キャス・パリーグ


6:キャス・パリーグ
コーンウォールより来たれる恐怖のこと。


キーパー:真夜中に千疋町をパトロールしていると、女性の声で「キャーーーーーッ!」という悲鳴が聞こえます。
一同:悲鳴の聞こえた方へ向かいます!
宇乃:泰野先生が見たという女性の情報があるので、周りを気にしておきます。
キーパー:すると路地を曲がった先で、立ち竦んでいるキャバ嬢っぽい女性と、それに襲いかかろうとしているモノを目撃します。その襲いかかろうとしているモノは、おそらく先日、皆さんが目撃したあの犯人(ビルド:3)と同じものでしょう。
キャス・パリーグ宇乃:今回は前回より距離は近いんですよね? どんな姿ですか?
キーパー:ソレは人間の身体に雌ライオンの頭を載せたような姿をしています。〈正気度〉ロールをしてください(※全員成功して1ポイントの喪失で済みました)。皆さんが駆けつけてきたことに気づくと、怪物はそれ以上キャバ嬢に襲いかかることなく、サッと逃げ出します。
泰野教授:「大丈夫!?」とキャバ嬢の様子を見ながら、周辺にあの謎の女性がいないかを探してみます。
山田:我々は犯人を追いましょう。

 みんな大好きチェイス・ラウンド開始ですが、怪物の足が速すぎて逃げ切られます。幸い佐山がギリギリで追跡をできていたため、犯人の逃げる先を確認することができました。怪物は金網を乗り越えて水深の浅いドブ川に飛び降りると、暗渠へと消えていきます。


キーパー:追跡に参加した人たちは金網の前に集合します。佐山の話によると、怪物は暗渠の中へと姿を消したそうです。何の装備もなしに暗渠へ入って追跡を続けるのは無謀なので立ち尽くしていると、皆さんは20~30匹の猫の群れに取り囲まれていることに気づきます。
一同:お?
キーパー:猫たちは鋭い唸り声を上げていますので、〈正気度〉ロールをお願いします(佐山と新城が1ポイントずつ喪失)。首輪をつけた猫もいれば、そうでない猫もいるので、飼い猫もいれば野良猫もいるのでしょう。猫たちは唸り声を上げながら輪を狭めてきます。
宇乃:猫たちから距離を取ろうとしますができますか?
キーパー:金網を背に追いつめられていく感じになりますね。猫を傷つけようとする人はいませんね? では、そうしていると、1人の女性が路地の奥から姿を現します。黄色のエプロンを着けた、髪を金色に染めた若い女性です。
新城:お?
宇乃:例の女性か?
キーパー:その若い女性が「フギャァァァァウ!」と猫のものに似た鋭い声を上げると、包囲していた猫たちはビクッと身を震わせた後、散っていきます。
宇乃:「……た、助かった? ありがとうございます!」
山田:「……君は?」
キーパー:(金髪の女性)「あなたたちの味方です。どうやら、あなたたちは事件に巻き込まれているようです。詳しくお話をしますので、ついて来てください」
宇乃:まぁ、事件に巻き込まれているのは確かですし――
新城:助けてもらったのも確かですしね。「分かりました」
キーパー:皆さんは金髪の女性について歩き出しますが、遠巻きにして、絶えず猫が監視していることに気づきます。ある猫の姿が見えなくなったと思ったら、前方に違う猫が現れるという具合です。
一同:なるほど。
キーパー:泰野先生も合流して良いですよ。襲われていたキャバ嬢は幸い怪我をしていませんので、変質者の襲撃ということで納得して帰宅したことにしましょう。

スカラベ
小池三弥
キーパー:皆さんは万座区にある猫カフェ「ケット・シー」に連れて行かれます。
宇乃:「……ちょっと、今、猫は怖いんだけど」(笑)
キーパー:女性は正面扉の鍵を開けて、皆さんを振り返ります。「ここは結界のようなものが張ってあるので、大丈夫ですよ」
泰野教授:「結界?」
キーパー〈クトゥルフ神話〉ロールをどうぞ(泰野先生と新城が〈クトゥルフ神話〉技能を持っていましたが、2人ともロールは失敗。成功していれば、結界の内容(=猫の侵入を阻止する)が分かる予定でした)。彼女の言う結界とやらがどんなものなのかは分かりませんが、とりあえず、店の中に猫はいません。
宇乃:いないんだ。
キーパー:彼女は小池三弥(こいけ・みや)と自己紹介します。そして「アレがあなたたちの言う“千疋町の化け猫”です。古代エジプトのファラオ、ウズラホテップに憑依された丸川賢人によって、コーンウォールから連れて来られたものです」
一同:コーンウォール! やっとつながった!!

小池三弥が語った事件の真相は以下の通り。

  • 怪物は、太古の昔にエジプトを追われたバーストの神官たちがコーンウォールにたどり着いた後に作り出した、猫神バーストの招来時に用いられる予定の依り代である。

  • 太古のファラオであり、バーストの神官でもあるウズラホテップが丸川賢人に憑依しているが、それがなぜ起きたのかは三弥には分からない。

  • バーストの強力な神官であるウズラホテップは白凰市の猫たちを配下に収め、怪物(三弥は、かつてブリテン島に棲息した化け猫になぞらえて、怪物を“キャス・パリーグ”と呼ぶ)を依り代に、信徒たち(=猫)の力を結集して開口の儀式(《バーストの招来》)を執行し、バーストを招来するつもりである。依り代としての力を高めるため、キャス・パリーグは人間を襲って食らっている。

  • 依り代はイギリスで過去にも出現したが、時の勇者たちによって倒されてきた。それらは現在白凰市を徘徊している怪物と同種(あるいは同一個体)である可能性が高い。


キーパー:(小池三弥)「私は白凰市でバースト神に仕える唯一の人間なのです」
宇乃:「では、あなたもバーストに復活してほしいのでは?」
キーパー:(小池三弥)「ウズラホテップがどのような目的を持っているのかは分かりませんが、私や白凰市の猫たちは不自由なくこの地で暮らしているので、バースト神の手を煩わせる必要性を感じていません。私はウズラホテップとキャス・パリーグは止められるべきだと考えています」
新城:「なるほど」
キーパー:(小池三弥)「あなたたちがキャス・パリーグと対決する際には、私も同行させてください。少しはお力になれると思いますし、バーストに仕える者としての責務だと考えています」
新城:「ウズラホテップ一味がどこにいるのか、分かりますか?」
キーパー:(小池三弥)「おそらく、白凰市立博物館の地下倉庫を根城としているのでしょう。暗渠からそこへ入るルートがあると思われます。もちろん、直接地下倉庫に入れる設備があるわけはないので、何らかの細工がされているのでしょうが……」
新城:そうなると、暗渠から行くのが正解のようですね。正々堂々、正規ルートで入り込むには全員で不法侵入をしなければならないですしね。
宇乃:……こんなやつらにどうやって対抗するの?
キーパー:知恵と技能を使って、それを調べるのが探索者の仕事です。

スカラベ

キーパー:翌日になりました。調査を始めましょう。
泰野教授:とりあえずブリテン島の過去の伝承あたりを図書館で調べます。〈図書館〉……(コロコロ)……イクストリーム成功。
キーパー:ブリテン島に伝わる伝承を発見します。“キャス・パリーグ”っていうのはアーサー王の時代に出現したとされる怪物猫のことで、円卓の騎士のケイ卿が倒した話が伝わっています。あるいは、もしかしたらアーサー王が倒した“ローザンヌの悪魔猫”も同一のものかもしれません。
泰野教授:同種かもしれない、と。
キーパー:それらの古譚の中に対抗策があるとすれば、「門番は誰だ」という物語の中にケイ卿のキャス・パリーグ退治が語られています。その際ケイ卿は「磨き上げられた盾」を持って化け物に対抗したと伝えられています。
新城三郎新城:ほう。
泰野教授:ほほう、磨き上げられた盾。
宇乃:相手の姿をそこに映すってこと?
佐山:鏡で良いのか、どうなのかでしょうね。
新城:メデューサ退治の神話の例(=盾に映ったメデューサを見て、首を落とした)とかもありますしね。
キーパー:盾をどのように使ったかっていうのは、実は語られていません。
泰野教授:う~ん、そうなのか(笑)
宇乃:じれったいな(笑)
キーパー:言い伝えって、大体そんなもんですからね。
宇乃:そうだよね(笑)
キーパー:盾のような大きな鏡っていうと、カーブミラーが思いつきますね。カーブミラーってホームセンターで買えるそうなので。
新城:ウズラホテップというファラオについても調べてみますがどうですか?(※〈図書館〉ロールは成功)
キーパー:ウズラホテップという名前では、何も情報は出てきませんね。
新城:なるほど。まあ、そうですよね。

スカラベ

佐山:我々は暗渠について調べますか。
宇乃:市の土木課に行けば資料が見られるはず。
キーパー:違法行為でもないので、苦労することなく見られます。確かに、キャス・パリーグが姿を消した暗渠をたどれば、博物館にはかなり近づけそうですね。
宇乃:侵入ルートはここで良さそうですね。博物館までの距離とかも確認しておきます。

 探索者たちは捜査を終え、ホームセンターでカーブミラーを全員(+小池美弥)分購入します。猫たちの監視は続いており、探索者たちは自分たちの行動がウズラホテップに筒抜けであることを前提として行動を余儀なくされます。
 懐中電灯など、そのほかの装備も整え、探索者たちは暗渠から対決の地へと向かいます。