
キーパー:全員の都合が良い日を調整して石切町へと向かいます。石切町までは車で1.5時間ほどです。石切町へ近づくと、目を引く岩山が見えてきます。あれが巴比山なのでしょう。岩山にぽつぽつと貼りつくように木が生えていて、麓は鬱蒼とした木々に覆われています。岩肌には開口部が点在していて、それぞれの開口部の入口には投光器が設置されています。
新城:ほうほう。
泰野教授:それはどっち側に向かって?
キーパー:開口部の内部へ向かって設置されていて、昼間にもかかわらず、すべての投光器が点灯しています。
宇乃:ああ、募集しているのは投光器が点いているのを24時間監視する仕事なのか。
泰野教授:そうかもしれないね。
泰野教授:まずは澄山家に行ってみましょう。
キーパー:住所は判明しているので、場所はすぐにわかります。そこにあるのは一軒家です。新築の家ではないようです。
泰野教授:空き家活用でしょ、流行りの。
キーパー:真新しい表札には「澄山」と書かれています。
泰野教授:「引っ越してきたことは間違いなさそうね」
新城:郵便物とかは?
キーパー:ポストにはDMなどが溜まっています。
泰野教授:呼び鈴を鳴らしてみます。ピンポン♪
キーパー:呼び鈴は鳴りますけれど、誰も応答しません。
山田:家の裏手に回ってみて、勝手口とかはありませんかね?
キーパー:裏手に回ると勝手口があって、試してみるとどうやら開くようです。
泰野教授:「ごめんくださーい。どなたかいませんかー?」
キーパー:応答はなく、誰もいないようです。勝手口はキッチンに直結しています。
泰野教授:生活感はある?
キーパー:キッチンには洗われていない食器や、放置されたカップラーメンやコンビニ弁当の容器があって、異臭を放っています。INTロールをしてください(※新城がイクストリーム成功)。新城は気づきますが、ここで食事をしていたのは、おそらく一人でしょう。コンビニ弁当のラベルの日付に同じものが一つしかない等で、それが分かります。
宇乃:ということは、ここで最近まで誰かが食事をしていたということ?
キーパー:異臭を放つ程度には新しいものがありますので、そう考えられます。
宇乃:澄山夫妻は二人ともいなくなったと思っていたけど、実は一人はいる?
山田:でも郵便受けにはDMが溜まっていたんだよねぇ?
泰野教授:キッチン以外の場所はどう? 生活感はあまりない感じ?
キーパー:しばらくは使われていないようです。梱包されたままの段ボールが積み上がっていますので、引っ越してきたのは間違いないですが、まだ片づけは完了していない状態だったのでしょう。
宇乃:勝手口からは頻繁に出入りがある感じ?
キーパー:勝手口のたたきに泥だらけの足跡がたくさんついています。キッチンまでは土足で上がっているようですね。あと目を引くものといえば、キッチンのテーブルの上に懐中電灯と電池が大量に置かれています。
キーパー:無人の澄山邸を調べ終えて、皆さんは再び裏庭に出てきます。すると入ってきた時には気づきませんでしたが、キッチンとは別の異臭が漂っていることに気づきます。これは何かが腐るときに放つ臭いです。裏庭の地面の一角が不自然に盛り上がっていて、最近掘り起こされて、再度埋め戻したかのような態です。
新城:……掘り返してみますか?
山田:何か道具はありませんか?
キーパー:シャベルとかはありませんが、キッチンに戻れば何らかの器具は調達可能です。トレーとか、おたまとか。
新城:最近掘り起こされたということなら土も固くはないでしょうしね。やってみましょう!
キーパー:ざくざくと掘り返していくたびに腐敗臭が強くなってきます。やがて、四体の嬰児の死骸が出てきます。
一同:!!
キーパー:〈正気度〉ロールをしてください(※宇乃は3ポイント、それ以外の探索者は1ポイントの正気度を喪失)。〈科学(動物学)〉か〈医学〉ロールをしてください(※全員失敗。死骸の正体はわかりませんでした)。取りあえず、見た目は人型をしています。
宇乃:我々の目からは普通に人間の赤ちゃんに見えるということだよね。
山田:四体の死体以外には何も埋められていないよね?
キーパー:センチメンタルに手向けの花が一緒に埋められているようなことはありません。埋葬されているというよりは、穴を掘って遺棄したといった風です。折り重なるようにポイポイポイと埋まっていました。
泰野教授:「ど、どういうこと?」
新城:「……とりあえず、埋め戻しますか」
宇乃:澄山夫妻に子供がいたという話はないよね?
キーパー:皆さんが澄山夫妻と顔を合わせたのは2か月くらい前のことでしたが、少なくともその時点で阿紀が妊娠していたという事実はありません。
新城:110番しましょう。
宇乃:警察に知らせることで、この後の我々の活動に支障が出ないかな?
新城:とりあえず、人間の嬰児の死体と思えるものを発見したとなれば、110番しないわけにはいかないでしょう。相手の出方も分かりますからね。
キーパー:110番すると、しばらくして警察官が一人やってきます。(警察官)「何やらとんでもないものを見つけてしまったということで?」
泰野教授:「実は……」ということで訳を話します。我々がここにいる経緯についても詳しく話しておきます。
キーパー:警察官は一通り話を聞いた後、どこかに電話を掛けます。(警察官)「あー、小林です。ちょっと何人か応援がほしいのですが……」
泰野教授:そりゃそうだよね。
キーパー:(警察官)「ええ、ええ、それですわ。じゃあ、待っています」しばらくすると、男性が二人、徒歩でやってきて、黄色と黒の虎ロープを張っていきます。ただし、その男たちは所謂警官の服を着ていません。
新城:普通のスーツを着ている?
キーパー:クールビズ的な服装です。
宇乃:「警察の人じゃないの? どなたなんですか?」
キーパー:(警察官)「ああ、地元の協力してくださる方たちです」それから一通りの事情聴取を受けます。
宇乃:「澄山夫妻がいないようなのですが、何かご存じではないですか?」
泰野教授:「こちらに住んでいたみたいなのですが」
キーパー:(警察官)「……まあ、若い人たちは仕事がきつくなって、ふいっと何処かへいなくなってしまうこともありますから。この辺りではあまり珍しいことではありません」
宇乃:嬰児の死体が見つかったことについて動揺はしていませんか?
キーパー:警察官も含めて、やってきた男たちは一様に動揺しています。警察官の指示で虎ロープを張る男たちも、非常に気が進まない様子で、いやいや作業をしています。
宇乃:死体発見に動揺しているのは本当らしいな。
キーパー:(警察官)「ご協力感謝いたします。また何かおたずねすることがあるかもしれませんので……」そう言って名刺を渡してきます。
泰野教授:あとから来た二人の人たちに話しかけてみます。「ここに住んでいたはずの澄山夫妻と連絡が取れなくなったので探しに来たらこのような状況だったのですが……」
山田:「夫妻の消息等は知らないですか?」
キーパー:彼らは役場の職員のようです。(役場の男)「澄山さんねぇ。最近は見かけていないから、田舎の生活が嫌になって逃げちゃったんじゃないの? 若い人たちは辞めますとも言わずにいなくなっちゃうから」
泰野教授:単に飛んじゃったって認識なのか。
キーパー:(役場の男)「しかも、死体? を残していった? という話ですから。まったく、迷惑以外の何ものでもありませんよ」
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