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【神託の導き】

ゲームマスター(以下GM):では皆さん、カドサンドリアの酒場にいるわけですが、日中は天気が良かったんですけど陽が暮れるにつれて猛烈な嵐になってきました。夜半頃、酒場の扉をバターン! と開けて嵐を避けるように一人の男が入ってきます。ジンジャーは分かりますけど、あなたと同じ出身国の人です。
ジンジャーお、紫の町の島人?
GM:紫の町の島の商人でしょう。どんな感じかっていうと顎鬚を生やして、商人伝統の身なりをしています。紫の町の商人は長髪を後頭部で束ねて油をつけて固めるというのが伝統に則ったスタイルなんです。で、鉄製のハーフ・プレートを着て、大型のメイスを腰に下げています。
ティスマンほう。
GM:いわゆる商店主ではないということは一発で分かります。交易商人ってやつですよね。酒場をキョロキョロと見渡すと、あなたたちを見つけてツカツカと近づいてきます。彼の顔に見覚えはありません。
クランデールんん〜?(顎鬚をしごく仕草)
GM:商人も顎鬚をしごいて髭コンタクトをします(笑)。
クランデール分かり合える(笑)。
GM:商人「失礼する。私の名前はパルヴィック・トランメル。実は、あなたたちの力を、どうしても借りたいのだ」
ジンジャー「どのような?」
GM:パルヴィック「実は、私は東方の大砂漠に唯一人間が永住する植民地の共同体、不浄の要塞のメンバーだ」 場所は何処かっていうと(地図を広げて)ここですね。
ティスマンおお!
GM:まさに未知の大陸といった所です。不浄の要塞はこの時代どういう場所かって言うとですね、今後<混沌>の一大拠点になるんですけど、まだそうにはなっていません。ただ未知であるということと、魔術師たちが入植していた時代があるので、魔術を恐れる<新王国>の民からは恐怖の目で見られています。彼はそこにある共同体の一員であると言っています。
ティスマンはいはいはい。
GM:せっかくですからここで<歌謡知識>ロールを。
クランデール(コロコロ)成功。
GM:では話に聞いたことがありますが、不浄の要塞は別名「イェシュポトゥーム・カーライ」と呼ばれています。イェシュポトゥーム・カーライというのは、その地で死んだ<混沌>の神の名前です。その亡骸が遺跡として残っているんだそうです。その周りに共同体を作って住んでいる、と。
 さて、ここでパルヴィックは予言を諳んじます。
 パルヴィック「棘持つものが砂漠から来たりて死せる神の横に穴を開け、血が流されるであろう。勝利は牙を持つ波乗りと死せる船長の傭兵たちによってのみ掴む事ができるだろう」
ジンジャーほほう(笑)。
GM:パルヴィック「名の通ったあなたたちがこの“死せる船長の傭兵たち”に違いない。ぜひとも力を貸してほしいのだ」
ティスマン該当するのは、確かに我々しかいないでしょうなぁ(笑)。
GM:実は心当たりがまだ5つ位ある、とかだったら笑えますよね(笑)。オイ、幽霊船ありすぎだろ、みたいな(笑)。
一同:(笑)
GM:ただ“牙を持つ波乗り”というのは、どうやらあなたたちのことではないようですね。パルヴィック「多分、これから出会う傭兵たちのことなのだろう」
 で、いったいどういうことなのかって言うとですね、不浄の要塞奪取を目論む砂漠の蛮族が襲撃してくる気配があるそうです。パルヴィックの属する共同体って言うのは<新王国>全土から集まってくる放浪者とか、研究家とか、脛に傷を持つような奴とかが集まってできた物なんですが、「イェシュポトゥーム・カーライは、もともと俺たちのものだったじゃないか!」と主張するいくつもの蛮族たちの部族が、一人のリーダーに率いられて大軍勢を組織したという状況だそうです。
クランデール蛮族はもともと砂漠に住んでいた人たち?
GM:そうですね。蛮族は原住民ですね。砂漠の民なので、どっちかって言うとユーグノー(ユー)よりはティスマン(‘嘆き野’)に近い感じです。
ティスマン「如何しますか、クランデール卿?」
クランデール「確かに興味のある話ではありますな」
GM:ちなみに、蛮族を率いているのは“千の魂の”ソーンというシャーマンだそうです。
クランデールシャーマン?
GM:ああっと、いわゆる魔術師です。学問としての体系的な魔術じゃなくて、部族的な呪術っぽいものですね。
ティスマン「その遺跡に行けば、もしかしたら船長の魂があるかも」
クランデールそうだねぇ。
GM:パルヴィック「もちろん、報酬は支払う。メルニボネ銀竜貨でたっぷり」
ティスマン「よっしゃ!」
ジンジャー「鬼門の銀竜貨ではありますな(笑)」(※前回「オクタゴン・オブ・カオス」で銀竜貨の散らばる部屋を回避したのです)
クランデール具体的に、その遺跡からは何か発掘されてるの?
GM:巨大な混沌の神の遺骸がそのモニュメントになっているんですけど、中に入れるんですよ、頭蓋骨の中とかに。
クランデール……ああ、なるほど。
GM:その中で、何か不思議なことが起こるわけです。魔術的なことが起こるので、そこの所有権を争っている、というところですね。
ティスマンふむふむ。
GM:遺跡というよりは、何て言ったらいいんだろ、歴史的に活況を呈してきたモニュメントなので、そこから何かを発掘するとかいうわけじゃないんですよ。発掘はされ尽くしています。言ってみれば、観光名所として利用されているという感じですかね。
クランデール訪れる人はそれなりにいる?
GM:そうです。基本的に共同体としては誰でもウェルカムという所なんですけど、それを良く思っていない蛮族たちが取り返そうとしているわけですな。普段は敵対的な部族同士が、強烈なカリスマを持つソーンというリーダーに率いられている状況です。
クランデール蛮族の規模っていうのは分かるんですかね?
GM:パルヴィック「……おそらく千人は下らないだろう」
クランデールちなみに共同体のリーダーはいるわけ?
GM:います。パルヴィック自身はその共同体の、まぁ幹部というわけじゃないですけど、それなりの権限を持って外に派遣されて傭兵を募っています。それとは別にイェシュポトゥーム・カーライの司祭がいるそうです。
ティスマンほほお。
GM:まぁ、死んでいる神に祈ってもディビネーションはないんでしょうけど、とりあえず司祭と位置づけられている人がいます。他にも共同体のリーダーは何名かいるそうです。
ジンジャーふむふむ。
ティスマンティスマン的には純粋にこの目で見てみたいというのがありますね。
GM:シャゼがいたら「ぜひとも行く」と言ったことでしょう。もしアナスタシアがいたら「ぜひとも破壊したい」と言ったところですね(笑)。
一同:(笑)。
クランデール共同体としては蛮族と戦ってまでそこを死守しなければならないという理由でもあんの?
GM:パルヴィック「……我々にはそこしか居場所がないんだ」
 要するに、共同体に流れ着いた彼らは鼻つまみ者なわけですよ、故郷においては。家族として受け入れてくれるのはここだけだ、という使命感があります。
クランデールう〜ん、行くのはやぶさかではないんだが、千人規模の蛮族に対して我らが手助けしたところで戦局を大きく左右できる要素があるのだろうか?
ティスマン一人頭百人くらい倒せば……(笑)。
クランデールたとえば共同体として迎え撃つ軍隊の準備をしていて、それとは別に別働隊として我々が動くという話なのか?
GM:いえ、基本的に共同体というだけあって国としての体をなしていないので、戦闘訓練を受けたいわゆる騎士団というか、戦士隊みたいなものはないです。そこで、先ほど彼が言ったイェシュポトゥーム・カーライで得られた神託、「棘持つものが砂漠から来たりて〜」の一部としてあなたたちが選ばれたわけです。もちろん既に何名か見繕われています。あとは“牙を持つ波乗り”が揃えば「勝利がつかめる」と言われているわけです。イェシュポトゥーム・カーライというのは城壁に囲まれているので、防衛戦をすれば勝ちなわけですね。
ティスマンはいはいはい。
GM:パルヴィックたちは、ソーンを倒せば蛮族たちはてんでバラバラになると踏んでいます。
ティスマンもともと敵対しているって言ってたもんね。
GM:本来は会えば殺しあうような奴らがソーンという人間のカリスマによってかりそめに束ねられている状態です。
クランデールそうか。「まぁ、何にせよ、船長の魂の在り処に関わる物があるかもしれないと思えるので、行ってみようか」。えーっと、報酬の話はどんなだっけ?
GM:メルニボネ銀竜貨で50枚。25,000LBですね。あとは不浄の要塞における一生涯の名誉ですね。
ティスマンそれは良いなぁ。
GM:名誉とかが非常に大切な世界ですからね。
ティスマン今後のことを考えても、未知の大陸への足がかりになりますからな。
GM:パルヴィック「あなたたちとその知り合いには、今後永久に渡って歓迎と安全をお約束しよう」
ティスマンハンス&ティスマンはイケイケです。
GM:なお、不浄の要塞は自給自足できていないので海賊行為とかで物資の調達をしているんですよ。海賊を雇って食料の強奪とかもさせているので、まぁ<新王国>の国のどこも多かれ少なかれそういうことをやってはいるんですが。
クランデールパン・タンなんて代表的ですからな。
GM:そこで、少なくとも東方面の共同体に雇われた海賊に襲われないという安全が保障されるなら、商人のハンスやポンパドゥール、船長のジンジャーにとってはお金には代えられない利益にはなりますわな。
クランデール「分かりました」
GM:パルヴィック「おお! 来てくださるか!! 私の船があるので、準備ができたらいつでも言ってくれ。なるべく早く出発したいのだが」
ティスマン大体船旅は何日くらいですかね?
GM:そーですねー、1週間くらいです。
クランデールさすがに食料とか水とかは準備されているんだよね?
GM:それは心配要らないそうです。では行く、ということで。


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