【リアルにヤバイ! 撮影者】



古藤:映像の送り主は?
キーパー:この映像を撮った白凰市在住の方です。投稿してきたのは撮影していた男性の方みたいですね。
木原:そこから当たるのが早いだろうね。
古藤:映像の冒頭にあった「百蔵庵」というものを検索かけてみた方が良くないでしょうか?
木原:確かに。それを調べなきゃならんな。
宜保夫:我々の<オカルト>知識で何かピーンと来ないのかな?
キーパー:良いですよ。振ってみてください(全員成功)。さすがに仕事柄、心霊スポットに関する情報は結構持っているんですけど、割とマイナーな心霊スポットで、とりあえず出回っている噂としては、黄色い壁に「百蔵庵」と書かれた一軒家の廃屋があるというものです。先ほどの映像と情報はピタリと一致しますね。関東圏にあるらしいのですが、詳しい所在地は不明。ただ「百蔵庵という場所があって、そこはヤバイらしい」という噂がネットなどで飛び交っているという状況です。
宜保夫:何がヤバイの?
キーパー:情報は錯綜しているのですが、“少女の霊が出る”、“かつて住んでいた一家が惨殺された”、“家族の一人が焼身自殺した”とかいう噂がある程度です。
カフカ:まぁ、ありがちですな。投稿者が分かっているなら、会いに行って、場所を聞いて、突撃かけましょう。
宜保夫:こういうのって金一封みたいなものを渡すの?
キーパー:「採用されれば10万円」くらいらしいです、調べてみたら。投稿者は牧田五郎という23歳の男性です。連絡をすれば普通に取材に応じてくれます。
古藤:ではアポイントを取って取材させてもらいましょう。
キーパー:分かりました。取材には応じてくれます。
カフカ:「彼こそまさに白凰市のグレゴール・ザムザだな……」と決め台詞を言って場面転換させます。
木原:なんでだよ(笑)

キーパー:取材は牧田君が住んでいる近所の公園で、というよくあるシチュエーションになります。
一同:あるある(笑)
キーパー:約束した日時に指定の場所へ行ってみると、牧田君と一緒に映っていた女性も来ています。今野愛実さんという22歳の女性です。(牧田)「採用されたんですね?」
古藤:「まだ本採用とは決まっていないんだけど、確率はかなり高いと思うよ。そのあたりを確定させるためにも取材をしたいんだ」
キーパー:(牧田)「分かりました。何でも聞いてください!」

 牧田五郎から聞き取った情報をまとめると、彼らは「百蔵庵」についてはネット経由であらかじめ知ったいたそうである。そして10月初旬(三週間ほど前)、今野愛実と鬼別郡の山中をドライブ中に道に迷い、偶然にも百蔵庵そのものを発見してしまった。道路地図で確認してみると、かなり細い道ではあるが、牧田の言う「迷い込んでしまった道」とやらが確認できる。
 百蔵庵での怪奇現象からほうほうの体で逃げ帰った後、特に彼ら二人に霊障のようなものは現れていないとのこと(取材班は何もないと聞いて明らかにがっくりと肩を落とす)。


キーパー:(牧田)「この話はまだ誰にもしていません。実は御社のシリーズのファンでして、どうせなら投稿してみようかと思って」
古藤:「それはありがとう」
カフカ:牧田君の肩にぽんと手を置いて「でも、本当にヤバイ場所には――行くな……!」と玄人面して言います。「――行くな……!」のところは首を横に振りながらウィスパーボイスで。
一同:(爆笑)
キーパー:他に何か聞くことはありますか?
カフカ:う〜ん、でも実際、行ってナンボってところはありますよね。
木原:うん。
カフカ:ではこんなところでしょう。「情報提供感謝します」ということで10万円の謝礼を渡します。「コレで焼肉でも食ってください」
キーパー:(牧田)「ありがとうございます!」
カフカ:「もう君たちには言うまでもないとは思うけど、本当に危ない場所には――行くな(※ウィスパー)……!」
一同:(笑)

カフカ:では我々のできる範囲で「百蔵庵」について調べてみますかね。場所も分かったので、その辺りの地主とか、かつてここに何があったのかとか、ここで何かあったのかとか。周辺情報的なものを調べていきましょう。
宜保夫:私有地だったりすると面倒事があるかもしれないし、お役所的なところは調べておいた方が良いかもしれないね。
古藤:登記とか、その辺りですか。
キーパー:では<信用>ですな。
カフカ:お任せください。50%あります。(コロコロ……)「……あの木っ端役人どもが! すべて日本の政治が悪い! すべて●田政権が悪いのだ! あの政界のグレゴール・ザムザめ!!」(※失敗)
宜保夫:ダメだ(笑)
古藤:04! 成功。
キーパー:調べてみますと、山自体は国有地ですね。で、当該地の現在の所有者は、いません。
宜保夫:ふ〜ん? 建物が建っていること自体がありえない話だな、本来は。
古藤:戦前、もしくは明治以前からだったら……。
木原:でも、そんなに古くは見えなかったんだよね?
カフカ:まぁ、物理的には無許可でも建てられますし。未登記物件なんてゴロゴロあるでしょ。
キーパー:逆に類推できるのは、かつてここに村があったり、何らかの集落があったりしたということはないということですね。
古藤:なるほど。
カフカ:「百蔵庵」の怪談っていうのはいつごろから発生した話なんですかね?
宜保夫:そんなに昔からある話なのかな?
キーパー:先ほど<オカルト>に成功していましたから分かりますが、一番古くても3〜4年前ってところですね。
カフカ:3〜4年前に惨殺事件が起こっていれば絶対ニュースで知っているよな。惨殺事件は眉唾物だな。
木原:うんうん。
キーパー:心霊スポットにはお約束のエピソードですからね(笑)
カフカ:なんにしろ、行って映像撮ってこなけりゃお仕事にならんので、現地へ行くとしましょう。
宜保夫:「運転なら任せてくれて良いっスよ」
木原:「ナビは任せてください」



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