
キーパー:この広場には七本の通路があると説明しましたが、どこの通路に反射的に飛び込むかをランダムに決めます。
宇乃:入ってきた通路(※=第1通路)に飛び込むことはできないの?
キーパー:可能です。ただし、意図的に通路を選ぶ場合は、反射的な行動ではなくなるので最初のチェイス・ラウンドを失います。なお、澄山夫妻は第7通路へ飛び込みます。澄山夫妻を護衛する目的で彼らと同じ第7通路へ飛び込むなら、やはり最初のチェイス・ラウンドを失います。
山田:ランダムに飛び込むか、第1か第7を選ぶか?
新城:そうですね。第7は、きっと阿紀さんを取り返そうとして、一番数多くの追跡者が来ますよね。
宇乃:難しいな。その目的で来たんだけど、護衛を務めることはできそう?
新城:殿を務めて、澄山夫妻を先に逃がすことはできるんじゃないですか?
泰野教授:護衛というより、追手の攻撃を分散させることくらいしかできなさそうだけど。単純に、外に出るまでに耐久力が持つかどうかの勝負だと思う。
キーパー:集団で逃げれば、当然追跡者も集団で追ってきます。単独で逃げれば、〈隠密〉で逃れるとか、個性を活かして追跡者をかわすことができるかもしれません。
泰野教授:どっちにもそれ相応のリスクがあるか。
山田:俺は〈隠密〉を持っているので、単独で逃げて追跡者を分散させるよ。そうなると、行く道はランダムだよね……(コロコロ)……第6通路でいきます。
新城:新城は1ラウンド遅らせて第7通路に行きます。
宇乃:目印をつけてきた通路は第1だよね? じゃあ、第1通路にします。
泰野教授:……そうだよね、第1通路にする。
泰野先生と宇乃が第1通路、山田が第6通路、新城(と澄山夫妻)が第7通路を選択して、玃たちとのチェイスが始まります。
【新城:第1チェイス・ラウンド】
キーパー:まずは新城からいきますか。毎チェイス・ラウンド、何かイベントが発生する可能性があるので、まず1D8をロールしてください。
新城:(コロコロ……)8です。
キーパー:新城を追跡する玃は2体増えて、合計3体になります(※最悪の結果。追跡者が2体増えると同時に、次のラウンドからさらに難易度が高くなる「イベント表2」をロールすることになります)。
玃たちは新城よりも移動率が3高いので、あっという間に新城に追いつきますが、かぎ爪による攻撃はすべて失敗に終わります。
【新城:第2チェイス・ラウンド】
キーパー:次のラウンド。このラウンドから、イベントは1D6をロールしてください。
新城:(コロコロ)……2。
キーパー:行き止まりです(笑)。1D3をロールしてください。
新城:(コロコロ……)2。
キーパー:では、2ドット戻ってチェイス再開です。
新城:(泣)
キーパー:玃はかぎ爪で3回命中(※新城の〈回避〉は失敗)。3+3+4で10ダメージです。
新城:意識不明です。
キーパー:新城のチェイスは失敗ですが、〈幸運〉ロールをしてください。もしかすると研川が助けに来てくれるかもしれません。
新城:今まで相当すり減らしてきたので〈幸運〉が低いんですよね(※新城の幸運は16)……(コロコロ)……さすがに失敗です。
キーパー:わかりました。新城は巴比山の闇の中に引きずり込まれて、その後その姿を見た者はいません。
【山田:第1チェイス・ラウンド】
キーパー:まずはイベントです。1D8をロールしてください。
山田:(コロコロ……)5。
キーパー:特になし。
新城と同じく、玃は山田より移動率が高いために追いついて攻撃しますが、かぎ爪による攻撃は失敗しました。
【山田:第2チェイス・ラウンド】
山田:イベントは……(コロコロ)……2。
キーパー:特になし(※ただし、次回から「イベント表2」をロールする)。玃の攻撃は失敗。
【山田:第3チェイス・ラウンド】
キーパー:イベントですが、1D6をロールしてください。
山田:(コロコロ……)1。
キーパー:了解です。山田のチェイスはここで終わりです。山田は先ほどの広場とは別の、大きな空洞へと出てきました。
【泰野&宇乃:第1チェイス・ラウンド】
宇乃:我々は道に迷うことはありません。
 キーパー:つけてきた目印を逆にたどっていくと、なぜか玃たちとは遭遇しません。
泰野教授&宇乃:ん?
キーパー:行く手で玃の唸り声が聞こえることはありますが、目印のままに進んでいけばそれを避けることができ、ばったり遭遇することもありません。
宇乃:え! 本当に!?(喜)
キーパー:やがて二人は先ほどの広場とは別の、大きな空洞へと出てきました。
泰野教授:……え?
キーパー:この時点で二人には分からないことですが、つけてきた目印は暗闇の中で目の見える玃たちに発見されて細工され、この空洞へと誘導する罠に使われました。
泰野教授&宇乃:なるほど……。
山田:(笑)
キーパー:泰野先生、宇乃、山田はほぼ同時に、直径50メートル、高さ10メートルほどの円形の空洞に出てきました。
山田:え? 俺も?
キーパー:山田は単純にランダム・イベントを重ねて、この空洞にたどり着き(※約2%の確率)、期せずして合流してしまいました。この空洞は巴比山のほかの区域とは違って、ぼんやりとした青い光で照らされています。

洞窟の奥、青白い燐光に包まれた広大な空洞。壁や天井から染み出す水によって、空洞は全体的にしっとりと湿っている。その中心に、異形の女王がいた。
赤黒く裂けたドレスをまとい、3メートルを超す巨体を地面に直接下ろしている。肌は青白く、鱗のような模様が浮かび、頭には朽ちた王冠が乗っている。それは錆びつき、歪み、もはや威厳ではなく呪いの象徴に見える。
その周囲の何のものともわからぬ白骨の山の間で、10体ほどの小さな影が這い回っている。異形の玃たちは額を地にこすりつけながら、女王のまわりを巡っている。
弱々しい光の中、女王の顔はしかと判別はしづらいが、その視線だけは感じる。心に直接刺さるような、氷のような目。
1体の玃がこちらを見て笑ったとき、女王の指がぴくりと動く。指の間にある水かきのような皮膜が、ちらりと覗いた。
キーパー:女王を見ることで〈正気度〉ロールをしてください(※宇乃と山田が1ポイント、泰野教授が3ポイントを喪失しました)。泰野先生は、先ほどの広場と合わせて20%以上正気度が減っていませんか?
泰野教授:45から36だから……減っているね。
キーパー:不定の狂気です。狂気を決めますので、1D10をロールしてください……(コロコロ)……先生は宇乃にどうしてもついて行かなくてはならないという考えに取りつかれます。
泰野教授:わかりました。それでも意外とマシな結果では……?
キーパー:この空洞の壁沿いにはたくさんの白骨が積み上がっているのですが、その上に896erの赤いキャップが乗っていることに気づきます。
宇乃:ああ……。
山田:896erはここで……。
キーパー:空洞に入ってきた皆さんを見て、女王は何やら言葉らしきものを発します。〈知識〉ロールをしてください(※〈知識〉ロールにイクストリーム成功すれば女王の発した言葉が古代ヘブライ語であることがわかりましたが、泰野先生は発狂中で、宇乃と山田はイクストリーム成功を達成できませんでした)。聞いたことのない言葉ですが、なぜか内容はわかります。(女王)「小さき人の子よ。お前たちの血は、甘き金属の味がする。……一つ差し出せ」空洞にいる12体の玃たちが包囲の輪を狭めてきます。
一同:……。
山田:12体の玃を倒して、さらに女王を倒すのは現実的に無理でしょう。若造の私が犠牲になりますよ。
宇乃:……私も進み出ます。
キーパー:「一つ差し出せ」ということなので、単純にランダムで……(コロコロ)……女王は宇乃を選択します。玃たちは泰野先生と山田が立ち去れるように道を開けます。
泰野教授:でも、私は宇乃について行かなければならないので……。
キーパー:1D10ラウンドで解ける狂気なので、女王とのやり取りの間に自我を取り戻すことができます。
山田:では泰野先生を先導して空洞から出ていきましょう。
キーパー:泰野先生と山田はその後は妨害されることなく巴比山の外へと出られます。以後、宇乃の消息が知られることはありません。
巴比山の闇の中に新城と宇乃は消えました。新城は女王の気まぐれで弄ばれ、死ぬまでにそれほど長く苦しまずに済むかもしれませんが、女性である宇乃の運命は、きっと新城ほど安らかなものとはならないでしょう。
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