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![]() ![]() キーパー:実際の調査は翌日からになります。翌日から皆さんは出社的なものをして、万理村君を含めた三人で使える会議室が用意されます。デスクが人数分あって、内線電話が一本引かれています。ここを拠点にして頑張ってちょうだい、というわけです。 チェ:なるほど。 キーパー:(瀬武課長)「橙美川検査員の資料はこれだ」ということで写真が添付された書類が渡されます。
キーパー:偶然なのですが、白凰市で車を運転している橙美川を目撃したFOSTの従業員がいます。その従業員、安藤光子は白凰市のオフィスでの橙美川が働いていたので知っていますが、仲の良い友人ではありません。彼女は駅前地区をドライブ中に彼を見つけました。彼は彼女には気付かず、彼女が後を追う前にいなくなってしまいました。 チェ:自動車には一人で? キーパー:少なくとも、橙美川一人しか見えなかったそうです。(瀬武課長)「では、まず橙美川検査員の捜索から始めてくれ。なお、なるべくFOSTの名前は出さないように頼むよ」 西崎:「分かりました」 西崎:まずどうしますか。家には一度も立ち寄っていないんだっけ? キーパー:検査開始時には当然、通常通り帰宅していましたが、検査が進行したある時点で家に帰らなくなったというのが正確なところです。 チェ:家族からの捜索願はいつごろ出たの? キーパー:一週間くらい前ですので、FOSTとの連絡が途絶えたのとちょうど同じくらいですね。 チェ:警察は捜査しているんだろうか? 大人の行方不明事件は、あまり捜査してもらえないっていう話だから。 キーパー:まぁ、見つかっていないのは確かです。 チェ:橙美川さんが乗っている車種は? 目立つ車なの? キーパー:車種は分かります。最新モデルの茶色のセダンです。当然ナンバーも分かります。 チェ:市街地を車で乗り回しているなら、車種は分かっているんだから目撃情報とかを聞き込んでみるっていう手もあるよね。 西崎:うむ。 キーパー:単純ですが、有効な手ですな。 チェ:分からないのは、橙美川さんが意図的に行方をくらましているのか、ただ闇雲に車を乗り回しているのかということなんだよね。それによって探し方も変わってくるだろうし。 どこかに行こうとしている、あるいはどこかに行っている? それとも車に乗っていること自体が目的になっているのかもしれない。 西崎:ふ〜む。車から降りて、どこかに立ち寄ったというような情報は? チェ:そういうことは警察で聞くのが一番早いんだけど……。確実なのは防犯カメラのチェックなんだけど。 西崎:あとは家族に話を聞くとか? チェ:捜索願を出している程だから、心当たりはないんだろうけど。家族と会うにも会社の名前は出さないほうが良いんだろうねぇ。 西崎:警察か、家族か、車を探すかですな。 チェ:橙美川さんって白凰市の生まれ? 國史院大学? では大学の後輩ということで……って、会社の名前を出さなければならないのか。微妙な所だな……。 キーパー:橙美川氏は大学では囲碁サッカー部だったので、その後輩だと騙るのはどうでしょうか? 西崎:(笑) チェ:囲碁サッカー部ですか!? いや、ルールも判んないよ(笑) ……OB訪問でお世話になりまして、って感じならあまり不自然じゃないかな? 西崎:そうですなぁ。じゃ、橙美川家に行ってみます。 キーパー:橙美川家は市内にある庭付き一戸建てです。 チェ:外から見て荒んだ感じはありますか? 掃除がされていないとか。 キーパー:そうですね。とっ散らかっている印象はあります。庭で三輪車が倒れたままになっているとか。当然、駐車スペースに車は停まっていません。 西崎:オレンジガソリンは置いていない? キーパー:目に付く場所には置いていませんが、庭の奥に倉庫らしきものがあるので、そこに貯蔵されている可能性はあります。 西崎:例の変な臭いはしないの? キーパー:なるほど。ニオイですから……<アイデア>で行きますか。現物が外に放置してあるわけではないので、-10%で。 二人:成功! キーパー:確かに、嗅いだことのある悪臭が漂ってきます。 西崎:見つけたかな? チェ:とりあえず、ピンポーン。 キーパー:呼び鈴に答えて出てきたのは、おそらくは奥さんだと思われる女性です。(橙美川夫人)「どちらさまでしょうか?」 チェ:「我々は國史院大学・囲碁サッカー部の千重本と西崎と万理村と申します。今年、就職活動のOB訪問で橙美川先輩にはたいへんお世話になりまして、ぜひご挨拶をしようと思いまして来ました!」 キーパー:(橙美川夫人)「主人は出かけておりますが……」 チェ:奥さんの雰囲気はどんな感じですか? キーパー:憔悴した感じですね。 チェ:「先輩にはお世話になりましたので、ぜひ直接お会いしてお礼を言いたいと思いまして」 キーパー:(橙美川夫人)「そうですか。ではそのように伝えておきますので……」橙美川夫人からは「早く帰ってほしい」オーラが発散されています。 西崎:まぁ、そうだよね(笑) チェ:「実は先輩の携帯電話に電話をかけて、先輩の都合に合わせて来ようと思っていたのですが、最近電話が繋がらなくて、今日直接来てみたんです。もしかして、先輩に何か……?」 キーパー:奥さんは非常に困った表情を浮かべます。 チェ:「もしそうなのであれば、今度はぜひ私たちが力になりたいのですが?」 西崎:「後輩として力になりたいのです」 キーパー:では万理村君も「事情を聞かせてください!」と奥さんに詰め寄った所で<説得>ロールをどうぞ。 西崎:(コロコロ)成功。 キーパー:すると奥さんは「主人はあなた方と最後に会った時、どんな様子でしたか?」と逆に聞いてきます。 チェ:「仕事の内容など、熱心に詳しく聞かせていただきました」 キーパー:(橙美川夫人)「特におかしな所はなかったんですね」 西崎:「はい。つい先日も、ご自慢のセダンで食事に連れて行っていただきました」 キーパー:あなたたちが本当に橙美川の後輩だと信じ込んだ奥さんはついにこう言います。「実は、主人は最近居場所が分からないのです」 橙美川は家にいた最後の数日間、不安そうにしていたと橙美川夫人は説明します。車庫に停めた車をじっと見つめて、意味もなく(時には真夜中に)外へ出て車に乗り込んだりしていました。そしてある夜、真夜中に車に乗り込んでドライブに出かけた橙美川は、そのまま戻ってはきませんでした。 しかも、橙美川の個人名義の銀行預金が全額引き出されています。しかし、公共料金の引き落としなどに使う家族共有名義の預金には手は付けられていません。夫人は夫が、何らかの目的を持って、しかし家族に迷惑をかけないように、姿を消したのではないかと考えています。 キーパー:(橙美川夫人)「そういうことですので、もし何か少しでも気付いたことがあれば、私か警察の担当の方にでも教えてください」 チェ:「分かりました。我々は学生の身分ですので力になれるかは分かりませんが、もし警察の担当の方のお名前を教えていただければ、お話できることがあるかもしれません」 キーパー:(橙美川夫人)「そうですか、分かりました。相談しているのは流石さんという方です」(※リプレイ「Super 8」参照) 西崎:ダメだ(笑) チェ:警察の線は切れたな(笑)。「ご主人は何か自室に仕事を仕事を持ち込んでいたということはありませんでしたか?」 キーパー:(橙美川夫人)「いいえ。でも最近はガレージにこもることが多かったです」 西崎:「では、ガレージを見せてもらえませんか?」 キーパー:(橙美川夫人)「何もないとは思いますが、そう仰るのならどうぞ」ということでガレージに入れます。 西崎:異臭は? キーパー:中に入れば、明らかに例のガソリンの異臭がします。 チェ:ガソリンタンクみたいなものはありませんか? キーパー:では<目星>ロールをどうぞ。と思ったら、「以前ガソリンの臭いをかいだ人はすぐに缶を見つけるでしょう」と書いてありました。悪臭を放つジェリ缶を見つけます。「Danger! Orange!」と書いてあります。間違いなくFOSTのガソリン缶です。 チェ:回収班を呼んだほうが良いかな? 西崎:うん、そうだろうねぇ。 チェ:残ったガソリンの回収の手配をして、「何か分かったらすぐにお知らせします」と奥さんに説明をして立ち去ります。 西崎:とりあえず一度、社に戻りますか。 チェ:報告のためにも一度戻りましょう。 キーパー:了解です。事務所に戻ると瀬武課長が橙美川家に残っていたガソリンは回収した事を教えてくれます。さすがに日も暮れていますので、今日の調査はここまでですね。 ![]() 千重本、西崎、万理村の探索者三人は橙美川の自宅付近と、セダンが最後に目撃された市街地で見当たり捜査をすることにします。千重本と万理村が橙美川家周辺を、西崎が駅前周辺を担当します。 チェ:とりあえず、見つかったらすぐに連絡を取り合いましょう。 西崎:了解。 キーパー:分かりました。では……西崎は<目星>ロールをしてください。 チェ:……あれ? 西崎:分かりました(笑)。(コロコロ)……19。成功。 キーパー:30分で見つかりました。とある賃貸アパートの駐車場に、褐色のセダンが停まっていますよ。 西崎:停まっている!? とりあえず、人が乗っているかどうかを確認します。 キーパー:車に人は乗っていません。 西崎:乗っていない? あれ? 千重本君と会社に連絡します。「とりあえず、車だけは発見した」 チェ:急行します! 賃貸アパートっていうと、ウィークリーマンションみたいな感じ? キーパー:そんなに洒落たものではありません。通りから奥まった場末にある二階建ての古アパートです。すぐに分かりますが、車からはもうお馴染みになった悪臭が嗅ぎ取れます。目を凝らせば、車本体から黄褐色の蒸気が上がっているようにも見えます。 チェ:間違いないですね。ということは、このアパートのどこかの部屋にいる可能性が高いですね。 西崎:うん。 チェ:表札を順番に見て行きますけど……真新しい表札はありますか? キーパー:「橙美川」という表札は出ていませんね。ただし、「大原」という真新しい表札はあります。 西崎:大原? 一階? 二階? キーパー:一階です。 チェ:中に人の気配はありませんか? キーパー:<聞き耳>をどうぞ。(二人とも失敗)特に物音がするということはありません。 チェ:管理人部屋は同じ建物にある? あるなら管理人さんの所へ行きます。「実は、橙美川さんという人を探していまして、駐車場にあった茶色の車に乗っている方なんですけど、ここにお住まいではありませんか?」 キーパー:(管理人)「橙美川さんという方は知らないねぇ。あの車に乗っているのは大原さんという方だよ」 西崎:写真を見せて「この写真の方でしょうか?」 キーパー:(管理人)「ああ! そうそう!」 チェ:「そうですか! 実は家族の方から捜索願が出てまして、我々は大学の後輩なんですが、奥様から頼まれてこの方を探していたんですよ。大原さんが部屋を契約されたのは、ここ一週間以内ではありませんか?」 キーパー:(管理人)「まぁ、確かにそうなんだけど……。でも部屋に出入りしている様子もないし、出かけているんじゃないの?」 チェ:「お部屋を見せていただくわけには行きませんか?」 キーパー:(管理人)「……警察から頼まれればやるけどねぇ」 チェ:「もしかしたら、一刻を争うかもしれないんです! 失踪された時には非常に具合が悪そうだったので」 キーパー:(管理人)「ダメなものはダメです」 チェ:ダメか……。今までの情報によると、常に車を乗り回していたという話だったから、今の、この車に乗っていない状況というのが、何を示しているのか? かなり良くない感じなんじゃないかと思うのですが……。 西崎:とりあえず呼び鈴を押して見ましょうか。ピンポーン、ピンポーン。 チェ:扉を開けてみましょう。ガチャ、ガチャ。 キーパー:呼び鈴が鳴っている音はしますが、誰も出てきません。扉には鍵がかかっています。もしどうしても開けたいなら、ぶっ壊すか<鍵開け>ですね。 チェ:ここに橙美川さんがいるのは分かっているんだから、もう、開けるべきなんじゃね? 扉の修理費は会社持ちってことで(笑)。とりあえず、どうにかして入ったほうが良いと思うんだけど。 西崎:管理人さんを説得するしかないかな。でも、さっきの様子だと<説得>に応じる様子はないよねぇ。 チェ:……窓から行くか? 窓を割って押し入ります! キーパー:(決断早いな(笑))では……<窓割り>って技能はないから……まぁ、<幸運>でしょうな。管理人さんが気付くか、気付かないか。NPCの万理村君は勘弁してあげるとして、PCの二人はロールをしてください。 チェ:(コロコロ……失敗)……(怒) キーパー:じゃあ、もう西崎は振らなくて良いです(笑) 西崎:ヒィーッ、ヒィーッ(爆笑、呼吸困難) キーパー:ドガシャーーーーーン! という派手な音を立ててガラスは割れました。(管理人)「こらー! 何やってんだ!! 110番、110番!!」 チェ:もうやってしまったんだから、窓を開けるしかない! どうせ捕まるんだから! ガラッ! 中に突入します! 「人の命がかかっているんですよ!」 悪臭はしますか? キーパー:ガソリンの臭いはしません。もちろん腐敗臭も。よどんだ空気の臭いがします。 西崎:会社に電話しておきます。「橙美川さんを見つけて、部屋に突入しちゃいました!」 キーパー:了解です。部屋の中には毛布に包まって膝を抱えている人物がいます。 チェ:「橙美川さんですか!?」 キーパー:まったく反応しません。 チェ:部屋の電気をつけます。 キーパー:すると毛布から顔を出して、部屋に誰かがいる事に初めて気付いたような表情を浮かべます。その顔はひどく頬がこけて目が落ち窪んで衰弱している様子ですが、渡された橙美川の写真の面影があります。彼は耳栓を外しながら「……君は誰だ?」 チェ:耳栓? だから呼び鈴にも応えなかったのか。橙美川さんの様子はどう? キーパー:かなり衰弱してはいますが、今すぐ命にかかわるほどのものではありません。 チェ:橙美川さんにはFOSTを名乗っても構わないよね? 「なぜ会社にも家にも連絡を取らずにこんな所で……?」 キーパー:(橙美川)「……あのガソリンが、私を狂わせたのだ。常に車を運転していたい気持ちにさせられたのだ」。いわば、自動車愛好症に罹ってしまったような感じですね。 チェ:中毒的なものか。それはガソリンの臭いを嗅いでいたいというものではなくて、車を運転していたいという欲求なの? キーパー:そのようです。最終的に自分の車への愛憎・好き嫌いを扱えなくなり、増大する非合理的な状態に家族を危険に巻き込んでしまうことを恐れて、彼は家族の元から逃げ出したのだそうです。 チェ:「なぜ会社に助けを求めなかったのですか?」 キーパー:(橙美川)「耳の近くで何かが語りかけてくるようになったので、とにかく逃げなければならないと、ただそれだけを考えていた。“車を運転せよ”と、ただ強く、それだけを」 西崎:幻聴? キーパー:それ以降、彼は囁き声から逃れるために耳栓をして、できるだけ眠るようにしていたそうです。しかし今度は、何者かに運転を強要される夢を見るようになりました。夢は次第に変化していって、運転をする夢から、徐々に海底に関する意味不明の夢になっていきました。 西崎:海底? チェ:海底に何が……? キーパー:まさに、なぜここで海底が? という感じですね。そして今度は逆に、彼は眠らないようにしました。耳栓をして、毛布をかぶって、外界から自分を隔離したのだそうです。 二人:……。 キーパー:さて、ほぼ同時に警察とFOSTの回収班がアパートの前に到着して、外で管理人を含めて騒ぎになっているようです。 チェ:ヤバイ! 警察のご厄介になってしまう! 西崎:(笑) キーパー:しかし、幸いにもFOSTも到着してくれましたので、橙美川を「会社の横領事件を詳しく知る重要参考人」として探していたと話をでっち上げて、場を治めようとしています。もしかしたら自殺をするかもしれなかったので、緊急を要したなどと<言いくるめ>に成功している模様です。 二人:(笑) キーパー:しかもどうやら、管理人にはお金を握らせて被害届けは出さないという話にまとめたようです。白凰市警もヒマではないので、「騒ぎを起こさないように!」と厳重注意して引き下がります。 橙美川は病院に入院して治療を受けることになります。FOSTの社員が付き添って救急車で搬送されていきました。回収班が来て、橙美川の車をレッカー車で回収して行きます。持ち帰って調査と洗浄をするそうです。 チェ:家族への連絡は? キーパー:FOSTが連絡して、もう奥さんは病院へ向かったそうです。その際、「数日前に大学の後輩を名乗る怪しい三人組が尋ねてきた」と電話口で言っていたそうです。 二人:(笑) ![]() キーパー:(瀬武課長)「これでどうやらオレンジの件は解決のようだな」 西崎:「そうですね」 チェ:「ただ、状況を考えますと、残る二人も心配ですね……」 キーパー:(瀬武課長)「“海底”がどうしたというような夢は、まぁ栄養失調が見せた単なる悪夢に過ぎないだろうが……」 チェ:「声も、ですか?」 キーパー:(瀬武課長)「うむ。なぜこのような症状が出たかは分からないが、これから病院と連絡を取り合って解明していかなければならない点ではある。どちらにせよ、まだパープルとグリーンの件が残っているから、引き続き頼む。一番低品質のオレンジでさえ、このような状況である事を考えると……事態は一刻を争うのかもしれない」 西崎:う〜む。 チェ:「そういうことですね」 キーパー:(瀬武課長)「今後も期待しているよ。でも、なるべく警察沙汰にはしないように」 二人:(苦笑)
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