地底の侵略者
02:マンションの怪

キーパー:そんな感じでそれからも昼間どこかのファミレスに集まったりとかしていたんですが、あの日以来、呉君は呼んでも来なくなりました。
鷲羽連絡は取れるんですか?
キーパー:連絡は取れます。
チェ理由は? 何て言ってんの?
キーパー:「他の用事がある」とかですね。
村瀬(弟)呉の実家ってどんな所にあるんだろうと興味があるので、Google Earthで調べてみます。
キーパー:どうって事はない片田舎の町です。という事はあれか? 名簿とかをもとに住所を? 一応言うと福岡県杉山市友成町という所ですね。
相原筑後炭鉱の辺りですか?
キーパー:そうだね。あの辺りにあった、いわゆる元炭鉱の町。

キーパー:そんなこんなで8月10日になります。夜の10時くらいなんですけど、織本さんの携帯が鳴ります。呉から電話がかかってきます。
織本俺、呉と同回生なのか。「もしもし?」
キーパー:「あ…もしもし?」
織本「よう、久しぶり」
キーパー:「ああ、良かった。…実は様子がおかしいんだ」
織本「え? 何? 様子がおかしいって?」
織本 光洋キーパー:「変な音が聞こえるんだ」と切迫した調子で訴えてきます。
織本「…呉さ、今どこにいんの?」
キーパー:「今、自分の――」と言いかけたところで電波の状態がちょっと悪くなります。ザザッ、ザザザザッとノイズが入るって感じですね。
織本「あ、ちょっと待て。窓際に行くわ」
キーパー:「…もしもし?」向こうもおかしいと思っているらしくて、あなたが「窓際行くわ」って言うのが通じていないようですね。「もしもし? もしもし?」ザザッ、ザザザザザザザザッ。
織本窓際に行って「もしもし、聞こえる?」ともう一度言います。
キーパー:「皆、部屋から出て行く…(ザザッ)…音が…(ザザッ)…音が…(ザーー)」そこで「フギャーーーッ!」っていう動物の上げる声かなんかが聞こえます。「! 小五郎!?」
織本ん? 「もしもし!?」
キーパー:「(ザザッ)…頭の芯が…(ザザザザザザザザッ)…音と…(ザザッ)…小五郎が…(ザザザザザザザザッ、ザッザッ)…ツー、ツー、ツー」それで切れてしまいます。
織本「も、もしもしっ!?」
キーパー:ツー、ツー、ツー。
織本いっぺん切ってもう一度彼に電話します。
キーパー:「ただいま電源が入っていないか、電波の…」
織本とりあえず電話を切って、俺以外で呉と一番親しいのって誰?
キーパー:(相原を指して)彼ですね。
織本一コ下なのか。じゃあ相原に電話します。
相原「ハイハイ、何スか?」
織本「あのさ、さっき呉から電話あったんだけど、そっちにも電話なかった?」
相原「いえ、ないっスよ。最近全然連絡つかないし」
織本「何か様子がおかしかったんだよね…あいつって何か動物とか飼ってないよね?」
相原「マンションですよ?」
キーパー:とりあえず<アイデア>ロールです。(二人とも成功)確かに原則として飼うのは禁止なんですけど、あの辺に住んでいる野良猫を呉君は可愛がっていました。その名前が小五郎。
一同:あ、ああ〜。
織本「何か様子がおかしかったんだよね。皆どこかに出ていくとか…。ちなみに今どこ?」
相原「自分の家の部屋です」
村瀬(弟)蕪を呼んで上の部屋を見に行けというのはどうですか?
織本ああ、なるほど。
相原「マンションで合流しましょう、俺も行きますから」
織本「うん。何だ、皆で集まって飲んでいるのかと思って。皆が部屋から出て行くとか行っていたからさ、電話で。ま、いいや。とりあえず俺、行くから」と言ってバイクですっ飛んでいきます。
相原では私も歩いていきましょう。
キーパー:誰も蕪に電話しない…。
相原ああ、蕪にも電話しましょう。
キーパー:電話すると「ただいま電源が入っていないか、電波の通じない…」
織本(慌てて)直接蕪の部屋に行きます。6階なので先に…。「ピンポーン」
キーパー:出てきません。シーン。
織本もう一回押して、出てこなかったら「じゃ、いいや」と言って7階に行きます。
相原合流できます、俺?
キーパー:ああ、良いよ。
相原「先ぱーい!」
織本状況を話して7階に行きます。「ピンポーン」と押して…。
キーパー:呉も同様です。
相原ダンダンダンダンダン!(扉を叩く仕草)…聞き耳してみますけど、何か聞こえますか?
キーパー:<聞き耳>どうぞ。
相原成功。
キーパー:何も聞こえません。<アイデア>ロール、二人とも。
相原成功。
織本ん? ん?(失敗)
キーパー:(相原に向かって)聞き耳を立てて「何も聞こえないな」と思うんですけど、よくよく考えてみたらこのマンション自体が異様なほど静かです。
相原ほぁ〜ん?
鷲羽このマンションはあの二人しか住んでいないという突拍子もない事は…?
キーパー:マンションは7階建てで、部屋はほぼ埋まっています。でも中には灯りが漏れてくる部屋もありますが、物音は一切しない。
相原…俺たち二人は会話は出来ているんですよね?
キーパー:あなたたちは出来ていますよ。
村瀬(弟)サイレンスではない、と。
織本自分の足音がしないとか、そんな事はないわけね。
キーパー:更に考えてみると、夏場ですから、夜になると虫が鳴いたりしているはずなんですけど、そういう音も一切聞こえません。
相原新聞受けをちょっと開けて、「先輩! 先輩!」と言いますけど。
キーパー:ちなみに呉の部屋は真っ暗です。他の部屋に灯りが点いている部屋もあるんですが、物音はしません。
相原隣の部屋は灯りが点いていますか?
キーパー:点いてますねぇ。
相原隣の部屋を「トントントン」と(ノックの仕草)。
キーパー:応答は一切ありません。
織本変だな…。もう一回電話してみます。呉に。
キーパー:同じですね。電波が入らないか、電源が入っていない。
織本そうしたら6階まで下りて蕪の部屋の前まで行って、蕪に電話します。
キーパー:すると中から着信音がします。
織本「あ? いるじゃん」
キーパー:ちなみに蕪の部屋の灯りは点いてますよ。
織本(扉の)横に窓とかないの?
キーパー:キッチンの所? ありますよ。
織本開かない?
キーパー:<幸運>ロールを振ってください。
織本(成功)ラッキー。開いてました。ガラガラガラ。「おーい、蕪?」
キーパー:反応はないですね。覗ける範囲では人はいません。玄関が見えるんですが、靴はありません。
織本出て行ったのかなぁ、二人とも?
相原呉の部屋の窓が開くかどうか試してみます?
キーパー:呉の部屋は反応はないけど、扉の鍵が開くかはまだ試してないよ?
相原じゃあ試してみましょう。ガチャ。
キーパー:開くよ。
相原「先輩?」電気をつけながら。
キーパー:特に反応はない。
相原靴はありますか?
キーパー:靴はない。
相原「先輩上りますよ〜?」と言いながら中に入っていきます。
キーパー:部屋の中は特に目立って何か変ったような事は一切ないですね。
織本猫います?
キーパー:猫は見当たりませんね。
織本猫が暴れたとかいった様子はない? 毛がいっぱい落ちてるとか。
キーパー:えー、じゃ<目星>で。
織本(コロコロ)92! 「全然ないなぁ」
キーパー:みなさんここに来る時は概ね蕪の部屋に集まるんですけど、たまに来た時に絨毯に猫の毛があるなとは思っていましたけど、相変わらずの様子で「あの猫は出入りしているんだな」とは思います。
相原携帯電話が机の上に置いてあったりとかはしないんですよね?
キーパー:しないですね。
織本「二人とも出て行っちゃたんだ」
相原「無用心ですね、鍵もかけずに」
織本「蕪は、まぁ、何か用事があったのかも知れないけど、呉は明らかに様子がおかしかったんだよなぁ。頭の芯がどうのこうのっていう…。“皆出て行ってしまう”っていうのがなぁ。てっきりお前たちが一緒に飲んでるのかと思ったんだよ」
相原「ちょっとおかしいですね…。壮大なホラー仕掛けの…う〜ん」
村瀬(弟)それこそ、他の部屋は煮炊きの途中とか?
キーパー:夜の10時くらいだからねぇ。
鷲羽クーラーとかは?
キーパー:つけっぱなしの部屋もありますね。
織本「これって…マリー・セレストみたいだね」
村瀬(弟)温かい紅茶がまだ…とか。夏場でこの時間なんで、飲みかけのビールが泡も消えずにそのまま、とか(笑)
織本蕪もなぁ。携帯置いて出て行ったって事はよっぽど慌てて出て行ったんだろなぁ。
相原気になるので他の階を見て回るんですけど、同じような状況なんですか?
キーパー:同じですねぇ。
相原マンションの周りを見て見ますが、もちろんいない?
キーパー:いません。それどころか人っ子一人いない。虫の音も聞こえないくらいです。…とりあえずマンションの周りを探すんだね? じゃ、<アイデア>ロール。
相原成功。
織本ん? ん? さっきから何も成功しない(笑)
キーパー:成功したら極微かになんですが、黴臭いような臭いがします。マンションの正面の側でですね。
相原「何か黴臭くないですか?」
織本「ん? そう? どの辺が?」
相原どこからかは分かりますか?
キーパー:あたりに微かに漂っている感じだね。どこかに臭いの発生元があって、未だにそこから発せられているというものではない。
相原残り香って感じですか。
織本「この時間に誰もいないというのは、さすがに…」
相原「警察に、というのは早計な気もしますし」
織本「何が起こったんだ?」って聞かれたら「いなくなったんで…」と言うだけだからなぁ。
キーパー:さぁ、どうしましょう?
相原「ちょっと気になるから皆を呼んで探しませんか? この周辺だけでも」
織本「蕪もいなくなっちゃったしなぁ。携帯も持っていかなかったから連絡もつかないし。何かあって逃げ出したっていう感じでもなかったしなぁ」
相原「“小五郎が”って言っていたくらいですから、呉は電話をかけた時にはまだ家にいたんですよねぇ」
織本「うん、多分。嘘じゃなければ家にいた。猫の鳴き声もしていたからね。だから多分部屋にはいたと思うんだよ。慌てて出て行った。でも呉は携帯を持って出ている。蕪は携帯も置いていってしまった。靴もないし、電気もつけっぱなしだし。よほど慌てて出て行った?」
相原「ちょっと気持ち悪いですよねぇ」



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