1】出発前



◆数日前 10:34 東京/コズミック企画
キーパー:では始めます。皆さんは東京の番組制作会社「有限会社コズミック企画」の関係者です。あるTV局のプロデューサー、三波裕二郎(みなみ・ゆうじろう、NPCで、このシナリオの皆さんのボスという事になりますね)が “解明! これが日本の超常現象 パート2”という番組の中の1コーナーを作って欲しいと依頼してきます。
高田D“パート1”があったのね(笑)。
キーパー:好評につきパート2作成となったわけですね。だいたい番組としては面白くなくなるわけですが(笑)。
全員:(笑)。
キーパー:そこは高田ディレクターの手腕で。
高田D「任せてください」。
キーパー:今回のロケのクルーはプロデューサーの三波、高田ディレクター、カメラマンの山さんと、メイクのミッキー、ADは二人来ます。一人は当然矢田君で、もう一人は佐智薄史(さち・うすし)という名前です。
全員:(笑)。
キーパー:佐智君は24歳なので、「先輩、辞めるとか言わないでくださいよw」と矢田君に言っています。彼は矢田君が辞めると一番大変になるのは自分だということが分かっているようです。「先輩、ファンタはオレンジでお願いします」と言ってパシらせているくらいです(笑)。
全員:(爆笑)。
キーパー:あとはコメンテーターとして超心理学者の板野教授が来る、と。
教授ハイ。
キーパー:あと、リポーターとして雪宮悠里(ゆきみや・ゆうり)という名のグラビア・アイドルくずれが来ます。写真集1冊とDVD2本出したんですけど、そのあと鳴かず飛ばずということでこういったイロモノ企画のリポーターに流れてきたと、そんな感じですね。
教授ありがちな(笑)。
キーパー:ありがちですね。あとは脱ぐかどうかって所でしょうか。そんなわけでクルーは総勢8人ですね。今回はロケバスを借りて行きます。調べたら、今はロケバスは運転手ごとレンタルできるそうです。
山さん<運転>技能、いらなくね?
矢田AD<運転>80%(笑)。
山さん俺も。
高田D無駄に高い(笑)。
キーパー:レーサーみたいなのがいっぱいいるな。良く分かんない編成だな(笑)。
全員:(爆笑)。
キーパー:ロケバス借りるっていう段階で「運転なら俺に任せてくれればいいのに、チッ」みたいな雰囲気です。では、現場なんですが、鬼別郡の加羽津村(かはづむら)という場所に行ってもらいます。皆さん、「ファフロッキーズ現象」って知っていますか?
高田Dブロッケン現象じゃなくて、何それ、ふぁふ……?
キーパー:ファフロッキーズ(FAFROTSKIES)現象――Falls from the skiesの頭文字をとって命名された超常現象の事です。言えば分かるでしょう、カエルや小魚が空から降ってくるという現象を聞いた事あると思うんですけど?
全員:あーあー。はいはい。
キーパー:この現象のことをオカルト用語(?)でファフロッキーズ現象というんです。これ、私のフカシ(捏造)じゃないんで、本当にそういう名前が付けられています(※ネットで調べてみよう!)。皆さんが取材するのは、このファフロッキーズ現象、ということになりますね。
教授ほうほう。

ファフロッキーズ現象(Falls from the skies → FAFROTSKIES)

通常、空からは降ってくるはずのないものが降ってくる現象。カエルや小魚が有名だが、氷や石、ワニなども報告されている。

 1804年8月  ツールーズで未成長のヒキガエルが降る。
 1859年2月  イギリス、南ウェールズに小魚が降る。
 1861年2月  シンガポールにナマズが降り注ぐ。
 1877年  アメリカ、ノースカロライナの農園にて、体長30cm程の小さなワニ。
 1901年7月  アメリカ、ミネソタ州ミネアポリスに様々な種類のカエルが8cmも重なり合うほど降り注ぐ。
 1922年9月  フランス、シャロン・シュル・サオンで2日間、ヒキガエルが降り続ける。
 1954年6月  イギリス、バーミンガムで何百ものカエルが降る。
 1968年8月  ブラジルで1kmに及ぶ範囲に血肉が降り注ぐ。
 1973年9月  南フランス、ブリニョル村に小ヒキガエルが降る。
 1989年  オーストラリア、クィーズランド州ローズウッドで、1000匹ものイワシが降る。
 1995年  イギリス、シェフィールドで激しい雨と共に数百匹のカエルが降る。
 1997年2月  サウスオーストリア北部のウェルボーンヒルズ家畜牧場に体長5cm程のイサキ科の小魚。
 2009年6月  日本の石川県でオタマジャクシが大量に降る。 

竜巻原因説、プラズマ説など、様々な原因が唱えられているが、確かなものはない。

キーパー:以上のような現象が、どうやら加羽津村でつい最近起こったらしいです。超常スポットとして一部で有名になってきている村だそうです。
山さん名前のまんまですね。
キーパー:まさに、蛙=加羽津ってことですね。今回のロケはその加羽津村に行って取材してこい、あわよくば現象をカメラで撮影してきなさい、という事です。
全員:なるほど。
キーパー:番組に箔をつけるために出演者として呼ばれたのが板野教授です。
高田Dこんな番組に出てたら、名前に傷がつくんじゃないの?(笑)。
教授超常現象なんか基本的にはサラサラ信じてないんだけど、金のためにそれらしいコメントをする事に何の呵責も覚えないタイプの学者なんで。
キーパー:で、リポーターがさっき言った雪宮悠里ちゃんです。23歳です。
高田D……ダメだ(笑)。
キーパー:まぁ、グラビアとしては、もう……みたいな感じだよね。
矢田AD(笑)。
キーパー:でも、ホラ、ほしのあきちゃんみたいな子もいるわけですから(笑)。
教授なるほど。
キーパー:一応、TV局側の肝いりでリポーターとして抜擢されています。何か、ちょっと、ねぇ、枕の匂いがしたり……。
教授(苦笑)。


◆初日 08:48 東京/コズミック企画前
キーパー:皆さんは東京で集合して、一緒にロケバスで現場に向かいます。
教授その現象に関して、事前に分かる範囲で調査しておきたいんですが。
キーパー:んー、そうですな……。じゃあ、<オカルト><図書館>のどちらか好きな方で。
教授じゃあ、俺の<図書館>技能が火を吹くぜって事で……(コロコロ)成功。
キーパー:では、少なくとも過去、加羽津村という場所で異物が降ったというニュースは見つかりません。今回の件も記事にはなっていません。
高田D記事になっていないのか。じゃあ、どこから情報を手に入れたの?
教授三波Pに聞いてみますけど。「どこからのネタですか?」。
キーパー:「ソースはどこですか?」と聞いたら、こう答えます。「2ちゃんねるです」。
全員:(爆笑)。
キーパー:まぁ、それはさておき、ネットだよね。オカルト系の掲示板とかに書き込みがあって、噂が広がっているという状況です。
教授実際に降ったかどうかは分からない訳ですな。でも当然降ったことにして作るわけでしょ、番組は?
キーパー:三波Pは「降ったという事で頼むよ、高田君」。
高田D「そうですよね、カエルが降るなんて凄い!」。全然信じてませんけどね(笑)。
キーパー:そうだよね。君たちは全然信じる必要ないから。「番組を作ってくる事!」が君たちに求められる事です。
教授俺も適当な当たり障りのない事をコメントすれば良いわけですな。
キーパー:三波Pは「先生、ひとつもっともらしい解説をよろしくお願いします」。
教授「まかせてください」。
キーパー:実際に画に映るのはリポーターとしての悠里と解説者としての教授です。
高田D私の方が美人なんじゃないの?(※APP 16)
キーパー:まぁ、確かにね。でも、グラビアだから、悠里は。映り栄えするんだよ。
高田Dまぁ、25歳だから薹が立ってるしね。
キーパー:「よろしくお願いしまーす」という事で悠里もやって来ます。
高田D「よろしくね、雪宮さん」。
キーパー:で、もちろん悠里もロケバスに乗せていくんですが、悠里は山さんにDVDカムの使い方を聞いてきます。彼女としては今回、ファフロッキーズ現象が撮れるという前提の下、ロケに参加しています。
高田D信じている感じなの?
キーパー:それを撮りに行くロケな訳だからね。彼女はこの番組で一躍有名になってやろうと考えているようです。
矢田AD(笑)。
高田Dこれだから雑魚は……。夢見てんじゃねぇぞ。
キーパー:(悠里)「これで決定的な瞬間を撮れば、有名になれますかね?」。
山さん……早々とリタイヤしそうなキャラだ。
矢田ADそのとおり(笑)。
キーパー:ではDVDカムの操作を教えられたかどうか、<写真術>を振ってみよう。
山さん33(成功)。
キーパー:じゃ、ちゃんと教えられた。ジーッと皆さんの方にカメラを向けて、「……なんか、ちょっと冴えないわ」とか言いながら撮影などをしています(笑)。
全員:悪かったな(笑)。
キーパー:では加羽津村に向けて出発。



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