2】初日:加羽津村到着



加羽津村地図◆初日 11:53 加羽津村
高田Dどんな規模なの、村は?
キーパー:えーとですな、人口約200人、山間の村です。高速を使えば東京から3時間ほどで行けます。朝集合して、正午頃には着くよーって感じでしょうか。道中特に何もなく、「最近高速とか安くなったよねー(※ETC割引真っ最中)」等と言いながら正午頃、加羽津村に到着します。こんな感じの村です(※地図を見せる)。到着すると村長と村役場の職員さんたちが皆さんを歓迎してくれます。「歓迎 コミック企画ご一行様」と書かれた横断幕があります。
全員:(笑)。
高田Dってことは、村には話は通してあるんだ。
教授突撃ではない、と。
キーパー:プロデューサーの三波がバスから降りると村長と握手を交わします。村長は「お待ちしておりました」と挨拶します。
高田D「すいません、今回はご無理な事を申しまして」。笑顔を振りまいておきます。お仕事お仕事。
キーパー:どうやら、村としては協力してくれそうな感じですね。
高田D村にはお年寄りが多いんだよね? これで村の名が売れれば、少しは人が来るかもしれないというイメージを持っているのかもしれないな。では早速仕事に取り掛かったほうが良いのかな? それとも村役場に通されて村長のご機嫌伺いでもした方が良いのかね?
キーパー:その辺はプロデューサーがやってくれそうです。(※ここからカエルの鳴き声のBGMをエンドレスで再生『ケロケロ ケロケロロ……』
高田Dそういうギミック(BGM)も用意してたのか(笑)。凝ってるなぁ。
キーパー:「では、プロデューサーさんはこちらの方へ」と言って村長と三波Pは別の場所へ移動します。どうやらプロデューサーだけ別の接待を受けるようです(笑)。では、ここで皆さん、<アイデア>ロールを振ってみましょうか。……ではボーっとした矢田君以外はですね(矢田ADだけ失敗)、プロデューサーの三波を連れて行った村の役員たちの態度を見るとですね、明らかに「この取材で村興しができたらなぁ」という思惑が見え見えです。
全員:ああ、やっぱりね。
キーパー:矢田君はカエルの鳴き声に耳を澄ませて、「うん、うん。辞めろって? やっぱりそう思う? 俺には何か他の可能性があるよね?」みたいに、カエルの声の中に何かを聞いているようです。
全員:矢田君、帰って来い(爆笑)。
キーパー:では去り際に三波が「ああ、ディレクター、ちょっと」。
高田D「?」。
キーパー:茶封筒を渡して、「何かあったら、これで上手くやってくれ」。
高田D……中を見てみますけど。ナンボくらい入ってますか?
キーパー:20(万円)くらい。
高田D田舎のここならこれくらいか。「ありがとうございます」。
キーパー:でもさ、良く考えてみて。ここで思考が必要なわけですよ、このゲームは。分かる(と初心者対応の真似事)? “何で歓迎されているはずのこの村で「実弾(現金)で上手くやってくれ」って言われるの?”っていう事なんだよね。
山さん……。
矢田AD……。
高田Dそりゃあ……もっと「立入禁止!」みたいは場所があるから?
キーパー:そういうことだよね。要するに、全面的に「オールオッケー、大歓迎ですよ」ということではない、ということですね。遠巻きに見ている村人たちもいます。彼らは果たして――ということです。
ミッキーまぁ、閉鎖的な人もいるからねぇ。
高田D「よろしくお願いしまーす」と笑顔を振りまきます。
キーパー:クルリと背を向けて散っていきます。
高田D「……ああいう人たちもいるよね」。

キーパー:では役場の職員によってあなたたちは逗留先に案内されます。古池旅館という旅館です。
高田D……飛び込むか。
矢田AD飛び込んだ(笑)。
キーパー:この村唯一の旅館だそうです。(村職員)「午後7時から歓迎の宴会が、旅館の宴会場で開かれますので、それまでは村の散策でもお楽しみください」。
高田D「じゃあとりあえず、山さん、どこかポイントを探しておいてもらえる?」。
山さん「画になるポイントですね」。
高田D「ADと教授とミッキーは……」。
ミッキー俺の仕事はしかるべき時にメイクをする事だよ。
高田D「ではミッキーさんはゆっくりしていてください」(笑)。
キーパー:でも、レフ板とか持ってもらわないと、人員足らないよ(笑)。
高田Dレフ板持ってもらうのは、撮る場所が決まってからで良いから。
教授とりあえずロケハンでしょ?
高田D「興味があるならついて来ます?」。
ミッキー「じゃ、散歩してます」。
高田Dじゃあ、ADとカメラと3人でロケハンしてます。村の様子などを見ながら。
ミッキーじゃあ、教授と2人で散歩してます。
キーパー:ではマップでどこに行くかを指定してください。
高田D村の中を歩いて様子を見ながら村人にどこでカエルが降ったのかとかを聞いておきます。3人(※高田D&山さん&矢田AD)で村人の聞き込みをする。色々と拾いたいから、このあたりの伝承とかも。番組の中で役立てられるかも。
キーパー:なるほど。それには佐智君も着いていくよ。
ミッキーでは我々は唯一の観光スポットと思える神社にでも行きますか。
教授危険な香りがするといって尻込みもしていられないので、「そうですな」。えーと、神社まではどれくらい距離があるの? 5kmとかなら止めるけど。
キーパー:歩いて15分くらいです。では悠里ちゃんはこちらに同行します。
教授「ぐへへ」。
ミッキー「ぐへへ」。


◆初日 13:12 加羽津村/村内
高田Dでは村人に話を聞きます。「すみません、東京から来たコズミック企画の高田と申します」。
キーパー:(村人)「ああ、回覧板でTV局の取材が来るって回っていたな」。
高田D「カエルが降ったっていう話を聞きまして……」。
キーパー:(村人)「そうそう、降ったんだよ。いやー、ビックリしたよ」。
高田D「どんな感じでした? カエルが降るなんて不思議ですよね?」。
キーパー:(村人)「3ヶ月くらい前だったかな? で、その1ヵ月後には魚が降ってさ……」。
高田D「え!?」。
キーパー:(村人)「先月はサンマが降ったよ」。
高田D「……ここ、山間ですよね? そのサンマとか、カエルとか、どこかに保存されていたりするんですか?」。
キーパー:(村人)「んー、どうかな。ちょっと怖いしね、サンマは誰も食べなかったみたいだけど。詳しい事は郷土資料館の館長が記録しているみたいだけど」。
高田D郷土資料館があるのか。へぇ。「不思議ですね。この地域では昔からこういう事があったのですか?」。
キーパー:「いや……あ、そういえば……」とその村人が何かを言いかけると、別の村人――老人がその村人の袖を引いて話をやめさせます。止められた村人は「ち、ちょっと用事があるので……。すみません」と言って立ち去ります。せっかくですのでここで<アイデア>ロールを。(コロコロ……山さんと矢田ADが成功)ではカメラマンとAD君は分かったんですけど、やっぱり、特に年寄りがあんまりこの話をして欲しくなさ気な感じです。
高田D「なに、2人とも? 顔を見合わせちゃって。私だけ除け者?」。
山さん(何で気付かないんだろう……?)
矢田AD(笑)。
高田D「お年寄りは結構伝承とかに詳しいのよ? あのお年寄りにも話を聞いてみようかしら? すいませ~ん!」(笑)。
キーパー:避けられます(笑)。
高田D流石に気付いて良い?(笑)
キーパー:そうだね(笑)。ではしばらくしてから、「ねぇ、ちょっと皆、気付いてる?」と、自分が最初に気付いたよ的に山さんと矢田君にしたり顔で説明します(笑)。「いまさらナニ言ってんだ、この人?」的な空気が流れます(笑)。
全員:(笑)。
高田D若い人はいないの?
キーパー:います。子供とかいるしね。
高田Dでは子供に話を聞きます。「こんにちは~。カエル降ったんだってね? ビックリしたでしょう?」。
キーパー:「ビックリした! 君島栄太です!」と自己紹介してくれます(笑)。
高田D「栄太君かぁ。歳はいくつ? 五年生? カエル降るのを見たのは初めてなんでしょ?」。
キーパー:(君島少年)「ボクは見てないんだけどね。降った現場は見ていないけど、降ったカエルは見たよ」。
高田D「どんなカエルだった?」。
キーパー:(君島少年)「この辺にいるカエル。生きていたカエルはみんな、加羽津川に放してやったんだ」。トノサマガエルやアマガエルだったそうです。
高田D「お母さんや、お父さんや、おじいちゃん達もビックリしていた?」。
キーパー:(君島少年)「うん、ビックリしてた!」。
高田D「この辺、カエルって多いのかな? 加羽津村っていうのもカエルって意味だもんねぇ?」。
キーパー:では君島少年が「おーい!」って言うと、彼の友達らしき子供が水槽を持ってやって来ます。水槽にはカエルがいっぱい入っています。
高田Dうわ!
キーパー:ただ、入っているのはみんな赤茶色のカエルです。
高田D赤茶色?
キーパー:見た感じ、分かるけど、緑のカエルが入っていない。一種類のカエルしか採っていないんだろうね、きっと。
高田Dどこで採ったの?
キーパー:この加羽津川で、子供が集まってカエル採りをしています。
高田D「このカエルに名前はあるのかな?」。
キーパー:(君島少年)「アカガエル」。
高田D「川に行けばカエルはいっぱいいるの?」。
キーパー:(君島少年)「いるいる!」。
高田D「なんだかお魚も降ってきたって話だけど?」。
キーパー:(君島少年)「降った降った! 魚は見た!」。
高田D「じゃあ、また今月も降るかもしれないね。怖い?」。
キーパー:(君島少年)「怖い! 魚は死んでたから……」。
高田Dカエルは生きてたけど、魚は死んでたのか。「お爺ちゃんは何か言っていた?」。
キーパー:(君島少年)「お爺ちゃんは“不吉な事だ”って言ってた」。等と話していると、背後から「おーい! そこの東京から来た方々!」と声をかけて駐在さんが近づいてきます。
高田D「コズミック企画の高田と申します。よろしくお願いします」。
キーパー:(駐在)「ああ、聞いておるよ。申し訳ないが、あまり騒がないようにお願いしたい」。
高田D「?」。訳が分からないって様子で対応します。
キーパー:駐在が言うには、かいつまんで話すと「村人全員が、全面的に協力しているって訳じゃないんだよ」と。嫌がっている人もいるんだよーと、釘を刺しに来たようです。
高田D「そうですか。すいませんね、静かな村を騒がせてしまって。我々としてもトラブルを起こしたいと思っているわけではありませんので」。
キーパー:(駐在)「くれぐれも、ひとつ、よろしくお願いしますよ」。
高田D「あのー、この村に何か伝承とかってあったりします? 村ごとにあったりするじゃないですか、言い伝えみたいなものが」。
キーパー:(駐在)「郷土資料館があるので、そちらで聞いてみてもらった方が良いでしょうな」。
高田D「分かりました。そちらを当たってみます。ちなみに、駐在さんはカエルが降ったところを見ましたか?」。
キーパー:(駐在)「いや、私は見てませんよ。まさかカエルが降るとかw。カエルとかwww」。
全員:(笑)。
高田D「魚が降るのは見られた?」。
キーパー:「いやいや、空から降るのは雨と雪くらいなもんでしょう」。駐在は、どうやら両方とも目撃してはいないようですね。「そのような話が村で流行っているようですが、少なくとも私は見ていないので。郷土資料館の館長はそれについて調べていたみたいですから、話を聞いてみてはいかがかな?」。郷土資料館の場所は駐在さんが教えてくれます。
高田Dでは立ち去る駐在さんの背中を撮影しておいて、「駐在さんは何かを言いにくそうにしていた……」とあとでテロップを入れさせます(笑)。
全員:(笑)。


◆初日 13:34 加羽津村/加羽津神社
キーパー:
では次は加羽津神社の方へ行きましょう。神社には鳥居があって、そうですね、結構古い感じです。寂れて、手入れが行き届いていない。
教授へー、こういう村にしては珍しいな。
キーパー:<博物学>のロールでも降ってみましょうか。(コロコロ……教授&ミッキー共に失敗)では、そうですな、何か雨の神でも祀ってんじゃないの? みたいな感じですな。ちなみに悠里ちゃんはDVDカムで色々な場所を撮影しています。「スゴイ!」とか何とか言っています。何がスゴイかは彼女にしか分かりませんが。手ブレなんか気にしている様子はありません(笑)。
教授画面酔いするよ(笑)。何か由来書きみたいな物はないの?
キーパー:一つあります。<日本語の読み書き>ロールを……(2人とも成功)縁起にはですね、「蛙石」って書いてあります。「雨乞いの際に、この石にお供え物をしました」ってもので、全国的に見られるものです。雨乞いの際にお供え物をしたり水をかけたりして使われるものですね。蛙石っていっても、石にノミを入れてカエルの姿を彫ったのではなく、蛙の形に見える石というものです。
教授この石が御神体っぽいの?
キーパー:いえ、そうじゃないでしょうね。参道の脇にコロンと置かれているものです。しかも縁起書きの立て札も傾いちゃっています。
教授拝殿とかも綺麗じゃなくて、結構ほったらかしな感じ?
キーパー:そうですね。すると「どちら様かな?」と言って小太りで禿頭の宮司らしき人物が出てきます。
教授お? いるんだ、宮司が。「あのー、東京から取材に来た者なんですけど。こちらのお社の由来などを聞かせていただけたらと思いまして」。
キーパー:あなたがそう言うと、彼は悠里の所へ歩いていって「で、どこから来なすった?」と話しかけます(笑)。「この神社に何用かな?」と聞いていますけど。
ミッキー(笑)。
教授……くっそー、空気だ。完全に空気だ(笑)。
キーパー:悠里は「東京から来まして……」とあなたの言ったことを繰り返しています。それを聞くと宮司は「そうか、よく来なすった」と言って彼女の手を握って肩に手をかけたりして「上がって行き給え、茶くらい出そう」と言います。下心丸見えの態度です。
教授「“上がって行き給え”に我々は含まれていると思いますか?」。
ミッキー「……行きましょう」。
キーパー:社務所に行って麦茶を出されますが、宮司は自分と悠里の分は茶碗に注ぎますが、あなたたちの分は……茶碗はあるけど、みたいな(笑)。
教授憮然と自分で注ぎます。
キーパー:(宮司)「で、何だって?」。
ミッキー神社の由来を聞きたい。
キーパー:この神社は雨神タカオカミノカミを祀っています。要するに雨乞いに霊験あらたかな神社ですよーって事です。さっきの蛙石も同じですな。
教授「ってことは、昔から、ここは日照りが多かったのですか?」。
キーパー:あなたが聞きたかったことを悠里が「ここは日照りが多かったのですか?」ともう一度尋ねなおすと宮司は答えてくれます(笑)。「かつてこの一帯が旱魃に苦しんでおった時に、加羽津神社の聖域にある龍穴――“沱降し(だふらし)の穴”に村にあった残りの水をすべて注ぎ込んだら、雨となって一帯に降り注いだという伝説がある」。
教授「その穴は今でもあるんですか?」。
キーパー:(宮司)「もちろん、祭殿のさらに奥の聖域にある」。
教授ほほぉ、なるほど。「そこは見せていただくわけには行きませんか?」。
キーパー:(宮司)「撮影はNGって事でw」。非常に俗物っぽい人物です(笑)。
教授なるほど。「……彼女(悠里)が見たいって言っているんですが、それでも……?」(笑)。
キーパー:そう来たか(笑)。
教授「彼女もこの仕事に将来を賭けているみたいなんですよね」。
キーパー:(宮司)「う~ん……でもなぁ。加羽津村の住人以外が龍穴を見ると、霊験がなくなると言われておる」。
教授そうか、なるほど。
キーパー:ちなみに、その沱降しの穴に水を注ぎ込んだ時に降った雨の情景を描いたと言われている重要文化財「沱降図屏風」という屏風があるがあるそうです。しかし、「一般人には見せられない」。わざわざ教えてくれた割りには見せられないそうです(笑)。
教授それは何かの時には公開するとかそういう事じゃなくて、もう絶対門外不出の物なわけ? 村の方々であれば見れるっていう事なんですよね?
キーパー:神社の儀式――別に雨乞い目的じゃなくてもやっているわけですが、お祭りとして――は、その屏風のある祭殿で行うので、村人は当然見る事ができるそうです。
教授「時に、最近、魚やカエル、降りました?」と唐突に聞いてみよう。いや、そう「言って」って悠里ちゃんに。
キーパー:(笑)。悠里が聞くと、「そうそう、降ったんじゃよ」。先ほど村内で聞けたのと同じ事が聞けます。カエルが降って、小魚が降って、サンマが降りました。
教授魚とサンマは死んでいた、と。
キーパー:そうですね。サンマは凍っていたそうです。
教授そうか。でもサンマって刺さりそうだよね。死者とか出そうだよね。
矢田AD(笑)。
キーパー:魚と書くくらいですからな。
ミッキー「そんな事は良くある事なんですかねぇ?」。
教授と、聞いてって悠里ちゃんに。
キーパー:(宮司)「当然、良くある事ではない。少なくとも私が知る限り、ここ最近の3回しかない」。
ミッキー沱降しの伝承の中にもない?
キーパー:そうですね。「雨」は降りました。でも魚やカエルが降ったという記録はない。
教授誰かが処理に困った冷凍サンマを穴にブチ込んだわけではない?
全員:ああ~、だから空から降ってきたと。
山さん穴に村中の水を入れたら雨になったんですよね?
キーパー:そうそう。
山さん雨は、穴に入れた分だけ降ったんですか?
キーパー:昔の話なので何とも言えませんが、田畑が潤うほど降ったと言われています。
山さん入れた分だけなら、自分で撒けよって話ですもんね。
教授増幅されたんだろうね、きっと。
キーパー:少なくとも、「沱降図屏風」には凄い降った様子が描かれているとの事です。
教授「じゃあ、また彼女(悠里)と一緒に来ますんで」と言って立ち去ります。
キーパー:(宮司)「ああ、じゃあ宴会で」。
教授ああ、こいつも来るのか。「じゃあ、我々も宴会の末席を汚させていただきますので。その時には――」
キーパー:あなたがそう言っている間にも、悠里に別れを告げたら彼はクルリと背を向けてその場から去ります(笑)。
教授「あ、あー……」。じゃあ、とりあえず村へ帰りますか。
高田D携帯電話で連絡取れればアドバイスのしようもあるんですがね。
キーパー:携帯電話はアンテナが1本立つか立たないか。圏外である事の方が多いです。
全員:あちゃ~。
ミッキーじゃあ、賽銭箱にチャリーンと小銭を入れて撮影の無事を祈ってから石段を降りますか。
教授情報源はこの神社に山のようにある事が分かったので、良しとしましょう。


◆初日 17:59 加羽津村/郷土資料館前
キーパー:
では古池旅館の前で全員合流しました。
高田D「教授、何か分かりましたか?」。
教授「山の上では金がものを言う事が分かった。世の中、金だよね。金と女だよ、基本はね」。
全員:(笑)。
高田D資料館の存在を教授たちに話しておきましょう。
ミッキー時間があるなら行ってみる? 時間はどれくらいなの?
キーパー:そうですねぇ。じゃあ、今は18:00くらいにしよう。
ミッキーじゃあ、加羽津川にプラプラと散歩に行ってみよう。
教授でも郷土資料館は行ってみたいな。
高田D加羽津神社も撮っておきたいね、番組としては。
教授あの宮司は宴会に来るみたいだから、そのときに実弾を発射してもらって。札束で頬を叩けば。
ミッキーそれでも効かなけりゃ、人気のない所に誘い込んで、ディレクター自らが(笑)。
高田Dいかがわしい現場を撮らせて、それをネタに脅すと(笑)。
教授あの宮司じゃ、脅されないんじゃないかな(笑)。
高田Dじゃあ、自分らは資料館に……あ、ミッキーは加羽津川に行くんだっけ?
ミッキーうん。加羽津川に暇つぶしに。
高田Dでは我らは資料館に。
キーパー:了解。「加羽津村郷土資料館 午前10:00~午後4:00まで」と書いてある看板の前に来ました。
全員:ダメじゃん(笑)。
教授閉まってんじゃん(笑)。
高田D「矢田! どういうこと!? 矢田!?」。
矢田AD「え!?」(笑)。
教授「閉まってるだろ! 時間もったいないだろ! どうすんだよ!?」。
矢田AD「え!? え!?」(笑)。
キーパー:正座したAD矢田を取り囲んで皆で説教するわけですな(笑)。
山さんカメラで撮っておきます。
全員:(笑)。
矢田AD撮られてんのかよ。ヒデェ(笑)。


◆初日 18:06 加羽津村/加羽津川
キーパー:
6人が看板の前で呆然としている頃、加羽津川では子供たちがカエルを採っています。
ミッキー川の規模とかどうなの? 歩いて渡れるくらい?
キーパー:そうですね。膝までズボンをまくればザブザブと渡れます。流れもひどくゆっくりですね。
ミッキーカエルはいっぱいいそう?
キーパー:子供たちが大量に捕まえております。
ミッキー「どんなカエル?」と分かっていながらも聞きましょう。
キーパー:アカガエルですな。
ミッキー子供たちに聞いてみましょう。「へぇ、こんなにカエルが採れるのか」。
キーパー:(子供たち)「ここはカエル川っていうくらいいっぱい採れるんだよ!」。
ミッキーこれは俺の仕事じゃない気もするけど、カエルと魚の話を振ってみますか。「降ったんだって?」みたいな。
キーパー:「そうなんだよー」と言って、見たと言う少年もいれば、見てないと言う少年もいます。ただ口を揃えて言うのは、降ったという事実です。現場をリアルタイムで見たかどうかは人それぞれみたいです。
ミッキー降った後のカエルを見たと言う人と、空から実際にポロポロと降ってきた現場を見たという少年がいるのか。時間は昼間? 昼間か。見たかどうかはまったくの偶然っぽいな。「ところで、緑のカエルはいないの?」。
キーパー:「いるいる!」と言って網からカエルを摘み出します。ただ、緑のカエルは逃がしていますね。
ミッキー「ん? なんで?」。
キーパー:(子供たち)「緑のカエルはいらないんだって。先生がそう言ってた」。
ミッキー「そんなにカエルを捕まえてどうするんだろ?」。
キーパー:学校の先生が観察に使うので「ヤマアカガエル」を採ってくるようにと言われているようです。
ミッキー「へぇ~」。じゃあ、俺も帰るか。「皆も暗くならないうちに帰るんだぜ、ウィッシュ!」と言って帰ります。
キーパー:では子供たちは「「「ウィ~ッシュ!」」」と声をそろえて見送ります(笑)。
全員:(爆笑)。
キーパー:いきなり大流行しています(笑)。


◆初日 18:33 加羽津村/古池旅館前
キーパー:
では郷土資料館の前ですったもんだしているTVクルーとミッキーは合流しました。矢田ADを説教した後に全員古池旅館に帰るということで。
矢田ADひたすら謝ります(笑)。
キーパー:では一応、村の風景的なものを撮影しましたので撮れているかなー、ということで……。
高田Dチェックしようぜ。
キーパー:山さんのカメラと悠里のDVDカムの映像を。悠里の映像はグワングワン揺れています(笑)。
教授酔いそうなんですけど。
キーパー:事前撮影を終えて、皆さん映像をチェックしているという状況です。ここで皆さん、<写真術>ロールを。(山さん&矢田君が成功)ではもちろん2人も映像を見ているんだけど、50分撮ってきた映像の内45分は矢田君が謝っている時の映像です(笑)。
矢田ADええー!?(笑)
キーパー:で、始めの5分だけ見てたんだけど、映像になんか、こう、違和感を覚えます。ノイズが入っているとか、ピントが合ってないよーとかではなく、何か“オカシイ”。映像がどこかに「引っ張られている」ような違和感を覚えます。そんなわけで違和感に気付いたPCは正気度ロールをしましょう(笑)。
矢田AD35以下! 危なすぎる、これは!(笑)。(コロコロ……)7!
山さん65以下。(コロコロ……)4です。
キーパー:さっきの説教が辛すぎて目の前のショックには手が回らない模様です(笑)。……なんだろう、今まで感じたことのない違和感ですね。他の人たちは「宴会で何が出るんだろう?」と雑談している中で、2人だけが違和感に顔を見合わせている状況です。
教授我々はそれには気付かないので、「こんな田舎では出てくる料理もたいした事ないでしょうな。これでサンマが出てきたら笑えますな」。
高田D(笑)。
山さん違和感ってどこまで調べられます?
キーパー:撮影には失敗していない。で、当然色々な角度から撮影をしているんだけど、向けたカメラの映像から考えてどの方向へ映像が引っ張られているように感じられるかは<ナビゲート>に成功すれば分かるかもしれない。
山さん<ナビゲート>45! <運転>取っておいたから<ナビゲート>もつけておいたんですよね。(コロコロ……)6。これは最後の方で90とか出しちゃうパターンですね。
ミッキー一応カメラマンらしい洞察を得ているわけですな。
キーパー:村内で映像を撮っていて、カメラを向けていた方向と、引っ張られていると思われる方向を総合すると、どうも神社のある方角に引っ張られているような違和感を覚えます……。


◆初日 19:00 加羽津村/古池旅館の宴会広間
キーパー:村内で感じたそれぞれの意見交換などをしていると午後7時になります。座敷で宴会です。
ミッキーどれくらいの人数が出るの?
キーパー:皆さんと、村長の八木浩二と村議会の役員2人、あとは宮司の向井敦です。「やあやあ、悠里ちゃん!」ということで宮司は彼女を隣に座らせます。プロデューサーの三波の目配せを受けて、悠里は嫌々ながらもそこに座ります。上座には、場違いなモニターが設置されています。
教授は? なんだろ? ま、いいや。
キーパー:目の前に膳が置かれて、ビールを注がれます。
高田D参加者の様子を伺うけど、誰が一番力がありそう?
キーパー:ま、村長だろうね。
教授宮司の立ち位置は?
キーパー:宮司ですからね。それなりの尊敬は受けています。さて、皆さん揃うと村長が立ち上がって挨拶します。「このような田舎にTV局の取材が来てくれるなんて、大変喜ばしい事です。これを期に加羽津村の名前が広く知られて、観光客が来てくれるようになれば、村興しの一環にもなると思います。何卒、良しなに。では出席していただいている皆様のご健勝と、加羽津村の繁栄を願いまして、乾杯!」。
高田D落ち着いたら酒をついで回りましょう。

キーパー:では宴もたけなわな頃、村長が皆さんをモニターの前に集めます。「これを見ていただきたい」と言ってモニターのスイッチを入れると、素人がデジタルカメラで撮ったような映像が流れます。そしてモニターの映像から「本当に降ってきた!」という声が聞こえたかと思うと、空からカエルが降ってくる映像が流れます。
全員:ほほう。
教授ボトボト?
キーパー:そうですね。ザーッという感じではありません。肉眼で確認できる感じに、ボトボトと空から落ちてきます。
高田Dどこの点から降ってくるかは分かる?
キーパー:どこっていうか、本当に空からだよ。黒い点が見えたら、スーッと大きくなってそれがカエルみたいな。
高田D「ほー……本物だねぇ」。
キーパー:これが本物だったら、世界初の映像ですよ。皆さんがこれを食い入るように見ているところで<写真術>。(コロコロ……高田D、山さん、矢田ADが成功)少なくとも素人が合成したような不自然さは、映像にはないね。
高田D見ている村の役員たちの様子を見ますけど。
キーパー:「どんなもんですか!」という感じです。村役場の職員が撮った映像だそうです。3分くらいで終わります。
ミッキー降っているのはアカガエル?
キーパー:いえ、アカガエルもいますが緑のカエルもいます。大きさもまちまちです。地面に落ちたカエルも映っているんですが、落下の衝撃で気を失っているカエルもいますが、ピョンピョンはねているカエルもいます。
教授「この映像を撮った方にぜひお話を伺いたいのですが」と村長に言います。
キーパー:(村長)「ではすぐに呼びましょう」。村長が呼ぶとすぐに職員は来ます。
高田D「あなたがお撮りになったんですね。どんな状況でしたか?」。
キーパー:(職員)「カエルが空から降って来たと言われたので、行ってみたら本当に降っていたんです」。映像に入っていた声は、どうやらこの職員のもののようですね。降ってきたカエルはこの辺りで採れる種類のカエルだったそうです。邪魔なカエルは子供たちと村役場の職員で集めて川に放したそうです。
教授「どれくらい降り続いたかはお分かりですか?」。
キーパー:映像は3分でしたが、実際に降り続いたのは10分くらいだそうです。
高田D「なぜこのようなことが起こったとお考えですか?」。
キーパー:(職員)「おそらく地球温暖化が……」みたいなことを言っています(笑)。
山さん「それこそ教授に聞けよ」(笑)。
教授「う~ん、ま、気のせいでしょう」(笑)。
全員:(笑)。
キーパー:ただ、この映像はもう、皆さんテンション上がりますよ。これがもしTV局として撮影できれば、それこそ世界的快挙となります。悠里は「ハイ!」と挙手して「この件で1つ番組を作るべきだと思います!」と発言します。どうしても目立ちたいらしいです、彼女は。
高田D「悠里ちゃんの言うとおりですよね!? 教授」。
教授「ギャラはどうなるのかね?」(笑)。
キーパー:悠里は「“雪宮悠里の超常現象を探る!”で番組タイトルはどうでしょうか!?」といって勝手に冠番組作成を目論んでいます。それはともかく、もし本当に映像に納められれば、当然研究者が大挙して来ますよね。実際携わったスタッフ、コズミック企画もそうだし悠里もそうですけど、一躍有名になるのは間違いありません。学術調査が進んで観光資源にでもなれば、村にも莫大な富がもたらされる、と。経済効果は軽く数億いくんじゃないかと。
教授でも、こんなに直接的な映像が手に入ると、話が違ってきますな。
キーパー:映像は貸してくれます。VHSのビデオテープです(笑)。「資料用にお貸ししますが、後で返却してください」。
高田D「他にも村のあちこちを撮らせていただいて、大々的に売り出しましょう。宮司さんもご協力お願いします」。
キーパー:(宮司)「しかし、何といいますか、神社としては協力の範囲が限られてくるといいますか……」。
高田D茶封筒を誰にも見えないところからスッと。
キーパー:いくつ渡す?
ミッキーここは胸元を強調しつつ(笑)。
教授胸の谷間込みで……10だね、10。
高田DAPP16を駆使しつつ、「村のためですので」。
キーパー:(宮司)「む、むほん。村の利益は神社の利益でもありますからな!」。
全員:(笑)。
キーパー:村長が「屏風くらいだったら良いんじゃないかね?」と言うと、宮司は「では、屏風くらいは考えておきましょう」と答えます。
全員:ほほう。
キーパー:ではここでもう一度、「村の繁栄を祈念しまして、乾杯!」ということになります。しばらくすると泥酔した向井宮司が立ち上がって、大声でこのように予言します。「明後日の朝、赤いものが空から降ってくるであろうぞ! なぁ、悠里ちゃん! 赤いカエルを降らせるぞ!!」
全員:なんだこのおっさん(笑)。
キーパー:それを聞くと村議会の役員は顔色を失って、「む、向井さん! そんな事言っちゃだめだよ!!」といってロズウェルの宇宙人よろしく宮司を外に連れ出します。八木村長がそれに続いて、「では皆さんはごゆっくり」と言って退席します。
高田D村長たちの顔色は本当に変わるの?
キーパー:そうだね。宮司はロズウェルされちゃったからね。
高田Dほお~。「マジで(龍穴に)放り込んだんじゃないの?」。
山さん「そりゃ分からんよ」。
キーパー:では皆さんだけが残されます。
高田D「何かひと波乱、というか、含みがありそうね」。
教授「何か知っていそうだよな……。まぁ、屏風は見せてもらえそうですね」。
キーパー:「じゃ、明日からまた頼むから」と言って三波プロデューサーは自室に下がります。



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