
GM:皆さんとキャンベル隊の間の緊張感が一触即発のレベルまで高まった時、「ドカーーーーン!」と音を立てて、オリンピアの構築作業が行なわれていた大テントのそばの地面から、金色をした機械製の巨大なこぶし(※神の右こぶし)が出現します。同時に、馬に乗った奇妙な風体の連中が現れます。
エドガー:は!? マジですか?
エドワード:誰!?
GM:その連中は、揃いの青いローブを着た一団です。「突然、何?」という感じですけど、ケンブリッジ以降、クロックワーク関連の情報を拾っていけばその存在が見えてきたはずの一団です(笑)。残念ながら、ジョンの欠席によってぜんぜん拾えませんでしたけれど。
一同:(爆笑)
GM:青ローブの一団は全部で4人いて、銀髪の男に率いられています。銀髪以外の残りの連中は、歯車の意匠の仮面をつけています。
エドワード:歯車のマスクを着けているということは、やはりクロックワーク絡みの一団か?
GM:歯車の一団の首領の男がこのように言います。「“歯車の神”ルンクの魂の部品を盗み去った涜神者どもめ! 神の歯車にかかり、ひき潰されるが良い! ギデオン・コグスリーの名において願い奉る! 神よ、さらなる力を我に!」すると、孤児たちのいるテントの近くの地面を突き破って、もう1つ、こぶしが出現します。今度のこぶしは銀色の金属製で、かぎ爪がついています(※神の左こぶし)。ということで、こぶしを見て-20%で正気度判定です(全員成功して、正気度喪失は免れました)。
冒険者たちとキャンベル隊の間に割って入ってきたのは、“歯車の神”ルンクを崇拝する“歯車の寺院”の信徒たちです。彼らはビル・コックスによって教団から盗まれた“思考する歯車”(※オリンピアに組み込まれる部品の1つ)を取り戻しに来ました。なお、クロックワーク・マスク“沈黙の刻印”を使ってビル・コックスを処刑したのは彼らの仕業です。
GM:ゴブレット氏が「ルンクだと? あの、ティンカーの異端と言われる……?」と言っているところを見ると、どうやら彼はルンクについては知っているようです。キャンベル隊は突然の闖入者に驚いています。スパランツァーニは怯え、慌てた表情を浮かべています。おそらく、彼はこの展開を半ば予想していたのでしょう。キャンベル隊に対した時とは異なり、「この連中(=歯車の寺院)を始末しろ!」と明確な命令を飛ばします。
ギデオン・コグスリー率いる歯車の寺院の信徒たちはこの場にいるすべての者を殲滅すべく行動します。戦闘開始です。
第1戦闘ラウンド
最初に行動するのは銀色の神のこぶし、デイ・プニュス・シニストラ。孤児たちのテントを潰して暴れ回ります。放っておけば、孤児たちにも被害が出るでしょう。
エドガーは孤児たちを守るべく、デイ・プニュス・シニストラに立ちはだかります。自慢のグレート・ソードを命中させますが、金属製のデイ・プニュス・シニストラの装甲は硬く、ダメージの半分を防がれます。
ヴァレリィはもしもの時(〈応急手当〉)のために後方に待機します。
歯車の使徒(=歯車の仮面を着けた男)たちは剣でエドガーとエドワードに襲いかかりますが、命中を受け流されたり、そもそも命中しなかったりしてダメージを与えることはできませんでした。
ギデオン・コグスリーは荒事は配下に任せ、前に出てきません。
歯車の使徒の1人に対するエドワードの二刀流攻撃(ピストル&サーベル)は両方ともハズレ。
そして――
GM:エドワードに対するデイ・プニュス・デクストラの攻撃は……(コロコロ)……当たり! 巨大なこぶしが降り降ろされます。受け流しは可能です。
エドワード:(コロコロ……)失敗!
GM:スゲぇダメージが行きますので、ヒーロー・ポイントを使うのならどうぞ(笑)
エドワード:使います! (コロコロ……)失敗(泣)
GM:(コロコロ……)21ダメージ。
エドワード:“致命傷”です。ヒーロー・ポイントを使って“重傷”レベルに下げます。
GM:(「大怪我表」を確認して)「君は肋骨を骨折している。激痛のため、耐久力が最大値に戻るまですべての技能が-40%される」です。耐久力がマイナスになっているので、毎ラウンド〈回復力〉ロールをして、失敗すると気絶します。
第2戦闘ラウンド
孤児たちの救出に向かったエドガーにデイ・プニュス・シニストラが襲い掛かります。

GM: 1D5本のかぎ爪で攻撃します。(コロコロ……)3回攻撃。ハズレ、当たり、当たり。
エドガー:1回受け流しました。
GM:了解です。まあ、デクストラほどの一撃の破壊力はありません。(コロコロ……)14ダメージ。
エドガー:“重傷”です。ヒーロー・ポイントを使います。
GM:了解です。(「大怪我表」を確認して)背中を負傷しましたが、ヒーロー・ポイント効果で継続的な-40%ペナルティは適用されません。
エドガーの攻撃は命中し、ダメージ・ロールも走りましたが、デイ・プニュス・シニストラの高い耐久力はまだ半分も減っていません。
キャンベル隊の兵士たちはショックから立ち直り、デイ・プニュス・シニストラに向かって行きます。
GM:ベナンドナー(※ストライディング・スーツ)は、移動して孤児たちを抱きかかえるように全力防御をします。
エドガー:おお!
重傷を負って動きが鈍くなっている(全ての技能-40%)のエドワードは、歯車の使徒の攻撃によってさらにダメージを受けます。
GM:エドワードの行動順ですが、まずは-40%で〈回復力〉ロールです。
エドワード:気絶する可能性が高いよな。-40%だとすると……0%だ(泣)
GM:(笑)。01~05をロールすれば自動成功です。
エドワード:(コロコロ……)まあ、出るわけもなく。パターン、と。気絶しちゃいました。
GM:ここで、大テントの中からオリンピアの歌声が聞こえ始めます。それは雄々しい軍歌です。(オリンピア)「闘魂こめて~♪」
エドガー:おお! それはムチャクチャ元気が出ますよ!
エドワード:(笑)
GM:すると、大テントから9体の形式が不揃いの自動人形が飛び出してきて、デイ・プニュス・デクストラに向けてマスケットを一斉射撃します。バババババンッッ!
一同:おおお!(喝采)
GM:デイ・プニュス・デクストラはこの一斉射撃を受けるとバラバラと機械部品に分解して、崩れ落ちます。9体の自動人形に続いてオリンピアが大テントから出てきて、朗々と軍歌を歌い上げます。
エドガー:なんだか、バージョンアップしている!?
GM:かつて焦点の合っていなかった生気のない目は濃い青色の力強い目に代わっていて、心なしか、動きも滑らかに思えます。
エドガー:「もしかして、もう完成していたのか?」
GM:デイ・プニュス・デクストラが倒れたのを見ると、ギデオン・コグスリーは舌打ちをして、「退け!」と歯車の使徒たちに命じます。使徒たちは退却していきますけど、追う人はいますか?
エドワード:追いたくても追えない状態です(泣)。でも、おかげで死なないで済むかも。
エドガー:そういうこと(笑)
GM:デイ・プニュス・シニストラだけが残って、最後まで大暴れしますけど、キャンベル隊が討伐します。
エドガー:一応、討伐に力を貸しますよ。まさか、キャンベル隊と共闘する羽目になるとは。
GM:了解です。エドガーとニューモデル軍の兵士たちの活躍によって左こぶしも鉄屑になりました。ベナンドナーは孤児たちを守ってかぎ爪の猛攻にさらされたため、中破します。戦闘が終わると、額から一筋の血を垂らしたオスカー大尉がコクピットから出てきて「子供たちは無事か?」と周囲を見渡します。幸い全員無事だった孤児を確認した後、中破したベナンドナーを見て、オスカー大尉はため息をついて肩を落とします。
エドガー:……またいつか、キャンベル隊とは遭遇するかもしれないな。
“歯車の寺院”との初遭遇は終わりました。
ヴァレリィが〈応急手当〉をしますが、エドワードの負傷は一度の手当てでどうにかなるようなものではありません。耐久力が1に戻るまで数時間を要します。
キャンベル隊は“歯車の寺院”の存在を報告するためにケンブリッジへと戻って行くようです。中破したベナンドナーを荷車に積むと、アーサー・ゴブレット氏のキャンプから遠ざかっていきます。ジェーン婦人に変装していたスカサハはキャンベル隊に合流し、去り際、冒険者たちに笑顔で投げキッスをして手を振ります。
オリンピアは完成しました。コッポラが作ったクロックワーク義眼“ゼルペンティーナの目”と、ビル・コックスが“歯車の寺院”教団から盗み出した“思考する歯車”を組み込まれて、彼女は世界初の自律式自動人形となりました。
GM:オリンピアは、マスケットを一斉射撃した自動人形たちに「お兄さま方、ありがとうございました、力を貸してくれて」と語りかけ、1体ずつにキスをします。一方、アーサー・ゴブレット氏は「余計なことに巻き込みおって! もう二度と関わるのはごめんだからな!」とスパランツァーニに向かって怒鳴ると、孤児たちに指示を出してキャンプを撤収させ、いずこともなく去って行きます。去り際、孤児たちは皆さんに向かって元気よく手を振ります。
一同:(笑)
GM:皆さんは予定通りロンドンへの帰路につきます。往路の折々にあった突然歌い出すというオリンピアの奇行はなくなって、休憩時や食後などに、場に則した歌を披露してくれるようになります。
エドガー:なるほど。
GM:後日、ロンドンの社交界に妙なる歌声の美姫が登場したとのうわさが流れます。
【参考資料】
「砂男」、「黄金の壺」――E.T.A.ホフマン
|