Super 8

キーパーの言い訳。

 プレイ時間は4時間53分02秒です。

 今回は「既成のシナリオの舞台を変更して」というおなじみの手法を取り入れてみました。
 
 「Super 8」は現代のニューヨークの風俗の現場とビデオ・ショップを舞台としたシナリオです。探索者には少なくとも一人、警察関係者がいるようにしてください。ニューヨーク市警やFBIを含むどのような機関でもかまいません。重要なのは、その探索者が人の世で悪徳を働く密売人等の取り締まりを専門にしているということです。一般市民がそのような調査に関わる理由をキーパーが見つけられるならば、警察関係者である必要はなくなるでしょう。
 このシナリオは「デルタグリーン」のキャンペーンの一部として使用することができます。本文中に、フェイトやスティーブン・アルジスに関する追加背景資料があります。
 探索者は都市伝説と対峙します。所謂スナッフ・ムービーという奴です。『The Real Thing』もしくは『White Heat』というタイトルでも知られるそれは、カメラの回っている前で本物の殺人を行って見せ、観客を喜ばせるものだと言われています。エンターテイメントとしての殺人です。かつて誰もこのフィルムの実在を証明できていないにもかかわらず、伝説は根強く伝わり続けています。アメリカ人は英国にこのフィルムが存在すると主張し、英国人はこのようなものはアメリカにのみ存在するものだと言っています。『8mm』や『ミュート・ウィットネス』といったスナッフ・ムービーを扱った映画が伝説を生かし続けています。
 スナッフ・ムービーは私たちの世界には存在していないとしても、グレート・オールド・ワンの宇宙には確かに存在するものなのです。
(「Super 8」本文より)

 上記の状況を白凰市に持ってきたわけですが、現代日本にはめ込むにはちょっと無理があったように思います。そこは力技でねじ込み、指摘された矛盾点は黙殺という駄目運営で乗り切りました。
 ちなみに言い訳させてもらいますと、このシナリオは劇中で明かされない裏設定が膨大にあります(「デルタグリーン」関係もその一つです)。よってプレイヤーたちは「結局、俺たちなんでこんなことしてるの?」と明確な目的を見定められないまま、「ゲームなんだから事件の解決を」という大人の姿勢でシナリオクリアに取り組んでくれました。感謝。

 リプレイ自体は、真面目とおふざけが明確な線引きのないまま唐突に切り替わるので、多少読みづらい(ストーリーの流れを把握しづらい)ものとなっていると思います。「はじめに」で「おちゃらけシーンも省略せずに」と書いていますが、実はこれでも半分近く削っています。とくに(クライマックスの)レイヴ会場についてからが爆笑に継ぐ爆笑なのはイタダケナイような気がしますが、我々が実際にプレイする場合はこのような雰囲気であることがほとんどです。プレイヤーは笑っていますが、キャラクターは必死で生還への道を模索していますので、ストーリー的には破綻していないはずです(と信じている)。
 途中、的外れな行動を取るキャラクターには「その行動に意味はない」となんらテクニックを労さずにぶっちゃけているシーンが(多々)ありますし、戦闘ルールの運用はいつもかなり適当です。所詮私なんてこの程度ですので、世のキーパーさんは自信を持ってください。
 ちなみに、今回は実際のプレイの録音ファイルをリプレイに書き起こしたのですが、15分のリプレイを書き起こすのに1時間〜1時間30分かかりました。…この方法はもうこれっきりにしよう。

 尚、このシナリオのタイトルでもある「Super 8」ですが、この単語に関する解説等は見つけられませんでした。
 ネットでサラッと調べたところ、映画撮影に使うフィルム(八ミリフィルム等)の規格(?)にSuper 8というものがあるようなので、今回の召喚形態がその規格のフィルムを使ったものであるため便宜的に付けられた化身の名前(もしくはイゴーロナク自身の別称)といった意味のようです。このシナリオのイゴーロナクには「光り輝くもの」としての描写がないので、「ニャルラトテップと闇の跳梁者」の関係と同じものが「イゴーロナクとSuper 8」に成り立つのかもしれません。
 シナリオ中で「化身(avatar)」という単語の意味が「イゴーロナクの手下(※=稲本が変身した怪物)」という意味で使われていますが、ニャルラトテップの化身は「神自身の別形態」という扱いなので、ここも混乱するポイントです。
 「"Super 8"とはスナッフ・ムービーを使って実体化を目論むイゴーロナクを指す呼称で、彼の影響によって怪物化した手下も同様の名前で呼ばれる」という解釈で大きく間違ってはいないと思います。
 もしかしたらシナリオの作者の周囲では「Super 8」という単語はごく一般的で、そういう一般的な単語を神の名とすること自体が、一種のブラックジョークとしての趣を持っているのかもしれません(考えすぎだと思いますけど)。
 以下に「Super 8」内のイゴーロナクについての解説をシナリオから抜粋しておきます。理解の助けになれば良いのですが。

【イゴーロナクとその化身】
 イゴーロナクについての詳細は『クトゥルフ神話TRPG』ルールブックの中にあります。
 彼の化身は彼自身と同じ能力値を持っています。しかし、探索者たちが見たビデオに映っていた怪物およびストックウェル(※=稲本)の家で出現する怪物が、スクリーンを抜けて出て来ようとしている怪物とは明確に違うものである事を説明すべきです。かつて人間だった化身は見るもおぞましく太っていて、体が汗まみれであり、頭がなくて掌に胃袋がついた姿をしています。彼らは神話生物ですが、神自身とは明確に区別される存在です。
 オリジナル版の「Super 8」のフィルムに登場するクリーチャーは、化身よりもより恐ろしく非人間的です。イゴーロナクは更に大きく、肌は変色していて斑紋が浮いており、終始発疹に覆われています。発疹からはじくじくと何かが染み出しており、大きな黒ずんだ血腫が足と尻を覆っています。彼の手がスクリーンを越えて伸ばされてきた時、疫病患者の墓を開けたような悪臭が部屋に広がります。
◆特殊効果◆
 イゴーロナクは自らの世界にいる時は巨大です。常に彼の身体の上を這い回っている無数の彼の子供たちに十分なスペースを与えています。少なくとも、彼の身体が全世界であると子供たちが思うくらいには十分広いのです。しかし、彼がスクリーンを抜けて観賞室に入ってきた時、彼は非常に背が高く、信じられないほど太った人間男性と同じくらいの大きさです。出来の悪い映画のように、その巨大で邪悪な怪物はある時は家のような大きさで、またある時は馬のような大きさに見えます。自らの次元から出ると、彼と彼の子供たちとの大きさ関係は変化するのです。
(※Worlds of Cthulhu Issue #2 の表紙に描かれているのが、おそらくSuper 8です。※「はじめに」の画像参照)

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