【リアルにヤバイ! 百蔵庵】



キーパー<ナビゲート>ロールに成功すれば、牧田君の言っていた脇道を見逃さずに入ることができます。
木原:(コロコロ)OK。
キーパー:そこは1.5車線くらいの幅しかない、ぎりぎり対向車とすれ違えるくらいの道です。その道を走っていると、鬱蒼とした木々の間に黄色い建物が見えます。
木原:「おおお!? あれじゃね?」
キーパー:そちらへ向かうと思われる一車線の道があります。舗装はされていますが、落ち葉などが厚く積もってしまっています。
カフカ:「最近車が通ったような轍とかは残っていないか<追跡>とかで調べた方が良いのではないか?」とメタ的なことを言います。人の出入りがあるのかどうか?
宜保夫:09! 成功しました。
キーパー:車が行き来した跡があります、一つ。
宜保夫:それは牧田君たちのもの?
キーパー:おそらく、彼らのものでしょう。
カフカ:なるほど。ということは、それから少なくとも車では誰も来てないってことか。彼らが来たのは三週間前って言っていましたよね? 映像の「白い足袋を履いた人物」とやらが建物に暮らしているとしたら、ちょっとおかしいですね。
宜保夫:機材もあるだろうから、できるだけ車で近づいていきましょう。
キーパー:上り勾配の道を上がっていくと、上りきったところは更地になっています。その更地の真ん中くらいに先ほど見えたと思われる黄色い壁の建物が一軒、ポツンと建っています。皆さん<目星>ロールを。
木原:おし、成功!
古藤:成功。
カフカ:(コロコロ……)63、成功。(宜保夫に向かって)もちろん、63くらい出して余裕で成功ですよね?
宜保夫:……(失敗)
カフカ:「ぎ、宜保夫君……! ウングラオプリヒ(※信じられない)!」
宜保夫:いやいやいや(笑)
キーパー:成功した人(宜保夫除く)には二つのことが分かります。一つはそこに建っている黄色い壁の邸は、どう見ても最初から一軒家だったということです。辺りに集落があったという痕跡はありません。二つ目は更地には草一本生えていないという状況で、周りは鬱蒼とした林になっていて、草が生えている場所になって、急に更地! という状態なんですが、その更地の形が五角形になっています。どうやらその五角形の中心に邸は建っているようです。
木原:ふんふんふん?
キーパー:皆さんが車で上がってきた坂は、五角形の底辺に続くものでした。
カフカ:造成された土地ってことはあり得ないな。それならなにか記録が残っていてもおかしくない。更地に足跡とかは残っていませんか? 牧田君たちの足跡しか残っていなければ、まぁ、それはそれで手がかりにもなりますが。
キーパー:車の轍や足跡らしきものは見当たりますが、三週間経っているのでそれもかすかです。でも、どうやらそれも一組あるかないかのようですね。
宜保夫:それなら彼らのものと見て間違いないな。とにかく、更地に雑草一つ生えていないっていうのは異常事態だよね?
キーパー:少なくとも、誰かが手入れをしていなければ、こういう状態を保つことはできないと思われます。
カフカ:でも、手入れをしている人の痕跡はないわけですよね? 鳥とか、生き物の声が聞こえないか耳を澄ませてみます(<聞き耳>をして、宜保夫以外の3人が成功)。
キーパー:確かに、鳥の声は聞こえません。風に揺れる梢の音しか聞こえない。ザザッ、ザザザザザザザザ――
宜保夫:……車は更地からの出口に向かうように停めておきます。
カフカ:「まさに、廃墟界のグレゴール・ザムザといった佇まいだな……」
宜保夫:もう、なんだか意味が分からないよ。
木原:ぜんぜん意味が分からん。

キーパー:まず正面から見れば分かりますけど、黄色い壁に何か黒く文字らしきものが書かれています。
カフカ:「百蔵庵」と書かれているんですよね? それはどんな様子でですか? 墨で書かれているとか、黒い石が埋め込まれているのか、とか?
キーパー:文字は墨で書いたように黒々と、という感じです。<アイデア>ロールです。
カフカ:(コロコロ……)もちろん失敗です(笑)
キーパー:(笑)。墨で書いたのかなぁ、といった感じです。
カフカ:こすってみますが、指に黒くつきますか?
キーパー:微かに。
古藤:私も触ってみます。<アイデア>ロールは成功。
キーパー:壁のほうは、やはり漆喰のような質感です。触ってみても黄色く手についたりはしません。文字のほうは、やはり微かに黒く手につきます。文字自体は毛筆で、一筆書きにしたような感じ。ただし、どことなく歪な印象を受けます。崩し文字ともちょっと違うような感じです。
カフカ:「……とりあえず、“百蔵庵”の意味って何だ? “庵”は庵なんだろうからともかく、“百蔵”って何だ、“百蔵”って?」
木原:「百の蔵の庵ですから……」
カフカ:「“百”を入れている? 何だ、“百”って? 無数って意味の“百”か? 何かをたくさんしまってあるってこと?」
木原:「そうでしょう。蔵として使っているってことでしょうな」
宜保夫:建物の周りを回って大きさはどれくらいかとか、確認しておきます。
カフカ:窓とか、出入り口の様子や数を見ておきたいのですが。
キーパー:縁側とかがあるのですが、どこの出入り口にも雨戸が閉まっていて、空き家らしさを強調しています。窓ガラス的なものも、建物の各面に一つずつくらいありますが、どれも曇りガラスですね。ガラスが割れている様子はありません。二階には窓はありません。
カフカ:……デッドスペースに窓だけある、というようなケースを予想して、大体どこに窓があったかをメモしておきます。ところで……家屋にクモの巣とか張っていませんかね?
キーパー:目に付く場所には一切ありませんね。
一同:……。
木原:「……古いけど、手入れが行き届いている感じですね」
カフカ:「……あるいは、クモすらも近づかないのか」
木原:電気の引込み線とかはありませんかね?
キーパー:ありません。
宜保夫:一応確認しておきますけど、携帯電話に電波は来ていますか?
キーパー:圏外です。
木原:周りに井戸はないですか?
キーパー:周りをぐるりと回ってみても、井戸らしきものはありません。プロパンガスのボンベを置くと思われるスペースが裏手にあります。ボンベ自体はありませんが。それに発電機らしき機械もあります。
宜保夫:生活の痕跡、痕跡かどうかは分からないけど、それはあるんだね。
カフカ:この建物で生活する準備はされていたようですな。
木原:もしかして水道管も引かれているのかな?
カフカ:屋内に井戸がある可能性もありますからね、土間に併設されているとか。でもガスがあったってことは、水も使うでしょ。
木原:まぁね。
宜保夫:……とりあえず、中に入ってみますか?
カフカ:中に入らにゃ話は始まりませんわな。
宜保夫:(木原に向かって)音声と照明、どちらをやりますか?
木原:う〜ん、照明かな。
宜保夫:じゃ、音声で。
カフカ:ではレフ板持ちは私が。
宜保夫:いやいや、監督でしょ?(笑)
カフカ:人手不足なので。そこは割り切って、良い作品を撮るためにも。「オレがこの作品のグレゴール・ザムザになるしかない」
キーパー:もうなんだか基準が分からなくなってきましたが(笑)
カフカ:しかもザムザの仲間入りができて、ちょっと満足しています(笑)
木原:ザムザになりたいのかよ(笑)



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