今宵、星降らぬ流星の夜に


拾
星降らぬ流星の夜に

8月12日(金)

キーパー:日中はそれぞれに日常業務をこなして、夕刻になります。
新城:「では」
泰野教授:「行きましょう」
須堂:とりあえず目的、目標は何にしましょう?
泰野教授:妙星尼(=ミイラ)を殺してくれってことだから、それでしょう。ミイラを殺すっていうのも変だけど(笑)
須堂:殺す手段ってあるんですか?
泰野教授:そこがノープランなんだよね。
須堂:香炉は儀式にどう関与しているんですか?
キーパー:その辺は全然調べがついていないよ、結局。
新城:とりあえず実力行使でやってみるしかないでしょうね。

キーパー:では車で流星寺へと向かいます。ペルセウス座流星群極大の今夜、ラッキーなことに満天の星です。星が流れ始めているのが観測できます。
 流星寺へ続く細い道に車を走らせていくと、上空に煙が立ち昇っているのが見えます。車はどうしますか? 駐車場に停めていきますか?
泰野教授:大祭に参加するために来ましたという態で行けばいいんだから、普通に降りて……。
新城:いや、車で突っ込んで妙星尼を撥ねる! これ以上の武器はないですよ?
泰野教授:……寺の前庭まで乗り入れちゃいましょう。道幅に問題はないんでしょう?
キーパー:そうですね。寺の前庭の直前までは問題なく来ることができます。ただし、庭まで乗り入れることはできません。2人の人間が車の前に立ちはだかりますので。
一同:ああ~。
泰野教授:誰?
キーパー:SSCの平メンバーですね。
泰野教授:では窓から顔を出して、「今日は奥に停めさせてもらおうと思ったんですけど、ダメですか?」
キーパー:2人は無表情にあなたを見返してきます。(SSCメンバー)「……井上さんが、あなたの所に行ったんでしょ?」
泰野教授:「井上さんは確かに来ましたけど、亡くなりましたよ?」と的を外した答えを返します。
キーパー:えー、その間にもどんどん時間は経っていきますよ。大祭はおそらく進行しています。
泰野教授:とりあえず車から降りて、2人の方へ近づいて行きます。
キーパー:では寺の前庭を見渡せても良いでしょう。前庭にはSSCのメンバーが、妙星尼を含めて10人います。その中には眞仲亜衣と、他のメンバーを先導しながら妙星尼を補佐している人物、新世話人・小宮かおるがいます。そして地面に敷かれた毛布の上に横たわった石原郁美がいます。
泰野教授:抜け出してきたのか!
キーパー:配置的には前庭の中央に妙星尼がいて、SSCメンバーがその周りを囲むように立っています。そしてその外側に環を描くように13個の香炉が配置されています。香炉は焚かれていて、先ほど見た上空に立ち昇る煙はこれらから出たものです。
泰野教授:目の前に立ちはだかる2人を突き飛ばしてでも、前庭に入って儀式を止めないと!
新城:やりますか!!
キーパー:という所でイベントです。

闇無天 妙星尼は環状に配置された香炉の真ん中で、両腕を星降る空に向けて上げている。SSCのメンバーの多くは咳をしていたり、苦しそうにしゃがみこんだり、地面に横になったりしている者もいる。
 突然、妙星尼が天に向かって大きな声で呼びかけた。

 いあ! 大暗黒天の娘よ! 闇無天よ!
 いあ! 闇無天!
 いあ! 大暗黒天の愛娘、闇無天よ!


 香炉から立ち昇った煙が夜空で渦を巻き、風に吹き散らかされることなく頭上でわだかまった。その雲霞の中に流星の1つが突入すると、それは一瞬パッと燃え上がって、その後消えた。その光景が音を発することはなかったが、それ以外の何かが空気を震わせ、同時にあなたたちの心魂を震わせた。わだかまる煙は確かに見た目以上の何ものかであり、虚空からあなたたちを睥睨していた。
「彼女が最初に昇天するのです!」と妙星尼は叫ぶ。「彼女こそが私たちの中で最初に永遠の命を手に入れるのです!」
 石原郁美のうめき声がすすり泣きに変わると、彼女は両肘をついて身を起こし、ショックと苦しみの中で辺りを見回した。すると白っぽい細い触手……煙?……が彼女の唇の間からするりと抜け出て、妙星尼に向かって風に乗って身をくねらせた。
 妙星尼はそれを吸い込んだ。頭上の不明瞭な靄の中で、また1つ流星が消失した。

 いあ! 私たちの中で最初に永遠の命を手に入れたものよ!

 石原郁美の最期を見届けた妙星尼は頭上の渦巻く靄=闇無天に向かって両手を上げる。滑り落ちた衣の袖が露わにしたのは、乾燥して痩せ細ったミイラの腕だ。

キーパー:いよいよ妙星尼が化け物の片鱗を現しました。それを見た皆さんは正気度ロールをしてください(全員成功して喪失なし)。
 香炉から立ち昇った煙は上空で黒い雲のように集まります。見上げた頭上に浮かんでいるのは……ざっとこんな姿の存在です(※闇無天のミニチュアを出す)
一同:おおぅ……。
キーパー:ということで、闇無天は出現しました。
新城SANチェックですね?
キーパー:そうですね(笑)(※判定は全員が成功。泰野教授&新城が2ポイント喪失、須堂は1ポイント喪失)。恐ろしいものが出現しましたが、完全にこの次元に実体を固定できていない状態だとお考えください。
新城:煙っぽいというか。
泰野教授:モヤッとしている感じね。
キーパー:それが完全に実体化するのを阻止するのが、最後のアクションです。
 状況を説明すると、SSCメンバーは1名死亡(※=石原郁美)したので、妙星尼を除くと8人います。その中に眞仲亜衣と小宮かおるが含まれています。えー、完全にぶっちゃけると、5ラウンド以内に何とかしなくては駄目です。
泰野教授:はい。厳しいな(笑)
キーパー:阻止要因としては、以下のオプションが考えられます。
  1. 妙星尼を倒す。
  2. 香炉を破壊する。
  3. SSCメンバーを〈説得〉して、闇無天の危険性を認識させる。
 以上のどれか1つのオプションを、1ラウンドに1つ実行できます。それぞれに実体化阻止の%が決まっていますが、その数値は伏せておきましょう。
 ただし、闇無天はジッとしているわけではありません。触手で攻撃してきます。
一同:そうだよね~。
キーパー:目標は妙星尼以外で、完全ランダムです。SSCのメンバーも目標とされる可能性が平等にあります。
泰野教授〈説得〉技能があるので、説得に行きましょう。
新城:ダメージ・ボーナス持ちですので、妙星尼を倒しに行きます。須堂君は高炉に目を付けていたんだから、香炉を破壊しに行ってください。
須堂:行ってみます。
キーパー:ではDEX順に行きましょうか。

闇無天の触手攻撃の目標は1D12をロールして、以下の通りランダムに決定されることとなりました。

1:SSCメンバー 2:SSCメンバー 3:SSCメンバー 4:泰野教授
5:SSCメンバー 6:新城 7:須堂 8:SSCメンバー
9:SSCメンバー 10:SSCメンバー 11:SSCメンバー 12:振り直し

【第1戦闘ラウンド】

 SSCメンバーは状況が把握できておらず、何の指示も出ていないのでこのラウンドは行動しません。
 新城は妙星尼に向かって駆け寄って接近戦の間合いに入ります。須堂は一番近くに置いてあった香炉を蹴っ飛ばして無効化します。

泰野教授:顔見知りである亜衣ちゃんに駆け寄って両肩を揺さぶりながら、「この状況でもまだ信じているの!?」と言って説得します。
キーパー:なるほど。どうぞ〈説得〉技能ロールをしてください。〈説得〉技能の使用は本当は時間を要するんですけど、このシーンではそのルールは余裕で無視します(笑)
泰野教授:では。(コロコロ……)00(泣)
須堂:ここぞという所で(笑)
新城:(苦笑)
キーパー:ファンブルか。では、以後、眞仲亜衣は絶対に説得されません。闇無天は……(コロコロ、11)……SSCメンバーに対して触手を叩きつけて、ペチャンコにして赤褐色の染みと変えました。SSCメンバー、残り7人。
一同:はは……。
キーパー:(妙星尼)「皆さん! 狼藉者を排除するのです!」ということで、次のラウンドからSSCメンバーは動いて来ます。

【第2戦闘ラウンド】

新城〈こぶし〉で妙星尼を殴ります。(コロコロ)命中! 【一撃必殺】!(※ダメージを決めるために振るダイスの目を最大にできる) 7ポイント!
キーパー:なるほど。手応え的には何か乾いたものを殴ったような感じです。ミイラにはちょっとした装甲(※2ポイント)がありますので(※妙星尼の残り耐久力=10)
新城:カードの維持判定をします。これ、凄く大事なので。(コロコロ……1)維持!
キーパー:了解です。さて、殴られて集中力が切れたのか、妙星尼の外見がミイラそのものに変化しました。
一同:おお~、なるほど。
キーパー:それを見た皆さんは正気度ロールをお願いします。(※泰野教授と須堂は成功。新城は失敗)成功した人は1ポイント、失敗した人は1D8ポイント正気度を失います。強烈なんですよ、ミイラって。
新城:(コロコロ)……5! 〈アイデア〉ロールは……(コロコロ)……ま、成功しますよね。
キーパー:一時的発狂ですね。症状はランダムに決めましょう。この出目次第で状況が大きく変わりますよ。まずは狂気の継続時間が……。
新城:(コロコロ……)6戦闘ラウンド。
キーパー:6戦闘ラウンドの間、どんな症状になるか。1D10です。
須堂:この内容によってはまだ希望があります。
新城:(コロコロ……)9。
キーパー「奇妙なもの、異様なものを食べたがる。泥、粘着物、人肉など」! というわけで、目の前の異様なものを喰いましょう!
新城:ミイラをですか!?
須堂:逆に襲って喰い掛かる、と(笑)
キーパー〈噛みつき〉〈噛みつき〉っていう処理か。う~ん、〈組み付き〉みたいなシステマティックな動きと言うより、狂気に陥ってやみくもに掴みかかっていく感じかな。〈こぶし〉で攻撃を続けて、打ち倒してからむしゃぶりつく処理にしましょう。
新城:分かりました。
須堂:私は2個目の香炉を蹴飛ばしました。

 SSCメンバーは探索者たちの行動を妨害するために〈こぶし〉を振るってきます。特に強力な戦闘員ではありませんが、50%の〈こぶし〉も束ねれば侮れません。

キーパー:(SSCメンバー×3)「闇無天羅漢撃!」 志那虎一城のローリングサンダー的に3発入ります。1点、3点、2点。
泰野教授:意識不明です。バタッ。……あの〈説得〉ファンブルでケチが付いた(笑)。香炉へ行くべきだった。
キーパー:闇無天の触手は……(コロコロ、1)……SSCメンバー! ぷちっと。妙星尼は当然新城に攻撃して……(コロコロ)……スカ。
須堂:どうせ接近戦の訓練なんて積んではいないでしょうからね(笑)
キーパー:いや、単純にミイラは強いよ。命中率もダメージも普通の人間を遙かに凌駕しているので、ご注意を。

【第3戦闘ラウンド】

新城:(妙星尼を見て)「あ! 美味そう! 食わせろーーーっ!」(コロコロ……)命中して【一撃必殺】で7点(※妙星尼の残り耐久力=5)。【一撃必殺】カードの維持は……(コロコロ)……成功!
一同:おお~っ!
キーパー:まさに狂ったような戦い方です(笑)
新城:狂ってますから(笑)
須堂:香炉3つ目。

 SSCメンバーズは小ダメージを与えますが、探索者は耐えます。妙星尼の〈こぶし〉70%はまたしてもハズレ(※オープンダイスでお送りしております)。闇無天はまたしても触手によってSSCメンバーを肉塊に変えます。


【第4戦闘ラウンド】

 新城の〈こぶし〉はついにハズレ。須堂は4つ目の香炉を無効化。SSCメンバーズは小ダメージを与えるも、探索者を意識不明にするまではいかず。

キーパー:妙星尼の〈こぶし〉は……(コロコロ)……スカ! さっきから90以上しか出ない(笑)。闇無天の触手は……(コロコロ、11)……この出目で狙われるSSCメンバーはもう死んでいるので、倉庫を打ってぺちゃんこに潰してしまいました。

【第5戦闘ラウンド】

新城〈こぶし〉行きます。(コロコロ……)命中しました! 7点です(※【一撃必殺】使用)
キーパー:了解です。これで妙星尼の耐久力は0になりました。さて、闇無天の実体化成功率は99%なのですが、妙星尼が倒れると-99%の修正が付くので、実体化は失敗します。
須堂:【一撃必殺】カードがものを言いましたね(笑)
新城:ゲーム開始前は要らないカードかと思っていたのに(笑)

 ちなみに、香炉は4個無効化で-20%、9個無効化で-50%、13個無効化で-99%。〈説得〉が成功していたら、説得されたSSCメンバー1人につき-5%という仕組みでした。

キーパー:闇無天の実体化は失敗したらしく、頭上の煙が渦を巻いて小さく固まり、弾けるようにして霧散して消え去さります。その直前に闇無天は触手を伸ばして、妙星尼を絡めとります。触手は目にもとまらぬ速さで引き戻されるのですが、メキメキと何かを握り潰すような不快な音を残していきます。握り潰された妙星尼は、雲の中に吸収されてしまいました。それを目撃した人は正気度ロールをしてください。成功で1ポイント、失敗すると1D4ポイント喪失です。
泰野教授:私は目撃していないんだよね?
キーパー:そうですね。幸いと言うか何と言うか(笑)
新城:失敗しましたよ(笑)。1D4で……(コロコロ)……1ポイント失いました。妙星尼は跡形もなく消えてしまうってことですよね? 「待てや、コラ! 食わせろ!!」
須堂:成功で1ポイント喪失。
キーパー:怪異の去った流星寺前庭は死屍累々です。泰野先生に〈応急手当〉をしてあげられますよ。
須堂:30%ですが……(コロコロ)……成功! 1ポイント回復。
泰野教授2ポイントまで回復。でも意識不明のままです(笑)
キーパー:戦闘ラウンドが終われば、新城の狂気も収まって良いですよ。
新城:「……ハッ! 何じゃこりゃあ!」
キーパー:SSCのメンバーは妙星尼が消えたことで我を取り戻し、目の前の惨劇に恐怖して駐車場の方へ逃げていきます。(コロコロと判定して)小宮かおるは闇無天の一撃にて死んでいます。亜衣は生き残ったようですね。どうしますか? とりあえずトンズラかましちゃいます? それとも警察でも呼びますか?
新城:いや、逃げましょう。せいぜい公衆電話から「流星寺で騒ぎがあったみたいですよ?」と通報するくらいですかね。
泰野教授:そうだね。説明できないわ、警察に。
須堂:そうですね。逃げますか。



後日談

キーパー:後日、不可解な事件が報道されます。「真夜中、寺の境内で大量殺人! しかもその内の1人は病死!」
新城:「いったい何が!?」みたいな。
キーパー:ちょっと報道されて、結局何も分からないままで終わるでしょう。その夜、流星を観測していた天文台が、いくつかの流星が不可解にも消失するという現象を観測したそうですが、それが流星寺の上空で起きたかどうかまでは、特定されません。
新城:さすがに2つの事件を結びつけようとする人はいないでしょうな。
泰野教授:研究論文発表の夢はつぶれたな。
キーパー:「流星寺調査」の話はお蔵入りさせた方が良いという結論になるでしょうね。
新城:そうですね。何一つ発表できない(笑)
泰野教授:お蔵入りにしかできない(泣)
キーパー:これにてこの事件は終了です。焼き肉代だけがかさみました。
一同:(笑)


前 表紙 次