ・ゴメンナサッシェー・オンサッカンター・ゴメンクダハルマッセ・オジャンドカイ・チャービラ・チャービラサイ・ハエテー・オルカエー・オジャヒカ・オイヤイナー

078ごもくめし(五目飯)・マゼゴハン・イロゴハン・ゴモグメス・オチャママ・タキゴミ・ショッペマンマ・ゴモク・カテメシ・マジェゴハン・アジメシ・カキマワシゴハン・マゼメシ・カヤクメシ・カキマゼ・マジェメシ・ソーケメシ・ショーケメシ・モグリメシ・ゲメシ・ショイメシ・グメシ・マゼクリ・マゼクイゴハン・クファジューシー・ジューシーメー・ゴッツォーメシ・ショーユメシ

079ころぶ(転ぶ)・テッコロブ・トックラガル・オッケァル・コロンブ・トックリゲァル・シコロブ・デングル・デングリゲール・デングリケール・オッコロブ・ボッケル・コログ・コテガウ・コロケル・コケル・マクレル・コロゲル・カヤル・ヒッコロブ・ツコクル・コクル・ヒッコクル・ハンコロッ・クルブン

080こんばんは(今晩は)・オバンデス・オバンデゴス・オバンデガンス・オバンカダ・オバンガタ・オラレッケ・オシマイナレンシタカ・オツカレナッテ・オシマイデスカ・イラェースカェー・オシマイカシテ・オシマイヤス・オシマイ・バンナリマシタ・バンジマシテ・バンジマシタ・オシマイデガンスカ・オシマイナサンセ・シマイナハリマシタカ・オシマイデス・シメナツタカ・コンチャラゴアシタ・チャービラ・チューウガナビラ・オツカレサン・オツカレデゴザイマス・シモータカナー

<修正経緯>

第一 項目別方言一覧(「ア」から「コ」まで)
 

「ア」

001あいこ(相子)・アエコ・ドッペン・ホーラ・アイコッパ・アーポイ・グヮイ・ユヌムン・じゃんけん

 「じゃんけん」をして勝ち負けが決められなかった時に、各地でその状態を指す言葉で、「あいこ」が最も普遍的ですが、秋田、山形などの「アエコ」(宮城、茨城の「アエゴ」は語尾が濁音化したもの、岡山の「アエーコ」は「アエコ」の長音化したもの)、栃木の「アイッコ」(「アイコ」が促音化したもの)、富山の「ドッペン」、兵庫の「ホーラ」、高知の「アイコッパ」、佐賀の「アーポイ」、鹿児島の「グヮイ」、沖縄首里の「ユヌムン」などの差が見られます。

 この「あいこ」、「アエコ」、「ドッペン」、「アイコッパ」、「アーポイ」、「グヮイ」、「ユヌムン」、「じゃんけん」は、

  「アエ・コ」、AE-KO(ae=assenting to an affirmation or affirmative question,assent;ko=to give emphasis)、「ほんとに・(意志が合致した)同じだ」(「アエ」が「アイ」に変化した)

  「アエ・コ」、AE-KO(ae=assenting to an affirmation or affirmative question,assent;ko=to give emphasis)、「ほんとに・(意志が合致した)同じだ」

  「トペ(ン)ガ」、TOPENGA(=tope=cut,cut off,fell)、「(結果を切り落とす)やり直そう」(語尾のNG音がN音に変化して「トペナ」から「ドッペン」となった)

  「ハウオラ」、HAUORA(vigour,healthy,well)、「(負けなくて)良かった」(AU音がO音に変化して「ホオラ」から「ホーラ」となった)

  「アエ・コ・ツパ」、AE-KO-TUPA(ae=assenting to an affirmation or affirmative question,assent;ko=to give emphasis;tupa=dried up,unfruitful,flat)、「ほんとに・(意志が合致した)同じだ・無駄だった」(「チエ」が「アイ」に、「コ・ツパ」が「コッパ」に変化した)

  「アハ・ポイ」、AHA-POI(aha=what?,expressing remonstrance or warning;poi=swing,toss)、「(次も同じ拳を出さないように)注意して・(拳を)振ろう」(「アハ」のH音が脱落して「アー」となつた)

  「(ン)グ・ワイ」、NGU-WAI(ngu=silent,speechless,moan;wai=memory,simultaneous use or movement)、「静かに・(一緒に拳を)振ろう」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)または「(ン)グハ・ワイ」、NGUHA-WAI(nguha=fight fiercely,rage;wai=memory,simultaneous use or movement)、「元気よく・(一緒に拳を)振ろう」(「(ン)グハ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「グア」から「グ」となった)

  「イ・ウヌ・ムヌ」、I-UNU-MUNU(i=past tense,from,beside,with,by;unu=pull off,put off,draw out;munu,munumunu=dredge,scrape out)、「(結果を・拭い・去って)元からやり直そう」(「イ・ウヌ」が「ュヌ」となつた)

  「チア(ン)ゴ・カイ(ン)ガ」、TIANGO-KAINGA(tiango=shrunk,contracted;kainga=field of operation,scope of work)、「握りしめた(拳を)・視野に入れる(どう変化するかを注視しながら行う。遊び)」(「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「ジャン」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

の転訛と解します。

002あかるい(明るい)・マンドーロ・アガル・アガルエ・アガリ・アカリー・アカロェー・アカイ・アキャー・アケ・アカー・アカカ・アカルカ・アッカ・アケー・ッアカルサン・アカサン

 「あかるい(明るい)」の方言には、青森の「マンドーロ」、岩手の「アガル」、宮城、山形などの「アガルエ」、秋田の「アガリ」(福島の「アガリー」も同じ)、群馬、埼玉などの「アカリー」、愛知の「アカロェー」、滋賀、京都などの「アカイ」、鳥取の「アキャー」、島根、宮崎などの「アケ」、広島の「アカー」、福岡、佐賀などの「アカカ」、長崎の「アカルカ」、熊本の「アッカ」、大分の「アケー」、沖縄那覇の「ッアカルサン」、沖縄首里の「アカサン」などがあります。

 古来日本では、色の「赤」と光の「明るい」は語源的に同じと考えられ、北海道から三重までの東日本では共通語の「あかるい」を、滋賀から九州までの西日本では「アカイ」の系統の言葉が用いられています。

 この「あかるい」、「マンドーロ」、「アガル」、「アガルエ」、「アガリ」、「アカリー」、「アカロェー」、「アカイ」、「アキャー」、「アケ」、「アカー」、「アカカ」、「アカルカ」、「アッカ」、「アケー」、「ッアカルサン」、「アカサン」は、

  「ア・カ・ルイ」、A-KA-RUI(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;rui=shake,scatter,sow)、「(火が燃えて)光が・放散している・ような(明るい)」

  「マノ・トロ」、MANO-TORO(mano=thousand,indefinitely large number;toro=burn,blaze)、「たいへん・燃え盛るような(明るい)」(「マノ」が「マン」となった)

  「ア・カ・ル」、A-KA-RU(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;ru=shake,agitate,scatter)、、「(火が燃えて)光が・激しく放散している・ような(明るい)」(「アカル」が濁音化して「アガル」となった)

  「ア・カ・ルエ」、A-KA-RUE(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;rue,whakarue=tremble,shake)、「(火が燃えて)光が・振動しながら放散している・ような(明るい)」(「アカルエ」が濁音化して「アガルエ」となつた)

  「ア・カ・ルイ」、A-KA-RUI(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;rui=shake,scatter,sow)、「(火が燃えて)光が・放散している・ような(明るい)」(「カ」が濁音化して「ガ」と、「ルイ」が「リ」に変化した)

  「ア・カ・ルイ」、A-KA-RUI(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;rui=shake,scatter,sow)、「(火が燃えて)光が・放散している・ような(明るい)」(「カ」が濁音化して「ガ」と、「ルイ」が「リ」に変化して長音化した)

  「ア・カ・ルエ」、A-KA-RUE(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;rue,whakarue=tremble,shake)、「(火が燃えて)光が・振動しながら放散している・ような(明るい)」(「ルエ」が「ロエ」に変化した)

  「ア・カイ(ン)ガ」、A-KAINGA(a=the...of,of,belonging to,at;kainga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃えている・ような(明るい)」(「カイ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カイ」となった)

  「ア・カ・イア」、A-KA-IA(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;ia=indeed)、「実に・火が燃えている・ような(明るい)」(「カイア」が「キア」から「キャー」となった)

  「ア・カイ(ン)ガ」、A-KAINGA(a=the...of,of,belonging to,at;kainga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃えている・ような(明るい)」(「カイ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カイ」となり、そのAI音がE音に変化して「アケ」となった)

  「ア・カ」、A-KA(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃えている・ような(明るい)」(「アカ」が長音化して「アカー」となった)

  「ア・カカ」、A-KAKA(a=the...of,of,belonging to,at;kaka=red-hot,glow)、「(あかあかと)輝いている・ような(明るい)」

  「ア・カ・ルカ」、A-KA-RUKA(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;ruka=utterly)、「全く・火が燃えている・ような(明るい)」

  「ア・カ」、A-KA(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃えている・ような(明るい)」(「アカ」が促音化して「アッカ」となった)

  「ア・カイ(ン)ガ」、A-KAINGA(a=the...of,of,belonging to,at;kainga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃えている・ような(明るい)」(「カイ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カイ」となり、そのAI音がE音に変化して「アケ」、さらに長音化して「アケー」となった)

  「ツア・カ・ル・タ(ン)ガ」、TUA-KA-RU-TANGA(tua=give a name to a child with accompanying religious ceremonies,influence by means of a spell;ka=take fire,be lighted,burn;ru=shake,agitate,scatter;tanga=be assembled,row,division)、、「呪文の効果によるもののように・(火が燃えて)光が・激しく放散している・ような部類の(明るい)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

  「ア・カ・タ(ン)ガ」、A-KA-TANGA(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;tanga=be assembled,row,division)、、「火が燃えている・ような・部類の(明るい)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

の転訛と解します。

003あかんぼう(赤ん坊)・アカゴ・ビッキ・オボッコ・オボコ・オボゴ・オド・オドメ・アガンボ・アカッコ・ボ・ネネ・ネンネ・ボコ・アカ・ヤヤコ・ヤヤ・アカボ・アカチャン・ッアカングヮ・アカングヮ

 「あかんぼう」の方言には、北海道、群馬などの「アカゴ」、青森の「ビッキ」、岩手の「オボッコ」(「オボコ」が促音化したもの)、宮城の「オボコ」、秋田の「アガコ」、山形の「オボゴ」(「オボコ」が濁音化したもの)、福島の「オド」、茨城の「オドメ」、栃木の「アガンボ」(「アカンボウ」が濁音化したもの)、埼玉の「アカッコ」、新潟の「ボ」、富山の「ネネ」、石川、福井の「ネンネ」、山梨の「ボコ」(「オボコ」の「オ」が脱落したもの)、長野の「アカ」(「アカンボウ」が短縮したもの)、滋賀、京都などの「ヤヤコ」、大阪、鳥取などの「ヤヤ」(「ヤヤコ」の「コ」が脱落したもの)、愛媛の「アカボ」(「アカンボウ」の短縮したもの)、長崎の「アカチャン」、沖縄那覇の「ッアカングヮ」、沖縄首里の「アカングヮ」があります。(これらのうち明らかにある語の促音・長音・短縮形などであるものは下記の解釈では除外しました。)

 この「あかんぼう」、「アカゴ」、「ビッキ」、「オボコ」、「オドメ」、「アカッコ」、「ボ」、「ネネ」、「ネンネ」、「ヤヤコ」、「アカチャン」、「ッアカングヮ」は、

  「ア・カ(ン)ガ・パウ」、A-KANGA-PAU(a=the...of,of,belonging to,at;kanga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「実に・徹底的に・(顔を)真っ赤にして泣きわめくもの(赤ん坊)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「アカナ」から「アカン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボウ」となった)

  「ア・カ・(ン)ゴ」、A-KA-NGO(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;ngo=cry,grunt)、「「実に・(顔を)真っ赤にして・泣きわめくもの(赤ん坊)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「ピキ」、PIKI(come to the rescue of(pikipiki=be constantly in attendance))、「(四六時中)世話を焼かせるもの(嬰児)」 (「ピキ」が「ビッキ」となった。国語篇(その二)の107ビッキの項および雑楽篇(その二)608びっき(蛙)(嬰児)の項を参照してください。)

  「オ・パウ・コ」、O-PAU-KO(o=the...of,belonging to;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action;ko=addressing to girls and males)、「「実に・徹底した(顔を真っ赤にして泣きわめき、疲れると睡る)・子(赤ん坊)」(「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「オ・ト・メ」、O-TO-ME(o=the...of,belonging to;to=drag,tingle;me=as if,like)、「実に・(人を)悩ます・ような(子。赤ん坊)」(「オトメ」が濁音化して「オドメ」となつた)

  「ア・カ・ツ・コ」、A-KA-TU-KO(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic;ko=addressing to girls and males)、「「実に・(顔を)真っ赤にして・懸命に泣きわめく・子(赤ん坊)」(「ツ」が「ッ」となった)

  「パウ」、PAU(consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「「徹底した(顔を真っ赤にして泣きわめき、疲れると睡る子。赤ん坊)」(「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「ネネ」、NENE(fat,jest,be saucy)、「元気のよい(子。赤ん坊)」

  「ネネネ」、NENENE(be saucy)、「元気のよい(子。赤ん坊)」(「ネネネ」が「ネンネ」となった)

  「イアイア・コ」、IAIA-KO(iaia=sinews,veins;ko=addressing to girls and males)、「元気のよい(子。赤ん坊)」

  「ア・カ・チア(ン)ゴ」、A-KA-TIANGO(a=the...of,of,belonging to,at;ka=take fire,be lighted,burn;tiango=shrunk,contracted)、「実に・(顔を)真っ赤にして泣きわめく・小さな(子。赤ん坊)」(「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「チャン」となった)

  「ツア・カ(ン)ガ・ウア」、TUA-KANGA-UA(tua=give a name to a child with accompanying religious ceremonies,influence by means of a spell;kanga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn;ua,uaua=sinew,vein,vigorous)、「呪文をかけられたように・(顔を)真っ赤にして泣きわめく・元気な(子。赤ん坊)」(「カ(ン)ガ・ウア」が連結して「カングヮ」となった)

  「ア・カ(ン)ガ・ウア」、A-KANGA-UA(a=the...of,of,belonging to,at;kanga(a verbal noun form of "ka")=ka=take fire,be lighted,burn;ua,uaua=sinew,vein,vigorous)、「実に・(顔を)真っ赤にして泣きわめく・元気な(子。赤ん坊)」(「カ(ン)ガ・ウア」が連結して「カングヮ」となった)

の転訛と解します。

004あご(顎)・オドゲ・アギタ・オドゲー・オトゲ・アグ・アゴタ・オトガイ・オトンゲ・アギ・アギト・アゲト・アンギ・アゴタン・ッウトゥゲ・ウトゥゲー

 「あご」の方言には、青森、秋田などの「オドゲ」(「オトゲ」が濁音化したもの)、岩手の「アギタ」、宮城の「オドゲー」(「オドゲ」が長音化したもの)、福島の「オトゲ」(「オトガイ」と同根)、栃木、群馬などの「アグ」、福井の「アゴタ」、京都の「オトガイ」、島根の「オトンゲ」(オトゲ」が変化したもの)、広島の「アギ」、徳島、愛媛などの「アギト」、香川の「アゲト」、高知の「アンギ」(「アギ」が変化したもの)、佐賀の「アゴタン」、沖縄那覇の「ッウトゥゲ」、沖縄首里の「ウトゥゲー」があります。(原典では鼻濁音(NG音)を区別して表記しますが、ここでは便宜区別しませんでした。)

 この「あご」、「アギタ」、「オトゲ」、「アグ」、「アゴタ」、「オトガイ」、「オトンゲ」、「アギ」、「アギト」、「アゲト」、「アゴタン」、「ッウトゥゲ」、「ウトゥゲー」は、

  「ア・(ン)ガウ」、A-NGAU(a=the...of,of,belonging to,at;ngau=bite,gnaw,hurt)、「(物を)噛む・もの(顎)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「ア・(ン)ギタ」、A-NGITA(a=the...of,of,belonging to,at;ngita=fast,firm,secure)、「しっかりと咬み締める・もの(顎)」(「(ン)ギタ」のNG音がG音に変化して「ギタ」となった)

  「アウト・(ン)ガヒリ」、AUTO-NGAHIRI(auto=trailing behind,slow,drag out;ngahiri=pestle or pounder for fern root)、「ゆっくりと・(食物を)噛み砕くもの(顎)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「(ン)ガヒリ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落した後のAI音がE音に変化して「ゲリ」となり、さらに語尾の「リ」が脱落して「オト・ゲ」となった)

  「ア・(ン)グ」、A-NGU(a=the...of,of,belonging to,at;ngu,ngungu=eat greedy,gnaw)、「(物を)噛む・もの(顎)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「ア・(ン)ゴタ」、A-NGOTA(a=the...of,of,belonging to,at;ngota=fragment,particle)、「(物を)粉々に噛み砕く・もの(顎)」(「(ン)ゴタ」のNG音がG音に変化して「ゴタ」となった)

  「アウト・(ン)ガヒリ」、AUTO-NGAHIRI(auto=trailing behind,slow,drag out;ngahiri=pestle or pounder for fern root)、「ゆっくりと・(食物を)噛み砕くもの(顎)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「(ン)ガヒリ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ガイリ」となり、さらに語尾の「リ」が脱落して「オトガイ」となった)

  「アウト・(ン)ガヒリ」、AUTO-NGAHIRI(auto=trailing behind,slow,drag out;ngahiri=pestle or pounder for fern root)、「ゆっくりと・(食物を)噛み砕くもの(顎)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となり、その語尾のO音が「(ン)ガヒリ」のNG音と連結し、、H音が脱落した後のAI音がE音に変化して「オトンゲリ」となり、さらに語尾の「リ」が脱落して「オトンゲ」となった)

  「ア・(ン)ギタ」、A-NGITA(a=the...of,of,belonging to,at;ngita=fast,firm,secure)、「しっかりと咬み締める・もの(顎)」(「(ン)ギタ」のNG音がG音に変化して「ギタ」となり、さらに語尾の「タ」が脱落して「ギ」となった)

  「ア・(ン)ギタ・ウ」、A-NGITA-U(a=the...of,belonging to;ngita=fast,firm,secure;u=bite,gnaw)、「例の・(食物などを)しっかりと・噛み締めるもの(顎)」(「(ン)ギタ」のNG音がG音に変化して「ギタ」となり、その語尾のA音と「ウ」のU音が連結してO音に変化して「ギト」となった)

  「ア(ン)ガ・イト」、ANGA-ITO(anga=driving force,thing driven,etc.;ito=object of revenge,trophy of an enemy,enemy)、「(親の)仇を討つかのように・食らい付くもの(顎)」(「「ア(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、その語尾のA音と「イト」の語頭のI音が連結したAI音がE音に変化して「アゲト」となった)

  「ア・(ン)ガウ・タ(ン)ガ」、A-NGAU-TANGA(a=the...of,of,belonging to,at;ngau=bite,gnaw,hurt;tanga=circumstance or place of dashing or striking etc.)、「しっかり・(物を)噛む・場所(顎)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「ツ・ウト・(ン)ガイ」、TU-UTO-NGAI(tu=fight with,energetic;uto=revenge,object of one's revenge)、「必死になって・(親の)仇を討つかのように食らい付く・部類のもの(顎)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)

  「ウト・(ン)ガイ」、UTO-NGAI(uto=revenge,object of one's revenge)、「(親の)仇を討つかのように食らい付く・部類のもの(顎)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」から「ゲー」となった)

の転訛と解します。

005あたらしい(新しい)・アダラスエ・アダラシエ・ハッツオ・サラ・ニーシー・アラ・マッサラ・サライ・アタラシカ・ニケ

 「あたらしい(新しい)」は、古くは「あらたし」であったのが、平安時代以後「アタラシ(可惜)」と混同して「あたらし」となったとされます。この「アラタシ」のままの古形は残っていませんが、西日本には「アラ」、「サラ」系統の形で残ります。

 この「あたらしい」の方言には、青森、岩手などの「アダラシ」(「アタラシ」が濁音化したもの)、宮城、山形などの「アダラスエ」、茨城の「アダラシエ」(「アタラシエ」が濁音化したもの)、新潟の「アタラシエ」、富山の「ハッツオ」、福井、京都などの「サラ」、山梨の「ニーシー」、三重の「アラ」、滋賀の「マッサラ」、和歌山の「サライ」、福岡、佐賀などの「アタラシカ」、鹿児島の「ニケ」、沖縄那覇・首里の「ミーサン」などがあります。

 沖縄の「ミーサン」については、縄文語との関わりが不明です。なお、沖縄語については、「サラ」(「新しい」意を表す接頭語)があり、これは西日本に広く残る「サラ」と同じと考えられます(国立国語研究所『沖縄語辞典』財務省印刷局、平成13年)。

 この「あたらしい」、「アダラスエ」、「アダラシエ」、「ハッツオ」、「サラ」、「ニーシー」、「アラ」、「マッサラ」、「サライ」、「アタラシカ」、「ニケ」は、

  「アラ・タ・チ」、ARA-TA-TI(ara=rise,awake,raise;ta=dash,beat,lay;ti=throw,cast)、「(何かが)勃発して・現れて・襲う(新しいことが起こる。新しい)」(「アラタチ」から「アタラシ」、「アタラシイ」となった)

  「アラ・タ・ツアイ」、ARA-TA-TUAI(ara=rise,awake,raise;ta=dash,beat,lay;tuai=dark)、「(黒い)正体不明の・(何かが)勃発して・現れる(何が何だか分からない新しいことが起こる。新しい)」(「ツアイ」のAI音がE音に変化して「ツエ」から「スエ」となり、「アラタスエ」から「アタラスエ」、「アダラスエ」となった)

  「アラ・タ・チ・エ」、ARA-TA-TI-E(ara=rise,awake,raise;ta=dash,beat,lay;ti=throw,cast,overcome;e=to give emphasis)、「実に・(何かが)勃発して・現れて・襲う(実に新しいことが起こる。新しい)」(「アラタチエ」から「アタラシエ」、「アダラシエ」となった)

  「ハ・ツオフ」、HA-TUOHU(ha=what!;tuohu=stoop,cower)、「何が起こったかと(理解できずに)・立ちすくむ(新しいことが起こる。新しい)」(「ツオフ」のH音が脱落して「ツオウ」から「ツオ」となった)

  「タ・アラ」、TA-ARA(ta=the...of,dash,beat,lay;ara=rise,awake,raise)、「何か(分からないこと)が・起こる(新しいことが起こる。新しい)」(「タ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「タラ」から「サラ」となった)

  「ニヒ・チ」、NIHI-TI(nihi,ninihi=steep,come stealthly upon,surprise;ti=throw,cast,overcomr)、「(何かが)そつと忍び寄って・襲う(新しいことがおこる。新しい)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニイ」から「ニー」と、「チ」が「シー」となった)

  「アラ」、ARA(rise,awake,raise)、「(何かが)起こる(新しいことが起こる。新しい)」

  「マタ・アラ」、MATA-ARA(mata=adding little force to the clause,just;ara=rise,awake,raise)、「ほんとに(何かが)・起こる(新しいことが起こる。新しい)」(「マタ」の語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「マタラ」から「マサラ」、「マッサラ」となった)

  「タ・アラ・アイ」、TA-ARA-AI(ta=the...of,dash,beat,lay;ara=rise,awake,raise;ai=substantive)、「ほんとに・何か(分からないこと)が・起こる(新しいことが起こる。新しい)」(「タ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結し、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「タライ」から「サライ」となった)

  「アラ・タ・チカ」、ARA-TA-TIKA(ara=rise,awake,raise;ta=dash,beat,lay;tika=straight,direct,just)、「ほんとに・(何かが)勃発して・現れる(新しいことが起こる。新しい)」(「アラタチカ」から「アタラシカ」となった)

  「ニヒ・ケ」、NIHI-KE(nihi,ninihi=steep,come stealthly upon,surprise;ke=different,strange)、「(何か)変わったことが、そつと忍び寄る(新しいことがおこる。新しい)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニイ」から「ニ」となった)

の転訛と解します。

006あつい(暑い)・ヌグイ・ヌグ・アツエ・アッチェ・ヌクイ・アトゥイ・アツカ・ヌッカ・ッアチサン・アチサン

 「あつい(暑い)」の方言には、北海道、富山の「アッツイ」(「アツイ」が促音化したもの)、青森の「ヌグイ」、岩手の「ヌグ」、宮城の「アズエ」(「アツエ」が変化したもの)、秋田の「ヌギー」(「ヌグイ」が変化したもの)、山形の「アッズエ」(「アズエ」が変化したもの)、茨城の「アツエ」、栃木の「アジー」(「アツイ」が変化したもの)、群馬、埼玉などの「アチー」(「アツイ」が変化したもの)、新潟の「アッチェ」、島根の「ヌクイ」、高知の「アトゥイ」、福岡、長崎などの「アツカ」、佐賀、鹿児島の「ヌッカ」、宮崎の「ヌキ」(「ヌクイ」が変化したもの)、沖縄那覇の「ッアチサン」、沖縄首里の「アチサン」があります。

 この「あつい」、「ヌグイ」、「ヌグ」、「アツエ」、「アッチェ」、「ヌクイ」、「アトゥイ」、「アツカ」、「ヌッカ」、「ッアチサン」、「アチサン」は、

  「ア・ツヒ」、A-TUHI(a=the...of,of,belonging to,at;tuhi=draw,redden,glow,gleam)、「白熱した・ような(暑い)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」となった。また「アツイ」のUI音がI音に変化して「アチイ」、「アチー」となった)

  「(ン)グヌ・イ」、NGUNU-I(ngunu=singe,roast food on glowing embers;i=ferment,be stirred of the feelings,past tense)、「炙られて・いるような(暑い)」(「(ン)グヌ」のNG音がG音に変化して「「グヌ」から「ヌグ」となつた。また「ヌグイ」が清音化して「ヌクイ」、「ヌグイ」のUI音がI音に変化して「ヌキ」、「ヌギー」となった)

  「(ン)グヌ」、NGUNU(singe,roast food on glowing embers)、「炙られるような(暑い)」(「(ン)グヌ」のNG音がG音に変化して「「グヌ」から「ヌグ」となつた)」

  「ア・ツヒ・エ」、A-TUHI-E(a=the...of,of,belonging to,at;tuhi=draw,redden,glow,gleam;e=to give emphasis,why,of course)、「何と・白熱した・ような(暑い)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」となり、「エ」と連結して「ツイエ」から「ツエ」となった。また「アツエ」が濁音化して「アズエ」、さらにそれが促音化して「アッズエ」、「アッチェ」となった)

  「ア・トハウ・イ」、A-TOHAU-I(a=the...of,of,belonging to,at;tohau=damp,sweat;i=i=ferment,be stirred of the feelings,past tense)、「ほんとに・蒸し暑い・ような(暑い)」(「トハウ」のAU音がO音に変化し、H音が脱落して「トオ」から「トウ」、「トゥ」となった)

  「アツ・カ」、ATU-KA(atu=to indicate reciprocated action,to form a comparative or superative;ka=take fire,be lighted,burn)、「火が燃え・盛っているような(暑い)」

  「(ン)グツ・カ」、NGUTU-KA(ngutu=lip,beak,taste;ka=take fire,be lighted,burn)、「(燃える)火を・味わっているような(暑い)」(「(ン)グツ」のNG音がN音に変化して「ヌツ」となった)

  「ツア・ツヒ・タ(ン)ガ」、TUA-TUHI-TANGA(tua=give a name to a child with accompanying religious ceremonies,influence by means of a spell;tuhi=draw,redden,glow,gleam;tanga=be assembled)、「呪文をかけられたように・身の回りが・白熱したような(暑い)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「チ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

  「ア・ツヒ・タ(ン)ガ」、A-TUHI(a=the...of,of,belonging to,at;tuhi=draw,redden,glow,gleam;tanga=be assembled)、「身の回りが・白熱したような(暑い)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「チ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

の転訛と解します。

007あべこべ・サカサマ・カッチャ・カッパ・ケッチャ・チンコ・ヒックリゲッチョ・サカシマ・アッチャコッチャ・ヒックリケーサ・リャンコー・アッチーコッチー・サカシ・ヘコサカ・サカ・ヒッチャラコッチャラ・ヘッチコッチ・イッポンピラ・ギャヒ

 順序・位置・表裏・上下などの入れ替わりのさまを表す語として「あべこべ」と、「サカサマ」の二つが主として使われますが、東北・北関東・九州に特異な方言がみられます。とくに青森では「カッチャ」(表裏の逆)と「カッパ」(上下の逆)を使い分け、栃木・群馬では「ヒックリゲッチョ」(表裏の逆)を使い分けます。

 「あべこべ」の方言には、北海道の「アッペ」(「アペコペ」の「コペ」が脱落した「アペ」が促音化したもの)、青森の「アッペコッペ」(「アペコペ」が促音化したもの)、岩手、宮城の「ケッチャ」、秋田の「カチャマ」、山形の「カッチャ」、福島の「ケーチャン」、茨城の「サガサマ」(「サカサマ」が濁音化したもの)、栃木の「チンコ」、千葉、長野などの「サカサマ」、富山、鳥取の「サカシマ」、石川、福井などの「アッチャコッチャ」、山梨の「ヒックリケーサ」、愛知の「リャンコー」、三重の「アチコチ」、兵庫の「サカサン」、島根、香川などの「サカシ」、岡山の「アッチーコッチー」、広島の「ヘコサカ」、徳島の「サカ」、福岡の「ヒッチャラコッチャラ」、佐賀の「アッチャコシ」、大分の「ヘッチコッチ」、宮崎の「イッポンピラ」、鹿児島の「ギャヒ」があります。

 この「あべこべ」、「サカサマ」、「カッチャ」、「カッパ」、「ケッチャ」、「チンコ」、「ヒックリゲッチョ」、「サカシマ」、「アッチャコッチャ」、「ヒックリケーサ」、「リャンコー」、「アッチーコッチー」、「サカシ」、「ヘコサカ」、「サカ」、「ヒッチャラコッチャラ」、「ヘッチコッチ」、「イッポンピラ」、「ギャヒ」は、

  「アパイ・コパイ」、APAI-KOPAI(front wall of a house;kopai=front wall or side wall of a house(kopae=lying sideways,circular))、「(家の)表と・横(位置などを取り違えるさま)」(「アパイ・コパイ」のAI音がE音に変化して「アペ・コペ」から「アベコベ」となった)

  「タカ・タマ」、TAKA-TAMA(taka=fall off,turn on a pivot,come round;tama=son,eldest son,child(usually male),man)、「(子の)年長(の順)を・逆にする(順序などを取り違えるさま)」(「タカタマ」が「サカサマ」になり、また語尾のA音が脱落して「サカサム」から「サカサン」になった)

  「カツア・チア」、KATUA-TIA(katua=main portion as trunk of a tree;tia=peg,stake,stick)、「(木の)幹と・枝(上下などを取り違えるさま)」(「カツア」の語尾のA音が脱落して「カツ」と、「カツ・チア」から「カッチャ」となった)

  「カツア・パ」、KATUA-PA(katua=main portion as trunk of a tree,main fence of a fort;pa=blockade used to close an open place)、「(柵を巡らした集落の)奥の柵と・外の柵(順序・上下などを取り違えるさま)」(「カツア」の語尾のA音が脱落して「カツ」と、「カツ・パ」から「カッパ」となった)

  「ケツ・チア」、KETU-TIA(ketu=remove earth by pushing or digging with a blunt instrument,small paddle-shaped implement for weeding;tia=peg,stake,stick)、「(土を掘る)鍬と・土掘り棒(上下などを取り違えるさま)」(「ケツ・チア」から「ケッチャ」となった)

  「チナ・カウ」、TINA-KAU(tina=fixed,firm;kau=swim,wade)、「じっとしているか・出歩くか(行動を取り違えるさま)」(「チナ」が「チン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ヒク・リカ・イ・チオイ」、HIKU-RIKA-I-TIO(hiku=tail of a fish or reptile,tip of a leaf etc.;rika=writhe,toss oneself about,nudge;i=past tense;tioi=shake,sway from side to side)、「(魚の)尻尾を・(掴んで)よじって・(別の側)面を返し・た(引っ繰り返す。上下などを取り違えるさま)」(「ヒク・リカ・イ・チオイ」が「ヒックリカイチョ」となり、さらに「カイチョ」のAI音がE音に変化して「ケチョ」から「ゲッチョ」となった)

  「タカ・チマ(ン)ガ」、TAKA-TIMANGA(taka=fall off,turn on a pivot,come round;timanga=elrvated stage on which food is kept)、「(高床の倉庫の)下と・上にある(上下などを取り違えるさま)」(「チマ(ン)ガ」の語尾のNGA音が脱落して「チマ」から「シマ」となった)

  「ア・チア・コ・チア」、A-TIA-KO-TIA(a=drive,urge,as far as;tia=etia=as it were,as if;ko=of place,to,at)、「遠く離れた・場所にいるようなのと・近くの・場所にいるようなのと(位置などを取り違えるさま)」(「チア」が「チャ」となった。さらに促音化して「アッチャコッチャ」と、最後の語尾のA音が脱落して「アッチャコッチ」から「アッチャコシ」となった)

  「ヒク・リカ・イ・ツ」、HIKU-RIKA-I-TU(hiku=tail of a fish or reptile,tip of a leaf etc.;rika=writhe,toss oneself about,nudge;i=past tense;tu=lay)、「(魚の)尻尾を・(掴んで)よじって・(返し)て・置いた(引っ繰り返す。上下などを取り違えるさま)」(「ヒク・リカ・イ・ツ」が「ヒックリカイス」となり、さらに「カイス」のAI音がE音に変化して「ケス」から「ケーサ」となった)

  「リ・ア(ン)ゴ」、RI-ANGO(ri=screen,protect,bind;ango=gape,be open)、「(戸などを)締めるのと・開けるのと(状態を取り違えるさま)」(「リ」のI音と「ア(ン)ゴ」の語頭のA音が連結して「リャンゴ」となり、清音化して「リャンコ」、「リャンコー」となった)

  「ア・チ・コ・チ」、A-TI-KO-TI(a=drive,urge,as far as;ti=throw,cast;ko=of place,to,at)、「遠く離れた・場所に(放り出されて)いるのと・近くの・場所に(放り出されて)いるのと(位置などを取り違えるさま)」(「アチコチ」が長音化して「アッチーコッチー」)

  「タカ・チ」、TAKA-TI(taka=fall off,turn on a pivot,come round;ti=throw,cast)、「逆(逆さ)にして・放り出す(上下などを取り違えるさま)」

  「ヘ・コ・タカ」、HE-KO-TAKA(he=different,strange;ko=to give emphasis;taka=fall off,turn on a pivot,come round)、「変わったことに・ほんとに・逆さの(状態。上下などを取り違えるさま)」

  「タカ」、TAKAI(fall off,turn on a pivot,come round)、「逆(逆さ)の(上下などを取り違えるさま)」

  「ヒ・チ・アラ・コ・チ・アラ」、HI-TI-ARA-KO-TI-ARA(hi=raise,rise;ti=throw,cast;ara=way,path;ko=of place,to,at)、「高い(遠く離れた)・道に・放り出されているのと・近くの・道に放り出されているのと(位置などを取り違えるさま)」(「ヒチアラコチアラ」が「ヒッチャラコッチャラ」となつた)

  「ヘ・チ・コ・チ」、HE-TI-KO-TI(he=different,strange;ti=throw,cast;ko=of place,to,at)、「変わった(遠く離れた)・(場所に)放り出されているのと・(近くの場所に)放り出されているのと(位置などを取り違えるさま)」(「ヘチコチ」が「ヘッチコッチ」となった)

  「イ・ポナ・ピララ」、I-PONA-PIRARA(i=from,beside,in comparison with;pona=knot,make fast with a line,tie;pirara=separated,divided)、「一つに纏まって・いるか・ばらばらか(状態を取り違えるさま)」(「イ・ポナ」が「イッポン」と、「ピララ」の反復語尾が脱落して「ピラ」となつた)

  「(ン)ギア・アヒ」、NGIA-AHI(ngia=seem,appear to be;ahi=beget)、「(子を)産む(のが)・(あたかも父親の)ように見える(状況。関係を取り違えているさま)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、その語尾のA音が「アヒ」の語頭のA音と連結して「ギアヒ」から「ギャヒ」となった)

の転訛と解します。

008あやす・ダマス・チョース・ハヤス・ダマカス・アイソシル・ヘース・ジョーラカス・チョーラカス・タラス・チャヤガス・キゲントー・キゲントル・テンガウ・エスラウ・スカス・ヨドル・モゾガル・シカスン

 「あやす」の方言には、岩手、宮城などの「ダマス」、群馬の「チョース」、神奈川の「ハヤス」、富山の「ダマカス」、福井の「アイソシル」、山梨の「ヘース」、岐阜の「ジョーラカス」、愛知の「チョーラカス」、京都の「タラス」、鳥取の「チャヤガス」、島根の「キゲントー」、徳島の「キゲントル」、香川の「テガウ」、高知の「テンガウ」、福岡の「エスラウ」、熊本の「スカス」、大分の「ヨドル」、宮崎の「モゾガル」、沖縄那覇・首里の「シカスン」があります。

 この「あやす」、「ダマス」、「チョース」、「ハヤス」、「ダマカス」、「アイソシル」、「ヘース」、「ジョーラカス」、「チョーラカス」、「タラス」、「チャヤガス」、「キゲントー」、「キゲントル」、「テンガウ」、「エスラウ」、「スカス」、「ヨドル」、「モゾガル」、「シカスン」は、

  「アイア・ツ」、AIA-TU(aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency at any event,it is good,it serves one right etc.;tu=fight with,energetic)、「(赤児が)満足するように・懸命に努める」(「アイア」が「アヤ」と、「ツ」が「ス」となつた)

  「タマ・ツ」、TAMA-TU(tama=son,child,in a number of proverbial expressions-emotion,desire,strong feeling;tu=fight with,energetic)、「(赤児の)気持ち(を良くする)のために・懸命に努める(世話をする)」(「タマ」が濁音化して「ダマ」となった)

  「チオ・ツ」、TIO-TU(tio=apprehensive;tu=fight with,energetic)、「(赤児が快活に過ごせるよう)気遣って・懸命に努める(世話をする)」(「チオ・ツ」が「チョス」から「チョース」となった)

  「ハ・アイア・ツ」、HA-AIA-TU(ha=what!;aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency at any event,it is good,it serves one right etc.;tu=fight with,energetic)、「何と(実に)・(赤児が)満足するように・懸命に努める(世話をする)」(「ハ」のA音と「アイア」の語頭のA音が連結して「ハヤ」となった)

  「タマ・カ・ツ」、TAMA-KA-TU(tama=son,child,in a number of proverbial expressions-emotion,desire,strong feeling;ka=to denote the commencement of a new action or condition;tu=fight with,energetic)、「(赤児の)気持ち(を良くする)のために・ただ・懸命に努める(世話をする)」(「タマ」が濁音化して「ダマ」となった)

  「アイ・タウ・チロウ」、AI-TAU-TIROU(ai=substantive,expressing the reason for which anything done,denoting present habitual condition or action;tau=alight,be suitable,be comely,be able;tirou=pointed stick used as a fork,take up with a stick or fork)、「(赤児の)気持ちを良くする・ために・行う方便(習慣)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「チロウ」のOU音がU音に変化して「チル」から「シル」となった)

  「ハエ・ツ」、HAE-TU(hae=slit,cherish envy,jealousy;tu=fight with,energetic)、「(赤児を)可愛がつて妬まれるほどに・懸命に努める(世話をする)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」となつた)

  「チオ・ラカ・ツ」、TIO-RAKA-TU(tio=apprehensive;raka=agile,go,spread abroad;tu=fight with,energetic)、「(赤児が快活に過ごせるよう)気遣って・敏活に・懸命に努める(世話をする)」(「チオ」が「チョー」となった)

  「タラ・ツ」、TARA-TU(tara=point,wane,affect by incantations;tu=fight with,energetic)、「まるで呪文をかけられたように・懸命に努める(世話をする)」

  「チ・アイア・カ・ツ」、TI-AIA-KA-TU(ti=throw,cast;aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency at any event,it is good,it serves one right etc.;ka=to denote the commencement of a new action or condition;tu=fight with,energetic)、「(赤児に)満足を・与えるように・ただ・懸命に努める(世話をする)」(「チ」のI音と「アイア」の語頭のA音が連結して「チャヤ」となった)

  「キ・(ン)ゲネ・タウ」、KI-NGENE-TAU(ki=full,very;ngene=wrinkle,fold(whakangenengene=muffle oneself up);tau=alight,be suitable,be comely,be able)、「たいへん・(感情の起伏を)押し包んで(表に出さないようにして)・(赤児を)気持ちよくさせる(働き)」(「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トー」となった)

  「キ・(ン)ゲネ・タウル」、KI-NGENE-TAURU(ki=full,very;ngene=wrinkle,fold(whakangenengene=muffle oneself up);tauru=roller for moving a canoe)、「たいへん・(感情の起伏を)押し包んで(表に出さないようにして)・(舟の下に丸太を敷いて転がすように赤児を)快活にさせる(働き)」(「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「タウル」のAU音がO音に変化して「トル」となった)

  「タイ(ン)ガ・(ン)ガウ」、TAING-NGAU(tainga=place for bailing water;ngau=bite,hurt,act upon,attack)、「(舟を快調に走らせるために)水あかを汲み出す・作業をする(赤児が気持ちよく過ごせるようにおむつを替えるなどの世話をし、赤児と戯れる)」(「タイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「テナ」から「テン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」から「ゴウ」となった」)

  「ハエ・ツ・ラウ」、HAE-TU-RAU(hae=slit,cherish envy,ill feeling,cause pain;tu=fight with,energetic;rau=entangle,engage,confused)、「(赤児を)可愛がつて妬まれるほどに・喜ばせようと・懸命に努める(世話をする)」(「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ツカハ・ツ」、TUKAHA-TU(tukaha=strenuous,vigorous,passionate;tu=fight with,energetic)、「(赤児のために)精力的に・懸命に努める(世話をする)」(「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「スカ」となった)

  「イオ・タウル」、IO-TAURU(io=muscle,tough,hard,obstinate;tauru=roller for moving a canoe)、「倦むことなく・(舟の下に丸太を敷いて転がすように赤児を)快活にさせる(働き)」(「イオ」が「ヨ」と、「タウル」のAU音がO音に変化して「トル」から「ドル」となつた)

  「モ・タウ・(ン)ガル」、MO-TAU-NGARU(mo=for,for the benefit of,in preparation for;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「(赤児が)波の上に漂うように・気持ちよくさせる・ための(働き)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「(ン)ガル」のNG音がG音に変化して「ガル」となった)

  「チカ(ン)ガ・ツ(ン)ガ」、TIKANGA-TUNGA(tikanga=rule,method,custom,reason;tunga=circumstance etc. of being served)、「(赤児が)世話をされる・やり方(習慣)」(「チカ(ン)ガ」のNGA音が脱落してN音に変化して「チカ」から「シカ」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

の転訛と解します。

009ありがとう(有り難う)・アリガドーゴシ・アリガドガンス・カンボ・アリガドサマ・アリガトナ・ヨシクイタ・キノドクナ・アンヤトー・アリガトーゴイス・ヨーシテクンサッタナー・ワリーッケネー・オーキニ・ダンダン・ゴネンニイリマシテ・アリガトーアンシタ・アリンガトー・オーキニアイガトゴザンシタ・チョージョー・アリガトモシアゲモシタ・ニフェーレービル・ニフェーデービル

 「ありがとう」の方言には、青森の「アリガドーゴシ」、岩手の「アリガドガンス」、宮城、福島などの「アリガドー」(「ありがとう」が濁音化したもの)、秋田の「カンボ」、山形の「アリガドサマ」、埼玉の「アリガトナ」、新潟の「ヨシクイタ」、富山、福井の「キノドクナ」、石川の「アンヤトー」、山梨の「アリガトーゴイス」、岐阜の「ヨーシテクンサッタナー」、静岡の「ワリーッケネー」、愛知、三重などの「オーキニ」、島根、愛媛などの「ダンダン」、岡山の「ゴネンニイリマシテ」、山口の「アリガトーアンシタ」、高知の「アリンガトー」、佐賀の「オーキニアイガトゴザンシタ」、熊本の「チョージョー」、鹿児島の「アリガトモシアゲモシタ」、沖縄那覇の「ニフェーレービル」、沖縄首里の「ニフェーデービル」があります。

 この「ありがとう」、「アリガドーゴシ」、「アリガドガンス」、「カンボ」、「アリガドサマ」、「アリガトナ」、「ヨシクイタ」、「キノドクナ」、「アンヤトー」、「アリガトーゴイス」、「ヨーシテクンサッタナー」、「ワリーッケネー」、「オーキニ」、「ダンダン」、「ゴネンニイリマシテ」、「アリガトーアンシタ」、「アリンガトー」、「オーキニアイガトゴザンシタ」、「チョージョー」、「アリガトモシアゲモシタ」、「ニフェーレービル」、「ニフェーデービル」は、

  「アリアリ(ン)ガ・タウ」、ARIARINGA-TAU(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応(に感謝する)」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トウ」となった。また「ト」が「ドー」となつた)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・(ン)ゴ・オチ」、ARIARINGA-TAU-NGO-OTI(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ngo=cry;oti=finished.gone or come for good)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・(感謝の)叫び声を・上げた」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となり、その語尾のO音と、「オチ」の語頭のO音が連結して「ゴチ」から「ゴーシ」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・(ン)ガ(ン)ガ・ツ」、ARIARINGA-TAU-NGANGA-TU(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;nganga=nga=satisfied,take breath;tu=stand,remain)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・満足・した」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドー」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」となり、「ツ」が「ス」となった)

  「カヌ・パウ」、KANU-PAU(kanu=ragged,distracted;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応(に感謝する)」(「カヌ」が「カン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・タ・マ」、ARIARINGA-TAU-TA-MA(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応が・ただ(邪心無く)・提供された(ことに感謝する)」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・ナ」、ARIARINGA-TAU-NA(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;na=satisfied,content)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・満足した」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「イ・オチ・クイ・タ」、I-OTI-KUI-TA(i=past tense;oti=finished.gone or come for good;kui=weak,cowardly,stunted;ta=dash,beat,lay)、「丁寧な対応を・受けて・(立ちすくんで)当惑して・いる(感謝する)」(「イ」のI音と「オチ」の語頭のO音が連結して「ヨチ」から「ヨシ」となった)

  「キ・ノホ・トク・ナ」、KI-NOHO-TOKU-NA(ki=full,very;noho=sit,stay,settle;toku=my;na=satisfied,content)、「たくさん・積み上がった・私の・満足(大変満足したことに感謝する)」(「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となった)

  「アナ・イア・タウ」、ANA-IA-TAU(ana=denoting continuance of action or state,denotes a temporary condition or a continuing action;ia=indeed;tau=alight,be suitable,be comely,be able)、「実に・行き届いた対応を・受けた(ことに感謝する)」(「アナ」が「アン」と、「イア」が「ヤ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」カラ「トー」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・(ン)ゴイ・ツ」、ARIARINGA-TAU-NGOI-TU(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ngoi=strength,energy,a method of dressing the hair;tu=stand,remain)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・満足した・精力的な世話を・受けた(ことに感謝する)」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トー」と、「(ン)ゴイ」のNG音がG音に変化して「ゴイ」となった)

  「イ・オチ・テ・クム・タタ・ナ」、I-OTI-TE-KUMU-TATA-NA(i=past tense;oti=finished.gone or come for good;te=used with verbs to make an emphatic statement;kumu=clench,carry in the hand;tata=near,suddenly;na=satisfy,content)、「まことに・行き届いた・対応で・親身な・満足を・受け取った(ことに感謝する)」(「イ・オチ」が「ヨチ」から「ヨシ」と、「クム」が「クン」と、「タタ」が「サッタ」となった)

  「ワリキ・ネイ」、WHARIKI-NEI(whariki=anything spread on the ground or on a floor,cover with mats;nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「わざわざ・敷物を敷いて(もてなして)くれた(ことに感謝する)」(「ワリキ」の語尾のI音がE音に変化して「ワリーッケ」となつた)

  「オホ・キニ」、OHO-KINI(oho=surprise,wake up,arise of feelings;kini=nip,pinch)、「(感謝の)気持ちが・(私を)締め付ける(心苦しい)」

  「タ(ン)ガタ(ン)ガ」、TANGATANGA(loose,easy,comfortable,free from pain)、「(お陰様で)大変快適だ(感謝する)」(NG音がN音に変化して「タナタナ」から「ダンダン」となった)

  「(ン)ガウ・ネネ・ヌイ・イリ・マチ・テ」、NGAU-NENE-NUI-IRI-MATI-TE(ngau=act upon,attack;nene=fat,jest(whakanene=cause a pleasant sensation,soothe);nui=many,large;iri=be elevated on something,rest upon;mati=surfeited;te=used with verbs to make an emphatic statement)、「たいへん・いい気分に・なつて・まことに・極楽を・満喫しているようだ(感謝する)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「ネネ」が「ネン」と、「ヌイ」が「ニ」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・アノ・チタ(ン)ガ」、ARIARINGA-TAU-ANO-TITANGA(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ano=still,again,quite,just,indeed;titanga=loose)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・満足した・全く・くつろいでいる」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」カラ「トー」と、「アノ」ガ「アン」と、「チタ(ン)ガ」のNGA音が脱落して「チタ」から「シタ」となった)

  「オホ・キニ・アイ・(ン)ガ・タウ・(ン)ガウ・タ(ン)ガ・チタ(ン)ガ」、OHO-KINI-AINGA-TAU-NGO-TANGA-TITANGA(oho=surprise,wake up,arise of feelings;kini=nip,pinch;ai=expressing the reason for which anything is done;nga=satisfy,content;tau=alight,be suitable,be comely,be able;ngau=act upon,attack;tanga=be assembled;titanga=loose)、「(感謝の)気持ちが・(私を)締め付ける(心苦しい)・十分な・満足・によって・くつろいだ気分が・伴って・来ている」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」、「ザン」と、「チタ(ン)ガ」のNGA音が脱落して「チタ」から「シタ」となった)

  「チオフ・チオフ」、TIOHU-TIOHU(tiohu=stoop)、「(恐縮して)身をかがめに・かがめる(へりくだって礼をする。感謝する)」(「チオフ」のH音が脱落して「チョウ・チョウ」から「チョージョー」となった)

  「アリアリ(ン)ガ・タウ・モチ・アケ・モチ・タ」、ARIARINGA-TAU-MOTI-AKE-MOTI-TA(ariaringa=vexed;tau=alight,be suitable,be comely,be able;moti=consumed,surfeited;ake=indicating immediate continuation in time;ta=dash,beat,lay)、「困惑する(ほどの)・行き届いた対応に・ずっと・十分満足し・今も・十分満足している」(「アリアリ(ン)ガ」の反復語頭の「アリ」が脱落し、NG音がG音に変化して「アリガ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」カラ「トー」と、「アノ」ガ「アン」と、「チタ(ン)ガ」のNGA音が脱落して「チタ」から「シタ」となった)

  「ヌイ・ヘレ・ピロイロイ」、NUI-HERE-PIROIROI(nui=many,large;here=conciliate,propitiate;piroiroi=entangled,distraction)、「たいへん・鄭重なおもてなし(を受けて)・困惑する(感謝する)」(「ヌイ」が「ニ」と、「ヘレ」が「フェーレー」と、「ピロイロイ」の反復語尾が脱落し、OI音がU音に変化して「ピル」から「ビル」となった)

  「ヌイ・ヘオチ・ピロイロイ」、NUI-HEOTI-PIROIROI(nui=many,large;heoti=heoi=denoting completeness or sufficiency of a statement or enumeration;piroiroi=entangled,distraction)、「たいへん・完璧なおもてなし(を受けて)・困惑する(感謝する)」(「ヌイ」が「ニ」と、「ヘオチ」のEO音がE音に、I音がE音に変化して「ヘテ」から「フェーデー」と、「ピロイロイ」の反復語尾が脱落し、OI音がU音に変化して「ピル」から「ビル」となった))

の転訛と解します。

010あわてる(慌てる)・アワクー・ウルダグ・ドマヅク・アパカパスル・キーモム・アワクッチャウ・セク・シェク・セケル・イチヤツク・チチギレル・アセル・オロタエル・モダユル・アワツル・セシカウ・セシコ・ッアワティーン・アワティーン・トチメンボーフル・ウロタユル

 「あわてる」の方言には、北海道、埼玉などの「アワクー」、青森、茨城などの「アワデル」(「あわてる」が濁音化したもの)、岩手、秋田の「ウルダグ」、宮城の「ドマヅク」、山形の「アパカパスル」、福島の「キーモム」、千葉の「アワクッチャウ」、石川、三重などの「セク」、福井の「シェク」、山梨の「セケル」、長野の「イチヤツク」、静岡、広島の「アワークー」(「アワクー」が長音化したもの)、島根の「チチギレル」、岡山、愛媛の「アセル」、福岡の「オロタエル」、熊本の「モダユル」、大分の「アワツル」、宮崎の「セシカウ」、鹿児島の「セシコ」、沖縄那覇の「ッアワティーン」、沖縄首里の「アワティーン」があります。

 上記のほか、岡山の「トチメンボーフル」、大分の「ウロタユル」などがあります。

 この「あわてる」、「アワクー」、「ウルダグ」、「ドマヅク」、「アパカパスル」、「キーモム」、「アワクッチャウ」、「セク」、「シェク」、「セケル」、「イチヤツク」、「チチギレル」、「アセル」、「オロタエル」、「モダユル」、「アワツル」、「セシカウ」、「セシコ」、「ッアワティーン」、「アワティーン」、「トチメンボーフル」、「ウロタユル」は、

  「アウア・テ・ル」、AUA-TE-RU(aua=far advanced,at a great height or depth;te=used with verbs to make an emphatic statement;ru=shake,agitate,quiver)、「全く・落ち着きをなくして事を急ごうと興奮の・極に達する(あわてる)」(「アウア」のUA音がWA音に変化して「アワ」となった)

  「アウア・アク」、AUA-AKU(aua=far advanced,at a great height or depth;aku=delay,take time over anything)、「事の遅れが・極に達した(ことに驚いて興奮する)」(「アウア」の語尾のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「アワク」から「アワクー」となつた)

  「ウル・タク」、URU-TAKU(uru=enter,associate oneself with(whakauru=asist,hurry);taku=slow)、「事を急ごうとするが・思うままにならないさま(あわてる)」(「タク」が濁音化して「ダグ」となった)

  「トマ・ツク」、TOMA-TUKU(toma=resting place for bones;tuku=let go,give up,leave)、「休息中を・叩き起こされた(急いで起きようとしてまごつくさま。あわてる)」(濁音化して「ドマヅク」となつた)

  「アパ・カパ・ツル」、APA-KAPA-TURU(apa=kapa=not as if,on the other hand;turu=last a short time)、「ああでもない・こうでもないと・短時間に急いで事を運ぼうとする(あわてる)」

  「キ・マウ・ム」、KI-MAU-MU(ki=full,very;mau=fixed,continuing,entangled;mu=murmur at,show discontent with,silent)、「たいへん・思うように行かずに・困惑する」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「アウア・アク・チ・アウ」、AUA-AKU-TI-AU(aua=far advanced,at a great height or depth;aku=delay,take time over anything;ti=throw,cast,overcome,squeak,tingle;au=firm,intense,certainly)、「事の遅れが・極に達する・という状態になって・しまう(ことに驚いて興奮する)」(「アウア」の語尾のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「アワク」と、「チ・アウ」が「チャウ」となり、促音化して「ッチャウ」となつた)

  「タイ・ク」、TAI-KU(tai=the sea,wave,rage,violence;ku=silent,wearied,exhausted)、「消耗するほどに・興奮して行動する(あわてる)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「チエ・ク」、TIE-KU(tie=abundance,plenty;ku=silent,wearied,exhausted)、「(興奮して行動したため)たいへん・疲れ果てる(あわてる)」(「チエ」が「シェ」となった)

  「タイ・ケ・ル」、TAI-KE-RU(tai=the sea,wave,rage,violence;ke=different,strange;ru=shake,agitate,quiver)、「異常に・落ち着きをなくして事を急ごうと興奮して・激情の赴くまま行動する(あわてる)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「イ・チ・アツ・ク」、I-TI-ATU-KU(i=past tense;ti=squeak,tingle;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;ku=silent,wearied,exhausted)、「興奮のあまりぞくぞく・して・疲れ果てて・しまう(あわてる)」(「チ・アツ」が「チャツ」となった)

  「チチ・(ン)ギア・レレ・ル」、TITI-NGIA-RERE-RU(titi=go astray;ngia=seem,appear to be;rere=flow,fly,be carried on the wind,run;ru=shake,agitate,quiver)、「興奮して・走る・ように・歩き廻る(あわてるさま)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落しでギ」と、「レレ」が短縮して「レ」となった)

  「ア・タイ・ル」、A-TAI-RU(a=the...of,drive,urge;tai=the sea,wave,rage,violence;ru=shake,agitate,quiver)、「落ち着きをなくして事を急ごうと興奮して・激情に駆られて・行動する(あわてる)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「オロタ・エ・ル」、OROTA-E-RU(orota=voracious,destructive,utterly consumed;e=to denote action in progress or temporary condition;ru=shake,agitate,quiver)、「前後の見境なしに徹底して・事を急ごうと興奮して・行動する」

  「マウ・タイ・ウル」、MAU-TAI-URU(mau=fixed,continuing,entangled;tai=the sea,wave,rage,violence;uru=enter,associate oneself with(whakauru=asist,hurry))、「困惑して・事を急ごうと・激情の赴くまま行動する」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「タイ」の語尾のI音と「ウル」の語頭のU音が連結して「タユル」から「ダユル」となった)

  「アウア・ツ・ル」、AUA-TU-RU(aua=far advanced,at a great height or depth;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,quiver)、「落ち着きをなくして事を急ごうと興奮の・極に・達する(あわてる)」(「アウア」のUA音がWA音に変化して「アワ」となった)

  「タイ・チカ・アウ」、TAI-TIKA-AU(tai=the sea,wave,rage,violence;tika=straight,just;au=firm,intense,certainly)、「全く・確かに・激情の赴くまま行動する」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「チカ」の語尾のA音と「アウ」の語頭のA音が連結して「チカウ」から「シカウ」となった なった))

  「タイ・チコ」、TAI-TIKO(tai=the sea,wave,rage,violence;tiko=stand out,protrude)、「ずば抜けて・激情の赴くまま行動する」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「チコ」が「シコ」となった))

  「ツ・アウア・チノ」、TU-AUA-TINO(tu=stand,settle;aua=far advanced,at a great height or depth;tino=essentiality,reary,exact)、「正に・(落ち着きをなくして事を急ごうと興奮の)極に・達した」(「アウア」のUA音がWA音に変化して「アワ」と、「チノ」が「ティーン」となった)

  「アウア・チノ」、AUA-TINI(aua=far advanced,at a great height or depth;tino=essentiality,reary,exact)、「正に・(落ち着きをなくして事を急ごうと興奮の)極に(ある)」(「アウア」のUA音がWA音に変化して「アワ」と、「チノ」が「ティーン」となった)

  「トチ・メネ・ポウ・フル」、TOTI-MENE-POU-HURU(toti=limp,halt;mene=be assembled,show wrinkles,contort the face;pou=pole,stick in,fasten to a stick,fix or render immovable by occult means;huru=contract,draw in)、「皺の寄った(年寄りの)・足の不自由な人が・急に動けなくなって・顔をしかめている(あわてる)」(「メネ」が「メン」と、「ポウ」が「ボー」となつた)

  「ウ・ロタロタ・イ・ウル」、U-ROTAROTA-I-URU(u=be firm,be fixed,reach its limit;rotarota=sign with the hands without speaking;i=past tense;uru=enter,associate oneself with(whakauru=asist,hurry))、「落ち着きをなくして事を急い・で・躍起になって・無言で手を振っているさま(あわてる)」(「ロタロタ」の反復語尾が脱落して「ロタ」と、「イ・ウル」が「ユル」となった)

の転訛と解します。

「イ」

011いきぐるしい(息苦しい)・エギグルスエ・セジネ・シェスセナェ・セズネ・ウイ・ムナグルシー・エレー・ツカエル・ズツナェー・エライ・イキドシー・シンドイ・ツマル・セツイ・セコイ・イキグルシカ・イキンツカレン・キツカ・ジュツナカ・セチ・イッグルシー・クチサン・イチヂラサン・ナンギ・テキナイ

 「いきぐるしい」の方言には、北海道、青森などの「イキグルシー」(「いきぐるしい」が変化したもの)、岩手の「イキグルシ」(「いきぐるしい」が変化したもの)、宮城の「エギグルスエ」、秋田の「セジネ」、山形の「シェスセナェ」、福島の「セズネ」、茨城の「エギグルシー」(「いきぐるしい」が変化したもの)、栃木の「ムネガクルシー」(現代語と解します)、新潟の「エキグルシエ」(「エキグルスエ」が変化したもの)、富山の「ウイ」、石川、愛媛の「ムナグルシー」、福井の「エレー」、山梨、静岡などの「セツネー」(「セズネ」が変化したもの)、岐阜の「ムネガツカエル」(現代語の「ムネガ」を除き、「ツカエル」を解釈します)、愛知の「ズツナェー」、三重、兵庫などの「ズツナイ」(「ズツナエー」と同語源)、滋賀の「エライ」、京都の「イキドシー」、大阪、奈良の「シンドイ」、鳥取の「ムネガツマル」(現代語と解します)、島根の「セツイ」、徳島の「セコイ」、香川の「イキガエライ」(現代語と解します)、高知の「イキンガクルシー」(現代語と解します)、福岡の「イキグルシカ」、佐賀の「イキンツカレン」、長崎の「キツカ」、熊本の「ジュツナカ」、宮崎の「セチ」、鹿児島の「イッグルシー」、沖縄那覇の「クチサン」、沖縄首里の「イチヂラサン」があります。

 上記のほか、新潟の「ナンギ」、富山の「テキナイ」があります。

 この「いきぐるしい」、「エギグルスエ」、「セジネ」、「シェスセナェ」、「セズネ」、「ウイ」、「ムナグルシー」、「エレー」、「ツカエル」、「ズツナェー」、「エライ」、「イキドシー」、「シンドイ」、「ツマル」、「セツイ」、「セコイ」、「イキグルシカ」、「イキンツカレン」、「キツカ」、「ジュツナカ」、「セチ」、「イッグルシー」、「クチサン」、「イチヂラサン」、「ナンギ」、「テキナイ」は、

  「イキ・クル・ツヒ」、IKI-KURU-TUHI((Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultry,stuffy;kuru=strike with the fist,pound,pelt;tuhi=conjure)、「魔法にかかったように・(胸が)圧迫されて・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「クル」が濁音化して「グル」と、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「スイ」、「シイ」、「シー」、「シ」となった)

  「イキ・クル・ツヒ・エ」、IKI-KURU-TIHI((Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultrystuffy;kuru=strike with the fist,pound,pelt;tuhi=conjure;e=to give emphasis)、「ほんとに・魔法にかかったように・(胸が)圧迫されて・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「イキ」のI音がE音に変化して「エキ」と、「クル」が濁音化して「グル」と、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「ツ」、「ス」、「スイ」、「シイ」、「シ」となつた)

  「テ(ン)ガ・チネイ」、TENGA-TINEI(tenga=Adam's apple,goitre;tinei=put out,quench)、「喉が・(締め付けられる)苦しい(息苦しい)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」と、「チネイ」が「ジネ」となつた)

  「チエ・ツテ・ナエ」、TIE-TUTE-NAE(tie=abundance,plenty;tute=shove,push,nudge;nae=crop of a bird(naenae=failing of breath);ngae=wheeze)、「(胸が)すごく・圧迫されて・息ができない(息苦しい)」(「チエ」が「シェ」と、「ツテ」が「スセ」となった)

  「テ(ン)ガ・ツ(ン)ゲヘ」、TENGA-TUNGEHE(tenga=Adam's apple,goitre;tungehe=quail,be alarmed)、「喉が・(おじける)衰弱する(息苦しい)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」と、「ツ(ン)ゲヘ」のNG音がN音に変化し、H音が脱落して「ツネ」から「ヅネ」、「ツネー」となつた)

  「ウイ」、WI(wiwi=flinch,make a rippling sound)、「(喉がひるむ)衰弱する(息苦しい)」

  「ムナ・クル・ツヒ」、MUNA-KURU-TUHI(muna=tell or speak privately,chat,secret,beloved;kuru=strike with the fist,pound,pelt;tuhi=conjure)、「魔法にかかったように・(秘密を納めて置く場所)胸が・圧迫された(窒息するように苦しい。息苦しい)」(「クル」が濁音化して「グル」と、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「スイ」、「シイ」、「シー」、「シ」となった)

  「エ・レヘ」、E-REHE(e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;rehe=wrinkled,wizend,stunted,puny)、「(息が)ほんとに・衰弱している(息苦しい)」(「レヘ」のH音が脱落して「レー」となった)

  「ツ・カヘ・ル」、TU-KAHE-RU(tu=stand,settle,fight with,energetic;kahe,kahekahe=pant;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・荒い息を・する(息苦しい)」(「カヘ」のH音が脱落して「カエ」となった)

  「ツツ・ナエ」、TUTU-NAE(tutu=move with vigour,violent,vigorous;nae=crop of a bird(naenae=failing of breath))、「烈しく・息が苦しい」(「ツツ」が「ズツ」となつた)

  「エ・ライ」、E-RAI(e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;rai=ribbed,furrowed)、「(息が)ほんとに・脈を打っている(強くなったり弱くなったりしている。息苦しい)」

  「イキ・トチ」、IKI-TOTI((Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultry,stuffy;toti=limp,halt)、「(喉)息が・(びっこを引くように)たどたどしい」(「トチ」が「トシ」から「ドシー」となった)

  「チニ・トイ」、TINA-TOI(tini=very many,caulk;toi=tingle,be galled,be irritated)、「(息が)ひどく・苦しい」(「チニ」が「シニ」から「シン」と、「トイ」が「ドイ」となった)

  「ツ・マハ・ル」、TU-MAHA-RU(tu=stand,settle,fight with,energetic;maha=gratified,depressed,resigned;ru=shake,agitate,scatter)、「強く・(押し下げられて)圧迫されて・震える(息苦しい)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「テ(ン)ガ・ツイ」、TENGA-TUI(tenga=Adam's apple,goitre;tui=pierce,sew,hurt)、「喉が・刺されるように苦しい(息苦しい)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」となった)

  「テ(ン)ガ・コイ」、TENGA-KOI(tenga=Adam's apple,goitre;koi=sharp(koikoi=prickly))、「喉が・刺されるように苦しい(息苦しい)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」となった)

  「イキ・クル・チカ」、IKI-KURU-TIKA((Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultry,stuffy;kuru=strike with the fist,pound,pelt;tika=straight,just)、「ほんとに・(胸が)圧迫されて・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「クル」が濁音化して「グル」と、「チカ」が「シカ」となった)

  「イキ(ン)ガ・ツカハ・レ(ン)ガ」、IKINGA-TUKAHA-RENGA(ikinga=noun of "iki",(Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultry,stuffy;tukaha=strenuous,vigorous;renga=scattered about,discoloured)、「元気が・なくなって・(息が)窒息するように苦しい(息苦しい)」(「イキ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「イキナ」から「イキン」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」と、「レ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「レナ」から「レン」となった)

  「キヒ・ツカハ」、KIHI-TUKAHA(kihi=cut off,destroy compleyely;tukaha=strenuous,vigorous)、「烈しくて・殺されそうに苦しい」(「キヒ・ツカハ」のH音が脱落して「キ・ツカ」となった)

  「チ・ウツ・ナカ」、TI-UTU-NAKA(ti=throw,cast,overcome;utu=dip up water,dip into for the purpose og filling;naka=move in a certain direction)、「水中に・沈められた・ような(息苦しい)」(「チ・ウツ」が「チュツ」から「ジュツ」となった)

  「テ(ン)ガ・チ」、TENGA-TI(tenga=Adam's apple,goitre;ti=throw,cast,overcome)、「喉が・圧迫された(締め付けられた。息苦しい)」(「テ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」から「セ」となつた)

  「イキ・クル・ツヒ」、IKI-KURU-TUHI((Hawaii)ikiiki=to be weary,stifling,sultry,stuffy;kuru=strike with the fist,pound,pelt;tuhi=conjure)、「魔法にかかったように・(胸が)圧迫されて・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「イキ」と「クル」が連結して「イックル」となり、濁音化して「イッグル」と、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「スイ」、「シイ」、「シー」となった)

  「クチ・タネア」、KUTI-TANEA(kuti=draw tightly together,contract,pinch;tanea=be choked)、「(胸が)圧迫されて・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「タネア」の語尾のA音が脱落して「タネ」から「タン」、「サン」となった)

  「イチ・チラハ・タネア」、ITI-TIRAHA-TANEA(iti=small,for little while;tiraha=bundle,slow,exposed;tanea=be choked)、「少しづつ・じわじわと・窒息するように苦しい(息苦しい)」(「チラハ」のH音が脱落して「チラ」から「ヂラ」と、「タネア」の語尾のA音が脱落して「タネ」から「タン」、「サン」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・ア(ン)ギ」、NGANGA-ANGI(nganga=breathe heavily or difficulty;angi=move freely,float,something cnnected with the descent to the subterranean spirit eorld)、「何かに呪われているように・息が苦しい」(「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナナ」となり、その語尾のA音と「ア(ン)ギ」の語頭のA音が連結し、そのNG音がG音に変化して「ナナギ」から「ナンギ」となった)

  「テ(ン)ガ・キヒ・ナイ」、TENGA-KIHI-NAI(tenga=Adam's apple,goitre;kihi=cut off,destroy compleyely;nai=nei=to denote proximityto,to indicate cintinuance of action)、「喉が・ずっと・殺されそうに苦しい」(テ(ン)ガの名詞形語尾のNGA音が脱落して「テ」と、「キヒ」のH音が脱落して「キ」となった)

の転訛と解します。

012いくら(幾ら)・ナンボ・ドンケー・ドンダケ・ドシコ・チャッサ

 「いくら」の方言には、北海道、青森などの「ナンボ」、茨城の「エグラ」(「イクラ」が変化したもの)、栃木の「イグラ」(「イクラ」が変化したもの)、千葉の「ドンケー」、新潟の「エクラ」(「イクラ」が変化したもの)、富山、福井の「ドンダケ」、滋賀の「ドンナケ」(「ドンケー」が変化したもの)、熊本、鹿児島の「ドシコ」、宮崎の「ナンブ」、沖縄那覇・首里の「チャッサ」があります。

 上記のほか、石川は「イクラ」(値段)と「ドンダケ」(数量・程度)を区別します。

 この「いくら」、「ナンボ」、「ドンケー」、「ドンダケ」、「ドシコ」、「チャッサ」は、

  「イ・クラ」、 I-KURA(i=in comparison with,for want of;kura=precious,red feathers,treasure)、「どれだけの・財産(と比較して同等か?どれだけの財産と交換できるか?)」

  「ナム・パウ」、NAMU-PAU((Hawaii)namu=unintelligible muttering,gibberish;pau=a long pendant of greenstone for the ear;(Hawaii)pau=bunch of red feathers)、「(訳が分からない)評価が分からない・財産(どれだけの財産と交換できるか?)」(「ナム」が「ナン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ボ」から「ボ」となった)

  「ト・ナ・アケ」、TO-NA-AKE(to=drag;na=satisfied,content;ake=intensifying the force,from below,upwards)、「(どれだけの財産)より以上(ならば)・満足(して交換)・するのか?」(「ト」が「ド」と、「ナ」のA音と「アケ」の語頭のA音が連結して「ナケ」から「ンケー」となった。また「ドナケ」から「ドンナケ」となった)

  「ト・(ン)ガタ・アケ」、TO-NGATA-AKE(to=drag;ngata=satisfied,appeased;ake=intensifying the force,from below,upwards)、「(どれだけの財産)より以上(ならば)・満足(して交換)・するのか?」(「ト」が「ド」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」となり、その語尾のA音と「アケ」の語頭のA音が連結して「ナタケ」から「ンダケ」となった)

  「タウ・チコ」、TAU-TIKO(tau=be suitable,be comely,be able;tiko=stand out,protrude)、「(どれだけの財産を)積み上げれば・良いのか?」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「チコ」が「シコ」となった)

  「ナム・プ」、NAMU-PU((Hawaii)namu=unintelligible muttering,gibberish;pu=bunch,bundle,stack)、「(訳が分からない)評価が分からない・品物(どれだけの品物と交換できるか?)」(「ナム」が「ナン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「チ・アタ」、TI-ATA(ti=throw,cast;ata=gently,clearly,deliberately,quite)、「(どれだけ)積み上げれば・(対価として)適当か?」(「チアタ」から「チャッサ」となった)

の転訛と解します。

013いじめる(苛める)・カモウ・イジメニシル・オコンジョスル・エタメル・ヤンチャシル・イジクサル・イタメル・シゴスル・イビル・コナス・イジムッ・イジムル・ヒチキーン・イジミーン・モダク・ヤシャメル・セメル・コラス

 「いじめる」の方言には、青森、高知の「インジメル」(「いじめる」と同語源)、宮城の「インズメル」(「いじめる」と同語源)、秋田、山口の「カモウ」、山形の「エズメル」(「いじめる」が変化したもの)、福島の「イジメニシル」、茨城、新潟の「エジメル」(「いじめる」が変化したもの)、群馬の「オコンジョスル」、石川の「エタメル」、福井の「ヤンチャシル」、山梨の「カマウ」(「カモウ」と同語源)、三重の「イジクサル」、鳥取の「イタメル」、島根の「シゴスル」、岡山の「シゴースル」(「シゴスル)が変化したもの、広島の「イビル」、福岡、佐賀などの「コナス」、長崎の「イジムッ」、大分の「イジムル」、沖縄那覇の「ヒチキーン」、沖縄首里の「イジミーン」があります。

 上記のほか、北海道の「モダク」、秋田の「ヤシャメル」、山形の「セメル」、福岡の「コラス」などがあります。

 この「いじめる」、「カモウ」、「イジメニシル」、「オコンジョスル」、「エタメル」、「ヤンチャシル」、「イジクサル」、「イタメル」、「シゴスル」、「イビル」、「コナス」、「イジムッ」、「イジムル」、「ヒチキーン」、「イジミーン」、「モダク」、「ヤシャメル」、「セメル」、「コラス」は、

  「イナチ・メ・ル」、INATI-ME-RU(inati=extraordinary,trouble,bane,disaster;me=if,as if;ru=shake,agitate,scatter)、「(人の)心を乱す・ように・傷つける(苛める)」(「イナチ」が短縮化して「イチ」から「イジ」となった。また、「イナチ」が「インチ」から「インジ」、「インズ」となり、語頭のI音がE音に変化して「エンチ」から「エンジ」、「エジ」となった)

  「カ・モウ」、KA-MOU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;mou=mau=fixed,caught,entangled,expressing feelings of horror or administration)、「(人に)襲いかかって・惑わせる(苛める)」

  「イナチ・メ・ニチ・ル」、INATI-ME-NITI-RU(inati=extraordinary,trouble,bane,disaster;me=if,as if;niti=toy dart;ru=shake,agitate,scatter)、「戯れにダーツ(おもちゃの投げ矢)を投げて・(人の)心を乱す・かの如く・傷つける(苛める)」(「イナチ」が短縮化して「イチ」から「イジ」と、「ニチ」が「ニシ」となった)

  「オ・コナ・チオホ・ツ・ル」、O-KONA-TIOHO-TU-RU(o=the...of;kona-that circumstance;tioho=apprehensive;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「躍起になって・(人の)心を乱す(苛める)・かと懸念される・状況の・下にある」(「コナ」が「コン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョ」から「ジョ」となった)

  「エ・タ・メ・ル」、E-TA-ME-RU(e=to denote action in progress or temporary condition;ta=dash,beat,lay;me=if,as if;ru=shake,agitate,scatter)、「(人の)心を乱す・かのように・傷をつけ・る(苛める)」

  「イア・ナチ・アチ・ル」、IA-NATI-ATI-RU(ia=indeed;nati=pinch or contract;ati=offspring,descendant;ru=shake,agitate,scatter)、「実に・小さな・子供のように・(人を)当惑させる(苛める)」(「イア」のA音と「ナチ」の語頭のA音が連結して「ヤナチ」から「ヤンチ」と、さらにその語尾のI音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ヤンチャチ」から「ヤンチャシ」となった)

  「イナチ・ク・タル」、INATI-KU-TARU(inati=extraordinary,trouble,bane,disaster;ku=silent;taru=shake,overcome,painful)、「静かに・(人の)心を乱すように・傷つける(苛める)」(「イナチ」が短縮化して「イチ」から「イジ」となつた)

  「イ・タ・メ・ル」、E-TA-ME-RU(i=past tense,from,beside,at,upon;ta=dash,beat,lay;me=if,as if;ru=shake,agitate,scatter)、「(人に)向かって・心を乱す・かのように・傷つける(苛める)」

  「チ(ン)ゴ・ツ・ル」、TINGO-TU-RU(tingo,tingotingo=cause to shrink,shrivel;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「躍起になって・(人の)心を乱して・元気を奪う(苛める)」(「チ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「チゴ」から「シゴ」、「シゴー」となった)

  「イ・ピ・ル」、I-PI-RU(i=past tense,from,beside,at,upon;pi=slight,take no notice of;ru=shake,agitate,scatter)、「(人に)向かって・心を乱すように・無視する(苛める)」

  「コ・ナツ」、KO-NATU(ko=to give emphasis;natu=scratch,mix,tear out,be vexed)、「(人の心を乱して)苛々させる(苛める)」

  「イ・チム・ツ」、I-TIMU-TU(i=past tense,from,beside,at,upon;timu=ebb,ebbing;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「躍起になって・(人の心を)萎えさせるように・し向ける(苛める)」(「チム」が「ジム」となった)

  「イ・チム・ル」、I-TIMU-RU(i=past tense,from,beside,at,upon;timu=ebb,ebbing;ru=shake,agitate,scatter)、「躍起になって・(人の)心を乱して・萎えさせる(苛める)」(「チム」が「ジム」となった)

  「ヒ・チ・キノ」、HI-TI-KINO(hi=raise,rise(whakahi=jeer,sneer);ti=throw,cast,overcome;kino=evil,bad,badly behaved,dislike)、「(人を)あざけり・倒して・嫌な気分にさせる(苛める)」(「キノ」が「キーン」となつた)

  「イ・チ・ミナ」、I-TI-MINA(i=past tense,from,beside,at,upon;ti=throw,cast,overcome;mina,minamina=desire,affected by(minamina auahi=discoloured by,smoke))、「(人を)とことん・(顔色が変わるまで)追いつめ・る(苛める)」(「ミナ」が「ミーン」となつた)

  「マウ・タク」、MAU-TAKU(mau=fixed,caught,entabgled,overtaken,expressing feelings of horror or administration;taku=slow)、「徐々に・(人を)当惑させる(苛める)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「イア・チア・メ・ル」、IA-TIA-ME-RU(ia=indeed;tia=catch and kill vermin;me=if,as if;ru=shake,agitate,scatter)、「実に・虫を捕まえて潰す・ように・(人の心を)傷つける(苛める)」(「イア」が「ヤ」と、「チア」が「シャ」となった)

  「テ・メ・ル」、TE-ME-RU(te=not;me=if,as if;ru=shake,agitate,scatter)、「(人を)すべて否認する・かのような(言動で)・傷つける(苛める)」(「テ」が「セ」となった)

  「コ・ラ・ツ」、KO-RA-TU(ko=to give emphasis;ra=roar;tu=fight with,energetic)、「(人を)頭から・怒鳴り・上げる(苛める)」(「ツ」が「ス」となった)

の転訛と解します。

014いたずら(悪戯)・インダズラ・ワッシャ・ワッチラ・エダズラ・ワスラ・ワルサ・ワエサ・ヤンチャ・ワヤク・テンゴ・ワルソー・ヤンチャイ・ワリコト・ショーワル・ワリコツ・ガンマリ・ワチャク・シゴ・イケズ・ワヤクースル

 「いたずら」の方言には、青森の「インダズラ」、宮城の「ワッシャ」、秋田の「ワッチラ」、山形の「エダズラ」、福島、茨城の「ワスラ」、埼玉、石川などの「ワルサ」、新潟の「ワエサ」、福井、奈良の「ヤンチャ」、愛知、三重などの「ワヤク」、大阪、香川の「テンゴ」、徳島、福岡の「ワルソー」、愛媛の「ヤンチャイ」、高知の「ワリコト」、大分の「ショーワル」、宮崎の「ワリコツ」、沖縄那覇の「ガンマリ」、沖縄首里の「ワチャク」があります。

 上記のほか、島根の「シゴ」(直接手を下す)と「イケズ」(子供の悪戯)、大分の「ワヤクースル」があります。

 この「いたずら」、「インダズラ」、「ワッシャ」、「ワッチラ」、「エダズラ」、「ワスラ」、「ワルサ」、「ワエサ」、「ヤンチャ」、「ワヤク」、「テンゴ」、「ワルソー」、「ヤンチャイ」、「ワリコト」、「ショーワル」、「ワリコツ」、「ガンマリ」、「ワチャク」、「シゴ」、「イケズ」、「ワヤクースル」」は、

  「イタ・ツラ」、ITA-TURA(ita=tight,fast;tura,turatura=molest,spiteful)、「ちょっとした・(人を)悩ませる仕業(悪戯)」(「ツラ」が「ズラ」となつた)

  「イナ・タ・ツラ」、INA-TA-TURA(ina=adducing a fact as proof of anything(for,as,etc.),to emphasis statement as to quality;ta=dash,beat,lay;tura,turatura=molest,spiteful)、「(たいした悪意なしに)ちょっと・仕掛けた・(人を)悩ませる仕業(悪戯)」(「イナ」が「イン」ととなった)

  「ワ・チ・イア」、WA-TI-IA(wa,whakawa=accuse,condemn;ti=throw,cast;ia=indeed)、「実に・非難・される仕業(悪戯)」(「ワ・チ・イア」が「ワチヤ」から「ワッシャ」となった)

  「ワ・チラ」、WA-TI-RA(wa,whakawa=accuse,condemn;tira=file of men,row)、「人々が・非難する仕業(悪戯)」(「ワ・チラ」が「ワッチラ」となった)

  「エ・タ・ツラ」、E-TA-TURA(e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;ta=dash,beat,lay;tura,turatura=molest,spiteful)、「(一時的に)何の気なしに・仕掛けた・(人を)悩ませる仕業(悪戯)」(「イナ」が「イン」ととなった)

  「ワ・ツラ」、WA-TURA(wa,whakawa=accuse,condemn;tura,turatura=molest,spiteful)、「(人々が)非難する・(人を)悩ませる仕業(悪戯)」(「ツラ」が「スラ」となった)

  「ワ・ルタ」、WA-RUTA(wa,whakawa=accuse,condemn;ruta=rage,bluster)、「(人々が)非難する・蛮行(悪戯)」(「ルタ」が「ルサ」となった)

  「ワ・エ・タ」、WA-E-TA(wa,whakawa=accuse,condemn;e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;ta=dash,beat,lay)、「たまたま・仕掛けられた・(人々が)非難する仕業(悪戯)」(「タ」が「サ」となった)

  「イア・ナチア」、IA-NATIA(ia=indeed;natia=verbal noun of nati=pinch or contract)、「実に・(小さな)子供のような仕業(悪戯)」(「イア」のA音と「ナチア」の語頭のA音が連結して「ヤナチャ」から「ヤンチャ」となった)

  「ワ・イア・ク」、WA-IA-KU(wa,whakawa=accuse,condemn;ia=indeed;ku=silent,a game,play)、「実に・遊びで仕掛けられた・(人々が)非難する仕業(悪戯)」(「イア」が「ヤ」となった)

  「テネ・(ン)ガウ」、TENE-NGAU(tene=invented,impromptu;ngau=bite,hurt,act upon,attack)、「(たまたま)思いつきで・仕掛けた仕業(悪戯)」(「テナ」が「テン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった」)

  「ワ・ルタ・アウ」、WA-RUTA-AU(wa,whakawa=accuse,condemn;ruta=rage,bluster;au=firm,intense)、「(人々が)非難する・ちょっとした・蛮行(悪戯)」(「ルタ」の語尾のA音が「アウ」の語頭のA音と連結し、AU音がO音に変化して「ルト」から「ルソー」となった)

  「イア・ナチ・アイ」、IA-NATI-AI(ia=indeed;nati=pinch or contract;ai=not generally to be translated by any equivalent English word,expressing the reason for which anything is done or the object in view in doing it etc.)、「実に・ほんの・(小さな)子供のような仕業(悪戯)」(「イア」のA音と「ナチ」の語尾のA音が連結し、さらにその語尾のI音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ヤナチャイ」から「ヤンチャイ」となった)

  「ワ・アリ・コト」、WA-ARI-KOTO(wa,whakawa=accuse,condemn;ari=clear,appearance,excuse;koto=loathing,averse)、「(人々から)嫌がられる・大目に見て欲しいといわれる・悪行(悪戯)」(「ワ」のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ワリ」となつた)

  「チオホ・ワ・ル」、TIOHO-WA-RU(tioho=apprehensive;wa,whakawa=accuse,condemn;ru=shake,agitate,scatter)、「(見過ごすとそれに対する)非難が・いよいよ増す・ことが心配される仕業(悪戯)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショー」となった)

  「ワ・アリ・コツア」、WA-ARI-KOTUA(wa,whakawa=accuse,condemn;ari=clear,appearance,excuse;kotua=with the back towards one)、「(人が)背を向ける・大目に見て欲しいといわれる・悪行(悪戯)」(「ワ」のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ワリ」と、「コツア」の語尾のA音が脱落して「コツ」となつた)

  「(ン)ガナ・マリ」、NGANA-MARI(ngana=be eagerly intent,rage,wrath;mari=fortunate or lucky of good omen)、「幸運の(許してもらえそうな)予感がする・激怒(を引き起こす仕業。悪戯)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)

  「ワ・チ・アク」、WA-TI-AKU(wa,whakawa=accuse,condemn;ti=throw,cast,overcome;aku=delay,scrape,cleanse)、「(後で)綺麗に(なかったものと)・される・非難を受ける仕業(悪戯)」(「チ」のI音と「アク」の語頭のA音が連結して「チヤク」となつた)

  「チ(ン)ゴ(ン)ゴ」、TINGONGO(cause to shrink,shrivelshrivelled)、「(後になって過ちに気付いて)小さくなる仕業(悪戯)」(反復語尾の「(ン)ゴ」が脱落し、NG音がG音に変化して「チゴ」から「シゴ」となった)

  「イ・ケ・ツ」、I-KE-TU(i=past tense,from,beside,at,upon;ke=different,strange;tu=fight with,energetic)、「(思慮の足りない)変わったことを・躍起になって・した仕業(悪戯)」

  「ワ・イア・アク・ツ・ル」、WA-IA-AKU-TU-RU(wa,whakawa=accuse,condemn;ia=indeed;aku=delay,scrape,cleanse;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「躍起になって・(人の)心を乱し・実に・(後で)綺麗に(なかったものと)される・非難を受ける仕業(悪戯)」(「イア」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「ヤク」から「ヤクー」となつた)

の転訛と解します。

015いなご(稲子・蝗)・バッタ・トランボ・ハッタギ・ナゴ・ハネコ・エナゴ・イナンド・ガタギ・ギス・ハタットー・ジット・ギメ・ッンナグラージェー・カマジェー

 「いなご」の方言には、北海道、富山などの「バッタ」、青森の「トランボ」、岩手、宮城などの「ハッタギ」、山形、福島の「ナゴ」、茨城、千葉の「ハネコ」、栃木の「ハネッコ」(「ハネコ」が変化したもの)、新潟、石川の「エナゴ」、静岡の「イナンド」、三重の「ガタギ」、和歌山、島根の「イナンゴ」(「イナゴ」が変化したもの)、鳥取の「ギス」、高知の「ハタットー」、佐賀の「ジット」、熊本の「ギメ」、沖縄那覇の「ッンナグラージェー」、沖縄首里の「カマジェー」があります。  

 この「いなご」、「バッタ」、「トランボ」、「ハッタギ」、「ナゴ」、「ハネコ」、「エナゴ」、「イナンド」、「ガタギ」、「ギス」、「ハタットー」、「ジット」、「ギメ」、「ッンナグラージェー」、「カマジェー」は、

  「イナ・(ン)ガウ」、INA-NGAU(ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis statement as to quality;ngau=bite,hurt,attack)、「(稲を)食い・荒らす(虫。蝗)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に変化し、AU音がO音に変化して「ゴ」となった。またはAU音がO音に変化して「ンゴ」となった)

  「パハ・タ」、PAHA-TA(paha=arrive suddenly,attack;ta=dash,beat,lay)、「急に発生して・(稲を)食い荒らす(虫。蝗)」(「パハ」のH音が脱落して「パ」となり、「パタ」から「バッタ」となった)または「パタ」、PATA(drop of water etc,fall in drops)、「(水滴が落ちて跳ね散るように)跳ねて飛ぶ(虫。蝗)」(「パタ」が「バッタ」となった)

  「トラ・ナポ」、TORA-NAPO(tora=burn,be erect;napo=last night)、「(昨晩)一夜で・出現した(虫。蝗)」(「ナポ」が「ンボ」となった)

  「パハ・タ(ン)ギ」、PAHA-TANGI(paha=arrive suddenly,attack;tangi=sound,cry,weep)、「急に発生して・(稲を食害する)音を立てる(虫。蝗)」(「パハ」のP音がF音を経てH音に変化し、重複したH音が脱落して「ハ」から「ハッ」となり、「タ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「タギ」となつた)

  「ナ・(ン)ガウ」、NA-NGAU(na=by,belonging to;ngau=bite,hurt,attack)、「(稲を)食い荒らす・種類の(虫。蝗)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に変化し、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「ハ・ネイ・カウ」、HA-NEI-KO(ha=what!;nei,neinei=stretched forward,wagging,vacillating,bobbing up and down;kau=alone,bare,only,as soon as,to no purpose)、「なんと・ただ・跳ね廻る(虫。蝗)」(「ネイ」が「ネ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「エ・ナ・(ン)ガウ」、E-NA-NGAU(e=to give emphasis;na=by,belonging to;ngau=bite,hurt,attack)、「ほんとに・(稲を)食い荒らす・種類の(虫。蝗)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に変化し、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「イナ・(ン)ゴト」、INA-NGOTO(ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis statement as to quality;ngoto=be intense,penetrate,firmly)、「(稲に)びっしりと・たかる(虫。蝗)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」から「ンド」となった)

  「(ン)ガタ・(ン)ギア」、NGA-TANGI(ngata=snail,anything small;ngia=seem,appear to be)、「何やら・小さな(虫。蝗)」(「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」と、「ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となつた)

  「(ン)ギア・ツ」、NGIA-TU(ngia=seem,appear to be;tu=fight with,energetic)、「(いつも)精力的に跳ね廻る・ような(虫。蝗)」(「(ン)ギア」」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」と、「ツ」が「ス」となつた)

  「ハ・タタウ」、HA-TATAU(ha=what!;tatau=turn about,vacillate)、「何と・そこらを跳ね廻る(虫。蝗)」(「タタウ」のAU音がO音に変化して「タト」から「タットー」となった)

  「チヒ・タウ」、TIHI-TAU(tihi=summit,lie in a heap;tau=come to rest,settle down)、「(稲の上方)穂に止まって・休んでいる(虫。蝗)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」、「ジッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)

  「(ン)ギア・マイ」、NGIA-MAI(ngia=seem,appear to be;mai,maimai=a dance)、「まるで・踊っているように跳ね廻る(虫。蝗)」(「(ン)ギア」」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となつた)

  「ツ(ン)ガ・(ン)グ・ラハ・チエ」、TUNGA-NGU-RAHA-TIE(tunga=circumstance etc. of standing,foundation;ngu=greedy;raha=open,extended;tie=abundance,plenty)、「習性として・(稲を)貪食し・極めて・広範囲に広がる(虫。蝗)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツンナ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「ラハ」のH音が脱落して「ラー」と、「チエ」が「ジェー」となった)

  「カマ・チエ」、KAMA-TIE(kama=eager;tie=abundance,plenty)、「たいへん・活発な(飛び跳ねる虫。蝗)」(「チエ」が「ジェー」となった)

の転訛と解します。

「ウ」

016うそつき(嘘つき)・ウソシ・ホラフギ・チグツキ・チクラッペ・ソラッペ・チョコシンボ・ウソタレ・ウソツキタレ・トッパーケ・ウソチキ・ウソコキ・オゲッタ・ウソイー・スラゴツイ・ウッサゴトイー・スカタン・ユクサー・ソラゴドシ・テーホーカダリ・バシコギ

 「うそつき」の方言には、北海道、宮城などの「ウソコギ」(「ウソコキ」が濁音化したもの)、青森の「ウソシ」、岩手の「ホラフギ」、茨城の「チグツキ」、栃木の「チクラッペ」、群馬、埼玉の「ソラッペ」、千葉の「チョコシンボ」、神奈川の「ニマイジタ」(現代語と解します)、山梨、山口の「センミツ」(現代語と解します)、静岡の「ウソッツキ」(「ウソツキ」が変化したもの)、愛知の「ウソッコキ」(「ウソコキ」が促音化したもの)、三重、奈良の「ウソタレ」、兵庫の「ウソツキタレ」、鳥取の「トッパーケ」、島根の「ウソチキ」、広島、高知などの「ウソコキ」、徳島の「オゲッタ」、愛媛、大分の「ウソイー」、福岡の「スラゴツイ」、佐賀の「ウッサゴトイー」、熊本の「スカタン」、宮崎の「センイチ」(現代語と解します)、沖縄那覇・首里の「ユクサー」があります

 上記のほか、青森の「ソラゴドシ」、宮城の「テーホーカダリ」、秋田の「バシコギ」があります。

 この「うそつき」、「ウソシ」、「ホラフギ」、「チグツキ」、「チクラッペ」、「ソラッペ」、「チョコシンボ」、「ウソタレ」、「ウソツキタレ」、「トッパーケ」、「ウソチキ」、「ウソコキ」、「オゲッタ」、「ウソイー」、「スラゴツイ」、「ウッサゴトイー」、「スカタン」、「ユクサー」、「ソラゴドシ」、「テーホーカダリ」、「バシコギ」は、

  「ウ・タウ・ツ・キ」、U-TAU-TU-KI(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;tu=stand,remain,be turned up of the nose indicating disdain;ki=full,very)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言動で)・すごく・軽蔑される(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「ウ・タウ・チ」、U-TAU-TI(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;ti=throw,cast)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言葉を)・撒き散らす(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ホラ・フ・キ」、HORA-HU-KI(hora=scatter over a surface,spread out,go,flee(whakahora=headlong);hu=resound,hiss,be rumoured;ki=full,very)、「世に広く・大変な・悪評で知られた(人。嘘つき)」(「キ」が濁音化して「ギ」となった)

  「チ・(ン)グツ・キ」、TI-NGUTU-KI(ti=throw,cast;ngutu=lip,talk,gossip;ki=full,very)、「たくさん・噂話を・撒き散らす(人。うそつき)」(「(ン)グツ」のNG音がG音に変化して「グツ」となった)

  「チ・クラ・パエ」、TI-KURA-PAE(ti=throw,cast;kura=precious,treasure;pae=horizen,number,lie across,be thrown down)、「(貴重な)財産を・たくさん・撒き散らす(人。うそつき)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」となり、促音化して「ッペ」となった)

  「タウラ(ン)ギ・パエ」、TAURANGI-PAE(taurangi=unsettled,changing,changeable,incomplete;pae=horizen,number,lie across,be thrown down)、「(言うことが)しばしば・変わりやすい(人。うそつき)」(「タウラ(ン)ガ」のAU音がO音に変化し、語尾のNGI音が脱落して「トラ」から「ソラ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」となり、促音化して「ッペ」となった)

  「チオコ・チニ・パウ」、TIOKO-TINI-PAU(tioko=assemble;tini=very many;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive characterof any action)、「(人を)さんざんに・振り回して(消耗させる)・(うその)塊(のような人。嘘つき)」(「チオコ」が「チョコ」と、「チニ」が「チン」から「シン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「ウ・タウ・タレ」、U-TAU-TARE(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;tare=hang,send)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言葉を)・伝える(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「ウ・タウ・ツ・キ・タレ」、U-TAU-TU-KI-TARE(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;tu=stand,remain,be turned up of the nose indicating disdain;ki=full,very;tare=hang,send)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言動を)・伝えて・すごく・軽蔑される(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「トパ・ケ」、TOPA-KE(topa=fly,soar;ke=different,strange)、「奇妙な(不合理な)・(言葉を飛ばす)とりとめなく発する(人。嘘つき)」

  「ウ・タウ・チキ」、U-TAU-TIKI(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;tiki=fetch.proceed to do anything,go for a purpose)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言動を)・自信を持って行動する(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「ウ・タウ・コキ」、U-TAU-KOKI(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;koki=move ahead as a canoe)、「極端に・(奇妙な)不合理な(言動を)・先に立って行動する(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「オ(ン)ゲ・タ」、ONGE-TA(onge=scarce,rare;ta=dash,beat,lay)、「(信用が)殆ど欠けて・いる(人。嘘つき)」(「オ(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「オゲ」となり、促音化して「オゲッ」となった)

  「ウ・タウ・イ・イ」、U-TAU-I-I(u=be firm,be fixed,reach its limit;tau=strange;i=ferment,be stirred of the feelings)、「極端に・(奇妙な)不合理な・考えが次から次に湧いて・出てくる(人。嘘つき)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「ツラ・(ン)ゴ・ツイ」、TURA-NGO-TUI(tura,turatura=molest,spiteful;ngo=cry,grunt;tui=pierce,thread on a string,sew,hurt)、「泣き言を・並べて・(人を)悩ませる(人。嘘つき)」(「ツラ」が「スラ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「ウタ・(ン)ゴト・イ・イ」、UTA-NGOTO-I-I(uta=put persons or goods on board a canoe etc.;ngoto=head,be deep,penetrate,firmly;i=ferment,be stirred of the feelings)、「人を担ぐ(だます考えが)・頭の中に・湧いて・出てくる(人。嘘つき)」(「ウタ」が促音化して「ウッサ」と、「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」となった)

  「ツカハ・タ(ン)ガ」、TUKAHA-TANGA(tukaha=strenuous,vigorous,headstrong,hasty;tanga,tatanga=alert,ready,complaint)、「自分勝手な(言動に)・文句を言われる(人。嘘つき)」(「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「スカ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「イ・ウ・クタ」、I-U-KUTA(i=past tense;u=be fixed,be fixed,reach its limit;kuta=encumbrance,clog)、「もはや・究極の・邪魔者(嘘つき)」(「イ」と「ウ」が連結して「ユ」と、「クタ」が「クサー」となった)

  「トラ・(ン)ゴト・チ」、TORA-NGOTO-TI(tora=burn,be erect;ngoto=head,be intense of emotions,penetrate,make a clicking noise;ti=throw,cast)、「(気持ちが)高ぶって・強烈に・話をする(人。嘘つき)」(「トラ」が「ソラ」と、「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」と、「チ」が「シ」となった)

  「タイホウ・カ・タリ」、TAIHOU-KA-TARI(taihou=tauhou=strange,unacquainted,stranger;ka=screech;tari=carry,bring,urge)、「奇妙な(不合理な)・けたたましい声の・話をする(人。嘘つき)」(「タイホウ」のAI音がE音に変化して「テホウ」から「テーホー」と、「タリ」が濁音化して「ダリ」となった)

  「パチコ・キ」、PATIKO-KI(patiko=headlong,in haste;ki=say,speak,full)、「がむしゃらに・話をする(人。嘘つき)」(「パチコ」が「バシコ」と、「キ」が濁音化して「ギ」となった)

の転訛と解します。

017うらやましい(羨ましい)・コノマシ・ジャミル・ウラヤマスエ・コノマスエ・ケンナルエ・ケナリー・ケナルイ・アチコイ・ウレーマシー・ウラヤマシカ・ッウレーマサン・ウラマサン・ショノム

 「うらやましい」の方言には、北海道の「コノマシ」(「コノマシイ」が変化したもの)、青森、栃木などの「ウラヤマシー」(「うらやましい」が変化したもの)、岩手の「ジャミル」、宮城の「ウラヤマスエ」、秋田、島根の「ウラヤマシ」(「うらやましい」が変化したもの)、山形の「コノマスエ」、福島の「コノマシー」(「コノマシ」が変化したもの)、茨城の「ケンナルエ」、群馬、新潟などの「ケナリー」、埼玉、富山などの「ケナルイ」、千葉の「アチコイ」、山梨の「ウレーマシー」、福岡、佐賀などの「ウラヤマシカ」、沖縄那覇の「ッウレーマサン」、沖縄首里の「ウラマサン」があります。

 上記のほか、秋田の「ケナリ」(「ケナリー」と同語源)、鹿児島の「ショノム」があります。

 この「うらやましい」、「コノマシ」、「ジャミル」、「ウラヤマスエ」、「コノマスエ」、「ケンナルエ」、「ケナリー」、「ケナルイ」、「アチコイ」、「ウレーマシー」、「ウラヤマシカ」、「ッウレーマサン」、「ウラマサン」、「ショノム」は、

  「ウ・ライア・マチ・イ」、U-RAIA-MATI-I(u=be fixed,be fixed,reach its limit;raia=to give emphasis;mati=surfeited;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)嫌という・ほど・(飽食する)満足感を・味わいたい気持ちが湧く(感情。羨ましい)」(「ライア」が「ラヤ」と、「マチ」が「マシ」となつた)

  「コナウ・マチ・イ」、KONAU-MATI-I(konau=yearn for,desire;mati=surfeited;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)(飽食する)満足感を・味わいたい・という気持ちが湧く(感情。羨ましい)」(「コナウ」のAU音がO音に変化して「コノ」と、「マチ」が「マシ」となり、語尾の「イ」が脱落して「コノマシ」となった。また、「コノマシ」が長音化して「コノマシー」となった)

  「チア・ミル」、TIA-MIRU(tia=squeek,make a sharp inarticulate sound,=etia=as it were,as if;miru,mirumiru=a kind of tit)、「(嬉々として)さえずる小鳥・のように(自分もなりたいという感情。羨ましい)」(「チア」が「シャ」から濁音化して「ジャ」となった)

  「ウ・ライア・マツ・エ」、U-RAIA-MATU-E(u=be fixed,be fixed,reach its limit;raia=to give emphasis;matu=fat,richness of food;e=if,to give emphasis)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)有り余る・ほどの・豊富な・食料(が欲しいという感情。羨ましい)」(「ライア」が「ラヤ」と、「マツ」が「マス」となつた)

  「コナウ・マツ・エ」、KONAU-MATU-E(konau=yearn for,desire;matu=fat,richness of food;e=if,to give emphasis)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)豊富な・食料が・欲しい(という感情。羨ましい)」(「ライア」が「ラヤ」と、「マツ」が「マス」となつた)

  「カイ(ン)ガ・(ン)ガルル・エ」、KAINGA-NGARURU-E(kainga=field of operation,scope of work;ngaruru=surfeited,abundant;e=if,to give emphasis)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)豊富な・食料の・ある生活(をしたいという感情。羨ましい)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「(ン)ガルル」のNG音がN音に変化し、反復語尾の「ル」音が脱落して「ナル」となった)

  「カイ・(ン)ガリ」、KAI-NGARI(kai=eat,food;ngari=greatness,power)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)豊富な・食料(が欲しいという感情。羨ましい)」(「カイ」のAI音がE音に「ケ」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化し「ナリ」から「ナリー」となった)

  「カイ・(ン)ガルル・イ」、KAI-NGARURU-I(kai=eat,food;ngaruru=surfeited,abundant;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)たらふく・食べたい・気持ちが湧く(感情。羨ましい)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「(ン)ガルル」のNG音がN音に変化し、反復語尾の「ル」音が脱落して「ナル」となった)

  「アチ・コイ」、ATI-KOI(ati=descendant,clan;koi=good,suitable)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)良い(豊かな生活のできる)・部類の人間(になりたいという感情。羨ましい)」

  「ウ・ライア・マチ・イ」、U-RAIA-MATI-I(u=be fixed,be fixed,reach its limit;raia=to give emphasis;mati=surfeited;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)嫌という・ほど・(飽食する)満足感を・味わいたい気持ちが湧く(感情。羨ましい)」(「ライア」のAI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「レ」から「レー」と、「マチ」が「マシ」となつた)

  「ウ・ライア・マチ・カ」、U-RAIA-MATI-KA(u=be fixed,be fixed,reach its limit;raia=to give emphasis;mati=surfeited;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)嫌という・ほど・(飽食する)満足感を・味わいたい(という感情。羨ましい)」(「ライア」が「ラヤ」と、「マチ」が「マシ」となつた)

  「ウ・ライア・マチ・イ」、TU-U-RAIA-MATANA(u=be fixed,be fixed,reach its limit;raia=to give emphasis;mati=surfeited;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(他人の幸福を見聞きして自分も)嫌という・ほど・(飽食する)満足感を・味わいたい気持ちが湧く(感情。羨ましい)」(「ライア」のAI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「レ」から「レー」と、「マチ」が「マシ」となつた)

  「ツレイ・マタナ」、TUREI-MATANA(turei,whatuturei=a cake made from the pulp of the hinau berry which was regarded as a great luxury;matana=desire)、「とんでもなく贅沢なケーキを・(食べたい)欲望(に駆られる感情。羨ましい)」(「ツレイ」が「ッレー」と、「マタナ」が「マサン」となった)

  「ウラ・マタナ」、URA-MATANA(ura=not;matana=desire)、「抱いてはならない・欲望(感情。羨ましい)」(「マタナ」が「マサン」となった)

  「チオホ・ナウ・ムフ」、TIOHO-NAU-MUHU(tioho=apprehensive;nau=come go;muhu=stupid,incorrect)、「とんでもない(抱いてはならない)考え(欲望、感情を)・もつに至ることを・懸念する(感情。羨ましい)」(「チオホ」のH音が脱落して「ショ」と、「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」と、「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

の転訛と解します。

018うるさい(煩い・五月蠅い)・ヤガマシー・サシネ・スンズネー・ウルサエ・ウッツァシ・ウッサエ・ソーゾーシー・ウルセァー・ジャカマシー・シロシー・シェカラシカ・セセカマシー・セカラシー・ヤゾロシ・カシマサン・シャーシカ

 「うるさい」の方言には、北海道の「ヤガマシー」(「ヤカマシイ」が変化したもの)、青森の「サシネ」、岩手、秋田の「ヤガマシ」(「ヤカマシイ」が変化したもの)、宮城の「スンズネー」、山形の「ウルサエ」、福島の「ウッツァシ」、茨城の「ウッサエ」、栃木、群馬などの「ウルセー」、千葉の「ウッセ」(「ウッサエ」が変化したもの)、神奈川の「ソーゾーシー」、新潟の「ウルセァー」、富山、石川などの「ヤカマシー」(「ヤカマシイ」が変化したもの)、大阪の「ジャカマシー」、島根、香川の「ヤカマシ」(「ヤカマシイ」が変化したもの)、山口の「シロシー」、福岡、佐賀の「シェカラシカ」、長崎、熊本の「セカラシカ」(「シェカラシカ」と同語源)、大分の「セセカマシー」、宮崎の「セカラシー」、鹿児島の「ヤゾロシ」、沖縄那覇・首里の「カシマサン」があります。

 上記のほか、福岡の「シャーシカ」があります。

 この「うるさい」、「ヤガマシー」、「サシネ」、「スンズネー」、「ウルサエ」、「ウッツァシ」、「ウッサエ」、「ソーゾーシー」、「ウルセァー」、「ジャカマシー」、「シロシー」、「シェカラシカ」、「セセカマシー」、「セカラシー」、「ヤゾロシ」、「カシマサン」、「シャーシカ」は、

  「ウルタ・イ」、URUTA-I(uruta=epidemic,spread as disease etc.;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak)、「(伝染病が蔓延するように)至る所で・(人々が)しゃべる(うるさい)」(「ウルタ・イ」が「ウルサイ」となつた。また、「ウルタ」の語尾のA音と「イ」のI音が連結したAI音がE音に変化して「ウルセ」となり、長音化して「ウルセー」となった)

  「イア・カマ・チ・イ」、IA-KAMA-TI-I(ia=indeed;kama=eager;ti=throw,cast;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak)、「実に・(人々が)熱狂的に・しゃべり・出す(うるさい)」(「イア」が「ヤ」と、「カマ」が濁音化して「ガマ」と、「チ・イ」が「シイ」から「シー」、「シ」となった)

  「タ・チネイ」、TA-TINEI(ta=dash,beat,overcome;tinei=put out,quench)、「(騒音に)圧倒されて・何もできなくなる(うるさい)」(「タ」が「サ」と、「チネイ」が「シネ」となつた)

  「ツ・ナツ・ネイ」、TU-NATU-NEI(tu=stand,be erect,fight with,energetic;natu=scratch,show ill feeling,be vexed,angry;nei=to indicate continuance of action)、「まきおこる(騒音に)・腹が立って・ならない(うるさい)」(「ツ」が「ス」と、「ナツ」が「ナス」から「ンス」、「ンズ」となった)

  「ウルタ・イ・エ」、URUTA-I-E(uruta=epidemic,spread as disease etc.;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak;e=togive emphasis)、「(伝染病が蔓延するように)至る所で・(人々が)声高に・しゃべる(うるさい)」(「ウルタ」が「ウルサ」と、「イ・エ」が「エ」となつた)

  「ウ・ツツ・アチ」、U-TUTU-ATI(u=be firm,be fixed,reach its limit;tutu=summon,assemble;ati=descendant,clan)、「極端に大きな・(人々を)呼び集める声に・似た(騒音。うるさい)」

  「ウ・ツツ・アエ」、U-TUTU-AE(u=be firm,be fixed,reach its limit;tutu=summon,assemble;ae=assenting to an affirmation or affirmative question)、「極端に大きな・(人々を)呼び集める声に・ほんとにそうだ(似た騒音。うるさい)」(「ウ・ツツ」が「ウッツ」となり、「アエ」と連結して「ウッツアエ」から「ウッサエ」となった。さらにその語尾のAE音がE音に変化して「ウッセ」となった)

  「トウトウ・チ・イ」、TOUTOU-TI-I(toutou,whakatoutou=strain used of a woman in childbirth;ti=throw,cast;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak)、「(女性のお産の時のように)力を振り絞って・大きな声を・出す(うるさい)」(「トウトウ」が「ソウソウ」から「ソーゾー」と、「チ」が「シ」となつた)

  「ウルタ・イ・イア」、URUTA-I-IA(uruta=epidemic,spread as disease etc.;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak;ia=indeed)、「実に・(伝染病が蔓延するように)至る所で・(人々が)しゃべる(うるさい)」(「ウルタ」が「ウルサ」と、「イ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「イア」となり、「ウルサ」と「イア」が連結して「ウルセア」から「ウルセァー」となった)

  「チア・カマ・チ・イ」、TIA-KAMA-TI-I(tia=squeek,make a sharp inarticulate sound;kama=eager;ti=throw,cast;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak)、「甲高い声で・(人々が)熱狂的に・しゃべり・出す(うるさい)」(「チア」が「シャ」から「ジャ」と、「チ・イ」が「シイ」から「シー」となった)

  「チ・ラウチプ」、TI-RAUTIPU(ti=throw,cast;rautipu=rautupu=a thunderstorm of a certain kind)、「雷が・落ちた(ような音がする。うるさい)」(「チ」が「シ」と、「ラウチプ」のAU音がO音に変化し、P音が脱落して「ロチ」から「ロシー」となった)

  「チエ・カラ(ン)ガ・チ・カ」、TIE-KARANGA-TI-KA(tie=abundance,plenty;karanga=call,summon,shout;ti=throw,cast:ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「無数の・(人を呼ぶ)叫び声が・溢れ・出る(うるさい)」(「チエ」が「シェ」または「セ」と、「カラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カラ」と、「チ」が「シ」となつた)

  「テテ・カマ・チ・イ」、TETE-KAMA-TI-I(tete=exert oneself,gnash the teeth(te=crack,squeak);kama=eager;ti=throw,cast;i=ferment,be stirred of the feelings;(Hawaii)i=to say,speak)、「(人々が)甲高い声で・熱狂的に・しゃべり・出す(うるさい)」(「テテ」が「セセ」となった)

  「チエ・カラ(ン)ガ・チ」、TIE-KARANGA-TI(tie=abundance,plenty;karanga=call,summon,shout;ti=throw,cast)、「無数の・(人を呼ぶ)叫び声が・溢れる(うるさい)」(「チエ」が「シェ」または「セ」と、「カラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カラ」と、「チ」が「シ」となつた)

  「イア・トロチ」、IA-TOROTI(ia=indeed;toroti=spurt out,exude)、「実に・爆発したような(音がする。うるさい)」(「イア」が「ヤ」と、「トロチ」が「ソロシ」から「ゾロシ」となった)

  「カチ・マタナ」、KATI-MATANA(kati=block up,prevent,shut;matana=desire)、「止めて・欲しい(騒音。うるさい)」(「カチ」が「カシ」と、「マタナ」が「マサン」となった)

  「チア・チ・カ」、TIA-TI-KA(tia=squeek,make a sharp inarticulate sound;ti=throw,cast:ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「甲高い声が・溢れ・出す(うるさい)」(「チア」が「シャ」から「シャー」と、「チ」が「シ」となつた)

の転訛と解します。

019うろこ(鱗)・コケ・コケラ・オロコ・ウルコ・イラ・ッイリチ・イリチ

 「うろこ」の方言には、青森、秋田の「ウロゴ」(「ウロコ」と同語源)、岩手の「コゲ」(「コケ」と同語源)、宮城、山形などの「コゲラ」(「コケラ」と同語源)、群馬、埼玉などの「コケラ」、長野の「コケ」、島根の「オロコ」、高知の「ウルコ」、大分の「イラ」、沖縄那覇の「ッイリチ」、沖縄首里の「イリチ」があります。

 この「うろこ」、「コケ」、「コケラ」、「オロコ」、「ウルコ」、「イラ」、「ッイリチ」、「イリチ」は、

  「ウ・ロコ」、U-ROKO(u=be firm,be fixed,reach its limit;roko=denoting increase or extension)、「(日々)成長を・続けるもの(鱗)」(また「ロコ」が濁音化して「ロゴ」となった)

  「コケ」、KOKE(move forwards,glide,spread)、「少しづつずらして(重なって)いるもの(鱗)」(また「コケ」が濁音化して「コゲ」となった)(植物の苔(こけ)も同語源で、「(いつのまにか)広がっていく(植物。こけ)」と解します。を参照してください。)

  「コケ・ラ」、KOKE-RA(koke=move forwards,glide,spread;ra=wed)、「少しづつずらして(重ねて)・(胴体に結合)覆っているもの(鱗)」(また「コケ」が濁音化して「コゲ」となった)(日本建築の柿(こけら)葺の「こけら」も同語源で、「(木片を少しづつ)ずらして・結合させた(屋根の葺き方)」 と解します。を参照してください。)

  「オ・ロコ」、O-ROKO(o=the...of;roko=denoting increase or extension)、「日々・成長するもの(鱗)」(また「ロコ」が濁音化して「ロゴ」となった)

  「ウル・コ」、URU-KO(uru=head,top,hair of the head;ko=to give emphasis,to,at)、「(魚体の)上部を覆う・もの(鱗)」

  「イラ」、IRA(freckle or other natural mark on the skin,variegated,shine)、「(魚体の)表面できらきら光るもの(鱗)」

  「ツ・イリ・チ」、TU-IRI-TI(tu=manner,to signify a moderate degree of the quality;iri=be elevated on something,rest upon;ti=throw,cast)、「(魚体の)表面に・きちんと並んで・付着しているもの(鱗)」

  「イリ・チ」、IRI-TI(iri=be elevated on something,rest upon;ti=throw,cast)、「(魚体の)表面に・付着しているもの(鱗)」

の転訛と解します。

020うろつく(彷徨く)・・ウロチョロスル・バヤメグ・ウロメガス・ノソツグ・ウロウロスル・マイマイスル・ウロトゥク・ソーツク・サルク・ウロウロスッ・アティヌネーンアッチュン・マチャメグ・サラク・ホッツク・ホッツキアルク

 「うろつく」の方言には、北海道、山梨などの「ウロチョロスル」、青森の「バヤメグ」、岩手の「ウロメガス」、宮城、福島などの「ウロツグ」(「ウロツク」と同語源)、秋田の「ウロズグ」(「ウロツク」と同語源)、山形の「ノソツグ」、栃木、岐阜などの「ウロウロスル」、奈良の「マイマイスル」、島根の「ウロズク」(「ウロツク」と同語源)、高知の「ウロトゥク」、福岡の「ソーツク」、佐賀、長崎などの「サルク」、鹿児島の「ウロウロスッ」、沖縄首里の「アティヌネーンアッチュン」があります。

 上記のほか、北海道の「マチャメグ」、長崎の「サラク」、大分の「ホッツク」、「ホッツキアルク」があります。

 この「うろつく」、「ウロチョロスル」、「バヤメグ」、「ウロメガス」、「ノソツグ」、「ウロウロスル」、「マイマイスル」、「ウロトゥク」、「ソーツク」、「サルク」、「ウロウロスッ」、「アティヌネーンアッチュン」、「マチャメグ」、「サラク」、「ホッツク」、「ホッツキアルク」は、

  「ウ・ロツ・ウク」、U-ROTU-UKU(u=be firm,be fixed,reach its limit;rotu=put to sleep by means of a spell;uku=wash(ukuuku=swept away))、「正に・(魔法にかけられて)眠った人のように・(あてどなく)歩き回る(うろつく)」(「ロツ」の語尾のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ロツク」となった。また「ロツク」が濁音化して「ロツグ」、「ロズグ」、「ロズク」となった)

  「ウ・ロ・チオイ・ロ・ツ・ル」、U-RO-TIOI-RO-TU-RU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ro=go;tioi=shake,sway from side to side;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「ただ(真っ直ぐに)・歩いたり・端から端へ・歩いたり・精力的に・動き回る(うろつく)」(「チオイ」の語尾のI音が脱落して「チョ」と、「ツ」が「ス」となった )

  「パイア・マイ・(ン)グ(ン)グ」、PAIA-MAI-NGUNGU(paia=pa=block up,prevent,assault;mai=to indicate direction or motion towards;ngungu=turn aside,lead astray)、「(道に)迷つた人の案内を・するのを・妨害する(迷うままにさせる。うろつく)」(「パイア」が「バヤ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)

  「ウ・ロ・マイ・(ン)ガツ」、U-RO-MAI-NGATU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ro=go;mai=to indicate direction or motion towards;ngatu=crushed,mashed)、「ただ(真っ直ぐに)・歩く・のを・めちゃくちゃにする(うろつく)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「(ン)ガツ」のNG音がG音に変化して「ガツ」から「ガス」となった)

  「(ン)ゴト・ツ・(ン)グ(ン)グ」、NGOTO-TU-NGUNGU(ngoto=be deep(whakangoto=impress,desire desperately);tu=stand,settle,fight with,energetic;ngungu=turn aside,lead astray)、「自暴自棄になったように・めっちゃやたらに・(道に)迷つた人の案内をする(うろつく)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」から「ノソ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)

  「ウ・ロ・ウ・ロ・ツ・ル」、U-RO-U-RO-TU-RU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ro=go;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「ただ・歩いて・ただ・歩いて・精力的に・動き回る(うろつく)」

  「マイ・マイ・ツ・ル」、MAI-MAI-TU-RU(mai=to indicate direction or motion towards(maimai=a dance);tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(踊りを踊るように)あっちへいったり・こっちに来たり・精力的に・動き回る(うろつく)」

  「ウ・ロト・ウク」、U-ROTO-UKU(u=be firm,be fixed,reach its limit;roto=lake,swamp,places inland or up a river;uku=wash(ukuuku=swept away))、「陸地や河川の・果てまで・(くまなく)歩き回る(うろつく)」

  「トウ・ツ・ウク」、TOU-TU-UKU(tou=tonu=denoting continuance,quite,just;tu=stand,settle,fight with,energetic;uku=wash(ukuuku=swept away))、「ただただ・精力的に・(くまなく)歩き回る(うろつく)」(「トウ」が「トー」から「ソー」と、「ツ」のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ツク」となった)

  「タ・アル・ウク」、TA-ARU-UKU(ta=the...of;aru=follow,pursue;uku=wash(ukuuku=swept away))、「例の・(人を追うように)歩き・まわる(うろつく)」(「タ」のA音が「アル」の語頭のA音と連結して「サル」となり、その「サル」の語尾のU音が「ウク」の語頭のU音と連結して「サルク」となった)

  「ウ・ロ・ウ・ロ・ツツ」、U-RO-U-RO-TUTU(u=be firm,be fixed,reach its limit;ro=go;tutu=move with vigour)、「ただ・歩いて・ただ・歩いて・元気に動き回る(うろつく)」(「ツツ」が「スッ」となった)

  「アチチ・ヌイ・ネネ・アチウ・ナ」、ATITI-NUI-NENE-ATIU-NA(atiti=turn aside,wander;nui=many,large;nene=jest,be saucy;atiu=wander,astray,soar;na=satisfied,content)、「たいへん・元気よく・彷徨い・満足げに・彷徨う(うろつく)」(「アチチ」の反復語尾の「チ」が脱落して「アチ」から「アティ」と、「ヌイ」が「ヌ」と、「ネネ」が「ネーン」と、「アチウ・ナ」が「アチュン」から「アッチュン」となった)

  「マチア・マイ・(ン)グ(ン)グ」、MATIA-MAI-NGUNGU(matia=rest,cease;mai=to indicate direction or motion towards(maimai=a dance);ngungu=turn aside,lead astray)、「休んでは・(踊りを踊るように)あっちこっちと・(道に)迷つた人の案内をする(うろつく)」(「マチア」が「マチャ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)

  「タル・アク」、TARU-AKU(taru=shake,overcome;aku=delay,scrape out,cleanse)、「奮起して・(くまなく)歩き回る(うろつく)」(「タル」の語尾のU音と「アク」の語頭のA音が連結してA音に変化して「タラク」から「サラク」となった)

  「ホツ・ウク」、HOTU-UKU(hotu=sob,desire eagerly,chafe with animosity etc.;uku=wash(ukuuku=swept away))、「履き物をすり減らして・(くまなく)歩き回る(うろつく)」(「ホツ」の語尾のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ホツク」から「ホッツク」となった)

  「ホツ・ウキ・アル・ウク」、HOTU-UKI-ARU-UKU(hotu=sob,desire eagerly,chafe with animosity etc.;uki=distant times(ukiuki=old,lasting,continuous,undisturbed);aru=follow,pursue:uku=wash(ukuuku=swept away))、「長い時間・履き物をすり減らし・(何かを)追い掛ける履き物をすり減らして・(くまなく)歩き回る(うろつくように・(くまなく)歩き回る(うろつく)」(「ホツ」の語尾のU音と「ウキ」の語頭のU音が連結して「ホツキ」から「ホッツキ」と、「アル」の語尾のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「アルク」となった)

の転訛と解します。

「エ」

021えぐい・ヘラカライ・エガエガズ・エガラッポエ・エガラッポイ・エガラエ・エゴイ・エグタエ・エゴラッペー・ヨゴイ・イゴイ・エガッポイ・エガレァ・アクツヨイ・ハシカイ・イグイ・エグ・エギー・エグイー・シブイ・イェグカ・ィエッカ・ニガカ・イガリ・イーバチカーサン・アクヌチューサン・イガライ

 「えぐい」(あくが強く、のどをいらいらと刺激する味がある。えがらっぽい)の方言には、北海道の「ヘラカライ」、岩手の「エガエガズ」、宮城の「エガラッポエ」、秋田の「エガラッポイ」、山形の「エガラエ」、福島、山梨などの「エゴイ」、茨城の「エグタエ」、栃木の「エゴラッペー」、群馬、福井の「ヨゴイ」、埼玉の「イゴイ」、千葉の「エガッポイ」、新潟の「エガレァ」、富山の「アクツヨイ」、石川の「ハシカイ」、鳥取、徳島などの「イグイ」、島根の「エグ」、岡山、熊本の「エギー」、広島の「エグイー」、愛媛の「シブイ」、高知の「エングイ」(「エグイー」と同語源)、福岡の「イェグカ」、佐賀の「ィエッカ」、長崎の「ニガカ」、鹿児島の「イガリ」、沖縄那覇の「イーバチカーサン」、沖縄首里の「アクヌチューサン」があります。

 上記のほか、福島の「エラカライ」(「ヘラカライ」と同語源)、京都の「イガライ」があります。

 この「えぐい」、「ヘラカライ」、「エガエガズ」、「エガラッポエ」、「エガラッポイ」、「エガラエ」、「エゴイ」、「エグタエ」、「エゴラッペー」、「ヨゴイ」、「イゴイ」、「エガッポイ」、「エガレァ」、「アクツヨイ」、「ハシカイ」、「イグイ」、「エグ」、「エギー」、「エグイー」、「シブイ」、「イェグカ」、「ィエッカ」、「ニガカ」、「イガリ」、「イーバチカーサン」、「アクヌチューサン」、「イガライ」は、

  「エ・(ン)グ・イ」、E-NGU-I(e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;i=past tense,ferment,be stirred of the feelings)、「思わず・黙りこく・った(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「ヘ・ラ・カラ・イ」、HE-RA-KARA-I(he=different,strange;ra=wed;kara=scent,smell,flavour;i=ferment,be stirred of the feelings)、「変わった(味の)・感覚が・伴って・出てくる(嫌な。味)」(また「ヘ」のH音が脱落して「エ」となった)

  「エ(ン)ガ・エ(ン)ガ・ツ」、ENGA-ENGA-TU(enga=anxiety;tu=stand,settle)、「(毒ではないかと)心配で・たまらない・(味覚が)ある(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」と、「ツ」が「ズ」となつた)

  「エ(ン)ガ・ラポイ・エ」、ENGA-RAPOI-E(enga=anxiety;rapoi=assemble,gather together;e=to give emphasis)、「ほんとに・(毒ではないかと)心配な・(味覚が)伴っている(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」と、「ラポイ」の語尾のI音が脱落して「ラポ」から「ラッポ」となつた)

  「エ(ン)ガ・ラポイ」、ENGA-RAPOI(enga=anxiety;rapoi=assemble,gather together)、「(毒ではないかと)心配な・(味覚が)伴っている(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となつた)

  「エ(ン)ガ・ラ・エ」、ENGA-RA-E(enga=anxiety;rapoi=assemble,gather together;e=to give emphasis)、「ほんとに・(毒ではないかと)心配な・(味覚が)伴っている(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となった)

  「エ(ン)ガ・オイ」、ENGA-OI(enga=anxiety;oi=grow,be abundant,shudder,agitate)、「(毒ではないかという)心配な・湧いてくる(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となり、その語尾のA音と「オイ」のOI音が連結してOI音に変化して「エゴイ」となつた)または「エ・(ン)ゴ・イ」、E-NGO-I(e=to give emphasis;ngo=cry,grunt;i=ferment,be stirred of the feelings)、「思わず・叫び声を・上げる(嫌な。味)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となつた)

  「エ・(ン)グ・タエ」、E-NGU-TAE(e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;tae=arrive,come,reach,touch)、「ほんとに・(嫌な味を)感じて・黙りこくる(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「エ・(ン)ゴ・ラペア」、E-NGO-RAPEA(e=to give emphasis;ngo=cry,grunt;rapea=indeed)、「ほんとに・実に(嫌な味を感じて)・叫び声を上げる(嫌な。味)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ラペア」の語尾のA音が脱落して「ラペ」から「ラッペー」となつた)

  「イオ・(ン)ゴ・イ」、IO-NGO-I(io=twitch,tough,obstinate;ngo=cry,grunt;i=ferment,be stirred of the feelings)、「ビクッとして・叫び声を・上げる(嫌な。味)」(「イオ」が「ヨ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となつた)

  「イ・(ン)ゴ・イ」、I-NGO-I(i=past tense;ngo=cry,grunt;i=ferment,be stirred of the feelings)、「叫び声を・上げて・しまった(嫌な。味)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となつた)

  「エ(ン)ガ・ツ・ポイ」、ENGA-TU-POI(enga=anxiety;tu=stand,settle;poi=swarm,cluster)、「(毒ではないかと)心配な・(味覚が)束になって・いる(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となつた)

  「エ(ン)ガ・レア」、ENGA-REA(enga=anxiety;rea=spring up,grow)、「(毒ではないかという)心配が・湧き上がる(嫌な。味)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となった)

  「アク・ツ・イオ・イ」、AKU-TU-IO-I(aku=delay,scrape out,cleanse;tu=stand,settle,fight with,energetic;io=twitch,tough,obstinate;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(嫌な味が)後から・力強く・しつこく・湧いてくる(嫌な。味)」()

  「ハ・チカイ」、HA-TIKAI(ha=breath,taste,flavour;tikai=insult,domineer over,disrespect)、「体を害する・味(嫌な。味)」(「チカイ」が「シカイ」となつた)

  「イ・(ン)グ・イ」、I-NGU-I(i=past tense;ngu=silent,greedy,moan;i=ferment,be stirred of the feelings)、「黙りこくって・しま・った(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「エ・(ン)グ」、E-NGU(e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;tae=arrive,come,reach,touch)、「ほんとに・(嫌な味を感じて)黙りこくる(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「エ・(ン)グ・イ」、E-NGU-I(e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;i=ferment,be stirred of the feelings)、「ほんとに・(嫌な味を感じて)黙りこく・った(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、その語尾のU音と「イ」のI音が連結してI音に変化して「ギ」から「ギー」となつた)

  「チ・プイア」、TI-PUIA(ti=throw.cast;puia=smarting)、「(ひりひりと)刺激を・与える(嫌な。味)」(「チ」が「シ」と、「プイア」の語尾のA音が脱落して「プイ」から「ブイ」となった)

  「イ・エ・(ン)グ・カ」、I-E-NGU-KA(i=past tense;e=to denote action in progress or temporary condition;ngu=silent,greedy,moan;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「ほんとに・黙りこくって・しまった・よ(嫌な。味)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「ヒエ・カ」、HIE-KA(hie=shout;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(嫌な味を感じて)叫び声を上げた・よ(嫌な。味)」(「ヒエ」のH音が脱落して「イエ」から「イエッ」となった)

  「ヌイ・(ン)ガ(ン)ガ・イ」、NUI-NGANGA-I(nui=many,large;nganga=breathe heavily or with difficulty;i=ferment,be stirred of the feelings)、「たいへん・(苦しいほどの)嫌な・味を感じる(嫌な。味)」(「ヌイ」のUI音がI音に変化して「ニ」と、「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ガ」となった)

  「イ・(ン)ガリ」、I-NGARI(i=past tense,from,with,beside,by,be stirred of the feelings;ngari=annoyance,disturbance,greatness)、「不快感が・生ずる(嫌な。味)」(「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)

  「イ・パチ・カハ・タ(ン)ガ」、I-PATI-KAHA-TANGA(i=past tense,ferment,be stirred of the feelings;pati=ooze,spurt,splash;kaha=strong,strength;tanga=be assembled)、「強い・刺激が・伴つて・生ずる(嫌な。味)」(「イ」が「イー」と、「パチ」が「バチ」と、「カハ」のH音が脱落して「カア」から「カー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

  「アク・ヌイ・チウ・タ(ン)ガ」、AKU-NUI-TIU-TANGA(aku=delay,scrape out,cleanse:nui=many,large;tiu=soar,wander,strike at with a weapon;tanga=be assembled)、「(口に入れると)遅れて・大きな・すごい刺激が・伴って生ずる(嫌な。味)」(「ヌイ」のUI音がI音に変化して「ニ」と、「チウ」が「チュー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

  「イ・(ン)ガ(ン)ガ・ラヒ」、I-NGANGA-RAHI(i=past tense,ferment,be stirred of the feelings;nganga=breathe heavily or with difficulty;rahi=great,plentiful,numerous)、「たいへん・(苦しいほどの)嫌な・味を感じる(嫌な。味)」(「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ガ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

の転訛と解します。

「オ」

022おおきい(大きい)・デッカイ・デッタラ・オッキ・デッキャ・オッケー・ズナエー・エガエ・デッコエ・デッケァー・イカェー・イカイ・ゴッツイ・オーケナ・オキョイ・フトイ・フトカ・フチ・フテ・マギサン

 「おおきい」の方言には、北海道、神奈川などの「デッカイ」、青森の「デッタラ」、岩手の「オッキ」、宮城、群馬などの「デッケー」(「デッカイ」と同語源)、秋田の「デッキャ」、山形の「オッケー」、福島の「ズナエー」、茨城の「エガエ」、栃木、山梨の「デケー」(「デッカイ」と同語源)、東京、愛知などの「オーキー」(「おおきい」と同語源)、新潟の「デッコエ」、石川の「デカイ」(「デッカイ」と同語源)、福井の「イケー」(「イカイ」と同語源)、岐阜の「デッケァー」、静岡の「イカェー」、三重、大阪の「オッキー」(「おおきい」と同語源)、滋賀の「イカイ」、兵庫、鳥取の「ゴッツイ」、島根の「オーケナ」、徳島の「オキョイ」、香川の「オッキョイ」(「オキョイ」と同語源)、高知の「フトイ」、福岡、佐賀などの「フトカ」、大分の「フチー」(「フチ」と同語源)、宮崎の「フチ」、鹿児島の「フテ」、沖縄那覇・首里の「マギサン」があります。

 この「おおきい」、「デッカイ」、「デッタラ」、「オッキ」、「デッキャ」、「オッケー」、「ズナエー」、「エガエ」、「デッコエ」、「デッケァー」、「イカェー」、「イカイ」、「ゴッツイ」、「オーケナ」、「オキョイ」、「フトイ」、「フトカ」、「フチー」、「フチ」、「フテ」、「マギサン」は、

  「オホ・キ・イ」、OHO-KI-I(oho=wake up,arise;ki=full,very;i=past tense,ferment,be stirred of the feelings)、「たいへん・(立ち上がった)高く・なった(大きくなった。大きい)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」となった。また「オオ」が「オー」と、促音化して「オッ」となり、「キイ」が「キー」となつた)

  「テイ・カイ」、TEI-KAI(tei,teitei=high,tall,summit;kai=quantity,number,thing)、「大きさが・(高い)大きい」(「テイ」が促音化して「テッ」から「デッ」となった。また「テイ」の語尾のI音が脱落して「テ」、「デ」となり、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」、「ケー」となった)

  「テイ・タラ」、TEI-TARA(tei,teitei=high,tall,summit;tara=point,peak of the mountain)、「高い・山の頂(のように高い。大きい)」(「テイ」が促音化して「テッ」から「デッ」となった)

  「オホ・キ」、OHO-KI(oho=wake up,arise;ki=full,very)、「たいへん・(立ち上がった)高い(大きい)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」となり、促音化して「オッ」となった)

  「テイ・キ・イア」、TEI-KI-IA(tei,teitei=high,tall,summit;ki=full,very;ia=indeed)、「実に・たいへん・(立ち上がった)高い(大きい)」(「テイ」が促音化して「テッ」から「デッ」と、「イア」が「ャ」となった)

  「オホ・カイ」、OHO-KAI(oho=wake up,arise;kai=quantity,number,thing)、「大きさが・(高い)大きい」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から促音化して「オッ」となり、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」、「ケー」となった)

  「ツナヱア」、TUNAWHEA(ill-grown,thin,lean)、「不正常に(大きく)成長した(大きい)」(WH音および語尾のA音が脱落して「ズナエー」となった)

  「エ(ン)ガ・エ」、ENGA-E(enga=anxiety;e=to give emphasis,calling attention or surprise)、「何と・(今にも倒れてこないかと)心配な(大きさ。大きい)」(「エ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「エガ」となつた)

  「テイ・コヘ」、TEI-KOHE(tei,teitei=high,tall,summit;kohe=a tree(Dysoxylum spectabile))、「(立ち上がった)高い・木(センダン科の闊葉樹。内装材・家具材・フローリング材に利用される。)(大きい)」(「テイ」が促音化して「テッ」から「デッ」と、「コヘ」のH音が脱落して「コエ」となった)

  「テイ・カイ・ア」、TEI-KAI-A(tei,teitei=high,tall,summit;kai=quantity,number,thing;a=ae=yes)、「ほんとに・大きさが・(高い)大きい」(「テイ」が促音化して「テッ」から「デッ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「ヒ・カイ・エ」、HI-KAI-E(hi=raise,rise;kai=quantity,number,thing;e=to give emphasis,calling attention or surprise)、「何と・大きさが・(高い)大きい」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」となった)

  「ヒ・カイ」、HI-KAI(hi=raise,rise;kai=quantity,number,thing)、「大きさが・(高い)大きい」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」となつた。また「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「(ン)ゴ・ツイ」、NGO-TUI(ngo=cry,grunt;tui=pierce,thread on a string,sew)、「(大きさに対する感嘆の)叫び声が・続く(大きい)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となり、促音化して「ゴッ」となった)

  「オホ・カイ(ン)ガ」、OHO-KAINGA(oho=wake up,arise;kainga=kai=quantity,number,thing)、「大きさが・(高い)大きい」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から促音化して「オッ」となり、「カイ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」となった)

  「オキオイ」、OKIOI(an extinct bird said never to have been seen)、「(絶滅した伝説の幻の巨)鳥のように(大きい)」(「オキオイ」が「オキョイ」、「オッキョイ」となった)

  「フ・トイ」、HU-TOI(hu=hiss,the cry of a bird;toi=a tree(Cordyline indivisa))、「(大きさに対する感嘆の)叫び声をあげる・木(リュウゼツラン科の植物。大きくなると樹幹が太くなる)(太い。大きい)」

  「フ・トイ・カ」、HU-TOI-KA(hu=hiss,cry of the bird;toi=a tree(Cordyline indivisa):ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「何と・(大きさに対する感嘆の)叫び声をあげる・木(リュウゼツラン科の植物。大きくなると樹幹が太くなる)(太い。大きい)」(「トイ」の語尾のI音が脱落して「ト」となった)

  「フチ」、HUTI(hoist,pull out of the ground)、「(高く引き上げられた)大きい」

  「フ・タエ」、HU-TAE(hu=hiss,cry of the bird;tae=arrive,extend to,proceed to,touch of feelings)、「(伸びている)大きい・(ことに対する感嘆の)叫び声をあげる(大きい)」(「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」となった)

  「マハ・(ン)ギア・タ(ン)ガ」、MAHA-NGIA-TANGA(maha=many,abundance;ngia=seem,appear to be;tanga=be assembled,row,tier)、「多数が・列をなしている・ように見える(大きい)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のI音が脱落して「ギ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

の転訛と解します。

023おおみそか(大晦日)・トシトリ・オドシコシ・トストリ・オートシ・オモッセー・オトシトリ・オーツゴモリ・オートゥンゴモリ・トシノバン・トシノヨ・トシノヨサ・トイノバン・トゥシヌユールー・トシトリバン

 「おおみそか」の方言には、北海道、秋田などの「トシトリ」、青森の「オミソカ」(「おおみそか」と同語源)、岩手の「オドシコシ」、宮城、山形の「トストリ」、茨城、栃木などの「オーミソカ」(「おおみそか」と同語源)、石川、福井などの「オートシ」、山梨の「オモッセー」、長野の「オトシトリ」、愛知、三重の「オーツモゴ」(「オーツゴモリ」が変化したもの)、京都、兵庫などの「オーツモゴリ」(「オーツゴモリ」が変化したもの)、徳島の「オツゴモ」(「オーツゴモリ」が変化したもの)、香川の「オーツゴモリ」、高知の「オートゥンゴモリ」(「オーツゴモリ」と同語源)、佐賀、熊本の「トシノバン」、大分の「トシノヨ」、宮崎の「トシノヨサ」、鹿児島の「トイノバン」、沖縄那覇の「トゥシヌユールー」、沖縄首里の「トゥシヌユルー」(「トゥシヌユールー」と同語源)があります。

 上記のほか、大分の「トシトリバン」があります。

 この「おおみそか」、「トシトリ」、「オドシコシ」、「トストリ」、「オートシ」、「オモッセー」、「オトシトリ」、「オーツゴモリ」、「オートゥンゴモリ」、「トシノバン」、「トシノヨ」、「トシノヨサ」、「トイノバン」、「トゥシヌユールー」、「トシトリバン」は、

  「オホ・ミ・トウ・カ」、OHO-MI-TOU-KA(oho=wake up,arise;mi=ami-tutu=three;tou=anus,posteriors;ka=take fire,be lighted,burn)、「(一年の中で)突出した(重要な)・三・(一から十までの数の最後の)十・(月に照らされる)日(大晦日)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から「オー」と、「トウ」が「ソ」となつた)(数詞の三、十については、国語篇(その九)の付録「数詞表」を参照してください。)

  「タウ・チ・タウリア」、TAU-TI-TAURIA(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;tauria=tau=string of a garment etc.,bundle(tatau=tie with a cord,count.repeat one by one))、「(季節)一年が・経過した・数を数える(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「タウリア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「トリ」となった)

  「オ・タウ・チ・コチ」、O-TAU-TI-KOTI(o=the...of;tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;koti=cut in two,interrupt)、「例の・一年が・経過して・区切りをつける(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「チ」が「シ」と、[コチ」が「コシ」となった)

  「タウ・ツ・タウリア」、TAU-TU-TAURIA(tau=season,year,period of time;tu=stand,be set,take place;tauria=tau=string of a garment etc.,bundle(tatau=tie with a cord,count.repeat one by one))、「一年が・経過した・数を数える(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ツ」が「ス」と、「タウリア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「トリ」となった)

  「オホ・タウ・チ」、OHO-TAU-TI(oho=wake up,arise;tau=season,year,period of time;ti=throw,cast)、「(一年の中で)突出した(重要な)・(季節)一年が・経過した(祝賀行事)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から「オー」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」となった)

  「オ・モツ・テ」、O-MOTU-TE(o=the...of;motu=separated,escaped,cut;te=crack)、「例の・(旧年と新年の)区切りで・(旧年に)別れを告げる(祝賀行事)」(「テ」が「セ」から「セー」となった)

  「オ・タウ・チ・タウリア」、O-TAU-TI-TAURIA(o=the...of;tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;tauria=tau=string of a garment etc.,bundle(tatau=tie with a cord,count.repeat one by one))、「例の・(季節)一年が・経過した・数を数える(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「タウリア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「トリ」となった)

  「オホ・ツ(ン)ゴ・マウリ」、OHO-TUNGO-MAURI(oho=wake up,arise;tungo,tungongo=cause to shrink;mauri=the moon on the twenty-ninth day)、「(一年の中で)突出した(重要な)・(家に)引き籠もる・(二十九夜)晦日(の祝賀行事)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から「オー」と、「ツ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ツゴ」と、「マウリ」のAU音がO音に変化して「モリ」となった。また、「ツ(ン)ゴ」が「ツンゴ」から「トゥンゴと、「ツゴモリ」が「ツモゴリ」と、「ツモゴ」となった)

  「タウ・チ・ノ・パナ」、TAU-TI-NO-PANA(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;no=of;pana=thrust or drive away,cause to come or go forth in any way)、「(季節)一年が・経過し・て・(旧年を)送る(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「パナ」が「パン」から「バン」となった)

  「タウ・チ・ノ・イオ」、TAU-TI-NO-IO(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;no=of;io=spur,ridge)、「(季節)一年が・経過し・た・(旧年と新年の境の)区切りの山(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「イオ」が「ヨ」となった)

  「タウ・チ・ノ・イオ・タ」、TAU-TI-NO-IO-TA(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;no=of;io=spur,ridge;ta=dash,beat,lay)、「(季節)一年が・経過し・た・(旧年と新年の境に)ある・区切りの山(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「イオ」が「ヨ」と、「タ」が「サ」となった)

  「タウ・イ・ノ・パナ」、TAU-I-NO-PANA(tau=season,year,period of time;i=past tense;no=of;pana=thrust or drive away,cause to come or go forth in any way)、「(季節)一年が・経過し・て・(旧年を)送る(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「パナ」が「パン」から「バン」となった)

  「タウ・チ・ヌイ・ウル」、TAU-TI-NUI-URU(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;nui=large,superior,important,greatness;uru=enter,arrive,appear above the horizen)、「(季節)一年が・経過した・重要な・(新年が)始まる(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トゥ」と、「チ」が「シ」と、「ヌイ」の語尾のI音と「ウル」の語頭のU音が連結して「ヌユル」から「ヌユルー」、「ヌユールー」となった)

  「タウ・チ・タウリア・パナ」、TAU-TI-TAURIA-PANA(tau=season,year,period of time;ti=throw,cast;tauria=tau=string of a garment etc.,bundle(tatau=tie with a cord,count.repeat one by one);pana=thrust or drive away,cause to come or go forth in any way)、「(季節)一年が・経過した・数を数え・(旧年を)送る(祝賀行事)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「チ」が「シ」と、「タウリア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「トリ」と、「パナ」が「パン」から「バン」となった)

の転訛と解します。

024おおよそ(凡そ)・タイガイ・ダイタイ・ホトンド・アラマス・オーカタ・ナカラ・メッソ・タイテー・タイギャー・アラガタ・メゲントー

 「おおよそ」の方言には、北海道、三重の「タイガイ」、青森、茨城などの「オーヨソ」(「おほよそ」と同語源)、岩手、秋田などの「ダイタイ」、宮城の「ホトンド」、山形の「アラマス」、埼玉の「デーテー」(「ダイタイ」と同語源)、新潟の「テァーゲァー」(「タイガイ」が変化したもの)、石川、福井などの「オーカタ」、山梨、沖縄那覇などの「テーゲー」(「タイガイ」と同語源)、長野の「ナカラ」、岐阜の「デァーテァー」「ダイタイ」が変化したもの)、愛知の「メッソ」、兵庫、広島の「タイテー」、岡山の「テァーテー」(「タイテイ」が変化したもの)、香川の「オヨソ」(「オーヨソ」と同語源)、佐賀の「タイギャー」、鹿児島の「テゲ」(「タイガイ」と同語源)があります。

 上記のほか、福島の「アラガタ」、岡山の「メゲントー」があります。

 この「おおよそ」、「タイガイ」、「ダイタイ」、「ホトンド」、「アラマス」、「オーカタ」、「ナカラ」、「メッソ」、「タイテー」、「タイギャー」、「アラガタ」、「メゲントー」は、

  「オホ・イホ・タウ」、OHO-IHO-TAU(oho=wake up,arise;iho=up above,from above;tau=turn away,look in another direction)、「高い・見地から・(物事を)概観する(凡そ)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から「オー」と、「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「タイ・(ン)ガイ」、TAI-NGAI(tai=the other side;ngai=tribe or clan)、「別の見地から(見るという)・種類の(概観。大概)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」となった。また「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「テー」あるいは「テァー」と、「ガイ」も同様NG音がG音に変化して「ゲ」から「ゲー」あるいは「ゲァー」となった)

  「タイ・タヒ」、TAI-TAHI(tai=the other side;tahi=one,unique)、「別の見地から(見るという)・独特の(概観。大体)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となった。また最初の「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デー」あるいは「デァー」と、後の「タイ」も同様「テ」から「テー」あるいは「テァー」となった)

  「ホト・(ン)ゴト」、HOTO-NGOTO(hoto=join;ngoto=be deep,penetrate)、「(本質を)深くまで掘り下げて・一括した(殆ど)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」から「ント」、「ンド」となった)

  「アラ・マツ」、ARA-MATU(ara=rise,raise;matu=fat,rich ness of food,gist)、「高い(見地から見て)・(内容が)豊富(あらまし)」(「マツ」が「マス」となった)(なお、「あらまし」は、「アラ・マチ」、ARA-MATI(ara=rise,raise;mati=surfeited)、「高い(見地から見て)・(内容が)豊富(あらまし)」(「マチ」が「マシ」となった)と解します。)

  「オホ・カハ・タ」、OHO-KAHA-TA(oho=wake up,arise;kaha=boundary line of land etc.,edge;ta=dash,beat,lay)、「高い(見地から)・境界線を・引く(物事を大きく把握する。大方)」(「オホ」のH音が脱落して「オオ」から「オー」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「ナ・カハ・ラ」、NA-KAHA-RA(na=belonging to;kaha=boundary line of land etc.,edge;ra=wed,there,yonder)、「いわば・境界線を・(繋ぐ)引く(物事を大きく把握する。なから)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「メ・タウ」、ME-TAU(me=as if,as it were,like;tau=turn away,look in another direction)、「あたかも・別の見地から(物事を)概観する(メッソ)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となり、「メト」が促音化して「メッソ」となつた)

  「タイ・テイ」、TAI-TEI(tai=the other side;tei=high,tall,summit)、「別の見地から(見るという)・最高の(概観。大抵)」(また「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「テァー」と、「テイ」が「テー」となった)

  「タイ・(ン)ギア」、TAI-NGIA(tai=the other side;ngia=seem,appear to be)、「別の見地から・(概観している)ような(タイギャー)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギャ」から「ギャー」となった)

  「アラ・カハ・タ」、ARA-KAHA-TA(ara=rise,raise;kaha=boundary line of land etc.,edge;ta=dash,beat,lay)、「高い(見地から)・境界線を・引く(物事を大きく把握する。あらかた)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」から「ガ」となった)

  「メイ・ケノ・タウ」、MEI-KENO-TAU(mei=mei me=eye;keno,kekeno=look,look about;tau=turn away,look in another direction)、「目で・見て・別の見地から(物事を)概観する(目見当)」(「メイ」の語尾のI音が脱落して「メ」と、「ケノ」が「ケン」から濁音化して「ゲン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トー」となった)(「メイ」「眼。め」については、国語篇(その九)の024eye(め・め)を参照してください。)

の転訛と解します。

025おかず(お数・お菜)・オサイ・カデクサ・オガズ・オマガネ・シャコ・オサエ・アセ・サイ・ゴサイ・シャー・シャ・セ・ショーケ・カティムン・サイコ・メシンシャー

 「おかず」の方言には、北海道、茨城などの「オサイ」、青森の「カデクサ」、岩手の「オガズ」、宮城の「オマガネ」、秋田の「シャコ」、山形、栃木などの「オサエ」、福島、群馬の「オセー」(「オサエ」と同語源)、埼玉の「アセ」、千葉の「オセァー」(「オサエ」と同語源)、三重、奈良などの「サイ」、福岡の「ゴサイ」、佐賀、長崎の「シャー」、熊本の「シャ」、宮崎の「セ」、鹿児島の「ショーケ」、沖縄那覇・首里の「カティムン」があります。

 上記のほか、北海道の「サイコ」、佐賀の「メシンシャー」があります。

 この「おかず」、「オサイ」、「カデクサ」、「オガズ」、「オマガネ」、「シャコ」、「オサエ」、「アセ」、「サイ」、「ゴサイ」、「シャー」、「シャ」、「セ」、「ショーケ」、「カティムン」、「サイコ」、「メシンシャー」は、

  「オ・カツア」、O-KATUA(o=the...of;katua=adult,main portion of anything)、「例の・食事の主要部分(おかず)」(「カツア」の語尾のA音が脱落して「カツ」から「カズ」となつた)(古く縄文時代の食事は、現在のように主食と副食の区別が明確ではなかったと考えられます。)

  「オ・タヒ」、O-TAHI(o=the...of;tahi=one,single,unique,one and the other)、「例の・一皿(また一皿と供される食事。おさい)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「サイ」となつた)

  「カタヒ・クク・タ」、KATAHI-KUKU-TA(katahi=then,to express appreciation of any quality;kuKu=firm,stiff,thickened;ta=dash,beat,lay)、「それなりに(食料としての)価値がある・密集して・生えるもの(草。かでくさ)」(「カタヒ」のH音が脱落した後のAI音がE音に変化して「カテ」から「カデ」となり、「クク」の反復語尾が脱落して「ク」と、「タ」が「サ」となった)

  「アウ・マ・カネヘ」、AU-MA-KANEHE(au=firm,intense;ma=white,clean;kanehe=trifle,anything small,yerning)、「しっかりとした・清らかな・ささやかな(食物。おまがね)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「カネヘ」のH音が脱落して「カネ」から濁音化して「ガネ」となつた)

  「チ・イア・コ」、TI-IA-KO(ti=throw,cast;ia=indeed;ko=to,at,to give emphasis)、「あの・実に・(食事に)供されるもの(しゃこ)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チア」から「チャ」、「シャ」となった)

  「オ・タエ」、O-TAE(o=the...of;tae=arrive,come,amount to)、「例の・(食事に)供されるもの(おさえ)」(「タエ」が「サエ」となった。また「サエ」のAE音がE音に変化して「セ」から「セー」、「セァー」となった)

  「ア・タエ」、A-TAE(a=the...of;tae=arrive,come,amount to)、「例の・(食事に)供されるもの(あせ)」(「タエ」が「サエ」となった。また「サエ」のAE音がE音に変化して「セ」となった)

  「(ン)ゴウ(ン)ゴウ・タヒ」、NGOUNGOU-TAHI(ngoungou=throughly ripe,well cooked;tahi=one,single,unique,one and the other)、「良く調理された・一皿(また一皿と供される食事。ごさい)」(「(ン)ゴウ(ン)ゴウ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ゴウ」から「ゴ」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「サイ」となつた)

  「チ・イア」、TI-IA(ti=throw,cast;ia=indeed)、「(食事に)供されるもの(しゃ)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チア」から「チャ」、「シャ」、「シャー」となった)

  「タエ」、TAE(arrive,come,amount to)、「(食事に)供されるもの(せ)」(「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)

  「チ・アウ・カイ」、TI-AU-KAI(ti=throw,cast;au=firm,intense;kai=consume,eat,food)、「(食事に)供される・しっかりとした・食物(しょーけ)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「チ・オ」が「チヨ」から「ショー」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「カタヒ・ムナ」、KATAHI-MUNA(katahi=then,to express appreciation of any quality;muna=tell or speak of privately,secret,beloved,darling)、「(食料としての)価値がある・喜ばれる(食物。かてぃむん)」(「カタヒ」のH音が脱落した後のAI音がE音に変化して「カテ」から「カティ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「タヒ・コ」、TAHI-KO(tahi=one,single,unique,one and the other;ko=to,at,to give emphasis)、「あの・一皿(また一皿と供される食事。さいこ)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「サイ」となつた)

  「メチメチ・ノ・チ・イア」、METIMETI-NO-TI-IA(metimeti=fat;no=of;ti=throw,cast;ia=indeed)、「豪華・な・(食事に)供されるもの(めしんしゃー)」(「メチメチ」の反復語尾が脱落して「メチ」から「メシ」と、「ノ」が「ン」と、「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チア」から「チャ」、「シャ」、「シャー」となった)

の転訛と解します。

026おこる(怒る)・ゴシャグ・ゴセヤグ・ハラータテル・エサル・イキル・ハラカク・ハリカク・ヤクル・ハラカッ・ワジーン・ゾーバタノ(ニエクリカエル)

 「おこる」の方言には、北海道、青森などの「オゴル」(「おこる」と同語源)、岩手、秋田などの「ゴシャグ」、宮城の「ゴッシャグ」(「ゴシャグ」と同語源)、福島の「ゴセヤグ」、神奈川、広島の「ハラータテル」、石川の「エサル」、愛知の「イキル」、福岡、佐賀などの「ハラカク」、熊本の「ハリカク」、宮崎の「ヤクル」、鹿児島の「ハラカッ」、沖縄那覇・首里の「ワジーン」があります。上記のほか、福岡の「ゾーバタノ、ニエクリカエル」(「ニエクリカエル(煮えくりかえる)」は現代語と解します。)があります。

 

 この「おこる」、「ゴシャグ」、「ゴセヤグ」、「ハラータテル」、「エサル」、「イキル」、「ハラカク」、「ハリカク」、「ヤクル」、「ハラカッ」、「ワジーン」、「ゾーバタノ(ニエクリカエル)」は、

  「アウ・カウル」、AU-KAURU(au=smoke,gall,rapid,whirlpool;kauru=head of a tree)、「頭のてっぺんから・湯気を出した(怒った)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「カウル」のAU音がO音に変化して「コル」となつた。また「コル」が濁音化して「ゴル」となった)

  「(ン)ゴ・チ・アク」、NGO-TI-AKU(ngo=cry,grunt;ti=throw,cast,overcome;aku=delay,take time over anything,cleanse)、「(原因となる物事が起こった)後に・わめき・散らす(怒る)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ・アク」が「チャク」から「シャク」、「シャグ」となった。また「ゴ」が促音化した「ゴッ」となつた)

  「(ン)ゴ・テイ・アク」、NGO-TEI-AKU(ngo=cry,grunt;tei=high,tall,summit;aku=delay,take time over anything,cleanse)、「(原因となる物事が起こった)後に・声高に・わめく(怒る)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「テイ・アク」が「テヤク」から「セヤグ」となった)

  「パラ・タテ・ル」、PARA-TATE-RU(para=bravery,spirit;tate,tatetate=rattle,loose,slack;ru=shake,agitate)、「激情が・動く・ままにする(抑制しない。怒る)」(「パラ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハラ」から「ハラー」となつた)

  「エ・タル」、E-TARU(e=to denote action in progress or temporary condition;taru=shake,overcome)、「どんどん・興奮する(怒る)」(「タル」が「サル」となつた)

  「イ・キ・ル」、I-KI-RU(i=ferment,be stirred of the feelings;ki=full,very;ru=shake,agitate)、「感情が・大変・高ぶる(怒る)」

  「パラ・カク」、PARA-KAKU(para=bravery,spirit;kaku=make a harsh grating sound)、「感情が激して・いらいらとした声を出す(怒る)」(「パラ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハラ」となつた)

  「パリ・カク」、PARI-KAKU(pari=abundance,bark as a dog;kaku=make a harsh grating sound)、「犬が吠えるように・いらいらとした声を出す(怒る)」(「パリ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハリ」となつた)

  「イ・アク・ル」、I-AKU-RU(i=past tense,ferment,be stirred of the feelings;aku=delay,take time over anything,cleanse;ru=shake,agitate)、「(原因となる物事が起こった)後に・感情が・高ぶる(怒る)」(「イ・アク」が「ヤク」となつた)

  「パラ・カ・ツ」、PARA-KA-TU(para=bravery,spirit;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「火が・勢いよく燃えるように・感情が高ぶる(怒る)」(「パラ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハラ」となつた)

  「ワ・チノ」、WHA-TINO(wha=be disclosed,get abroad;tino=essentiality,self,reality)、「真実が・(明らかに)暴露される(怒る)」(「チノ」が「シン」から「ジーン」となった)

  「トウ・パタ・ノ」、TOU-PATA-NO(tou=dip into a liquid,wet;pata=prepare food;no=of)、「水に浸して・調理の準備をした(食料)・の」(「トウ」が「ソウ」から「ゾー」と、「パタ」が「バタ」となつた)

の転訛と解します。

027おこわ(お強)・アズギママ・オフカス・コワイ・フカス・フカシ・コワメシ・アカママ・オコワェー・アズキゴ(ハン)・アツッノメシ・ッアカメー・カシチー

 「おこわ」の方言には、北海道の「オゴワ」(「おこわ」と同語源)、青森の「アズギママ」、岩手の「アズギマンマ」(「アズギママ」と同語源)、宮城の「オフカス」、秋田の「コワイ」、山形の「フカス」、福島の「フカシ」、茨城の「セギハン」(現代語「赤飯」が変化したもの)、栃木、千葉などの「コワメシ」、石川の「アカママ」、岐阜の「オコウェァー」(「オコワェー」が変化したもの)、愛知の「オコワェー」、三重、岡山などの「セキハン」(現代語「赤飯」と解します)、和歌山の「アズキゴハン」(「ハン」は現代語「飯」と解します)、鳥取、島根などの「シェキハン」(現代語「赤飯」が変化したもの)、鹿児島の「アツッノメシ」、沖縄那覇の「ッアカメー」、沖縄首里の「カシチー」があります。

 

 この「おこわ」、「アズギママ」、「オフカス」、「コワイ」、「フカス」、「フカシ」、「コワメシ」、「アカママ」、「オコワェー」、「アズキゴ(ハン)」、「アツッノメシ」、「ッアカメー」、「カシチー」は、

  「オ・コワ」、O-KOWHA(o=the...of;kowha=split open,take out of the shell,cookies taken out of the shells)、「例の・(蒸籠から)取り出した(飯。おこわ)」(また濁音化して「オゴワ」となった)(「こわ」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項の「こわ(いい)」を参照してください。)

  「アツア・キ・ママ」、ATUA-KI-MAMA(atua=god,object of superstitious regard,strange,extraordinary;ki=full,very;mama=freed from tapu)、「特別の場合に・(食べることが)多い(穀物(あずき)を入れた)・(特別な禁忌のない)自由に食べられる食物(あずきまま)」(「アツア」の語尾のA音が脱落(名詞形の語尾のA音は脱落することが多い)して「アツ」から「アズ」となつた。また「ママ」が「マンマ」となった)(「あずき」については、雑楽篇(その二)の571まめ(豆)の項のあずき(小豆)を参照してください。)

  「オ・プカ・ツ」、O-PUKA-TU(o=the...of;puka=eager,overheated,out of breathe,exhausted by exertion,etc.;tu=fight with,energetic)、「例の・せっせと・(蒸籠で)過熱した(食物。ふかしたおこわ)」(「プカ」のP音がF音を経てH音に変化して「フカ」と、「ツ」が「ス」となった。)

  「コワ・イ」、KOWHA-I(kowha=split open,take out of the shell,cookies taken out of the shells;i=past tense)、「(蒸籠から)取り出・した(飯。おこわ)」

  「プカ・ツ」、PUKA-TU(puka=eager,overheated,out of breathe,exhausted by exertion,etc.;tu=fight with,energetic)、「せっせと・(蒸籠で)過熱した(食物。ふかしたおこわ)」(「プカ」のP音がF音を経てH音に変化して「フカ」と、「ツ」が「ス」となった。)

  「オ・プカ・チ」、O-PUKA-TI(o=the...of;puka=eager,overheated,out of breathe,exhausted by exertion,etc.;ti=throw,cast,overcome)、「例の・(蒸籠で)過熱・した(食物。ふかしたおこわ)」(「プカ」のP音がF音を経てH音に変化して「フカ」と、「チ」が「シ」となった。)

  「コワ・マエ・エチ」、KOWHA-MAE-ETI(kowha=split open,take out of the shell,cookies taken out of the shells;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(蒸籠から)取り出した・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯。おこわ)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となり、その語尾のE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)(「めし」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項の「めし(飯)」を参照してください。)

  「ア・カ・ママ」、A-KA-MAMA(a=the...of,belonging to;ka=take fire,be lighted,burn;mama=freed from tapu)、「燃える火・のような(赤い色をした)・(特別な禁忌のない)自由に食べられる食物(あかまま)」

  「オ・コワ・エ」、O-KOWHA-E(o=the...of;kowha=split open,take out of the shell,cookies taken out of the shells;e=to give emphasis)、「例の・ほんとに・(蒸籠から)取り出した(飯。おこわ)」(また「コワ」のWHA音がUA音に変化し、「エ」のE音と連結してUE音に変化して「コウエ」から「コウェァー」となった)

  「アツア・キ・(ン)ゴウ(ン)ゴウ・(ハン)」、ATUA-KI-MAMA(atua=god,object of superstitious regard,strange,extraordinary;ki=full,very;ngoungou=throughly ripe,well cooked)、「特別の場合に・(食べることが)多い(穀物(あずき)を入れた)・良く調理された(食物。あずきごはん)」(「アツア」の語尾のA音が脱落(名詞形の語尾のA音は脱落することが多い)して「アツ」から「アズ」と、「(ン)ゴウ(ン)ゴウ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ゴウ」から「ゴ」となつた。)

  「ア・ツツ・ノ・マエ・エチ」、A-TUTU-NO-MAE-ETI(a=the...of,belonging to;tutu=stand erect,be prominent;no=of;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「例の・傑出した(特別な食物)・の・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯。おこわ)」(「ア・ツツ」が「アツッ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となり、その語尾のE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「ツア・カメ」、TUA-KAME(tua=tu=manner,to signify a moderate degree of the quality expressed;kame=eat,food)、「(生活の節々で供される)穏健妥当な(特に豪華でも質素でもない)・食物(おこわ)」

  「カチ・チヒ」、KATI-TIHI(kati=leave off,so be it,well,enough;tihi=summit,top,lie in a heap)、「最高に・良い(食物。おこわ)」(「カチ」が「カシ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「チー」となった)

の転訛と解します。

028おしめ(襁褓)・シメシ・オスメ・スメス・オシミ・オムツ・ムツキ・モチキ・シメジ・モズキ・カコー・カコービ

 「おしめ」の方言には、岩手、秋田などの「シメシ」、宮城の「オスメ」、山形の「スメス」、神奈川の「オシミ」、長野、岐阜などの「オムツ」、鳥取の「ムツキ」、島根の「モチキ」、熊本の「シメジ」(「シメシ」と同語源)、宮崎の「モズキ」、沖縄那覇の「カコー」、沖縄首里の「カコービ」があります。

 この「おしめ」、「シメシ」、「オスメ」、「スメス」、「オシミ」、「オムツ」、「ムツキ」、「モチキ」、「シメジ」、「モズキ」、「カコー」、「カコービ」は、

  「オ・チ・メ」、O-TI-ME(o=the...of;ti=throw,cast;me=with,denoting concomittance or concurrence in time)、「例の・(乳児の尻に必ず)一緒に・付けられたもの(おしめ)」

  「チ・メ・チ」、TI-ME-TI(ti=throw,cast,squeek,tingle;me=with,denoting concomittance or concurrence in time)、「(乳児の尻に必ず)一緒に・付けられた・(ごわごわ)ひりひりと(乳児を)悩ますもの(おしめ)」(「チメチ」から「シメシ」と、また濁音化して「シメジ」となった)

  「オ・ツ・メ」、O-TU-ME(o=the...of;tu=stand,settle;me=with,denoting concomittance or concurrence in time)、「例の・(乳児の尻に必ず)一緒に・付けられたもの(おしめ)」

  「オ・チ・ミ」、O-TI-MI(o=the...of;ti=throw,cast;(Hawaii)mi=urine)、「例の・(乳児が)尿を・(そこに)出すもの(おしめ)」

  「オ・ムツ」、O-MUTU(o=the...of;mutu=brought to an end,left off)、「例の・(乳児の排尿行為の)始末をするもの」

  「ムツ・キ」、MUTU-KI(mutu=brought to an end,left off;ki=full,very,to(of place etc.),into,upontowards)、「例の・(乳児の排尿行為を)そこで・始末をするもの(おむつ)」

  「モチ・キ」、MOTI-KI(moti=consumeed,scarce,surfeited;ki=full,very,to(of place etc.),into,upontowards)、「(乳児の尿を)そこに・存分に吸収するもの(おむつ)」

  「モツ・キ」、MOTU-KI(motu=severed,separated,cold;ki=full,very,to(of place etc.),into,upontowards)、「(乳児にとって)冷たくて嫌なもの(おむつ)」(「モツキ」が「モスキ」から「モズキ」となった)

  「カカウ」、KAKAU(stalk of a plant)、「(稲・麦などの桿)藁(のおしめ)」(AU音がO音に変化して「カコ」から「カコー」となった)

  「カカウ・ピ」、KAKAU-PI(kakau=stalk of a plant;pi=young of birds,slight,take no notice of)、「若い・(稲・麦などの桿)藁(のおしめ)」(AU音がO音に変化して「カコ」から「カコー」となった)

の転訛と解します。

029おしゃべり(お喋り)・チャッペ・クチャベリ・ヘラズグ・サベチョ・ヘラリ・ヘラグリ・オシャマ・シャベッチョ・チャベ・オチャベ・シャベリバチ・オシャンベラ・ドシャベ・オシャンベリ・ソーマシーシト・シャベリ・ヨーシャベー・ビチャ・カバチタレ・ヨーモトルヒト・ゴジャリ・シャベクリ・アゴタンノキク・アゴタタキ・クチガサカシー・シャベゴロ・ユンタクー・ムヌユマー・チャベコキ・オクチ・カバチ

 「おしゃべり」の方言には、北海道の「チャッペ」、青森の「クチャベリ」、岩手の「クッチャベリ」(「クチャベリ」と同語源)、宮城の「ヘラズグ」、秋田の「サベチョ」、山形の「ヘラリ」、福島の「ヘラグリ」、千葉の「オシャマ」、新潟の「シャベッチョ」、富山の「チャベ」、石川の「オチャベ」、福井の「シャベリバチ」、山梨の「オチャベリ」(「おしゃべり」と同語源)、長野の「オシャンベラ」、岐阜の「ドシャベ」、静岡の「オシャンベリ」、愛知の「ソーマシーシト」、三重、鳥取の「オシャベ」(「オチャベ」と同語源)、滋賀、大阪などの「シャベリ」、島根の「ヨーシャベー」、岡山の「ビチャ」、広島の「カバチタレ」、徳島の「ヨーモトルヒト」、香川の「ゴジャリ」、高知、福岡の「シャベクリ」、佐賀の「アゴタンノキク」、熊本の「アゴタタキ」、大分の「クチガサカシー」、鹿児島の「シャベゴロ」、沖縄那覇の「ユンタクー」、沖縄首里の「ムヌユマー」があります。

 上記のほか、石川の「チャベコキ」、香川の「オクチ」、「カバチ」があります。

 この「おしゃべり」、「チャッペ」、「クチャベリ」、「ヘラズグ」、「サベチョ」、「ヘラリ」、「ヘラグリ」、「オシャマ」、「シャベッチョ」、「チャベ」、「オチャベ」、「シャベリバチ」、「オシャンベラ」、「ドシャベ」、「オシャンベリ」、「ソーマシーシト」、「シャベリ」、「ヨーシャベー」、「ビチャ」、「カバチタレ」、「ヨーモトルヒト」、「ゴジャリ」、「シャベクリ」、「アゴタンノキク」、「アゴタタキ」、「クチガサカシー」、「シャベゴロ」、「ユンタクー」、「ムヌユマー」、「チャベコキ」、「オクチ」、「カバチ」は、

  「オ・チ・イア・パイリ」、O-TI-IA-PAIRI(o=the...of;ti=squeak,tingle;ia=indeed;pairi=disquieted,afraid,solicitous)、「例の・(他人の迷惑をかえりみずに)声高に話し・まくって・落ち着きがない(さま。おしゃべり)」(「チ・イア」が「チャ」から「シャ」と、「パイリ」のAI音がE音に変化して「ペリ」から「ベリ」となつた)

  「チ・イア・ツペ」、TI-IA-TUPE(ti=squeak,tingle;ia=indeed;tupe,whakatupe=frighten by shouting at)、「実に・大声で呼びかけるように・(他人の迷惑をかえりみずに)話す(さま。おしゃべり)」(「チ・イア」が「チャ」となつた)

  「ク・チ・イア・パイリ」、KU-TI-IA-PAIRI(ku=silent,weary.exhausted;ti=squeek,tingle;ia=indeed;pairi=disquieted,afraid,solicitous)、「疲れるほどに・実に・落ち着き無く・声高に語りかける(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」と、「パイリ」のAI音がE音に変化して「ペリ」から「ベリ」となつた。また「クチャ」が促音化して「クッチャ」となった)

  「ヘ・ラ・ツ(ン)グ」、HE-RA-TUNGU(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;ra,rara=make a continued dull sound,roar;tungu=kindle)、「とんでもない・(灯火に照らされて明るい)陽気な・大声を上げる(おしゃべり)」(「ツ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ツグ」から「ズグ」となった)

  「タパエ・チオ」、TAPAE-TIO(tapae=lay one on another,stack,surround,present;tio=cry,call)、「叫び声を・続けさまに上げる(おしゃべり)」(「タパエ」のAE音がE音に変化して「タペ」から「サベ」と、「チオ」が「チョ」となった)

  「ヘ・ラリ」、HE-RARI(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;rari=make an uproar,disturbance)、「とんでもない・大声を上げる(おしゃべり)」

  「ヘ・ラ・(ン)グ・リ」、HE-RA-NGU-RI(he=wrong,erring,in trouble or difficulty;ra,rara=make a continued dull sound,roar;ngu=greedy,moan,groan;ri=screen,protect,bind)、「とんでもない・大声に・あわせて・うなり声を・上げる(おしゃべり)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「オ・チ・イア・マ」、O-TI-IA-MA(o=the...of;ti=squeak,tingle;ia=indeed;ma=clean,white,for,by)、「例の・実に・清らかな・声高の話し(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」となつた)または「オ・チア・マ」、O-TIA-MA(o=the...of;tia=stick in,adorn by sticking in feathers;ma=clean,white,for,by)、「例の・羽根を(鉢巻に)挿す・といった(大人と同じ)仕草をする(さま)」(「チア」が「チャ」から「シャ」となつた)

  「チ・イア・パイ・チオ」、TI-IA-PAI-TIO(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant;tio=cry,call)、「実に・陽気な・叫び声のような・声高に語りかける(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、「チオ」が「チョ」となった)

  「チ・イア・パイ」、TI-IA-PAI(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「実に・陽気に・声高に語りかける(おしゃべり)」(「チア」が「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「オ・チ・イア・パイ」、O-TI-IA-PAI(o=the...of;ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「例の・実に・陽気に・声高に語りかける(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「チ・イア・パイリ・パチ」、TI-IA-PAIRI-PATI(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pairi=disquieted,afraid,solicitous;pati=shallow water,shoal)、「(浅瀬が絶え間なく騒音を立てるように)ざわざわと・実に・落ち着き無く・声高に語りかける(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「オ・チ・アナ・ペラ」、O-TI-ANA-PERA(o=the...of;ti=squeak,tingle;ana=denoting continuance of action or state;pera=grease,blubber)、「例の・たっぷりと潤滑油を差したように・声高に語り・続ける(おしゃべり)」(「ア・アナ」が「チャン」から「シャン」と、「ペラ」が「ベラ」となった)

  「ト・チ・イア・パイ」、TO-TI-IA-PAI(to=drag;ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「実に・陽気に・どんどんと・声高に語りかける(おしゃべり)」(「ト」が「ド」と、「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「オ・チ・アナ・パイリ」、O-TI-ANA-PAIRI(o=the...of;ti=squeak,tingle;ana=denoting continuance of action or state;pairi=disquieted,afraid,solicitous)、「例の・落ち着き無く・声高に語り・続ける(おしゃべり)」(「ア・アナ」が「チャン」から「シャン」と、「パイリ」のAI音がE音に変化して「ペリ」から「ベリ」となった)

  「トフ・マチ・チト」、TOHU-MATI-TITO(tohu=mark,point out,show;mati=surfeited;tito=compose,invent impromptu,do anything without previous practice)、「即興での語りを・存分に楽しんでいることを・見せつける(おしゃべり)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ソー」と、「マチ」が「マシ」、「マシー」と、「チト」が「シト」となつた)

  「チ・イア・パイリ」、TI-IA-PAIRI(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pairi=disquieted,afraid,solicitous)、「(他人の迷惑をかえりみずに)声高に話し・まくって・落ち着きがない(さま。おしゃべり)」(「チ・イア」が「チャ」から「シャ」と、「パイリ」のAI音がE音に変化して「ペリ」から「ベリ」となつた)

  「イオ・チ・イア・パイ」、IO-TI-IA-PAI(io=tough,hard,obstinate;ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「実に・陽気に・倦むこと無く・声高に語りかける(おしゃべり)」(「イオ」が「ヨ」から「ヨー」と、「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」、「ベー」となった)

  「ピ・チ・イア」、PI-TI-IA(pi=flow of the tide;ti=squeak,tingle;ia=indeed)、「実に・水が流れるように・声高に語りかける(おしゃべり)」(「ピ」が「ビ」と、「チ・イア」が「チャ」となつた)

  「カパ・チ・タレ」、KAPA-TI-TARE(kapa=row,play,disobedient,wayward;ti=squeek,tingle;tare=send)、「一人よがりの(言葉を)・声高に・語る(おしゃべり)」 (「カパ」が「カバ」となった)(この語については、雑楽篇(その一)の205かばちたれの項を参照してください。)

  「イオ・モト・ルヒ・ト」、IO-MOTO-RUHI-TO(io=tough,hard,obstinate;moto=strike with the fist;ruhi=weak,exhausted:to=drag)、「倦むことなく・(打撃を与え)声高に語り続けて・疲れて・しまう(おしゃべり)」(「イオ」が「ヨ」から「ヨー」となった)

  「(ン)ガウ・チ・イア・リ」、NGAU-TI-IA-RI(ngau=bite,hurt,attack;ti=squeak,tingle;ia=indeed;ri=screen,protect,bind)、「噛みつくように・実に・声高に語りかけ・(衝立を作る)他のことに耳を貸さない(おしやべり)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「チ・イア」が「チャ」から「シャ」、「ジャ」となつた)

  「チ・イア・パイ・クフ・リ」、TI-IA-PAI-KUHU-RI(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant;kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;ri=screen,protect,bind)、「実に・陽気に・声高に語りかけ・自分を紹介し・(衝立を作る)他のことに耳を貸さない(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「ア(ン)ゴ・タ(ン)ガ・ノ・キ・クフ」、ANGO-TANGA-NO-KI-KUHU(ango=gape,be open of things not fitting together,be consumed;tanga=be assembled,row;no=of;ki=full,very;kuhu=insert,conceal,introduce oneself into)、「口を開けた・まま(しゃべりっ放し)・の・自分を紹介することが・多い(おしゃべり)」(「ア(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「アゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「ア(ン)ゴ・タタキ」、ANGO-TATAKI(ango=gape,be open of things not fitting together,be consumed;tataki=racy,viscous)、「口を開けた(しゃべりが)・活発な(おしゃべり)」(「ア(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「アゴ」となった)

  「クチ・(ン)ガタ・カチ」、KUTI-NGATA-KATI(kuti=draw tightly together,contract,pinch;ngata=appeased,satisfied;kati=leave off,so be it,well,enough)、「(締めるもの)口が・十分に(しゃべって)・満足する(おしゃべり)」(「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」から「ガサ」と、「カチ」が゜カシ」、「カシー」となった)

  「チ・イア・パイ・(ン)ゴロ」、TI-IA-PAI-NGORO(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant;ngoro,ngongoro=snore,utter exclamations of surprise or admiration)、「実に・陽気に・声高に語りかけるのに・感嘆する(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、「(ン)ゴロ」のNG音がG音に変化して「ゴロ」となった)

  「イ・ウヌ・タク」、I-UNU-TAKU(i=past tense;unu=pull off,pull out,withdraw,exhibit;taku=slow(tataku=utter slowly,saying,any deliberate utterance))、「話が・流暢に・なされる(おしゃべり)」(「イ・ウヌ」が「ユヌ」から「ユン」と、「タク」が長音化して「タクー」となつた)

  「マヌ・イ・ウマ(ン)ガ」、MUNU-I-UMANGA(munu,munumunu=dredge,scrape up;i=past tense;umanga=pursuit,custom,accustomed,habituated)、「(話を)寄せ集めて繋いで行くのが・習慣となって・いる(おしゃべり)」(「イ」のI音と「ウマ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ユマ」から「ユマー」となつた)

  「チ・イア・パイ・コキ」、TI-IA-PAI-KOKI(ti=squeak,tingle;ia=indeed;pai=good,excellent,suitable,pleasant;koki=move ahead)、「実に・陽気に・声高に語りかけ・(話を)進めて行く(おしゃべり)」(「チ」のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「チャ」から「シャ」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「オク・チ」、OKU-TI((Hawaii)oku=to stand erect,protrude;ti=squeak,tingle)、「声高に話すのが・飛び抜けている(おしゃべり)」

  「カパ・チ」、KAPA-TI(kapa=row,play,disobedient,wayward;ti=squeak,tingle)、「一人よがりの(言葉を)・声高に語る(おしゃべり)」

の転訛と解します。

030おそろしい(恐ろしい)・オッカナイ・オッコネ・コワイ・オソガェー・オゾイ・キョーテー・イビセー・イェズカ・エスカ・オトロシカ・オジー・ッウトゥルサン・キョートイ・エジー

 「おそろしい」の方言には、北海道、東京などの「オッカナイ」、青森の「オッコネ」、岩手、新潟の「オッカネァ」(「オッカナイ」と同語源)、宮城、栃木などの「オッカネー」(「オッカナイ」と同語源)、秋田、福島などの「オッカネ」(「オッカナイ」と同語源)、山形の「オカナェ」(「オッカナイ」と同語源)、富山、石川等の「オトロシー」(「おそろしい」と同語源)、岐阜、三重などの「コワイ」、愛知の「オソガェー」、兵庫の「オットロシー」(「おそろしい」と同語源)、和歌山、鹿児島の「オトロシ」(「おそろしい」と同語源)、島根の「オゾイ」、岡山の「キョーテー」、広島の「イビセー」、福岡の「イェズカ」、佐賀、熊本の「エスカ」、長崎の「オトロシカ」、大分、宮崎の「オジー」、沖縄那覇の「ッウトゥルサン」があります。

 上記のほか、鳥取の「キョートイ」、熊本の「エジー」があります。」、

 この「おそろしい」、「オッカナイ」、「オッコネ」、「コワイ」、「オソガェー」、「オゾイ」、「キョーテー」、「イビセー」、「イェズカ」、「エスカ」、「オトロシカ」、「オジー」、「ッウトゥルサン」、「キョートイ」、「エジー」は、

  「オ・トロ・チ」、O-TORO-TI(o=the...of;toro=stretch forth,survey,enquire into by divination,consult by divination;ti=throw,cast,overcome)、「例の・占いで・未来を知ること(恐ろしい)」(「トロ」が「ソロ」と、「チ」が「シ」から「シイ」、「シー」となつた)

  「オ・カナ・アイ」、O-KANA-AI(o=the...of;kana=stare wildly,bewitch;ai=expressing the reason for which anything is done,marking the time or place of an action or event)、「例の・(それにかかわると)魔法をかけられて・しまうもの(恐ろしい)」(「カナ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「カナイ」となつた。また「カナイ」のAI音がE音に変化して「カネ」、「カネー」、「カネア」となった。また「アイ」が「カナ」と連結せずにAI音がE音に変化して「エ」となった)

  「オ・コネコネ」、O-KONEKONE(o=the...of;konekone=shy,weariness,repugnant)、「例の・(それにかかわることを避ける)嫌気がさすもの(恐ろしい)」(「コネコネ」の反復語尾が脱落して「コネ」となつた)

  「カウア・アイ」、KAUA-AI(kaua=do not;ai=expressing the reason for which anything is done,marking the time or place of an action or event)、「(それにかかわることは)してはならない・もの(こと。恐ろしい)」(「カウア」のAUA音がOWA音に変化し、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「コワイ」となつた)

  「オ・ト(ン)ガ・アイ」、O-TONGA-AI(o=the...of;tonga=to=set as the sun,dive;ai=expressing the reason for which anything is done,marking the time or place of an action or event)、「例の・(崖の上から)飛び込む・時の気持ちのような(恐ろしい)」(「ト(ン)ガ」の」のNG音がG音に変化して「トガ」から「ソガ」と、「アイ」のAI音がE音に変化して「エ」となった)

  「オ・ト・オイ」、O-TO-OI(o=the...of;to=set as the sun,dive;oi=shudder,move continuously,agitate)、「例の・(崖の上から)飛び込む・時の身震いのような(恐ろしい)()()」(「ト」が「ソ」から「ゾ」となり、その語尾のO音と「オイ」の語頭のO音が連結して「ゾイ」となった)

  「キオ・タイ」、KIO-TAI((Hawaii)kio=mock warfare;tai=tide,wave,anger,violence)、「凶暴で・残忍な殺し合い(戦争。恐ろしい)」(「キオ」が「キョ」、「キョー」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「テー」となった)または「キ・アウタイア」、KI-AUTAIA(ki=full,very;autaia=extraordinary,savage)、「とてつもない・残酷な(こと。恐ろしい)」(「アウタイア」のAU音がO音に、AI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「オテ」となり、「キ・オテ」から「キョーテー」となった)

  「イ・ピタイピタイ」、I-PITAITAI(i=past tense,from,beside,by;pitaitai,whakapitaitai=nibble)、「(人を)ひねり・潰す(恐ろしい)」(「ピタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「ピテ」から「ビセー」となった)

  「イ・ヘア・ツカハ」、I-HEA-TUKAHA(i=past tense,from,beside,by;hea=what place?,elsewhere,what is;tukaha=strenuous,vigorous,passionate)、「何と・まあ・武々しいこと(恐ろしい)」(「ヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「エ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「スカ」、「ズカ」となった)

  「ヘア・ツカハ」、HEA-TUKAHA(hea=what place?,elsewhere,what is;tukaha=strenuous,vigorous,passionate)、「何と・まあ・武々しいこと(恐ろしい)」(「ヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「エ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「スカ」となった)

  「オ・トロ・チ・カ」、O-TORO-TI-KA(o=the...of;toro=stretch forth,survey,enquire into by divination,consult by divination;ti=throw,cast,overcome;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「例の・占いで・未来を知る・とは(恐ろしい)」(「チ」が「シ」となつた)

  「オ・チ」、O-TI(o=the...of,of,belonging to;ti=squeak,tingle)、「(あまりの痛みに)悲鳴を上げる・ような気持ち(恐ろしい)」(「チ」が「シ」、「ジー」となつた)

  「ツ・ウト・ル・タネ」、TU-UTO-RU-TANE(tu=fight with,energetic;uto=revengeobject of one's revenge;ru=shake,agitate;tane=male,showing manly qualities)、「躍起になって・復讐しようと・興奮する・男(恐ろしい)」(「タネ」が「タン」から「サン」となつた)

  「キオ・トイ」、KIO-TOI((Hawaii)kio=mock warfare;toi=move quickly,encourage,incite)、「いよいよ凶暴さを増す・残忍な殺し合い(戦争。恐ろしい)」(「キオ」が「キョ」、「キョー」となった)

  「エ・チ」、E-TI(e=to give emphasis;ti=squeak,tingle)、「(あまりの痛みに)悲鳴を上げる・ような気持ち(恐ろしい)」(「チ」が「シ」、「ジー」となつた)

の転訛と解します。

031おたまじゃくし(蝌蚪)・モッケノマイコ・ギャラゴ・ギャールゴ・ガエランゴ・オダマコ・ケァールコンボ・ババスコ・オタマゲーロ・ジョンゴロ・ビク・アマッコ・タマグツ・カエルゴ・オタマ・カイルゴ・ギャイルゴー・ギャリコ・ビツゴンタン・ゲーノコ・ッアタビーングヮ・アタビーングヮ

 「おたまじゃくし」の方言には、青森の「モッケノマイコ」、岩手、秋田の「ギャラゴ」、宮城の「ギャールゴ」、山形の「ガエランゴ」、福島の「オダマコ」、茨城の「ケァールコンボ」、栃木の「ババスコ」、群馬、埼玉の「オタマゲーロ」、千葉の「ジョンゴロ」、山梨の「ビク」、長野の「アマッコ」、静岡の「オタマッコ」(「オダマコ」と同語源)、愛知の「タマグツ」、三重の「カエルゴ」、兵庫の「オタマ」、和歌山の「カイルゴ」、香川の「ギャイルゴー」、長崎の「ギャリコ」、熊本の「ビツゴンタン」、鹿児島の「ゲーノコ」、沖縄那覇の「ッアタビーングヮ」、沖縄首里の「アタビーングヮ」があります。

 この「おたまじゃくし」、「モッケノマイコ」、「ギャラゴ」、「ギャールゴ」、「ガエランゴ」、「オダマコ」、「ケァールコンボ」、「ババスコ」、「オタマゲーロ」、「ジョンゴロ」、「ビク」、「アマッコ」、「タマグツ」、「カエルゴ」、「オタマ」、「カイルゴ」、「ギャイルゴー」、「ギャリコ」、「ビツゴンタン」、「ゲーノコ」、「ッアタビーングヮ」、「アタビーングヮ」は、

  「オタ・マ・チ・アク・ウチ」、OTA-MA-TI-AKU-UTI(ota=unripe,refuse;ma=white,clean(mama=light,so quick);ti=stick,rod;aku=scrape out,cleanse;uti=bite)、「若い(生まれ立ての)・敏捷に動き回る・突き立てて(食い込ませて)・掻き取る・棒(杓子)に形の似た(動物。おたまじゃくし)」(「チ」と「アク」が連結して「チャク」となり、その語尾のU音と「ウチ」の語頭のU音が連結して「チャクチ」から「シャクシ」、「ジャクシ」となった)

  「モケ・ノ・マエコ」、MOKE-NO-MAEKO(moke=solitary;no=of;maeko=long tail feathers of the long tailed cuckoo)、「(単独で行動する)孤独・で・尻尾の長い(動物。おたまじゃくし)」(「マエコ」のAE音がAI音に変化して「マイコ」となった)

  「(ン)ギア・ラ(ン)ガハウ」、NGIA-RANGAHAU(ngia=seem,appear to be;rangahau=seek,pursue)、「(何かを)求めて動き廻る・ように見える(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャ」と、「ラ(ン)ガハウ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落し、AU音がO音に変化して「ラガオ」から「ラゴ」となった)

  「(ン)ギア・ル・(ン)ガウ」、NGIA-RU-NGAU(ngia=seem,appear to be;ru=shake,agitate;ngau=wander,go about)、「勢いよく・動き廻る・ように見える(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャ」、「ギャー」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「(ン)ガエ・ラ(ン)ガ・(ン)ガウ」、NGAE-RANGA-NGAU(ngae=swamp;ranga=raise,shoal of fish;ngau=wander,go about)、「沼に・群れをなして・動き回る(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ガエ」のNG音がG音に変化して「ガエ」と、「ラ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ラナ」から「ラン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「オタ・マ・カウ」、OTA-MA-KAU(ota=unripe,refuse;ma=white,clean(mama=light,so quick);kau=swim,wade)、「若い(生まれ立ての)・敏捷に動いて・泳ぎ廻る(動物。おたまじゃくし)」(「オタ」が「オダ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ケ・アル・コナ・ポ」、KE-ARU-KONA-PO(ke=different,strange;aru=follow,pursue;kona=that place,that circumstance;po,popo=crowd round,throng)、「あそこに・群れをなして・追いかけっこをしている・変なやつ(おたまじくし)」(「アル」が「アール」と、「コナ」が「コン」と、「ポ」が「ボ」となつた)

  「パパ・ツ・コフ」、PAPA-TU-KOHU(papa=pa=clump,group,flock,etc.;tu=stand,settle;kohu=hollow,concave,etc.)、「(穴)水溜まりに・群れをなして・いるもの(おたまじゃくし)」(「パパ」が「ババ」と、「ツ」が「ス」と、「コフ」のH音が脱落して「コ」となった)

  「オタ・マ・(ン)ゲロ」、OTA-MA-NGERO(ota=unripe,refuse;ma=white,clean(mama=light,so quick);ngero=very many)、「若い(生まれ立ての)・敏捷に動く・たくさんいる(動物。おたまじゃくし)」(「オタ」が「オダ」と、「カウ」AU音がO音に変化して「コ」と、「(ン)ゲロ」のNG音がG音に変化して「ゲロ」から「ゲーロ」となった)

  「チオニオニ・(ン)ガウ・ロ」、TIONIONI-NGAU-RO(tionioni=waggle,flutter;ngau=wander,go about;ro=roto=the inside)、「(沼の)中で・尻を振って・動き廻るもの(おたまじゃくし)」(「チオニオニ」の反復語尾が脱落して「チオニ」が「チオン」から「ジョン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「ピ・ク」、PI-KU(pi=young of birds or chick;ku=silent,wearied)、「静かな・小さいやつ(おたまじゃくし)」

  「ア・マ・カウ」、A-MA-KAU(a=the...of,belonging to;ma=white,clean(mama=light,so quick);kau=swim,wade)、「例の・敏捷に動いて・泳ぎ廻る(動物。おたまじゃくし)」(「カウ」AU音がO音に変化して「コ」となった)

  「タ・マ・(ン)グ・ツ」、TA-MA-NGU-TU(ta=the...of,dash,beat,lay;ma=white,clean(mama=light,so quick);ngu=silent,greedy,moan;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「例の・敏捷に・無言で・精力的に動き回る(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「カエア・ル・(ン)ガウ」、KAEA-RU-NGAU(kaea=wander;ru=shake,agitate;ngau=wander,go about)、「勢いよく・さまよいに・さまよっている(動物。おたまじゃくし)」(「カエア」の語尾のA音が脱落して「カエ」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「オタ・マ」、OTA-MA(ota=unripe,refuse;ma=white,clean(mama=light,so quick))、「若い(生まれ立ての)・敏捷に動く(動物。おたまじゃくし)」

  「カイ・ル・(ン)ガウ」、KAI-RU-NGAU(kai=fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate;ngau=wander,go about)、「勢いよく・懸命に為すべきことを果たそうと・さまよっている(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「(ン)ギア・イ・ル・(ン)ガウ」、NGIA-I-RU-NGAU(ngia=seem,appear to be;i=ferment,be stirred;ru=shake,agitate;ngau=wander,go about)、「活発に・勢いよく・さまよっている・ように見える(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャ」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」から「ゴー」となった)

  「(ン)ギア・アリ・カウ」、NGIA-ARI-KAU(ngia=seem,appear to be;ari=clear,appearance;kau=swim,wade)、「(何の考えもなく)無心に・泳いでいる・ように見える(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、その語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ギアリ」から「ギャリ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ピ・(ン)ゴ(ン)ゴ・タ(ン)ガ」、PI-NGONGO-TANGA(pi=young of birds or chick;ngongo=a pool of water in the hollow of a rock or tree;tanga=be assembled)、「小さな水溜まりに・生息する・小さな奴(おたまじゃくし)()」(「ピ」が促音化して「ビッ」と、「(ン)ゴ(ン)ゴ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ゴノ」から「ゴン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「(ン)ガイ・(ン)ガウ・カウ」、NGAI-NGAU-KAU(ngai=tribe or clan;ngau=wander,go about;kau=swim,wade)、「ただあてもなく・泳いでいる・部類の(動物。おたまじゃくし)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」から「ゲー」と、「(ン)ガウ」のNG音がN音に、AU音がO音に変化して「ノ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ツアタ・ピ・(ン)グハ」、TUATA-PI-NGUHA(tuata=early;pi=young of birds or chick;nguha=fight fiercely,rage)、「(早い)生まれ立ての・幼い・ものすごく暴れ回るやつ(おたまじゃくし)」(「ピ」が「ビー」と、「(ン)グハ」が「ングワ」となった)

  「アタ・ピ・(ン)グハ」、ATA-PI-NGUHA(ata=gently,clearly,early morning;pi=young of birds or chick;nguha=fight fiercely,rage)、「(早い)生まれ立ての・幼い・ものすごく暴れ回るやつ(おたまじゃくし)」(「ピ」が「ビー」と、「(ン)グハ」が「ングワ」となった)

の転訛と解します。

032おてだま(お手玉)・アヤコ・ダマ・ザンメス・ダマコ・ダンマ・タンメン・オヒトツ・オタマ・ナッコ・ナーヨ・ナンゴ・オジャミ・オジャメ・オシト・コンメ・オイッコ・ナナコ・コブ・コボイシ・イシナンゴ・オンジャミ・イナゴ・ッウトゥダマ・チャック

 「おてだま」の方言には、北海道、青森の「アヤコ」、岩手、長野の「ダマ」、宮城の「ザンメス」、秋田の「ダマコ」、山形の「ダンマ」、福島の「タンメン」、茨城の「オヒトツ」、栃木の「オヒトズ」(「オヒトツ」と同語源)、群馬、山梨の「オタマ」、埼玉の「ナッコ」、千葉の「ナーヨ」、新潟の「ナンゴ」、石川、福井などの「オジャミ」、愛知、熊本の「オジャメ」、三重の「オシト」、滋賀の「コンメ」、奈良の「オイッコ」、和歌山の「ナナコ」、鳥取の「コブ」、島根の「コボイシ」、岡山の「イシナンゴ」、高知の「オンジャミ」、鹿児島の「イナゴ」、沖縄那覇の「ッウトゥダマ」、沖縄首里の「オーシートー」(「オシト」と同語源)があります。

 上記のほか、福島の「チャック」があります。

 この「おてだま」、「アヤコ」、「ダマ」、「ザンメス」、「ダマコ」、「ダンマ」、「タンメン」、「オヒトツ」、「オタマ」、「ナッコ」、「ナーヨ」、「ナンゴ」、「オジャミ」、「オジャメ」、「オシト」、「コンメ」、「オイッコ」、「ナナコ」、「コブ」、「コボイシ」、「イシナンゴ」、「オンジャミ」、「イナゴ」、「ッウトゥダマ」、「チャック」は、

  「オ・テ(ン)ガ・タハ・マ」、O-TENGA-TAHA-MA(o=the...of;tenga=Adam's apple,distended,strained;taha=calabash with a narrow mouth;ma=white,clean(mama=light))、「例の・(中味が)詰まった・(口の小さいひょうたんのような)丸い・(小さくて可愛いい)軽いもの(おてだま)」(「テ(ン)ガ」の語尾のNGA音が脱落して「テ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「アイア・カウ」、AIA-KAU(aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency at any event,it is good,it serves one right;kau=swim,wade)、「上手に・(手の中で泳ぐように)動く(おてだま)」(「アイア」が「アヤ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「タハ・マ」、TAHA-MA(taha=calabash with a narrow mouth;ma=white,clean(mama=light))、「(口の小さいひょうたんのような)丸い・(小さくて可愛いい)軽いもの(おてだま)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」となった)

  「タ(ン)ガ・メ・ツ」、TANGA-ME-TU(tanga=be assembled;me=if,as if,;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「まるで・懸命の戦いを・集めたかのような(遊びの用具。おてだま)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ザン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「タハ・マ・カウ」、TAHA-MA-KAU(taha=calabash with a narrow mouth;ma=white,clean(mama=light);kau=swim,wade)、「(口の小さいひょうたんのような)丸い・(小さくて可愛いい軽い)ものが・(手の中で泳ぐように)動く(遊びの用具。おてだま)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「タ(ン)ガ・マ」、TANGA-MA(tanga=be assembled;ma=white,clean(mama=light))、「(小さくて可愛いい)軽いものを・集めた(遊びの用具。おてだま)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ダン」となった)

  「タ(ン)ガ・メネ」、TANGA-MENO(tanga=be assembled;meno,whakameno=show off,make a display)、「(玉を自在に)操るさまの見せ場を・集めた(遊びの用具。おてだま)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「メネ」が「メン」となった)

  「オヒ・タウ・ツ」、OHI-TAU-TU(ohi=be vigorous applied chiefly to childhood;tau=come to rest,be suitable,befit,be able;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「活発に・上手に・(精力的に)操る(遊びの用具。おてだま)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった。また「ツ」が「ズ」となった)

  「オ・タハ・マ」、O-TAHA-MA(o=the...of;taha=calabash with a narrow mouth;ma=white,clean(mama=light))、「例の・(口の小さいひょうたんのような)丸い・(小さくて可愛いい)軽いもの(おてだま)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「ナハ・ツ・カウ」、NA-TU-KAU(naha,nahanaha=well aranged,in good order;tu=stand,settle,fight with,energetic;kau=swim,wade)、「上手に・(精力的に)操って・(手の中で泳ぐように)動く(遊びの用具。おてだま)」(「ナハ」のH音が脱落して「ナ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「メ・イオ」、ME-IO(me=if,as if,like;io=tough,hard,obstinate,twitch)、「まるで・疲れを知らないように(玉を操り続ける。遊びの用具。おてだま)」(「メ」が「メー」と、「イオ」が「ヨ」となった)

  「ナナ・(ン)ガウ」、NANA-NGAU(nana=tend carefully,nurse;ngau=bite,act upon,attack,wander)、「丁寧に・操る(遊びの用具。おてだま)」(「ナナ」が「ナン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「オ・チア・アミ」、O-TIA-AMI(o=the...of;tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;ami=gather,collect)、「例の・(玉を操る)手さばきを・(いろいろ)集めた(遊びの用具。おてだま)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」となり、その語尾のA音と「アミ」の語頭のA音が連結して「ジャミ」となった)

  「オ・チア・アマイ」、O-TIA-AMAI(o=the...of;tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;amai=giddy,dizzy)、「例の・めまぐるしい・(玉を操る)手さばき(その遊びの用具。おてだま)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」となり、その語尾のA音と「アマイ」の語頭のA音が連結し、AI音がE音に変化して「ジャメ」となった)

  「オチ・トウトウ」、OTI-TOUTOU(oti=finished,gone or come for good;toutou=put articles into a receptacle,offer and withdraw)、「上手に・(玉を)投げ上げたり受け止めたりする(遊びの用具。おてだま)」(「オチ」が「オシ」と、「トウトウ」の反復語尾が脱落して「トウ」から「ト」となった。また「オーシートー」となった)

  「カウ・ナ・メ」、KAU-NA-ME(kau=swim,wade;na=satisfy,content;me=if,as if,like)、「まるで・(玉が)喜んで・(手の中で)泳いでいるような(遊びの用具。おてだま)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「オイ・カウ」、OI-KAU(oi=shudder,move continuously,agitate;kau=swim,wade)、「勢いよく・(玉を手の中で)泳がせる(遊びの用具。おてだま)」(「オイ」が促音化して「オイッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「ナナ・カウ」、NANA-KAU(nana=tend carefully,nurse;kau=swim,wade)、「丁寧に・(玉を手の中で)泳がせる(遊びの用具。おてだま)」(「ナナ」が「ナン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「カウ・プ」、KAU-PU(kau=swim,wade;pu=origin,precise,very,exceedingly)、「抜群の器用さで・(玉を手の中で)泳がせる(遊びの用具。おてだま)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「カウ・ポイ・イチ」、KAU-POI-ITI(kau=swim,wade;poi=ball,a light ball with a short string attached to it;iti=small,for a little while)、「小さな・玉を・(手の中で)泳がせる(遊びの用具。おてだま)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ポイ」の語尾のI音と「イチ」の語頭のI音が連結して「ポイチむから「ボイシ」となった)

  「イチ・ナナ・(ン)ガウ」、ITI-NANA-NGAU(iti=small,for a little while;nana=tend carefully,nurse;ngau=bite,act upon,attack,wander)、「小さな(玉を)・丁寧に・操る(遊びの用具。おてだま)」(「イチ」が「イシ」と、「ナナ」が「ナン」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「オ(ン)ガ・チア・アミ」、ONGA-TIA-AMI(onga=agitate,shake about;tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;ami=gather,collect)、「活発な・(玉を操る)手さばきを・(いろいろ)集めた(遊びの用具。おてだま)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「チア」が「チャ」から「ジャ」となり、その語尾のA音と「アミ」の語頭のA音が連結して「ジャミ」となった)

  「イナ・(ン)ガウ」、INA-NGAU(ina=adducing s fact as proof of anything,for since,when,to emphasis statements as to quality;ngau=bite,act upon,attack,wander)、「素晴らしい・(玉を)操る(遊びの用具。おてだま)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「ツ・ウト・タハ・マ」、TU-UTO-TAHA-MA(tu=stand,settle,fight with,energetic;uto=revenge(utouto=use vindictively);taha=calabash with a narrow mouth;ma=white,clean(mama=light))、「精力的に・(仇を討つように)しつこく続ける・(口の小さいひょうたんのような)丸い・(小さくて可愛いい)軽いもの(を操る遊びの用具。おてだま)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)

  「チア・ク」、TIA-KU(tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;ku=a game(=ti ringaringa=a game played by opening and shutting the hands while reciting certain verses))、「活発に手を動かす・(規則的に手を動かす遊びに似た)遊び(その用具。おてだま)」(「チア」が「チャ」となり、促音化して「チャッ」となった)

の転訛と解します。

033おてんば(お転婆)・オドゴメッケ・ジャッパ・オドゴアッパ・オドゴマチコ・ハネピン・キカンボ・ハネッカエリ・テンバノコ・オジャッカ・ハッサイ・オキャン・ハチメロ・オトコマシャ・テンバゴ・オトコマサリ・テンバ・オチャッピー・オトコマツ・ハチキン・オナテン・ハテメロ・ジャジャモン・ッアバサー・イキガヌクトール・サンパジ・オトコメロ・オトコネショ・オトコバッチョ・ヤンチャメロ

 「おてんば」の方言には、北海道の「オドゴメッケ」、青森の「ジャッパ」、岩手の「オドゴアッパ」、宮城、茨城の「オデンバ」(「おてんば」と同語源)、秋田の「オドゴマチコ」、山形の「ハネピン」、福島の「キカンボ」、栃木、千葉の「ハネッカエリ」、石川の「テンバノコ」、山梨の「オジャッカ」、愛知の「ハネカェーリ」(「ハネッカエリ」と同語源)、大阪の「ハッサイ」、兵庫の「オキャン」、奈良の「ハチメロ」、鳥取の「オトコマシャ」、島根の「テンバゴ」、岡山、宮崎の「オトコマサリ」、広島、熊本の「テンバ」、山口の「オチャッピー」、香川の「オトコマツ」、高知の「ハチキン」、佐賀の「オナテン」、大分の「ハテメロ」、鹿児島の「ジャジャモン」、沖縄那覇の「ッアバサー」、沖縄首里の「イキガヌクトール」があります。

 上記のほか、秋田の「サンパジ」、福井の「オトコメロ」、香川の「オトコネショ」、長崎の「オトコバッチョ」、大分の「ヤンチャメロ」があります。

 この「おてんば」、「オドゴメッケ」、「ジャッパ」、「オドゴアッパ」、「オドゴマチコ」、「ハネピン」、「キカンボ」、「ハネッカエリ」、「テンバノコ」、「オジャッカ」、「ハッサイ」、「オキャン」、「ハチメロ」、「オトコマシャ」、「テンバゴ」、「オトコマサリ」、「テンバ」、「オチャッピー」、「オトコマツ」、「ハチキン」、「オナテン」、「ハテメロ」、「ジャジャモン」、「ッアバサー」、「イキガヌクトール」、「サンパジ」、「オトコメロ」、「オトコネショ」、「オトコバッチョ」、「ヤンチャメロ」は、

  「オ・タイナ・パ」、O-TAINA-PA(o=the...of;taina=younger brother of a man,younger sister of a woman;pa=touch,reach,strike,accost)、「例の・ずうずうしく人に(話しかけるなど)接する・若い娘(お転婆)」(「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」と、「パ」が「バ」となった。また「テン」が「デン」となつた)

  「オ・トカウ・メケ」、O-TOKAU-MEKE(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;meke=strike with the fist)、「例の・装身具を着けない(男を)・拳骨で殴る(ような娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」から「ドゴ」と、「メケ」が「メッケ」となった)

  「チア・パ」、TIA-PA(tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake;pa=touch,reach,strike,accost)、「(人を)棒で・叩く(ような娘。お転婆)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」となり、促音化して「ジャッ」と、「パ」が「バ」となった)

  「オ・トカウ・アツ・パ」、O-TOKAU-ATU-PA(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;pa=touch,reach,strike,accost)、「例の・装身具を着けない(男を)・繰り返し・叩く(ような娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」から「ドゴ」と、「メケ」が「メッケ」となった)

  「オ・トカウ・マチコ」、O-TOKAU-MATIKO(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;matiko=descend)、「例の・装身具を着けない(男の)・血を引いている(男っぽい娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」から「ドゴ」となった)

  「ハネ・ピ(ン)ガ(ン)ガ」、HANE-PINGANGA(hane=be confounded,be silenced,be put to shame;pinganga=lean,shrunk)、「恥ずかしがることが・少ない(羞恥心がない娘。お転婆)」(「ピ(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がN音に変化し、反復語尾が脱落して「ピナ」から「ピン」となった)

  「キ・カナ・パウ」、KI-KANA-PAU(ki=full,very;kana=stare wildly.bewhitch;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「じっと・(無躾に)人を見つめることが・多い(娘。お転婆)」(「カナ」が「カン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「ハネ・カヘ・リ」、HANE-KAHE-RI(hane=be confounded,be silenced,be put to shame;kahe,kahekahe=pant;ri=screen,protect)、「恥ずかしがることを・極めて・嫌う(羞恥心がない娘。お転婆)」(「ハネ」が促音化して「ハネッ」と、「カヘ」のH音が脱落して「カエ」となった)

  「タイナ・パ・ノ・コ」、TAINA-PA-NO-KO(taina=younger brother of a man,younger sister of a woman;pa=touch,reach,strike,accost;no=of;ko=girl,also in addressing males)、「ずうずうしく人に(話しかけるなど)接する・若い・女の・子(お転婆)」(「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」と、「パ」が「バ」となった)

  「オ・チア・カハ」、O-TIA-KAHA(o=the...of;tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake;kaha=strong,strength,persistency)、「例の・棒で(人を)叩く・強い(娘。お転婆)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」となり、促音化して「ジャッ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「パ・タイ」、PA-TAI(pa=touch,reach,strike,accost;tai=anger,rage,violence)、「荒々しく・ずうずうしく人に(話しかけるなど)接する(娘。お転婆)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、促音化して「ハッ」と、「タイ」が「サイ」となった)

  「オ・キ・ア(ン)ギ」、O-KI-ANGI(o=the...of;ki=full,very;angi=free,without hindrance,move freely)、「例の・全く・勝手気ままに振る舞う(娘。お転婆)」(「ア(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「アニ」から「アン」となり、「キ・アン」が「キャン」となつた)

  「パチ・メロ」、PATI-MERO(pati=try to obtain by coaxing,flattery etc.;mero=small)、「(人の機嫌をとることが・少ない)愛想の・ない(娘。お転婆)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」となった)

  「オ・トカウ・マチア」、O-TOKAU-MATIA(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;matia=rest,cease)、「例の・装身具を着けない(男が)・休んでいるような(男ほどは荒々しくない娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」と、「マチア」が「マシャ」となった)

  「タイナ・パ・(ン)ガウ」、TAINA-PA-NGAU(taina=younger brother of a man,younger sister of a woman;pa=touch,reach,strike,accost;ngau=bite,hurt,attack)、「ずうずうしく人に(話しかけるなど)接し・襲いかかる・若い娘(お転婆)」(「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」と、「パ」が「バ」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)

  「オ・トカウ・マタ・リ」、O-TOKAU-MATA-RI(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;mata=face,surface,eye;ri=screen,protect)、「例の・装身具を着けない(男の)・(ような)顔で・(自らを)守る(娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」と、「マタ」が「マサ」となった)

  「タイナ・パ」、TAINA-PA(taina=younger brother of a man,younger sister of a woman;pa=touch,reach,strike,accost)、「ずうずうしく人に(話しかけるなど)接する・若い娘(お転婆)」(「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」と、「パ」が「バ」となった)

  「オ・チア・ピ」、O-TIA-PI(o=the...of;tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake;pi=young of birds etc.)、「例の・棒で(人を)叩く・若い(娘。お転婆)」(「チア」が「チャ」となり、促音化して「チャッ」と、「ピ」が「ピー」となった)

  「オ・トカウ・マツ」、O-TOKAU-MATU(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;matu=fat,richness of food,gist)、「例の・装身具を着けない(男の)・(本質的な)要素を備えている(娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」となった)

  「ハ・チキ・ナ」、HA-TIKI-NA(ha=what!;tiki=fetch,proceed to do something;na=particle used after words and clauses to indicate position near or connection with the person addressed)、「なんとまあ・物事をさっさと片づける・(女性である)ことよ(お転婆)」(語尾の「ナ」が「ン」となった)(雑楽篇(その一)の202はちきんの項を参照してください。)

  「オ(ン)ガ・タイナ」、ONGA-TAINA(onga=agitate,shake about;taina=younger brother of a man,younger sister of a woman)、「活発な・若い娘(お転婆)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」となった)

  「パタイ・メロ」、PATAI-MERO(patai=inquire,provoke,challenge,induce;mero=small)、「(刺激を受けて)奮い立っている・(小さい)若い(娘。お転婆)」(「パタイ」のP音がF音を経てH音に、AI音がE音に変化して「ハテ」となった)

  「チア・チア・マウヌ」、TIA-TIA-MAUNU(tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake;maunu=unfledged young birds)、「棒で(人を)叩きに・叩く・ひよっ子のような若い(娘。お転婆)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」と、「マウヌ」のAU音がO音に変化して「モヌ」から「モン」となつた)

  「ツア・パ・タ」、TUA-PA-TA(tua=mention the name of any one,influence by means of a spell;pa=touch,reach,strike,accost;ta=dash,beat,lay)、「呪文をかけられたように(何ら躊躇することなく)・ずうずうしく人に(話しかけるなど)接する・性格を示す(娘。お転婆)」(「パ」が「バ」と、「タ」が「サー」となった)

  「イキ・(ン)ガ・ヌク・トル」、IKI-NGA-NUKU-TORU(iki=consume,devastate,sweep away;nga=satisfied,breathe;nuku=wide extent,move;toru=toro=stretch forth,extend)、「(人を圧倒する)有無を言わせないことに・満足して・どんどん・行動する(娘。お転婆)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となった)

  「タネ・パ・チ」、TANE-PA-TI(tane=male,showing manly qualities;pa=touch,reach,strike,accost;ti=throw,cast,overcome)、「男のように・ずうずうしく人に(話しかけるなど)接して・(相手を)圧倒する(娘。お転婆)」(「タネ」が「タン」から「サン」と、「パ」が「バ」と、「チ」が「ジ」となった)

  「オ・トカウ・メロ」、O-TOKAU-MERO(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;mero=small)、「例の・装身具を着けない(男の)・小さい奴(のような娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」となった)

  「オ・トカウ・ネイ・チオ」、O-TOKAU-NEI-TIO(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;nei=to indicate continuance of action;tio=cry)、「例の・装身具を着けない(男のように)・叫び声を上げ・続ける(娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」と、「ネイ」が「ネ」となり、「チオ」が「チョ」から「ショ」となった)

  「オ・トカウ・パツ・チオ」、O-TOKAU-PATU-TIO(o=the...of;tokau=plain,devoid of ornament;patu=strike,beat,ill treat in any way;tio=cry)、「例の・装身具を着けない(男のように)・(人を)打ち・叫び声を上げる(娘。お転婆)」(「トカウ」のAU音がO音に変化して「トコ」と、「パツ」が「バッ」と、「チオ」が「チョ」となった)

  「イア・ナチ・ア・メロ」、IA-NATI-A-MERO(ia=indeed;nati=pinch or contract;a=drive,urge,compel;mero=small)、「実に・(自分の)主張に・拘る・小さい奴(娘。お転婆)」(「イア」が「ヤ」と、「ナチ・ア」が「ンチャ」ととなった)

の転訛と解します。

034おととい(一昨日)・オドデナ・オドドイナ・オドドェナ・オドデ・オドドェ・オトツイ・オッテー・オトチー・キノーオトトイ・ウッティー

 「おととい」の方言には、北海道の「オットイ」(「おととい」と同語源)、青森、宮城などの「オドデナ」、岩手の「オドドイナ」、山形の「オドドェナ」、福島の「オドデ」、茨城の「オドドェ」、栃木の「オドドイ」(「おととい」と同語源)、群馬、富山などの「オトツイ」、埼玉、千葉などの「オトテー」(「オドデ」と同語源)、新潟の「オトテナ」(「オドデナ」と同語源)、静岡の「オッテー」、岡山の「オトチー」、高知の「オトトゥイ」(「おととい」と同語源)、佐賀、鹿児島の「オトテ」(「オドデ」と同語源)、熊本の「キノーオトトイ」、宮崎の「オトチ」(「オトチー」と同語源)、沖縄那覇・首里の「ウッティー」があります。

 この「おととい」、「オドデナ」、「オドドイナ」、「オドドェナ」、「オドデ」、「オドドェ」、「オトツイ」、「オッテー」、「オトチー」、「キノーオトトイ」、「ウッティー」は、

  「アウト・タウイ」、AUTO-TAUI(auto=trailing behind,:taui=flight,retreat)、「(退却した)過ぎ去った(日の)・(さらに)後ろにある(日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「タウイ」のAU音がO音に変化して「トイ」またはAU音がOU音に変化して「トウイ」となつた。また「オト」の語尾の「ト」と「トイ」の語頭の「ト」が連結して「オトイ」から「オットイ」となった。さらに「オト」が「オド」と、「トイ」が「ドイ」となつた)

  「アウト・タイナ」、AUTO-TAINA(auto=trailing behind,:taina=younger brother of a man,younger sister of a woman)、「(今日の)弟妹(にあたる日。昨日の)・(さらに)後ろにある(日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」または「オド」と、「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」または「デナ」となつた)

  「アウト・タウイ・ナ」、AUTO-TAUI-NA(auto=trailing behind,:taui=flight,retreat;na=by,belonging to,indicating paretage or descent)、「(退却した)過ぎ去った(日の)・(さらに)後ろにある・子孫(にあたる日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オド」と、「タウイ」のAU音がO音に変化して「トイ」から「ドイ」となった)

  「アウト・タウエヘ・ナ」、AUTO-TAUEHE-NA(auto=trailing behind,:tauehe=tauwehe=separate,,divide,remove;na=by,belonging to,indicating paretage or descent)、「(動かした)過ぎ去った(昨日の)・(さらに)後ろにある・子孫(にあたる日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オド」と、「タウエヘ」のAU音がO音に変化し、H音が脱落して「トエ」から「ドェ」となった)

  「アウト・テ」、AUTO-TE(auto=trailing behind,:te,tete=young shoot,frond of plant or fern)、「(今日の)若枝(弟妹にあたる日。昨日の)(さらに)後ろにある(日。一昨日)(一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」または「オド」と、「テ」が「デ」または「テー」となつた)

  「アウト・タウエヘ」、AUTO-TAUEHE(auto=trailing behind,:tauehe=tauwehe=separate,,divide,remove)、「(動かした)過ぎ去った(昨日の)・(さらに)後ろにある(日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」から「オド」と、「タウエヘ」のAU音がO音に変化し、H音が脱落して「トエ」から「ドェ」となった)

  「アウト・ツイ」、AUTO-TUI(auto=trailing behind,:tui=pierce,lace,sew)、「(時の流れを)縫い進めた(日。昨日の)・(さらに)後ろにある(日。一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となつた)

  「オ・ツ・テ」、O-TU-TE(o=the...of;tu=stand,remain,fight with,persistent,continuous;te,tete=young shoot,frond of plant or fern)、「例の・(時の歩みに)取り残された(日。昨日の)・若枝(弟妹にあたる日。一昨日)」(「テ」が「テー」となつた)

  「アウト・オチ」、AUTO-OTI(auto=trailing behind,:oti=finished,then)、「(すでに)過ぎ去った(昨日を)・(さらに)追いかける(一昨日)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となり、「オト」の語尾のO音と「オチ」の語頭のO音が連結して「オトチ」から「オトチー」となつた)

  「キ・イノ・アウト・タウイ」、KI-INO-AUTO-TAUI(ki=full,very;ino=descendant;auto=trailing behind,:taui=flight,retreat)、「ほんとに・子孫にあたる・(退却した)過ぎ去った(日の)・(さらに)後ろにある(日。一昨日)」(「キ」のI音と「イノ」の語頭のI音が連結して「キノ」から「キノー」と、「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「タウイ」のAU音がO音に変化して「トイ」となつた)

  「ウ・ツ・テ」、O-TU-TE(u=be firm,be fixed;tu=stand,remain,fight with,persistent,continuous;te,tete=young shoot,frond of plant or fern)、「定まつた・(時の歩みに)取り残された(日。昨日の)・若枝(弟妹にあたる日。一昨日)」(「テ」が「テー」となつた)

の転訛と解します。

035おばけ(お化け)・モッコ・モンコ・オンバゲ・バゲモノ・モンモ・モモンガー・オジャモ・アモジョ・コーレー・マジムン・モンジャ・ボイボイ・オジョモ

 「おばけ」の方言には、青森、秋田の「モッコ」、岩手の「モンコ」、宮城の「オンバゲ」、山形、福島の「バゲモノ」、茨城、栃木の「オバゲ」(「おばけ」と同語源)、新潟、石川などの「バケモン」(「バゲモノ」と同語源)、富山の「モンモ」、山梨の「モモンガー」、香川の「オジャモ」、長崎の「アモジョ」、宮崎の「コーレー」、沖縄那覇・首里の「マジムン」があります。

 上記のほか、北海道の「モンジャ」、広島の「ボイボイ(幼児語)」、香川の「オジョモ」があります。

 この「おばけ」、「モッコ」、「モンコ」、「オンバゲ」、「バゲモノ」、「モンモ」、「モモンガー」、「オジャモ」、「アモジョ」、「コーレー」、「マジムン」、「モンジャ」、「ボイボイ」、「オジョモ」は、

  「オ・パ・ケ」、O-PA-KE(o=the...of;pa=block up,prevent,assault;ke=different,strange)、「例の・急に襲ってくる・奇妙なもの(お化け)」(「パ」が「バ」となつた)または「オパ・ケ」、OPA-KE(opa=throw,pelt;ke=different,strange)、「(それに)石を投げ付ける(追い払う)・奇妙なもの(お化け)」(「オパ」が「オバ」となつた)

  「マウ・コ」、MAU-KO(mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration;ko=to give emphasis)、「とてつもなく・恐ろしいもの(お化け)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となり、促音化して「モッ」となった)

  「マウ(ン)ガ・コ」、MAUNGA-KO(maunga=mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration;ko=to give emphasis)、「とてつもなく・恐ろしいもの(お化け)」(「マウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音かN音に変化して「モナ」から「モン」となった)

  「オニ・パ・ケ」、ONI-PA-KE(oni=move,wriggle;pa=block up,prevent,assault;ke=different,strange)、「うごめいている・急に襲ってくる・奇妙なもの(お化け)」(「オニ」が「オン」と、「パ」が「バ」となった)

  「パ・ケ・モノ」、PA-KE-MONO(pa=block up,prevent,assault;ke=different,strange;mono=plug,disable by means of incantation)、「急に襲ってくる・奇妙な・呪文を唱えて人の力を奪うもの(お化け)」(「パ」が「バ」と、「ケ」が「ゲ」となった。また「モノ」が「モン」となつた)

  「モノ・マウ」、MONO-MAU(mono=plug,disable by means of incantation;mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration)、「呪文を唱えて人の力を奪う・恐ろしいもの(お化け)」(「モノ」が「モン」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「マウ・マウ(ン)ガ」、MAU-MAUNGA(mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration;ko=to give emphasis;maunga=mountain)、「山に棲む・恐ろしいもの(お化け)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「マウ(ン)ガ」のAU音がO音に変化して「モンガ」となった)

  「オ・チア・マウ」、O-TIA-MAU(o=the...of;tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake;mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration)、「例の・棒で(人を)叩く・恐ろしいもの(お化け)」(「チア」が「チャ」から「ジャ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ア・マウ・チオ」、A-MAU-TIO(a=the...of,belonging to;mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration;tio=cry)、「例の・恐ろしい・叫び声をあげるもの(お化け)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「チオ」が「チョ」から「ジョ」となった)

  「コレ」、KORE(not,no,annihilation,destruction)、「(すべてを)破滅させるもの(お化け)」(「コレ」が「コーレー」となつた)

  「マチ・ムナ」、MATI-MUNA(mati=surfeited;muna,munamuna=dredge,scrape up)、「根こそぎ・奪い去るもの(恐ろしい。お化け)」(「マチ」が「マジ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「モノ・チア」、MONO-TIA(mono=plug,disable by means of incantation;tia=stick in,drive in pegs etc.,peg,stake)、「呪文を唱えて人の力を奪い・棒で(人を)叩くもの(お化け)」(「モノ」が「モン」と、「チア」が「チャ」から「ジャ」となった)

  「ポイ・ポイ」、POI-POI(poi=ball,bewitch,affect by occult means)、「(人に)魔法をかけに・かける(恐ろしいもの。お化け)」(「ポイ」が「ボイ」となった)

  「オ・チオ・マウ」、O-TIO-MAU(o=the...of;tio=cry;mau=fixed,caught,confined,expressing feelings of horror or admiration)、「例の・叫び声をあげる・恐ろしいもの(お化け)」(「チオ」が「チョ」から「ジョ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

の転訛と解します。

036おはよう(お早う)・オハヨーゴシ・オハヨガンス・ハヤエナッス・ハエーナー・オハヨサン・オハヨーゴイス・オハヨーゴザンス・イアンバイデス・ハヤイナモ・ハヤイナー・ハヤイノー・オハヨーゴァンス・オハヨーガース・オハヨーゴザス・オハヨーゴザンシタ・オハヨーゴザルマス・コンチャラゴワス・ッウキミソーチー・ウキミソーチー

 「おはよう」の方言には、北海道、宮城などの「オハヨー」(「おはよう」と同語源)、青森の「オハヨーゴシ」、岩手の「オハヨガンス」、山形の「ハヤエナッス」、福島の「ハエーナー」、福井の「オハヨサン」、山梨の「オハヨーゴイス」、長野、鳥取などの「オハヨーゴザンス」、静岡の「イアンバイデス」、愛知の「ハヤイナモ」、三重の「ハヤイナー」、滋賀、大阪などの「オハヨーサン」(「オハヨサン」と同語源)、和歌山の「ハヤイノー」、広島の「オハヨーガンス」(「オハヨガンス」と同語源)、山口の「オハヨーゴァンス」、徳島の「オハヨーガース」、福岡の「オハヨーゴザス」、佐賀の「オハヨーゴザンシタ」、熊本の「オハヨーゴザルマス」、宮崎の「ハエノー」(「ハヤイノー」と同語源)、鹿児島の「コンチャラゴワス」、沖縄那覇の「ッウキミソーチー」、沖縄首里の「ウキミソーチー」があります。

 この「おはよう」、「オハヨーゴシ」、「オハヨガンス」、「ハヤエナッス」、「ハエーナー」、「オハヨサン」、「オハヨーゴイス」、「オハヨーゴザンス」、「イアンバイデス」、「ハヤイナモ」、「ハヤイナー」、「ハヤイノー」、「オハヨーゴァンス」、「オハヨーガース」、「オハヨーゴザス」、「オハヨーゴザンシタ」、「オハヨーゴザルマス」、「コンチャラゴワス」、「ッウキミソーチー」、「ウキミソーチー」は、

  「オハ・イオ」、OHA-IO(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch)、「(ちょっと触れる程度に)軽く・挨拶する」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・チ」、OHA-IO-NGO-TI(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry:ti=throw,cast)、「(ちょっと触れる程度に)軽く・挨拶の・声を・掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「シ」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ガナ・ツ」、OHA-IO-NGANA-TU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong:tu=stand,settle)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶に・力を・籠める」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ハ・イア・エナ(ン)ガ・ツ」、HA-IA-ENANGA-TU(ha=what!;ia=rushing stream;enanga=like,having the form or appearance of;tu=stand,settle)、「なんと・(奔流のように)はやい・様相が・あることよ」(「イア」が「ヤ」と、「エナ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「エナ」となり、促音化して「エナッ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ハ・イア・エナ(ン)ガ」、HA-IA-ENANGA(ha=what!;ia=rushing stream;enanga=like,having the form or appearance of)、「なんと・(奔流のように)はやい・様相だこと」(「エナ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「エナ」となり、「イア」と連結した「イアエナ」のIAE音がIE音に変化して「イエナ」から「エーナー」となった)

  「オハ・イオ・タ(ン)ガ」、OHA-IO-TANGA(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;tanga=ta=dash,beat,lay)、「(ちょっと触れる程度に)軽く・挨拶を・掛ける」(「イオ」が「ヨ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴイ・ツ」、OHA-IO-NGOI-TU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngoi=strength,energy:tu=stand,settle)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶に・力を・籠める」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴイ」のNG音がG音に変化して「ゴイ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・タ(ン)ガ・ツ」、OHA-IO-NGO-TANGA-TU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry;tanga=ta=dash,beat,lay:tu=stand,settle)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶の・声を・出して・掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ザン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「イ・アナ・パイ・テ・ツ」、I-ANA-PAI-TE-TU(i=in comparison with;ana=denoting continuance of action or state;pai=good,excellent,suitable;te=to make an emphatic statement;tu=stand,settle)、「比較的に・良い・状況・です・ね」(「アナ」が「アン」と、「パイ」が「バイ」と、「テ」が「デ」と、「ツ」が「ス」となつた)

  「ハ・イア・イ・ナ・モ」、HA-IA-INA-MO(ha=what!;ia=rushing stream;i=past tense;na=to indicate position near ot connection with the person addressed,by,belonging to;mo=for,for the use of,against,etc.)、「なんと・(奔流のように)はや・い・なあ・それにしても」(「イア」が「ヤ」となった)

  「ハ・イア・イ・ナ」、HA-IA-I-NA-MO(ha=what!;ia=rushing stream;i=past tense;na=to indicate position near ot connection with the person addressed,by,belonging to;mo=for,for the use of,against,etc.)、「なんと・(奔流のように)はや・い・なあ・それにしても」(「イア」が「ヤ」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「ハ・イア・イ・ノ」、HA-IA-I-NO(ha=what!;ia=rushing stream;i=past tense;no=of,belonging to)、「なんと・(奔流のように)はや・い・ね」(「イア」が「ヤ」と、「ノ」が「ノー」となった。また「イア」のA音と「イ」のI音が連結してE音に変化して「イエ」から「エ」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・アナ・ツ」、OHA-IO-NGO-ANA-TU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry:ana=denoting continuance of action or state;tu=stand,settle)、「(ちょっと触れる程度に)軽く・挨拶の・声を・続けて・掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「アナ」が「アン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ガ・アツ」、OHA-IO-NGA-ATU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;nga=satisfied,breathe;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action)、「(ちょっと触れる程度に)軽く・挨拶を・ゆったりと・する」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「アツ」が「アース」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・タツ」、OHA-IO-NGO-TATU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry;tatu=reach the bottom,be at ease,consent)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶の・声を・ゆったりと掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タツ」が「ザス」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・タ(ン)ガ・チタハ」、OHA-IO-NGO-TANGA-TITAHA(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry;tanga=ta=dash,beat,lay:titaha=lean to one side,decline)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶の・声を・弱く・掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ザン」と、「チタハ」のH音が脱落して「シタ」となった)

  「オハ・イオ・(ン)ゴ・タル・マツ」、OHA-IO-NGO-TARU-MATU(oha=greet;io=muscle,tough,obstinate,twitch;ngo=cry;taru=shake,overcome:matu=fat,richness of food,gist)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶の・声を・(感動に)大いに・震えながら掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タル」が「ザル」と、「マツ」が「マス」となった)

  「コノ・チアラ・(ン)ゴ・ワツ」、KONO-TIARA-NGO-WHATU(kono=;tiara=;ngo=cry;whatu=)、「(ちょっと触れる程度に)軽い・挨拶の・声を・ゆったりと掛ける」(「イオ」が「ヨ」から「ヨウ」、「ヨー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タツ」が「ザス」となった)

  「カウナチ・アラ・(ン)ガウ・ワツ」、KAUNATI-ARA-NGAU-WHATU(kaunati=a pointed piece of wood which was rubbed upon another to produce fire;ara=rise,rise up,raise;ngau=bite,hurt,act upon,attack;whatu=weave garment or basket etc.)、「火起こし棒を・取り出して・(火を起こす屋内)作業が・終わった(すでに朝食を済ませた)」(「カウナチ」のAU音がO音に変化して「コナチ」から「コンチ」と、その「コンチ」と「アラ」が連結して「コンチャラ」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「ワツ」が「ワス」となった)

  「ツ・ウキ・ミ・トウ・チ」、TU-UKI-MI-TOU-TI(tu=fight with,energetic;uki=distant times past or future;(Hawaii)mi=urine(mimi=stream);tou=kindle,set on fire;ti=throw,cast)、「ちゃんと・とっくに・火に・水を・かけた(すでに朝食を済ませた)」(「トウ」が「ソー」と、「チ」が「チー」となった)

  「ウキ・ミ・トウ・チ」、UKI-MI-TOU-TI(uki=distant times past or future;(Hawaii)mi=urine(mimi=stream);tou=kindle,set on fire;ti=throw,cast)、「とっくに・火に・水を・かけた(すでに朝食を済ませた)」(「トウ」が「ソー」と、「チ」が「チー」となった)

の転訛と解します。

037おべっか・ベンコ・モジワラ・オヘズレマゲ・ケーハグ・ベンチャラ・オベンチャラ・オテンタラ・ジョーズ・ゴマスリ・アイソ・オジョーズ・オチューバイ・ウマイコトイー・キゲントリ・オツイコー・オヘツ・オトゥイショ・ミャーストッ・ミャース・メショトッ・メーシ・イージラ・ベンタレ・ベンコモ・ムイタリベ・マイストル・オメストル・メントスル

 「おべっか」の方言には、北海道の「ベンコ」、青森の「モジワラ」、岩手の「オヘズレマゲ」、秋田の「ケーハグ」、山形の「ベンチャラ」、福島、富山などの「オベンチャラ」、栃木の「オベンジャラ」(「オベンチャラ」と同語源)、群馬、山梨の「オテンタラ」、神奈川、石川などの「ジョーズ」、新潟、滋賀などの「ゴマスリ」、福井の「アイソ」、岐阜、愛知の「オジョーズ」、静岡の「オチューバイ」、三重の「ウマイコトイー」、和歌山の「キゲントリ」、鳥取の「オツイコー」、広島の「ジョーズー」(「ジョーズ」と同語源)、香川、愛媛の「オヘツ」、高知の「オトゥイショ」、佐賀の「ミャーストッ」、熊本の「ミャース」、鹿児島の「メショトッ」、沖縄那覇の「メーシ」、沖縄首里の「イージラ」があります。

 上記のほか、石川の「ベンタレ」、「ベンコモ」、鳥取の「ムイタリベ」、福岡の「マイストル」、「オメストル」、大分の「メントスル」があります。

 この「おべっか」、「ベンコ」、「モジワラ」、「オヘズレマゲ」、「ケーハグ」、「ベンチャラ」、「オベンチャラ」、「オテンタラ」、「ジョーズ」、「ゴマスリ」、「アイソ」、「オジョーズ」、「オチューバイ」、「ウマイコトイー」、「キゲントリ」、「オツイコー」、「オヘツ」、「オトゥイショ」、「ミャーストッ」、「ミャース」、「メショトッ」、「メーシ」、「イージラ」、「ベンタレ」、「ベンコモ」、「ムイタリベ」、「マイストル」、「オメストル」、「メントスル」は、

  「オ・パイ・ツカハ」、O-PAI-TUKAHA(o=the...of;pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;tukaha=strenuous,vigorous,headstrong,passionate)、「例の・人を喜ばす(言動を)・熱心にする(おべっか)」(「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ッカ」となった)
  または「オ・パエ・カハ」、O-PAE-KAHA(o=the...of;pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;kaha=a general term for several charms used when fishing or snaring birds etc.)、「例の・誰かに対する働きかけの・(目論見を成功させるために行う)事前の呪術(おべっか)」(「パエ」のAE音がE音に変化し、促音化して「ペッ」から「ベッ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「パイ(ン)ガ・コ」、PAINGA-KO(painga=pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;ko=to give emphasis)、「例の・人を喜ばす(言動。おべっか)」(「パイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)
  または「パエ(ン)ガ・コ」、PAENGA-KO(paenga=pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;ko=to give emphasis)、「あの・誰かに対する働きかけ(呪術。おべっか)」(「パエ(ン)ガ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)

  「モチ・ワラ」、MOTI-WARA(moti=consumed,scarce,surfeited;wara=desire,indistinct sound,indistinctly)、「(目論見が成功するかどうか)不確実性に賭ける・消耗する努力(おべつか)」

  「オ・ヘ・ツレ・マ(ン)ガイ」、O-HE-TURE-MANGAI(o=the...of;he=wrong,mistaken,in trouble or difficulty;ture=bend,bow;mangai=mouth)、「例の・(悪い)たくらみを持った・(頭を下げる)卑屈な追従の・口(言動。おべっか)」(「ツレ」が「ズレ」と、「マ(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「マゲ」となつた)

  「ケイ・ハ(ン)グ」、KEI-HANGU(kei=that not,do not;hangu=dumb,quiet,not talkative)、「寡黙・ではない(ぺらぺらとしゃべる。おべっか)」(「ハ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ハグ」となった)

  「パイ(ン)ガ・チア・アラ」、PAINGA-TIA-ARA(painga=pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;tia=stick in,drive in pegs etc.,adorn by sticking in feathers;ara=namely,in other words)、「人を喜ばす(言動を)・(注ェなどで)飾るように(おおげさに誇張して)・別の言葉で言う(おべんちゃら)」(「パイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」と、「チア」の語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「チアラ」から「チャラ」となった)
  または「パエ(ン)ガ・チ・アラ」、PAENGA-TI-ARA(paenga=pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;ti=throw,cast;ara=namely,in other words)、「誰かに対する働きかけの呪文を・別の言葉で・投げ掛ける(おべっか)」(「パエ(ン)ガ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」と、「チ・アラ」が「チャラ」となった)

  「オ・パイ(ン)ガ・チア・アラ」、O-PAINGA-TIA-ARA(o=the...of;painga=pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;tia=stick in,drive in pegs etc.,adorn by sticking in feathers;ara=namely,in other words)、「例の・人を喜ばす(言動を)・(注ェなどで)飾るように(おおげさに誇張して)・別の言葉で言う(おべんちゃら)」(「パイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」と、「チア」の語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「チアラ」から「チャラ」となった)
  または「オ・パエ(ン)ガ・チ・アラ」、O-PAENGA-TI-ARA(o=the...of;paenga=pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;ti=throw,cast;ara=namely,in other words)、「例の・誰かに対する働きかけの呪文を・別の言葉で・投げ掛ける(おべっか)」(「パエ(ン)ガ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」と、「チ・アラ」が「チャラ」となった。また「チャラ」が「ジャラ」となった)

  「オ・タイナ・タラ」、O-TAINA-TARA(o=the...of;taina=younger brother of a man,younger sister of a woman;tara=gossip,scandal)、「例の・陰口の・弟妹のようなもの(おべっか)」(「タイナ」のAI音がE音に変化して「テナ」から「テン」となつた)

  「チ・イオ・ウツ」、TI-IO-UTU(ti=throw,cast;io=muscle,tough,obstinate,twitch;utu=return for anything,satisfaction etc.,make response)、「丹念に・(人を満足させる)喜ばせる・(言葉を)投げ掛ける(おべっか)」(「チ」が「ジ」と、「イオ」が「ヨ」と、「ウツ」が「ウズ」となり、「ジヨウズ」が「ジョーズ」となつた)

  「(ン)ガウ・マハ・ツリ」、NGAU-MAHA-TURI(ngau=bite,hurt,act upon,attack;maha=many,abundant;turi=deaf,obstinate(whakaturi=love token,keepsake,propitiate))、「(人の)機嫌をとることを・何回となく・行う(おべっか)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「ツリ」が「スリ」となった)

  「アイ・タウ」、AI-TAU(ai=procreate,beget;tau=come to rest,come over,be suitable,be comely)、「(相手の)良い気持ちを・産み出す(良い気持ちにさせる。おべっか)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)

  「オ・チ・イオ・ウツ」、O-TI-IO-UTU(o=the...of;ti=throw,cast;io=muscle,tough,obstinate,twitch;utu=return for anything,satisfaction etc.,make response)、「例の・丹念に・(人を満足させる)喜ばせる・(言葉を)投げ掛ける(おべっか)」(「チ」が「ジ」と、「イオ」が「ヨ」と、「ウツ」が「ウズ」となり、「ジヨウズ」が「ジョーズ」となつた)

  「オ・チウ・パイ」、O-TIU-PAI(o=the...of;tiu=soar,wander,swing;pai=good,excellent,suitable)、「例の・気持ちよく・空に舞い上がる(気持ちにさせる。おべっか)」(「チウ」が「チュウ」と、「パイ」が「バイ」となつた)

  「ウ・マイ・コト・イ」、U-MAI-KOTO-I(u=say,be firm,reach its limit;mai=to indicate direction or motion towards,to indicate such relation to the principal character of the story;koto=sob,make a low sound;i=ferment,be stirred of the feelings)、「(相手を喜ばす)方向に向けて・(極限の)最高の・心に浮かぶ・(つぶやき)言葉を・話す(おべっか)」

  「キ・(ン)ゲネ・タウリ」、KI-NGENE-TAURI(ki=full,very;ngene=nene=fat,jest(whakanene=cause a pleasant sensation,soothe);tauri=fillet,band,bind,secure with a fillet)、「十分に・(相手を)喜ばせる(言葉を)・しっかりと(相手に)結びつける(おべっか)」(「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「タウリ」のAU音がO音に変化して「トリ」となつた)

  「オ・ツヒ・コウ」、O-TUHI-KOU(o=the...of;tuhi=injure;kou=good)、「例の・うまく・魔法にかけたようにする(おべっか)」(「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」となつた)

  「オ・ヘ・ツ」、O-HE-TU(o=the...of;he=wrong,mistaken,in trouble or difficulty;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「例の・(悪い)たくらみを持った・奮闘(おべっか)」

  「オ・トイ・チ・イオ」、O-TOI-TI-IO(o=the...of;toi=tip,summit;ti=throw,cast;io=muscle,tough,obstinate,twitch)、「例の・最高の(言葉を)・丹念に・投げ掛ける(おべっか)」(「トイ」が「トウイ」と、「チ・イオ」が「チョ」から「ショ」となつた)

  「ミイ・アツ・トト」、MII-ATU-TOTO((Hawaii)mii=clasp,fine-appearing,good-looking;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;toto=drag a number of objects,ooze,gush forth)、「耳ざわりの良い(言葉を)・水がしたたり落ちるように・掛け続ける(おべっか)」(「ミイ」の語尾のI音と「アツ」の語頭のA音が連結して「ミヤツ」から「ミャース」と、「トト」が「トッ」となつた)

  「ミイ・アツ」、MII-ATU((Hawaii)mii=clasp,fine-appearing,good-looking;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action)、「耳ざわりの良い(言葉を)・続ける(おべっか)」(「ミイ」の語尾のI音と「アツ」の語頭のA音が連結して「ミヤツ」から「ミャース」となつた)

  「メア・チ・イオ・トト」、ME-TI-IO-TOTO(mea=thing,reason,fact,say,wish;ti=throw,cast;io=muscle,tough,obstinate,twitch;toto=drag a number of objects,ooze,gush forth)、「(相手に対する)願いを・水がしたたり落ちるように・丹念に・投げ掛ける(おべっか)」(「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」と、「チ・イオ」が「チョ」から「ショ」と、「トト」が「トッ」となつた)

  「メア・チ」、MEA-TI(mea=thing,reason,fact,say,wish;ti=throw,cast)、「(相手に対する)願いを・投げ掛ける(おべっか)」(「メア」が「メー」と、「チ」が「シ」となつた)

  「イ・チ・イラ」、I-TI-IRA(i=ferment,be stirred of the feelings;ti=throw,cast;ira=life-principle)、「心に浮かんだ思いを・(自分の)信条として・投げ掛ける(おべっか)」(「イ」が「イー」と、「チ」のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「チラ」から「ジラ」となった)

  「パイ(ン)ガ・タレ」、PAINGA-TARE(painga=pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;tare=hang,be intent upon,send)、「人を喜ばす(言動を)・(その人に)投げ掛ける(おべっか)」(「パイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)
  または「パエ(ン)ガ・タレ」、PAENGA-TARE(paenga=pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;tare=hang,be intent upon,send)、「誰かに対する働きかけの呪文を・(その人に)投げ掛ける(おべっか)」(「パエ(ン)ガ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)

  「パイ(ン)ガ・コモ」、PAINGA-KOMO(painga=pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable;komo=thrust in,insert)、「人を喜ばす(言動を)・(その人に)投げ掛ける(おべっか)」(「パイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)
  または「パエ(ン)ガ・コモ」、PAENGA-KOMO(paenga=pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone;komo=thrust in,insert)、「誰かに対する働きかけの呪文を・(その人に)注入する(おべっか)」(「パエ(ン)ガ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ペナ」から「ベン」となった)

  「ムイ・タリ・パイ」、MUI-TARI-PAI(mui=swarm round,infest,molest;tari=carry,bring,noose for catching birds etc.,ensnare;pai=good,excellent,suitable,satisfactory,pleasant,agreeable)、「誰かに対する働きかけの呪文を・(相手に)まつわり掛け・誘い込む(おべっか)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)
  または「ムイ・タリ・パエ」、MUI-TARI-PAE(mui=swarm round,infest,molest;tari=carry,bring,noose for catching birds etc.,ensnare;pae=horizon,any transverse beam,lie across,be laid to the charge of anyone)、「誰かに対する働きかけの呪文を・(相手に)まつわり掛け・誘い込む(おべっか)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)

  「マイ・ツ・タウル」、MAI-TU-TAURU(mai=to indicate direction or motion towards,to indicate such relation to the principal character of the story;tu=fight with,nergetic;tauru=roiier for moving a canoe)、「(相手を喜ばす)方向に向けて・カヌーをころに載せて押すように・懸命に努力する(おべっか)」(「ツ」が「ス」と、「タウル」のAU音がO音に変化して「トル」となった)

  「オ・マイ・ツ・タウル」、O-MAI-TU-TAURU(o=the...of;mai=to indicate direction or motion towards,to indicate such relation to the principal character of the story;tu=fight with,nergetic;tauru=roiier for moving a canoe)、「例の・(相手を喜ばす)方向に向けて・カヌーをころに載せて押すように・懸命に努力する(おべっか)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「ツ」が「ス」と、「タウル」のAU音がO音に変化して「トル」となった)

  「メネ・ツ・タウル」、MENE-TU-TAURU(mene=be assembled.be completely recited(of incantation);tu=fight with,nergetic;tauru=roiier for moving a canoe)、「(人の心を変える)呪文を完璧に唱えて・カヌーをころに載せて押すように・懸命に努力する(おべっか)」(「メネ」が「メン」と、「ツ」が「ス」と、「タウル」のAU音がO音に変化して「トル」となり、「メンストル」が「メントスル」に変化した)

の転訛と解します。

038おめでとう(お目出度う)・オメデドーゴシ・オメデドガンス・オメデトゴジェンス・オメシトーゴイス・オメデトーゴザンス・オメデトーゴザイマス・オメデトーサン・オメレトー・オメデトーアリマス・オメデトーガース・オメデトゴザンシタ・メデタカ・オメットーゴザルマス・ヨカッタノ・オメデトナー・イーソーグヮチレールル・イーソーグヮチ・エガッタエナ・ヨカッタネー

 「おめでとう」の方言には、北海道、福島などの「オメデトー」(「おめでとう」と同語源)、青森の「オメデドーゴシ」、岩手、秋田の「オメデドガンス」、宮城、茨城の「オメデドー」(「おめでとう」と同語源)、山形の「オメデド」(「おめでとう」と同語源)、福井の「オメデトゴジェンス」、山梨の「オメシトーゴイス」、長野の「オメデトーゴザンス」、静岡、鳥取などの「オメデトーゴザイマス」、滋賀、京都などの「オメデトーサン」、兵庫の「オメデトーハン」(「オメデトーサン」と同語源)、和歌山の「オメレトー」、広島の「オメデトーガンス」(「オメデドガンス」と同語源)、山口の「オメデトーアリマス」、徳島の「オメデトーガース」、高知の「オメンデトー」(「おめでとう」が変化したもの)、佐賀の「オメデトゴザンシタ」、長崎の「メデタカ」、熊本の「オメットーゴザルマス」、宮崎の「ヨカッタノ」、鹿児島の「オメデトナー」、沖縄那覇の「イーソーグヮチレールル」、沖縄首里の「イーソーグヮチ」があります。

 上記のほか、秋田の「エガッタエナ」、佐賀の「ヨカッタネー」があります。

 この「おめでとう」、「オメデドーゴシ」、「オメデドガンス」、「オメデトゴジェンス」、「オメシトーゴイス」、「オメデトーゴザンス」、「オメデトーゴザイマス」、「オメデトーサン」、「オメレトー」、「オメデトーアリマス」、「オメデトーガース」、「オメデトゴザンシタ」、「メデタカ」、「オメットーゴザルマス」、「ヨカッタノ」、「オメデトナー」、「イーソーグヮチレールル」、「イーソーグヮチ」、「エガッタエナ」、「ヨカッタネー」は、

  「オ・マイタイ・トフ」、O-MAITAI-TOHU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by)、「全く・良いことが・見えている(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・チ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TI(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry:ti=throw,cast)、「全く・良いことが・見えていると・声を・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ドー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「シ」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ガナ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGANA-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong:tu=stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・力を・籠める(籠めていう。おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ド」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・チ・ヘ(ン)ギ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TI-HENGI-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry;ti=throw,cast;hengi=blow gentry;stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・優しい・調子で・声を・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ド」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「ジ」と、「ヘ(ン)ギ」のH音が脱落し、NG音がN音に変化して「エニ」から「エン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴイ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGOI-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngoi=strength,energy:tu=stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・力を・籠める(籠めていう。おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から語尾のE音がI音に変化して「メシ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「(ン)ゴイ」のNG音がG音に変化して「ゴイ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・タ(ン)ガ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TANGA-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry;tanga=ta=dash,beat,lay:tu=stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・声を・出して・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「ジ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」、「ザン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・タイママ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TAIMAMA-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry;taimama=light,not heavy;tu=stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・声を・軽く・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タイママ」の反復語尾が脱落して「タイマ」から「サイマ」、「ザイマ」と、「ツ」が「ス」ととなった)

  「オ・マイタイ・トフ・タ(ン)ガ」、O-MAITAI-TOHU-TANGA(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;tanga=ta=dash,beat,lay)、「全く・良いことが・見えていると・(軽く打つ)触れる(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった。また「サン」のS音がH音に変化して「ハン」となつた)

  「オ・メ・ヘレ・トフ」、O-ME-HERE-TOHU(o=the...of;me=if,as if,like:here=conciliate,propitiate;tohu=mark,sign,point out,show,lay by)、「全く・まるで・機嫌を取るかのように・見える(おめでとう)」(「メ」のE音と、「ヘレ」のH音が脱落して「エレ」となったその語頭のE音が連結して「メレ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・アリ・マツ」、O-MAITAI-TOHU-ARI-MATU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ari=clear,visible,appearance;matu=fat,richness of food,gist)、「全く・良いことが・見えることが・実に・明らかだ(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ガ・アツ」、O-MAITAI-TOHU-NGA-ATU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;nga=satisfied,breathe;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action)、「全く・良いことが・見えていると・ゆつたりと・いう(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「ガ・アツ」が「ガース」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・タ(ン)ガ・チタハ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TANGA-TITAHA(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry;tanga=ta=dash,beat,lay:titaha=lean to one side,decline)、「全く・良いことが・見えていると・弱い・声を・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」カラ「ト」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ザン」と、「チタハ」のH音が脱落して「チタ」から「シタ」となった)

  「マイタイ・タ・カ」、MAITAI-TA-KA(maitai=good,beautiful,agreeable;ta=dash,beat,lay;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「良いことが・ある・なあ(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」となった)

  「オ・マイタイ・トフ・(ン)ゴ・タルマ・ツ」、O-MAITAI-TOHU-NGO-TARUMA-TU(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;ngo=cry;taruma=be connected by family ties or friendship etc.;tu=stand,settle)、「全く・良いことが・見えていると・声を・親愛の情を籠めて・掛ける(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タルマ」が「ザルマ」と、「ツ」が「ス」ととなった)

  「イホ・カタ・ノ」、IHO-KATA-NO(iho=heart,inside,kernel;kata=laugh;no=of,belonging to)、「心から・笑った・ようだね(おめでとう)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「カタ」が「カッタ」となつた)

  「オ・マイタイ・トフ・ナ」、O-MAITAI-TOHU-NA(o=the...of;maitai=good,beautiful,agreeable;tohu=mark,sign,point out,show,lay by;na=to indicate position near ot connection with the person addressed,by,belonging to)、「全く・良いことが・見えている・なあ(おめでとう)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」と、「トフ」のH音が脱落して「ト」と、「ナ」が「ナー」となった)

  「イ・タウ・(ン)グ・ワチ・レイ・ルル」、I-TAU-NGU-WHATI-REI-RURU(i=past tense;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit;ngu=silent,greedy,moan;whati=come quickly,run,flow;rei=leap,rush,run;ruru=brandish,wave about)、「良いことが・そっと・足早にやって・来た・これ見よがしに・走って来た(おめでとう)」(「イ」が「イー」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソー」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「レイ」が「レー」となった)

  「イ・タウ・(ン)グ・ワチ」、I-TAU-NGU-WHATI(i=past tense;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit;ngu=silent,greedy,moan;whati=come quickly,run,flow)、「良いことが・そっと・足早にやって・来た(おめでとう)」(「イ」が「イー」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソー」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「エ・カタ・エナ」、E-KATA-ENA(e=to denote action in progress or tempolarry condition;kata=laugh;ena=tena=that,this,there)、「笑った・ね・これは(おめでとう)」(「カタ」が「ガッタ」となつた)

  「イホ・カタ・ネイ」、IHO-KATA-NEI(iho=heart,inside,kernel;kata=laugh;nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「心から・笑った・ようだね(おめでとう)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「カタ」が「カッタ」と、「ネイ」が「ネー」となつた)

の転訛と解します。

「カ」

039かえる(蛙)・ビッキ・モッケ・ケァールメ・ケールメ・ゲーロ・ゲァール・ギャワズ・ギャル・ゲァーロ・キャーロ・カイル・キャール・ギャーコ・ヒキ・オンビキ・ビキタン・ドンク・タンギャク・ドンコビッ・ッアタビー・アタビー・ドックー・バク・バクトン・カマバタ

 「かえる」の方言には、北海道、岩手などの「ビッキ」、青森の「モッケ」、山形の「ベッキ」(「ビッキ」と同語源)、福島、山梨の「ゲール」(「かえる」と同語源)、茨城の「ケァールメ」、栃木の「ケールメ」、群馬、埼玉などの「ゲーロ」、新潟の「ゲァール」、富山、石川の「ギャワズ」、福井の「ギャル」、岐阜の「ゲァーロ」、静岡の「キャーロ」、愛知の「ガェーロ」(「ゲーロ」と同語源)、三重の「ガイル」(「カイル」と同語源)、大阪の「カイル」、鳥取の「キャール」、島根の「ギャーコ」、岡山の「ギャール」(「キャール」と同語源)、広島、山口などの「ヒキ」(「ビッキ」と同語源)、徳島の「オンビキ」、香川の「ガエル」(「かえる」と同語源)、福岡の「ビキタン」、佐賀の「ビッキー」(ビッキ」と同語源)、長崎の「ドンク」、熊本の「タンギャク」、鹿児島の「ドンコビッ」、沖縄那覇の「ッアタビー」、沖縄首里の「アタビー」があります。

 上記のほか、佐賀の「ドックー」(殿様かえる)、大分の「バク・バクトン・カマバタ」(ひきがえる)があります。

 この「かえる」、「ビッキ」、「モッケ」、「ケァールメ」、「ケールメ」、「ゲーロ」、「ゲァール」、「ギャワズ」、「ギャル」、「ゲァーロ」、「キャーロ」、「カイル」、「キャール」、「ギャーコ」、「ヒキ」、「オンビキ」、「ビキタン」、「ドンク」、「タンギャク」、「ドンコビッ」、「ッアタビー」、「アタビー」、「ドックー」、「バク」、「バクトン」、「カマバタ」は、

  「カヘ・ル」、KAHE-RU(kahe,kahekahe=pant;ru=shake,agitate)、「腹を波打たせて・大きく息をする(動物。かえる)」(「カヘ」のH音が脱落して「カエ」となった。また「カエ」のAE音がE音に変化し、濁音化して「ゲ」から「ゲー」となった。また「カエ」が濁音化して「ガエ」となった)(「かえる」については、雑楽篇(その二)の604かえる(蛙)の項を参照してください。)

  「ピ・キ」、PI-KI(pi=eye,corner of the eye or mouth;ki=full,very)、「眼が・突出している(動物。かえる)」(「ピ」が「ビッ」となった。また「キ」が「キー」となった。また「ピ」のI音がE音に変化して「ベ」から「ベッ」となった。また「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」となった)(「びっき」については、雑楽篇(その二)の608びっき(蛙)(嬰児)の項を参照してください。)

  「モケ」、MOKE(solitary,lonely)、「孤独な(一匹だけで居ることが多い)動物(かえる)」(「モケ」が「モッケ」となった)

  「カエア・アル・メ」、KAEA-ARU-ME(kaea=wander;aru=follow,pursue;me=mei-me(mei=according to,judging by;me=if,as if,like))、「追い駈けっこをしながら・さまよう・(見て・判断するもの)眼(の大きい動物。かえる)」(「カエア」のAE音がE音に変化し、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ケアル」から「ケァール」となった)

  「カヘ・ル・メ」、KAHE-RU-ME(kahe,kahekahe=pant;ru=shake,agitate;me=mei-me(mei=according to,judging by;me=if,as if,like))、「腹を波打たせて・大きく息をする・(見て・判断するもの)眼(の大きい動物。かえる)」(「カヘ」のH音が脱落し、そのAE音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「カヘ・ラウ」、KAHE-RAU(kahe,kahekahe=pant;rau=project,extend)、「(腹で)大きく息をする・(眼が)突出した(動物。かえる)」(「カヘ」のH音が脱落して「カエ」となり、そのAE音がE音に変化し、濁音化して「ゲ」から「ゲー」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった。また「カエ」が「ガェー」となつた)

  「カエア・アル」、KAEA-ARU(kaea=wander;aru=follow,pursue)、「追い駈けっこをしながら・さまよう(動物。かえる)」(「カエア」のAE音がE音に変化し、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ケアル」から「ゲァール」となった)

  「(ン)ギア・ワツ」、NGIA-WHATU(ngia=seem,appear to be;whatu=stone,eye)、「眼が・(大きく)見える(動物。かえる)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャ」と、「ワツ」が「ワズ」となった)

  「(ン)ギア・アル」、NGIA-ARU(ngia=seem,appear to be;aru=follow,pursue)、「追い駈けっこをしている・ように見える(動物。かえる)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ギアル」から「ギャル」となった)

  「カエア・ラウ」、KAEA-RAU(kaea=wander;rau=project,extend)、「追い駈けっこをする・(眼が)突出した(動物。かえる)」(「カエア」のAE音がE音に変化して「ケア」から「ゲァー」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

  「キア・ロ」、KIA-RO(kia=to denote wish or purpose or effect:ro=go)、「今にも飛び跳ねる・構えをしている(動物。かえる)」(「キア」が「キャ」から「キャー」となった)

  「カ・イ・ル」、KA-I-RU(ka=to denote the commencement of a new action or condition:i=ferment,be stirred of feelings;ru=shake,agitate)、「身を震わして・動き出そうと・している(動物。かえる)」(「カ」が濁音化して「ガ」となった)

  「キア・ル」、KIA-RU(kia=to denote wish or purpose or effect:ru=shake,agitate)、「身を震わす・構えをしている(動物。かえる)」(「キア」が「キャ」から「キャー」となった)

  「キア・カウ」、KIA-KAU(kia=to denote wish or purpose or effect:kau=swim,wade)、「今にも(水に)飛び込んで泳ぐ・構えをしている(動物。かえる)」(「キア」が「キャ」から「ギャー」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「オ(ン)ガ・ピ・キ」、ONGA-PI-KI(onga=agitate,shake about;pi=eye,corner of the eye or mouth;ki=full,very)、「身を震わしている・眼が・突出している(動物。かえる)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「ピ」が「ビ」となった)

  「ピ・キ・タ(ン)ガ」、PI-KI-TANGA(pi=eye,corner of the eye or mouth;ki=full,very;tanga=be assembled,division or company(of persons))、「眼が・突出している・部類の(動物。かえる)」(「ピ」が「ビ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「タウ(ン)ガ・ク」、TAUNGA-KU(taunga=tau=come to rest,float,lie steeping in water;ku=silent)、「静かに・水中で休んでいる(動物。かえる)」(「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「ドン」となった)(「どんく」は「どんこ」ともいいます。雑楽篇(その二)の610どんこ(蛙)の項を参照してください。)

  「タ(ン)ガ・キア・ク」、TANGA-KIA-RU(tanga=be assembled,division or company(of persons);kia=to denote wish or purpose or effect:ru=shake,agitate)、「身を震わす・構えをしている・部類の(動物。かえる)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「キア」が「ギャ」となった)

  「タウ(ン)ガ・コピ」、TAUNGA-KOPI(taunga=tau=come to rest,float,lie steeping in water;kopi=weak,flacid,timid)、「水中で休んでいる・臆病な(動物。かえる)」(「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「ドン」と、「コピ」が「コビッ」となった)

  「ツ・アタ・ピ」、TU-ATA-PI(tu=stand,settle;ata=form,shape,shadow;pi=eye,corner of the eye or mouth)、「(突出した)眼が・ある・形態の(動物。かえる)」(「ピ」が「ビー」となった)

  「アタ・ピ」、ATA-PI(ata=form,shape,shadow;pi=eye,corner of the eye or mouth)、「(突出した)眼の(ある)・形態の(動物。かえる)」(「ピ」が「ビー」となった)

  「タウ・ク」、TAU-KU(tau=come to rest,float,lie steeping in water;ku=silent)、「静かに・水中で休んでいる(動物。かえる)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドッ」と、「ク」が「クー」となった)

  「パク」、PAKU(dried(papaku=congeal,become hard or dry))、「(敵に遭遇すると体が)硬直する(動物。ひきがえる)」(「パク」が「パク」となつた)または「パ・アク」、PA-AKU(pa=block up,prevent;aku=delay,take time over anything)、「(敵に遭遇すると)ゆっくりと・(体をこわばらせ、毒液を出して)防御する(動物。ひきがえる)」(「パ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「パク」から「バク」となった)(「ひきがえる」については、雑楽篇(その二)の606ひきがえる(蟇蛙)の項を参照してください。)

  「パク・タウ(ン)ガ」、PAKU-TAUNGA(paku=dried(papaku=congeal,become hard or dry);taunga=tau=come to rest,float,lie steeping in water)、「(敵に遭遇すると体が)硬直する・水辺で休んでいる(動物。ひきがえる)」(「パク」が「パク」と、「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「トン」となつた)または「パ・アク・タウ(ン)ガ」、PA-AKU(pa=block up,prevent;aku=delay,take time over anything;taunga=tau=come to rest,float,lie steeping in water)、「(敵に遭遇すると)ゆっくりと・(体をこわばらせ、毒液を出して)防御する・水辺で休んでいる(動物。ひきがえる)」(「パ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「パク」から「バク」と、「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「トン」となった)(「ひきがえる」については、雑楽篇(その二)の606ひきがえる(蟇蛙)の項を参照してください。)

  「カマ・パタ」、KAMA-PATA(kama=eager;pata=drop of water etc.,seed or grain etc.)、「熱心に・卵ほ産む(動物。ひきがえる)」(「パタ」が「パタ」となつた)(「ひきがえる」については、雑楽篇(その二)の606ひきがえる(蟇蛙)の項を参照してください。)

の転訛と解します。

040かかと(踵)・アグド・アクツ・キビス・アコイ・キリブサ・キビショ・キビサ・アド・ッアル

 「かかと」の方言には、北海道、千葉などの「カガト」(「かかと」と同語源)、青森、宮城などの「アグド」、岩手の「アグト」(「アグド」と同語源)、福島、新潟などの「アクト」(「アグド」と同語源)、茨城、栃木の「カガド」(「かかと」と同語源)、群馬、静岡の「アクツ」、石川、福井などの「キビス」、山梨の「アコイ」、香川、高知の「キリブサ」、福岡の「キビショ」、佐賀の「キビサ」、熊本、大分などの「アド」、鹿児島の「カカド」(「かかと」と同語源)、沖縄那覇の「ッアル」、沖縄首里の「アドゥ」(「アド」と同語源)があります。

 この「かかと」、「アグド」、「アクツ」、「キビス」、「アコイ」、「キリブサ」、「キビショ」、「キビサ」、「アド」、「ッアル」は、

  「カカハ・トウ」、KAKAHA-TOU(kaha,kakaha=boundary line of land etc.,edge,ridge of a hill,strong,strength;tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird)、「体の端(にあって強い)・(足の)下の部分(かかと)」(「カカハ」のH音が脱落して「カカ」と、「トウ」が「ト」となつた。また「カカ」が「カガ」と、「ト」が「ド」となつた)

  「アク・トウ」、AKU-TOU(aku,akuaku=strong,firm;tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird)、「強い・(足の)下の部分(かかと)」(「アク」が「アグ」と、「トウ」が「ト」から「ド」となった)

  「アク・ツ」、AKU-TU(aku,akuaku=strong,firm;tu=stand,be erect,be established)、「強い・(体を)立たせている(基礎となつている。かかと)」

  「キ・ピ・ツ」、KI-PI-TU(ki=to(of place),on to,at;pi=flow,source,origin;tu=stand,be erect,be established)、「(体が)立つ・始まりの・場所(かかと)」(「ピ」が「ビ」と、「ツ」が「ス」となつた)

  「アコ・オイ」、AKO-OI(ako=move,stir;oi=shudder,move continuously,agitate)、「動きに・動く(場所。かかと)」(「アコ」のO音と「オイ」の語頭のO音が連結して「アコイ」となつた)

  「キリ・プタ」、KIRI-PUTA(kiri=skin,bark;puta=move from one place to another,come out,appear,be born)、「皮膚が・始まる(場所。かかと)」(「プタ」が「ブサ」となった)

  「キ・ピ・チオフ」、KI-PI-TIOHU(ki=to(of place),on to,at;pi=flow,source,origin;tiohu=stoop)、「(体が)しゃがむ・始まりの・場所(かかと)」(「ピ」が「ビ」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショ」となつた)

  「キ・ピ・タ」、KI-PI-TA(ki=to(of place),on to,at;pi=flow,source,origin;ta=dash,beat,lay)、「(体が)動き出す・始まりの・場所(かかと)」(「ピ」が「ビ」と、「タ」が「サ」となつた)

  「ア・トウ」、A-TOU(a=the...of,drive,urge,compel;tou=posteriors,lower end of anything,tail of a bird)、「(人を)動かす・(足の)下の部分(かかと)」(「トウ」が「ト」から「ド」となつた。また「トウ」が「ドウ」となった)

  「ツア・ル」、TUA-RU(tua=back,the farther side of a solid body;ru=shake,agitate,scatter)、「良く動く・体の一番端の場所(かかと)」

の転訛と解します。

041かがむ(屈む)・かがむ・コゴム・シャガム・ココマル・チャガマル・カッチャガム・ツクナウ・ツクボル・ツズクバル・カゴム・ツクナム・チョックボル・ツクモル・カガムン・ヒィサマンチュン・カガマル・ズム

 「かがむ」の方言には、北海道、山形などの「コゴム」、青森、埼玉などの「シャガム」、岩手の「ココマル」、宮城、秋田の「コゴマル」(「ココマル」と同語源)、福島の「チャガマル」、栃木の「カッチャガム」、愛知の「ツクナウ」、三重の「ツクボル」、滋賀の「ツズクバル」、大阪の「カゴム」、兵庫の「ツクナム」、奈良の「チョックボル」、和歌山の「ツクモル」、高知の「カンゴム」(「カゴム」と同語源)、鹿児島の「カガン」(「かがむ」と同語源)、沖縄那覇の「カガムン」、沖縄首里の「ヒィサマンチュン」があります。

 上記のほか、北海道の「カガマル」、愛媛の「ズム」があります。

 この「かがむ」、「コゴム」、「シャガム」、「ココマル」、「チャガマル」、「カッチャガム」、「ツクナウ」、「ツクボル」、「ツズクバル」、「カゴム」、「ツクナム」、「チョックボル」、「ツクモル」、「カガムン」、「ヒィサマンチュン」、「カガマル」、「ズム」は、

  「カ(ン)ガ・ムア」、KANGA-MUA(kanga=ka=take fire,be lighted,burn;mua=the front,the fore part)、「前(かがみ)で・火を着ける(姿勢。かがむ)」(「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった。また「ム」が「ン」となつた)

  「ココ・ムア」、KOKO-MU(koko=dig or plant with a wooden implement for digging or planting;mua=the front,the fore part)、「前(かがみ)で・耕す(姿勢。かがむ)」(「ココ」が「コゴ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)

  「チア(ン)ガ・ムア」、TIANGA-MUA(tianga=mat to lie on;mua=the front,the fore part)、「前(かがみ)で・敷物を敷く(姿勢。かがむ)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「シャガ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)

  「ココ・マル」、KOKO-MARU(koko=dig or plant with a wooden implement for digging or planting;maru=gentle,calm,low in tone)、「穏やかに・耕す(姿勢。かがむ)」(「ココ」が「コゴ」となった)

  「チア(ン)ガ・マル」、TIANGA-MARU(tianga=mat to lie on;)、「穏やかに・敷物を敷く(姿勢。かがむ)」(「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「チャガ」となった)

  「カ・チア(ン)ガ・ムア」、KA-TIANGA-MUA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tianga=mat to lie on;mua=the front,the fore part)、「これから・前(かがみ)で・敷物を敷く(姿勢。かがむ)」(「カ」が促音化して「カッ」と、「チア(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チアガ」から「チャガ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)

  「ツク(ン)ガ・ウ」、TUKUNGA-U(tukunga=person to receive guests;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「お客を迎えて頭を下げ・た(かがむ)」(「ツク(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツクナ」となった)

  「ツク・パウル」、TUKU-PAURU(tuku=let go,allow,send,receive(guest etc.);pauru=a method of planting sweet potato)、「甘藷の植え付けを・する(ような姿勢をとる。かがむ)」(「パウル」のAU音がO音に変化して「ボル」となつた)

  「ツ・ツク・パル」、TU-TUKU-PARU(tu=stand,settle;tuku=let go,allow,send,receive(guest etc.);paru=deep,low)、「お客を迎えて・深く・頭を下げる(姿勢をとる。かがむ)」(「パル」が「バル」となつた)

  「カ(ン)ガ・アウ・ムア」、KANGA-AU-MUA(kanga=ka=take fire,be lighted,burn;au=firm,intense,certainly;mua=the front,the fore part)、「前(かがみ)で・体を縮めて・火を着ける(姿勢。かがむ)」(「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」となり、その語尾のA音と「アウ」の語頭のA音が連結したAU音がO音に変化して「カゴ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった。また「カ(ン)ガ・アウ」が「カンゴ」と、「ムア」が「ム」となった)

  「ツク(ン)ガ・ムア」、TUKUNGA-MUA(tukunga=person to receive guests;mua=the front,the fore part)、「お客を迎えて頭を下げ・前(かがみ)になる(姿勢。かがむ)」(「ツク(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツクナ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)

  「チホ・ツク・パウル」、TIHO-TUKU-PAURU(tiho=flaccid,soft;tuku=let go,allow,send,receive(guest etc.);pauru=a method of planting sweet potato)、「穏やかに・甘藷の植え付けを・する(ような姿勢をとる。かがむ)」(「チホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」と、「ツク」が「ック」と、「パウル」のAU音がO音に変化して「ボル」となつた)

  「ツク・マウル」、TUKU-MAURU(tuku=let go,allow,send,receive(guest etc.);mauru=quieted,allayed,propitiated)、「人をなだめるように・する(姿勢をとる。かがむ)」(「マウル」のAU音がO音に変化して「モル」となつた)

  「カ(ン)ガ・ムナ」、KANGA-MUNA(kanga=ka=take fire,be lighted,burn;muna=tell or speak of privately,gossip)、「ひそひそ話をするように・火を着ける(姿勢。かがむ)」(「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「ヒタ・マナ・チウ・ナ」、HITA-MANA-TIU-NA(hita=move convulsively or spasmodically;mana=authority,influence,power;tiu=soar,wander,swift;na=satisfied,indicate near or connection with the person addressed,by,belonging to)、「今にも動き出しそうな・(精神)気持ちが・高ぶった・よう(な姿勢。かがむ)」(「ヒタ」が「ヒサ」と、「マナ」が「マン」と、「チウ」が「チュ」と、「ナ」が「ン」となつた)

  「カ(ン)ガ・マル」、KANGA-MARU(kanga=ka=take fire,be lighted,burn;maru=gentle,calm,low in tone)、「穏やかに・火を着ける(姿勢。かがむ)」(「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」となった)

  「ツム」、TUMU(halt suddenly,twitch,start)、「走り出そうとする(姿勢。かがむ)」(「ツム」が「ズム」となった)

の転訛と解します。

042かぐ(嗅ぐ)・カム・キグ・カマル・クサグ・カザカス・ニオグ・カジン・カザム・ニオウ・カク・カズン・カジャスン・カザカグ

 「かぐ」の方言には、北海道、宮城などの「カム」、青森の「キグ」、岩手の「カマル」、山梨の「クサグ」、三重、兵庫の「カザカス」、京都の「ニオグ」、島根の「カジン」、岡山、広島などの「カザム」、山口、福岡などの「ニオウ」、佐賀の「カク」、鹿児島の「カズン」、沖縄那覇・首里の「カジャスン」があります。

 上記のほか、北陸の「カザカグ」があります。

 この「かぐ」、「カム」、「キグ」、「カマル」、「クサグ」、「カザカス」、「ニオグ」、「カジン」、「カザム」、「ニオウ」、「カク」、「カズン」、「カジャスン」、「カザカグ」は、

  「カ・ハ・(ン)グ」、KA-HA-NGU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;ngu=silent,dumb)、「じっと・黙って・香りを感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「カ・ハ・ム」、KA-HA-MU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;mu=silent,dumb)、「じっと・黙って・香りを感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」となつた)

  「キ・イ・(ン)グ」、KI-I-NGU(ki=full,very;i=ferment,be stirred of the feelings;ngu=silent,speechless)、「十分に・(発酵する)香りが立つのを・黙って感じ取る(嗅ぐ)」(「キ」のI音と「イ」のI音が連結して「キ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「カ・ハ・マル」、KA-HA-MARU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;maru=power,shadow,shelter(marumaru=shaded,loom large))、「香りが・しっかりと立つのを・感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」となつた)

  「クフ・タ・(ン)グ」、KUHU-TA-NGU(kuhu=thrust in,insert;ta=dash,beat,lay;ngu=silent,speechless)、「(香りが空気中に)入って・(人に)達するのを・黙って感じ取る(嗅ぐ)」(「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「タ」が「サ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「カ・ハ・タカツ」、KA-HA-TAKATU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;takatu=prepare,bustling.move)、「香りが・(動く)立つのを・感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」となつた)

  「ニホ・(ン)グ」、NIHO-NGU(niho=tooth,thorn,effective force;ngu=silent,speechless)、「(人を刺激する)香りを・黙って感じ取る(嗅ぐ)」(「ニホ」のH音が脱落して「ニオ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となつた)

  「カ・ハ・チナ」、KA-HA-TINA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;tina=fixed,firm,satisfied)、「香りを・しっかりと・感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「チナ」が「チン」ら「ジン」となつた)

  「カ・ハ・タ・ム」、KA-HA-TA-MU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;ta=dash,beat,lay;mu=solent,dumb)、「香りが・やってくるのを・黙って・感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「タ」が「ザ」となつた)

  「ニホ・ウ」、NIHO-U(niho=tooth,thorn,effective force;u=be firm,be fixed)、「(人を刺激する)香りを・感じ取る(嗅ぐ)」(「ニホ」のH音が脱落して「ニオ」となつた)

  「カ・ハ・ク」、KA-HA-KU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;ku=silent)、「じっと・黙って・香りを感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」となつた)

  「カ・ハ・ツ(ン)ガ」、KA-HA-TUNGA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;tunga=send,circumstance or time etc. of standing)、「香りが・しっかりと・(送られた)感じ取られた(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツン」、「ズン」となつた)

  「カ・ハ・チア・ツ(ン)ガ」、KA-HA-TIA-TUNGA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;tia=stick in,drive in pegs etc.;tunga=send,circumstance or time etc. of standing)、「香りが・しっかりと・(鼻を)刺すように・(送られた)感じ取られた(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「チア」が「チャ」から「「ジャ」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツン」、「スン」となつた)

  「カ・ハ・タカ・ク」、KA-HA-TAKA-KU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ha=breath,flavour,odour;taka=go or pass round,come round,be invested;ku=silent)、「香りが・黙って・(周囲に)充満するのを・感じ取る(嗅ぐ)」(「ハ」のH音が脱落して「ア」となり、「カ」と連結して「カ」と、「タカ」が「ザカ」となつた)

の転訛と解します。

043かそうば(火葬場)・ヤギバ・カソージョー・オンボヤ・サンマイ・ヒヤ・ノベ・クヮソーバ

 「かそうば」の方言には、北海道、栃木などの「ヤキバ」(「ヤギバ」と同語源)、青森、岩手などの「ヤギバ」、東京、岐阜などの「カソーバ」(「かそうば」と同語源)、神奈川の「カソージョー」、新潟の「オンボヤ」、石川、福井などの「サンマイ」、大阪の「ヒヤ」、熊本の「ノベ」、沖縄首里の「クヮソーバ」があります。

 この「かそうば」、「ヤギバ」、「カソージョー」、「オンボヤ」、「サンマイ」、「ヒヤ」、「ノベ」、「クヮソーバ」は、

  「カ・トウ・パ」、KA-TOU-PA(ka=to denote the commencement of a new action or condition,take fire,burn;tou=kindle,set on fire;pa=block up,stockade,fortified place)、「(死者を)しっかりと・焼く・(柵で囲んだ)場所(火葬場)」(「トウ」が「ソウ」、「ソー」と、「パ」が「バ」となった)

  「イア・(ン)ギハ・パ」、IA-NGIHA-PA(ia=indeed;ngiha=burn,fire;pa=block up,stockade,fortified place)、「ほんとに・(死者を)焼く・(柵で囲んだ)場所(火葬場)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)ギハ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ギ」と、「パ」が「バ」となつた。また「ギ」が清音化して「キ」となつた)

  「カ・トウ・チオフ」、KA-TOU-TIOHU(ka=to denote the commencement of a new action or condition,take fire,burn;tou=kindle,set on fire;tiohu=stoop)、「(死者を)しっかりと・焼く・(会葬者が)頭を垂れる(場所。火葬場)」(「トウ」が「ソウ」、「ソー」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「チョウ」、「ジョー」となった)

  「オ(ン)ガ・ポ・イア」、ONGA-PO-IA(onga=agitate,shake about;po=night,place of departed spirits;ia=that,the said,each,every)、「(死体から離れた)死者の魂がさまよう場所で・嬉々として働く者(隠亡(おんぼう))の・居る場所(火葬場)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「ポ」が「ボ」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「ヒ・イア」、HI-IA(hi=raise,rise;ia=that,the said,each,every)、「(煙とともに死者の魂が)昇天する・場所(火葬場)」(「イア」が「ヤ」となった)

  「タ(ン)ガ・マイ」、TANGA-MAI(tanga=be assembled;mai,maimai=affection(maimai aroha=token or expression of affection,song of affection for the dead))、「(故人への)哀悼の気持ちが・集まっている(場所。火葬場)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「サン」となった)(この「さんまい」を仏語の「三昧」からとする説がありますが、仏語の意味と火葬場とは意味がかけ離れすぎています。)

  「ナウペ」、NAUPE(bend,stoop)、「頭を垂れる(故人へ別れを告げる場所。火葬場)」(AU音がO音に変化して「ノペ」から「ノベ」となった)

  「クア・トウ・パ」、KUA-TOU-PA(kua=a verbal particle denoting that an action is completed or a condition established;tou=kindle,set on fire;pa=block up,stockade,fortified place)、「(死者を)しっかりと・焼く・(柵で囲んだ)場所(火葬場)」(「クア」が「クヮ」と、「トウ」が「ソウ」、「ソー」と、「パ」が「バ」となった)

の転訛と解します。

044かぞえる(数える)・カンジョースル・カンジョシル・カンジェル・ヨム・カズエル・カンネル・カゾユッ・カンヌル・カズユル・カンズッ・コムン

 「かぞえる」の方言には、北海道、宮城などの「カンジョースル」、青森、福島などの「カンジョシル」、岩手、福井の「カンジェル」、山形の「カンジョスル」(「カンジョースル」と同語源)、埼玉の「カゼール」(「かぞえる」と同語源)、千葉の「カンジョーシル」(「カンジョシル」と同語源)、京都、大阪などの「ヨム」、鳥取、広島などの「カズエル」、福岡の「カンネル」、佐賀、長崎の「カゾユッ」、熊本の「カンヌル」、大分、宮崎の「カズユル」、鹿児島の「カンズッ」、沖縄那覇・首里の「コムン」があります。

 この「かぞえる」、「カンジョースル」、「カンジョシル」、「カンジェル」、「ヨム」、「カズエル」、「カンネル」、「カゾユッ」、「カンヌル」、「カズユル」、「カンズッ」、「コムン」は、

  「カト・ヘル」、KATO-HELU(kato=pluck,break off(katokato=pluck leaf by leaf);(Hawaii)helu=to count,number,compute)、「葉を一枚づつむしって・数を数える(数える)」(「カト」が「カゾ」と、「ヘル」のH音が脱落して「エル」となった。また「カト」の語尾のO音と「エル」の語頭のE音が連結してE音となり、「カテル」から「カゼル」、「カゼール」となった)

  「カナ・チオホ・ツ・ル」、KANA-TIOHO-TU-RU(kana=stare wildly,bewitch;tioho=apprehensive;tu=stand,settle;ru=shake,agitate,scatter)、「眼を見開いて・懸念しつつ・奮起して・懸命に努力する(数える)」(「カナ」が「カン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」が「チョオ」、「ジョー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カナ・チオホ・チ・ル」、KANA-TIOHO-TI-RU(kana=stare wildly,bewitch;tioho=apprehensive;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「眼を見開いて・懸念しつつ・奮起して・力を傾ける(数える)」(「カナ」が「カン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」が「チョオ」、「ジョー」と、「チ」が「シ」となった)

  「カナ・チ・ヘル」、KANA-TI-HERU(kana=stare wildly,bewitch;ti=throw,cast;(Hawaii)helu=to count,number,compute)、「眼を見開いて・数を数える・力を傾ける(数える)」(「カナ」が「カン」と、「ヘル」のH音が脱落して「エル」と、「チ・エル」が「ジェル」となった)

  「イ・オ・ム」、I-O-MU(i=past tense;o=find room,be capable of being contained or enclosed,get in implying difficulty or reluctance;mu=silent)、「黙って・(分からないこと、新しいこと等を理解して)自らのものと・する(判断する。数える)」(「イ・オ」が「ヨ」となった)

  「カ・ツ・ヘル」、KA-TU-HELU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tu=fight with,energetic;(Hawaii)helu=to count,number,compute)、「きちんと・懸命に・数を数える(数える)」(「ツ」が「ズ」と、「ヘル」のH音が脱落して「エル」となった)

  「カナ・ヘル」、KANA-HERU(kana=stare wildly,bewitch;(Hawaii)helu=to count,number,compute)、「眼を見開いて・数を数える(数える)」(「ヘル」のH音が脱落して「エル」となり、「カナ・エル」が「カンネル」となった)

  「カト・イ・ウツ」、KATO-I-UTU(kato=pluck,break off(katokato=pluck leaf by leaf);i=past tense;utu=return for anything,reply,make response)、「葉を一枚づつむしって・結果を確かめ・た(数える)」(「カト」が「カゾ」と、「イ・ウツ」が「ユツ」から「ユッ」となった)

  「カナ・ウル」、KANA-URU(kana=stare wildly,bewitch;uru=enter,possess,participate in,arrive)、「眼を見開いて・(対象物を)把握する(数える)」(「カナ・ウル」が「カンヌル」となった)

  「カ・ツイ・ウル」、KA-TUI-URU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tui=pierce,thread on a string,sew;uru=enter,possess,participate in,arrive)、「きちんと・一連の紐に通して・(対象物を)把握する(数える)」(「ツイ・ウル」が「ツユル」から「ズユル」となった)

  「カナ・ツ・ウツ」、KANA-TU-UTU(kana=stare wildly,bewitch;tu=fight with,energetic;utu=return for anything,reply,make response)、「眼を見開いて・懸命に・結果を確かめる(数える)」(「カナ」が「カン」と、「ツ」のU音と「ウツ」の語頭のU音が連結して「ツツ」から「ズッ」となった)

  「カウ・ムム」、KAU-MUMU((Hawaii)kau=to place,hang,impose,levy,board;mumu=silence,silent)、「黙って・税金を賦課する(計算をする。数える)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ムム」が「ムン」となった)

の転訛と解します。

045かたあしとび(片足跳び)・ケンケン・カダハネ・ケッケラゴ・ステデンコ・シコナギ・アシケンケン・センギョ・ヒッコンコン・キンキンカタカタ・シッケンコンコン・チンギリコッコ・チンガラ・チンチン・スッケンギョ・スンケン・ヒチンボ・ケンケントッ・ギーター・ステテン・テンコマッコ

 「かたあしとび」の方言には、北海道、宮城などの「ケンケン」、青森の「カダハネ」、岩手の「ケッケラゴ」、秋田の「ステデンコ」、山形の「シコナギ」、茨城、栃木の「アシケンケン」、群馬の「センギョ」、埼玉の「ヒッコンコン」、千葉の「キンキンカタカタ」、神奈川の「シッケンコンコン」、山梨の「チンギリコッコ」、長野、愛知の「チンガラ」、岐阜の「チンチン」、高知の「シンシン」(「チンチン」と同語源)、福岡、熊本の「スッケンギョ」、佐賀の「スッケンギョー」(「スッケンギョ」と同語源)、長崎の「スンケン」、大分の「ヒチンボ」、鹿児島の「ケンケントッ」、沖縄那覇・首里の「ギーター」があります。

 上記のほか、北海道の「ステテン」、「テンコマッコ」、福井の「カタイッポデトブ」(現代語と解します)などがあります。

 この「かたあしとび」、「ケンケン」、「カダハネ」、「ケッケラゴ」、「ステデンコ」、「シコナギ」、「アシケンケン」、「センギョ」、「ヒッコンコン」、「キンキンカタカタ」、「シッケンコンコン」、「チンギリコッコ」、「チンガラ」、「チンチン」、「スッケンギョ」、「スンケン」、「ヒチンボ」、「ケンケントッ」、「ギーター」、「ステテン」、「テンコマッコ」は、

  「カハ・タ・アチ・ト・ピヒ」、KAHA-TA-ATI-TO-PIHI(kaha=rope especially one on the edge of a seine,boundary line of land etc.,edge;ta=dash,beat,lay;ati=offspring,descendant,clan;to=drag,haul;pihi=spring up,begin to grow,shoot)、「片側に・ある・(体の末端の)足を・引き・跳ねる(片足跳び)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「アチ」が「アシ」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)

  「カイ(ン)ガ・カイ(ン)ガ」、KAINGA-KAINGA(kainga=ka=take fire,be lighted,burn)、「(足下に)火がついた・火がついた(ように飛び跳ねる。片足跳び)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となつた)

  「カハ・タ・パネ」、KAHA-TA-PANE(kaha=rope especially one on the edge of a seine,boundary line of land etc.,edge;ta=dash,beat,lay;(Hawaii)pane=answer,reply,response)、「片側の(足で)・飛び・(反発する)跳ねる(片足跳び)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タ」が「ダ」と、「パネ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハネ」となった)

  「ケ・カイラカウ」、KE-KAIRAKAU(ke=different,strange;kairakau=band of tried warriors)、「奇妙な・足枷をした兵士の鍛錬のような(行動。片足跳び)」(「ケ」が促音化して「ケッ」と、「カイラカウ」のAI音がE音に、AU音がO音に変化して「ケラコ」となり、濁音化して「ケラゴ」となつた)

  「ツ・テテ・(ン)ガオコ」、TU-TETE-NGAOKO(tu=stand,settle,fight with,energetic;tete=shoveller duck,brown teal,grey teal;ngaoko=feel a tickling sensation,itch,move slightly,stir)、「懸命に・子鴨が・よちよちと歩くように飛び跳ねる(片足跳び)」(「ツ」が「ス」と、「テテ」が「テデ」と、「(ン)ガオコ」のNG音がN音に、AO音がO音に変化して「ノコ」から「ンコ」となった)

  「チ・コナキ」、TI-KONAKI(ti=throw,cast;konaki=spring up,grow,swell)、「飛んでは・跳ねる(片足跳び)」(「チ」が「シ」と、「コナキ」が濁音化して「コナギ」となった)

  「アチ・ケネケネ」、ATI-KENEKENE(ati=offspring,descendant,clan;kenekene=intensive adverb)、「(体の末端の)足を・盛んに動かす(片足跳び)」(「アチ」が「アシ」と、「ケネケネ」が「ケンケン」となった)

  「テナ・(ン)ギホ」、TENA-NGIHO(tena=encourage,urge forward;ngiho=diminutive)、「少しづつ・前進する(片足跳び)」(「テナ」が「テン」から「セン」と、「(ン)ギホ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ギオ」から「ギョ」となつた)

  「ヒ・コネコネ」、HI-KONEKONE(hi=raise,rise;konekone=shy,bashful,weariness)、「恥ずかしそうに・跳ぶ(片足跳び)」(「ヒ」が促音化して「ヒッ」と、「コネコネ」が「コンコン」となった)

  「キニキニ・カタカタ」、KINIKINI-KATAKATA(kinikini=pinch off;katakata=dried up,dry up)、「ちょこちょこと(小幅で跳ぶ)・面白味のない(遊び。片足跳び)」(「キニキニ」が「キンキン」となった)

  「チ・ケネ・コネコネ」、TI-KENE-KONEKONE(ti=throw,cast;kene=kenekene=intensive adverb;konekone=shy,bashful,weariness)、「とても・恥ずかしそうに・跳ぶ(片足跳び)」(「チ」が「シ」と、「ケネ」が「ケン」と、「コネコネ」が「コンコン」となった)

  「チ・(ン)ゲリ・ココ」、TI-NGERI-KOKO(ti=throw,cast;ngeri=rhythmic chant with actions;koko=scoop up,pull up,soar,fly)、「(御詠歌のような)歌を歌い・ながら・飛び跳ねる(片足跳び)」(「(ン)ゲリ」のE音がI音に変化して「ンギリ」と、「ココ」が「コッコ」となった)

  「チ・(ン)ガラフ」、TI-NGARAHU(ti=throw,cast;ngarahu=war dance)、「(戦士の)戦いの踊り(に似た踊り)を・踊る(片足跳び)」(「(ン)ガラフ」のH音が脱落して「ンガラ」となった)

  「チノ・チノ」、TINO-TINO(tino=essenciality,quite,to give vividness and force to the narrative)、「活発な・こと(片足跳び)」(「チノ」が「チン」となつた。または「シン」となった)

  「ツ・カイ(ン)ガ・(ン)ギホ」、TU-KAINGA-NGIHO(tu=fight with,energetic;kainga=ka=take fire.be lighted,burn;ngiho=diminutive)、「懸命に・(足下に)火が着いたように・小刻みに(跳ねる。片足跳び)」(「ツ」が「ス」から「スッ」と、「カイ(ン)ガ」」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「(ン)ギホ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ギオ」から「ギョ」、「ギョー」となつた)

  「ツ(ン)ガ・カイ(ン)ガ」、TUNGA-KAINGA(tunga=circumstance of time etc. of standing;kainga=ka=take fire,be lighted,burn)、「(足下に)火が着いたような・(状況下の)遊び(片足跳び)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「ツン」、「スン」と、「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」となった)

  「ヒ・チノ・ポ」、HI-TINO-PO(hi=raise,rise;tino=essenciality,quite,to give vividness and force to the narrative;po,popo=pat with the hand,lullaby)、「活発に・飛び跳ねて・手を叩く(遊び。片足跳び)」(「チノ」が「チン」となつた)

  「カイ(ン)ガ・カイ(ン)ガ・トト」、KAINGA-KAINGA-TOTO(kainga=ka=take fire,be lighted,burn;toto=drag a number of objects,chip or knock off,chop,gush forth,spring up)、「(足下に)火がついた・火がついたように・飛び跳ねる(片足跳び)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「トト」が「トッ」となつた)

  「(ン)ギタ」、NGITA(bring,carry)、「足を運ぶ(遊び。片足跳び)」(NGG音が音に変化して「ギタ」から「ギーター」となった)

  「ツ・テテ・(ン)ガ」、TU-TETE-NGA(tu=stand,settle,fight with,energetic;tete=shoveller duck,brown teal,grey teal;nga=satisfied,breathe)、「懸命に・子鴨が・大きく息をする(よちよちと歩くように飛び跳ねる。片足跳び)」(「ツ」が「ス」と、「(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナ」から「ン」となった)

  「テテ・ナコ・マカウ」、TETE-NAKO-MAKAU(tete=shoveller duck,brown teal,grey teal;nako=have much in the thought,desire earnestly;makau=object of affection,favourite)、「子鴨が・大変好む・お気に入り(の遊びに似た遊戯。片足跳び)」(「テテ」の反復語尾が脱落して「テ」と、「ナコ」が「ンコ」と、「マカウ」のAU音がO音に変化して「マコ」から「マッコ」となった)

の転訛と解します。

046かたぐるま(肩車)・クビノリ・クンビコノリ・オデングルマ・クビコノリ・チャンコロマエ・クビコンマ・テングルマ・カタンマ・サルコボンボ・カタウマ・カタグマ・カタコンマ・テングーマ・ビンブク・カタクンボ・カタニノスッ・ズッキャンキャン・オッピヒョロ・サルガリー・ビビンチャンゴ・ビビンコ・ブートゥルカーン・マータカダーカー・ウマノリ・チョンノクビ

 「かたぐるま」の方言には、北海道の「クビノリ」、青森の「カダグルマ」(「かたぐるま」と同語源)、岩手の「クンビコノリ」、宮城の「オデングルマ」、秋田の「クビコノリ」、山形の「チャンコロマエ」、福島の「クビコンマ」、茨城、栃木などの「テングルマ」、千葉、福井などの「カタンマ」、石川の「サルコボンボ」、山梨、愛知の「カタウマ」、静岡の「カタグマ」、三重、滋賀などの「カタクマ」(「カタグマ」と同語源)、和歌山の「カタコンマ」、島根の「テングーマ」、山口の「ビンブク」、愛媛の「カタクンボ」、佐賀の「カタニノスッ」、長崎の「ズッキャンキャン」、熊本の「オッピヒョロ」、大分の「サルガリー」、宮崎の「ビビンチャンゴ」、鹿児島の「ビビンコ」、沖縄那覇の「ブートゥルカーン」、沖縄首里の「マータカダーカー」があります。

 上記のほか、北海道の「ウマノリ」、「カザグルマ」(「かたぐるまむと同語源)、石川の「チョンノクビ」があります。

 この「かたぐるま」、「クビノリ」、「クンビコノリ」、「オデングルマ」、「クビコノリ」、「チャンコロマエ」、「クビコンマ」、「テングルマ」、「カタンマ」、「サルコボンボ」、「カタウマ」、「カタグマ」、「カタコンマ」、「テングーマ」、「ビンブク」、「カタクンボ」、「カタニノスッ」、「ズッキャンキャン」、「オッピヒョロ」、「サルガリー」、「ビビンチャンゴ」、「ビビンコ」、「ブートゥルカーン」、「マータカダーカー」、「ウマノリ」、「チョンノクビ」は、

  「カハ・タ・クル・ウマ」、KAHA-TA-KURU-UMA(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;kuru=strike with the fist,pound,pelt;uma=bosom,chest)、「(岡の稜線に相当する)胸部の・上にある(場所=肩)に(乗って)・胸部を・圧迫する(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「クル」の語尾のU音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「クルマ」から濁音化して「グルマ」となった。また「タ」が「ダ」となった。また「カタ」が「カザ」となつた)

  「クイ・ピヒ・ノホ・オリ」、KUI-PIHI-NOHO-ORI(kui=weak,cowardly;pihi=cut,split;noho=sit,stay,settle;ori=cause to wave to and fro,move about)、「切られると・弱い(身体の部分=首に)・座って・歩き回る(首乗り。肩車)」(「クイ」のUI音がU音に変化して「ク」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となったその語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ノリ」となった)

  「クイ(ン)ガ・ピヒ・コ・ノホ・オリ」、KUINGA-PIHI-KO-NOHO-ORI(kuinga=kui=weak,cowardly;pihi=cut,split;ko=adressing females and males;noho=sit,stay,settle;ori=cause to wave to and fro,move about)、「切られると・弱い(身体の部分=首に)・座って・歩き回る(首乗り。肩車)」(「クイ(ン)ガ」のUI音がU音に、NG音がN音に変化して「クナ」から「クン」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となったその語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ノリ」となった)

  「オ・テナ・クル・ウマ」、O-TENA-KURU-UMA(o=the ...of;tena=that,this;kuru=strike with the fist,pound,pelt;uma=bosom,chest)、「胸部の・例の・あの(場所=肩)に・乗る(肩車)」(「テナ」が「テン」から「デン」と、「クル」の語尾のU音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「クルマ」から濁音化して「グルマ」となった)

  「クイ・ピヒ・コ・ノホ・オリ」、KUI-PIHI-KO-NOHO-ORI(kui=weak,cowardly;pihi=cut,split;ko=adressing females and males;noho=sit,stay,settle;ori=cause to wave to and fro,move about)、「切られると・弱い(身体の部分=首に)・座って・歩き回る(首乗り。肩車)」(「クイ」のUI音がU音に変化して「ク」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となったその語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ノリ」となった)

  「チア(ン)ゴ・コロ・マヱ」、TIANGO-KORO-MAWE(tiango=shrunk,contracted;koro=noose;mawe=a lock of hair used in certain ceremonies at the sacred place,talisman or charm carried on a canoe while at sea)、「(魔よけの)お守り(子供)を・首に(輪縄のように)・しっかり着けている(肩車)」(「チア(ン)ゴ」のNG音がN音に変化して「チアノ」から「チャン」となつた)

  「クイ・ピヒ・コニ・マハ」、KUI-PIHI-KONI-MAHA(kui=weak,cowardly;pihi=cut,split;koni=move,alter one's position;maha=satisfied,depressed)、「切られると・弱い(身体の部分=首に)・喜んで・動き回るもの(子供)を着けている(肩車)」(「クイ」のUI音がU音に変化して「ク」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「コニ」が「コン」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「テナ・クル・ウマ」、TENA-KURU-UMA(tena=that,this;kuru=strike with the fist,pound,pelt;uma=bosom,chest)、「胸部の・あの(場所=肩)に・乗る(肩車)」(「テナ」が「テン」と、「クル」の語尾のU音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「クルマ」から濁音化して「グルマ」となった)

  「カハ・タ(ン)ガ・マハ」、KAHA-TANGA-MAHA(kaha=edge,ridge of a hill;tanga=be assembled;maha=satisfied,depressed)、「(胸部の)上(の場所=肩)に・喜んでいるもの(子供)を・着けている(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「タル・コ・ポナポナ」、TARU-KO-PONAPONA(taru=shake,overcome,painful;ko=addressing to girls and males;ponapona=joint in the arm or leg)、「暴れる・子が・(首に)しがみついている(肩車)」(「タル」が「サル」と、「ポナポナ」が「ボンボン」から「ボンボ」となった)

  「カハ・タ・ウ・ウマ」、KAHA-TA-U-UMA(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;u=be firm,be fixed;uma=bosom,chest)、「胸部の・上に・ある(場所=肩)に・しっかりくっつく(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ウ」のU音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「ウマ」となった)

  「カハ・タ・ク・ウマ」、KAHA-TA-KU-UMA(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;ku,kuku=firm,stiff,thickened;uma=bosom,chest)、「胸部の・上に・ある(場所=肩)に・しっかりくっつく(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ク」のU音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「クマ」から濁音化して「グマ」となった)

  「カハ・タ・コニ・マハ」、KAHA-TA-KONI-MAHA(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;koni=move,alter one's position;maha=satisfied,depressed)、「(胸部の)上に・ある(場所=肩に)・喜んで・動きまわるもの(子供)を着けている(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「コニ」が「コン」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「テナ・ク・ウマ」、TENA-KU-UMA(tena=that,this;ku,kuku=firm,stiff,thickened;uma=bosom,chest)、「胸部の・あの(場所=肩)に・乗る(肩車)」(「テナ」が「テン」と、「ク」が「グ」と、「グ・ウマ」が「グーマ」となった)

  「ピネ・プ・ク」、PINE-PU-KU(pine=close together,compressed;pu=bunch,heap,lie in a heap;ku,kuku=firm,stiff,thickened)、「(高所)肩の上に(乗って)・しっかりと・しがみつく(肩車)」(「ピネ」が「ピン」から「ビン」と、「プ」が「ブ」となった)

  「カハ・タ・ク・ポホ」、KAHA-TA-KU-POHO(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;ku,kuku=firm,stiff,thickened;poho=bosom,chest,stomach)、「胸部の・上に・ある(場所=肩)に・しっかりくっつく(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ポホ」のH音が脱落して「ポ」から「ボ」となり、「クボ」が「クンボ」となった)

  「カハ・タ・ニヒ・ノホ・ツツ」、KAHA-TA-NIHI-NOHO-TUTU(kaha=edge,ridge of a hill;ta=dash,beat,lay;nihi=edge,rim;noho=sit,stay,settle;tutu=stand erect,be prominent,vigorous)、「(胸部の)上に・ある(場所=肩の)・縁に・元気よく・座る(肩車)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」と、「ツツ」が「スッ」となった)

  「ツ・キアノ・キアノ」、TU-KIANO-KIANO(tutu=fight with,energetic;kiano=not yet)、「もっと・もっとと・執拗にせがむ(肩車)」(「ツ」が「ス」から「ズッ」と、「キアノ」が「キャン」となった)

  「オピ・ヒ・アウロロ」、OPI-HI-AURORO(opi=terrified;hi=raise,rise;auroro=slope,incline)、「(子供が)伸び上がって・傾くと・怖い(肩車)」(「オピ」が「オッビ」と、「アウロロ」のAU音がO音に変化し、反復語尾が脱落して「オロ」となり、「ヒ・オロ」が「ヒョロ」となった)

  「タル・(ン)ガリ」、TARU-NGARI(taru=shake,overcome,painful;ngari=annoyance,disturbance,power)、「(子供が)暴れると・困惑する(肩車)」(「タル」が「サル」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「「ガリ」から「ガリー」となった)

  「ピ・ピネ・チア(ン)ゴ」、PI-PINE-TIANGO(pi=young of birds or chick;pine=close together;tiango=shrunk,contracted)、「幼い子供が・(首に)密着して・小さくなっている(肩車)」(「ピ」が「ビ」と、「ピネ」が「ビン」と、「チア(ン)ゴ」が「チャンゴ」となつた)

  「ピ・ピネ・カウ」、PI-PINE-KAU(pi=young of birds or chick;pine=close together;kau=swim,wade)、「幼い子供が・(首に)密着して・揺れている(肩車)」(「ピ」が「ビ」と、「ピネ」が「ビン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となつた)

  「プ・トルア・カハ(ン)ガ」、PU-TORUA-KAHANGA(pu=bunch,heap,lie in a heap;torua=twofold,of double thickness,twilled;kahanga=evidence of strength)、「(子供を肩の)上に載せて・(大人と子供の)二層になっている・姿を示す(肩車)」(「プ」が「ブ」と、「トルア」の語尾のA音が脱落して「トル」から「トゥル」と、「カハ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がN音に変化して「カアナ」から「カーン」となつた)

  「マハ・タカ・タカ」、MAHA-TAKA-TAKA(maha=satisfied,depressed;taka=heap,lie in a heap)、「喜んで・高い・高い(という。肩車)」(「マハ」のH音が脱落し「マア」から「マー」と、二番目の「タカ」が「ダーカー」となった)

  「ウマ・ノホ・オリ」、UMA-NOHO-ORI(uma=bosom,chest;noho=sit,stay,settle;ori=cause to wave to and fro,move about)、「胸部の(上に)・座って・歩き回る(馬乗り。肩車)」(「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となったその語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ノリ」となった)

  「チ・オネ・ノ・クイ・ピヒ」、TI-ONE-NO-KUI-PIHI(ti=throw,cast;one=beach;no=of;kui=weak,cowardly;pihi=cut,split)、「切られると・弱い(身体の部分=首)・の・(海浜)縁に・(子供が)置かれている(肩車)」(「オネ」が「オン」となり、「チ・オン」が「チョン」と、「クイ」のUI音がU音に変化して「ク」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)

の転訛と解します。

047かたづける(片付ける)・トロケル・トノゲル・カタジケル・スマウ・シマウ・カタス・マタイスル・シマツシル・ナオス・トロク・カタチケー・トラゲル・ノケル・ツマエル・シノベル・クルメル・スジミーン・カタジキーン・カダシ

 「かたづける」の方言には、北海道、青森の「トロケル」、岩手の「トノゲル」、宮城の「カダズゲル」(「たかづける」と同語源)、秋田の「カタジケル」、山形の「スマウ」、福島の「カダズケル」(「たかづける」と同語源)、茨城、滋賀の「カタツケル」(「たかづける」と同語源)、栃木、千葉などの「カタズケル」(「たかづける」と同語源)、群馬、石川などの「シマウ」、埼玉の「カタス」、富山の「マタイスル」、福井の「シマツシル」、大阪、兵庫などの「ナオス」、鳥取の「トロク」、島根の「カタチケー」、広島の「トラゲル」、山口の「ノケル」、徳島の「ツマエル」、香川の「シノベル」、高知の「クルメル」、沖縄那覇の「スジミーン」、沖縄首里の「カタジキーン」があります。

 上記のほか、青森の「カダシ」があります。

 この「かたづける」、「トロケル」、「トノゲル」、「カタジケル」、「スマウ」、「シマウ」、「カタス」、「マタイスル」、「シマツシル」、「ナオス」、「トロク」、「カタチケー」、「トラゲル」、「ノケル」、「ツマエル」、「シノベル」、「クルメル」、「スジミーン」、「カタジキーン」、「カダシ」は、

  「カ・タツ・カイ・ル」、KA-TATU-KAI-RU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;kai=consume,eat,fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立つて・(処理すべきことを)きちんと・処理し終える(片付ける)」(「タツ」が「タヅ」または「タズ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となつた。また「タツ」が「ダズ」と、「ケ」が「ゲ」となつた)

  「トロ・カイ・ル」、TORO-KAI-RU(toro=stretch forth,creep,survey;kai=consume,eat,fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・(処理すべきことを)きちんと・前進させる(片付ける)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となつた)

  「トノ・カイ・ル」、TONO-KAI-RU(tono=bid,command,send,demand;kai=consume,eat,fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・要求されたことを・きちんと行う(片付ける)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ゲ」となつた)

  「カ・タ・チケイ・ル」、KA-TA-TIKEI-RU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,beat,lay;tikei=extend,stretch out;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立つて・(処理すべきことに)取り組んで・前進させる(片付ける)」(「チケイ」の語尾のI音が脱落して「チケ」から「ジケ」となつた)

  「ツ・マウ」、TU-MAU(tu=fight with,energetic;mau=fixed,contunuing,established)、「懸命に・(処理すべきことを)終わらせる(片付ける)」(「ツ」が「ス」となつた)

  「チ・マウ」、TI-MAU(ti=throw,cast,overcome;mau=fixed,contunuing,established)、「困難を乗り越えて・(処理すべきことを)終わらせる(片付ける)」(「ツ」が「ス」となつた)

  「カ・タツ」、KA-TATU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent)、「(処理すべきことを)処理し終える(片付ける)」(「タツ」が「タス」となった)

  「マタイ・ツ・ル」、MATAI-TU-RU(matai=watch,see,inspect,examine;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・懸命に・(処理結果を)点検する(片付ける)」(「ツ」が「ス」となった)

  「チ・マツ・チ・ル」、TI-MATU-TI-RU(ti=throw,cast,overcome;matu=fat,rich of food,kernel of a matter;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・取り組み・困難を乗り越えて・豊かな結果を得る(片付ける)」(「チ」が「シ」となった)

  「ナオ・ツ」、NAO-TU(nao=handle,feel with the hand,take hold of;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(物事を)処理する(片付ける)」(「ツ」が「ス」となった)

  「トロ・ク」、TORO-KU(toro=stretch forth,creep,survey;ku,kuku=firm,stiff,thickened)、「(処理すべきことを)しっかりと・前進させる(片付ける)」

  「カ・タ・チケイ」、KA-TA-TIKEI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,beat,lay;tikei=extend,stretch out)、「(処理すべきことに)取り組んで・前進させる(片付ける)」(「チケイ」が「チケー」となつた)

  「トラ・カイ・ル」、TORA-KAI-RU(tora=burn,blaze,be erect used of showing warlike feelings;kai=consume,eat,fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「勇気を・奮い立たせて・(処理すべきことを)きちんと行う(片付ける)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ゲ」となつた)

  「(ン)ガウ・カイ・ル」、NGAU-KAI-RU(ngau=bite,hurt,act upon,attack;kai=consume,eat,fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・きちんと・(物事への)働きかけを行う(片付ける)」(「(ン)ガウ」のNG音がN音に、AU音がO音に変化して「ノ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「ツマウ・ヘア・ル」、TUMAU-HEA-RU(tumau=fixed,continuous;hea=what place,any place,elsewhere;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・(物を)どこかに・(場所を)決めて置く(片付ける)」(「ツマウ」の語尾のU音が脱落して「ツマ」と、「ヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「エ」となった)

  「チノ・パイ・ル」、TINO-PAI-RU(tino=essentiality,reality,exact,quite;pai=good,excellent,suitable;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・(物事を)本質的に・良好なものにする(片付ける)」

  「クル・マエ・ル」、KURU-MAE-RU(kuru=strike with the fist,pound,pelt;mae=languid,withered;ru=shake,agitate,scatter)、「奮い立って・(人に)打撃を与えるのを・和らげる(片付ける)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)

  「ツ・チ・ミナ」、TU-TI-MINA(tu=fight with,energetic;ti=throw,cast,overcome;mina=desire,feel inclination for)、「困難を乗り越えることを・望んで・懸命に努力する(片付ける)」(「ツ」が「ス」と、「チ」が「ジ」と、「ミナ」が「ミン」から「ミーン」となった)

  「カ・タ・チキ・ナ」、KA-TA-TIKI-NA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,beat,lay;tiki=fetch,proceed to do anything,go for a purpose;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「(処理すべきことに)取り組んで・もっと・前へと進む(片付ける)」(「チキ」が「ジキ」となり、「ジキ・ナ」が「ジキーン」となつた)

  「カ・タ・チ」、KA-TA-TI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;ta=dash,beat,lay;ti=throw,cast,overcome)、「(処理すべきことに)取り組んで・困難を乗り越える(片付ける)」(「タ」が「ダ」と、「チ」が「シ」となつた)

の転訛と解します。

048かたつむり(蝸牛)・デンデンムシ・デンデンムス・カダツンブリ・カダツブリ・メーメーツブロ・ツノンデロ・メメンジョ・デンデンゴー・ンデンデンムシ・マイマイ・ツーマメクジ・ツーナメクジ・ジェンジェンムシ・チンナン・ナント・カサツンブル・カサツムイ

 「かたつむり」の方言には、北海道、岩手などの「デンデンムシ」、青森の「カダズムリ」(「かたつむり」と同語源)、宮城の「デンデンムス」、秋田の「カダツンブリ」、山形の「カダツブリ」、茨城の「メーメーツブロ」、群馬の「ツノンデロ」、山梨の「メメンジョ」、香川の「デンデンゴー」、高知の「ンデンデンムシ」、福岡の「マイマイ」、長崎の「ツーマメクジ」、熊本の「ツーナメクジ」、大分の「ジェンジェンムシ」、沖縄那覇・首里の「チンナン」があります。

 上記のほか、岩手の「ナント」、秋田の「カサツンブル」、佐賀の「カサツムイ」などがあります。

 この「かたつむり」、「デンデンムシ」、「デンデンムス」、「カダツンブリ」、「カダツブリ」、「メーメーツブロ」、「ツノンデロ」、「メメンジョ」、「デンデンゴー」、「ンデンデンムシ」、「マイマイ」、「ツーマメクジ」、「ツーナメクジ」、「ジェンジェンムシ」、「チンナン」、「ナント」、「カサツンブル」、「カサツムイ」は、

  「カ・タツ・ムリ」、KA-TATU-MURI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;muri=the rear,the hind part,the sequel,the future,behind,afterwards)、「全く・のんびりとしている(動きが遅い)・人目に付かない場所にいる(動物。蝸牛)」(また「タツ」が「ダズ」となつた)

  「テネ・テネ・ム・チ」、TENE-TENE-MU-TI(tene=be importunate;mu=insects;ti=throw,cast)、「しつこい・しつこい(のろのろと歩く)・そこらにいる・虫(蝸牛)」(「テネ」が「テン」から「デン」と、「チ」が「シ」となった)

  「テネ・テネ・ム・ツ」、TENE-TENE-MU-TU(tene=be importunate;mu=insects;tu=stand,settle)、「しつこい・しつこい(のろのろと歩く)・そこらにいる・虫(蝸牛)」(「テネ」が「テン」から「デン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カ・タツ・(ン)ガプ・リ」、KA-TATU-NGAPU-RI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;ngapu=ossillate or undulate as swampy ground,stretch forwards;ri=protect,bind)、「全く・のんびりとしている(動きが遅い)・起伏のある湿地に・(縛り付けられた)生息する(動物。蝸牛)」(「タツ」が「ダツ」と、「(ン)ガブ」のNG音がN音に変化して「ナプ」から「ンプ」、「ンブ」となつた)

  「カ・タツ・プ・リ」、KA-TATU-PU-RI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;pu=tribe,bunch.heap;ri=protect,bind)、「全く・のんびりとしている(動きが遅い)・荷物(殻)を・(縛り付けられた)背負っている(動物。蝸牛)」(「タツ」が「ダツ」と、「ブ」が「プ」となつた)

  「マイマイ・ツ・プラウ」、MAIMAI-TU-PURAU(maimai=a dance;tu=stand,settle,fight with,energetic;purau-pointed stick or instrument with which to take food)、「二本の箸のような角を・動かして・踊りを踊る(動物。蝸牛)」(「プラウ」のAU音がO音に変化して「プロ」から「ブロ」となった)

  「ツ・(ン)ガウ(ン)ガ・テイ・ラウ」、TU-NGAUNGA-TEI-RAU(tu=fight with,energetic;ngaunga=ngau=bite,hurt,act upon,attack;tei,teitei=high,tall,summit;rau=project,extend)、「荒々しく・(相手を)傷つけるもの(角)を・高く・伸ばす(動物。蝸牛)」(「(ン)ガウ(ン)ガ」のNG音が双方ともにN音に、AU音がO音に変化して「ノナ」から「ノン」と、「テイ」が「デ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

  「メメネ・チホ」、MEMENE-TIHO(mene,memene=be assembled,show wrinjles,contort the face;tiho=flaccid,soft)、「顔を自在に歪める・体の柔らかい(動物。蝸牛)」(「メメネ」が「メメン」と、「チホ」のH音が脱落して「チオ」から「ジョ」となった)

  「テネ・テネ・(ン)ゴフ」、TENE-TENE-NGOHU(tene=be importunate;ngohu,ngohungohu=feeble,flaby)、「しつこい・しつこい(のろのろと歩く)・体の柔らかい(動物。蝸牛)」(「テネ」が「テン」から「デン」と、「(ン)ゴフ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゴウ」から「ゴー」となった)

  「(ン)ガ・テネ・テネ・ム・ツ」、NGA-TENE-TENE-MU-TU(nga=the;tene=be importunate;mu=insects;tu=stand,settle)、「例の・しつこい・しつこい(のろのろと歩く)・そこらにいる・虫(蝸牛)」(「(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナ」から「ン」と、「テネ」が「テン」から「デン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「マイマイ」、MAIMAI(a dance)、「(二本の箸のような角を動かして)踊りを踊る(動物。蝸牛)」

  「ツ・マ・マエ・クチ」、TU-MA-MAE-KUTI(tu=stand,settle;ma=white,clean;mae=languid,listless,withered;kuti=draw tightly together,contract,pinch)、「清らかな(場所に)・生息する・体が柔らかくて・小さくなる(動物。蝸牛)」(「ツ」が「ツー」と、「マエ」が「メ」と、「クチ」が「クジ」となった)

  「ツ・ナ・マエ・クチ」、TU-NA-MAE-KUTI(tu=stand,settle;na=satisfied,content;mae=languid,listless,withered;kuti=draw tightly together,contract,pinch)、「満足して・生息する・体が柔らかくて・小さくなる(動物。蝸牛)」(「ツ」が「ツー」と、「マエ」が「メ」と、「クチ」が「クジ」となった)

  「チエ(ン)ギ・チエ(ン)ギ・ム・チ」、TIENGI-TIENGI-MU-TI(tiengi=unsettled;mu=insects;ti=throw,cast)、「少しも・じっとしていない(のろのろと動いている)・そこらにいる・虫(蝸牛)」(「チエ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「チエニ」から「チェン」、「ジェン」と、「チ」が「シ」となった)

  「チ(ン)ガ・ナナ」、TINGA-NANA(tinga=likely;nana=tend carefully,nurse)、「まるで・(傷を嘗めて回る)看護するような(虫。蝸牛)」(「チ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チナ」から「チン」と、「ナナ」が「ナン」となった)

  「ナナ・ト」、NANA-TO(nana=tend carefully,nurse;to=drag,haul)、「(傷を嘗めて)看護して・回る(虫。蝸牛)」(「ナナ」が「ナン」となった)

  「カ・タツ・(ン)ガプ・ル」、KA-TATU-NGAPU-RU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;ngapu=ossillate or undulate as swampy ground,stretch forwards;ru=shake,agitate,scatter)、「全く・のんびりとしている(動きが遅い)・起伏のある湿地に・(散らばって)生息する(動物。蝸牛)」(「タツ」が「サツ」と、「(ン)ガブ」のNG音がN音に変化して「ナプ」から「ンプ」、「ンブ」となつた)

  「カ・タツ・ムイ」、KA-TATU-MUI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;tatu=reach the bottom,be at ease,consent;mui=swarm round,infest,molest)、「全く・のんびりとしている(動きが遅い)・群集している(動物。蝸牛)」(「タツ」が「サツ」となつた)

の転訛と解します。

049かつぐ(担ぐ)・カンツグ・ショウ・ヒッカツグ・カタグ・セオウ・ニナウ・カタゲル・セタラウ・カタグッ・カラウ・カタグル・カル・カタミーン・セタラク・カク・クジュー・カルウ

 「かつぐ」の方言には、北海道、宮城などの「カズグ」(「かつぐ」と同語源)、青森の「カンツグ」、岩手、福島の「ショウ」、埼玉の「ヒッカツグ」、富山、石川などの「カタグ」、岐阜の「セオウ」、三重、和歌山の「ニナウ」、滋賀、大阪などの「カタゲル」、奈良の「セタラウ」、高知の「カタング」(「カタグ」と同語源)、佐賀の「カタグッ」、長崎の「カタヌッ」(「カタグッ」と同語源)、熊本の「カラウ」、宮崎の「カタグル」、鹿児島の「カル」、沖縄那覇・首里の「カタミーン」があります。

 上記のほか、大阪の「セタラク」(背で)、香川の「カク」(二人で)、高知の「クジュー」(片肩でひっかけて)、大分の「カルウ」(背中に)、鹿児島の「カタグッ」(背中で)(「カタグッ」と同語源)などがあります。

 この「かつぐ」、「カンツグ」、「ショウ」、「ヒッカツグ」、「カタグ」、「セオウ」、「ニナウ」、「カタゲル」、「セタラウ」、「カタグッ」、「カラウ」、「カタグル」、「カル」、「カタミーン」、「セタラク」、「カク」、「クジュー」、「カルウ」は、

  「カハ・ツ・(ン)グ」、KAHA-TU-NGU(kaha=strong,strength,persistency;tu=stand,be erect,settle;ngu=moan,groan)、「永い間・(荷物を)持ち上げて・(苦痛の)うめき声を立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった。また「ツ」が「ズ」となつた)

  「カ(ン)ガ・ツ・(ン)グ」、KANGA-TU-NGU(kanga=verbal noun of "ka"=take fire,be lighted,burn;tu=stand,be erect,settle;ngu=moan,groan)、「(火が燃えるように)元気を出して・(荷物を)持ち上げて・(苦痛の)うめき声を立てる(担ぐ)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった。また「ツ」が「ズ」となつた)

  「チヒ・オフ」、TIHI-OHU(tihi=summit,top,lie in a heap;ohu=stoop)、「(荷物を人の)上に載せて・前かがみになる(担ぐ)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「オフ」のH音が脱落して「オウ」となり、「シ・オウ」が「ショウ」となつた)

  「ヒタ・カハ・ツ・(ン)グ」、HITA-KAHA-TU-NGU(hita=move convulsively or spasmodically;kaha=strong,strength,persistency;tu=stand,be erect,settle;ngu=moan,groan)、「急に・永い間・(物を)持ち上げて・(苦痛の)うめき声を立てる(担ぐ)」(「ヒタ」の語尾のA音が脱落して「ヒッ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった。また「ツ」が「ズ」となつた)

  「カハ・タ・(ン)グ」、KAHA-TA-NGU(kaha=strong,strength,persistency;ta=dash,beat,lay;ngu=moan,groan)、「永い間・(荷物を背に)載せて・(苦痛の)うめき声を立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった。また「(ン)グ」が「ング」となった)

  「テイ・オフ」、TEI-OHU(tei,teitei=high,tall,top;ohu=stoop)、「(荷物を人の上の)背に(載せて)・前かがみになる(担ぐ)」(「テイ」のI音が脱落して「テ」から「セ」と、「オフ」のH音が脱落して「オウ」となつた)

  「ニヒ・ナフ」、NIHI-NAHU(nihi=move stealthly,steal away;nahu=well executed)、「ひっそりと移動して・(仕事を)きちんと果たす(担ぐ)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「ナフ」のH音が脱落して「ナウ」となつた)

  「カハ・タ・(ン)ゲル」、KAHA-TA-NGERU(kaha=strong,strength,persistency;ta=dash,beat,lay;ngeru,ngerungeru=smooth,soft,sleek)、「永い間・(荷物を背に)載せて・(体が柔らかく)くたくたになる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「テイ・タ・ラウ」、TEI-TA-RAU(tei,teitei=high,tall,top;ta=dash,beat,lay;rau=catch as in a net,gather into a basket etc.)、「(荷物を人の上の)背の・籠(背負子など)に・載せる(担ぐ)」(「テイ」のI音が脱落して「テ」から「セ」となつた)

  「カハ・タ・(ン)グ・ツ」、KAHA-TA-NGU-TU(kaha=strong,strength,persistency;ta=dash,beat,lay;ngu=moan,groan;tu=stand,be erect,settle)、「永い間・(荷物を背に)載せて・(苦痛の)うめき声を・立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「ツ」が「ッ」となった)

  「カハ・ラウ」、KAHA-RAU(kaha=strong,strength,persistency;rau=catch as in a net,gather into a basket etc.)、「永い間・(荷物を)籠(背負子など)に載せる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となつた)

  「カハ・タ・(ン)グル」、KAHA-TA-NGURU(kaha=strong,strength,persistency;ta=dash,beat,lay;nguru=utter a suppressed moan or sign or groan;tu=stand,be erect,settle)、「永い間・(荷物を背に)載せて・(苦痛の)うめき声を立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グル」のNG音がG音に変化して「グル」となった)

  「カハ・ハル」、KAHA-HARU(kaha=strong,strength,persistency;haru=bark)、「永い間・(苦痛の)うめき声を・立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ハル」のH音が脱落して「ル」となつた)

  「カハ・タ・ミネ」、KAHA-TA-MINE(kaha=strong,strength,persistency;ta=dash,beat,lay;mine=be assembled)、「永い間・(荷物を背に)載せて・背負った(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ミネ」が「ミン」から「ミーン」となった)

  「テイ・タラ・ク」、TEI-TARA-KU(tei,teitei=high,tall,top;tara=point,peak of a mountain;ku,kuku=firm,stiff)、「(荷物を人の上の)背の・上に・しっかりと載せる(担ぐ)」(「テイ」のI音が脱落して「テ」から「セ」となつた)

  「カハ・ク」、KAHA-KU(kaha=strong,strength,persistency;ku,kuku=firm,stiff)、「永い間・(荷物を背の上に)しっかりと載せる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となつた)

  「ク・チウ」、KU-TIU(ku,kuku=firm,stiff;tiu=soar,wander,swing)、「(荷物を背の上に)ぶらぶらと・載せる(担ぐ)」(「チウ」が「チュウ」から「ジュウ」となつた)

  「カハ・ハル・ウ」、KAHA-HARU-U(kaha=strong,strength,persistency;haru=bark;u=say,be fixed,reach its limit)、「永い間・極限の・(苦痛の)うめき声を・立てる(担ぐ)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ハル」のH音が脱落して「ル」となつた)

の転訛と解します。

050かっぱ(河童)・カーパメ・ガタロ・カワコ・エンコ・エンコー・カワソー・グァッパ・ガワッパ・ガワロ・ガラッパ・アカガンター・コッパ・セコンボ

 「かっぱ」の方言には、茨城の「カーパメ」、三重、京都などの「ガタロ」、和歌山の「ガータロ」(「ガタロ」と同語源)、鳥取の「カワコ」、岡山の「エンコ」、広島、山口などの「エンコー」、福岡の「ガッパ」、佐賀の「カワソー」、長崎の「グァッパ」、熊本の「ガワッパ」、宮崎の「ガワロ」、鹿児島の「ガラッパ」、沖縄首里の「アカガンター」があります。

 上記のほか、新潟の「コッパ」、香川の「ガタロー」(「ガタロ」と同語源)、大分の「セコンボ」があります。(この辞典には収録していませんが、各地に「がわたろ」、宮崎に「ひょうすんぼ」、「ひょうすべ」という方言があります。雑楽篇(その一)の259河童の項を参照してください。)

 この「かっぱ」、「カーパメ」、「ガタロ」、「カワコ」、「エンコ」、「エンコー」、「カワソー」、「グァッパ」、「ガワッパ」、「ガワロ」、「ガラッパ」、「アカガンター」、「コッパ」、「セコンボ」は、

  「カ・ツパ」、KA-TUPA(ka=to denote the commencement of a new action or condition,when,as soon as,should;tupa=escape)、「(姿を見られると)直ぐに・逃げる(やつ。河童)」 (「ツパ」が「ッパ」となつた。また「カ」が「ガ」となった)(河童については、雑楽篇(その一)の259河童の項を参照してください。)

  「カ・パマエ」、KA-PAMAE(ka=to denote the commencement of a new action or condition,when,as soon as,should;pamae,pamamae=hurt,grieved,distress)、「(姿を見られると)実に・悲しむ(やつ。河童)」 (「カ」が「カー」と、「パマエ」のAE音がE音に変化して「パメ」から「バメ」となつた)

  「(ン)ガタ・ロ」、NGATA-RO(ngata=tangata=man:ro=roto=lake,swamp,places inland or up a fiver)、「川(湖など)に棲む・奴(やつ。河童)」(「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」となった)

  「カワ・コ」、KAWA-KO(kawa=heap,reef of rocks,channel,passage between rocks or shoals;ko=addressing to girls and males)、「川(水路など)に棲む・奴(やつ。河童)」

  「エネ・コ」、ENE-KO(ene=flatter,cajole,annus(whakaene=present the posteriors in derision);ko=addressing to girls and males)、「尻を出して人をからかう・奴(やつ。河童)」(「エネ」が「エン」となつた)

  「エネ・コウ」、ENE-KOU(ene=flatter,cajole,annus(whakaene=present the posteriors in derision);kou=knob,knot,dress the hair in a knot on the top of the head)、「尻を出して人をからかう・(頭の上で髪の毛を結んでいる)オカッパ頭の(やつ。河童)」(「エネ」が「エン」と、「コウ」が「コー」となつた)(えんこうについては、雑楽篇(その一)の259河童の項を参照してください。)

  「カワ・トウ」、KAWA-TOU(kawa=heap,reef of rocks,channel,passage between rocks or shoals;tou=dip into a liquid,wet,anus,posteriors)、「川(水路など)に棲む・濡れた(やつ。河童)」または「川(水路など)に棲む・尻を見せる(やつ。河童)」(「トウ」が「ソー」となつた)

  「クハ・ツパ」、KUHA-TUPA(kuha=gasp;tupa=escape)、「(姿を見られると驚いて)息を止めて・逃げる(やつ。河童)」 (「クハ」のH音が脱落して「クア」から「グァ」と、「ツパ」が「ッパ」となつた)

  「(ン)ガワ・ツパ」、NGAWHA-TUPA(ngawha=burst open,bloom as a flower;tupa=escape)、「急に現れては・すぐに逃げる(やつ。河童)」 (「(ン)ガワ」のNG音がG音に変化して「ガワ」と、「ツパ」が「ッパ」となつた)

  「(ン)ガワ・ロ」、NGAWHA-RO(ngawha=burst open,bloom as a flower;ro=roto=lake,swamp,places inland or up a fiver)、「急に現れる・川(湖など)に棲む(やつ。河童)」 (「(ン)ガワ」のNG音がG音に変化して「ガワ」となつた)

  「(ン)ガラ・ツパ」、NGARA-TUPA(ngara=snarl;tupa=escape)、「バサバサの髪をした・すぐに逃げる(やつ。河童)」 (「(ン)ガラ」のNG音がG音に変化して「ガラ」と、「ツパ」が「ッパ」となつた)

  「ア・カ(ン)ガ・(ン)ガタ」、A-KANGA-NGATA(a=the...of;kanga=curse,abuse,execrate;ngata=man)、「例の・ひどく嫌われる・奴(やつ。河童)」(「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンター」となった)

  「カウ・ツパ」、KAU-TUPA(kau=swim,wade;tupa=escape)、「泳ぎが達者で・直ぐに逃げる(やつ。河童)」 (「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ツパ」が「ッパ」となつた)

  「テ・コナ・アポ」、TE-KONA-APO(te=the;kona=lower part of the abdomen;apo=gather together,grasp,extort)、「例の・人の内臓(いわゆる尻子玉)を・抜いて集める(やつ。河童)」(「コナ」の語尾のA音と「アポ」の語頭のA音が連結して「コナポ」から「コンボ」となった)

の転訛と解します。

051かど(角)・カンド・カドッコ・カンドッコ・ムズリカド・カドッポ・マガリッカド・マガーカド・カドスミ・カル・ガッキ・コバ・カロ・トッパナ

 「かど」の方言には、青森、秋田などの「カンド」、岩手、福井などの「カドッコ」、宮城の「カンドッコ」、山形の「ムズリカド」、福島の「カドッポ」、栃木、埼玉などの「マガリッカド」、島根の「マガーカド」、熊本の「カドスミ」、沖縄那覇の「カル」、沖縄首里の「カドゥ」(「かど」と同語源)があります。

 上記のほか、秋田の「ガッキ」(段の角)、埼玉の「コバ」(物の)、香川の「コバ」(箪笥の)、福岡の「カロ」、佐賀の「トッパナ」(机の)などがあります。

 この「かど」、「カンド」、「カドッコ」、「カンドッコ」、「ムズリカド」、「カドッポ」、「マガリッカド」、「マガーカド」、「カドスミ」、「カル」、「ガッキ」、「コバ」、「カロ」、「トッパナ」は、

  「カハ・タウ」、KAHA-TAU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate))、「方向を変える・縁(の場所。角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となつた。また「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ドゥ」となつた)

  「カハ・ナ・タウ」、KAHA-NA-TAU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;na=by,made by,by reason of;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate))、「方向を変えて・できた・縁(の場所。角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ナ」が「ン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となつた)

  「カハ・タウ・コ」、KAHA-TAU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate);ko=yonder place)、「方向を変える・縁の・あの場所(角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドッ」となつた)

  「カハ・ナ・タウ・コ」、KAHA-NA-TAU-KO(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;na=by,made by,by reason of;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate);ko=yonder place)、「方向を変えて・できた・縁の・あの場所(角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ナ」が「ン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドッ」となつた)

  「ムツ・リ・カハ・タウ」、MUTU-RI-KAHA-TAU(mutu=brought to an end,truncated:ri=screen,protect,bind;kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate))、「(連続したものが)終わる場所に・繋がっている・方向を変える・縁(の場所。角)」(「ムツ」が「ムズ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となつた)

  「カハ・タウ・パウ」、KAHA-TAU-PAU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate);pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「方向を変え・終わった・縁(の場所(角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ドッ」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」となつた)

  「マ(ン)ガ・カハ・タウ」、MANGA-KAHA-TAU(manga=branch of a tree,branch of a river:kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate))、「(木や川が)分岐する場所の・方向を変える・縁(の場所。角)」(「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マガ」から「マガー」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となつた)

  「カハ・タウ・ツ・フミ」、KAHA-TAU-TU-HUMI(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate);tu=stand,settle;humi=abundant,copious)、「方向を変える・縁(の場所)で・群衆が・集まるところ(角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「ツ」が「ス」となり、「ス」のU音と「フミ」のH音が脱落したその語頭のU音が連結して「スミ」となつた)

  「カハ・アル」、KAHA-ARU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;aru=follow,chase)、「(曲がりに従って)方向を変える・縁(の場所。角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となり、その語尾のA音と「アル」の語のA音が連結して「カル」となつた)

  「カハ・キヒ」、KAHA-KIHI(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;kihi=cut off,strip of branches etc.)、「(何かを)切り落とした・縁(の場所。角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」から「ガッ」と、「キヒ」のH音が脱落して「キ」となつた)

  「コパ」、KOPA(bent,folded)、「(折り)曲げた(場所。角)」(「コパ」が「コバ」となつた)

  「カハ・アラウ」、KAHA-ARAU(kaha=edge,boundary line of land,ridge of a hill;arau=gather,lay hold of)、「縁(の線または面)が・集まった(場所。角)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となり、その語尾のA音と「アラウ」の語頭のA音が連結し、AU音がO音に変化して「カロ」となつた)

  「タウ・パ(ン)ガ」、TAU-PANGA(tau=turn away,look in another direction(tatau=turn about,vacillate);panga=verbal noun of pa=touch,reach,join in an undertaking,be connected with)、「方向を変える(線または面が)・集まった(場所。角)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「トッ」と、「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」となつた)

の転訛と解します。

052かぶる(被る)・カンブル・ヒッカブル・カムル・キル・カベー・カツグ・カズク・カブク・カブッ・カムッ・カンジュン

 「かぶる」の方言には、青森、宮城の「カンブル」、埼玉の「ヒッカブル」、愛知の「カムル」、滋賀、京都などの「キル」、島根の「カベー」、岡山の「カツグ」、広島、山口の「カズク」、愛媛の「カブク」、佐賀、鹿児島の「カブッ」、長崎の「カムッ」、沖縄那覇・首里の「カンジュン」があります。

 この「かぶる」、「カンブル」、「ヒッカブル」、「カムル」、「キル」、「カベー」、「カツグ」、「カズク」、「カブク」、「カブッ」、「カムッ」、「カンジュン」は、

  「カフ・プル」、KAHU-PURU(kahu=surface,garment;puru=plug(whakapuru=thatch a house,protect with a pad))、「衣類(または覆い)を・(家の屋根を葺くように体に)覆う(被る)」(「カフ」のH音が脱落して「カ」と、「プル」が「ブル」となつた)

  「カフ・ナ・プル」、KAHU-NA-PURU(kahu=surface,garment;na=by,made by,by reason of;puru=plug(whakapuru=thatch a house,protect with a pad))、「衣類(または覆い)・で・(家の屋根を葺くように体に)覆う(被る)」(「カフ」のH音が脱落して「カ」と、「ナ」が「ン」と、「プル」が「ブル」となつた)

  「ヒタ・カフ・プル」、HITA-KAHU-PURU(hita=move convulsively or spasmodically;kahu=surface,garment;puru=plug(whakapuru=thatch a house,protect with a pad))、「急に・衣類(または覆い)を・(家の屋根を葺くように体に)覆う(被る)」(「ヒタ」の語尾のA音が脱落して「ヒッ」、「カフ」のH音が脱落して「カ」と、「プル」が「ブル」となつた)

  「カフ・ムル」、KAHU-MURU(kahu=surface,garment;muru=wipe,smear)、「衣類(または覆い)を・(体の上を拭うように)羽織る(被る)」(「カフ」のH音が脱落して「カ」となつた)

  「キ・ル」、KI-RU(ki=to(of place,of person),on,upon,at,for;ru=shake,agitate,scatter)、「(衣類または覆いを体の)上に・(投げ掛ける)覆う(被る)」

  「カフ・パエ」、KAHA-PAE(kahu=surface,garment;pae=horizen,lie across,be laid to the charge of any one)、「衣類(または覆い)を・(体の)上に置く(被る)」(「カフ」のH音が脱落して「カ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベー」となった)

  「カハ・ツ・(ン)グ」、KAHA-TU-NGU(kaha=surface,garment;tu=stand,be erect,settle;ngu=silent)、「衣類(または覆い)を・黙って・持ち上げて(体の上に)置く(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「カハ・ツ・ク」、KAHA-TU-KU(kaha=surface,garment;tu=stand,be erect,settle;ku=silent)、「衣類(または覆い)を・黙って・持ち上げて(体の上に)置く(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ツ」が「ズ」となった)

  「カハ・プク」、KAHA-PUKU(kaha=surface,garment;puku=swell)、「衣類(または覆い)が・(体の上に羽織って)膨らむ(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「プク」が「ブク」となった)

  「カハ・プツ」、KAHA-PUTU(kaha=surface,garment;putu=lie in a heap,swell)、「衣類(または覆い)が・(体の上に羽織って)膨らむ(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「プツ」が「ブッ」となった)

  「カハ・ム・ツ」、KAHA-MU-TU(kaha=surface,garment;mu=silent;tu=stand,be erect,settle)、「衣類(または覆い)を・黙って・持ち上げて(体の上に)置く(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)

  「カハ・(ン)ガチ・ウ(ン)ガ」、KAHA-NGATI-UNGA(kaha=surface,garment;ngati=ngai=trib,clan;unga=act or circumstance etc. of becoming firm)、「衣類の・類(覆いなど)を・(体に)付着させようとする(被る)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)ガチ」のNG音がN音に変化して「ナチ」から「ンジ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、「ンジ」と連結して「ンジュン」となった)

の転訛と解します。

053かぼちゃ(南瓜)・トナシ・カンボジャ・ドフラ・カブチャ・カプチャ・トーナス・ナンカン・ナンキン・ボーフラ・ブナ・ナンバン・チンクヮー・オチョーセン・ボンタン

 「かぼちゃ」の方言には、青森の「トナシ」、岩手、宮城の「カンボジャ」、秋田の「ドフラ」、山形、山梨の「カブチャ」、福島の「カプチャ」、栃木、群馬などの「トーナス」、富山の「ナンカン」、福井、愛知などの「ナンキン」、和歌山の「ナンキ」(「ナンキン」と同語源)、鳥取、広島の「ボーフラ」、山口の「トーブラ」(「ドフラ」と同語源)、高知の「ボフラ」(「ボーフラ」と同語源)、福岡、長崎などの「ボーブラ」(「ボーフラ」と同語源)、佐賀の「ブナ」、宮崎の「ナンバン」、沖縄那覇・首里の「チンクヮー」があります。

 上記のほか、香川の「オチョーセン」、佐賀の「ボンタン」、大分の「ボブラ」(「ボーフラ」と同語源)などがあります。

 この「かぼちゃ」、「トナシ」、「カンボジャ」、「ドフラ」、「カブチャ」、「カプチャ」、「トーナス」、「ナンカン」、「ナンキン」、「ボーフラ」、「ブナ」、「ナンバン」、「チンクヮー」、「オチョーセン」、「ボンタン」は、

  「カハ・ポ・チア」、KAHA-PO-TIA(kaha=edge,boundary line of land etc.,ridge of a hill;po,popo=crowd round,throng;tia=etia=as if,as it were)、「(山脈のような)膨らみの境界線が・集まっている・ように見える(野菜。南瓜)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ポ」が「ボ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「タウ(ン)ガ・チ」、TAUNGA-TI(taunga=tau=come to rest,be suitable,be comely;ti=throw,cast)、「満足・できる(美味な野菜。南瓜)」(「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」と、「チ」が「シ」となった)

  「カハ・ナ・ポ・チア」、KAHA-NA-PO-TIA(kaha=edge,boundary line of land etc.,ridge of a hill;na=by,made by,by reason of,belonging to;po,popo=crowd round,throng;tia=etia=as if,as it were)、「(山脈のような)膨らみの境界の・線が・集まっている・ように見える(野菜。南瓜)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ナ」が「ン」と、「ポ」が「ボ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「タウ・フラ」、TAU-HURA(tau=come to rest,be suitable,be comely;hura=scrofulous swelling)、「満足できる・(瘰癧のような)瘤だらけの(美味な野菜。南瓜)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった。また「フラ」が「ブラ」となった)

  「カハ・プ・チア」、KAHA-PU-TIA(kaha=edge,boundary line of land etc.,ridge of a hill;pu=bundle,heap,make into a bundle or ball;tia=etia=as if,as it were)、「(山脈のような)膨らみの境界線が・珠を作っている・ように見える(野菜。南瓜)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「プ」が「ブ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「タウ(ン)ガ・ツ」、TAUNGA-TU(taunga=tau=come to rest,be suitable,be comely;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「満足・できる(美味な野菜。南瓜)」(「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に、NG音がN音に変化して「トナ」から「トーナ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ナナ・カハ・ナ」、NANA-KAHA-NA(nana=na=satisfied,refresh;kaha=edge,boundary line of land etc.,ridge of a hill;na=by,made by,by reason of,belonging to)、「満足できる・(山脈のような)膨らみの境界の・線がある(美味な野菜。南瓜)」(「ナナ」が「ナン」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ナナ・キナ」、NANA-KINA(nana=na=satisfied,refresh;kina=sea-urchin,sea-egg,a globular calabash)、「満足できる・(くびれのない球形のひょうたんのような)球形の(美味な野菜。南瓜)」(「ナナ」が「ナン」と、「キナ」が「キン」となった。また「キン」が縮約して「キ」となった)

  「ポ・フラ」、PO-HURA(po,popo=crowd round,throng;;hura=scrofulous swelling)、「(瘰癧のような)瘤が・集まっている(野菜。南瓜)」(「ポ」が「ボー」となった。また「フラ」が「ブラ」となった)

  「プ・ナ」、PU-NA(pu=bundle,heap,make into a bundle or ball;na=by,made by,by reason of,belonging to)、「珠を作っている・ような(野菜。南瓜)」(「プ」が「ブ」となった)

  「ナナ・パネ」、NANA-PANE(nana=na=satisfied,refresh;pane=head)、「満足できる・(人の)頭のような(美味な野菜。南瓜)」(「ナナ」が「ナン」と、「パネ」が「バン」となった)

  「チノ・クフ・ウワ」、TINO-KUHU-UWHA(tino=essentiality,reality;kuhu=insert,conceal;uwha=female,woman)、「主として・女性の・(口に)入る(好物の野菜。南瓜)」(「チノ」が「チン」と「クフ」のH音が脱落して「ク」となり、その語尾のU音と「ウワ」の語頭のU音が連結して「クワ」から「クヮー」となった)

  「オ・チオホ・テネ」、O-TIOHO-TENE(o=the,,,of;tioho=apprehensive;tene=be importunate)、「例の・(あまりの美味に)病み付きになる・のを恐れる(野菜。南瓜)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョー」と、「テネ」が「テン」から「セン」となった)

  「ポナ・タ(ン)ガ」、PONA-TANGA(pona=knot,cord,anything tied up into a compact parcel;tanga=be assembled,row,tier)、「包みを縛る紐が・集まっているような(野菜。南瓜)」(「ポナ」が「ボン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

の転訛と解します。

054かまきり(蟷螂・螳螂)・エンボムス・エボボッチ・カマキリムス・イボムシ・カマギッチョ・カマゲッチョ・カマキリムシ・トカゲ・オガミ・カマカケ・カマキー・カマキッチョ・オガミタロー・オガマニャトーサン・オンガメ・ッイサトゥー・イサトゥー・デンガボ・タバゴムス・ファェトリ

 「かまきり」の方言には、宮城の「エンボムス」、秋田の「エボボッチ」、山形の「カマキリムス」、福島の「イボムシ」、茨城、群馬などの「カマギッチョ」、栃木の「カマゲッチョ」、石川の「カマキリムシ」、山梨の「トカゲ」、静岡の「カマッキリ」(「かまきり」と同語源)、三重の「オガミ」、鳥取の「カマカケ」、島根の「カマキー」、福岡の「カマキッチョ」、佐賀の「カマキィ」(「カマキー」と同語源)、長崎の「オガミタロー」、熊本の「オガマニャトーサン」、鹿児島の「オンガメ」、沖縄那覇の「ッイサトゥー」、沖縄首里の「イサトゥー」があります。

 上記のほか、岩手の「デンガボ」、宮城の「タバゴムス」、秋田の「ファェトリ」があります。

 この「かまきり」、「エンボムス」、「エボボッチ」、「カマキリムス」、「イボムシ」、「カマギッチョ」、「カマゲッチョ」、「カマキリムシ」、「トカゲ」、「オガミ」、「カマカケ」、「カマキー」、「カマキッチョ」、「オガミタロー」、「オガマニャトーサン」、「オンガメ」、「ッイサトゥー」、「イサトゥー」、「デンガボ」、「タバゴムス」、「ファェトリ」は、

  「カ・マキリ」、KA-MAKIRI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;makiri=false,unfounded,tease)、「偽りの・行動(鎌を振り上げて切ろうとする)をしょうとする(虫。かまきり)」(「マキリ」が「マッキリ」となった)

  「エネ・ポ・ム・ツ」、ENE-PO-MU-TU(ene=flutter,cajole;po,popo=pat with the hand,soothe;mu=insects;tu=stand,settle)、「(誰彼の見境無く)機嫌を取るように・揉み手をする・そこらにいる・虫(かまきり)」(「エネ」が「エン」と、「ポ」が「ボ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「エ・ポポ・チ」、E-POPO-TI(e=to denote action in progress or temporary condition;po,popo=pat with the hand,soothe;ti=throw,cast)、「揉み手を・しょうとする・そこらに(放り出されて)いる(虫。かまきり)」(「ポポ」が「ボボッ」となった)

  「カ・マキリ・ム・ツ」、KA-MAKIRI-MU-TU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;makiri=false,unfounded,tease;mu=insects;tu=stand,settle)、「偽りの・行動(鎌を振り上げて切ろうとする)をしょうとする・そこらにいる・虫(かまきり)」(「ツ」が「ス」となった)

  「イ・ポ・ム・チ」、I-PO-MU-TI(i=from,beside,by,at;po,popo=pat with the hand,soothe;mu=insects;ti=throw,cast)、「周りに・揉み手をする・そこらにいる・虫(かまきり)」(「ポ」が「ボ」と、「チ」が「シ」となった)

  「カ・マ(ン)ギ・チオホ」、KA-MANGI-TIOHO(ka=to denote the commencement of a new action or condition;mangi=floating,drifting,unsettled;tioho=apprehensive)、「体を揺らして・心配して・いるようにしている(虫。かまきり)」(「マ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「マギ」から「マギッ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」となった)

  「カ・マ(ン)ガイ・チオホ」、KA-MANGAI-TIOHO(ka=to denote the commencement of a new action or condition;mangai,mangaingai=slow,moving heavily;tioho=apprehensive)、「重々しく体を動かして・心配して・いるようにしている(虫。かまきり)」(「マ(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「マゲ」から「マゲッ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」となった)

  「カ・マキリ・ム・チ」、KA-MAKIRI-MU-TI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;makiri=false,unfounded,tease;mu=insects;ti=throw,cast)、「偽りの・行動(鎌を振り上げて切ろうとする)をしょうとする・そこらに(放り出されて)いる・虫(かまきり)」(「チ」が「シ」となった)

  「トカ・(ン)ガイ」、TOKA-NGAI(toka=stone,firm,satisfied,stay,wait a while;ngai=tribe or clan)、「動作が緩慢な・部類の(虫。かまきり)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)

  「オ・(ン)ガミ」、O-NGAMI(o=the...of;ngami=swallow up)、「例の・(小動物を盛んに)捕食する(虫。かまきり)」(「(ン)ガミ」」のNG音がG音に変化して「ガミ」となった)

  「カマ・カカイ」、KAMA-KAKAI(kama=eager;kakai=eat frequently)、「熱心に・(小動物を)盛んに捕食する(虫。かまきり)」(「カカイ」のAI音がE音に変化して「カケ」となった)

  「カマ・キヒ」、KAMA-KIHI(kama=eager;kihi=cut off,destroy completely)、「熱心に・(小動物を)殺し尽くす(捕食する虫。かまきり)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」から「キー」となった)

  「カマ・キヒ・チオホ」、KAMA-KIHI-TIOHO((kama=eager;kihi=cut off,destroy completely;tioho=apprehensive)、「熱心に・(小動物を)殺し尽くして・心配している(虫。かまきり)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」から「キッ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「チョ」となった)

  「オ・(ン)ガミ・タロ」、O-NGAMI-TARO(o=the...of;ngami=swallow up;taro-denoting the lapse of a short interval of time,presently,by and by)、「例の・次から次に・(小動物を盛んに)捕食する(虫。かまきり)」(「(ン)ガミ」」のNG音がG音に変化して「ガミ」と、「タロ」が「タロー」となった)

  「オ(ン)ガ・マニア・タウタ(ン)ガ」、ONGA-MANIA-TAUTANGA(onga=agitate,shake about;mania=slippery,slip,slide:tautanga=alighting)、「勢いよく・横に滑って・(木や草の上から)飛び降りる(虫。かまきり)」(「オ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「オガ」と、「マニア」が「マニャ」と、「タウタ(ン)ガ」のAU音がOU音に、NG音がN音に変化して「トウタナ」から「トーサン」となった)

  「オ(ン)ガ・マイ」、ONGA-MAI(onga=agitate,shake about;mai=a dance)、「勢いよく・踊りを踊る(虫。かまきり)」(「オ(ン)ガ」が「オンガ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「ツ・イ・タタウ」、TU-I-TATAU(tu=fight with,energetic;i=past tense;tatau=quarrel)、「躍起になって・口論を・した(虫。かまきり)」(「タタウ」のAU音がOU音に変化して「タトウ」から「サトゥー」となった)

  「イ・タタウ」、I-TATAU(i=past tense;tatau=quarrel)、「口論を・した(虫。かまきり)」(「タタウ」のAU音がOU音に変化して「タトウ」から「サトゥー」となった)

  「テ(ン)ガ・ポ」、TENGA-PO(tenga=Adam's apple,distended,strained;po,popo=pat with the hand,soothe)、「懸命に・揉み手をする(虫。かまきり)」(「テ(ン)ガ」が「デンガ」と、「ポ」が「ボ」となった)

  「タパコ・ム・ツ」、TAPAKO-MU-TU(tapako=descend suddenly,swoop down;mu=insects;tu=stand,settle)、「(獲物を)突然襲う・そこらにいる・虫(かまきり)」(「タパコ」が「タバゴ」となった)

  「フア・エ・トリ」、HUA-E-TORI(hua=fruit,product,abundance;e=to give emphasis;tori=cut)、「(果実)獲物という・獲物を・殺す(捕食する虫。かまきり)」

の転訛と解します。

055かみなり(雷)・ナリガミサマ・レサマ・オレサマ・カミナリサマ・ゴロッツァマ・カンナリサマ・ライサマ・オカンナリサン・オカンダチ・ユーダチ・カミナリサン・ヨーダチ・ゴロゴロサン・ドンドロケ・カンナー・ドンドロ・カンナリサン・オナリ・ナラカミサン・カミナレ・カンナイ

 「かみなり」の方言には、青森の「ナリガミサマ」、岩手の「レサマ」、宮城の「オレサマ」、秋田、埼玉の「カミナリサマ」、山形の「ラエサマ」(「レサマ」と同語源)、福島、栃木の「ライサマ」、茨城の「レーサマ」(「レサマ」と同語源)、群馬の「ゴロッツァマ」、新潟の「カンナリサマ」(「カミナリサマ」と同語源)、石川の「カンナリ」(「かみなり」と同語源)、山梨の「オカンナリサン」、長野の「オカンダチ」、岐阜の「ユーダチ」、静岡の「カミナリサン」、愛知の「ヨーダチ」、滋賀、熊本などの「ゴロゴロサン」、鳥取の「ドンドロケ」、島根の「カンナー」、岡山、広島の「ドンドロ」、香川の「カンナリサン」、高知の「オナリ」、佐賀の「ナラカミサン」、宮崎の「カミナレ」、鹿児島の「カンナレ」(「カミナレ」と同語源)、沖縄那覇・首里の「カンナイ」があります。

 この「かみなり」、「ナリガミサマ」、「レサマ」、「オレサマ」、「カミナリサマ」、「ゴロッツァマ」、「カンナリサマ」、「ライサマ」、「オカンナリサン」、「オカンダチ」、「ユーダチ」、「カミナリサン」、「ヨーダチ」、「ゴロゴロサン」、「ドンドロケ」、「カンナー」、「ドンドロ」、「カンナリサン」、「オナリ」、「ナラカミサン」、「カミナレ」、「カンナイ」は、

  「カミ・(ン)ガリ」、KAMI-NGARI(kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power)、「(万物を支配する)神が・(人に下す)迷惑(雷)」(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」となった。また「カミ」が「カン」となった)

  「(ン)ガリ・カミ・タ・マ」、NGARI-KAMI-TA-MA(ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;kami=eat;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・清らかに・座すもの(尊崇すべき対象。様)(雷)」(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タ」が「サ」となった)

  「ラエ・タ・マ」、LAE-TA-MA((Hawaii)lae=forehead(laelae=bright,shiny);ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(雷)光を発する・清らかに・座す神(雷)」(「タ」が「サ」となった。また「ラエ」のAE音がE音に変化して「レ」または「レー」となった)

  「オ・レ・タ・マ」、O-LE-TA-MA(o=the...of;(Hawaii)le=to go about aimlessly;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「例の・(当てもなくさまよう)どこに落ちるか分からない・清らかに・座す神(雷)」(「タ」が「サ」となった)

  「カミ・(ン)ガリ・タ・マ」、KAMI-NGARI-TA-MA(kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・清らかに・座すもの(尊崇すべき対象。様)(雷)」(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タ」が「サ」となった。また「カミ」が「カン」となった)

  「ラヒ・タ・マ」、RAHI-TA-MA(rahi=great,abundant,loud;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(雷の)轟音を発する・清らかに・座す神(雷)」(「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ゴロ・タ・マ」、NGORO-TA-MA(ngoro=snore,utter exclamations of surprise or admiration;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(それに対して)驚怖と畏敬の叫びを上げる(神で)・清らかに・座すもの(尊崇すべき対象。様)(雷)」(「(ン)ゴロ」のNG音がG音に変化して「ゴロ」から「ゴロッ」と、「タ」が「ツァ」となった)

  「カミ・(ン)ガリ・タ・マ」、KAMI-NGARI-TA-MA(kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・清らかに・座すもの(尊崇すべき対象。様)(雷)」(「カミ」が「カン」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タ」が「サ」となった)

  「オ・カミ・(ン)ガリ・タナ」、O-KAMI-NGARI-TANA(o=the...of;kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;tana=his,her)、「例の・(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・彼の者(尊崇すべき対象)(雷)」(「「カミ」が「カン」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タナ」が「サン」となった

  「オ・カミ・タハ・チ」、O-KAMI-TAHA-TI(o=the...of;kami=eat;taha=side,spasmodic twitching of the muscles,pass on one side,go by;ti=throw,cast,overcome)、「例の・(万物を支配する)神が・急にやってきて・下して圧倒するもの(雷)」(「「カミ」が「カン」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」となった

  「ヰウ・タハ・チ」、WHIU-TAHA-TI(whiu=throw,fling,place,be gathered together;taha=side,pass on one side,go by;ti=throw,cast,overcome)、「(雨と)共に叩き付けながら・急にやってきて通り過ぎて行く・圧倒されるもの(雷)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」となった)(「ゆうだち(夕立)」については、雑楽篇(その一)の235ゆうだち(夕立)の項を参照してください。)

  「カミ・(ン)ガリ・タナ」、KAMI-NGARI-TANA(kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;tana=his,her)、「(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・彼の者(尊崇すべき対象)(雷)」(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「ヰオ・タハ・チ」、WHIO-TAHA-TI(whio=whistle;taha=side,pass on one side,go by;ti=throw,cast,overcome)、「雷鳴を轟かしながら・急にやってきて通り過ぎて行く・圧倒されるもの(雷)」(「ヰオ」のWH音が脱落して「イオ」から「ヨー」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」となった)(「ゆうだち(夕立)」については、国語篇(その十六)の211ゆうだちの項および雑楽篇(その一)の235ゆうだち(夕立)の項を参照してください。)

  「(ン)ゴロ・(ン)ゴロ・タナ」、NGORO-NGORO-TANA(ngoro=snore,utter exclamations of surprise or admiration;tana=his,her)、「(それに対して)驚怖と畏敬の叫びを・続けて上げる(神で)・彼の者(尊崇すべき対象)(雷)」(「(ン)ゴロ」のNG音がG音に変化して「ゴロ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「トヌ・トロ・ケ」、TONU-TORO-KE(tonu=denoting continuance,still,quite;toro=burn,blaze;ke=strange,different)、「ひっきりなしに・光る・奇妙なもの(雷)」(「トヌ」が「トン」から「ドン」と、「トロ」が「ドロ」となった)

  「カミ・(ン)ガ」、KAMI-NGA(kami=eat;nga=satisfied,breathe,take breath)、「(万物を支配する)神の・呼吸(雷)」(「カミ」が「カン」と、「(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナ」から「ナー」となった)

  「トヌ・トロ」、TONU-TORO(tonu=denoting continuance,still,quite;toro=burn,blaze)、「ひっきりなしに・光るもの(雷)」(「トヌ」が「トン」から「ドン」と、「トロ」が「ドロ」となった)

  「カミ・(ン)ガリ・タナ」、KAMI-NGARI-TANA(kami=eat;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power;tana=his,her)、「(人に)迷惑を下す・(万物を支配する)神で・彼の者(尊崇すべき対象)(雷)」(「「カミ」が「カン」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「タナ」が「サン」となった

  「オ・(ン)ガリ」、O-NGARI(o=the...of;ngari=annoyance,disturbance,greatness,power)、「例の・(神が人に下す)迷惑(雷)」(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」となった

  「(ン)ガラ・カミ・タナ」、NGARA-KAMI-TANA(ngara=snarl;kami=eat;tana=his,her)、「大声で怒鳴る(雷鳴を轟ろかす)・(万物を支配する)神で・彼の者(尊崇すべき対象)(雷)」(「(ン)ガラ」のNG音がN音に変化して「ナラ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「カミ・(ン)ガレ」、KAMI-NGARE(kami=eat;ngare=send,urge(ngarengare=urge,tyrannous,overbearing))、「(万物を支配する)神が・(人に下す)情け容赦ない暴行(雷)」(「(ン)ガレ」のNG音がN音に変化して「ナレ」となった。また「カミ」が「カン」となった)

  「カミ・(ン)ガヰ」、KAMI-NGAWHI(kami=eat;ngawhi=suffer penalty,be punished)、「(万物を支配する)神が・(人に下す)罰(雷)」(「カミ」が「カン」と、「(ン)ガヰ」のNG音がN音に変化し、WH音が脱落して「ナイ」となった)

の転訛と解します。

056からい(辛い)・カレァ・カラエ・ドカレェー・カリャー・カラカ・カラサン・ナンバガライ

 「からい」の方言には、青森、島根などの「カレ」(「からい」と同語源)、岩手、秋田の「カレァ」、宮城、群馬などの「カレー」(「からい」と同語源)、山形、茨城の「カラエ」、新潟の「カーレァ」(「カレァ」と同語源)、岐阜の「ドカレェー」、静岡、愛知の「カラェー」(「カラエ」と同語源)、鳥取、岡山の「カリャー」、福岡、佐賀などの「カラカ」、沖縄那覇・首里の「カラサン」があります。

 上記のほか、北海道の「カレー」(男性・多)(「からい」と同語源)、石川の「ナンバガライ」があります。

 この「からい」、「カレァ」、「カラエ」、「ドカレェー」、「カリャー」、「カラカ」、「カラサン」、「ナンバガライ」は、

  「カ・ライ」、KA-RAI(ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「(口が)火が付いたようで・(皺が寄る)ひん曲がる(辛い)」(また「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」または「レー」となった)

  「カ・ライ・イア」、KA-RAI-IA(ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed;ia=indeed)、「実に・(口が)火が付いたようで・(皺が寄る)ひん曲がる(辛い)」(「ライ」の語尾のAI音と「イア」の語頭のI音が連結し、AI音がE音に変化して「レア」から「レァ」となった。また「カ」が「カー」となった)

  「カ・ラエ」、KA-RAE(ka=take fire,be lighted,burn;rae=forehead,temple,promontry,headland)、「額(顔)に・火が付いたように(熱くなる。辛い)」(また「ラエ」が「ラェー」となった)

  「ト・カ・ライ」、TO-KA-RAI(to=tingle;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「ひりひりと・(口が)火が付いたようで・(皺が寄る)ひん曲がる(辛い)」(「ト」が「ド」と、「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」から「レェー」となった)

  「カ・リ・イア」、KA-RI-IA(ka=take fire,be lighted,burn;ri=bind,bond;ia=indeed)、「実に・(口に)火が・(結びつけられた)付いたような(辛い)」(「イア」が「ヤ」から「ャー」となった)

  「カ・ラカ」、KA-RAKA(ka=take fire,be lighted,burn;raka=be entangled,ache from weariness,go,spread about)、「(口に)火が付いて・広がったような(辛い)」

  「カ・ラハ・タ(ン)ガ」、KA-RAHA-TANGA(ka=take fire,be lighted,burn;raha=extended;tanga=be assembled)、「(口に)火が付いて・燃え・広がったような(辛い)」(「ラハ」のH音が脱落して「ラ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・パ・カ・ライ」、NGANGA-PA-KA-RAI(nganga=breathe heavily or difficulty;pa=block up,assault,be struck;ka=take fire,be lighted,burn;rai=ribbed,furrowed)、「息が苦しく・なって・(口が)火が付いたようで・(皺が寄る)ひん曲がる(辛い)」(「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ナナ」から「ナン」と、「パ」が「バ」と、「カ」が「ガ」となった)

の転訛と解します。

057からかう・チョス・シンジガル・アラガウ・スッカゲル・コバガエスル・コバガニシル・ヒヤカス・サワガス・カマウ・チョガス・オチャラカス・カカリユー・チョッカイカケル・オチョクル・ナブル・テガウ・カマー・ヨゾーカス・チョークラカス・ガマル・モドカス・オチョクッ・ガンマリスン・ワチャクユン・チョカス・ヒョートクル・ヘナブル・イラバカス・ゼビラカス・キョクル

 「からかう」の方言には、北海道の「チョス」、青森の「シンジガル」、岩手の「アラガウ」、宮城の「スッカゲル」、秋田、山梨の「チョース」(「チョス」と同語源)、山形の「コバガエスル」、福島の「コバガニシル」、栃木、静岡などの「ヒヤカス」、群馬の「サワガス」、埼玉、鳥取の「カマウ」、千葉の「チョガス」、神奈川の「オチャラカス」、新潟、広島などの「カモー」(「カマウ」と同語源)、石川の「カカリユー」、愛知の「チョッカイカケル」、三重、兵庫などの「オチョクル」、大阪の「ナブル」、和歌山、香川の「テガウ」、島根の「カマー」、岡山の「ヨゾーカス」、高知の「テンガウ」(「テガウ」と同語源)、福岡の「チョークラカス」、熊本の「チョクラカス」(「チョークラカス」と同語源)、大分の「ガマル」、宮崎の「モドカス」、鹿児島の「オチョクッ」、沖縄那覇の「ガンマリスン」、沖縄首里の「ワチャクユン」があります。

 上記のほか、北海道の「チョカス」、鳥取の「ヒョートクル」、香川の「ヘナブル」、愛媛の「イラバカス」、熊本の「ゼビラカス」、大分の「キョクル」があります。

 この「からかう」、「チョス」、「シンジガル」、「アラガウ」、「スッカゲル」、「コバガエスル」、「コバガニシル」、「ヒヤカス」、「サワガス」、「カマウ」、「チョガス」、「オチャラカス」、「カカリユー」、「チョッカイカケル」、「オチョクル」、「ナブル」、「テガウ」、「カマー」、「ヨゾーカス」、「チョークラカス」、「ガマル」、「モドカス」、「オチョクッ」、「ガンマリスン」、「ワチャクユン」、「チョカス」、「ヒョートクル」、「ヘナブル」、「イラバカス」、「ゼビラカス」、「キョクル」は、

  「カ・ラカ・フ」、KA-RAKA-HU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;raka=be entangled,ache from weariness;hu=resound,be rumoured,noise)、「ありもしない話をして・人を困惑させ・ようとする(からかう)」(「フ」のH音が脱落して「ウ」となった)

  「チハウ・ツ」、TIHAU-TU(tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;tu=fight with,energetic)、「懸命に・乱雑な話をする(人を困惑させる。からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」または「チョー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チノ・チ(ン)ガ・ル」、TINO-TINGA-RU(tino=essentiality,reality,exact;tinga=likely;ru=shake,agitate,scatter)、「尤も・らしいことを・(広める)話す(からかう)」(「チノ」が「チン」から「シン」と、「チ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「チガ」から「ジガ」となつた)

  「アラ(ン)ガ・フ」、ARANGA-HU(aranga=rise to the surface,appear,become famous,become known;hu=resound,be rumoured,noise)、「ありもしない話を・広める(人を困惑させる。からかう)」(「アラ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「アラガ」と、「フ」のH音が脱落して「ウ」となつた)

  「ツカハ・(ン)ゲ・ル」、TUKAHA-NGE-RU(tukaha=strenuous,vigorous;nge=noise,screech;ru=shake,agitate,scatter)、「精力的に・(雑音)ありもしない話を・広める(人を困惑させる。からかう)」(「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」から「スッカ」と、「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲ」となった)

  「コパ・(ン)ガエ・ツ・ル」、KOPA-NGAE-TU-RU(kopa=pass by,disappear,fly away;ngae=wheeze(whakangae=make to call out of a decoy parrot);tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(すぐに)消える・囮(おとり)の声を出す(偽の話をする)・ことを懸命に・行う(人を困惑させる。からかう)」(「コパ」が「コバ」と、「(ン)ガエ」のNG音がG音に変化して「ガエ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「コパ・(ン)ガ(ン)ギ・チ・ル」、KOPA-NGANGI-TI-RU(kopa=pass by,disappear,fly away;ngangi=cry of distress,noise;ti=throw,cast;ru=shake,agitate,scatter)、「(すぐに)消える・雑音(偽の話)を・懸命に・広める(人を困惑させる。からかう)」(「コパ」が「コバ」と、「(ン)ガ(ン)ギ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガニ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ヒア・カ・ツ」、HIA-KA-TU(hia=desire,wish;ka=take fire,be lighted,burn;tu=stand,settle)、「火が・付いている(すぐに燃えて消え失せる)ようなことを・望む(語る。からかう)」(「ヒア」が「ヒヤ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「タワ・(ン)ガツ」、TAWHA-NGATU(tawha=burst open,crack;ngatu=crushed,mashed)、「爆発(偽の話を花火のように打ち上げる)して・(潰して)消す(からかう)」(「タワ」が「サワ」と、「(ン)ガツ」のNG音がG音に変化して「ガツ」から「ガス」となつた)

  「カ・マフ」、KA-MAHU(ka=take fire,be lighted,burn;mahu=cicatrized,heal)、「(火を付ける)火傷を作って・治療する(からかう)」(「マフ」のH音が脱落して「マウ」となった。また「マウ」のAU音がOU音に変化して「モウ」から「モー」となった)

  「チハウ・(ン)ガツ」、TIHAU-NGATU(tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;ngatu=crushed,mashed)、「乱雑な話をして(人を困惑させて)・(潰して)消す(からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」と、「(ン)ガツ」のNG音がG音に変化して「ガツ」から「ガス」となつた)

  「オチ・アラ・カ・ツ」、OTI-ARA-KA-TU(oti=finished,gone or come for good;ara=and then;ka=take fire,be lighted,burn;tu=stand,settle)、「(はじめに)うまいことを言って・それから・火を・付ける(困惑させる。からかう)」(「オチ・アラ」が「オチャラ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「カカ・リウ」、KAKA-RIU(kaka=flutter;riu=pass by,disappear)、「(人を期待で)わくわくさせて・(去る)失望させる(からかう)」(「リウ」が「リュウ」から「リュー」となった)

  「チハウ・ツ・カイ・カカイ・ル」、TIHAU-TU-KAI-KAKAI-RU(tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;tu=fight with,energetic;kai=fulfil its proper function,have full play;kakai=frequentative,conspire,plot;ru=shake,agitate,scatter)、「乱雑な話を・懸命に・果たすことを・躍起になつて・画策する(人を困惑させる。からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」と、「ツ」が「ッ」と、「カカイ」のAI音がE音に変化して「カケ」となった)

  「オ・チハウ・クル」、O-TIHAU-KURU(o=the...of;tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;kuru=strike with the fist,pound,pelt,throw)、「例の・乱雑な話をして・(人を)拳骨で殴るような打撃を加える(からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」となつた)

  「ナ・プル」、NA-PURU(na=by,belonging to,by way of;puru=plug up,confine by means of a plug)、「(人を)閉じこめる・ようなことをする(困惑させる。からかう)」(「プル」が「ブル」となった)

  「テ(ン)ガ・ウ」、TENGA-U(tenga,tengatenga=tingle,be numbed;u=bite,gnaw,be fixed,be firm,reach its limit)、「(人を興奮で)うずうず・させる(からかう)」(「テ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「テガ」となつた。また「テ(ン)ガ」が「テンガ」となつた)

  「カ・マハ」、KA-MAHA(ka=take fire,be lighted,burn;maha=gratified,satisfied,depressed,resigned)、「(人の感情に火を付ける)興奮させて・意気消沈させる(からかう)」(「マハ」のH音が脱落して「マア」から「マー」となった)

  「イホ・タウ・カ・ツ」、IHO-TAU-KA-TU(iho=heart,inside;tau=come to rest,be suitable;ka=take fire,be lighted,burn;tu=stand,settle)、「平静な・心に・火を・付ける(すぐに燃えて消え失せる)ようなことする(からかう)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ゾー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チハウ・クラ・カ・ツ」、TIHAU-KURA-KA-TU(tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;kura=red,glowing,ornamented with feathers,precious;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「(人を困惑させる)乱雑な話を・飾り立てて・懸命に・(人の心に)火を付ける(からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」、「チョー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「(ン)ガ・マル」、NGA-MARU(nga=satisfied;marubruised,crushed)、「(人の心を)傷つけて・満足する(からかう)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となった)

  「モト・カ・ツ」、MOTO-KA-TU(moto=strike with the fist,box;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「拳骨で人を殴るように・懸命に・(人の心に)火を付ける(からかう)」(「モト」が「モド」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・チハウ・ク・ツ」、O-TIHAU-KU-TU(o=the...of;tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;ku=play a kind og game;tu=fight with,energetic)、「例の・(人を困惑させる)乱雑な話を・懸命に・ゲームをするようにする(からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」と、「ツ」が「ッ」となつた)

  「(ン)ガナ・マリ・ツ(ン)ガ」、NGANA-MARI-TUNGA(ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;mari=fortunate or lucky of good omen;tunga=send)、「(人に)幸福の予感(幻想)を・与えようと・懸命になる(からかう)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「ワチ・アク・イ・ウ(ン)ガ」、WHATI-AKU-I-UNGA(whati=be broken off short,turn and go away,come quickly;aku=delay,cleanse;i=past tense;unga=send,expel)、「贈られ・たものが・消えて・なくなる(からかう)」(「ワチ・アク」が「ワチャク」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、「イ・ウン」が「ユン」となった)

  「チハウ・カ・ツ」、TIHAU-KA-TU(tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「(人を困惑させる)乱雑な話をして・懸命に・(人の心に)火を付ける(からかう)」(「チハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「チオ」から「チョ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ヒ・アウト・クル」、HI-AUTO-KURU(hi=raise,rise;auto=trailing behind,slow;kuru=strike with the fist,pound,pelt,throw)、「(人を)持ち上げておいて・次いで・拳骨で殴るような打撃を加える(からかう)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となり、「ヒ・オト」から「ヒョウト」、「ヒョート」となつた)

  「ヘ・ナ・プル」、HE-NA-PURU(he=different,strange;na=by,belonging to,by way of;puru=plug up,confine by means of a plug)、「変わった・(人を)閉じこめる・ようなことをする(困惑させる。からかう)」(「プル」が「ブル」となった)

  「イラ・パ・カ・ツ」、IRA-PA-KA-TU(ira=life principal;pa=block up,assault,be struck,blow as the wind,reach one's ear;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「(人の)誇りを・傷つけるように・懸命に・(人の心に)火を付ける(からかう)」(「パ」が「バ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「テ・ピ・イラ・カ・ツ」、TE-PI-IRA-KA-TU(te=the;pi=young of birds etc.;ira=life principal;ka=take fire,be lighted,burn;tu=fight with,energetic)、「あの・若い・(人の)誇りに・懸命に・火を付ける(からかう)」(「テ」が「セ」と、「ピ」のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「ピラ」から「ビラ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「キ・イオ・クル」、KI-IO-KURU(ki=full,very;io=muscle,lock of hair,tough,hard,obstinate;tihau=twitter,make any inarticulate sound with the voice,confused sound of voices;kuru=strike with the fist,pound,pelt,throw)、「(人の)頭を・何回も・拳骨で殴るようなことをする(からかう)」(「キ」のI音と「イオ」の語頭のI音が連結して「キオ」から「キョ」となつた)

の転訛と解します。

058かわいい(可愛い)・メンコイ・メゴイ・メンケー・メンコエ・メンゴエ・カワエー・モジッコイ・エトシゲ・カワラシー・イチャキナ・カワイラシー・カイラシー・カワェラシ・カワイゲナ・アイラシカ・ヤーラシカ・エズカ・ムゾカ・モゾラシ・ムゼ・ッウジラーサン・ウジラーサン・カワェァーゲラ・ミゾーカ・コヤラシカ・ムゾラシー

 「かわいい」の方言には、北海道の「メンコイ」、青森の「メゴイ」、岩手の「メンケー」、宮城の「メンコエ」、秋田の「メンケ」(「メンケー」と同語源)、山形の「メンゴエ」、福島の「メンゴイ」(「メンコイ」と同語源)、茨城、愛知の「カワエー」、栃木の「カーワイー」(「かわいい」と同語源)、群馬の「モジッコイ」、埼玉、千葉などの「カワイー」(「かわいい」と同語源)、新潟の「エトシゲ」、富山の「カワラシー」、石川の「イチャキナ」、福井、長野などの「カワイラシー」、滋賀、京都などの「カイラシー」、和歌山の「カワェラシ」、島根、香川の「カワイゲナ」、岡山の「カワェーラシー」(「カワエラシ」と同語源)、高知の「カーイラシー」(「カイラシー」と同語源)、福岡の「アイラシカ」、佐賀の「ヤーラシカ」、長崎の「エズカ」、熊本の「ムゾカ」、宮崎の「モゾラシ」、鹿児島の「ムゼ」、沖縄那覇の「ッウジラーサン」、沖縄首里の「ウジラーサン」があります。

 上記のほか、新潟の「カワェァーゲラ」、佐賀の「ミゾーカ」(心情的)、熊本の「コヤラシカ」、大分の「ムゾラシー」があります。

 この「かわいい」、「メンコイ」、「メゴイ」、「メンケー」、「メンコエ」、「メンゴエ」、「カワエー」、「モジッコイ」、「エトシゲ」、「カワラシー」、「イチャキナ」、「カワイラシー」、「カイラシー」、「カワェラシ」、「カワイゲナ」、「アイラシカ」、「ヤーラシカ」、「エズカ」、「ムゾカ」、「モゾラシ」、「ムゼ」、「ッウジラーサン」、「ウジラーサン」、「カワェァーゲラ」、「ミゾーカ」、「コヤラシカ」、「ムゾラシー」は、

  「カ・ワイ・イ」、KA-WHAI-I(ka=take fire,be lighted,burn;whai=possessing,becoming,acquiring the shape or character of;i=be stirred of the feelings)、「(容貌・性格などが)輝くようで・好ましい・と思う感情が湧いている(可愛い)」(また「ワイ・イ」が「ワイー」となつた。また「カ」が「カー」となった)

  「メネ・コイ」、MENE-KOI(mene=be assembled;koi=good,suitable)、「好ましい・(容貌・性格などを)備えている(可愛い)」(「メネ」が「メン」となつた。また「コイ」が濁音化して「ゴイ」となった)

  「マイ(ン)ゴ・イ」、MAINGO-I(maingo=yearning;i=be stirred of the feelings)、「あこがれる・感情が湧いている(可愛い)」(「マイ(ン)ゴ」のAI音がE音に、NG音がG音に変化して「メゴ」となった)

  「メネ・カイ」、MENE-KAI(mene=be assembled;kai=koi=good,suitable)、「好ましい・(容貌・性格などを)備えている(可愛い)」(「メネ」が「メン」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となつた)

  「メネ・コア・イ」、MENE-KOA-I(mene=be assembled;koa=glad,joyful;i=be stirred of the feelings)、「嬉しい・と思う感情が湧く・(容貌・性格などを)備えている(可愛い)」(「メネ」が「メン」と、「コア」のA音と「イ」のI音が連結してE音に変化して「コエ」となつた)

  「メネ・(ン)ゴヘ」、MENE-NGOHE(mene=be assembled;ngohe=soft,quivering,agreeable)、「好ましい・(容貌・性格などを)備えている(可愛い)」(「メネ」が「メン」と、「(ン)ゴヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゴエ」となつた)

  「カ・ワエ」、KA-WAE(ka=take fire,be lighted,burn;wae=divide,separate,clear away)、「(容貌・性格などが)取り分けて・輝いている(可愛い)」(「ワエ」が「ワエー」となつた)

  「モチ・コイ」、MOTI-KOI(moti=surfeited,consumed,scarce;koi=good,suitable)、「好ましい・(容貌・性格などが)溢れている(可愛い)」(「モチ」が「モジッ」となつた)

  「エト・チ(ン)ゲイ」、ETO-TINGEI(eto=lean,attenuated;tingei=unsettled,ready to move)、「痩せて・なよなよしている(可愛い)」(「チ(ン)ゲイ」のNG音がG音に変化し、語尾のI音が脱落して「チゲ」から「シゲ」となった)

  「カ・ウアラ・チヒ」、KA-UARA-TIHI(ka=take fire,be lighted,burn;uara=desire,value:tihi=summit,top,lie in a heap)、「(容貌・性格などが)輝くようで・最高と・評価される(可愛い)」(「ウアラ」が「ワラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となつた)

  「イ・チアキ・ナ」、I-TIAKI-NA(i=past tense;tiaki=guard,watch for;na=satisfied,content)、「見つめて・いると・満足する(可愛い)」(「チアキ」が「チャキ」となった)

  「カ・ワイ・ラ・チヒ」、KA-WHAI-RA-TIHI(ka=take fire,be lighted,burn;whai=possessing,becoming,acquiring the shape or character of;ra=simply denoting that the thing spoken pf is not near or connected with the speaker or the person spoken to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(容貌・性格などが)輝くようで、どうも・最高に・好ましい(可愛い)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「カイ・ラ・チヒ」、KAI-RA-TIHI(kai=reach,arrive at;ra=simply denoting that the thing spoken pf is not near or connected with the speaker or the person spoken to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(容貌・性格などが)最高の・水準に・達している(可愛い)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった。また「カ」が「カー」となった)

  「カ・ワエ・ラ・チヒ」、KA-WAE-RA-TIHI(ka=take fire,be lighted,burn;wae=divide,separate,clear away;ra=simply denoting that the thing spoken pf is not near or connected with the speaker or the person spoken to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(容貌・性格などが)輝くようで・取り分けて・どうも・最高である(可愛い)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となつた)

  「カ・ワイ・(ン)ガイ・ナ」、KA-WHAI-NGAI-NA(ka=take fire,be lighted,burn;whai=possessing,becoming,acquiring the shape or character of;ngai=tribe or clan;na=to indicate position near of connection with the person addressed)、「(容貌・性格などが)輝くようで・好ましい・部類・に属する(可愛い)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となつた)

  「ア・イラ・チヒ・カ」、A-IRA-TIHI-KA(a=the...of;ira=freckle,variegqted,shine,glitter;tihi=summit,top,lie in a heap;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「あの・(容貌・性格などが)最高に・輝いて・いる(可愛い)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となつた)

  「イア・アラ・チヒ・カ」、IA-ARA-TIHI-KA(ia=indeed;ara=rise,raise,have the eyes open;tihi=summit,top,lie in a heap;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「実に・最高に・眼をパッチリと見開いている(可愛い)」(「イア・アラ」が「ヤーラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となつた)

  「エ・ツ・カ」、E-TU-KA((Hawaii)e=different,strange;tu=stand,settle;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「格段に飛び抜けた(容貌・性格などが)・ある(可愛い)」(「ツ」が「ズ」となった)

  「ムフ・タウ・カ」、MUHU-TAU-KA(muhu=grope,feel after;tau=come to rest,be suitable,be comely;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(人が)探し求める・(容貌・性格などが)好ましい(可愛い)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ゾ」となった)

  「マウ・タウ・ラ・チヒ」、MAU-TAU-RA-TIHI(mau=fixed,continuing,caught;tau=come to rest,be suitable,be comely;ra=simply denoting that the thing spoken pf is not near or connected with the speaker or the person spoken to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(容貌・性格などが)落ち着いて・好ましく・どうも・最高である(可愛い)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ゾ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となつた)

  「ムフ・タイ」、MUHU-TAI(muhu=grope,feel after;tai=a term of address to males or females)、「(人が)探し求める・女性(可愛い)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「ゼ」となった)

  「ツ・ウチ・イラ・タ(ン)ガ」、TU-UTI-IRA-TANGA(tu=stand,settle;uti=fuss,ado;ira=freckle,variegqted,shine,glitter;tanga=be assembled)、「騒ぎが・起こるほど・輝く(容貌・性格などを)・持っている(可愛い)」(「ツ」が「ッ」と、「ウチ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「ウチラ」から「ウジラー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

  「ウチ・イラ・タ(ン)ガ」、UTI-IRA-TANGA(uti=fuss,ado;ira=freckle,variegqted,shine,glitter;tanga=be assembled)、「騒ぎになるほど・輝く(容貌・性格などを)・持っている(可愛い)」(「ウチ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「ウチラ」から「ウジラー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」となった)

  「カ・ワエ・アハ・(ン)ゲラ」、KA-WAE-AHA-NGERA(ka=take fire,be lighted,burn;wae=divide,separate,clear away;aha=remonstrance,warning;ngera=many,numerous)、「(容貌・性格などが)格段なことに・注意するほど・取り分けて・輝いている(可愛い)」(「ワエ」が「ワェ」と、「アハ」のH音が脱落して「ァー」と、「(ン)ゲラ」のNG音がG音に変化して「ゲラ」となつた)

  「ミイ・タウ・カ」、MII-TAU-KA((Hawaii)mii=attractive,fine-appearance,good-looking;tau=come to rest,be suitable,be comely;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(容貌・性格などが)美しく・好ましい(可愛い)」(「ミイ」が「ミ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ゾー」となった)

  「コイ・アラ・チヒ・カ」、KOI-ARA-TIHI-KA(koi=good,suitable;ara=rise,raise,have the eyes open;tihi=summit,top,lie in a heap;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(容貌・性格などが)最高に・美しく・眼がパッチリとしている(可愛い)」(「コイ・アラ」が「コヤラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となつた)

  「ムフ・タウ・ラ・チヒ」、MUHU-TAU-RA-TIHI(muhu=grope,feel after;tau=come to rest,be suitable,be comely;ra=simply denoting that the thing spoken pf is not near or connected with the speaker or the person spoken to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(人が)探し求める・(容貌・性格などが)落ち着いて・どうも・最高である(可愛い)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ゾ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となつた)

の転訛と解します。

059かわいそう(可哀相)・ムゴイ・カワイソンダ・ムジェー・モンゾコエ・ムゾセ・ムツコエ・モゴイ・カワエソンダ・フビンダ・オヤゲネー・カウェーソーダ・カワイソーダ・カワエソゲラ・カワイサゲニ・エトシー・カワイソナ・モーラシー・キノドクダ・キノドクヤ・イトシゲナイ・カワイソーヤ・カワーサェー・エラシジ・カワイーコトー・イトオシー・カワイソージャ・キノドクナ・カーイソーンヂャ・カワイソカ・ムゾーカ・グーラシカ・ムゾナゲ・グラシー・チムグリサン・ンドッラシ・イトシナゲナ・カワイソイ・ムゾゲニャ・ムジョゲ・ムゲネー・キノドクイ

 「かわいそう」の方言には、北海道の「ムゴイ」、青森の「カワイソンダ」、岩手の「ムジェー」、宮城の「モンゾコエ」、秋田の「ムゾセ」、山形の「ムツコエ」、福島の「モゴイ」、茨城の「カワエソンダ」、栃木の「フビンダ」、群馬、山梨の「オヤゲネー」、埼玉の「カウェーソーダ」、千葉、東京などの「カワイソー」(「かわいそう」と同語源)、神奈川の「カワイソーダ」、新潟の「カワエソゲラ」、富山の「カワイサゲニ」、石川の「エトシー」、福井、和歌山の「カワイソナ」、長野の「モーラシー」、岐阜の「カウェァーソーダ」(「カウェーソーダ」と同語源)、愛知の「キノドクダ」、三重の「キノドクヤ」、滋賀の「イトシゲナイ」、京都、大阪などの「カワイソーヤ」、鳥取の「カワーサェー」、島根の「エラシジ」、岡山の「カワイーコトー」、広島の「イトオシー」、山口の「カワイソーナ」(「カワイソナ」と同語源)、徳島の「カワイソージャ」、香川の「キノドクナ」、高知の「カーイソーンヂャ」、福岡の「カワイソカ」、佐賀の「ムゾーカ」、長崎の「グーラシカ」、熊本の「ムゾナゲ」、宮崎の「グラシー」、鹿児島の「グラシカ」(「グーラシカ」と同語源)、沖縄那覇・首里の「チムグリサン」があります。

 上記のほか、秋田の「ンドッラシ」、滋賀の「イトシー」(「イトオシイ」と同語源)、香川の「イトシナゲナ」、「カワイソイ」、佐賀の「ムゾゲニャ」、熊本の「ムジョゲ」、大分の「ムゲネー」、「キノドクイ」があります。

 この「かわいそう」、「ムゴイ」、「カワイソンダ」、「ムジェー」、「モンゾコエ」、「ムゾセ」、「ムツコエ」、「モゴイ」、「カワエソンダ」、「フビンダ」、「オヤゲネー」、「カウェーソーダ」、「カワイソーダ」、「カワエソゲラ」、「カワイサゲニ」、「エトシー」、「カワイソナ」、「モーラシー」、「キノドクダ」、「キノドクヤ」、「イトシゲナイ」、「カワイソーヤ」、「カワーサェー」、「エラシジ」、「カワイーコトー」、「イトオシー」、「カワイソージャ」、「キノドクナ」、「カーイソーンヂャ」、「カワイソカ」、「ムゾーカ」、「グーラシカ」、「ムゾナゲ」、「グラシー」、「チムグリサン」、「ンドッラシ」、「イトシナゲナ」、「カワイソイ」、「ムゾゲニャ」、「ムジョゲ」、「ムゲネー」、「キノドクイ」は、

  「カ・ワイ・トウ」、KA-WAI-TOU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」となった)

  「ムフ・(ン)ゴイ」、MU-NGOI(muhu=grope,feel after;ngoi=creep,crawl)、「(人が)手探りで・地を這って行く(さま。可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「(ン)ゴイ」のNG音がG音に変化して「ゴイ」となつた)

  「カ・ワイ・トウ・(ン)ガタ」、KA-WAI-TOU-NGATA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ngata=appeased,satisfied)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れることを・(宥める)同情する(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」となった)

  「ムフ・チハエ」、MUHU-TIHAE(muhu=grope,feel after;tihae=tear,rend,torn)、「すり切れた(服を着て)・(人が)手探りで歩く(さま。可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「チハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「チエ」から「ジェー」となつた)

  「モノ・ト・コエ」、MONO-TO-KOE(mono=disable by means of incantations,a incantation to disable an enemy;to=drag;koe=scream,cry as a bird)、「(敵を征服する)呪文に・縛られて・悲鳴を上げる(さま。可哀相)」(「モノ」が「モン」と、「ト」が「ゾ」となった)

  「ムフ・ト・テ」、MUHU-TO-TE(muhu=grope,feel after;to=drag;te=crack)、「(人が)手探りの・果てに・溝に落ちた(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「ト」が「ゾ」と、「テ」が「セ」となつた)

  「ムツ・コエ」、MUTU-KOE(mutu=brought to an end,left off;koe=scream,cry as a bird)、「(人が)断末魔の・悲鳴を上げる(さま。可哀相)」

  「マウ・(ン)ゴイ」、MAU-NGOI(mau=carry,bring;ngoi=creep,crawl)、「(人が)荷物を背負って・地を這って行く(さま。可哀相)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「(ン)ゴイ」のNG音がG音に変化して「ゴイ」となつた)

  「カウアエ・トウ・(ン)ガタ」、KAUAE-TOU-NGATA(kauae=jaw,chin;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ngata=appeased,satisfied)、「(人が)顎まで・水に浸かっている(溺れそうな)・ことを(宥める)同情する(可哀相)」(「カウアエ」のUA音がWA音に変化して「カワエ」と、「トウ」が「ソウ」から「ソ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」となった)

  「フ・ピ・(ン)ガタ」、HU-PI-NGATA(hu=mud,swamp;pi=soaked,sodden;ngata=appeased,satisfied)、「(人が底無し)沼に・はまつて(溺れそうな)・ことを(宥める)同情する(可哀相)」(「ピ」が「ビ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」となった)

  「オ・イア・(ン)ゲネ」、O-IA-NGENE(o=the...of;ia=indeed;ngene=scrofulous wen,fat)、「例の(不治の難病の)・実に・るいれき(瘰癧)を患っている(可哀相)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲネー」となつた)

  「カウアエ・トウ・タ」、KAUAE-TOU-TA(kauae=jaw,chin;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ta=dash,beat,lay)、「(人が)顎まで・水に浸かっている(溺れそうな)・状態でいる(可哀相)」(「カウアエ」のAE音がE音に変化して「カウエ」から「カウェー」と、「トウ」が「ソウ」から「ソー」と、「タ」が「ダ」となった。また「カウアエ」のAE音が逆転してEA音に変化して「カウェァー」となった)

  「カ・ワイ・トウ・タ」、KA-WAI-TOU-TA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ta=dash,beat,lay)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる・状態でいる(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソー」と、「タ」が「ダ」となった)

  「カウアエ・トウ・(ン)ゲラ」、KAUAE-TOU-NGERA(kauae=jaw,chin;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ngera=many,numerous)、「(人が)顎まで・いっぱいに・水に浸かっている(溺れそうな)(可哀相)」(「カウアエ」のUA音がWA音に変化して「カワエ」と、「トウ」が「ソウ」から「ソ」と、「(ン)ゲラ」のNG音がG音に変化して「ゲラ」となった)

  「カ・ワイ・タ(ン)ゲ(ン)ゲ・ヌイ」、KA-WAI-TANGENGE-NUI(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tangenge=feeble;nui=large,many)、「(人が)水に・落ちて・非常に・弱っている(可哀相)」(「タ(ン)ゲ(ン)ゲ」の反覆語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「タゲ」から「サゲ」と、「ヌイ」が「ニ」となった)

  「エト・チヒ」、ETO-TIHI(eto=lean,attenuated;tihi=summit,top,lie in a heap)、「これ以上ないほどに・やせ細った(さま。可哀相)」(「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となつた)

  「カ・ワイ・トウ・ナ」、KA-WAI-TOU-NA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;na=by,belonging to,by reason of)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる・ような(状態。可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソ」となった)

  「マウ・オラ・チヒ」、MAU-ORA-TIHI(mau=carry,bring;ora=alive,survive,slave,shake,curse,abuse;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(人が)荷物運びに・奴隷のように・酷使される(さま。可哀相)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「モ・オラ」」が「モーラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となつた)

  「キノ・ト・クフ・タ」、KINO-TO-KUHU-TA(kino=evil,bad,badly behaved,ill will,hate;to=drag;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into;ta=dash,beat,lay)、「悪いできごとが゛・(他人に)向かって・(入る)降りかかってきて・打撃を与える(可哀相)」(「ト」が「ド」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「タ」が「ダ」となった)

  「キノ・ト・クフ・イア」、KINO-TO-KUHU-IA(kino=evil,bad,badly behaved,ill will,hate;to=drag;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into;ia=indeed)、「実に・悪いできごとが゛・(他人に)向かって・(入る)降りかかる(可哀相)」(「ト」が「ド」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「イト・チ(ン)ゲイ・ナイ」、ITO-TINGEI-NAI(ito=object of revenge,enemy;tingei=unsettled,ready to move;nai=nei=to denote proximity to,to indicate continuance of action)、「復讐を・心に抱いて悩み・続ける(さま。可哀相)」(「チ(ン)ゲイ」のNG音がG音に変化し、語尾のI音が脱落して「チゲ」から「シゲ」となつた)

  「カ・ワイ・トウ・イア」、、KA-WAI-TOU-IA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ia=indeed)、「実に・(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソー」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「カワ・タエ」、KAWA-TAE(kawa=channel,passage between rocks or shoals,unpleasant to the taste,not relishing food;tae=arrive,come,reach)、「(水路)洪水が・やって来た(可哀相)」または「悪臭に・悩まされる(可哀相)」(「カワ」が「カワー」と、「タエ」が「サエ」から「サェー」となった)

  「エラ・チチ」、ERA-TITI(era=those yonder:titi=peg,be fastened with pegs)、「(人が)あそこに・縛り付けられている(外界を知らない。可哀相)」(「チチ」が「シジ」となつた)

  「カ・ワイ・コ・トウ」、KA-WAI-KO-TOU(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;ko=to give emphasis;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid)、「(人が)水に・落ちて・実に・(底に沈む)溺れる(可哀相)」(「ワイ」が「ワイー」と、「トウ」が「トー」となった)

  「イト・オチ・イ」、ITO-OTI-I(ito=object of revenge,enemy;oti=finished,come or gone for good;i=ferment,be stirred of the feelings)、「復讐(心)が・心に湧くのを・(終わりにした)封印した(さま。可哀相)」(「オチ」が「オシ」となつた。また「イト」の語尾のO音と「オチ」の語頭のO音が連結して「イトチ」から「イトシ」となった)

  「カ・ワイ・トウ・チア」、KA-WAI-TOU-TIA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;tia=etia=as it were,as if,how great!)、「なんと・(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソー」と、「チア」が「チャ」から「ジャ」となった)

  「キノ・ト・クフ・ナ」、KANO-TO-KUHU-NA(kino=evil,bad,badly behaved,ill will,hate;to=drag;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into;na=by,belonging to,by reason of)、「悪いできごとが゛・(他人に)向かって・(入る)降りかかる・ような(可哀相)」(「ト」が「ド」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「カ・ワイ・トウ・ナ・チア」、KA-WAI-TOU-NA-TIA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;na=by,belonging to,by reason of;tia=etia=as it were,as if,how great!)、「なんと・(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れる・ような(可哀相)」(「ワイ」のW音が脱落して「アイ」となり、「カ・アイ」が「カーイ」と、「トウ」が「ソウ」から「ソー」と、「ナ」が「ン」と、「チア」が「チャ」から「ジャ」となった)

  「カ・ワイ・トウ・カ」、KA-WAI-TOU-KA(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ka=screech)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れて・悲鳴を上げる(可哀相)」(「トウ」が「ソウ」から「ソ」となった)

  「ムフ・トウ・カ」、MUHU-TOU-TE(muhu=grope,feel after;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(人が)手探りで歩いて・水に落ちた(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「トウ」が「ゾー」となつた)

  「(ン)グ・ウラ・チ・カ」、NGU-URA-TI-KA(ngu=a person unable to swim;ura=red,glow;ti=throw,cast,overcome;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「泳げない人が・(恥ずかしさに)真っ赤になつて・いる(可哀相)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「グ・ウラ」が「グーラ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ムフ・トウ・ナ・(ン)ゲ」、MUHU-TO-NA-NGE(muhu=grope,feel after;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;na=na=by,belonging to,by reason of;nge=noise,screech)、「(人が)手探りで歩いて・水に落ちて・悲鳴の・ような声を上げている(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「トウ」が「ゾ」と、「(ン)ゲ」のNG音がG音に変化して「ゲ」となつた)

  「(ン)グ・ウラ・チヒ」、NGU-URA-TIHI(ngu=a person unable to swim;ura=red,glow;tihi=summit,top)、「泳げない人が・(恥ずかしさに)最高に・真っ赤になつている(可哀相)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウラ」の語頭のU音が連結して「グラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「チム・(ン)グ・ウリ・タナ」、TIMU-NGU-URI-TANA(timu=involuntary contraction of muscles;ngu=a person unable to swim;uri=descendant,relative;tana=his,her)、「(手足の)筋肉が引きつって・泳げない人の・仲間になった・人(可哀相)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「グリ」と、「タナ」が「タン」から「サン」となった)

  「(ン)グ・ト・ウラ・チヒ」、NGU-TO-URA-TI(ngu=a person unable to swim;to=drag;ura=red,glow;tihi=summit,top)、「泳げない人が・(恥ずかしさに)最高に・真っ赤な顔に・追い込まれた(可哀相)」(「(ン)グ」のNG音がN音に変化して「ヌ」から「ン」と、「ド」が「ド」と、「ウラ」が「ッラ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「イト・オチ・ナ・(ン)ガイ・ナ」、ITO-OTI-I(ito=object of revenge,enemy;oti=finished,come or gone for good;na=satisfied,content;ngai=tribe or clan;na=by,belonging to,by reason of)、「復讐(心)が・心に湧くのを・(終わりにした)封印して・満足している・ような(さま。可哀相)」(「イト」の語尾のO音と「オチ」の語頭のO音が連結して「イトチ」から「イトシ」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となつた)

  「カ・ワイ・トウ・イ」、KA-WAI-TOU-I(ka=to denote the commencement of a new action or condition;wai=water;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;i=past tense)、「(人が)水に・落ちて・(底に沈む)溺れて・しまった(可哀相)」(「トウ」が「ソ」となった)

  「ムフ・トウ・(ン)ゲニ・イア」、MUHU-TOU-NGENI-IA(muhu=grope,feel after;tou=anus,lower end of anything,dip into a liquid;ngeni=something small,particle;ia=indeed)、「(人が)手探りで歩いて・ほんの・小さな・水(溝・水溜まりなど)に落ちた(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「トウ」が「ゾ」と、「(ン)ゲニ」のNG音がG音に変化して「ゲニ」と、「イア」が「ャ」となつた) なつた)

  「ムフ・チオホ・(ン)ガエ」、MUHU-TIOHO-NGAE(muhu=grope,feel after;tioho=apprehensive;ngae=swamp)、「(人が)手探りで歩いて・沼に(はまりはしないかと)・心配する(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ジョ」と、「(ン)ガエ」のNG音がG音に、AE音がE音に変化して「ゲ」となつた) なつた)

  「ムフ・(ン)ゲ(ン)ゲ」、MUHU-NGENGE(muhu=grope,feel after;ngenge=weary,tired,exhaustion)、「(人が)手探りで歩いて・疲れ切っている(可哀相)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「(ン)ゲ(ン)ゲ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ゲネー」となつた) なつた)

  「キノ・ト・クフ・イ」、KANO-TO-KUHU-iI(kino=evil,bad,badly behaved,ill will,hate;to=drag;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into;i=past tense)、「悪いできごとが゛・(他人に)向かって・(入る)降りかかって・しまった(可哀相)」(「ト」が「ド」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

の転訛と解します。

060がんこ(頑固)・ジョッパリ・カダッパリ・エビズ・ゴージョッパリ・エッコク・イッコク・グワンコ・イチガイ・イップーリュー・ゴージョー・ゴリガン・カタイジ・ヘンクツ・イチギャー・キコナ・コージクナ・イチガイモン・ヘンクー・ヘンコツ・カタックワ・インゴッソー・ガンコカ・イッテツ・モッコス・イッコッ・グワンク・カダクラ・シブトイ・イシアタマ・イヒュー

 「がんこ」の方言には、北海道、青森の「ジョッパリ」、秋田の「カダッパリ」、山形の「エビズ」、福島、静岡の「ゴージョッパリ」、栃木の「エッコク」、群馬の「イッコク」、新潟の「グワンコ」、富山の「イチガイ」、山梨の「イップーリュー」、愛知の「ゴージョー」、滋賀の「ゴリガン」、京都、大阪などの「カタイジ」、奈良の「ヘンクツ」、和歌山の「ゴージョ」(「ゴージョー」と同語源)、鳥取の「イチギャー」、島根の「キコナ」、岡山の「コージクナ」、広島の「イチガイモン」、山口の「ヘンクー」、徳島の「ヘンコツ」、香川の「カタックワ」、高知の「インゴッソー」、佐賀の「ガンコカ」、長崎の「イッテツ」、熊本の「モッコス」、鹿児島の「イッコッ」、沖縄那覇の「グワンク」、沖縄首里の「グワンクー」(「グワンク」と同語源)があります。

 上記のほか、北海道の「カダクラ」、高知の「ンガンコ」(「がんこ」と同語源)、「シブトイ」、福岡の「イシアタマ」、熊本の「イヒュー」などがあります。

 この「がんこ」、「ジョッパリ」、「カダッパリ」、「エビズ」、「ゴージョッパリ」、「エッコク」、「イッコク」、「グワンコ」、「イチガイ」、「イップーリュー」、「ゴージョー」、「ゴリガン」、「カタイジ」、「ヘンクツ」、「イチギャー」、「キコナ」、「コージクナ」、「イチガイモン」、「ヘンクー」、「ヘンコツ」、「カタックワ」、「インゴッソー」、「ガンコカ」、「イッテツ」、「モッコス」、「イッコッ」、「グワンク」、「カダクラ」、「シブトイ」、「イシアタマ」、「イヒュー」は、

  「(ン)ガナ・カウ」、NGANA-KAU(ngana=be eagerly intent,persist,obstinate,strong;kau=alone,without appendage)、「純粋に・(自分の)主張に固執する(頑固)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった。また「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「グアナ」から「グアン」、「グワン」となった。また「(ン)ガナ」が「ンガナ」から「ンガン」となった)

  「チオホ・パリ」、TIOHO-PARI(tioho=apprehensive;pari=bark as a dog)、「心配して・犬のように吠え続ける(しつこく意見を主張する。頑固)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ジョッ」となった)

  「カ・タツ・パリ」、KA-TATU-PARI(ka=take fire,be lighted,burn;tatu=reach the bottom,be at ease;pari=bark as a dog)、「火が燃え盛るように・激高して・犬のように吠え続ける(しつこく意見を主張する。頑固)」(「タツ」が「ダッ」となった)

  「エ・ピ・ツ」、E-PI-TU(e=to denote future action or condition,to give emphasis;pi=flow of the tide,source;tu=fight with,energetic)、「(言葉を)潮流のように・精力的に・吐き続ける(頑固)」(「ピ」が「ビ」と、「ツ」が「ズ」となつた)

  「(ン)ガウ・チオホ・パリ」、NGAU-TIOHO-PARI(ngau=bite,act upon,attack;tioho=apprehensive;pari=bark as a dog)、「烈しく攻撃的に・心配して・犬のように吠え続ける(しつこく意見を主張する。頑固)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がOU音に変化して「ゴウ」から「ゴー」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ジョッ」となった)

  「エ・ツ・コクフ」、E-TU-KOKUHU(e=to denote future action or condition,to give emphasis;tu=fight with,energetic;kokuhu=insert,introduce,intrude)、「精力的に・(自分の意見を相手に)押しつける(頑固)」(「コクフ」のH音が脱落して「コク」となった)

  「イ・ツ・コクフ」、I-TU-KOKUHU(i=ferment,be stirred of the feelings;tu=fight with,energetic;kokuhu=insert,introduce,intrude)、「(自分の中に)湧き上がる意見を・精力的に・(相手に)押しつける(頑固)」(「コクフ」のH音が脱落して「コク」となった)

  「イ・チ・(ン)ガイ」、I-TI-NGAI(i=ferment,be stirred of the feelings;ti=throw,cast,overcome;ngai=tribe or clan)、「(自分の中に)湧き上がる意見で・(相手の意見を)圧倒する(押しつける)・類の(行動。頑固)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」となった)

  「イ・ツプ・リウ」」、I-TUPU-RIU(i=ferment,be stirred of the feelings;tupu=grow,increase,issue,be firmly fixed;riu=valley,belly,chest)、「(自分の中に)湧き上がる意見を・胸の中に・確固たるものとする(信念とする。頑固)」(「ツプ」が「ップー」と、「リウ」が「リュー」となつた)

  「(ン)ガウ・チオホ」、NGAU-TIOHO(ngau=bite,act upon,attack;tioho=apprehensive)、「心配して・烈しく攻撃する(頑固)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がOU音に変化して「ゴウ」から「ゴー」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ジョー」または「ジョ」となった)

  「(ン)ガウ・リ・(ン)ガナ」、NGAU-RI-NGANA(ngau=bite,act upon,attack;ri=screen,protect,bind;ngana=be eagerly intent,persist,obstinate,strong)、「(障壁)反対論を・攻撃して・(自分の)主張に固執する(頑固)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)

  「カ・タ・イ・チ」、KA-TA-I-TI(ka=take fire,be lighted,burn;ta=dash,beat,lay;i=ferment,be stirred of the feelings;ti=throw,cast,overcome)、「火が燃えるように烈しく・(相手を)攻撃して・(自分の中に)湧き上がる意見で・(相手の意見を)圧倒する(押しつける。頑固)」(「チ」が「ジ」となった)

  「ヘ(ン)ガ・クフ・ツ」、HENGA-KUHU-TU(henga=circumstance etc. of erring;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「誤った意見を・(胸の)中に秘めて・固執する(頑固)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「イ・チ・(ン)ギア」、I-TI-NGIA(i=ferment,be stirred of the feelings;ti=throw,cast,overcome;ngia=seem,appear to be)、「(自分の中に)湧き上がる意見で・(相手の意見を)圧倒する(押しつける)・ように見える(頑固)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャー」となった)

  「キ・コナ」、KI-KONA(ki=full,say,very;kona=to difuse,savour,affection)、「(自分の意見への)愛着が・強い(頑固)」

  「コハウ・チ・クフ・ナ」、KOHAU-TI-KUHU-NA(kohau=speak frequently of what one intends or expects;ti=throw,cast;kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;na=by,belonging to,by reason of)、「自分の考えを繰り返して述べ・立て・紹介する・ような(頑固)」(「コハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「コオウ」から「コー」と、「チ」が「ジ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「イ・チ・(ン)ガイ・モナ」、I-TI-NGAI-MONA(i=ferment,be stirred of the feelings;ti=throw,cast,overcome;ngai=tribe or clan;mona=for him,for her)、「(自分の中に)湧き上がる意見で・(相手の意見を)圧倒する(押しつける)・類の(行動をする)・人(頑固)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ガイ」となった)

  「ヘ(ン)ガ・クフ」、HENGA-KUHU(henga=circumstance etc. of erring;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into)、「誤った意見を・(胸の)中に秘めている(頑固)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」と、「クフ」のH音が脱落して「クウ」から「クー」となった)

  「ヘ(ン)ガ・コ・ツ」、HENGA-KO-TU(henga=circumstance etc. of erring;ko=a wooden implement for digging,dig or plant with a ko;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「誤った意見を・(胸の)中に植え付けて・固執する(頑固)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」となった)

  「カ・タツ・クワハ」、KA-TATU-KUWAHA(ka=take fire,be lighted,burn;tatu=reach the bottom,be at ease;kuwaha=mouth,entrance)、「火が燃え盛るように・激高して・口を動かし続ける(しつこく意見を主張する。頑固)」(「タツ」が「タッ」と、「クワハ」のH音が脱落して「クワ」となった)

  「イ・(ン)ゴト」、I-NGOTO(i=ferment,be stirred of the feelings;ngoto=be deep,be intense of emotions,penetrate,firmly,head)、「物事に強く執着する思いが・心の底から沸き上がってくる(頑固)」(「(ン)ゴト」が「ンゴト」から「ンゴッソー」となつた)(この学研『全国方言辞典』では、「インゴッソー」としますが、『広辞苑』など通常は「イゴッソウ」とします。この場合は、「(ン)ゴト」ののNG音がG音に変化して「ゴト」から「ゴッソー」となったと解します。なお、これについては、雑楽篇(その一)の201いごっそうの項を参照してください。)

  「(ン)ガナ・カウ・カ」、NGANA-KAU-KA(ngana=be eagerly intent,persist,obstinate,strong;kau=alone,without appendage;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「純粋に・(自分の)主張に固執する(頑固)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

  「イ・ツ・タイツ」、I-TU-TAITU(i=ferment,be stirred of the feelings;tu=fight with,energetic;taitu=take up,lift)、「(自分の中に)湧き上がる意見を・精力的に・高揚させる(頑固)」(「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」となった)

  「モコ・ツ」、MOKO-TU(moko=tatooing on the face or body;tu=stand,remain,settle)、「(旧来の風習の)入れ墨を・(かたくなに)している(頑固)」(「モコ」が「モッコ」と、「ツ」が「ス」となった)(なお、これについては、雑楽篇(その一)の203もっこすの項を参照してください。)

  「イ・ツ・コ・ツ」、I-TU-KO-TU(i=ferment,be stirred of the feelings;tu=fight with,energetic;ko=a wooden implement for digging,dig or plant with a ko;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「(自分の中に)湧き上がる意見を・精力的に・(胸の)中に植え付けて・固執する(頑固)」

  「(ン)ガナ・クフ」、NGANA-KUHU(ngana=be eagerly intent,persist,obstinate,strong;kuhu=insert,conceal,introdyce oneself into)、「 (自分の)主張に固執する思い(信念)を・(胸の)中に秘めている(頑固)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「グアナ」から「グアン」、「グワン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった。また、「クフ」のH音が脱落して「クウ」から「クー」となった)

  「カ・タ・クラ」、KA-TA-KURA(ka=take fire,be lighted,burn;ta=dash,beat,lay;kura=red,precious,man of prowess)、「火が燃えるように烈しく・(相手を)攻撃する・勇猛な者(頑固)」(「タ」が「ダ」となった)

  「チプ・トイ」、TIPU-TOI(tipu=tupu=grow,increase,issue,be firmly fixed;toi=tip,summit,origin)、「(意志が)最高に・確固としている(頑固)」(「チプ」が「シブ」となった)

  「イ・チア・タマ」、I-TIA-TAMA(i=ferment,be stirred of the feelings;tia=stick in,drive in pegs,etc.;tama=child,emotion,desire,strong feeling)、「(自分の中に)湧き上がる意見を・魂と・結合させる(強い意志とする。頑固)」

  「イヒ・ウ」、IHI-U(ihi=power,authority,spell;be firm,be fixed)、「意志が・確立している(頑固)」(「イヒ・ウ」が「イヒュウ」から「イヒュー」となった)

の転訛と解します。

061かんしょく(間食)・かんじき・オヤツ・アイダグイ・コビリ・タンバゴ・コンビル・タバゴ・コジハン・シノギ・ヤスミ・オチャ・コビル・イップク・ナンカ・オナケーリ・オコヒル・ヨージャ・ナンド・ホーセキ・アェーダグイ・ハシマ・アェーダグチ・アイマグイ・オセツ・アインダングイ・ハザグイ・マナッチャ・ニータムン・マドゥヌムン・コージョーハン・ママグイ・アンマ・オヨーダケ・ビルジャ・ユージャ・ケンズイ・ダンチャ・チャノコ・ヨビル

 「かんしょく」(「間食」は、昔の二食時代、朝食夕食のほか、烈しい労働に従事する者などに支給された食事で、「けんずい」、「かんじき」といいました。「かんしょく」はこの「かんじき」に「間食」の字を宛てた読みが転訛したものと考えられますので、以下古語の「かんじき」を解釈の対象とします。)の方言には、北海道、千葉などの「オヤツ」、青森、石川などの「アイダグイ」、岩手、三重などの「コビリ」、宮城の「タンバゴ」、秋田の「コンビル」、山形の「タバゴ」、福島、栃木の「コジハン」、茨城の「ゴジハン」(「コジハン」と同語源)、群馬の「シノギ」、埼玉の「ヤスミ」、神奈川の「オチャ」、新潟の「コビル」、富山の「イップク」、福井の「ナンカ」、山梨の「オナケーリ」、長野の「オコヒル」、岐阜の「オコビル」(「オコヒル」と同語源)、静岡の「ヨージャ」、滋賀の「ナンド」、奈良の「ホーセキ」、鳥取の「アェーダグイ」、島根の「ハシマ」、岡山の「アェーダグチ」、広島、愛媛の「アイマグイ」、徳島の「オセツ」、高知の「アインダングイ」、佐賀、熊本の「ハザグイ」、長崎の「ハダグイ」(「ハザグイ」と同語源)、宮崎の「マナッチャ」、沖縄那覇の「ニータムン」、沖縄首里の「マドゥヌムン」があります。

 上記のほか、群馬の「コージョーハン」、新潟の「ママグイ」、石川の「アンマ」、山梨の「オヨーダケ」(午後)、静岡の「ビルジャ」、「ユージャ」、京都の「ケンズイ」、「ナンゾ」(「ナンド」と同語源)、香川の「ダンチャ」、熊本の「チャノコ」、大分の「ヨビル」などがあります。

 この「かんじき」、「オヤツ」、「アイダグイ」、「コビリ」、「タンバゴ」、「コンビル」、「タバゴ」、「コジハン」、「シノギ」、「ヤスミ」、「オチャ」、「コビル」、「イップク」、「ナンカ」、「オナケーリ」、「オコヒル」、「ヨージャ」、「ナンド」、「ホーセキ」、「アェーダグイ」、「ハシマ」、「アェーダグチ」、「アイマグイ」、「オセツ」、「アインダングイ」、「ハザグイ」、「マナッチャ」、「ニータムン」、「マドゥヌムン」、「コージョーハン」、「ママグイ」、「アンマ」、「オヨーダケ」、「ビルジャ」、「ユージャ」、「ケンズイ」、「ダンチャ」、「チャノコ」、「ヨビル」は、

  「カ(ン)ガ・チキ」、KANGA-TIKI(kanga=kainga=refuse of a meal as cockle shells etc.;tiki=unsuccessful(whakatiki=keep short of food,pass over in the distribution of food))、「(不幸な)空腹を満たすには不足する・粗末な食物(間食)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」と、「チキ」が「ジキ」となった)(KA(to take fire etc.)のverbal nounとしてKANGAとKAINGAの2型が常用されることから、「カンジキ」と同義語の「ケンズイ」の語源でもあるKAINGAがKANGAに転訛したと考えられます。後出「ケンズイ」の項を参照してください。

  「オ・イ・ワ・ツ」、O-I-WHA-TU(o=the...of;i=by,with,at,upon;wha=four,fourth;tu=stand,be erect,be set)、「例の・(四の)上に・四を・重ねる(八。昔の「八つ時」(現在の午後三時ごろ)に出る間食)」(「ワ」のWH音が脱落して「ア」となり、直前の「イ」と連結して「ヤ」となつた)

  「アイ・タ・(ン)グ・ウイ」、AI-TA-NGU-UI(ai=denoting an action or state consequent upon some previous action;ta=dash,beat,lay;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「(朝食と夕食の)間に・出る・(空腹を満たすために)自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「タ」が「ダ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)

  「カウ・ピリ」、KAU-PIRI(kau=alone,only;piri=stick,be attached,skulk,hide oneself)、「ほんのちょっと・(隠れて)休憩する(時に摂る食物。間食)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ピリ」が「ビリ」となった)

  「タ(ン)ガ・パコ」、TANGA-PAKO(tanga=be assembled;pako=glean after a root crop has been lifted(pakopako=gleans,scraps of food))、「(落ち穂)食物の屑を・集めた物(間食)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「パコ」が「バゴ」となった)

  「コ(ン)ガ・ピヒ・ル」、KONGA-PIHI-RU(konga=crumb,fragment,chip;pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・細かくした・(食物の)屑(間食)」(「コ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「コナ」から「コン」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)

  「タ・パコ」、TA-PAKO(ta=the...of;pako=glean after a root crop has been lifted(pakopako=gleans,scraps of food))、「例の・(落ち穂)食物の屑(間食)」(「パコ」が「バゴ」となった)

  「カウ・チ・パ(ン)ガ」、KAU-TI-PANGA(koti=alobe,only;ti=throw,cast;panga=throw,lay,place)、「それだけで(単独で)・供される・(人の前に)置かれるもの(間食)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」または「ゴ」と、「チ」が「ジ」と、「パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に、NG音がN音に変化して「ハナ」から「ハン」となった)

  「チ・(ン)ゴ(ン)ギ」、TI-NGONGI(ti=throw,cast;ngongi=suck,water,transferred to other meanings of wai(water))、「水の代わりに・供されるもの(腹の足しにするもの。間食)」(「チ」が「シ」と、「(ン)ゴ(ン)ギ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ノギ」となつた)

  「イア・ツ・ミ」、IA-TU-MI(ia=indeed;tu=stand,settle;(Hawaii)mi=urine)、「実に(ちょっと)・小用を・足す(僅かな休憩。その間に摂る食物。間食)」(「イア」が「ヤ」と、ツが「ス」となつた)

  「アウ・チア」、AU-TIA(au=firm,intense;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「小さな(まとまつた)(食物の屑)・のようなもの(間食)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チア」が「チャ」となった)

  「コ・ピヒ・ル」、KO-PIHI-RU(ko=to give emphasis;pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「ほんの(僅かな)・懸命に・細かくした(食物の屑。間食)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)

  「イチ・プク」、ITI-PUKU(iti=small,dimunitive or unimportant thing,for a little while;puku=swelling,abdomen,apptite,swell)、「僅かに・腹を満たすもの(間食)」(「イチ」が「イッ」となつた)

  「ナナ・アカ」、NANA-AKA(nana=tend carefully,nurse;aka=yearning,affection)、「(空腹を満たしたい)切望に・応える(もの。間食)」(「ナナ」の語尾のA音と「アカ」の語頭のA音が連結して「ナナカ」から「ナンカ」となった)

  「オ(ン)ガ・ケリ」、ONGA-KERI(onga=agitate,shake about;keri=dig,dig up,rush along violently)、「(空腹を満たすために)躍起になって・掘り上げた(芋、貝などの食物。間食)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」と、「ケリ」が「ケーリ」となった)

  「オ・コ・ピヒ・ル」、O-KO-PIHI-RU(o=the...of;ko=to give emphasis;pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「例の・ほんの(僅かな)・懸命に・細かくした(食物の屑。朝食と夕食の間の間食)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった。また「ピヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復H音が脱落して「ヒ」となった)

  「イ・ホウ・チア」、I-HOU-TIA(i=past tense;hou=bind,lasu together;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「(食物の屑などを)集め・た・ようなもの(間食)」(「ホウ」のH音が脱落して「オウ」となり、「イ・オウ」が「ヨウ」から「ヨー」と、「チア」が「ジャ」となつた)

  「ナナ・ト」、NANA-TO(nana=tend carefully,nurse;to=tingle)、「(空腹の)痛みを・癒す(もの。間食)」(「ナナ」が「ナン」と、「ト」が「ド」または「ゾ」となった)

  「ハウテア・キ」、HAUTEA-KI(hautea=scattered about,separated,ki=full,very)、「散乱した(残り物の食べ物を)・たくさん(集めたもの)(おやつ)」(「ハウテア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「ホテ」から「ホーセ」となった)

  「アヘイ・タ・(ン)グ・ウイ」、AHEI-TA-NGU-UI(ahei=collar-bone;ta=dash,beat,lay;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「(肩骨と胸骨を結ぶ)鎖骨のように(朝食と夕食の)・(間を)繋ぐ・(空腹を満たすために)自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「アヘイ」のH音が脱落して「アエイ」から「アェー」と、「タ」が「ダ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)

  「パチ・マ」、PATI-MA(pati=try to obtain by coaxing,flattery;ma,mama=light,not heavy)、「(空腹の胃を)なだめる・軽い食事(間食)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」となつた)

  「アヘイ・タ・(ン)グ・チヒ」、AHEI-TA-NGU-TIHI(ahei=collar-bone;ta=dash,beat,lay;ngu=silent,greedy;tihi=summit,top)、「(肩骨と胸骨を結ぶ)鎖骨のように(朝食と夕食の)・(間を)繋ぐ・(空腹を満たすために)最高に・貪り食べる(もの。間食)」(「アヘイ」のH音が脱落して「アエイ」から「アェー」と、「タ」が「ダ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「アイ・マ・(ン)グ・ウイ」、AI-MA-NGU-UI(ai=denoting an action or state consequent upon some previous action;ma=go,come;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「(朝食と夕食の)間に・出る・(空腹を満たすために)自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)

  「オ・タイツ」、O-TAITU(o=the...of;taitu=be hindered,be intermitted,slow)、「例の・(間を置いて)断続的に(摂る食事。間食)」(「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」から「セツ」となった)

  「アイ・(ン)ガタ・(ン)グ・ウイ」、AI-NGATA-NGU-UI(ai=denoting an action or state consequent upon some previous action;ngata=appeased,satisfied;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「(朝食と夕食の)間に・(空腹を)なだめようと・自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンダ」と、「(ン)グ」が「ング」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「ングイ」となった)

  「ハ・タ・(ン)グ・ウイ」、HA-TA-NGU-UI(ha=breath,breathe,hesitate in speaking;ta=dash,beat,lay;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「息・急(せ)ききって・自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「タ」が「ザ」または「ダ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)

  「マ・ナ・チア」、MA-NA-TIA(ma,mama=light,not heavy;na=satisfied,content;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「軽い・腹を・満足させる(食物。間食)」(「ナ」が「ナッ」となり、「チア」が「チャ」となつた)

  「(ン)ギタ・ムナ」、NGITA-MUNA(ngita=fast,firm,secure;muna=secret,beloved,darling)、「小さな(まとまつた)・愛らしいもの(食物。間食)」(「(ン)ギタ」のNG音がN音に変化して「ニタ」カラ「ニータ」と、「ムナ」が「ムン」となった)

  「マ・トヌ・ムナ」、MA-TONU-MUNA(ma,mama=light,not heavy;tonu=continually,quite,just,only;muna=secret,beloved,darling)、「軽い・ちょっとした・愛らしいもの(食物。間食)」(「トヌ」が「ドゥヌ」と、「ムナ」が「ムン」となった )

  「カウ・チ・アウ・パ(ン)ガ」、KAU-TI-AU-PANGA(koti=alobe,only;ti=throw,cast;au=firm,intense;panga=throw,lay,place)、「それだけで(単独で)・供される・小さな(まとまった)・(人の前に)置かれるもの(間食)」(「カウ」のAU音がOU音に変化して「コウ」から「コー」と、「チ・アウ」のAU音がOU音に変化して「チオウ」から「ジョー」と、「パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に、NG音がN音に変化して「ハナ」から「ハン」となった)

  「ママ・(ン)グ・ウイ」、MAMA-NGU-UI(ma,mama=light,not heavy;ngu=silent,greedy;ui=disentangle,disengage,unravel)、「軽い・自制心を忘れて・貪り食べる(もの。間食)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)

  「アノ・マ」、ANO-MA(ano=still,again,quite,just,indeed;ma,mama=light,not heavy)、「ほんの(ちょっとした)・軽い(食事。間食)」(「アノ」が「アン」となつた)

  「オ・イホ・ウ・タケ」、O-IHO-U-TAKE(o=the...of;iho=up above,from above,downwards;u=be firm,be fixed,reach its limit;take=root,base of a hill etc.,origin)、「例の・(腹が)極限の・もともとの(何も入っていない)状態まで・引っ込んだ(空腹になつたときの食物。間食)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となり、「ヨ・ウ」が「ヨー」と、「タケ」が「ダケ」となつた)

  「ピヒ・ル・チア」、PIHI-RU-TIA(pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「懸命に・細かくした(食物の屑)・のようなもの(間食)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「チア」が「ジャ」となった)

  「イ・フフ・チア」、I-HUHU-TIA(i=past tense;huhu=strip off an outer covering,wasted away;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「捨てられ・た(食物の屑)・のようなもの(間食)」(「フフ」のH音が脱落して「ウウ」となり、「イ・ウウ」から「ユー」と、「チア」が「ジャ」となった)

  「カイ(ン)ガ・ツイ」、KAINGA-TU-UI(kainga=refuse of a meal as cockle shells etc.;tui=pirece,thread on a string,sew)、「食物の屑を・集めた(粗末な食事。間食)」(「カイ(ン)ガ」のAI音がE音に、NG音がN音に変化して「ケナ」から「ケン」と、「ツイ」が「ズイ」となった)(前出「かんじき」の項を参照してください。)

  「タ(ン)ガ・チア」、TANGA-TIA(tanga=be assembled;tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if)、「(食物の屑などを)集めた・ようなもの(間食)」(「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」、「ダン」と、「チア」が「チャ」となった)

  「チア・(ン)ゴコ」、TIA-NGOKO(tia=peg,abdomen,(=etia)as it were,as if;ngoko=ngaoko=feel a tickling sensation,itch,stir)、「くすぐる(僅かな食物で空腹を暫時忘れさせる)・ようなもの(間食)」(「チア」が「チャ」と、「(ン)ゴコ」のNG音がN音に変化して「ノコ」となった)

  「イ・ホウ・ピヒ・ル」、I-HOU-PIHI-RU(i=past tense;hou=bind,lasu together;;pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「(食物の屑などを)懸命に・細かくして・集め・た・ようなもの(間食)」(「ホウ」のH音が脱落して「オウ」となり、「イ・オウ」が「ヨウ」から「ヨ」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となつた)

の転訛と解します。

062かんたん(簡単)・アッパクサイ・ヤシ・ゾサネァ・ゾーサネー・ジョサネァ・ジョサネ・ワギャーネ・ヤサシー・カリヤスイ・チャラスイ・サクイ・アヤスイ・ヤスイ・ミヤシ・ミヤスイ・ヤスカ・スパーットシトッ・ゾーサナカ・モヤシ・ルーヤシー・ドゥーヤシー・アサメシマエ・チョロイ・ワゲネァ・ヤスコエ・カナ・キヤスカ

 「かんたん」の方言には、北海道の「アッパクサイ」、青森、宮崎の「ヤシ」、岩手の「ゾサネァ」、宮城、千葉などの「ゾーサネー」、秋田の「ジョサネァ」、山形の「ジョサネ」、福島の「ジョーサネ」(「ジョサネ」と同語源)、茨城の「ワギャーネ」、埼玉、神奈川の「ヤサシー」、新潟の「ジョーサネァ」(「ジョサネア」と同語源)、富山の「カリヤスイ」、福井の「チャラスイ」、静岡の「サクイ」、愛知の「アヤスイ」、滋賀の「ヤスイ」、鳥取の「ヤースイ」(「ヤスイ」と同語源)、島根の「ミヤシ」、岡山の「ミヤシー」(「ミヤシ」と同語源)、広島、山口の「ミヤスイ」、福岡の「ヤスカ」、佐賀の「カーンタン」(「かんたん」と同語源)、長崎の「スパーットシトッ」、熊本の「ゾーサナカ」、大分の「ヤシー」(「ヤシ」と同語源)、鹿児島の「モヤシ」、沖縄那覇の「ルーヤシー」、沖縄首里の「ドゥーヤシー」があります。

 上記のほか、北海道の「アッパクセ」(「アッパクサイ」と同語源)、「アッパクセー」(「アッパクサイ」と同語源)、「アサメシマエ」、「チョロイ」、岩手の「ワゲネァ」、山形の「ヤスコエ」、京都の「カナ」、福岡の「キヤスカ」などがあります。

 この「かんたん」、「アッパクサイ」、「ヤシ」、「ゾサネァ」、「ゾーサネー」、「ジョサネァ」、「ジョサネ」、「ワギャーネ」、、「ヤサシー」、「カリヤスイ」、「チャラスイ」、「サクイ」、「アヤスイ」、「ヤスイ」、「ミヤシ」、「ミヤスイ」、「ヤスカ」、「スパーットシトッ」、「ゾーサナカ」、「モヤシ」、「ルーヤシー」、「ドゥーヤシー」、「アサメシマエ」、「チョロイ」、「ワゲネァ」、「ヤスコエ」、「カナ」、「キヤスカ」は、

  「カノ・タネ」、KANO-TANE(kano=colour,sort,kind;tane=male,showing manly qualities)、「(一人前の)男らしさ(容易に仕事をこなせるさま)を見せつける・類の(こと。簡単)」(「カノ」が「カン」と、「タネ」が「タン」となつた)または「カノ・タ(ン)ガ」、KANO-TANGA(kano=colour,sort,kind;tanga,tangatanga=loose,easy、「容易に(できる)・類の(こと。簡単)」(「カノ」が「カン」または「カーン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)

  「アパ・クタ・イ」、APA-KUTA-I(apa=not as if;kuta=encumbrance,clog;i=be stirred of the feelings,from,with,by,by reason of)、「足手まとい・では・全くない(敏速に仕事をこなす。簡単)」(「アパ」が「アッパ」と、「クタ」が「クサ」となつた。また「クタ」の語尾のA音と「イ」のI音が連結して「クセ」または「クセー」となった)

  「イア・チ」、IA-TI(ia=indeed,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「敏速に・(仕事を)こなす(簡単)」(「イア」が「ヤ」と、「チ」が「シ」または「シー」となつた)

  「トフ・タネ・ア」、TOHU-TANE-A(tohu=mark,sign,point out,show;tane=male,showing manly qualities;a=well)、「ちゃんと・(一人前の)男らしさ(容易に仕事をこなせるさま)を・見せつける(簡単)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」が「ゾ」と、「タネ」が「サネ」となった)

  「トフ・タネ」、TOHU-TANE(tohu=mark,sign,point out,show;tane=male,showing manly qualities)、「(一人前の)男らしさ(容易に仕事をこなせるさま)を・見せつける(簡単)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」が「ゾー」と、「タネ」が「サネー」となった)

  「チオホ・タネ・ア」、TIOHO-TANE-A(tioho=apprehensive;tane=male,showing manly qualities;a=well)、「ちゃんと・(いろいろと)気遣いをして・(一人前の)男らしさ(容易に仕事をこなせるさま)を見せつける(簡単)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」が「ジョ」と、「タネ」が「サネ」となった)

  「チオホ・タネ」、TIOHO-TANE(tioho=apprehensive;tane=male,showing manly qualities)、「(いろいろと)気遣いをして・(一人前の)男らしさ(容易に仕事をこなせるさま)を見せつける(簡単)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」が「ジョ」または「ジョー」と、「タネ」が「サネ」となった)

  「ワ・(ン)ギア・ネ」、WA-NGIA-NE(wa=definite space,area,be far advanced;ngia=seem,appear to be;ne=giving emphasis)、「たいへん・(先に進む)仕事がはかどつている・ように見える(簡単)」(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化して「ギア」から「ギャー」となつた)

  「イア・タ・チヒ」、IA-TA-TIHI(ia=indeed,rushing stream;ta=dash,beat,lay;tihi=summit,top)、「最高に・敏速に・仕事をこなす(簡単)」(「イア」が「ヤ」と、「タ」が「サ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「カリ・イア・ツイ」、KARI-IA-TUI(kari=dig,cleave,rush along violently;ia=indeed,rushing stream;tui=pierce,sew)、「実に・縫うように(敏滑に)・勢いよく進む(簡単)」(「イア」が「ヤ」と、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」から「スイ」となった)

  「チア・アラ・ツイ」、TIA-ARA-TUI(tia=stick in,drive in pegs,etc.;ara=way,path;tui=pierce,sew)、「縫うように(敏滑に)・道を・杖を突いて進む(簡単)」(「チア」のA音が「アラ」の語頭のA音と連結して「チアラ」から「チャラ」と、「ツイ」が「スイ」となった)

  「タハ・クイ」、TAHA-KUI(taha=side,spasmodic twitching of the muscles,pass on one side(tataha=swerve);kui=call the cry,cause to scream)、「(何かが)側を通り過ぎる(のに反応して)・叫び声を上げる(瞬発能力が高い。簡単)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」から「サ」となつた)

  「アイア・ツイ」、AIA-TUI(aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency,it is good,it serves one right,etc.;tui=pierce,sew)、「上手に・(敏滑に)縫う(簡単)」(「アイア」から「アヤ」と、「ツイ」が「スイ」となった)(なお、「たやすい」は、「タイア・ツイ」、TAIA-TUI(taia=by and by;tui=pierce,sew,lace)、「すぐに・(簡単に)布を縫う(簡単)」(「タイア」が「タヤ」と、「ツイ」が「スイ」となった)と解します。)

  「イア・ツイ」、IA-TUI(ia=indeed,rushing stream;tui=pierce,sew)、「実に・(敏滑に)縫う(簡単)」(「イア」から「ヤ」と、「ツイ」が「スイ」となった)

  「ミイ・イア・チ」、MII-IA-TI((Hawaii)mii=attractive,good-looking;ia=indeed,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「見事に・敏速に・(仕事を)こなす(簡単)」(「ミイ」が「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「チ」が「シ」または「シー」となつた)

  「ミイ・イア・ツイ」、MII-IA-TUI((Hawaii)mii=attractive,good-looking;ia=indeed,rushing stream;tui=pierce,sew)、「見事に・敏速に・縫う(簡単)」(「ミイ」が「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「ツイ」が「スイ」となつた)

  「イア・ツカ」、IA-TUKAHA(ia=indeed,rushing stream;tukaha=strenuous,vigorous,hasty)、「実に・溌溂と(仕事をする。簡単)」(「イア」から「ヤ」と、「ツカ」が「スカ」となった)

  「ツパ・タウチト・ツ」、TUPA-TAUTITO-TU(tupa=start,turn sharply aside;tautito=carry a burden between two persons;tu=fight with,energetic)、「気合いを入れて・二人の人間が荷物を担ぎ・上げる(簡単)」(「ツパ」が「スパーッ」と、「タウチト」のAU音がO音に変化して「トシト」となった)

  「トフ・タ(ン)ガ・カ」、TOHU-TANGA-KA(tohu=mark,sign,point out,show;tanga=circumstance or time or place of dashing or striking,etc.;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(容易に)仕事をこなせるさまを・見せつけて・やる(簡単)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」が「ゾ」から「ゾー」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サナ」となった)

  「マウ・イア・チ」、MAU-IA-TI(mau=perceive,carry,fixed,continuing,caught;ia=indeed,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「敏速に・(仕事を)こなすことを・理解する(簡単)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イア」が「ヤ」と、「チ」が「シ」となつた)

  「ルイ・イア・チ」、RUI-IA-TI(rui=shake,brandish,scatter;ia=indeed,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「敏速に・(仕事を)こなすことを・これ見よがしに誇示する(簡単)」(「ルイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「ルイア」から「ルーヤ」と、「チ」が「シー」となつた)

  「トフ・イア・チ」、TOHU-IA-TI(tohu=mark,sign,point out,show;ia=indeed,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「敏速に・(仕事を)こなすことを・見せつける(簡単)」(「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ドゥー」と、「イア」が「ヤ」と、「チ」が「シー」となつた)

  「アタ・メチ・ムア・エ」、ATA-METI-MUA-E(ata=form,shadow,early morning;meti,metimeti=fat;mua=the front,the former time,before;e=to give emphasis)、「朝の・(しっかりした)食事の・前(に容易にできる。簡単)」(「アタ」が「アサ」と、「メチ」が「メシ」と、「ムア」が「マ」となった)

  「チ・ホロ・イ」、TI-HORO-I(ti=throw,cast,overcome;horo=run,escape,quick;i=past tense,from,with,by,in the act of)、「(仕事を)いとも・速やかに・こなす(簡単)」(「ホロ」のH音が脱落して「オロ」となり、「チ・オロ」が「チョロ」となった)

  「ワケ・ネハ」、WAKE-NEHA(wake,wakewake=hurry,hasten;neha=long past)、「急げば・すぐに終わる(すぐに長い時間が経つ。簡単)」(「ワケ」が「ワゲ」と、「ネハ」のH音が脱落して「ネァ」となった)

  「イア・ツ・カウアエ」、IA-TU-KAUAE(ia=indeed,rushing stream;tu=stand,settle;kauae=ambush)、「実に・待ち伏せ・していた(準備をして待っていた。簡単)」(「イア」から「ヤ」と、「ツ」が「ス」と、「カウアエ」のAU音がO音に、AE音がE音に変化して「コエ」となった)

  「カハ(ン)ガ」、KAHANGA(evidence of strength)、「力強さの証明(がある。簡単)」(H音が脱落し、NG音がN音に変化して「カアナ」から「カナ」となつた)

  「キ・イア・ツカ」、KI-IA-TUKAHA(ki=full,very;ia=indeed,rushing stream;tukaha=strenuous,vigorous,hasty)、「実に・たいへん・溌溂と(仕事をする。簡単)」(「イア」から「ヤ」と、「ツカ」が「スカ」となった)

の転訛と解します。

063がんばる(頑張る)・ケッパル・キバル・ギンバル・ベンキョースル・リキム・セーダス・ギバム・シンボースル・ムクル・キバッ・ガマダス・チバイン・チバユン・ッガンバル・ハリコム

 「がんばる」の方言には、北海道、青森などの「ケッパル」、岩手、福井などの「キバル」、山形の「ギンバル」、神奈川の「ベンキョースル」、石川の「リキム」、愛知の「セーダス」、島根の「ギバム」、愛媛の「シンボースル」、高知の「ムクル」、佐賀、鹿児島の「キバッ」、熊本の「ガマダス」、沖縄那覇の「チバイン」、沖縄首里の「チバユン」があります。

 上記のほか、高知の「ッガンバル」、福岡・大分の「ハリコム」があります。

 この「がんばる」、「ケッパル」、「キバル」、「ギンバル」、「ベンキョースル」、「リキム」、「セーダス」、「ギバム」、「シンボースル」、「ムクル」、「キバッ」、「ガマダス」、「チバイン」、「チバユン」、「ッガンバル」、「ハリコム」は、

  「(ン)ガ(ン)ガ・パル」、NGANGA-PARU(nganga=breathe heavily or with difficulty;paru=sultry,hot)、「息を切らし・汗だくになって奮闘する(頑張る)」(「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「パル」が「バル」となった)

  「ケツ・パル」、KETU-PARU(ketu=remove earth etc. by pushing or digging with s blunt instrument,clear away darkness;paru=sultry,hot)、「鍬を振るって土を耕し・汗だくになって奮闘する(頑張る)」(「ケツ」が「ケッ」となった)

  「キ・パル」、KI-PARU(ki=full,very;paru=sultry,hot)、「たいへん・汗だくになって奮闘する(頑張る)」(「パル」が「バル」となった)

  「(ン)ギ(ン)ギハ・パル」、NGINGIHA-PARU(ngingiha=burn;paru=sultry,hot)、「(火が燃えるように)真っ赤になり・汗だくになって奮闘する(頑張る)」(「(ン)ギ(ン)ギハ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化し、H音が脱落して「ギニ」から「ギン」と、「パル」が「バル」となった)

  「ペナ・キオ・ツ・ル」、PENA-KIO-TU-RU(pena=treat,do,act in that way;(Hawaii)kio=projection,to protrude;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(何かに)取り組むさまが・突出して・懸命に・行う(頑張る)」(「ペナ」が「ベン」と、「キオ」が「キョウ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「リキ・ムフ」、RIKI-MUHU(riki=small,few,dark;muhu=stupid,untaught,incorrect,faulty of carving)、「いささか・妥当でない(行動をする。頑張る)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

  「テ・タ・ツ」、TE-TA-TU(te,tete=exert oneself,gnash the teeth;ta=dash,beatmlay;tu=fight with,energetic)、「(自分の)能力を発揮して・懸命に・(事に)あたる(頑張る)」(「テ」が「セー」と、「タ」が「ダ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「キパ・ムフ」、KIPA-MUHU((Hawaii)kipa=to visit,call,to turn aside;muhu=stupid,untaught,incorrect,faulty of carving)、「道を逸れた・妥当でない(行動をする。頑張る)」(「キパ」が濁音化して「ギバ」と、「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

  「チナ・パウ・ツ・ル」、TINA-PAU-TU-RU(tina=fixed,fast,firm,satisfied;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action;tu=fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「(何かに)しがみついて・最後まで取り組むことを・懸命に・行う(頑張る)」(「チナ」が「シン」と、「パウ」のAU音がOU音に変化して「ポウ」から「ボー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ムフ・クル」、MUHU-KURU(muhu=stupid,untaught,incorrect,faulty of carving;kuru=weary)、「妥当でない(行動をして)・疲れる(頑張る)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

  「キパ・ツ」、KIPA-TU((Hawaii)kipa=to visit,call,to turn aside;tu=fight with,energetic)、「懸命に・道を逸れた(行動をする。頑張る)」(「キパ」が「キバ」となった)

  「カマ・タ・ツ」、KAMA-TA-TU(kama=eager;ta=dash,beatmlay;tu=fight with,energetic)、「熱意をもって・懸命に・(事に)あたる(頑張る)」(「カマ」が濁音化して「ガマ」と、「タ」が「ダ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チ・パイ・ナ」、TI-PAI-NA(ti=throw,cast,overcome;pai=good,excellent,suitable:na=satisfied,content)、「(仕事への取り組みが)素晴らしく・満足・させた(頑張る)」(「パイ」が「パイ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「チ・パイ・ウヌ」、TI-PAI-UNU(ti=throw,cast,overcome;pai=good,excellent,suitable:unu=pull off,withdraw,exhibit)、「(仕事への取り組みの)素晴らしさを・誇示・した(頑張る)」(「パイ」が「パイ」となり、その語尾のI音と「ウヌ」の語頭のU音が連結して「バユヌ」から「バユン」となった)

  「ツ・(ン)ガ(ン)ガ・パル」、TU-NGANGA-PARU(tu=fight with,energeticnganga=breathe heavily or with difficulty;paru=sultry,hot)、「懸命に・息を切らし・汗だくになって奮闘する(頑張る)」(「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「パル」が「バル」となった)

  「パリコ・ムフ」、PARIKO-MUHU(pariko=unsteady,slipping about;muhu=stupid,untaught,incorrect,faulty of carving)、「不安定な(危なっかしい)・妥当でない(行動をする。頑張る)」(「パリコ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハリコ」と、「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

の転訛と解します。

「キ」

064きどる(気取る)・アヤツケル・キンドル・エーフリスル・エーフリコグ・タイシタキーシル・シコーバル・モッテブル・テーセァコグ・シャレケァール・エーカッコスル・テーサイカマウ・カッコツケル・モッタイブー・キナル・ヨーススル・スマス・ブル・ツヤツケトー・シコル・エラソブル・シデル・ヨカブッ・キドゥルン・イーチムナユン・エバル

 「きどる」の方言には、北海道の「アヤツケル」、青森、宮城の「キンドル」、岩手、山形の「エーフリスル」、秋田の「エーフリコグ」、福島の「タイシタキーシル」、栃木の「シコーバル」、千葉の「モッテブル」、新潟の「テーセァコグ」、富山の「モッタイブル」(「モッテブル」と同語源)、静岡の「シャレケァール」、大阪、奈良などの「エーカッコスル」、兵庫の「テーサイカマウ」、鳥取の「カッコツケル」、島根の「モッタイブー」、広島の「テーサイコク」(「テーセァコグ」と同語源)、山口の「キナル」、徳島の「ヨーススル」、愛媛の「スマス」、高知の「ブル」、福岡の「ツヤツケトー」、熊本の「シコル」、大分の「エラソブル」、宮崎の「シデル」、鹿児島の「ヨカブッ」、沖縄那覇の「キドゥルン」、沖縄首里の「イーチムナユン」があります。

 上記のほか、「エバル」などがあります。

 この「きどる」、「アヤツケル」、「キンドル」、「エーフリスル」、「エーフリコグ」、「タイシタキーシル」、「シコーバル」、「モッテブル」、「テーセァコグ」、「シャレケァール」、「エーカッコスル」、「テーサイカマウ」、「カッコツケル」、「モッタイブー」、「キナル」、「ヨーススル」、「スマス」、「ブル」、「ツヤツケトー」、「シコル」、「エラソブル」、「シデル」、「ヨカブッ」、「キドゥルン」、「イーチムナユン」、「エバル」は、

  「キ・タウ・ル」、KI-TAU-RU(ki=full,very;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit,be able;ru=shake,agitate,scatter)、「十分に・良好でふさわしい(状態に)・する(気取る)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)

  「アイア・ツケ・ル」、AIA-TUKE-RU(aia=kaitoa=expressing satisfaction or complacency,it is good,it serves one rifgt,etc.;tuke=elbow,nudge,jerk;ru=shake,agitate,scatter)、「良好な(状態を)・(体に)付着させ・る(気取る)」(「アイア」が「アヤ」となった)

  「キ・ナ・タウ・ル」、KI-NA-TAU-RU(ki=full,very;na=satisfied,content;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit,be able;ru=shake,agitate,scatter)、「十分に・満足できる・良好でふさわしい(状態に)・する(気取る)」(「ナ」が「ン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)

  「エヒ・プ・ウリ・ツ・ル」、EHI-PU-URI-TU-RU(ehi=well!;pu=heap,skilled person,lie in a heap;uri=descendant,relative,race;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「良好な・(高い場所に居る)お高く止まっている・部類の(状態に)・懸命に・努める(気取る)」(「エヒ」のH音が脱落して「エイ」から「エー」と、「プ」のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結し、P音がF音を経てH音に変化して「フリ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「エヒ・プ・ウリ・コクフ」、EHI-PU-URI-KOKUHU(ehi=well!;pu=heap,skilled person,lie in a heap;uri=descendant,relative,race;kokuhu=insert,introduce,intrude into a series or company)、「良好な・(高い場所に居る)お高く止まっている・部類の(状態を)・(他人に)披露する(気取る)」(「エヒ」のH音が脱落して「エイ」から「エー」と、「プ」のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結し、P音がF音を経てH音に変化して「フリ」と、「コクフ」のH音が脱落して「コク」から「コグ」となった)

  「タヒ・チタハ・キ・チ・ル」、TAHI-TITAHA-KI-TI-RU(tahi=sweep,trim;titaha=lean to one side,pass on one side,vary from;ki=say,tell,consider anything to be;ru=shake,agitate,scatter)、「表面を飾った(欠点を取り繕った状態に)・傾いた・ように感じることを・(他人に)努めて・示す」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」と、「チタハ」のH音が脱落して「チタ」から「シタ」と、「キ」が「キー」と、「チ」が「シ」となった)

  「チコフ・パル」、TIKOHU-PARU(tikohu=hollowed out;paru=salutry,hot)、「中味がない(見かけだけの状態を)・汗だくで努める(気取る)」(「チコフ」のH音が脱落して「チコウ」から「シコー」と、「パル」が「バル」となった)

  「モホ・タヒ・プル」、MOHO-TAHI-PURU(moho=blockhead,trouble,stupid;tahi=sweep,trim;puru=puri=hold in the hand,retain possession of,detain)、「でくの坊が・表面を飾った(欠点を取り繕った状態を)・保つている(気取る)」(「モホ」のH音が脱落して「モオ」から「モッ」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となり、またそのAI音がE音に変化して「テ」と、「プル」が「ブル」となった)

  「テイ・タヒ・コクフ」、TEI-TAHI-KOKUHU(tei=high,tall,summit;tahi=sweep,trim;kokuhu=insert,introduce,intrude into a series or company)、「(高い場所に居る)お高く止まっている(ように)・表面を飾った(欠点を取り繕った状態を)・(他人に)披露する(気取る)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となり、そのAI音がE音に変化して「テ」から「セァ」と、「コクフ」のH音が脱落して「コク」から「コグ」となった。また「タイ」が「サイ」となつた)

  「チア・レケ・ア・ル」、TIA-REKE-A-RU(tia=stick in,adorn by sticking in feathers;reke=a mode of dressing the hair in a knot;a=drive,urge,compel;ru=shake,agitate,scatter)、「(頭髪を)髷に結って・(鳥の羽で)飾る(体を飾り立てることを)・努めて・示す(気取る)」(「チア」が「チャ」から「シャ」と、「ア」が「ァー」となった)

  「エヒ・カカウ・ツ・ル」、EHI-KAKAU-TU-RU(ehi=well!;kakau=swim as in last example;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「良好な・(水泳の)模範演技をするように・懸命に・努める(気取る)」(「エヒ」のH音が脱落して「エイ」から「エー」と、「カカウ」のAU音がO音に変化して「カコ」から「カッコと、「ツ」が「ス」となった)

  「テイ・タヒ・カ・マウ」、TEI-TAHI-KA-MAU(tei=high,tall,summit;tahi=sweep,trim;ka=to denote the commencement of a new action or condition;mau=fixed,continuing.retained)、「(高い場所に居る)お高く止まっている(ように)・表面を飾った(欠点を取り繕った状態を)・持続・する(気取る)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「サイ」となった)

  「カカウ・ツケ・ル」、KAKAU-TUKE-RU(ehi=well!;kakau=swim as in last example;tuke=elbow,nudge,jerk;ru=shake,agitate,scatter)、「(水泳の)模範演技をするような(状態を)・(体に)付着させ・る(気取る)」(「カカウ」のAU音がO音に変化して「カコ」から「カッコとなった)

  「モホ・タヒ・プフ(ン)ガ」、MOHO-TAHI-PUHUNGA(moho=blockhead,trouble,stupid;tahi=sweep,trim;puhunga=place on one side,lay up)、「でくの坊が・表面を飾った(欠点を取り繕った状態を)・(体に)纏っている(気取る)」(「モホ」のH音が脱落して「モオ」から「モッ」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」と、「プフ(ン)ガ」のH音および語尾のNGA音が脱落して「ブウ」から「ブー」となった)

  「キ・ナ・ル」、KI-NA-RU(ki=full,very;na=satisfied,content;ru=shake,agitate,scatter)、「十分に・満足できる(状態に)・する(気取る)」

  「イホ・ツ・ツ・ル」、IHO-TU-TU-RU(iho=up above,from above,downwards;tu=stand,settle,fight with,energetic;ru=shake,agitate,scatter)、「お高く止まって・いる(状態に)・懸命に・努める(気取る)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨー」と、「ツ」が「ス」となった)

  「ツ・マハ・ツ」、TU-MAHA-TU(tu=stand,settle,fight with,energetic;maha=gratified,satisfied,contented by the attainment of a desired object)、「懸命に努力して・目標を達成して満足している(平気な顔をしている状態に)・ある(気取る)」(「ツ」が「ス」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「プ・ウル」、PU-URU(pu=heap,skilled person,lie in a heap;uru=enter,possess,arrive)、「(高い場所に居る)お高く止まっている・(状態に)達している(気取る)」(「プ」のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「プル」から「ブル」となった)

  「ツイ・イア・ツケ・トフ」、TUI-IA-TUKE-TOHU(tui=pierce,sew;ia=indeed;tuke=elbow,nudge,jerk;tohu=mark,point out,show)、「(良好な状態を体に)実に・縫いつけるように・付着させて・(他人に)見せつける(気取る)」(「イア」が「ヤ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「トー」となった)

  「チコ・ル」、TIKO-RU(tiko=settled upon as by frost,stand out,protrude;ru=shake,agitate,scatter)、「(良好な状態を)体に纏うことに・努める」(「チコ」が「シコ」となった)

  「エラ(ン)ギ・トフ・プル」、ERANGI-TOHU-PURU(erangi=engari=it is better,but;tohu=mark,point out,show;puru=puri=hold in the hand,retain possession of,detain)、「良好な(状態を)・見せつけることを・持続する(気取る)」(「エラ(ン)ギ」の語尾のNGI音が脱落して「エラ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ソ」と、「プル」が「ブル」となった)

  「チ・テイ・ル」、TI-TEI-RU(ti=throw,cast;tei=high,tall,summit;ru=shake,agitate,scatter)、「お高く止まっている(状態を)・曝すことに・努める」(「チ」が「シ」と、「テイ」が「デ」となった)

  「イホ・カ・プツ」、IHO-KA-PUTU(iho=up above,from above,downwards;ka=to denote the commencement of a new action or condition;putu=lie in a heap,swell)、「お高く止まる(状態に)・置いて・おく(気取る)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「プツ」が「ブッ」となった)

  「キ・タウ・ルナ」、KI-TAU-RUNA(ki=full,very;tau=come to rest,be suitable,be comely,befit,be able;runa=draw together with a cord,tie up,keep close,assemble)、「十分に・良好でふさわしい(状態に)・(体に結びつける)しておく(気取る)」(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ドゥ」と、「ルナ」が「ルン」となった)

  「イチ・ムナ・イ・ウヌ」、ITI-MUNA-I-UNGA(iti=small;muna=mina=desire,feel inclination for;i=past tense;unu=pull off,draw out,exhibit)、「小さな・(良好な状態でありたいという)望みを・見せつけ・た(気取る)」(「イチ」が「イーチ」と、「イ・ウヌ」が「ユン」となった)

  「エパ・ル」、EPA-RU(epa=pelt,throw,cast,thunderbolt;ru=shake,agitate,scatter)、「(雷を落とすように人を)押さえつけることに・努める(気取る)」(「エパ」が「エバ」となった)

の転訛と解します。

065きなくさい(焦臭い)・ヒナクサイ・ヒナクセァ・ヒナンクサエ・キナクッセァ・コゲクサイ・ケナクサイ・ケガラックセー・カコックサイ・カンコクサイ・カッコークシャー・ボロクサイ・ヒノミクサイ・ケブラングサイ・ヤケクサカ・スボイクサカ・コゲクサカ・キンメクサカ・カコービカジャ・カコービカジャスン

 「きなくさい」の方言には、北海道の「ヒナクサイ」、青森の「キナクセ」(「きなくさい」と同語源)、岩手の「ヒナクセァ」、宮城の「ヒナクセー」(「ヒナクサイ」と同語源)、秋田の「ヒナクシェ」(「ヒナクサイ」と同語源)、山形の「ヒナンクサエ」、福島の「ヒナクセ」(「ヒナクサイ」と同語源)、茨城、栃木の「キナクサエ」(「きなくさい」と同語源)、群馬、埼玉などの「キナクセー」(「きなくさい」と同語源)、新潟の「キナクッセァ」、富山、愛媛などの「コゲクサイ」、石川の「ケナクサイ」、福井の「ケナグサイ」(「ケナクサイ」と同語源)、山梨の「ケガラックセー」、岐阜、鳥取の「キナクサェー」(「きなくさい」と同語源)、静岡の「カコックサイ」、三重、京都などの「カンコクサイ」、滋賀の「カンゴクサイ」(「カンコクサイ」と同語源)、島根の「コゲクシェ」(「コゲクサイ」と同語源)、岡山の「カッコークシャー」、広島の「ボロクサイ」、香川の「ヒノミクサイ」、高知の「ケブラングサイ」、福岡の「ヤケクサカ」、佐賀の「スボイクサカ」、長崎の「コゲクサカ」、熊本の「キンメクサカ」、鹿児島の「コゲクセ」(「コゲクサイ」と同語源)、沖縄那覇の「カコービカジャ」、沖縄首里の「カコービカジャスン」があります。

 この「きなくさい」、「ヒナクサイ」、「ヒナクセァ」、「ヒナンクサエ」、「キナクッセァ」、「コゲクサイ」、「ケナクサイ」、「ケガラックセー」、「カコックサイ」、「カンコクサイ」、「カッコークシャー」、「ボロクサイ」、「ヒノミクサイ」、「ケブラングサイ」、「ヤケクサカ」、「スボイクサカ」、「コゲクサカ」、「キンメクサカ」、「カコービカジャ」、「カコービカジャスン」は、

  「キ・イナ・クタイタイ」、KI-INA-KUTAITAI(ki=full,very;ina=bask,warm oneself;kutaitai=of a disagreeable taste)、「強く・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「キ」のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「キナ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった。また「クタイ」のAI音がE音に変化して「クセ」、「クセー」となった。また「クタイ」のAI音がAE音に変化して「クタエ」から「クサエ」「クサェー」となつた)

  「アヒ・イナ・クタイタイ」、AHI-INA-KUTAITAI(ahi=fire;ina=bask,warm oneself;kutaitai=of a disagreeable taste)、「火が・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「アヒ」の語頭のA音が脱落した後のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「ヒナ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった。また「クタイ」のAI音がE音に変化して「クセ」、「クセー」となった)

  「アヒ・イナ・クタイタイ・ア」、AHI-INA-KUTAITAI-A(ahi=fire;ina=bask,warm oneself;kutaitai=of a disagreeable taste;a=yes,well)、「ほんとに・火が・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「アヒ」の語頭のA音が脱落した後のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「ヒナ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となり、そのAI音がE音に変化して「クセ」、「クセー」、「クシェ」となった)

  「ヒ・ナナ・クタイタイ」、HI-NANA-KUTAITAI(hi=rise,raise;nana=eyebrow,raging,in a passion;kutaitai=of a disagreeable taste)、「火が・烈しく熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「アヒ」の語頭のA音が脱落して「ヒ」と、「ナナ」が「ナン」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」となり、そのAI音がAE音に変化して「クタエ」から「クサエ」となった)

  「キ・イナ・クタイタイ・ア」、KI-INA-KUTAITAI-A(ki=full,very;ina=bask,warm oneself;kutaitai=of a disagreeable taste;a=yes,well)、「ほんとに・強く・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「キ」のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「キナ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」となり、そのAI音がE音に変化して「クセ」、「クッセ」となった)

  「コ(ン)ゲ(ン)ゲ・クタイタイ」、KONGENGE-KUTAITAI(kongenge=sinking,exhausted;kutaitai=of a disagreeable taste)、「(強く熱したため)生気を失った・不快なにおい(焦臭い)」(「コ(ン)ゲ(ン)ゲ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「コゲ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった。また「クタイ」のAI音がE音に変化して「クセ」、「クシェ」となった)

  「カイ・イナ・クタイタイ」、KAI-INA-KUTAITAI(kai=food,quantity,products,thing;ina=bask,warm oneself;kutaitai=of a disagreeable taste)、「食物を・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「カイ」のI音と「イナ」の語頭のI音が連結して「カイナ」となり、そのAI音がE音に変化して「ケナ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった。また「クタイ」が濁音化して「グサイ」となった)

  「ケ・(ン)ガラ・クタイタイ」、KE-NGARA-KUTAITAI(ke=strange,different;ngara=they,them;kutaitai=of a disagreeable taste)、「あの・異様な・不快なにおい(焦臭い)」(「(ン)ガラ」のNG音がG音に変化して「ガラ」から「ガラッ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」となり、そのAI音がE音に変化して「クセ」、「クセー」となった)

  「カ・コフ・クタイタイ」、KA-KOHU-KUTAITAI(ka=take fire,be lighted,burn;kohu=fog,mist;kutaitai=of a disagreeable taste)、「火を燃した・煙の・不快なにおい(焦臭い)」(「コフ」のH音が脱落して「コ」から「コッ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった)

  「カ(ン)ガ・コフ・クタイタイ」、KANGA-KOHU-KUTAITAI(kanga=verbal noun of ka=take fire,be lighted,burn;kohu=fog,mist;kutaitai=of a disagreeable taste)、「火を燃した・煙の・不快なにおい(焦臭い)」(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」と、「コフ」のH音が脱落して「コ」または「ゴ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった)

  「カ・コフ・クタイタイ・ア」、KA-KOHU-KUTAITAI-A(ka=take fire,be lighted,burn;kohu=fog,mist;kutaitai=of a disagreeable taste;a=yes,well)、「ほんとに・火を燃した・煙の・不快なにおい(焦臭い)」(「カ」ガ「カッ」と、「コフ」のH音が脱落して「コ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」と、「クサイ・ア」が「クサヤー」から「クシャー」となった)

  「ポロ・クタイタイ」、PORO-KUTAITAI(poro=stupid,dazed,half stunned;kutaitai=of a disagreeable taste)、「異様な・不快なにおい(焦臭い)」(「ポロ」が「ボロ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった)

  「アヒ・(ン)ガウ・フミ・クタイタイ」、AHI-NGAU-HUMI-KUTAITAI(ahi=fire;ngau=bite,hurt,attack;humi=abundant,copious;kutaitai=of a disagreeable taste)、「火が・盛んに・熱した(場合に生ずる)・不快なにおい(焦臭い)」(「アヒ」の語頭のA音が脱落して「ヒ」と、「(ン)ガウ」の語尾のU音と「フミ」のH音が脱落した語頭のU音が連結して「(ン)ガウミ」となり、そのNG音がN音に、AU音がO音に変化して「ノミ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」となった)

  「ケ・プラ(ン)ガ・クタイタイ」、KE-PURANGA-KUTAITAI(ke=strange,different;puranga=heap up,lie in a heap;kutaitai=of a disagreeable taste)、「異様な・立ち上がる・不快なにおい(焦臭い)」(「プラ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「プラナ」から「ブラン」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」、「グサイ」となった)

  「イア・ケ・クタイタイ・カ」、IA-KE-KUTAITAI-KA(ia=indeed;ke=strange,different;kutaitai=of a disagreeable taste;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「実に・異様な・不快なにおい・だ(焦臭い)」(「イア」が「ヤ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」、「クサ」となった)

  「ツ・ポイ・クタイタイ・カ」、TU-POI-KUTAITAI-KA(tu=stand,settle,fight with,energetic;poi=swing,toss up and down;kutaitai=of a disagreeable taste;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「刺激的に・漂ってくる・不快なにおい・だ(焦臭い)」(「ツ」が「ス」と、「ポイ」が「ボイ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」、「クサ」となった)

  「コ(ン)ゲ(ン)ゲ・クタイタイ・カ」、KONGENGE-KUTAITAI-KA(kongenge=sinking,exhausted;kutaitai=of a disagreeable taste;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(強く熱したため)生気を失った・不快なにおい・だ(焦臭い)」(「コ(ン)ゲ(ン)ゲ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「コゲ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」、「クサ」となった)

  「キノ・メ・クタイタイ・カ」、KINO-ME-KUTAITAI-KA(kino=evil,bad,dislike;me=as if,as it were;kutaitai=of a disagreeable taste;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「全く・邪悪な・不快なにおい・だ(焦臭い)」(「キノ」が「キン」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落して「クタイ」から「クサイ」、「クサ」となった)

  「カ・コフ・ピ・カチ・ア」、KA-KOHU-PI-KATI-A(ka=take fire,be lighted,burn;kohu=fog,mist;pi=flow of the tide,soaked,source;kati=bite,nip;a=yes,well)、「火を燃した・煙の・流れが・ほんとに・(人を)刺激する(においがある。焦臭い)」(「コフ」のH音が脱落して「コ」から「コー」と、「ピ」が「ビ」と、「カチ・ア」が「カジャ」となった)

  「カ・コフ・ピ・カチ・ア・ツヌ」、KA-KOHU-PI-KATI-A-TUNU(ka=take fire,be lighted,burn;kohu=fog,mist;pi=flow of the tide,soaked,source;kati=bite,nip;a=yes,well;tunu=roast,broil)、「火を燃した・煙の・流れが・(物を)焦がして・ほんとに・(人を)刺激する(においがある。焦臭い)」(「コフ」のH音が脱落して「コ」から「コー」と、「ピ」が「ビ」と、「カチ・ア」が「カジャ」と、「ツナ」が「スン」となった)

の転訛と解します。

066きのこ(茸)・コケ・タケ・クサビラ・ナバ・ハッタケ

 「きのこ」の方言には、青森、岩手などの「キノゴ」、新潟、富山などの「コケ」、三重、大阪などの「タケ」、奈良、和歌山の「クサビラ」、広島、山口などの「ナバ」、香川の「ハッタケ」があります。

 この「きのこ」、「コケ」、「タケ」、「クサビラ」、「ナバ」、「ハッタケ」は、

  「キヒ・ノホ・コ」、KIHI-NOHO-KO(kihi=cut off,destroy completely,strip of branches,etc.;noho=sit,stay,settle;ko=descend,cause to descend)、「(枝状の)群れをなして・生える・(遺伝的)性質がある(植物。茸)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となった)または「キヒ・(ン)ガウ・コ」、KIHI-NGAU-KO(kihi=cut off,destroy completely,strip of branches,etc.;ngau=bite,hurt,attack;ko=descend,cause to descend)、「(枝状の)群れをなす・(人に)有害な・(遺伝的)性質がある(植物。茸)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「(ン)ガウ」のNG音がN音に、AU音がO音に変化して「ノ」となった。また「コ」が濁音化して「ゴ」となつた)もしくは「キノ・コ」、KINO-KO(kino=evil,bad;ko=descend,cause to descend)、「(邪悪な)人に有害な・(遺伝的)性質がある(植物。茸)」(「コ」が濁音化して「ゴ」となつた)

  「カウ・ケ」、KAU-KE(kau=stalk;ke=strange,different)、「変わった・茎をもつ(植物。茸)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)「コケ」、KOKE(move forwards,glide,spread)、「(いつのまにか)広がっていく(植物。茸)」(同音の「こけ(苔)」については、雑楽篇(その二)の599-13こけ(苔)の項を参照してください。)

  「タケ」、TAKE(root,stump)、「木の根や切り株などに生えることが多い(植物。茸)」または「タ・ケ」、TA-KE(ta=dash,beat,lay;ke=strange,different)、「有害な・変わった(植物。茸)」

  「クタ・ピララ」、KUTA-PIRARA(kuta=a rush,=toetoe=grass;pirara=separated,scattered,wide apart,branching)、「群生する・草の一種(茸)」(「クタ」が「クサ」と、「ピララ」の反復語尾が脱落して「ピラ」から「ビラ」となった)

  「ナ・パ」、NA-PA(na=by,belonging to;pa=clump,group,flock,etc.)、「群生する・性質がある(植物。茸)」(「パ」が「バ」となった)

  「パツ・タケ」、PATU-TAKE(patu=screen,wall,edge;take=root,stump)、「壁状に密集して・木の根や切り株などに生える(植物。茸)」(「パツ」のP音がF音を経てH音にへんかして「ハツ」となった)

の転訛と解します。

「ク」

067くるぶし(踝)・クロボシ・クロゴボシ・クロコンブス・クロブス・キビス・キビショ・クルミ・イシナンゴ・クロップシ・グリグリ・ンメボシ・トリコノフシ・クルゴシ・アシノコブ・チンチンコブ・モモザネ・ヌスルグーフ・クンダブニ・クロコブシ・コブシ・クルボシ・ツノボシ・トリコブシ

 「くるぶし」の方言には、北海道、青森などの「クロボシ」、岩手、秋田の「クロゴボシ」、宮城の「クロコンブス」、山形の「クロブス」、福島、茨城の「キビス」、栃木の「キビショ」、群馬、山梨などの「クルミ」、千葉の「イシナンゴ」、神奈川の「クロップシ」、滋賀、福岡の「グリグリ」、京都、和歌山の「ンメボシ」、大阪、兵庫などの「ウメボシ」(「ンメボシ」と同語源)、岡山の「トリコノフシ」、愛媛の「クルゴシ」、熊本の「アシノコブ」、宮崎の「チンチンコブ」、鹿児島の「モモザネ」、沖縄・那覇の「ヌスルグーフ」、沖縄首里の「クンダブニ」があります。

 上記のほか、北海道の「クロコブシ」、「コブシ」、「クルボシ」、鳥取の「ツノボシ」、広島の「トリコブシ」があります。

 この「くるぶし」、「クロボシ」、「クロゴボシ」、「クロコンブス」、「クロブス」、「キビス」、「キビショ」、「クルミ」、「イシナンゴ」、「クロップシ」、「グリグリ」、「ンメボシ」、「トリコノフシ」、「クルゴシ」、「アシノコブ」、「チンチンコブ」、「モモザネ」、「ヌスルグーフ」、「クンダブニ」、「クロコブシ」、「コブシ」、「クルボシ」、「ツノボシ」、「トリコブシ」は、

  「クル・プチ」、KURU-PUTI(kuru=strike with the fist,pelt,weary;puti=dried up,cross-grained of timber)、「(長時間立つと)疲れる・(木の節に似た)関節(踝)」(「プチ」が「ブシ」となった)

  「クロ・ポチ」、KULO-POTI((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;poti=angle,corner)、「長時間立つ(と疲れる)・(足先の折れ曲がる箇所)関節(踝)」(「ポチ」が「ボシ」となった)

  「クロ・(ン)ガウ・ポチ」、KULO-NGAU-POTI((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;ngau=raise a cry;poti=angle,corner)、「長時間立つ(と疲れて)・悲鳴を上げる・(足先の折れ曲がる箇所)関節(踝)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「ポチ」が「ボシ」となった)

  「クロ・コノ・プツ」、KULO-KONO-PUTU((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;kono=bend,curve;putu=lie in a heap,swell,increase)、「長時間立つ(と疲れて)・曲がって・腫れ上がる(足先の関節。踝)」(「コノ」が「コン」と、「プツ」が「ブス」となった)

  「クロ・プツ」、KULO-PUTU((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;putu=lie in a heap,swell,increase)、「長時間立つ(と疲れて)・腫れ上がる(足先の関節。踝)」(「プツ」が「ブス」となった)

  「キ・ピピ・ツ」、KI-PIPI-TU(ki=full,very;pipi=half-grown,yielding,flabby;tu=stand,settle)、「全く・そこに・筋肉が付いていない(箇所。踝)」(「ピピ」の反復音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)

  「キ・ピピ・チホ」、KI-PIPI-TIHO(ki=full,very;pipi=half-grown,yielding,flabby;tiho=flaccid,soft)、「全く・(そこに)筋肉が付いていなくて・柔軟な(箇所。踝)」(「ピピ」の反復音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「チホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショ」とななった)

  「クル・フミ」、KURU-HUMI(kuru=strike with the fist,pelt,weary;humi=abundant,copious)、「(長時間立ったり歩いたりすると)たいへん・疲れる(箇所。踝)」(「クル」の語尾のU音と、「フミ」のH音が脱落して「ウミ」となつたその語頭のU音が連結して「クルミ」となった)(同音の「胡桃(くるみ)」については、、雑楽篇(その二)の531くるみ(胡桃)の項を参照してください。)

  「イ・チナナ・(ン)ゴ」、I-TINANA-NGO(i=frpm,beside,with,by,at;tinana=body,trunk,self,person;ngo=cry,grunt)、「(長時間立ったり歩いたりすると)身体の・ほかに・悲鳴を上げる(箇所。踝)」(「チナナ」が「シナン」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)

  「クロ・プチ」、KULO-PUTI((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;puti=dried up,cross-grained of timber)、「長時間立つ(と疲れる)・(木の節に似た)関節(踝)」(「クロ」が「クロッ」と、「プチ」が「ブシ」となった)

  「(ン)グ・フリ・(ン)グ・フリ」、NGU-HURI-NGU-HURI(ngu=silent;huri=turn round,overturn,grind)、「静かに(音を立てずに)・回る・静かに・回る(関節。踝)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となったそのU音と、「フリ」のH音が脱落して「ウリ」となったその語頭のU音が連結して「グリ」となった)

  「ウ(ン)ガ・マエ・ポチ」、UNGA-MAE-POTI(unga=act or circumstance etc. of becoming firm;mae=languid,withered,struck with astonishment etc.;poti=angle,corner)、「(長時間立つと)疲れて・動かなくなる・(足先の折れ曲がる箇所)関節(踝)」(「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」から「ウン」となり、さらに「ウ」または「ン」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「ポチ」が「ボシ」となった)(なお、「梅(うめ)」については、、雑楽篇(その二)の573うめ(梅)の項を参照してください。また、同音の「梅干し(うめぼし)」は、「ウ・マエ・パウ・チ」、U-MAE-PAU-TI(u=be firm,be fixed;mae=languid,withered,struck with astonishment etc.;pau=consumed,exhausted;ti=throw,cast,overcome)、「(人の)力を奪うに・至る(有毒な梅の実が)・(毒を失って)しなび・果てた(もの。梅干し)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」と、「チ」が「シ」となった)の転訛と解します。)

  「タウリ・コノ・プチ」、TAURI-KONO-PUTI(tauri=fillet,band,bind,secure with a fillet;kono=bend,curve;puti=dried up,cross-grained of timber)、「(長時間立つと疲れて)靱帯が・曲がってしまう・(木の節に似た)関節(踝)」(「タウリ」のAU音がO音に変化して「トリ」と、「プチ」のP音がF音を経てH音に変化して「フシ」となった)

  「クル・(ン)ゴ・チ」、KURU-NGO-TI(kuru=strike with the fist,pelt,weary;ngo=cry,grunt;ti=throw,cast,overcome)、「(長時間立つと)疲れて・悲鳴を・上げる(関節。踝)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「シ」となった)

  「アチ・ノ・コプ」、ATI-NO-KOPU(ati=offspring,descendant,clan;no=of;kopu=belly,womb,calf of the leg,full,filled up,blistered)、「(体の子孫である)足・の・膨らみ(踝)」(「アチ」が「アシ」と、「コプ」が「コブ」となった)

  「チナ・チナ・コプ」、TINA-TINA-KOPU(tina=fixed,firm,satisfied,exhausted;kopu=belly,womb,calf of the leg,full,filled up,blistered)、「堅くしっかりとしているが疲れると動かなくなってしまう・(足の)膨らみ(踝)」(「チナ」が「チン」と、「コプ」が「コブ」となった)

  「モモ・タネ」、MOMO-TANE(momo=descendant,race,in good condition,well proportioned;tane=male,showing manly qualities)、「男らしさを示す・小さな奴(踝)」(「タネ」が「ザネ」となった)

  「(ン)グツレ・(ン)グ・フ」、NGUTURE-NGU-HU(nguture=blunt,worn with use;ngu=cry,grunt;hu=promontry,hill)、「(足を使って)疲れ果てると・悲鳴を上げる・(足の)膨らみ(踝)」(「(ン)グツレ」のNG音がG音に変化して「グツレ」から「グスレ」、「グスル」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」から「グー」となった)

  「クネ・タプニ」、KUNE-TAPUNI(kune=plump,filled out to roundness,swell as pregnancy advances;tapuni=close up faulty places in a net)、「明らかな欠陥がある・(足の)膨らみ(踝)」(「クネ」が「クン」と、「タプニ」が「ダブニ」となった)

  「クロ・コ・プチ」、KULO-KO-PUTI((Hawaii)kulo=kuloihi=to wait long,to stand long;ko=sing,shout;puti=dried up,cross-grained of timber)、「長時間立つ(と疲れて)・音を上げる・(木の節に似た)関節(踝)」(「プチ」が「ブシ」となった)

  「コ・プチ」、KO-PUTI(ko=sing,shout;puti=dried up,cross-grained of timber)、「(長時間立つと疲れて)音を上げる・(木の節に似た)関節(踝)」(「プチ」が「ブシ」となった)

  「クル・ポチ」、KURU-POTI(kuru=strike with the fist,pelt,weary;poti=angle,corner)、「(長時間立つと)疲れる・(足先の折れ曲がる箇所)関節(踝)」(「ポチ」が「ボシ」となった)

  「ツノウ・ポチ」、TUNOU-POTI(tunou=nod rge head,sign of assent;poti=angle,corner)、「(長時間立つと疲れて)頭を下げる(降参する)・(足先の折れ曲がる箇所)関節(踝)」(「ツノウ」が「ツノ」と、「ポチ」が「ボシ」となった)

  「タウリ・コ・プチ」、TAURI-KO-PUTI(tauri=fillet,band,bind,secure with a fillet;ko=sing,shout;puti=dried up,cross-grained of timber)、「(長時間立つと疲れて)靱帯が・音を上げる・(木の節に似た)関節(踝)」(「タウリ」のAU音がO音に変化して「トリ」と、「プチ」が「ブシ」となった)

の転訛と解します。

068くわのみ(桑の実)・カゴ・クワゴ・クワグミ・ドドメ・クワエチゴ・ツバメ・カミズ・クワズミ・クワイチゴ・クワノミイチゴ・イチゴ・ナンレーシー・クワーギヌミー・クホボロ・フナミ

 「くわのみ」の方言には、青森の「クワ」(「くわのみ」と同語源)、岩手の「カゴ」、宮城、秋田などの「クワゴ」、栃木、三重の「クワグミ」、群馬、埼玉などの「ドドメ」、新潟の「クワエチゴ」、福井の「ツバメ」、山梨の「カミズ」、長野の「クワズミ」、滋賀、奈良などの「クワイチゴ」、島根の「クワノミイチゴ」、熊本、宮崎の「クワンミ」(「くわのみ」と同語源)、大分の「イチゴ」、沖縄・那覇の「ナンレーシー」、沖縄首里の「クワーギヌミー」があります。

 上記のほか、三重の「クホボロ」、鳥取の「フナミ」があります。

 この「くわのみ」、「カゴ」、「クワゴ」、「クワグミ」、「ドドメ」、「クワエチゴ」、「ツバメ」、「カミズ」、「クワズミ」、「クワイチゴ」、「クワノミイチゴ」、「イチゴ」、「ナンレーシー」、「クワーギヌミー」、「クホボロ」、「フナミ」は、

  「クハ・ナウ・フミ」、KUHA-NAU-HUMI(kuha=gasp,ragged,fragment;nau=come,go;humi=abundant,abundance)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)が・多数・もたらすもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「ナウ」の語尾のU音と「フミ」の語頭のH音が脱落した後のU音が連結して「ナウミ」となり、AU音がO音に変化して「ノミ」となった。また「ノミ」が脱落して「クワ」となった。また「ノミ」が「ンミ」となった)

  「カ・ア(ン)ゴ」、KA-ANGO(ka=take fire,be lighted,burn;ango=gape,be open)、「(それを頬張つた)口が・(火事のように)赤くなる(もの。桑の実)」(「カ」のA音と「ア(ン)ゴ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「カゴ」となった)

  「クハ・ア(ン)ゴ」、KUHA-ANGO(kuha=gasp,ragged,fragment;ango=gape,be open)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)の・(人が口を開けて)頬張るもの(桑の実)」(「クハ」の語尾のA音と「ア(ン)ゴ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「クハゴ」から「クワゴ」となった)

  「クハ・(ン)グ・フミ」、KUHA-NGU-HUMI(kuha=gasp,ragged,fragment;ngu=silent,greedy;humi=abundant,abundance)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)の・(人が)たくさん・貪り食べるもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「(ン)ク」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「フミ」の語頭のH音が脱落した後の語頭のU音が連結して「グミ」となった)

  「タウト・メ」、TAUTO-ME(tauto=trail,drag;me=as if,like)、「まるで・引っ張られるように(食べ続けてしまうもの。桑の実)」(「タウト」のAU音がO音に変化して「トト」から「ドド」となった)

  「クハ・エ・チ(ン)ゴ」、KUHA-E-TINGO(kuha=gasp,ragged,fragment;e=to denote action in progress or temporary condition,to give emphasis;tingo,tingotingo=speckled)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)の・(まだらの)粒々になった・もの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「チ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「チゴ」となった)

  「ツ・パハ・メ」、TU-PAHA-ME(tu=stand,settle;paha=foam etc.;me=as if,like)、「まるで・(粒々の)泡が・ついているような(もの。桑の実)」(「パハ」のH音が脱落して「バ」となった)

  「カミ・ツ」、KAMI-TU(kami=eat;tu=fight with,energetic)、「夢中になって・食べる(もの。桑の実)」(「ツ」が「ズ」となった)

  「クハ・ツ・ミイ」、KUHA-TU-MII(kuha=gasp,ragged,fragment;tu=stand,settle;(Hawaii)mii=attractive,good-looking)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)に・生ずる・好ましいもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「ツ」が「ズ」と、「ミイ」が「ミ」となった)

  「クハ・イ・チ(ン)ゴ」、KUHA-I-TINGO(kuha=gasp,ragged,fragment;i=ferment,turn sour,be stirred,beside;tingo,tingotingo=speckled)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)に・成熟する・(まだらの)粒々のもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「チ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「チゴ」となった)

  「クハ・ナウ・フミ・イ・チ(ン)ゴ」、KUHA-NAU-HUMI-I-TINGO(kuha=gasp,ragged,fragment;nau=come,go;humi=abundant,abundance;i=ferment,turn sour,be stirred,beside;tingo,tingotingo=speckled)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)が・多数・もたらすもので・成熟する・(まだらの)粒々のもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「ナウ」の語尾のU音と「フミ」の語頭のH音が脱落した後のU音が連結して「ナウミ」となり、AU音がO音に変化して「ノミ」と、「チ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「チゴ」となった)

  「イ・チ(ン)ゴ」、I-TINGO(i=ferment,turn sour,be stirred,beside;tingo,tingotingo=speckled)、「(成熟する・(まだらの)粒々のもの(桑の実)」(「チ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「チゴ」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガナ・ライ・チ」、NGANGANA-RAI-TI(ngangana=red,grow;rai=ribbed,furrowed:ti=throw,cast)、「赤くて・(凸凹の)粒々が・あるもの(桑の実)」(「(ン)ガ(ン)ガナ」のNG音がN音に変化して「ナナナ」から「ナナ」、「ナン」と、「ライ」のAI音がE音に変化して「レー」と、「チ」が「シー」となった)

  「クハ・ア(ン)ギ・ヌミ」、KUHA-ANGI-NUMI(kuha=gasp,ragged,fragment;angi=free,move freely,float;numi=go,pass by)、「(蚕が)食べることを切望する(植物=桑)の・自由に移動して(人に食べられて)・無くなるもの(桑の実)」(「クハ」が「クワ」と、「アギ」のNG音がG音に変化して「アギ」と、「クワ・アギ」が「クワーギ」と、「ヌミ」が「ヌミー」となった)

  「ク・ポポロ」、KU-POPORO(ku,kuku=firm,stiff,thickened;poporo=black,dark in colour)、「密集して(成る)・濃い赤紫の(果実。桑の実)」(「ポポロ」の最初のP音がF音を経てH音に変化して「ホボロ」となった)

  「フナ・ミイ」、HUNA-MII(huna=conceal,destroy:(Hawaii)mii=attractive,good-looking)、「(その存在を)秘密にする・好ましいもの(桑の実)」(「ミイ」が「ミ」となった)

の転訛と解します。

「ケ」

069けち(吝嗇)・シミッタレ・ケチクセァ・スワビリ・シビタガレ・ネツビリ・コスタガリ・ケチクソ・ケチンボ・ヨクンボ・シワンボー・シブチン・シブキチ・ヨクスットー・ニギリ・コスッポ・コスカ・コスタクロ・イミシンゴロ・ニギー・コーパー・チムグーサルムン

 「けち」の方言には、北海道、群馬などの「シミッタレ」、岩手の「ケチクセァ」、宮城の「スワビリ」、秋田の「シビタガレ」、山形の「ネツビリ」、福島の「コスタガリ」、茨城の「ケチクソ」、群馬、千葉などの「ケチンボ」、石川の「ヨクンボ」、愛知の「シワンボー」、三重、京都などの「シブチン」、滋賀、鳥取の「ケチンボー」(「ケチンボ」と同語源)、奈良の「シワンボ」(「シワンボー」と同語源)、和歌山の「シブキチ」、岡山の「ヨクスットー」、広島、山口の「ニギリ」、福岡の「コスッポ」、佐賀の「コスカ」、熊本の「コスタクロ」、宮崎の「イミシンゴロ」、鹿児島の「ニギー」、沖縄那覇の「コーパー」、沖縄首里の「チムグーサルムン」があります。

 この「けち」、「シミッタレ」、「ケチクセァ」、「スワビリ」、「シビタガレ」、「ネツビリ」、「コスタガリ」、「ケチクソ」、「ケチンボ」、「ヨクンボ」、「シワンボー」、「シブチン」、「シブキチ」、「ヨクスットー」、「ニギリ」、「コスッポ」、「コスカ」、「コスタクロ」、「イミシンゴロ」、「ニギー」、「コーパー」、「チムグーサルムン」は、

  「ケ・エチ」、KE-ETI(ke=different,strange;eti=shrink,recoil(etieti=disgusting))、「異常に・(出費・行動に)尻込みする(さま。吝嗇)」(「ケ」のE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ケチ」となった)

  「チ・ミチ・タレ」、TI-MITI-TARE(ti=throw,cast;miti=lick,lick up;tare=hang,gasp for breath,be drawn towards,be intent upon)、「計画したこと(行動を)・(嘗めるように)少しづつ・行う(吝嗇)」(「チ」が「シ」と、「ミチ」が「ミッ」となった)

  「ケ・エチ・クタイタイ・ア」、KE-ETI-KUTAITAI-A(ke=different,strange;eti=shrink,recoil(etieti=disgusting);kutaitai=of a disagreeable taste;a=yes,well)、「異常に・(出費・行動に)尻込みする・なんとも・不愉快な行動(吝嗇)」(「ケ」のE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ケチ」と、「クタイタイ」の反復語尾が脱落し、AI音がE音に変化して「クセ」となった)

  「ツワ・ピリ」、TUWHA-PIRI(tuwha=spit,expectorate;piri=stick,cling,come close,fastened to)、「唾を吐くのにも・拘る(出し惜しみをする。吝嗇)」(「ツワ」が「スワ」と、「ピリ」が「ビリ」となった)

  「チピタハ・(ン)ガレ」、TIPITAHA-NGARE(tipitaha=awry,irregular;ngare=send,urge)、「不規則に・(人に)物を送る(吝嗇)」(「チピタハ」のH音が脱落して「シビタ」と、「(ン)ガレ」のNG音がG音に変化して「ガレ」となった)

  「ネイ・ツ・ピリ」、NEI-TU-PIRI(nei=to indicate continuance of action;tu=stand,settle;piri=stick,cling,come close,fastened to)、「いつも・決まって・拘る(出し惜しみをする。吝嗇)」(「ネイ」が「ネ」と、「ピリ」が「ビリ」となった)

  「カウツ・タ(ン)ガ・アリ」、KAUTU-TANGA-ARI(kautu=wade;tanga=be assembled;ari=clear,visible,appearance)、「明らかに・水中を苦労して歩くのを・常とする(出し惜しみをする。吝嗇)」(「カウツ」のAU音がO音に変化して「コツ」から「コス」と、「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」と、「タガ」の語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「タガリ」となった)

  「ケ・エチ・クフ・トウ」、KE-ETI-KUHU-TOU(ke=different,strange;eti=shrink,recoil(etieti=disgusting);kuhu=insert,conceal;tou=tonu=denoting continuance,still,quite,just)、「異常に・(出費・行動に)尻込みすることを・隠し・続ける(吝嗇)」(「ケ」のE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ケチ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「トウ」が「ソ」となった)

  「ケ・エチ・ナ・パウ」、KE-ETI-NA-PAU(ke=different,strange;eti=shrink,recoil(etieti=disgusting);na=by,belonging to;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「異常に・(出費・行動に)尻込みするという・どちらかといえば・変えようのない性格(吝嗇)」(「ケ」のE音と「エチ」の語頭のE音が連結して「ケチ」と、「ナ」が「ン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」、「ボー」となった)

  「イホ・クフ・ナ・パウ」、IHO-KUHU-NA-PAU(iho=heart,inside,kernel;kuhu=insert,conceal;na=by,belonging to;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「(財産を)中に・(隠す)貯め込むという・どちらかといえば・変えようのない性格(吝嗇)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ナ」が「ン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)

  「チ・ワナ・パウ」、TI-WHANA-PAU(ti=throw,cast;whana=recoil,revolt,rush;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「(出費・行動)に尻込みを・する・変えようのない性格(吝嗇)」(「チ」が「シ」と、「ワナ」が「ワン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ボ」、「ボー」となった)

  「チプ・チノ」、TIPU-TINO(tipu=tupu=grow,increase,begin,be firmly fixed;tino=essenciality,reality)、「(出費を抑えて財産を)増やそうとする・本質的な性格(吝嗇)」(「チプ」が「シブ」と、「チノ」が「チン」となった)

  「チプ・キ・チヒ」、TIPU-KI-TIHI(tipu=tupu=grow,increase,begin,be firmly fixed;ki=full,very;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(出費を抑えて財産を)最高に・たくさん・増やそうとする(吝嗇)」(「チプ」が「シブ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」となった)

  「イホ・クフ・ツトフ」、IHO-KUHU-TUTOHU(iho=heart,inside,kernel;kuhu=insert,conceal;tutohu=receive a proposal favourably,give consent to,point out,indicate)、「(財産を)中に・(隠す)貯め込む・(性格を)見せてしまう(吝嗇)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ツトフ」のH音が脱落して「ツトウ」から「スットー」となった)

  「ニキ・リ」、NIKI-RI(niki=small;ri=screen,bond,protect)、「小さなもの(節約)を・蓄積する(吝嗇)」(「ニキ」が濁音化して「ニギ」となった)

  「カウツ・パウ」、KAUTU-PAU(kautu=wade;pau=consumed,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「水中を苦労して歩くような(出し惜しみをする)・変えようのない性格(吝嗇)」(「カウツ」のAU音がO音に変化して「コツ」から「コスッ」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」となった)

  「カウツ・カ」、KAUTU-KA(kautu=wade;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「水中を苦労して歩くような(出し惜しみをする)・行動(吝嗇)」(「カウツ」のAU音がO音に変化して「コツ」から「コス」となった)

  「カウツ・タク・ラウ」、KAUTU-TAKU-RAU(kautu=wade;taku=slow;rau=catch as in a net,gather into a basket,entangle,embarrassed)、「ゆっくりと・水中を苦労して歩いて(出し惜しみをする)・(財産を)貯め込む(吝嗇)」(「カウツ」のAU音がO音に変化して「コツ」から「コス」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

  「イ・ミチ・(ン)ゴ(ン)ゴ・ラウ」、I-MITI-NGONGO-RAU(i=from,beside,with,by;miti=lick,lick up;ngongo=suck,suck out;rau=catch as in a net,gather into a basket,entangle,embarrassed)、「嘗めて・すするように・して・(財産を)貯め込む(吝嗇)」(「ミチ」が「ミシ」と、「(ン)ゴ(ン)ゴ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ノゴ」から「ンゴ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

  「ニキ・ヒ」、NIKI-HI(niki=small;hi=raise,draw up,rise)、「小さなもの(節約)を・積み上げる(吝嗇)」(「ニキ」が濁音化して「ニギ」と、「ヒ」のH音が脱落して「イ」となり、「ニギ・イ」から「ニギー」となった)

  「コパ」、KOPA(crippled,lame,wallet,sandal)、「(財布を大事にする)足の不自由な人(人から特別な眼で見られる人。吝嗇)」(「コパ」が「コーパー」となった)

  「チム・(ン)グ・タル・ムナ」、TIMU-NGU-TARU-MUNA(timu=ebb,ebbing;ngu=silent,greedy;taru=shake,overcome,painful,acute,thing,sometimes with an idea of disparagement or unpleasantness involved;muna=tell or speak of privately,gossip,secret,beloved)、「貪欲さが・(後退)無くなると・悲しい・噂になる(吝嗇)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」から「グー」と、「タル」が「サル」と、「ムナ」が「ムン」となった)

の転訛と解します。

070けっこんする(結婚する)・カマドモツ・シューゲンアゲル・シューギアゲル・ヒトズエナル・ゴシエギスル・ゴシューギスル・ヒトニナル・イッショニナル・ヨメトリシル・ミョートニナル・ショタイウォモツ・ヨメリスル・ヨメイリスル・ヨメドリ・ムコトリ・シーゲンシー・ミトイナッ・ニービチスン・ヨメトル・ムガサル・ヨメサンモラウ

 「けっこんする」(「結婚」という漢語由来の言葉です。)の方言には、北海道の「カマドモツ」、岩手、大阪の「シューゲンアゲル」、秋田の「シューギアゲル」、山形の「ヒトズエナル」、福島の「ケッコンシル」(漢語由来の言葉です。)、茨城の「ゴシエギスル」、栃木の「ゴシューギスル」、群馬の「ヒトニナル」、神奈川、奈良などの「イッショニナル」、新潟の「ヨメトリシル」、富山、山梨などの「イッションナル」(「イッショニナル」と同語源)、石川、福岡などの「ミョートニナル」、福井、佐賀の「ミョートンナル」(「ミョートニナル」と同語源)、長野の「ショタイウォモツ」、愛知の「シューゲンスル」、三重の「ヨメリスル」、滋賀、高知の「ヨメイリスル」、鳥取の「ヨメドリ」、「ムコトリ」、島根の「シーゲンシー」、広島の「ヨメーリスル」(「ヨメイリスル」と同語源)、鹿児島の「ミトイナッ」、沖縄那覇・首里の「ニービチスン」があります。

 上記のほか、青森の「ヨメトル」、宮城の「ムガサル」、京都の「ヨメサンモラウ」があります。

 この「カマドモツ」、「シューゲンアゲル」、「シューギアゲル」、「ヒトズエナル」、「ゴシエギスル」、「ゴシューギスル」、「ヒトニナル」、「イッショニナル」、「ヨメトリシル」、「ミョートニナル」、「ショタイウォモツ」、「シューゲンスル」、「ヨメリスル」、「ヨメイリスル」、「ヨメドリ」、「ムコトリ」、「シーゲンシー」、「ミトイナッ」、「ニービチスン」、「ヨメトル」、「ムガサル」、「ヨメサンモラウ」は、

  「カ・マト・マウ・ツ」、KA-MATO-MAU-TU(ka=take fire,be lighted,burn;mato=deep swamp(matomato=deep,growing vigorously,of pleasing appearance);mau=fived,continuing,caught,taken:tu=stand,settle)、「火が・勢いよく燃える(装置。竈を)・取得して・備え付ける(結婚する)」(「マト」が「マド」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となつた)

  「チ・ウ・(ン)ガイ・ナ・ア・(ン)ゲル」、TI-U-NGAI-NA-A-NGERU(ti=throw,cast;u=be firm,be fixed;ngai=tribe or clan;na=to indicate position near or connection with the person addressed;a=drive,urge,compel;ngeru,ngerungeru=smooth,soft)、「部族の・中に(その一員として)・加入することを・決定すること(儀式。結婚式を)・円滑に・推し進める(結婚する)」(「チ・ウ」が「シュー」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」と、「ナ」が「ン」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「チ・ウ・(ン)ギア・ア・(ン)ゲル」、TI-U-NGIA-A-NGERU(ti=throw,cast;u=be firm,be fixed;ngia=seem,appear to be;a=drive,urge,compel;ngeru,ngerungeru=smooth,soft)、「(夫婦という関係に)身を投じて・関係を固める・ように見えること(儀式。結婚式を)・円滑に・推し進める(結婚する)」(「チ・ウ」が「シュー」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「ヒ・タウ・ツ・エ・ナ・ル」、HI-TAU-TU-E-NA-RU(hi=raise,rise;tau=come to rest,come to anchor,be suitable;tu=stand,settle;e=to denote action in progress or temporary condition;na=satisfied,content;ru=shake,scatter)、「高い・境地で生きる(人)として・立ち・これから・幸せに・(身を震わす)なる(結婚する)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ツ」が「ス」から「ズ」となった)

*  「(ン)ゴ・チ・エ(ン)ギア・ツル」、NGO-TI-ENGIA-TURU(ngo=cry,grunt;ti=throw,cast;engia=expressing assent;turu=last a short time(turua=be done for a short time;tuturu=fixed,permanent))、「(叫び声)大声で・(結婚に)同意すると・叫ぶこと(儀式。結婚式を)・行う(結婚する)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ」が「シ」と、「エ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「エギ」と、「ツル」が「スル」となった)

  「(ン)ゴ・チ・ウ・(ン)ギア・ツル」、NGO-TI-U-NGIA-TURU(ngo=cry,grunt;ti=throw,cast;u=be firm,be fixed;ngia=seem,appear to be;turu=last a short time(turua=be done for a short time;tuturu=fixed,permanent))、「(叫び声)誓いを大声で上げ・(夫婦という関係に)身を投じて・関係を固める・ように見えること(儀式。結婚式を)・行う(結婚する)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「チ・ウ」が「シュー」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」と、「ツル」が「スル」となった)

  「ヒ・タウ・ニヒ・ナ・ル」、HI-TAU-NIHI-NA-RU(hi=raise,rise;tau=come to rest,come to anchor,be suitable;nihi=move stealthly,come stealthly upon;na=satisfied,content;ru=shake,scatter)、「高い・境地で生きる(人)として・そっと・幸せに・(身を震わす)なる(結婚する)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「イツ・チ・アウ・ニヒ・ナ・ル」、ITU-TI-AU-NIHI-NA-RU(itu=side;ti=throw,cast;au=firm,intense;nihi=move stealthly,come stealthly upon;na=satisfied,content;ru=shake,scatter)、「傍に・堅く・寄り添って・そっと・幸せに・(身を震わす)なる(結婚する)」(「イツ」が「イッ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「チ・オ」が「ショ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった。また「ニ」が「ン」となった)

  「イ・アウ・マイ・ト・リ・チ・ル」、I-AU-MAI-TO-RI-TI-RU(i=beside;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;to=drag;ri=screen,pritect,bind;ti=throw,cast;ru=shake,scatter)、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女を・寄せて・結合し・(身を)震わ・させる(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ミイ・アウト・ニヒ・ナ・ル」、MII-AUTO-NIHI-NA-RU((Hawaii)mii=clasp,attractive;auto=trailing behind,slow,protract;nihi=move stealthly,come stealthly upon;na=satisfied,content;ru=shake,scatter)、「堅く結ばれて・後について行く(夫婦として)・そっと・幸せに・(身を震わす)なる(結婚する)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「ミイ・オト」が「ミョート」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった。また「ニ」が「ン」となった)

  「チオホ・タイ・ワオ・マウ・ツ」、TIOHO-TAI-WAO-MAU-TU(tioho=apprehensive;tai=wave,anger,rage,violence;wao=forest(wawao=defend from enemies);mau=fixed,continuing,caught,taken:tu=stand,settle)、「(結婚後に)波瀾が・懸念される(世帯)・(世の荒波から)保護するものを・取得して・住む(結婚する)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオ」から「ショ」と、「ワオ」のAO音がO音に変化して「ヲ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となつた)

  「チ・ウ・(ン)ガイ・ナ・ツル」、TI-U-NGAI-NA-TURU(ti=throw,cast;u=be firm,be fixed;ngai=tribe or clan;na=to indicate position near or connection with the person addressed;turu=last a short time(turua=be done for a short time;tuturu=fixed,permanent))、「部族の・中に(その一員として)・(身を投ずる)加入することを・決定すること(儀式。結婚式を)・行う(結婚する)」(「チ・ウ」が「シュー」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」と、「ナ」が「ン」と、「ツル」が「スル」となった)

  「イ・アウ・マイ・リ・ツル」、I-AU-MAI-RI-TURU(i=beside;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;ri=screen,pritect,bind;turu=last a short time(turua=be done for a short time;tuturu=fixed,permanent))、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女と・結合することを・行う(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「ツル」が「スル」となった)

  「イ・アウ・マイ・イ・リ・ツル」、I-AU-MAI-I-RI-TURU(i=beside,past tense,from,with,by;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;to=drag;ri=screen,pritect,bind;turu=last a short time(turua=be done for a short time;tuturu=fixed,permanent))、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女と・結合・することを・行う(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「ツル」が「スル」となった。また「メ・イ」が「メー」となった)

  「イ・アウ・マイ・ト・リ」、I-AU-MAI-TO-RI(i=beside;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;to=drag;ri=screen,pritect,bind)、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女を・寄せて・結合する(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「ト」が「ド」となった)

  「ムフ・コ・ト・リ」、MUHU-KO-TO-RI(muhu=grope,feel after,push one's way through bushes etc.;ko=addressing to females and males;to=drag;ri=screen,pritect,bind)、「探し求めた・男(または女)を・寄せて・結合する(結婚する)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)

  「チ・(ン)ガイ・ナ・チ」、TI-NGAI-NA-TI(ti=throw,cast;ngai=tribe or clan;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「部族の・中に(その一員として)・(身を投ずる)加入すること(儀式。結婚式を)・やってのける(結婚する)」(「チ」が「シー」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ミイ・トイ・ナチ」、MII-TOI-NATI((Hawaii)mii=clasp,attractive;toi=summit,top,origin(toi whenua=home,birthplace);nati=pinch or contract)、「小さな・(最高の)家庭に・しっかり抱きしめる(結婚する)」(「ミイ」が「ミ」と、「ナチ」が「ナッ」となつた)

  「ニヒ・ピチ・ツ(ン)ガ」、NIHI-PITI-TUNGA(nihi=move stealthly,come stealthly upon;piti=put side by side,add;tunga=circumstance or time etc. of standing,foundation)、「そっと・(新)世帯の・(傍に)中に迎える(結婚する)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニイ」から「ニー」と、「ピチ」が「ビチ」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

  「イ・アウ・マイ・ト・ル」、I-AU-MAI-TO-RU(i=beside;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;to=drag;ru=shake,scatter)、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女を・寄せて・置く(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「ムフ・(ン)ガ・タル」、MUHU-NGA-TARU(muhu=grope,feel after,push one's way through bushes etc.;nga=satisfied;taru=shake,overcome,painful,acute,thing,sometimes with an idea of disparagement or unpleasantness involved)、「探し求めて・満足した(男または女に)・(身を)震わせる(結婚する)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「タル」が「サル」となった)

  「イ・アウ・マイ・タナ・マウ・ラウ」、I-AU-MAI-TANA-MAU-RAU(i=beside;au=firm,intense;mai,maimai=a dance;tana=his,her;mau=fixed,continuing,caught,taken;rau=catch as in a net,gather into a basket)、「傍に・近く寄り添う・(踊りを踊る)女(嫁)・さんを・捕まえて・所有する(結婚する)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「イ・オ」が「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「タナ」が「サン」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

の転訛と解します。

071けっして(決して)・ゼッタイ・ナンボシテモ・ナエタテ・ナンデカンデ・ナンタッテ・ケシテ・ケーム・ゼッタエニ・ゼッタエー・ドーシテモ・チョットモ・ナンガアラト・ゼッテャー・ドガーシテン・ドーガコーデモ・ドナンナコトガアッテモ・ドーシタチ・ドゲンシタッチャ・ヨノイチゴー・ドゲンコトガアッタッチャ・イッカナ・イッジャイ・チャーシン・チシティ

 「けっして」の方言には、北海道、千葉などの「ゼッタイ」(漢語(仏典)由来の言葉とする説が一般ですが、縄文語であった可能性もあります)、岩手の「ナンボシテモ」、宮城、岐阜の「ゼッテー」(「ゼッタイ」と同語源)、秋田の「ジッタイ」(「ゼッタイ」と同語源)、山形の「ナエタテ」、福島の「ナンデカンデ」、栃木の「ナンタッテ」、群馬の「ゼーッタイ」(「ゼッタイ」と同語源)、埼玉、山梨などの「ケシテ」、神奈川の「ケーム」、新潟の「ゼッタエニ」、石川、福井の「ジェッタイ」(「ゼッタイ」と同語源)、愛知の「ゼッタエー」、三重の「ドーシテモ」、鳥取の「チョットモ」、島根の「ナンガアラト」、岡山の「ゼッテャー」、広島の「ドガーシテン」、徳島の「ドーガコーデモ」、香川の「ドナンナコトガアッテモ」、高知の「ドーシタチ」、福岡の「ドゲンシタッチャ」、佐賀の「ヨノイチゴー」、長崎の「ドゲンコトガアッタッチャ」、大分の「イッカナ」、鹿児島の「イッジャイ」、沖縄那覇の「チャーシン」、沖縄首里の「チシティ」があります。

 この「けっして」、「ゼッタイ」、「ナンボシテモ」、「ナエタテ」、「ナンデカンデ」、「ナンタッテ」、「ケシテ」、「ケーム」、「ゼッタエニ」、「ゼッタエー」、「ドーシテモ」、「チョットモ」、「ナンガアラト」、「ゼッテャー」、「ドガーシテン」、「ドーガコーデモ」、「ドナンナコトガアッテモ」、「ドーシタチ」、「ドゲンシタッチャ」、「ヨノイチゴー」、「ドゲンコトガアッタッチャ」、「イッカナ」、「イッジャイ」、「チャーシン」、「チシティ」は、

  「カイツ・チ・テイ」、KAITU-TI-TEI(kaitu=be absent,be at a distance;ti=throw,cast;tei,teitei=high,tall,summit)、「最高に・(そのような)意志が・無い(決して)」(「カイツ」のAI音がE音に変化して「ケツ」から「ケッ」と、「チ」が「シ」と、「テイ」が「テ」となった)

  「テ・ツ・タヒ」、TE-TU-TAHI(te=not;tu=fight with,energetic;tahi=one,together,throughout)、「(すべて)全く・懸命に努力する・ことはない(決して)」(「テ」が「ゼ」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となった。また「ゼ」が「ゼー」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「テー」となった。また「テ」のE音がI音またはIE音に変化して「ジ」、「ジェ」となった)

  「ナナ・ポウ・チ・テイ・マウ」、NANA-POU-TI-TEI-MAU(nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;pou=stick in,fix,render immovable;ti=throw,cast;tei,teitei=high,tall,summit;mau=fixed,continuing,caught,taken)、「すべての(人や物事が)・動かすことのできない・最高の・水準に・固定している(決して)」(「ナナ」が「ナン」と、「ポウ」が「ボ」と、「チ」が「シ」と、「テイ」が「テ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ナヘ・タタイ」、NAHE-TATAI(nahe=alone,only;tatai=measure,arrange,plan,purpose)、「ただの・計画(に過ぎない。決して)」(「ナヘ」のH音が脱落して「ナエ」と、「タタイ」のAI音がE音に変化して「タテ」となった)

  「ナナ・テ・カナ・テ」、NANA-TE-KANA-TE(nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;te=not;kana=stare wildly,bewitch)、「すべての(人や物事が)・(行うことは)ない・(人に)魔法をかけることも・できない(決して)」(「ナナ」が「ナン」と、「テ」が「デ」と、「カナ」が「カン」となった)

  「ナナ・タツ・テ」、NANA-TATU-TE(nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;tatu=reach the bottom,be content;te=not)、「すべての(人や物事が)・結局は・(行うことは)ない(決して)」(「ナナ」が「ナン」となった)

  「カイ・チ・テ」、KAI-TI-TE(kai=fulfil its proper function,have full play;ti=throw,cast;te=not)、「(人が)役目を完全に果たし・きることは・無い(決して)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「チ」が「シ」となった)

  「カイ・ム」、KAI-MU(kai=fulfil its proper function,have full play;mu=mutu=brought to an end,left off)、「(人が)役目を完全に果たすことは・すでに終わった(これから行うことは無い。決して)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ケー」となった)

  「テ・ツ・タエ・ニヒ」、TE-TU-TAE-NIHI(te=not;tu=fight with,energetic;tae=arrive,extend to,proceed to;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「懸命に・そろそろと・進む・ことはない(決して)」(「テ」が「ゼ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)

  「テ・ツ・タエ」、TE-TU-TAE-NIHI(te=not;tu=fight with,energetic;tae=arrive,extend to,proceed to;nihi=move stealthly,come stealthly upon)、「懸命に・進む・ことはない(決して)」(「テ」が「ゼ」と、「タエ」が「タエー」となった)

  「トフ(ン)ガ・チ・テイ・マウ」、TOHUNGA-TI-TEI-MAU(tohunga=skilled person,wizard,priest;ti=throw,cast;tei,teitei=high,tall,summit;mau=fixed,continuing,caught,taken)、「呪術者が・最高の・(技を)かけて・固定している(終わった=これ以上誰が行っても期待はできない。決して)」(「トフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「トウ」から「ドウ」と、「チ」が「シ」と、「テイ」が「テ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「チ・アウト・マウ」、TI-AUTO-MAU(ti=throw,cast;auto=trailing behind,slow,protract;mau=fixed,continuing,caught,taken)、「(仕事を)ずっと・引き延ばして・(固定した)終わった(=これ以上行っても期待はできない。決して)」(「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」と、「チ・オト」が「チョット」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ナナ・(ン)ガ・アラ・ト」、NANA-NGA-ARA-TO(nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;nga=satisfied;ara=way,path,rise,raise;to=drag)、「すべての(人や物事が)・(導かれた)生じた・事態に・満足する(=それ以上は求めない。決して)」(「ナナ」が「ナン」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となった)

  「テ・ツ・タヒ・イア」、TE-TU-TAHI-IA(te=not;tu=fight with,energetic;tahi=one,together,throughout;ia=indeed)、「実に・(すべて)全く・懸命に努力する・ことはない(決して)」(「テ」が「ゼ」と、「タヒ」のH音が脱落した後のAI音がE音に変化して「テ」と、「イア」が「ャー」となった)

  「ト(ン)ガ・チ・テイ・ナ」、TONGA-TI-TEI-NA(tonga=restrained,suppressed;ti=throw,cast;tei,teitei=high,tall,summit;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「(してはならないという)抑圧が・最高に・達している(=これ以上は何もできない。決して)」(「ト(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「トガ」から「ドガー」と、「チ」が「シ」と、「テイ」が「テ」と、「ナ」が「ン」となった)

  「ト(ン)ガ・カウ・テイ・マウ」、TONGA-KAU-TEI-MAU(tonga=restrained,suppressed;kau=alone,only;tei,teitei=high,tall,summit;mau=fixed,continuing,caught,taken)、「(してはならないという)抑圧が・単に・最高に・達している(=これ以上は何もできない。決して)」(「ト(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「トガ」から「ドーガ」と、「カウ」のAU音がOU音に変化して「コウ」から「コー」と、「テイ」が「デ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「ト(ン)ガ・ナナ・コト(ン)ガ・アツ・テイ・マウ」、TONGA-NANA-KOTONGA-ATU-TEI-MAU(tonga=restrained,suppressed;tona=his,her;nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;kotonga=misery;atu=to indicate a direction or motion towards,to indicate reciprocated action;tei,teitei=high,tall,summit;mau=fixed,continuing,caught,taken)、「(してはならないという)抑圧が・すべての(人にもたらす)・悲惨が・もう・最高に・達している(=これ以上は何もできない。決して)」(「ト(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「トナ」から「ドナ」と、「ナナ」が「ンナ」と、「コト(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「コトガ」と、「テイ」が「テ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「トフ(ン)ガ・チ・タハチチ」、TOHUNGA-TI-TAHATITI(tohunga=skilled person,wizard,priest;ti=throw,cast;tahatiti=peg,wedge used to tighten anything)、「呪術者が・杭を打って・(悪霊などを)固定した(=これ以上誰が行っても期待はできない。決して)」(「トフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「トウ」から「ドー」と、「チ」が「シ」と、「タハチチ」のH音および反復語尾が脱落して「タチ」となった)

  「トフ(ン)ガ・イナ・チ・タハチチ・イア」、TOHUNGA-INA-TI-TAHATITI-IA(tohunga=skilled person,wizard,priest;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis;ti=throw,cast;tahatiti=peg,wedge used to tighten anything;ia=indeed)、「呪術を行う・者が・実に・杭を打って・(悪霊などを)固定した(=これ以上誰が行っても期待はできない。決して)」(「トフ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「トガ」となり、その語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音に変化して「トゲナ」から「ドゲン」と、「チ」が「シ」と、「タハチチ」のH音および反復語尾が脱落して「タチ」から「タッチ」と、「イア」が「ャ」となった)

  「イホ・ノ・イ・チ(ン)ゴ(ン)ゴ」、IHO-NO-I-TINGONGO(iho=heart,inside,kernel;no=of;i=past tense;tingongo=cause to shrink,shrivel)、「縮み・上がった(意欲を失った)・心(決して)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「チ(ン)ゴ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「チゴ」から「「チゴー」となった)

  「ト(ン)ガ・イナ・コト(ン)ガ・アツ・タハチチ・イア」、TONGA-INA-KOTONGA-ATU-TAHATITI-IA(tonga=restrained,suppressed;ina=adducing a fact as proof of anything,to emphasis;kotonga=misery;atu=to indicate a direction or motion towards,to indicate reciprocated action;tahatiti=peg,wedge used to tighten anything;ia=indeed)、「(してはならないという)抑圧が・すべての(人にもたらす)・悲惨が・もう・最高に・達している(=これ以上は何もできない。決して)」(「ト(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「トナ」から「ドナ」と、「ナナ」が「ンナ」と、「コト(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「コトガ」と、「テイ」が「テ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)

  「イツ・カナ」、ITU-KANA(itu=side;kana=stare wildly,bewitch)、「魔法をかける・以外(には方法がない。決して)」

  「イツ・チ・アイ」、ITU-TI-AI(itu=side;ti=throw,cast;ai=procreate,beget)、「(新しく)産み・落とす(やり直す)・以外(には方法がない。決して)」(「チ・ァィ」が「チャイ」から「ジャイ」となった)

  「チア・チナ」、TIA-TINA(tia=etia=as if,as it were;tina=fixed,firm,satisfied,exhausted)、「まるで・消耗しきったような(決して)」(「チア」が「チャー」と、「チナ」が「シン」となつた)

  「チチ・テイ」、TITI-TEI(titi=steep;tei,teitei=high,tall,summit)、「険しい・(山の)頂上(にいるような=動きがつかない。決して)」(「チチ」が「チシ」となつた)

の転訛と解します。

072けわしい(険しい)・キューダ・ガンキダ・ケワスエ・キツイ・キビシー・キューラ・キュー・キューナ・サガシー・キューヤ・エライ・アラケナェー・キューイ・キブイ・キトゥイ・サカシカ・ケワシカ・キューカ・ガガシー・ハジ・ソーダチソーン

 「けわしい」((地勢が)険しい)の方言には、北海道、岩手などの「キューダ」、青森の「ガンキダ」、宮城の「ケワスエ」、福島、島根の「ケワシ」(「けわしい」と同語源)、茨城、埼玉などの「ケワシー」(「けわしい」と同語源)、群馬、千葉などの「キツイ」、神奈川、鹿児島の「キビシー」、新潟の「キューラ」、富山、岐阜の「キュー」、石川、滋賀などの「キューナ」、静岡の「サガシー」、京都の「キューヤ」、奈良の「エライ」、鳥取の「アラケナェー」、岡山の「キチー」(「キツイ」と同語源)、徳島の「キューイ」、香川の「キブイ」、高知の「キトゥイ」、福岡の「サカシカ」、佐賀、熊本の「ケワシカ」、長崎の「キューカ」、大分の「ガガシー」、宮崎の「ハジ」、沖縄那覇・首里の「ソーダチソーン」があります。

 この「けわしい」、「キューダ」、「ガンキダ」、「ケワスエ」、「キツイ」、「キビシー」、「キューラ」、「キュー」、「キューナ」、「サガシー」、「キューヤ」、「エライ」、「アラケナェー」、「キューイ」、「キブイ」、「キトゥイ」、「サカシカ」、「ケワシカ」、「キューカ」、「ガガシー」、「ハジ」、「ソーダチソーン」は、

  「ケイ・ワ・チヒ」、KEI-WA-TIHI(kei=stern of a canoe:wa=definite space,area,be far advanced;tihi=summit,top,peak,lie in a heap)、「(船の)艫の・一番高い・場所のような(険しい)」(「ケイ」が「ケ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となった。また「シイ」が「シ」となった。また「ワシ・イ」が「ワシー」となった)

  「キヒ・フ・タ」、KIHI-HU-TA(kihi=cut off,destroy completely;hu=hill,promontory;ta=dash,beat,lay)、「激しく崩された・岡に・あるような(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」と、「フ」のH音が脱落して「ウ」となり、「キイ・ウ」が「キュウ」から「キュー」と、「タ」が「ダ」となった)

  「(ン)ガナ・キヒ・タ」、NGANA-KIHI-TA(ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;kihi=cut off,destroy completely;ta=dash,beat,lay)、「強く・激しく崩された・(地形が)ある(険しい)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「キヒ」のH音が脱落して「キイ」と、「タ」が「ダ」となった)

  「ケイ・ワ・ツアイ」、KEI-WA-TUAI(kei=stern of a canoe:wa=definite space,area,be far advanced;tuai=thin,lean)、「(船の)艫の・場所が・傾いている(険しい)」(「ケイ」が「ケ」と、「ツアイ」のAI音がE音に変化して「ツエ」から「スエ」となった)

  「キ・ツイツイ」、KI-TUITUI(ki=full,very;tuitui=fasten up,render inaccessible,hurt)、「たいへん・到達しがたい場所にあるような(険しい)」(「ツイツイ」の反復語尾が脱落して「ツイ」となつた。また「ツイ」のUI音がI音に変化して「チイ」から「チー」となった)

  「キ・ピチ・ヒ」、KI-PITI-HI(ki=full,very;piti-put side by side,add;hi=rise,raise)、「たくさん・(物を)積み上げて・高くなつたような(険しい)」(「ピチ」が「ビシ」と、「ヒ」のH音が脱落して「イ」となり、「ビシ・イ」が「ビシー」となった)

  「キヒ・ウラ(ン)ガ」、KIHI-URANGA(kihi=cut off,destroy completely;uranga=act or circumstance etc. of becoming firm,place etc. of arrival)、「激しく崩され・つつある場所のような(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」と、「ウラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウラ」となり、「キイ・ウラ」が「キューラ」となった)

  「キヒ・ウ」、KIHI-U(kihi=cut off,destroy completely;u=be firm,be fixed)、「激しく崩され・つつあるような(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」となり、「キイ・ウ」が「キュー」となった)

  「キヒ・ウ(ン)ガ」、KIHI-UNGA(kihi=cut off,destroy completely;unga=act or circumstance etc. of becoming firm,place etc. of arrival)、「激しく崩され・つつある場所のような(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」となり、「キイ・ウナ」が「キューナ」となった)

  「タ(ン)ガ・チヒ」、TANGA-TIHI(tanga=circumstance or place of dashing or striking etc.;tihi=summit,top,peak,lie in a heap)、「(山などが)崩されている・一番高い場所のような(険しい)」(「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」から「サガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「キヒ・ウ・イア」、KIHI-U-IA(kihi=cut off,destroy completely;u=be firm,be fixed;ia=indeed)、「実に・激しく崩され・つつあるような(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」となり、「キイ・ウ」が「キュー」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「ハエ・ラヒ」、HAE-RAHI(hae=tear,cause pain,split,fear;rahi=great,abundant)、「(登るのに)たいへん・骨が折れる(険しい)」(「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)

  「アラ・カイ・ナヘア」、ARA-KAI-NAHEA(ara=way,path;kai=consume,eat;nahea=long in time)、「(登る)道が・長い時間を・要する(険しい)」(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「ナヘア」のH音が脱落して「ナエア」から「ナエー」となった)

  「キヒ・ウ・ヒ」、KIHI-U-HI(kihi=cut off,destroy completely;u=be firm,be fixed;hi=rise,raise)、「激しく崩され・つつあるような・高い(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」となり、「キイ・ウ」が「キュー」と、「ヒ」のH音が脱落して「イ」となった)

  「キヒ・プ・イ」、KIHI-PU-I(kihi=cut off,destroy completely;pu=bunch,heap;i=beside)、「激しく崩された・山の・あたり(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「プ」が「ブ」となった)

  「キヒ・タウ・イ」、KIHI-TAU-I(kihi=cut off,destroy completely;tau=ridge of a hill;i=beside)、「激しく崩された・(山の)峰の・あたり(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トゥ」となった)

  「タカ・チ・カ」、TAKA-TI-KA(taka=heap,lie in a heap;ti=throw,cast;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(山などが)高く・そびえている・よ(険しい)」(「タカ」が「サカ」と、「チ」が「シ」となった)

  「ケイ・ワ・チヒ・カ」、KEI-WA-TIHI-KA(kei=stern of a canoe:wa=definite space,area,be far advanced;tihi=summit,top,peak,lie in a heap;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「(船の)艫の・一番高い・場所のようだ・な(険しい)」(「ケイ」が「ケ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)

  「キヒ・ウ・カ」、KIHI-U-KA(kihi=cut off,destroy completely;u=be firm,be fixed;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「激しく崩され・つつあるようだ・な(険しい)」(「キヒ」のH音が脱落して「キイ」となり、「キイ・ウ」が「キュー」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・チヒ」、NGANGA-TIHI(nganga=breathe heavily or difficulty;tihi=summit,top,peak,lie in a heap)、「(山などで)息が苦しい・一番高い場所のような(険しい)」(「(ン)ガ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガガ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シー」となった)

  「ハ・チヒ」、HA-TIHI(ha=breathe,hesitate in speaking,what!(haha=breathe with difficulty);tihi=summit,top,peak,lie in a heap)、「(山などで)息が苦しい・一番高い場所のような(険しい)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」、「ジ」となった)

  「トタハ・チヒ・トネ」、TOTAHA-TIHI-TONE(totaha=bind,encircle woth a band;tihi=summit,top,peak,lie in a heap;tone=projection,knob)、「尖つた頂上を・持つ・突出した山のような(険しい)」(「トタハ」のH音が脱落して「トタ」から「ソーダ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「トネ」が「ソネ」から「ソーン」となった)

の転訛と解します。

「コ」

073こおり(氷)・シガ・シガマ・スガ・コゴリ・カンコーリ・コーイ・シモグリ・シモガネ・クーリ・スガマ・タッペ

 「こおり」の方言には、北海道、秋田の「シガ」、青森の「シガマ」、岩手、山形の「スガ」、宮城、福島などの「コーリ」(「こおり」と同語源)、奈良の「コゴリ」、徳島の「カンコーリ」、香川の「カンコリ」(「カンコーリ」と同語源)、佐賀の「コーイ」、宮崎の「シモグリ」、鹿児島の「シモガネ」、沖縄那覇・首里の「クーリ」があります。

 上記のほか、北海道の「スガマ」、福島の「タッペ」があります。

 この「こおり」、「シガ」、「シガマ」、「スガ」、「コゴリ」、「カンコーリ」、「コーイ」、「シモグリ」、「シモガネ」、「クーリ」、「スガマ」、「タッペ」は、

  「カウ・ハウ・リ」、KAU-HAU-RI(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;ri=screen,protect,bind)、「次第に姿を見せる・固まつて板となる・氷(氷)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」となった。また「コ・オ」が「コー」となった)(「こおり(氷)」については、雑楽篇(その二)の242こおり(氷)の項を参照してください。)

  「チ(ン)ガ」、TINGA(=verbal noun of hi=rise,raise,draw up)、「(水に浮くもの)氷(氷)」(NG音がG音に変化して「チガ」から「シガ」となった)

  「チ(ン)ガ・マ」、TINGA-MA(tinga=verbal noun of hi=rise,raise,draw up;ma=white,clear)、「清らかな・(水に浮くもの)氷(氷)」(NG音がG音に変化して「チガ」から「シガ」となった)

  「ツ(ン)ガ」、TUNGA(=verbal noun of tu=stand,be erect)、「(水に浮くもの)氷(氷)」(NG音がG音に変化して「ツガ」から「スガ」となった)

  「カウカウ・リ」、KAUKAU-RI(kaukau=kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);ri=screen,protect,bind)、「次第に姿を見せる・固まつて板となる(氷)」(「カウカウ」のAU音がO音に変化して「ココ」から「コゴ」となった)

  「カナ・カウ・リ」、KANA-KAU-RI(kana=stare wildly,bewitch;kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);ri=screen,protect,bind)、「魔法にかけられたように・次第に姿を見せる・固まつて板となる(氷)」(「カナ」が「カン」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」、「コー」となった)

  「カウ・イ」、KAU-I(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);i=past tense)、「次第に姿を見せ・る(固まつて板となる。氷)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」、「コー」となった)

  「チヒ・マウ・(ン)グ・リ」、TIHI-MAU-NGU-RI(tihi=summit,top,lie in a heap;mau=fixed,continuing;ngu=silent;ri=screen,protect,bind)、「(水の)表面に・固まって・静かに・板となるもの(氷)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)(地面に張る「しも(霜)」については、雑楽篇(その二)の242こおり(氷)の項を参照してください。)

  「チヒ・マウ・(ン)ガネヘ」、TIHI-MAU-NGANEHE(tihi=summit,top,lie in a heap;mau=fixed,continuing;nganehe,nganehenehe=querulous,peevish)、「(水の)表面に・(怒っているように)音を立てながら・固まるもの(氷)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「(ン)ガネヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ガネ」となった)

  「ク・フリ」、KU-HURI(ku=silent;huri=turn round,turn to,set about)、「静かに・(水が氷へと)変化するもの(氷)」(「フリ」のH音が脱落して「ウリ」となり、「ク・ウリ」が「クーリ」となった)

  「ツ(ン)ガ・マ」、TUNGA-MA(tunga=verbal noun of tu=stand,be erect;ma=white,clear)、「清らかな・(水に浮くもの)氷(氷)」(NG音がG音に変化して「ツガ」から「スガ」となった)

  「タ・パエ」、TA-PAE(ta=dash,beat,lay;pae=horizen,region,lie across)、「水の表面に・張るもの(氷)」(「タ」が「タッ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」となった)

の転訛と解します。

074こおる(凍る)・シバレル・シミル・スミル・エデル・イテル・コゴル・コオー・クル・コーッ・クファイン・カタマユン・スガハル

 「こおる」の方言には、北海道の「シバレル」、青森の「シッバレル」(「シバレル」と同語源)、岩手、秋田などの「シミル」、宮城、茨城などの「コール」(「こおる」と同語源)、山形の「スミル」、栃木の「エデル」、愛知、滋賀などの「イテル」、奈良、和歌山などの「コゴル」、島根の「コオー」、宮崎の「クル」、鹿児島の「コーッ」、沖縄那覇の「クファイン」、沖縄首里の「カタマユン」があります。

 上記のほか、北海道の「スガハル」などがあります。

 この「こおる」、「シバレル」、「シミル」、「スミル」、「エデル」、「イテル」、「コゴル」、「コオー」、「クル」、「コーッ」、「クファイン」、「カタマユン」、「スガハル」は、

  「カウ・ハウ・ル」、KAU-HAU-RU(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;ru=shake,agitate,scatter)、「氷が・次第に姿を見せて・奮って固まる(凍る)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」となった。また「コ・オ」が「コー」となった)

  「チ・パレ・ル」、TI-PARE-RU(ti=throw,cast;pare=turn aside,divert,avoid;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・逃げ出したい(寒さの中に)・(放り出されて)いる(凍る)」(「チ」が「シ」と、「パレ」が「バレ」となつた。また「シ」が「シッ」となった)

  「チヒ・ミヒ・ル」、TIHI-MIHI-RU(tihi=summit,top,lie in a heap;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ru=shake,agitate,scatter)、「最高に・耐えられないほどの(寒さに)・晒されている(凍る)」(「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「ツ・ミヒ・ル」、TU-MIHI-RU(tu=stand,be erect,fight with,energetic;mihi=sigh for,greet,express discomfort;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に努力しても・耐えられないほどの(寒さに)・晒されている(凍る)」(「ツ」が「ス」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)

  「エテ・ル」、ETE-RU(ete=calling attention;ru=shake,agitate,scatter)、「(あまりの寒さに)叫び声を・奮って出した(凍る)」(「エテ」が濁音化して「エデ」となつた)

  「イ・タイ・ル」、I-TAI-RU(i=ferment,be stirred of the feelings;tai=wave,anger,rage,violence;ru=shake,agitate,scatter)、「(寒さに)暴行されている・(痛いという)感じが湧き・起こる(凍る)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)

  「カウカウ・ル」、KAUKAU-RU(kaukau=kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);ru=shake,agitate,scatter)、「(氷が)次第に姿を見せて・勢いよく生じてくる(凍る)」(「カウカウ」のAU音がO音に変化して「ココ」から「コゴ」となった)

  「カウ・ハウ」、KAU-HAU(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost)、「氷が・次第に姿を見せる(凍る)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」から「オー」となった)

  「クフ・ウル」、KUHU-URU(kuhu=insert,conceal;uru=enter,possess,arrive)、「(水の表面に氷ができて中を)隠す状況に・到達する(凍る)」(「クフ」のH音が脱落して「ク」となり、その語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「クル」となつた)

  「カウ・ハウ・ツ」、KAU-HAU-TU(kau=alone,only(whakakau=come gradually into view or appear,rise of heavenly bodies);(Hawaii)hau=cool,ice,frost;tu=stand,be erect,fight with,energetic)、「氷が・次第に姿を見せて・表面を覆う(凍る)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」となり、「コ・オ」が「コー」となった)

  「クフ・アイ・ナ」、KUHU-AI-NA(kuhu=insert,conceal;ai=procreate,beget;na=by,belonging to,indicating parentage or descent)、「(水の表面に氷ができて中を)隠す状況に・到達した・ような(凍る)」(「アイ」が「ァイ」と、「ナ」が「ン」となつた)

  「カタオ・マイ・ウ(ン)ガ」、KATAO-MAI-UNGA(katao=water;mai=become quiet;unga=act or circumstance etc. of becoming firm)、「水が・静かになって・固まる(凍る)」(「カタオ」の語尾のO音が脱落して「カタ」と、「マイ」の語尾のI音と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」となったその語頭のU音が連結して「マユン」となった)

  「ツ(ン)ガ・パルル」、TUNGA-PARURU(tunga=verbal noun of tu=stand,be erect;paruru=shaded,sheltered from the weather,shelter)、「(寒さや風から)保護する覆い(氷)が・固化してできる(凍る)」(「ツ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ツガ」から「スガ」と、「パルル」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「ハル」となった)

の転訛と解します。

075ごちそうさま(ご馳走様)・ゴッツォーサン・ゴッツォサマデス・ゴッツォサマ・ゴッソサマ・ゴチソーサマ・ゴッツォハン・オゴッソーサンデシタ・イタダキマシタ・ゴチソーサン・ゴットーサン・ゴッツォーサンデシタ・ゴッソーデガンシタ・ゴッソーデアンシタ・クワッチーサビタン

 「ごちそうさま」の方言には、北海道、秋田などの「ゴッツォーサン」、青森の「ゴッツォサマデス」、岩手、宮城などの「ゴッツォサン」(「ゴッツォーサン」と同語源)、山形の「ゴッツォサマ」、栃木、群馬の「ゴッツォーサマ」(「ゴッツォサマ」と同語源)、埼玉の「ゴッソサマ」、千葉、東京などの「ゴチソーサマ」(「ごちそうさま」と同語源)、富山の「ゴッツォハン」(「ゴッツォーサン」と同語源)、山梨の「オゴッソーサンデシタ」、長野、宮崎の「イタダキマシタ」、静岡の「ゴチソーサン」、兵庫の「ゴットーサン」、鳥取の「ゴッツォーサンデシタ」、広島の「ゴッソーデガンシタ」、山口の「ゴッソーデアンシタ」、高知の「ンゴチソーサン」(「ゴチソーサン」と同語源)、大分の「ゴッソーサマ」(「ゴッソサマ」と同語源)、沖縄那覇・首里の「クワッチーサビタン」があります。

 この「ごちそうさま」、「ゴッツォーサン」、「ゴッツォサマデス」、「ゴッツォサマ」、「ゴッソサマ」、「ゴチソーサマ」、「ゴッツォハン」、「オゴッソーサンデシタ」、「イタダキマシタ」、「ゴチソーサン」、「ゴットーサン」、「ゴッツォーサンデシタ」、「ゴッソーデガンシタ」、「ゴッソーデアンシタ」、「クワッチーサビタン」は、

  「(ン)ゴ・チ・タウ・タ・マ」、NGO-TI-TAU-TA-MA(ngo=cry,grunt;ti=throw,cast;tau=come to rest,be suitable,be comely;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・上げる・清らかに・座す方よ(様。相手への敬称)(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソウ」、「ソー」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・ツオフ・タナ」、NGO-TU-TUOHU-TANA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tuohu=stoop,skulk,cower;tana=his,her)、「感嘆の声を上げ・深々と・頭を下げる・彼(または彼女)よ(さん(はん)。相手への敬称)(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ツオフ」のH音が脱落して「ツオ」、「ツオウ」から「ツォー」と、「タナ」が「サン」となった。また「サン」が「ハン」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・ツオフ・タ・マ・テ・ツ」、NGO-TU-TUOHU-TA-MA-TE-TU(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tuohu=stoop,skulk,cower;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean;te=to make an emphatic statement;tu=stand,settle)、「感嘆の声を上げ・深々と・頭を下げる・清らかに・座す方(様。相手への敬称)・で・すね(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ツオフ」のH音が脱落して「ツオ」と、「タ」が「サ」と、「テ」が「デ」と、(最後の)「ツ」が「ス」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・ツオフ・タ・マ」、NGO-TU-TUOHU-TA-MA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tuohu=stoop,skulk,cower;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「感嘆の声を上げ・深々と・頭を下げる・清らかに・座す方(様。相手への敬称)(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ツオフ」のH音が脱落して「ツオ」または「ツォー」と、「タ」が「サ」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・タウ・タ・マ」、NGO-TU-TAU-TA-MA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tau=come to rest,be suitable,be comely;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・上げる・清らかに・座す方(様。相手への敬称)よ(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「タ」が「サ」となった)

  「オ・(ン)ゴ・ツ・タウ・タナ・テ・チ・タ」、O-NGO-TU-TAU-TANA-TE-TI-TA(o=the...of;ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tau=come to rest,be suitable,be comely;tana=his,her;te=to make an emphatic statement;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「実に・(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・上げる・彼(または彼女)(さん。相手への敬称)・で・し・たね(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソー」と、「タナ」が「サン」と、「テ」が「デ」と、「チ」が「シ」となった)

  「イ・タタキ・マチ・タ」、I-TATAKI-MATI-TA(i=past tense;taki,tataki=take to one side,take food from the fire;mati=surfeited;ta=dash,beat,lay)、「(火から下ろしたばかりの)食物を・腹一杯食べ・た・よ(ご馳走様)」(「タタキ」が「タダキ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「(ン)ゴ・チ・タウ・タナ」、NGO-TI-TAU-TANA(ngo=cry,grunt;ti=throw,cast;tau=come to rest,be suitable,be comely;tana=his,her)、「(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・上げる・彼(または彼女)(様。相手への敬称)よ(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソウ」、「ソー」と、「タナ」が「サン」となった。また「(ン)ゴ」が「ンゴ」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・タウ・タナ」、NGO-TU-TAU-TANA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tau=come to rest,be suitable,be comely;tana=his,her)、「実に・(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・上げる・彼(または彼女)(さん。相手への敬称)(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「トー」と、「タナ」が「サン」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・ツオフ・タナ・テ・チ・タ」、NGO-TU-TAU-TANA-TE-TI-TA(o=the...of;ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tuohu=stoop,skulk,cower;tana=his,her;te=to make an emphatic statement;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「感嘆の声を上げ・深々と・頭を下げる・彼(または彼女)(さん。相手への敬称)・で・し・たね(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ツオフ」のH音が脱落して「ツオ」、「ツオウ」から「ツォー」と、「タナ」が「サン」と、「テ」が「デ」と、「チ」が「シ」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・タウ・テ・(ン)ガナ・チ・タ」、NGO-TU-TAU-TE-NGANA-TI-TA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tau=come to rest,be suitable,be comely;te=to make an emphatic statement;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・熱心に・上げ・た・ね(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソー」と、「テ」が「デ」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「チ」が「シ」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・タウ・テ・アナ・チ・タ」、NGO-TU-TAU-TE-ANA-TI-TA(ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic;tau=come to rest,be suitable,be comely;te=to make an emphatic statement;ana=denotes continuance of action or condition;ti=throw,cast;ta=dash,beat,lay)、「(良かった)美味しかったと・感嘆の声を・何回も・上げ・た・ね(ご馳走様)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソー」と、「テ」が「デ」と、「アナ」が「アン」と、「チ」が「シ」となった)

  「クワハ・チ・タピ・タネ」、KUWAHA-TI-TAPI-TANE(kuwaha=mouth,entrance;ti=throw,cast;tapi=earth oven,cook;tane=eructate after food)、「(地中の蒸し焼き竈の)料理を・口に・頬張って・ゲップが出るほど飽食した(ご馳走様)」(「クワハ」のH音が脱落して「クワ」から「クワッ」と、「タピ」が「サビ」と、「タネ」が「タン」となった)

の転訛と解します。

076こまる(困る)・コタエル・シシャマス・ガオル・シシャマススル・ショーガネー・ガメル・ヨワル・オージョースル・マイル・ナンジュー・コマー・アズル・アクシャウツ・コマッ・クマイン・シワスン

 「こまる」の方言には、北海道の「コタエル」、宮城の「シシャマス」、秋田の「ガオル」、山形の「シシャマススル」、千葉の「ショーガネー」、神奈川の「ガメル」、富山、石川などの「ヨワル」、岐阜、大阪などの「オージョースル」、愛知の「マイル」、奈良の「ナンジュー」、島根の「コマー」、香川の「アズル」、熊本の「アクシャウツ」、鹿児島の「コマッ」、沖縄那覇の「クマイン」、沖縄首里の「シワスン」があります。

 この「こまる」、「コタエル」、「シシャマス」、「ガオル」、「シシャマススル」、「ショーガネー」、「ガメル」、「ヨワル」、「オージョースル」、「マイル」、「ナンジュー」、「コマー」、「アズル」、「アクシャウツ」、「コマッ」、「クマイン」、「シワスン」は、

  「コマ・ル」、KOMA-RU(koma=pale,whitish;ru=shake,agitate,scatter)、「顔面蒼白になつて・震える(困る)」

  「コタハ・ヱル」、KOTAHA-WHERU(kotaha=sideways,askance;wheru=inactive,weary,oppressed,mope)、「疑いの目で見られて・意気消沈する(困る)」(「コタハ」のH音が脱落して「コタ」と、「ヱル」のWH音が脱落して「エル」となつた)

  「チ・チア・マツ」、TI-TIA-MATU(ti=throw,cast;tia=squeak,tingle;matu=fat,richness of food)、「ずきずきとした・痛みが・(いっぱいで)無くならない(困る)」(「チ」が「シ」と、「チア」が「シャ」と、「マツ」が「マス」となった)

  「(ン)ガオ・ル」、NGAO-RU(ngao=dress timber with an adze;ru=shake,agitate,scatter)、「材木を平らに削るのに・(手斧を持つ)手が震える(困る)」(「(ン)ガオ」のNG音がG音に変化して「ガオ」となった)

  「チ・チア・マツ・ツル」、TI-TIA-MATU-TURU(ti=throw,cast;tia=squeak,tingle;matu=fat,richness of food;turu=kneel)、「ずきずきとした・痛みが・(いっぱいで)無くならなくて・ひざまづく(しゃがみこむ。困る)」(「チ」が「シ」と、「チア」が「シャ」と、「マツ」が「マス」と、「ツル」が「スル」となった)

  「チオフ・(ン)ガネヘ」、TIOHU-NGANEHE(tiohu=apprehensive;nganehe=querulous,peevish)、「(いろいろと)心配して・怒ってばかりいる(困る)」(「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショウ」、「ショー」と、「(ン)ガネヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ガネエ」から「ガネー」となった)

  「(ン)ガオ・ル」、NGAO-RU(ngao=dress timber with an adze;ru=shake,agitate,scatter)、「材木を平らに削るのに・(手斧を持つ)手が震える(困る)」(「(ン)ガオ」のNG音がG音に変化して「ガオ」となった)

  「(ン)ガ・アマイ・ル」、NGA-AMAI-RU(nga=satisfied;amai,amaimai=nervous;ru=shake,agitate,scatter)、「神経質であることに・満足して・躍起になって行動する(困る)」(「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」となり、その語尾のA音と「アマイ」の語頭のA音が連結し、AI音がE音に変化して「ガメ」となつた)

  「イホ・ワル」、IHO-WARU(iho=heart,inside;waru=scrape,pare,grate)、「心を・すり減らす(弱る。困る)()」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となった)

  「オフ・チオフ・ツル」、OHU-TIOHU-TURU(ohu=beset in great numbers,surround,stoop;tiohu=apprehensive;turu=kneel)、「(いろいろの)心配に・囲まれて・ひざまづく(しゃがみこむ。困る)」(「オフ」のH音が脱落して「オウ」から「オー」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショウ」、「ジョー」と、「ツル」が「スル」となった)

  「マハ・ヰ・ル」、MAHA-WI-RU(maha=depressed,resigned;wi,wiwi=flinch,make a rippling sound;ru=shake,agitate,scatter)、「意気消沈して・ひるみがちになって・震えている(困る)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「ヰ」が「イ」となった)

  「(ン)ガ(ン)ガ・チウ」、NGANGA-TIU(nganga=breathe heavily;tiu=soar,sway to and fro,unsettled)、「息も絶え絶えに・ふらふら歩く(困る)」(「(ン)ガ(ン)ガ」」のNG音がN音に変化して「ナナ」から「ナン」と、「チウ」が「シュウ」から「ジュー」となつた)

  「コマ」、KOMA(pale,whitish)、「顔面蒼白になつている(困る)」(「コマ」が「コマー」となった)

  「ア・ツル」、A-TURU(a=drive,urge,compel;turu=kneel)、「動けなくなって・ひざまづく(しゃがみこむ。困る)」(「ツル」が「ズル」となった)

  「アク・チア・ウツ」、AKU-TIA-UTU(aku=delay,scrape out,cleanse;tia=stick in etc.,take a vigorous stroke in paddling;utu=return for anything,make response)、「動作の・(号令などに対する)反応が・遅れる(困る)」(「チア」が「シャ」となった)

  「コマ・ツ」、KOMA-TU(koma=pale,whitish;tu=stand,settle)、「顔面蒼白になつて・いる(困る)」

  「クフ・マイ・ナ」、KUHU-MAI-NA(kuhu=insert,introduce oneself into;mai=become quiet;na=by,belonging to)、「人前に出ると・黙り込んで・しまう(困る)」(「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ナ」が「ン」となった)

  「チワ・ツ(ン)ガ」、TIWHA-TUNGA(tiwha=conspicuous,adorn with rings of shell;tunga=verbal noun of tu=stand,be erect)、「(人目を引く)奇行が・目立つ(困る)」(「チワ」が「シワ」と、「ツ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ツナ」から「スン」となった)

の転訛と解します。

077ごめんください(ご免下さい)・ゴメンナサイ・ゴメンケヘ・ゴメンクナンシェ・エダガー・エダシカ・イダガー・ゴメンナサェ・ゴメンナンショー・コンチワー・マイドハヤ・コンニチワ・イナルカ・ゴメンナッテ・ゴメンナサンシ・イタカー・ゴメンヤス・ゴメンナシテ・ヘーゴメン・ゴメンナンセー・ゴメンクダシャー・オリンサルノー・オイラシナハンセ・ゴメンナサンセ・ンゴメンクンダサイ・ゴメンナサッシェー・オンサッカンター・ゴメンクダハルマッセ・オジャンドカイ・チャービラ・チャービラサイ・ハエテー・オルカエー・オジャヒカ・オイヤイナー

 「ごめんください」の方言には、北海道、千葉などの「ゴメンナサイ」、青森の「ゴメンケヘ」、岩手の「ゴメンクナンシェ」、宮城の「エダガー」、秋田の「エダシカ」、山形の「エダガ」(「エダガー」と同語源)、福島の「イダガー」、茨城の「ゴメンナサェ」、栃木の「ゴメンナンショー」、埼玉の「コンチワー」、神奈川の「コンチワ」(「コンチワー」と同語源)、新潟の「ゴメンナセァ」(「ゴメンナサェ」と同語源)、富山の「マイドハヤ」、石川、岐阜などの「コンニチワ」、福井の「イナルカ」、山梨の「ゴメンナッテ」、長野の「ゴメンナサンシ」、静岡の「イタカー」、愛知、滋賀などの「ゴメンヤス」、三重、和歌山などの「ゴメンナシテ」、兵庫の「ヘーゴメン」、鳥取の「ゴメンナンセー」、岡山の「ゴメンクダシャー」、広島の「オリンサルノー」、山口の「オイラシナハンセ」、香川の「ゴメンナサンセ」、高知の「ンゴメンクンダサイ」、福岡の「ゴメンナサッシェー」、佐賀の「オンサッカンター」、長崎の「ゴメンナサーイ」(「ゴメンナサイ」と同語源)、熊本の「ゴメンクダハルマッセ」、鹿児島の「オジャンドカイ」、沖縄那覇の「チャービラ」、沖縄首里の「チャービラサイ」があります。

 上記のほか、秋田の「ハエテー」、滋賀の「ジャマシマス」(「邪魔」という漢語由来の言葉と解します)、大分の「オルカエー」、鹿児島の「オジャヒカ」、「オイヤイナー」、沖縄首里の「チャービラタイ」(女性)(「チャービラサイ」と同語源)があります。

 この「ごめんください」、「ゴメンナサイ」、「ゴメンケヘ」、「ゴメンクナンシェ」、「エダガー」、「エダシカ」、「イダガー」、「ゴメンナサェ」、「ゴメンナンショー」、「コンチワー」、「マイドハヤ」、「コンニチワ」、「イナルカ」、「ゴメンナッテ」、「ゴメンナサンシ」、「イタカー」、「ゴメンヤス」、「ゴメンナシテ」、「ヘーゴメン」、「ゴメンナンセー」、「ゴメンクダシャー」、「オリンサルノー」、「オイラシナハンセ」、「ゴメンナサンセ」、「ンゴメンクンダサイ」、「ゴメンナサッシェー」、「オンサッカンター」、「ゴメンクダハルマッセ」、「オジャンドカイ」、「チャービラ」、「チャービラサイ」、「ハエテー」、「オルカエー」、「オジャヒカ」、「オイヤイナー」は、

  「(ン)ゴ・メネ・クフ・タタイ」、NGO-MENE-KUHU-TATAI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;tatai=arrange,set in order,recite genealogies etc.)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の名と・出自を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「タタイ」が「ダサイ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タイ」、NGO-MENE-NA-TAI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tai=a term of address to males or females)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の名を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タイ」が「サイ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ケ・ヘ」、NGO-MENE-KE-HE(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);ke=different,strange;he=wrong,erring,trouble)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・間違った・変わった時間(の訪問)を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・クフ・ナナ・チエ」、NGO-MENE-KUHU-NANA-TIE(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;tie=abundance,plenty)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の名と・たくさんの・人々の名(一族の名)を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ナナ」が「ナン」と、「チエ」が「シェ」となった)

  「エタヒ・(ン)ガ」、ETAHI-NGA(etahi=some,great!;nga=satisfied,content)、「皆さん・御機嫌ですね(ごめんください)」(「エタヒ」のH音が脱落して「エダ」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」から「ガー」となった)

  「エタヒ・チカ」、ETAHI-TIKA(etahi=some,great!;tika=straight,just,correct(tikanga=rule,custom,anything normal or usual))、「皆さん・お変わりはないですね(ごめんください)」(「エタヒ」のH音が脱落して「エダ」と、「チカ」が「シカ」となった)

  「イ・タ(ン)ガ」、I-TANGA(i=past tense,beside;tanga=be assembled,row,tier,company of persons)、「皆さん・お集まりですね(ごめんください)」(「タ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「タガ」から「ダガー」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タエ(ア)」、NGO-MENE-NA-TAE(A)(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tae(a)=arrive,reach,extend to,amount to)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の名を・さらに延長したものを・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タエ」が「サェ」となった。また「タエア」のAE音がE音に変化して「セァ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナナ・チオフ」、NGO-MENE-NANA-TIOHU(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;tiohu=stoop)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・人々の名(一族の名)を・付け加えて述べ・お辞儀をする(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「ナナ」が「ナン」と、「チオフ」のH音が脱落して「チオウ」から「ショー」となった)

  「コナ・チワ」、KONA-TIWHA(kona=that place,that time,that circumstance;tiwha=conspicuous,adorn with rings of shell)、「(目立つ)良い(装飾の)・お宅ですね(ごめんください)」(「コナ」が「コン」と、「チワ」が「チワー」となった)

  「マイ・タウ・ハ・イア」、MAI-TAU-HA-IA(mai=become quiet,to indicate direction or motion towards;tau=come to rest,be suitable,be comely;ha=breath,taste,what!;ia=indeed)、「静かに・お休みですね・なんと・まあ(ごめんください)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」と、「イア」が「ヤ」となった)

  「コナ・ヌイ・チワ」、KONA-NUI-TIWHA(kona=that place,that time,that circumstance;nui=large,many;tiwha=conspicuous,adorn with rings of shell)、「たいへん・(目立つ)良い(装飾の)・お宅ですね(ごめんください)」(「コナ」が「コン」と、「ヌイ」が「ニ」となった)

  「イナ・ルカ」、INA-RUKA(ina=bask,warm oneself;ruka=utterly)、「日向ぼっこ・三昧ですね(ごめんください)」(「イタ」が「イダ」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」から「ガー」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・ツ・タエ(ア)」、NGO-MENE-NA-TU-TAE(A)(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tu=stand,settle;tae(a)=arrive,reach,extend to,amount to)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の名を・更に延長したものが・あるものを・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「ツ」が「ッ」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タ(ン)ガ・アチ」、NGO-MENE-NA-TANGA-ATI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tanga=be assembled,row,tier;ati=offspring,descendant,clan)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の・列をなす・一族を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化し、その語尾のA音が「アチ」の語頭のA音と連結して「タナチ」から「サンシ」となった)

  「イ・タカ」、I-TAKA(i=past tense,beside;taka=turn on a pivot,come round,be completely encircled)、「皆さん・(円座して)お集まりですね(ごめんください)」(「タカ」が「タカー」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・イア・ツ」、NGO-MENE-IA-TU(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);ia=indeed;tu=stand,settle)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・きちんと・した・口上を述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、゜イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・チ・タエ(ア)」、NGO-MENE-NA-TI-TAE(A)(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;ti=throw,cast;tae(a)=arrive,reach,extend to,amount to)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の名を・更に延長したものが・あるものを・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「チ」が「シ」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」となった)

  「ヘイ・(ン)ゴ・メネ」、HEI-NGO-MENE(hei=go towards,turn towards;ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together))、「(会いに)来たよと・(叫ぶ)相手の名を呼び・口上を述べる(ごめんください)」(「ヘイ」が「ヘー」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナナ・タエ(ア)」、NGO-MENE-NANA-TAE(A)(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);nana=by or belonging to him or her,in relative clauses used for all persons and numbers;tae(a)=arrive,reach,extend to,amount to)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・人々の名(一族の名)を・さらに延長したものを・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「ナナ」が「ナン」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「セ」から「セー」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・クフ・タハ・チア」、NGO-MENE-KUHU-TAHA-TIA(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;taha=side,edge;tia=stick in,adorn by sticking in feathers)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の名と・(限界の)祖先を・美化して・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「ダ」と、「チア」が「チャ」から「シャー」なった)

  「オリ・ナ・タル・ノホ」、ORI-NA-TARU-NOHO(ori=cause to wave to and fro,move about;na=by,belonging to,by reason of;taru=shake,thing,otherness;noho=sit,stay,settle)、「揺れる・ように(忙しく)・動き回って・(家に)いるかね(ごめんください)」(「ナ」が「ン」と、「タル」が「サル」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノオ」から「ノー」となった)

  「オ・イラ・チナ・ハ(ン)ガ・タエ」、O-IRA-TINA-HANGA-TAE(o=the...of;ira=calling attention;tina=fixed,firm,undisturbed,satisfied;hanga=make,work,habit,thing,people;tae=arrive,reach,extend to,amount to)、「例の・仕事(または品物)が・到着したとの・知らせを・しっかりとした(ごめんください)」(「チナ」が「シナ」と、「ハ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ハナ」から「ハン」と、「タエ」」のAE音がE音に変化して「セ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タ(ン)ガ・タエ」、NGO-MENE-NA-TANGA-TAE(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tanga=be assembled,row,tier;tae=arrive,reach,extend to,amount to)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の・列をなして・到着した(一族の名)を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「サン」と、「タエ」」のAE音がE音に変化して「セ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・クフ・ナ・タタイ」、NGO-MENE-KUHU-NA-TATAI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;na=by,belonging to,indicating parentage or descent;tatai=arrange,set in order,recite genealogies etc.)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の名と・親(または子)の・出自を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」が「ンゴ」と、「メネ」が「メン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「ナ」が「ン」と、「タタイ」が「ダサイ」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・ナ・タハ・ツ・チエ」、NGO-MENE-NA-TAHA-TU-TIE(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);na=by,belonging to,indicating parentage or descent;taha=side,edge;tu=stand,settle;tie=abundance,plenty)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の親(または子)の・たくさん・ある・(限界の)祖先の名を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」から「サ」と、「ツ」が「ッ」と、「チエ」が「シェ」から「シェー」となった)

  「オ(ン)ガ・タツ・カハ・(ン)ガタ」、ONGA-TATU-KAHA-NGATA(onga=agitate,shake about;tatu=reach the bottom,be at ease,be content;kaha=strong,strength;ngata=man)、「とことん・元気で・強い・男よ(ごめんください)」(「オ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「オナ」から「オン」と、「タツ」が「サッ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」から「ンター」となった)

  「(ン)ゴ・メネ・クフ・タハ・ル・マタイ」、NGO-MENE-KUHU-TAHA-RU-MATAI(ngo=cry,grunt;mene=be assembled,be completely recited(whakamene=assemble,call together);kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;taha=side,edge;ru=shake agitate,scatter;matai=watch,inspect,examine)、「(叫ぶ)相手の名を呼び・自分の名と・躍起になって・調べた・(限界の)祖先の名を・付け加えて述べる(ごめんください)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「メネ」が「メン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「タハ」が「ダハ」と、「マタイ」のAI音がE音に変化して「マテ」から「マッセ」となった)

  「オチ・アナ・ト・カイ」、OTI-ANA-TO-KAI(oti=finished;ana=denoting continuance of action or state;to=drag;kai=eat,food)、「これから・食事をする・状況は・終わったね(ごめんください)」(「オチ・アナ」が「オチャナ」から「オジャン」と、「ト」が「ド」となった)

  「チ・アピ・イラ」、TI-API-IRA(ti=throw,cast;api,apiapi=crowded,dense,confined,constricted;ira=calling attention)、「簡潔に・(注意の声)もしもしと・いう(ごめんください)」(「チ・アピ」が「チャピ」から「チャービ」と、「チャービ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「チャービラ」となつた)

  「チ・アピ・イラ・タイ」、TI-API-IRA-TAI(ti=throw,cast;api,apiapi=crowded,dense,confined,constricted;ira=calling attention;tai=a term of address to males or females)、「簡潔に・(注意の声)もしもし・誰かさんと・いう(ごめんください)」(「チ・アピ」が「チャピ」から「チャービ」と、「チャービ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「チャービラ」と、「タイ」が「サイ」となつた)

  「ハ・エテ」、HA-ETE(ha=then,so,what!;ete=calling attention)、「あの・(注意の声)もしもしという(ごめんください)」(「エテ」が「エテー」となった)

  「オ・ルカ・エ」、O-RUKA-E(o=find room,get in;ruka,rukaruka=utterly;e=calling attention or expressing surprise)、「これから・(家に)入るぞ・いいかね(ごめんください)」

  「オチ・イア・ヒカ」、OTI-IA-HIKA(oti=finished;ia=indeed;hika=rub violently,kindle fire by friction)、「(朝の炊事のための)火起こしは・もう・終わったかね(ごめんください)」(「オチ・イア」が「オチャ」から「オジャ」となった)

  「オイ・イア・イナ」、OI-IA-INA(oi=shout,shudder,agitate,disturb;ia=indeed;ina=bask,warm oneself)、「ほんとに・日向ぼっこ(の最中)を・邪魔するよ(ごめんください)」(「イア」が「ヤ」と、「イナ」が「イナー」となった)

の転訛と解します。

078ごもくめし(五目飯)・マゼゴハン・イロゴハン・ゴモグメス・オチャママ・タキゴミ・ショッペマンマ・ゴモク・カテメシ・マジェゴハン・アジメシ・カキマワシゴハン・マゼメシ・カヤクメシ・カキマゼ・マジェメシ・ソーケメシ・ショーケメシ・モグリメシ・ゲメシ・ショイメシ・グメシ・マゼクリ・マゼクイゴハン・クファジューシー・ジューシーメー・ゴッツォーメシ・ショーユメシ

 「ごもくめし」の方言には、北海道、茨城などの「マゼゴハン」、青森の「ゴモグメシ」(「ごもくめし」と同語源)、岩手、奈良の「イロゴハン」、宮城の「ゴモグメス」、秋田の「オチャママ」、山形、山口の「タキゴミ」、福島の「ショッペマンマ」、栃木、神奈川の「ゴモク」、東京、長野の「ゴモクゴハン」(「ごもくめし」の「ゴモク」と「マゼゴハン」の「ゴハン」を連ねたもの)、新潟の「カテメシ」、石川の「マジェゴハン」、山梨、三重の「アジメシ」、岐阜の「カキマワシゴハン」、愛知、宮崎の「マゼメシ」、滋賀の「カヤクメシ」、京都、大阪の「カヤクゴハン」(「カヤクメシ」の「カヤク」と同語源)、和歌山の「カキマゼ」、鳥取、佐賀の「マジェメシ」、島根の「ソーケメシ」、岡山の「ショーケメシ」、広島の「モグリメシ」、徳島の「ゲメシ」、香川の「ショイメシ」、愛媛の「モグリゴハン」(「モグリメシ」の「モグリ」と同語源)、高知の「ンゴモク」(「ゴモク」と同語源)、福岡の「アジゴハン」(「アジメシ」の「アジ」と同語源)、熊本の「グメシ」、大分の「マゼクリ」、鹿児島の「マゼクイゴハン」、沖縄那覇の「クファジューシー」、沖縄首里の「ジューシーメー」があります。

 上記のほか、愛知の「カキマワシ」(「カキマワシゴハン」の「カキマワシ」と同語源)、岡山の「ゴッツォーメシ」、広島の「ショーユメシ」などがあります。

 この「ごもくめし」、「マゼゴハン」(「ゴハン」は「御飯」という漢語由来の言葉ですが、縄文語でほぼ意味が一致する表現が行われたとも考えられますので、この項のみ解釈を付し、以下の「ゴハン」では省略することとします。)、「イロゴハン」、「ゴモグメス」、「オチャママ」、「タキゴミ」、「ショッペマンマ」、「ゴモク」、「カテメシ」、「マジェゴハン」、「アジメシ」、「カキマワシゴハン」、「マゼメシ」、「カヤクメシ」、「カキマゼ」、「マジェメシ」、「ソーケメシ」、「ショーケメシ」、「モグリメシ」、「ゲメシ」、「ショイメシ」、「グメシ」、「マゼクリ」、「マゼクイゴハン」、「クファジューシー」、「ジューシーメー」、「ゴッツォーメシ」、「ショーユメシ」は、

  「(ン)ガウ・モク・マエ・エチ」、NGAU-MOKU-MAE-ETI(ngau=bite,hurt,act upon;moku=few,little;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(副食を含めた食事の)手間を・省いた・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった。また「モク」が「モグ」となった)(「めし(飯)」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項を参照してください。)

  「マタイタイ・(ン)ガウア・ハ(ン)ギ」、MATAITAI-NGAUA-HANGI(mataitai=tasting of salt,brackish,fish or other foodstuff obtained from the sea or from lakes;ngaua=those;hangi=earth oven,contents of the oven)、「塩味が付いた(魚など海産物を含めた)・あの・(蒸し焼き竈で調理した)食物(ごもくめし)」(「マタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「マテ」から「マゼ」と、「(ン)ガウア」のNG音がG音に、AU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「ゴ」と、「ハ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「ハニ」から「ハン」となった)(「ゴハン」は「御飯」という漢語由来の言葉ですが、縄文語でほぼ意味が一致する表現が行われたとも考えられますので、この項のみ解釈を付し、以下の「ゴハン」では省略することとします。)

  「イ・ラウ」、I-RAU(i=past tense,from,beside,by,at;rau=feather)、「(色鮮やかな)鳥の羽の・色を伴った(色の付いた。ごもくめし)」(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)

  「(ン)ガウ・モク・マエ・ツ」、NGAU-MOKU-MAE-TU(ngau=bite,hurt,act upon;moku=few,little;mae=languid,listless,withered;tu=stand,settle,remain)、「(副食を含めた食事の)手間を・省いた・軟らかくなって・そのままになった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オチ・イア・ママハ」、OTI-IA-MAMAHA(oti=finished;ia=indeed;mamaha=steam)、「実に・(副食を含めた食事の調理が)終わった・(湯気を出す食物)ごはん(ごもくめし)」(「オチ・イア」が「オチャ」と、「ママハ」のH音が脱落して「ママ」となった)

  「タキ・コミ」、TAKI-KOMI(taki=lead,bring along,take to one side,take food from the fire;komi=bite,close the jaws on,eat)、「(具を炊く前の米または炊いた後の飯に)入れて・(米または飯に食べさせた)混ぜ合わせた(ごもくめし)」(「コミ」が濁音化して「ゴミ」となつた)

  「チ・ホ・オパ・イ・マ(ン)ガ・マハ」、TI-HO-OPA-I-MANGA-MAHA(ti=throw,cast,overcome;ho=put out the lips,shout;opa=throw,pelt;i=past tense;manga=remains of food after meal:maha=many,abundance)、「(嘗めると)口を・しかめるもの(塩)を・(ふり)掛け・た・大量の・残飯のような(粗末な飯)(ごもくめし)」(「チ」が「シ」と、「ホ」のH音が脱落して「オ」と、「シ・オ」が「ショ」となり、その語尾のO音と「オパ」の語頭のO音が連結して「ショパ」となり、その語尾のA音と「イ」のI音が連結してE音に変化して「ショペ」から「ショッペ」と、「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マナ」から「マン」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)

  「(ン)ガウ・モク」、NGAU-MOKU(ngau=bite,hurt,act upon;moku=few,little)、「(副食を含めた食事の)手間を・省いた(飯)(ごもくめし)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった。また「(ン)ガウ」のAU音がO音に変化して「ンゴ」となった)

  「カ・アテテ・マエ・エチ」、KA-ATETE-MAE-ETI(ka=take fire,be lighted,burn;atete=oppose,treat roughly,insult,devastate;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(加熱)調理される・粗末で軽蔑される・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「カ」のA音と「アテテ」の語頭のA音が連結し、反復語尾が脱落して「カテ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「マチ・エ・(ン)ガウア・ハ(ン)ギ」、MATI-E-NGAUA-HANGI(mati=surfeited;e=to denote action in progress or temporaly condition;ngaua=those;hangi=earth oven,contents of the oven)、「具を(飽食)たくさん入れ・た・あの・(蒸し焼き竈で調理した)食物(ごもくめし)」(「マチ・エ」が「マジェ」と、「(ン)ガウア」のNG音がG音に、AU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「ゴ」と、「ハ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「ハニ」から「ハン」となった)

  「ア・チ・マエ・エチ」、A-TI-MAE-ETI(a=well,well then;ti=throw,cast;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(具が)程よく・投入された・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「チ」が「ジ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「カハ・キ・マ・ワチ」、KAHA-KI-MA-WHATI(kaha=strong,persistency;ki=full,very;ma=white,clear;whati=be broken off,turn and go away,run)、「力を入れて・十分に・ただ・(具を入れた飯を回す)混ぜたもの(ごもくめし)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「ワチ」が「ワシ」となった)

  「マタイタイ・マエ・エチ」、MATAITAI-MAE-ETI(mataitai=tasting of salt,brackish,fish or other foodstuff obtained from the sea or from lakes;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「塩味が付いた(魚など海産物を含めた)・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「マタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「マテ」から「マゼ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「カイ・イア・クフ・マエ・エチ」、KAI-IA-KUHU-MAE-ETI(kai=eat,food;ia=indeed;kuhu=insert,conceal;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(食物)具が・実に・(後から)投入された・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「カイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「カヤ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「カハ・キ・マタイタイ」、KAHA-KI-MATAITAI((kaha=strong,persistency;ki=full,very;mataitai=tasting of salt,brackish,fish or other foodstuff obtained from the sea or from lakes)、「力を入れて・十分に(混ぜた)・塩味が付いた(魚など海産物を含めた)(飯)(ごもくめし)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「マタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「マテ」から「マゼ」となった)

  「マチ・エ・マエ・エチ」、MATI-E-MAE-ETI(mati=surfeited;e=to denote action in progress or temporaly condition;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「具を(飽食)たくさん入れ・た・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「マチ・エ」が「マジェ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「タウ・ケ・マエ・エチ」、TAU-KE-MAE-ETI(tau=come to rest,float,be suitable,be comely:ke=different,strange;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(味が)良い・変わった・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」から「ソー」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「チオホ・ケ・マエ・エチ」、TIOHO-KE-MAE-ETI(tioho=apprehensive:ke=different,strange;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(どんな味か)心配な・変わった・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショー」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「マウ・(ン)グ・リ・マエ・エチ」、MAU-NGU-RI-KE-MAE-ETI(mau=food products;ngu=silent,greedy;ri=screen,protect,bind;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(具を)貪欲に・摂取した・料理の・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「(ン)ゲヘ・マエ・エチ」、NGEHE-KE-MAE-ETI(ngehe=soft,lazy,calm;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(副食を省く)無精な(料理の)・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「(ン)ゲヘ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゲ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「チオイ・マエ・エチ」、TIOI-KE-MAE-ETI(tioi=shake,sway from side to side;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(具を飯の中で揺り動かす)かき混ぜた(料理の)・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「チオイ」が「ショイ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「(ン)グ・マエ・エチ」、NGU-KE-MAE-ETI(ngu=silent,greedy;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(具を)貪食した・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「マタイタイ・クフ・リ」、MATAITAI-KUHU-RI(mataitai=tasting of salt,brackish,fish or other foodstuff obtained from the sea or from lakes;kuhu=insert,conceal;ri=screen,protect,bind)、「塩味が付いた(魚など海産物を含めた具を)・投入して・(結合した)混ぜた(飯)(ごもくめし)」(「マタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「マテ」から「マゼ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「マタイタイ・クフ・イ」、MATAITAI-KUHU-I(mataitai=tasting of salt,brackish,fish or other foodstuff obtained from the sea or from lakes;kuhu=insert,conceal;i=past tense)、「塩味が付いた(魚など海産物を含めた具を)・投入し・た(飯)(ごもくめし)」(「マタイタイ」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「マテ」から「マゼ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)

  「クフア・チウ・チ」、KUHUA-TIU-TI(kuhu(a)=insert,conceal;tiu=soar,wander,sway to and fro;ti=throw,cast)、「(具を飯の中に)投入して・あちこちと動かし・混ぜたもの(ごもくめし)」(「クフア」が「クファ」と、「チウ」が「ジュー」と、「チ」が「シー」となった)

  「チウ・チ・マイ」、TIU-TI-MAI(tiu=soar,wander,sway to and fro;ti=throw,cast;mai=to indicate direction or motion towards)、「(具を飯の中で)あちこちと・揺り動かし・混ぜたもの(ごもくめし)」(「チウ」が「ジュー」と、「チ」が「シー」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メー」となった)

  「(ン)ゴ・ツ・オフ・マエ・エチ」、NGO-TU-OHU-MAE-ETI(ngu=silent,greedy;tu=stand,settle,fight with,energetic;ohu=beset in great numbers,surround;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(美味なので)大勢が寄って・たかって・貪食する・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」から「ゴッ」と、「オフ」のH音が脱落して「オウ」から「ォー」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

  「チホイ・ウ・マエ・エチ」、TIHOI-U-MAE-ETI(tihoi=diverge,turn aside,divergent;u=be firm,be fixed,reach its limit;mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「(具を入れた飯が)変化して・(別の飯に)なった・水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)(ごもくめし)」(「チホイ」のH音が脱落して「チオイ」となり、「ウ」と連結して「チオイウ」から「ショーユ」と、「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)

の転訛と解します。

079ころぶ(転ぶ)・テッコロブ・トックラガル・オッケァル・コロンブ・トックリゲァル・シコロブ・デングル・デングリゲール・デングリケール・オッコロブ・ボッケル・コログ・コテガウ・コロケル・コケル・マクレル・コロゲル・カヤル・ヒッコロブ・ツコクル・コクル・ヒッコクル・ハンコロッ・クルブン

 「ころぶ」の方言には、北海道の「テッコロブ」、青森の「トックラガル」、岩手の「オッケァル」、宮城の「コロンブ」、秋田の「トックリゲァル」、山形の「シコロブ」、福島の「デングル」、茨城の「デングリゲール」、栃木、群馬の「デングリケール」、埼玉、神奈川などの「オッコロブ」、千葉の「ボッケル」、福井、香川の「コログ」、岐阜の「コテガウ」、静岡の「コロケル」、三重、滋賀などの「コケル」、島根の「マクレル」、広島、山口の「コロゲル」、高知の「カヤル」、長崎の「ヒッコロブ」、熊本の「ツコクル」、大分の「コクル」、宮崎の「ヒッコクル」、鹿児島の「ハンコロッ」、沖縄那覇・首里の「クルブン」があります。

 この「ころぶ」、「テッコロブ」、「トックラガル」、「オッケァル」、「コロンブ」、「トックリゲァル」、「シコロブ」、「デングル」、「デングリゲール」、「デングリケール」、「オッコロブ」、「ボッケル」、「コログ」、「コテガウ」、「コロケル」、「コケル」、「マクレル」、「コロゲル」、「カヤル」、「ヒッコロブ」、「ツコクル」、「コクル」、「ヒッコクル」、「ハンコロッ」、「クルブン」は、

  「クオロ・オプ」、KUORO-OPU(kuoro=grind,grate;opu=set)、「回転して・倒れる(転ぶ)」(「クオロのUO音がO音に変化して「コロ」となり、その語尾のO音と「オプ」の語頭のO音が連結して「コロプ」から「コロブ」となった)

  「テテ・クオロ・オプ」、TETE-KUORO-OPU(tete=exert oneself,gnash the teeth;kuoro=grind,grate;opu=set)、「(力が入ったように)勢いよく・回転して・倒れる(転ぶ)」(「テテ」が「テッ」と、「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」となり、その語尾のO音と「オプ」の語頭のO音が連結して「コロプ」から「コロブ」となった)

  「ト・ツクルア・(ン)ガル」、TO-TUKURUA-NGARU(to=drag,haul;tukurua=repeat an operation,do a second time;ngaru=wave of the sea,corrugation)、「(海の波が高くなったり低くなったりするように)転んでは起きる・動きを繰り返しながら・重い足を進める(転ぶ)」(「ツクルア」のUA音がA音に変化して「ツクラ」から「ックラ」と、「(ン)ガル」のNG音がG音に変化して「ガル」となった)

  「オケ・アル」、OKE-ARU(oke=struggle,wriggle,writhe,strive;aru=follow,pursue)、「(身もだえする)こけつまろびつ・追いかける(転ぶ)」(「オケ」が「オッケ」となった)

  「クオロ・(ン)ガプ」、KUORO-NGAPU(kuoro=grind,grate;ngapu=oscillate or undulate as swampy ground,stretch forwards,ready to run)、「回転して・(高くなったり低くなったりする)倒れては起き上がる(転ぶ)」(「クオロのUO音がO音に変化して「コロ」と、「(ン)ガプ」のNG音がN音に変化して「ナプ」から「ンブ」となった)

  「ト・ツク・リ(ン)ガ・イ・アル」、TO-TUKU-RINGA-I-ARU(to=drag,haul;tuku=let go,send,set to,settle down;ringa=hand,arm;i=past tense,beside;aru=follow,pursue)、「(地面に)手を・脇に・突いて・追いかけ・重い足を進める(転ぶ)」(「ツク」が「ック」と、「リ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「リガ」となり、その語尾のA音と「イ」のI音が連結したAI音がE音に変化して「リゲ」と、「アル」が「ァル」となった)

  「チ・クオロ・オプ」、TI-KUORO-OPU(ti=throw,cast;kuoro=grind,grate;opu=set)、「放り出されたように・回転して・倒れる(転ぶ)」(「チ」が「シ」と、「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」となり、その語尾のO音と「オプ」の語頭のO音が連結して「コロプ」から「コロブ」となった)

  「タイ(ン)ガ・(ン)グル」、TAINGA-NGURU(tainga=place for bailing ina canoe;nguru=utter a suppressed groan,sigh or grunt)、「カヌーを陸揚げし引っ繰り返してあか水を流し出す作業場で(カヌーを引っ繰り返すように)・うなり声を出す(ひっくり返る)(転ぶ)」(「タイ(ン)ガ」のAI音がE音に、「テナ」から「デン」と、「(ン)グル」のNG音がG音に変化して「グル」となった)

  「タイ(ン)ガ・(ン)グ・リ・(ン)ゲル」、TAINGA-NGU-RI-NGERU(tainga=place for bailing in a canoe;ngu=silent;ri=screen,protect,bind;ngeru,ngerungeru=smooth,soft)、「カヌーを陸揚げし引っ繰り返してあか水を流し出す作業場で(カヌーを引っ繰り返すように)・黙って・かつ・滑らかに(ひっくり返る)(転ぶ)」(「タイ(ン)ガ」のAI音がE音に、「テナ」から「デン」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲール」となった)

  「タイ(ン)ガ・(ン)グ・リ・カイ・ヘル」、TAINGA-NGU-RI-KAI-HERU(tainga=place for bailing in a canoe;ngu=silent;ri=screen,protect,bind;kai=fulfil its proper function,have full play;heru=begin to flow,glide)、「カヌーを陸揚げし引っ繰り返してあか水を流し出す作業場で(カヌーを引っ繰り返すように)・黙って・かつ・精一杯・滑らかに(ひっくり返る)(転ぶ)」(「タイ(ン)ガ」のAI音がE音に、「テナ」から「デン」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」と、「ヘル」のH音が脱落して「エル」と、「ケ・エル」が「ケール」となった)

  「オチ・クオロ・オプ」、OTI-KUORO-OPU(oti=then,finished,gone or come for good;kuoro=grind,grate;opu=set)、「回転して・倒れて・しまう(転ぶ)」(「オチ」が「オッ」と、「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」となり、その語尾のO音と「オプ」の語頭のO音が連結して「コロプ」から「コロブ」となった)

  「ポカイ・ル」、POKAI-RU(pokai=wind in a ball,roll up,surround;ru=shake,agitate,scatter)、「勢いよく・回転するように(転ぶ)」(「ポカイ」のAI音がE音に変化して「ポケ」から「ボッケ」となった)

  「クオロ・(ン)グ」、KUORO-NGU(kuoro=grind,grate;ngu=silent,greedy)、「黙って・回転するように(転ぶ)」(「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)

  「コテ・(ン)ガウ」、KOTE-NGAU(kute=squeeze out,crush,mash;ngau=bite,hurt,act upon)、「潰される・ように(転ぶ)」(「(ン)ガウ」のNG音がG音に変化して「ガウ」となった)

  「クオロ・カイ・ル」、KUORO-KAI-RU(kuoro=grind,grate;kai=fulfil its proper function,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「精一杯・勢いよく・回転するように(転ぶ)」(「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)

  「コカイ・ル」、KOKAI-RU(kokai=back,rear;ru=shake,agitate,scatter)、「勢いよく・(後ろへ)倒れる(転ぶ)」(「コカイ」のAI音がE音に変化して「コケ」となった)

  「マ・クレヘ・ル」、MA-KUREHE-RU(ma,mama=light,not heavy;kurehe=fold,wrinkle;ru=shake,agitate,scatter)、「軽く・勢いよく・(折りたたむように)倒れる(転ぶ)」(「クレヘ」のH音が脱落して「クレ」となった)

  「クオロ・(ン)ゲル」、KUORO-NGERU(kuoro=grind,grate;ngeru,ngerungeru=smooth,soft)、「滑らかに・回転するように(転ぶ)」(「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」と、「(ン)ゲル」のNG音がG音に変化して「ゲル」となった)

  「カイア・ル」、KAIA-RU(kaia=steal,thief,stealthy;ru=shake,agitate,scatter)、「そっと・(身体を投げ出す)倒れる(転ぶ)」(「カイア」が「カヤ」となった)

  「ヒタ・クオロ・オプ」、HITA-KUORO-OPU(hita=move continuously or spasmodically;kuoro=grind,grate;opu=set)、「勢いよく・回転して・倒れる(転ぶ)」(「ヒタ」が「ヒッ」と、「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」となり、その語尾のO音と「オプ」の語頭のO音が連結して「コロプ」から「コロブ」となった)

  「ツ・コクフ・ウル」、TU-KOKUHU-URU(tu=fight with,energetic;kokuhu=insert,fill up gaps;uru=head,top)、「勢いよく・頭を・(地面へ)突っ込む(転ぶ)」(「コクフ」のH音が脱落して「コク」となり、その語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「コクル」となった)

  「コクフ・ウル」、KOKUHU-URU(kokuhu=insert,fill up gaps;uru=head,top)、「頭を・(地面へ)突っ込む(転ぶ)」(「コクフ」のH音が脱落して「コク」となり、その語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「コクル」となった)

  「ヒタ・コクフ・ウル」、HITA-KOKUHU-URU(hita=move continuously or spasmodically;kokuhu=insert,fill up gaps;uru=head,top)、「勢いよく・頭を・(地面へ)突っ込む(転ぶ)」(「ヒタ」が「ヒッ」と、「コクフ」のH音が脱落して「コク」となり、その語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「コクル」となった)

  「ハネ・クオロ」、HANE-KUORO(hane=be confounded,be silenced,be put to shame;kuoro=grind,grate;ngu=silent,greedy)、「思いがけず・回転するように(転ぶ)」(「ハネ」が「ハン」と、「クオロ」のUO音がO音に変化して「コロ」から「コロッ」となった)

  「クフ・ウル・プニ」、KUHU-URU-PUNI(kuhu=insert,conceal;uru=head,top;puni=stopped up,place of encampment)、「頭を・(野営地)地面へ・突っ込む(転ぶ)」(「クフ」のH音が脱落して「ク」となり、その語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「クル」と、「プニ」が「ブン」となった)

の転訛と解します。

080こんばんは(今晩は)・オバンデス・オバンデゴス・オバンデガンス・オバンカダ・オバンガタ・オラレッケ・オシマイナレンシタカ・オツカレナッテ・オシマイデスカ・イラェースカェー・オシマイカシテ・オシマイヤス・オシマイ・バンナリマシタ・バンジマシテ・バンジマシタ・オシマイデガンスカ・オシマイナサンセ・シマイナハリマシタカ・オシマイデス・シメナツタカ・コンチャラゴアシタ・チャービラ・チューウガナビラ・オツカレサン・オツカレデゴザイマス・シモータカナー

 「こんばんは」の方言には、北海道、宮城などの「オバンデス」、青森の「オバンデゴス」、岩手の「オバンデガンス」、福島の「オバンカダ」、栃木の「オバンガタ」、群馬、埼玉などの「コンバンワ」(「こんばんは」と同語源)、富山の「オラレッケ」、福井の「オシマイナレンシタカ」、山梨の「オツカレナッテ」、静岡の「オシマイデスカ」、愛知の「イラェースカェー」、三重の「オシマイカシテ」、滋賀、京都の「オシマイヤス」、兵庫、佐賀などの「コンバンワー」(「こんばんは」と同語源)、奈良、和歌山の「オシマイ」、鳥取の「バンナリマシタ」、島根の「バンジマシテ」、岡山の「バンジマシタ」、広島の「オシマイデガンスカ」、香川の「オシマイナサンセ」、熊本の「シマイナハリマシタカ」、大分の「オシマイデス」、宮崎の「シメナツタカ」、鹿児島の「コンチャラゴアシタ」、沖縄那覇の「チャービラ」、沖縄首里の「チューウガナビラ」があります。

 上記のほか、新潟の「オツカレサン」、長野の「オツカレデゴザイマス」、大分の「シモータカナー」などがあります。

 この「こんばんは」、「オバンデス」、「オバンデゴス」、「オバンデガンス」、「オバンカダ」、「オバンガタ」、「オラレッケ」、「オシマイナレンシタカ」、「オツカレナッテ」、「オシマイデスカ」、「イラェースカェー」、「オシマイカシテ」、「オシマイヤス」、「オシマイ」、「バンナリマシタ」、「バンジマシテ」、「バンジマシタ」、「オシマイデガンスカ」、「オシマイナサンセ」、「シマイナハリマシタカ」、「オシマイデス」、「シメナツタカ」、「コンチャラゴアシタ」、「チャービラ」、「チューウガナビラ」、「オツカレサン」、「オツカレデゴザイマス」、「シモータカナー」は、

  「コネイ・パ(ン)ガ・ハ」、KONEI-PANGA-HA(konei=this place,this time,this circumstance(kona=that place,that time,that circumstance);panga=touch,reach,hold communication with;ha=breath,tenor of a speech)、「この時間に・お話をして・意思を通わせたい(と参上しました)(こんばんは)」(「コネイ」の語尾のI音が脱落して「コネ」から「コン」と、「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」となった)

  「オ・パ(ン)ガ・テ・ツ」、O-PANGA-TE-TU(o=the...of;panga=touch,reach,hold communication with;te=to make an emphatic statement;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「ほんとに・意思を通わせたい(と参上し)・まし・た(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「テ」が「デ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・パ(ン)ガ・テ・(ン)ゴ・ツ」、O-PANGA-TE-NGO-TU(o=the...of;panga=touch,reach,hold communication with;te=to make an emphatic statement;ngo=cry,grunt;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「ほんとに・意思を通わせたいと・強く・重々しい声を出す(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「テ」が「デ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・パ(ン)ガ・テ・(ン)ガナ・ツ」、O-PANGA-TE-NGANA-TU(o=the...of;panga=touch,reach,hold communication with;te=to make an emphatic statement;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「ほんとに・意思を通わせたいと・強く・熱心に・いう(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「テ」が「デ」と、「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オ・パ(ン)ガ・カハ・タ」、O-PANGA-KAHA-TA(o=the...of;panga=touch,reach,hold communication with;kaha=strong,persistency;ta=dash,beat,lay)、「ほんとに・意思を通わせたいと・強く・迫る(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タ」が「タダ」となった)

  「オ・パ(ン)ガ・(ン)ガタ」、O-PANGA-NGATA(o=the...of;panga=touch,reach,hold communication with;ngata=appeased,satisfied)、「ほんとに・落ち着いて・意思を通わせたい(という)(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「(ン)ガタ」のNG音がG音に変化して「ガタ」となった)

  「オラ・レケ」、ORA-REKE(ora=alive,well,satiated with food,survive;reke=knob,a mode of dressing the hair in a knot)、「(晩飯を)食べ終わって・髪は結んだまま(まだ髪を解いて寝る支度はしていない)かね(こんばんは)」(「レケ」が「レッケ」となつた)

  「オチ・マイ・ナ・レ(ン)ガ・チタカ」、OTI-MAI-NA-RENGA-TITAKA(oti=finished;mai=become quiet;na=by,belonging to;renga=fine particles,meal;titaka=wobble,move about irregularly,turn round)、「食事に・関して・動き回ることが・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「レ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「レナ」から「レン」と、「チタカ」が「シタカ」となった)

  「オ・ツカ・レ(ン)ガ・ツタイ」、O-TUKA-RENGA-TUTAI(o=the...of;tuka,tukatuka=start up,proceed forward;tutai=watch,spy)、「いつものように・食事の・支度を進めて・見ているね(こんばんは)」(「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」と、「レ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「レナ」と、「ツタイ」のAI音がE音に変化して「ツテ」から「ッテ」となった)

  「オチ・マイ・タイツ・カ」、OTI-MAI-TAITU-KA(oti=finished;mai=become quiet;taitu=be hindered,be intermitted;ka=take fire,be lighted,burn)、「火を・埋めて・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」から「デス」となった)

  「イラ・エヘ・ツカ・エヘ」、IRA-EHE-TUKA-EHE(ira=calling attention,there,yonder;ehe=expressing surprise;tuka=start up,proceed forward)、「もし・もし・仕事中・かね(こんばんは)」(「エヘ」のH音が脱落して「エエ」から「ェー」となった)

  「オチ・マイ・カ・チテイ」、OTI-MAI-KA-TITEI(oti=finished;mai=become quiet;ka=take fire,be lighted,burn;titei=spy)、「火の・番をするのは・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「チテイ」が「シテ」となった)

  「オチ・マイ・イア・ツ」、OTI-MAI-IA-TU(oti=finished;mai=become quiet;ia=indeed;tu=stand,be erect)、「実に・起きているのは・静かに・終わったかね(もう寝たかね)(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「オチ・マイ」、OTI-MAI(oti=finished;mai=become quiet)、「静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」となった)

  「パ(ン)ガ・(ン)ガリ・マチ・タ」、PANGA-NGARI-MATI-TA(panga=touch,reach,hold communication with;ngari=annoyance,disturbance,power;mati=surfeited;ta=dash,beat,lay)、「意思を通わせたく(参上して)・たいへん・お邪魔を・いたします(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「パ(ン)ガ・チ・マチ・テ」、PANGA-TI-MATI-TE(panga=touch,reach,hold communication with;ti=throw,cast;mati=surfeited;te=to make an emphatic statement)、「十分に・意思を通わせたく(参上したと)・(強く)いう(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「チ」が「ジ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「パ(ン)ガ・チ・マチ・タ」、PANGA-TI-MATI-TA(panga=touch,reach,hold communication with;ti=throw,cast;mati=surfeited;ta=dash,beat,lay)、「十分に・意思を通わせたく(参上したと)・迫る(こんばんは)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「チ」が「ジ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「オチ・マイ・テ・(ン)ガナ・ツカ」、OTI-MAI-TE-NGANA-TUKA(oti=finished;mai=become quiet;te=to make an emphatic statement;ngana=be eagerly intent,obstinate,strong;tuka=start up,proceed forward)、「ほんとに・仕事に・精を出すのは・静かに・終わったかね(もう寝たかね)(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「テ」が「デ」と、「(ン)ガナ」のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ツカ」が「スカ」となった)

  「オチ・マイ・ナ・タヌ・テ」、OTI-MAI-NA-TANU-TE(oti=finished;mai=become quiet;na=by,belonging to;tanu=bury,smother with,lie buried;te=to make an emphatic statement,there!)、「あの・火を埋め・込むのは・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「タヌ」が「タン」から「サン」と、「テ」が「セ」となった)

  「チ・マイ・ナ・ハリ・マチ・タカ」、TI-MAI-NA-HARI-MATI-TAKA(ti=throw,cast;mai=become quiet;na=by,belonging to;hari=dance,feel or show gladness;mati=surfeited;taka=turn on a pivot,go or pass round,range)、「十分に食べた・喜びに・包まれた・ようなことが・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「チ」が「シ」と、「マチ」が「マシ」となった)

  「オチ・マイ・タイツ」、OTI-MAI-TAITU(oti=finished;mai=become quiet;taitu=be hindered,be intermitted)、「(火を)埋めて・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「オチ」が「オシ」と、「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」から「デス」となった)

  「チ・マイ・ナツ・タカ」、TI-MAI-NATU-TAKA(ti=throw,cast;mai=become quiet;natu=scratch,stir up,shoe ill feeling;taka=turn on a pivot,go or pass round,range)、「(火を埋めた灰を)かき・回すことが・静かに・終わったかね(こんばんは)」(「チ」が「シ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)

  「コネイ・チア・ラ(ン)ゴ・ワチ・タ」、KONA-TIA-RANGO-WHATI-TA(konei=this place,this time,this circumstance(kona=that place,that time,that circumstance);tia=stick in,drive in pegs etc.;rango=roller upon wgich a heavy body is dragged;whati=be broken off short,be interrupted;ta=dash,beat,lay)、「この時間に・重いローラーを・引き込んで・押し潰し・ました(こんばんは)」(「コネイ」の語尾のI音が脱落して「コネ」から「コン」と、「チア」が「チャ」と、「ラ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ラゴ」と、「ワチ」が「ワシ」となった)

  「チ・アピ・イラ」、TI-API-IRA(ti=throw,cast;api,apiapi=crowded,dense,confined,constricted;ira=calling attention)、「簡潔に・(注意の声)もしもしと・いう(こんばんは)」(「チ・アピ」が「チャピ」から「チャービ」と、「チャービ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「チャービラ」となつた)(これは077ごめんください(御免下さい)の項の沖縄・那覇方言「チャービラ」と同じです。)

  「チウ・ウ(ン)ガ・ナ・アピ・イラ」、TIU-UNGA-NA-API-IRA(tiu=soar,wander,unsettled;unga=send,expel,seek;na=by,belonging to;api,apiapi=crowded,dense,confined,constricted;ira=calling attention)、「落着きのない声で・探し求める・ように・簡潔に・(注意の声)もしもしという(こんばんは)」(「チウ」が「チュー」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ウガ」と、「ナ」のA音と「アピ」の語頭のA音が連結して「ナビ」となり、さらにその「ナビ」の語尾のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「ナビラ」となつた)

  「オ・ツカ・レイ・タナ」、O-TUKA-REI-TANA(o=the...of;tuka=start up,proceed forward;rei=leap,rush,run;tana=his,her)、「あの・仕事に・(奔走)精を出した・彼(または彼女)よ(こんばんは)」(「レイ」が「レ」と、「タナ」が「サン」となった)

  「オ・ツカ・レイ・テ・(ン)ゴ・タイママ・ツ」、O-TUKA-REI-TE-NGO-TAIMAMA-TU(o=the...of;tuka=start up,proceed forward;rei=leap,rush,run;te=to make an emphatic statement;ngo=cry,grunt;taimama=light,not heavy;tu=stand,settle)、「あの・仕事に・(奔走)精を出した・なと・軽く・声を・掛ける(こんばんは)」(「レイ」が「レ」と、「テ」が「デ」と、「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」と、「タイママ」の反復語尾が脱落して「ザイマ」と、「ツ」が「ス」となった)

  「チ・マウ・タカ・ナ」、TI-MOHU-TAKA-NA(ti=throw,cast,overcome;mohu=smoulder;taka=turn on a pivot,go or pass round,range;na=by,belonging to)、「周囲に・くすぶる煙は・なくなった(火は灰に埋めた)・ようだな(こんばんは)」(「チ」が「シ」と、「モフ」のH音が脱落して「モウ」となった)

の転訛と解します。

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<修正経緯>

1 平成21年9月28日

 024おおよそ(大凡)の項に「アラガタ」の解釈を追加しました。

2 平成21年12月6日

 033おてんば(お転婆)の項の「ヤンチャメロ」の解釈を修正し、055かみなり(雷)の項の「レサマ」(「ラエサマ」と同語源)、「オレサマ」の解釈を修正し、「ライサマ」の解釈を追加し、070けっこんする(結婚する)の項の「シューゲンアゲル」、「シューギアゲル」、「ゴシエギスル」、「ゴシューギスル」、「シューゲンスル」、「シーゲンシー」の解釈を追加しました。

3 平成22年5月1日

 079ころぶ(転ぶ)の項の「カヤル」の解釈を修正しました。

4 平成22年5月20日

 047かたづけるの項の「ツマエル」および061かんしょくの項中「ホーセキ」の解釈を修正し、062かんたんの項中「アヤスイ」の解釈に「タヤスイ」の解釈を追加して記載しました。

5 平成24年5月1日

 004あごの項中「アギト」の解釈を修正しました。

6 平成24年7月1日

 037おべっかの項中「おべっか」、「ベンコ」、「ベンチャラ」、「オベンチャラ」、「ベンタレ」、「ベンコモ」および「ムイタリベ」の解釈を一部修正しました。

7 平成24年10月1日

 040かかとの項の「かかと」の解釈、046かたぐるまの項の「かたぐるま」、「クビコンマ」、「カタンマ」、「カタコンマ」の解釈、059かわいそうの項の「かわいそう」、「カワイソンダ」などの「カワイ…」、「キノドクダ」、「キノドクヤ」などの「キノドク…」の解釈および066きのこの解釈を一部修正しました。

8 平成25年2月1日

 037おべっかの項の「ゴマスリ」の解釈の一部および077ごめんくださいの項の「コンチワ」、「コンニチワ」の解釈の一部を修正しました。

国語篇(その十四)終り


U R L:  http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル:  夢間草廬(むけんのこや)
       ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
作  者:  井上政行(夢間)
ご 注 意:  本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記してください。
(記載例  出典:ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など)
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許可なく販売することを禁じます。
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