海神の神殿



10:雪泥鴻爪


キーパー:10メートルほど潜って、水平の洞窟を抜けて、元来た道を泳いで戻って行きますが、後ろを振り返っても何かが追いかけてくる姿は見えません。
安坂:良かった! 助かるのか!?
キーパー:洞窟から出ると、先頭を泳いでいた三谷が止まって、減圧のための時間を取ろうという合図をします。三谷を無視して浮上してしまうこともできます。そうした場合はルール通りに亜硝酸中毒によるペナルティの判定をします。
泰野教授:追ってくるものがいないのなら、やっておくべきか。
一同:しましょう、しましょう。
キーパー:了解です。三谷の指示に従うのなら、減圧のための〈ダイビング〉技能ロールは自動的に成功します。皆さんが減圧のために待機していると、遠くの方に全裸と思われる2人の人影と、1頭のイルカが並ぶようにして海底へと潜っていくのが見えます。
新城:ん? 何だ?
泰野教授:我々とはすれ違う感じ?
キーパー:遠くの方にかすかに見える感じです。海の中も暗くなってきていますので、判然とはしません。
安坂:イルカは、あのイルカ(=シャーリィ)ですかねぇ?


ライン


キーパー:では、最後の〈ダイビング〉ロールです(泰野先生と安坂が失敗)。成功した人はセカエリア号の近くに浮上できます。失敗した人は遠くに浮上してしまうのですが、幸い成功した人がいるので、引き上げてもらえるでしょう。三谷は船舶免許も持っていますので、セカエリア号のライトを点灯して、もう暗くなった海を照らしてくれます。夜の海はたいそう危険らしいですからね。
安坂:「ううぅ、助かりました」
饗酔の杯キーパー:セカエリア号に蔦橋兄妹の姿はなく、彼らの服が脱ぎ散らかされています。状況的には、彼らは身軽になって海に飛び込んで、行方をくらましてしまったようです。(三谷)「蔦橋さんはどこへ行ってしまったんだ……?」
安坂:「もしかして、帰りにすれ違った人影がそうでしょうかねぇ?」
新城:う~ん。そうなんでしょうかねぇ?
キーパー:杯は持って帰って来たんですよね?
新城:持ってきました!
キーパー:“饗酔の杯”はもう霊酒を湧き出させていません。海水をこぼせば、空になったままです。
新城:おお……。
キーパー:三谷がボートを操縦すれば港に戻ることができます。
泰野教授:とりあえず、戻りましょう、陸上に。というか、何をおいても安坂くんを病院へ運びましょう(笑)
安坂:ドロドロのゾンビ状態です(泣)


ライン


キーパー:後日、三谷努から知らされるのですが、蔦橋兄妹はダイビング・ショップ「CB」の店舗を残したまま、失踪してしまったとのことです。また、底州湾にいたイルカのシャーリィも姿を消してしまいました。
泰野教授:あらら。
新城:はいはい。
安坂:「う~ん。やっぱりあの人影が彼らだったのか……」
須堂建次キーパー:そんな三谷の話を聞いた皆さんでしたが、もうそれどころじゃないです。なぜなら、須堂が失踪してしまったからです。
須堂(失踪):え?
キーパー日下部麻希が「最近、須堂さんが無断欠勤しているのだけれど、どういうことなの!?」と乳を揺らしながら机をバーンッ! と叩いたので様子を見に行ってみると、ぐっしょりと海水に濡れたベッドが残されていて、彼の姿はありませんでした。それきり、彼の姿を見た人はいません。
安坂:あららら。
須堂(失踪):そうか。頭像は置いてきたんだが、あの縁は切れなかったか……。
安坂:生きようと思う者が死に、死のうと思う者が生き残る。それもまた……。
キーパー:底州湾の竜宮伝説にまつわる話は以上となります。お疲れさまでした。